JP7109896B2 - 偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置 - Google Patents
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Description
また、処理液中に溶け出したポリビニルアルコール系樹脂の濃度が次第に高まっていくと、該処理液に浸漬させた後に該処理液から引き出したポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面にポリビニルアルコール系樹脂を含む固体が析出することもある。このような析出物もまた、偏光フィルムの外観や品質に悪影響を与え得る。
[1] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための方法であって、
複数のロールによって構成され、有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽を通る搬送経路に沿って前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送させて、前記有機溶剤含有処理液に前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる工程と、
液体を前記第1処理槽へ落下させる工程と、
を含む、方法。
[2] 前記落下させる工程は、前記第1処理槽内から前記第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を落下させて前記第1処理槽内に戻す工程を含む、[1]に記載の方法。
[3] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための方法であって、
複数のロールによって構成され、有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽を通る搬送経路に沿って前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送させて、前記有機溶剤含有処理液に前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる工程と、
前記第1処理槽内から前記第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を前記第1処理槽とは異なる場所へ落下させた後に前記第1処理槽に戻す工程と、
を含む、方法。
[4] 前記搬送経路は、前記第1処理槽よりも上流側に配置される処理槽であって、処理液を収容する1以上の処理槽をさらに通り、
前記有機溶剤含有処理液の温度は、前記1以上の処理槽のうち前記第1処理槽に最も近くに配置される処理槽に収容される処理液の温度よりも低い、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記有機溶剤含有処理液は、二色性色素及び架橋剤の少なくとも1つを含む、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記1以上の処理槽は、前記搬送経路の上流側から順に、第2処理槽と第3処理槽とを含み、
前記第2処理槽は二色性色素を含み、前記第3処理槽及び前記第1処理槽は架橋剤を含む、[4]に記載の方法。
[7] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための装置であって、
複数のロールによって構成されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送経路と、
前記搬送経路上に配置され、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが浸漬される有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽と、
液体を前記第1処理槽へ落下させる液体供給部と、
を含む、装置。
[8] 前記液体供給部は、前記第1処理槽内から前記第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を落下させて前記第1処理槽内に戻す処理液回収部を含む、[7]に記載の装置。
[9] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための装置であって、
複数のロールによって構成されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送経路と、
前記搬送経路上に配置され、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが浸漬される有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽と、
前記第1処理槽内から前記第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を前記第1処理槽とは異なる場所へ落下させた後に前記第1処理槽に戻す液体供給部と、
を含む、装置。
[10] 前記搬送経路上における前記第1処理槽よりも上流側に配置される処理槽であって、処理液を収容する1以上の処理槽をさらに含み、
前記有機溶剤含有処理液の温度は、前記1以上の処理槽のうち前記第1処理槽に最も近くに配置される処理槽に収容される処理液の温度よりも低い、[7]~[9]のいずれかに記載の装置。
[11] 前記有機溶剤含有処理液は、二色性色素及び架橋剤の少なくとも1つを含む、[7]~[10]のいずれかに記載の装置。
[12] 前記1以上の処理槽は、前記搬送経路の上流側から順に、第2処理槽と第3処理槽とを含み、
前記第2処理槽は二色性色素を含み、前記第3処理槽及び前記第1処理槽は架橋剤を含む、[10]に記載の装置。
本発明に係る偏光フィルムは、延伸されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向しているものである。
図1に示される製造装置を用いた偏光フィルム25の製造においては、PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11から連続的に巻き出しつつ、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19に順次浸漬し、最後に乾燥炉21に通すことにより乾燥処理を行って偏光フィルム25を得る。長尺物として製造される偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってもよいし、あるいは、巻き取ることなく、偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムを接着する偏光板作製工程に供されてもよい。
図1に示される偏光フィルム製造装置は、湿式処理部と乾燥処理部とを含むPVA系樹脂フィルム10の搬送経路を有している。この搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルム10を搬送させることにより、湿式処理及び乾燥処理を含む一連の処理が施されて偏光フィルム25が得られる。
搬送経路に沿って搬送されるPVA系樹脂フィルム10の搬送速度は、通常1~50m/分であり、生産効率の観点から、好ましくは5m/分以上である。
複数のロールによって構成され、有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽を通る搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルムを搬送させて、上記有機溶剤含有処理液に上記PVA系樹脂フィルムを浸漬させる工程(湿式処理工程S101)、及び
液体を上記第1処理槽へ落下させる工程(液体供給工程S201)
を含む。
本発明の他の実施形態に係る偏光フィルムの製造方法は、次の工程:
複数のロールによって構成され、有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽を通る搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルムを搬送させて、上記有機溶剤含有処理液に上記PVA系樹脂フィルムを浸漬させる工程(湿式処理工程S101)、及び
第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を第1処理槽とは異なる場所へ落下させた後に第1処理槽に戻す工程(液体供給工程S201)
を含む。
湿式処理工程S101に供される(湿式処理部に導入される)PVA系樹脂フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」ともいう。)で構成されるフィルムである。PVA系樹脂とは、ビニルアルコール由来の構成単位を50重量%以上含む樹脂をいう。PVA系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。
酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
PVA系樹脂フィルム10の他の一例は、上記未延伸フィルムを延伸してなる延伸フィルムである。この延伸は通常、一軸延伸、好ましくは縦一軸延伸である。縦延伸とは、フィルムの機械流れ方向(MD)、すなわちフィルムの長手方向への延伸をいう。
湿式処理工程S101に供される(湿式処理部に導入される)PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合において、この延伸は、好ましくは乾式延伸である。乾式延伸とは空中で行う延伸をいい、通常は縦一軸延伸となる。
延伸温度(熱ロールの表面温度や、オーブン内温度等)は、例えば80~150℃であり、好ましくは100~135℃である。
可塑剤の含有量は、PVA系樹脂フィルム10を構成するPVA系樹脂100重量部に対して、通常5~20重量部であり、好ましくは7~15重量部である。
湿式処理工程S101が実施される湿式処理部は、PVA系樹脂フィルム10の搬送経路上に配置されるゾーンであり、PVA系樹脂フィルム10が浸漬される処理液を収容する処理槽を含む。この湿式処理部において、PVA系樹脂フィルム10を搬送させながら処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬させる湿式処理工程S101が実施される。
図1には、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17及び洗浄処理槽19をそれぞれ1槽ずつ設けた例を示しているが、必要に応じて染色処理槽15を2槽以上を設けてもよく、架橋処理槽17を2槽以上を設けてもよい。膨潤処理槽13、洗浄処理槽19についても同様であり、それぞれ2槽以上設けてもよい。
膨潤処理は、PVA系樹脂フィルム10の異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理である。
図1を参照して、膨潤処理工程は、PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11より連続的に巻き出しながら、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、PVA系樹脂フィルム10を、膨潤処理液を収容する膨潤処理槽13に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
膨潤処理液の温度は、通常10~70℃、好ましくは15~50℃、より好ましくは15~35℃である。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(膨潤処理液中での滞留時間)は、通常10~600秒、好ましくは15~300秒である。
図1に示される例において、膨潤処理槽13から引き出されたフィルムは、ガイドロール1c、ニップロール2bを順に通過して染色処理槽15へ導入される。
染色処理は、PVA系樹脂フィルム10に二色性色素を吸着、配向させる等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、染色処理工程は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、PVA系樹脂フィルム10を染色処理槽15に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。染色処理槽15は、それに収容される染色処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬させるための槽である。染色処理液に浸漬されるPVA系樹脂フィルム10は、好ましくは膨潤処理工程(膨潤処理槽13に浸漬された)後のフィルムである。
染色処理槽15に収容される染色処理液は、二色性色素を含有する液(通常は水溶液)である。二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができ、好ましくはヨウ素である。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
染色処理液は、有機溶剤を含んでいてもよい。
図1に示される例において、染色処理槽15から引き出されたフィルムは、ガイドロール1f、ニップロール2cを順に通過して架橋処理槽17へ導入される。
架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整(補色)等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、架橋処理は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、染色処理工程S101(染色処理槽15に浸漬された)後のPVA系樹脂フィルム10を架橋処理槽17に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。架橋処理槽17は、それに収容される架橋処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬させるための槽である。
架橋処理槽17に収容される架橋処理液は、架橋剤を含有する液(通常は水溶液)である。この架橋処理液に染色処理工程後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬することによって架橋処理を行う。
架橋処理液は、有機溶剤を含んでいてもよい。
架橋処理液における架橋剤の含有量は概して、水100重量部あたり、通常0.1~15重量部であり、好ましくは1~12重量部である。
ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。
架橋処理液におけるヨウ化物の含有量は概して、水100重量部あたり、通常0.1~20重量部であり、好ましくは5~15重量部である。
一般に、架橋による耐水化のための架橋処理及び色相調整(補色)のための架橋処理の双方を実施する場合、色相調整(補色)のための架橋処理を実施する槽(補色槽)が後段に配置される。補色槽に収容される処理液の温度は、例えば10~55℃であり、好ましくは20~50℃である。補色槽に収容される処理液における架橋剤の含有量は、水100重量部あたり、例えば1~5重量部である。補色槽に収容される処理液におけるヨウ化物の含有量は、水100重量部あたり、例えば3~30重量部である。
図1に示される例において、架橋処理槽17から引き出されたフィルムは、ガイドロール1i、ニップロール2dを順に通過して洗浄処理槽19へ導入される。
偏光フィルムの製造方法は、架橋処理工程後の洗浄処理工程をさらに含むことができ、このために偏光フィルム製造装置は、架橋処理槽17の下流側に配置される洗浄処理槽19をさらに含むことができる。洗浄処理は、架橋処理工程後のPVA系樹脂フィルム10に付着した余分な薬剤を除去する等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、洗浄処理は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋処理工程(架橋処理槽17に浸漬された)後のPVA系樹脂フィルム10を洗浄処理槽19に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。あるいは、洗浄処理は、架橋処理工程後のPVA系樹脂フィルム10に対して洗浄液を例えばシャワーとして噴霧する処理であってもよく、洗浄処理槽19への浸漬と洗浄液の噴霧とを組み合わせてもよい。図1には、PVA系樹脂フィルム10を洗浄処理槽19に浸漬して洗浄処理を施す場合の例を示している。
洗浄処理槽19に収容される洗浄処理液や噴霧される洗浄液は、有機溶剤を含んでいてもよい。
湿式処理工程においてPVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸を実施してもよい。湿式延伸は通常、一軸延伸であり、膨潤処理、染色処理、架橋処理、洗浄処理のいずれかの処理を行いながら、又はこれらから選択される2以上の処理中に行うことができる。
湿式延伸は、好ましくは、架橋処理工程又はそれより前の1又は2以上の段階でなされる。上述のように、二色性色素の染色性を高めて良好な偏光特性を有する偏光フィルム25を得るために、染色処理工程に供されるPVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度の延伸処理が施されていることがより好ましい。
湿式延伸の延伸倍率は、得られる偏光フィルム25の偏光特性の観点から、好ましくは、偏光フィルム25の最終的な累積延伸倍率(湿式処理に供されるPVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合には、この延伸も含めた累積延伸倍率)が3~8倍となるように調整される。
乾燥処理工程が実施される乾燥処理部は、PVA系樹脂フィルム10の搬送経路上であって湿式処理部の下流側に配置される、湿式処理工程S101後のPVA系樹脂フィルム10を乾燥させるためのゾーンである。湿式処理工程S101後のPVA系樹脂フィルム10を引き続き搬送させながら、乾燥処理部に当該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光フィルム25が得られる(図1参照)。
Ty及びPyは、積分球付き吸光光度計を用い、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことによって測定することができる。
(4-1)第1の実施形態
第1の実施形態において偏光フィルムの製造方法は、液体供給工程S201として、液体を第1処理槽へ落下させる工程を含む。この場合において、偏光フィルムの製造装置は、液体を第1処理槽へ落下させるための液体供給部を含む。
ここでいう第1処理槽とは、PVA系樹脂フィルム10の搬送経路に配置され、上記湿式処理工程S101において使用される(湿式処理部が有する)処理槽の少なくとも1つである。
液体を「落下させる」とは、第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い地点から上記液体を、壁面や配管等を伝わせることなく上記処理液の液面に向けて落とすことを意味する。
しかし、上記液体を処理槽内の処理液の液面に落下させると、その衝撃等に起因して、処理槽内の処理液に溶け出していたPVA系樹脂が析出することがあり、これによって上述したような、PVA系樹脂を含む析出物に起因する不具合(偏光フィルム25の外観や品質への悪影響)を生じることがある。
上記液体を落下させる対象である第1処理槽に収容される処理液が有機溶剤含有処理液である本発明によれば、上記液体の落下による衝撃等が生じた場合であっても、PVA系樹脂を含む析出物の析出を抑制することができ、もって、析出物がPVA系樹脂フィルム10に付着するという不具合を抑制して、良好な外観及び品質を有する偏光フィルム25を安定的に連続製造することができる。
有機溶剤含有処理液に含まれる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の1価アルコール(好ましくは液体アルコール);エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;アセトン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
有機溶剤含有処理液は、好ましくは有機溶剤を含有する水溶液である。
有機溶剤は、水と相溶性のある有機溶剤であることが好ましい。
第1処理槽へ落下させる液体は、例えば、以下の液体から選択される1種以上であることができる。
〔a〕PVA系樹脂フィルム10の搬送経路を構築する上記複数のロールの少なくとも1つを洗浄する洗浄液として用いられた液体(ロール洗浄液)。この液体には、当該ロール洗浄によってロールの表面に付着した液体も含まれる。
〔b〕上記搬送経路に沿って搬送中のPVA系樹脂フィルム10の表面を洗浄する洗浄液として用いられた液体(フィルム洗浄液)。この液体には、当該フィルム洗浄によって、上記搬送経路に沿って搬送中のPVA系樹脂フィルム10の表面に付着した液体も含まれる。
〔c〕PVA系樹脂フィルム10の搬送経路を構築する上記複数のロールのうち、少なくとも1つのロールの表面、及び/又は、上記搬送経路に沿って搬送中のPVA系樹脂フィルム10の表面にガスを供給すること等によって液切される液体。
〔d〕第1処理槽内に収容されている処理液の液量や組成を調整するために補充される液体。
ロール洗浄は、ロール洗浄液を、ロール表面に向けて、例えばシャワー状に導出することにより行うことができる。
ロール洗浄を実施することにより、搬送中のPVA系樹脂フィルム10、ひいては得られる偏光フィルム25の表面に上記析出物が付着することを抑制することができる。このことは、偏光フィルム25の外観や品質を高めるうえで有利である。
ロール表面を洗浄した後のロール洗浄液を第1処理槽内に落とせば、これを処理液の一部として再利用できるので、偏光フィルム25の生産性の観点から有利である。
ロール洗浄液は、好ましくは、第1処理槽内の有機溶剤含有処理液から抜き出した少なくとも一部の有機溶剤含有処理液を含む。
フィルム洗浄は、フィルム洗浄液を、PVA系樹脂フィルム10の表面に向けて、例えばシャワー状に導出することにより行うことができる。
フィルム洗浄を実施することにより、搬送中のPVA系樹脂フィルム10、ひいては得られる偏光フィルム25の表面に上記固体が析出することを抑制することができる。このことは、偏光フィルム25の外観や品質を高めるうえで有利である。
フィルムを洗浄した後のフィルム洗浄液を第1処理槽内に落とせば、これを処理液の一部として再利用できるので、偏光フィルム25の生産性の観点から有利である。
フィルム洗浄液は、好ましくは、第1処理槽内の有機溶剤含有処理液から抜き出した少なくとも一部の有機溶剤含有処理液を含む。
液切を実施することにより、ロール表面やPVA系樹脂フィルム10の表面に付着した余分な処理液が乾燥して、塩等の固体が析出することを抑制することができる。このことは、偏光フィルム25の外観や品質を高めるうえで有利である。
ガスとしては、例えば、空気のほか、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。ガスを供給する手段としては、エアシャワーやエアナイフ等が挙げられる。
上記〔c〕の液体は、上記〔a〕のロール洗浄によってロール表面に付着した液体を液切することで生じる液体であってもよいし、上記〔b〕のフィルム洗浄によってPVA系樹脂フィルム10の表面に付着した液体を液切することで生じる液体であってもよい。
液切された液体を第1処理槽内に落とせば、これを処理液の一部として再利用できるので、偏光フィルム25の生産性の観点から有利である。
液体を第1処理槽へ落下させるための液体供給部は、第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い地点から上記液体を落とすことができる限り特に制限されない。
液体供給部としては、例えば、
〔A〕上記液体を導出する導出配管(導出ライン)であって、液体の導出口が第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い位置にある導出配管;
〔B〕ロール洗浄後のロール表面から流れ落ちる液体(ロール表面に向けて導出され、該表面で跳ね返るロール洗浄液を含む。)、フィルム洗浄後のPVA系樹脂フィルム10の表面から流れ落ちる液体(フィルム表面に向けて導出され、該表面で跳ね返るフィルム洗浄液を含む。)、及び/又は、液切によってロール表面やPVA系樹脂フィルム10の表面から吹き飛ばされる又は流れ落ちる液体を収集し、第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い位置まで誘導する手段(収集・誘導手段)
等が挙げられる。
収集・誘導手段によって第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い位置まで誘導された液体は、自由落下によって第1処理槽へ落下させることができる。
収集・誘導手段は、例えば、傾斜を設けた受け皿等であってよい。受け皿は、槽、シート等であってもよい。
上記〔B〕の液体供給部(収集・誘導手段)は、例えば、第1処理槽へ落下させる液体が上記〔a〕、〔b〕及び/又は〔c〕の液体である場合等に用いることができる。
液体供給工程S201(液体を第1処理槽へ落下させる工程)は、第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を落下させて第1処理槽内に戻す工程を含むことが好ましい。この場合、第1処理槽へ落下させる液体は、第1処理槽内に収容されていた有機溶剤含有処理液を含む。
有機溶剤含有処理液を第1処理槽内に戻すことは、これを処理液の一部として再利用できるので、偏光フィルム25の生産性の観点から有利である。
「第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液」としては、上記〔a〕~〔c〕に包含される液体が挙げられる。
膨潤処理槽13からの膨潤処理液の抜き出しは、例えばポンプ等によって行うことができる。
処理液回収部としては、例えば、
〔B1〕第1処理槽内の有機溶剤含有処理液から少なくとも一部の有機溶剤含有処理液を抜き出す手段(ポンプ等)、抜き出された有機溶剤含有処理液をロール洗浄液として用い、これをロール表面に向けて導出する手段(シャワー噴霧器等)、及び、ロール洗浄後のロール表面から流れ落ちる液体(ロール表面に向けて導出され、該表面で跳ね返るロール洗浄液を含む。)を収集し、第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い位置まで誘導する収集・誘導手段の組み合わせ、
〔B2〕第1処理槽内の有機溶剤含有処理液から少なくとも一部の有機溶剤含有処理液を抜き出す手段(ポンプ等)、抜き出された有機溶剤含有処理液をフィルム洗浄液として用い、これをフィルム表面に向けて導出する手段(シャワー噴霧器等)、及び、フィルム洗浄後のPVA系樹脂フィルム10の表面から流れ落ちる液体(フィルム表面に向けて導出され、該表面で跳ね返るフィルム洗浄液を含む。)を収集し、第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い位置まで誘導する収集・誘導手段の組み合わせ、
〔B3〕ロール表面や、有機溶剤含有処理液に浸漬させた後のPVA系樹脂フィルム10の表面に付着した余分な有機溶剤含有処理液を、ロール表面やPVA系樹脂フィルム10の表面から液切するための液切手段(エアシャワーやエアナイフ等)、及び、液切によってロール表面やPVA系樹脂フィルム10の表面から吹き飛ばされる又は流れ落ちる液体を収集し、第1処理槽に収容されている処理液の液面より高い位置まで誘導する収集・誘導手段の組み合わせ
等が挙げられる。
有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽は、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17、洗浄処理槽19等から選択される。偏光フィルムの製造装置は、2以上の第1処理槽を有していてもよい。
中でも、第1処理槽は、液体を処理槽内の処理液の液面に落下させたときの衝撃等に起因するPVA系樹脂の析出が生じやすい処理槽であることが好ましい。
なお、第1処理槽に収容される有機溶剤含有処理液におけるPVA系樹脂の濃度は、例えば、重量基準で5ppm~5000ppm程度であってよい。
二色性色素を含む処理液を収容する処理槽としては染色処理槽15が挙げられる。
架橋剤を含む処理液を収容する処理槽としては、膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17等が挙げられる。架橋剤を含む処理液を収容する第1処理槽は、好ましくは、架橋剤及びヨウ化物(ヨウ化カリウム等)を含む処理液を収容する処理槽である。このような処理槽としては、架橋処理槽17が挙げられる。
染色処理槽15及び架橋処理槽17、とりわけ架橋処理槽17(架橋による耐水化のための架橋処理槽及び色相調整(補色)のための架橋処理槽を含む。)は、膨潤処理槽13及び洗浄処理槽19に比べて、収容される処理液の温度をより高く設定することが一般的であり、したがって、PVA系樹脂フィルム10を浸漬させたときにPVA系樹脂の溶出が生じやすく、その結果、PVA系樹脂を含む固体の処理液からの析出が生じやすい。
よって本発明は、第1処理槽が、染色処理槽15及び/又は架橋処理槽17である場合、とりわけ架橋処理槽17である場合により有効である。
すなわち、PVA系樹脂フィルム10の搬送経路が、ある処理槽よりも上流側に配置される別の1以上の処理槽をさらに通る場合において、上記ある処理槽に収容される処理液の温度が、上記別の処理槽に収容される処理液の温度よりも低いときには、上記ある処理槽を、有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽とすることが好ましい。
このように本発明は、温度のより高い処理液を収容する処理槽の後に配置される、温度のより低い処理液を収容する処理槽を第1処理槽とする場合により有効である。
二色性色素を含む処理液を収容する第2処理槽としては染色処理槽15が挙げられる。
架橋剤を含む処理液を収容する第3処理槽及び第1処理槽としては、いずれも膨潤処理槽13、染色処理槽15、架橋処理槽17等が挙げられるが、好ましくは、架橋剤及びヨウ化物(ヨウ化カリウム等)を含む処理液を収容する架橋処理槽17である。
この実施形態において、第3処理槽及び第1処理槽がいずれも架橋処理槽17である場合、第1処理槽に収容される有機溶剤含有処理液の温度は、第3処理槽に収容される処理液の温度よりも低い。このような第3処理槽及び第1処理槽の組み合わせの一例は、第3処理槽が架橋による耐水化のための架橋処理槽であり、第1処理槽が色相調整(補色)のための架橋処理槽(補色槽)である組み合わせである。
第2の実施形態において偏光フィルムの製造方法は、液体供給工程S201として、第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を第1処理槽とは異なる場所へ落下させた後に第1処理槽に戻す工程を含む。この場合において、偏光フィルムの製造装置は、第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を第1処理槽とは異なる場所へ落下させた後に第1処理槽に戻すための液体供給部(処理液回収部)を含む。
第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を第1処理槽とは異なる場所へ「落下させる」とは、該異なる場所の底面より高い地点又は該異なる場所に収容された有機溶剤含有処理液の液面より高い地点から有機溶剤含有処理液を、壁面や配管等を伝わせることなく上記底面又は上記液面に向けて落とすことを意味する。
しかし、処理液を第1処理槽に戻す工程が該処理液を第1処理槽とは異なる場所へ落下させる工程を含む場合、落下の衝撃等に起因して、該処理液に溶け出していたPVA系樹脂が析出することがある。該析出物を含む処理液を第1処理槽に戻すと、上述したような、PVA系樹脂を含む析出物に起因する不具合(偏光フィルム25の外観や品質への悪影響)を生じることがある。
第1処理槽に収容される処理液が有機溶剤含有処理液である本発明によれば、上記落下による衝撃等が生じた場合であっても、PVA系樹脂を含む析出物の析出を抑制することができ、もって、有機溶剤含有処理液を第1処理槽に戻しても、析出物がPVA系樹脂フィルム10に付着するという不具合を抑制して、良好な外観及び品質を有する偏光フィルム25を安定的に連続製造することができる。
第1処理槽とは異なる場所へ落下させる有機溶剤含有処理液は、第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液である。
有機溶剤含有処理液に含まれる有機溶剤については、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態について述べた記述が引用される。
「第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液」としては、上記(4-1-2)の〔a〕~〔c〕に包含される有機溶剤含有処理液が挙げられる。
〔a〕~〔c〕に包含される有機溶剤含有処理液を第1処理槽に戻せば、これを処理液の一部として再利用できるので、偏光フィルム25の生産性の観点から有利である。
第1処理槽内から第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を第1処理槽とは異なる場所へ落下させた後に第1処理槽に戻すための液体供給部は、該異なる場所の底面より高い地点又は該異なる場所に収容された有機溶剤含有処理液の液面より高い地点から有機溶剤含有処理液を落とすことができ、落下し終えた有機溶剤含有処理液を第1処理槽に戻すことができる限り特に制限されない。
液体供給部(処理液回収部)としては、例えば、
〔B1’〕第1処理槽内の有機溶剤含有処理液から少なくとも一部の有機溶剤含有処理液を抜き出す手段(ポンプ等)、抜き出された有機溶剤含有処理液をロール洗浄液として用い、これをロール表面に向けて導出する手段(シャワー噴霧器等)、及び、ロール洗浄後のロール表面から落下する液体(ロール表面に向けて導出され、該表面で跳ね返るロール洗浄液を含む。)を収集し、収集した有機溶剤含有処理液を第1処理槽に戻す収集・誘導手段の組み合わせ、
〔B2’〕第1処理槽内の有機溶剤含有処理液から少なくとも一部の有機溶剤含有処理液を抜き出す手段(ポンプ等)、抜き出された有機溶剤含有処理液をフィルム洗浄液として用い、これをフィルム表面に向けて導出する手段(シャワー噴霧器等)、及び、フィルム洗浄後のPVA系樹脂フィルム10の表面から落下する液体(フィルム表面に向けて導出され、該表面で跳ね返るフィルム洗浄液を含む。)を収集し、収集した有機溶剤含有処理液を第1処理槽に戻す収集・誘導手段の組み合わせ、
〔B3’〕ロール表面や、有機溶剤含有処理液に浸漬させた後のPVA系樹脂フィルム10の表面に付着した余分な有機溶剤含有処理液を、ロール表面やPVA系樹脂フィルム10の表面から液切するための液切手段(エアシャワーやエアナイフ等)、及び、液切によってロール表面やPVA系樹脂フィルム10の表面から落下する液体を収集し、収集した有機溶剤含有処理液を第1処理槽に戻す収集・誘導手段の組み合わせ
等が挙げられる。
なお、収集・誘導手段によって有機溶剤含有処理液を第1処理槽に戻す際に有機溶剤含有処理液を第1処理槽へ落下させてもよいが、この実施形態は、第1の実施形態に属する。本実施形態において有機溶剤含有処理液は、落下させることなく、例えば、第1処理槽の液面まで伝わせて戻すか、あるいは、第1処理槽内の有機溶剤含有処理液の液中に戻す。
架橋処理槽を2槽(それぞれ第1架橋処理槽17a、第2架橋処理槽17bという。)有すること以外は図1に示される装置と同様の偏光フィルム製造装置を用いて、長尺のポリビニルアルコールフィルム(PVA系樹脂フィルム10)から偏光フィルム25を連続製造した。用いたポリビニルアルコールフィルムは、厚み60μmのポリビニルアルコールフィルムであり、フィルムを構成するポリビニルアルコールのケン化度は99.9モル%以上、平均重合度は2400であった。
巻出ロール11よりPVA系樹脂フィルム10を連続的に巻き出しながら搬送し、30℃の純水が入った膨潤処理槽13に浸漬しながら、フィルムが弛まないようにニップロール2a,2b間に周速差をつけて2.5倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行って膨潤処理した。
次に、ニップロール2bを通過したPVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水(重量比)が0.05/2/100である30℃の染色処理槽15に120秒間浸漬した。この染色処理では、ニップロール2b,2c間に周速差をつけて1.1倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。
次に、耐水化を目的とする第1の架橋処理を施すため、ニップロール2cを通過したPVA系樹脂フィルム10を、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が12/4.4/100である56℃の第1架橋処理槽17aに30秒間浸漬した。この第1の架橋処理においても、ニップロール間に周速差をつけて、1.9倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。次いで、第1の架橋処理後のPVA系樹脂フィルム10を、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水(重量比)が9/2.9/100である40℃の第2架橋処理槽17bに15秒間浸漬した(第2の架橋処理)。この第2の架橋処理においても、ニップロール間に周速差をつけて、1.05倍のロール間延伸(縦一軸延伸)を行った。
その後、第2の架橋処理後のPVA系樹脂フィルム10を15℃の純水が入った洗浄処理槽19に浸漬し、次いで乾燥炉21を通過させることにより70℃で3分間乾燥させて、偏光フィルム25を作製した。
一方、40mLの純水の代わりに40mLのエタノールを加えて同様の実験を行ったところ、PVA系樹脂を含む固体の発生は認められなかった。
Claims (8)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための方法であって、
複数のロールによって構成され、有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽を通る搬送経路に沿って前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送させて、前記有機溶剤含有処理液に前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬させる工程と、
液体を前記第1処理槽へ落下させる工程と、
を含み、
前記有機溶剤含有処理液における有機溶剤の含有量が1~50重量%であり、
前記液体は、
前記搬送経路に沿って搬送中の前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面を洗浄する洗浄液として用いられた液体、
前記複数のロールのうち、少なくとも1つのロールの表面にガスを供給することによって液切される液体、及び
前記第1処理槽内に収容されている有機溶剤含有処理液の液量又は組成を調整するために補充される液体
からなる群より選択される1種以上であり、
前記搬送経路は、前記第1処理槽よりも上流側に配置される処理槽であって、処理液を収容する1以上の処理槽をさらに通り、
前記有機溶剤含有処理液の温度は、前記1以上の処理槽のうち前記第1処理槽に最も近くに配置される処理槽に収容される処理液の温度よりも低い、方法。 - 前記落下させる工程は、前記第1処理槽内から前記第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を落下させて前記第1処理槽内に戻す工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記有機溶剤含有処理液は、二色性色素及び架橋剤の少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記1以上の処理槽は、前記搬送経路の上流側から順に、第2処理槽と第3処理槽とを含み、
前記第2処理槽は二色性色素を含み、前記第3処理槽及び前記第1処理槽は架橋剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。 - ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための装置であって、
複数のロールによって構成されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送経路と、
前記搬送経路上に配置され、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが浸漬される有機溶剤含有処理液を収容する第1処理槽と、
液体を前記第1処理槽へ落下させる液体供給部と、
を含み、
前記有機溶剤含有処理液における有機溶剤の含有量が1~50重量%であり、
前記液体は、
前記搬送経路に沿って搬送中の前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面を洗浄する洗浄液として用いられた液体、
前記複数のロールのうち、少なくとも1つのロールの表面にガスを供給することによって液切される液体、及び
前記第1処理槽内に収容されている有機溶剤含有処理液の液量又は組成を調整するために補充される液体
からなる群より選択される1種以上であり、
前記搬送経路上における前記第1処理槽よりも上流側に配置される処理槽であって、処理液を収容する1以上の処理槽をさらに含み、
前記有機溶剤含有処理液の温度は、前記1以上の処理槽のうち前記第1処理槽に最も近くに配置される処理槽に収容される処理液の温度よりも低い、装置。 - 前記液体供給部は、前記第1処理槽内から前記第1処理槽外へ移動した有機溶剤含有処理液を落下させて前記第1処理槽内に戻す処理液回収部を含む、請求項5に記載の装置。
- 前記有機溶剤含有処理液は、二色性色素及び架橋剤の少なくとも1つを含む、請求項5又は6に記載の装置。
- 前記1以上の処理槽は、前記搬送経路の上流側から順に、第2処理槽と第3処理槽とを含み、
前記第2処理槽は二色性色素を含み、前記第3処理槽及び前記第1処理槽は架橋剤を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の装置。
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