JP2016224390A - 偏光フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】各種処理浴間の搬送経路に配置されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するロールの表面の汚染を抑制し、汚れ付着等の表面欠陥の発生が抑制された偏光フィルムを製造する方法を提供する。【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造方法であって、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理槽に収容された処理液に浸漬させる浸漬工程と、前記処理液に浸漬された前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをロールに沿って搬送させる搬送工程と、前記ロールの表面をロール洗浄液で洗浄するロール洗浄工程と、を備える偏光フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板の構成部材として用いることのできる偏光フィルムの製造方法に関する。
偏光フィルムには、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料のような二色性色素を吸着配向させたものが従来用いられている。偏光フィルムは通常、その片面又は両面に接着剤を用いて保護フィルムを貼合して偏光板とされ、液晶テレビ、パーソナルコンピュータ用モニター及び携帯電話等の液晶表示装置に代表される画像表示装置に用いられている。
一般に偏光フィルムは、連続的に搬送される長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤浴、染色浴、架橋浴のような処理浴に順次浸漬する処理を施すとともに、これら一連の処理の間に延伸処理を施すことによって製造される(例えば、特許文献1)。
特開2015−11151号公報
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの原反ロール(巻回品)からフィルムを連続的に巻出しつつ、上述のような各種処理浴間の搬送経路にポリビニルアルコール系樹脂層を搬送するロールを配置することにより、ポリビニルアルコール系樹脂層が一つの処理浴に浸漬された後に引き出されて次の処理浴に浸漬されるように搬送され、連続製造することができる。
ところが、連続製造により作製された偏光フィルムを観察すると、その表面に汚れが付着する等の欠陥が生じている場合があった。かかる欠陥の原因を検討したところ、処理浴間の搬送経路に配置されたロールの表面にポリビニルアルコール系樹脂フィルムが持ち込んだ処理浴中の処理液が付着し、処理液中の塩等が析出すること等によりロールの表面が汚染されることが原因の一つであることがわかった。表面が汚染されたロールにより搬送されることにより、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に汚れが転写されている場合があった。特に、染色浴または架橋浴中の処理液は塩を溶解させて調整されているので、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが持ち込んだ処理浴中の処理液に起因するロールの表面の汚染は、染色浴または架橋浴からポリビニルアルコール系樹脂フィルムを引き出すために配置されたロールの表面において生じやすいものだった。また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは親水性であり、処理浴から引き出した直後は処理液によって膨潤した状態となっているため、ロール表面の汚れの転写やロール表面の汚れによる変形が発生しやすかった。さらにポリビニルアルコール系樹脂フィルムからの溶出成分によってロール表面を汚染しやすかった。
そこで、本発明は、各種処理浴間の搬送経路に配置されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するロールの表面の汚染を抑制し、汚れ付着等の表面欠陥の発生が抑制された偏光フィルムを製造する方法の提供を目的とする。
本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法を提供する。
[1] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造方法であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理槽に収容された処理液に浸漬させる浸漬工程と、
前記処理液に浸漬された前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをロールに沿って搬送させる搬送工程と、
前記ロールの表面をロール洗浄液で洗浄するロール洗浄工程と、を備える偏光フィルムの製造方法。
[2] 前記ロール洗浄工程において、前記ロール洗浄液として前記処理液を用いる、[1]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[3] 前記ロール洗浄液は、前記ロール洗浄工程後に前記処理槽内に回収される、[2]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[4] 前記浸漬工程は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色液に浸漬させて二色性色素で染色する染色処理工程または前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋液に浸漬させて架橋する架橋処理工程である、[1]〜[3]に記載の偏光フィルムの製造方法。
[5] 前記ロール洗浄工程は、前記ロールの表面に前記ロール洗浄液を導出する工程または前記ロールの表面を前記ロール洗浄液に浸漬させる工程を含む、[1]〜[4]に記載の偏光フィルムの製造方法。
本発明の方法によれば、偏光フィルムの連続製造中に、処理浴間の搬送経路に配置されたロールの表面が汚染されることを抑制することができ、汚れ付着等の表面欠陥が抑制された偏光フィルムを製造することができる。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示すニップロールとシャワーの関係の一例を示す斜視図である。
<偏光フィルムの製造方法>
本発明において偏光フィルムは、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素(ヨウ素や二色性染料)が吸着配向しているものである。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。そのケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%以上である。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等であることができる。共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等を挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常約1000〜10000、好ましくは約1500〜5000程度である。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等も
使用し得る。
本発明では、偏光フィルム製造の開始材料として、厚みが65μm以下(例えば60μm以下)、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下の未延伸のポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原反フィルム)を用いる。これにより市場要求が益々高まっている薄膜の偏光フィルムを得ることができる。原反フィルムは、事前に気相中で延伸処理が施されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムでもよい。
原反フィルムの幅は特に制限されず、例えば400〜6000mm程度であることができるが、フィルム幅が大きいほど延伸処理時にフィルム破断を生じやすい傾向にある。
本発明において原反フィルムは、長尺の未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムのロール(原反ロール)として用意される。
偏光フィルムは、上記の長尺の原反フィルムを原反ロールから巻出しつつ、偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路に沿って連続的に搬送させて所定の処理工程を実施することにより長尺の偏光フィルムとして連続製造することができる。所定の処理工程は、原反フィルムを、処理槽に収容された処理液(以下、「処理浴」ともいう)に浸漬させる浸漬工程と、処理浴から引き出された原反フィルムをロールに沿って搬送させる搬送工程とを有する。このような浸漬工程と搬送工程が、異なる処理浴に対して繰り返し行われて、偏光フィルムが作製される。
本発明においては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製するための浸漬工程と搬送工程とともに、処理浴から引き出された原反フィルムを搬送するロールをロール洗浄液で洗浄するロール洗浄工程とを備える。かかるロール洗浄工程は、偏光フィルムの連続製造時に並行して行われていることが好ましい。本発明は、ロール洗浄工程を有することにより、原反フィルムを搬送するロールの表面の汚染を防止することができ、かかる汚染に起因して偏光フィルムの表面に汚れ付着等の欠陥が生じるのを防ぐことができる。
ロール洗浄液としては、純水のほか、直前の処理槽に収容されたものと同じ処理液を用いることができるが、処理液を用いることが好ましい。ロール洗浄液として処理液を用いることにより、搬送されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムがロール洗浄液に直接接触した場合であっても、また搬送されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムがロール表面に付着したロール洗浄液に接触した場合であっても、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに欠陥をもたらすことを防ぐことができる。ロール洗浄液として処理液を用いる場合は、ロール洗浄工程後に処理液が直前の処理槽内に回収される手段を備えることが好ましい。ロール洗浄液として処理液を用いない場合には、ロール洗浄液がポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触するとポリビニルアルコール系樹脂フィルム上の処理液濃度が変化し、ムラ等の欠陥が発生する虞がある。よって、ロール洗浄液として処理液を用いない場合にはロール洗浄液が直接ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触しないようにロール洗浄液をロール表面に供給することが好ましい。また、ロール表面に付着したロール洗浄液はスクレイパー等でポリビニルアルコール系樹脂フィルムに接触しないように回収することが好ましい。
上記浸漬工程としては、具体的には、原反フィルムを膨潤槽に収容された膨潤液(以下、「膨潤浴」ともいう)に浸漬させる膨潤処理工程、その後搬送工程により膨潤浴から引き出された後のフィルムを染色槽に収容された染色液(以下、「染色浴」ともいう)に浸漬させる染色処理工程、その後搬送工程により染色浴から引き出された後のフィルムを架
橋槽に収容された架橋液(以下、「架橋浴」ともいう)に浸漬させる架橋処理工程、その後搬送工程により架橋浴から引き出された後のフィルムをフィルム洗浄槽に収容されたフィルム洗浄液(以下、「フィルム洗浄浴」ともいう)に浸漬させるフィルム洗浄工程等が挙げられる。これらの一連の浸漬工程及び搬送工程の間(すなわち、いずれか1以上の浸漬工程の前後及び/又はいずれか1以上の浸漬工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理を施す。必要に応じて、他の処理工程を付加してもよい。上記の各浸漬工程は、1つの槽にフィルムを浸漬させる処理であってもよいし、2以上の槽に順次浸漬させる処理であってもよい。
以下、図1を参照しながら、本発明に係る偏光フィルムの製造方法についてより詳細に説明する。図1は、本発明に係る偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルム製造装置の一例を模式的に示す断面図である。図1に示される偏光フィルム製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反(未延伸)フィルム10を、原反ロール11より連続的に巻出しながらフィルム搬送経路に沿って搬送させることにより、フィルム搬送経路上に設けられる膨潤浴13、染色浴15、架橋浴17、及び洗浄浴19を順次通過させ、最後に乾燥炉21を通過させるように構成されている。得られた偏光フィルム23は、例えば、そのまま次の偏光板作製工程(偏光フィルム23の片面又は両面に保護フィルムを貼合する工程)に搬送することができる。図1における矢印は、フィルムの搬送方向を示している。
なお図1は、膨潤浴13、染色浴15、架橋浴17及び洗浄浴19をそれぞれ1槽ずつ設けた例を示しているが、必要に応じて、いずれか1以上の処理浴を2槽以上設けてもよい。上記において「処理槽」は、膨潤槽、染色槽、架橋槽及び洗浄槽を含む総称であり、「処理液」は、膨潤液、染色液、架橋液及び洗浄液を含む総称であり、「処理浴」は、膨潤浴、染色浴、架橋浴及び洗浄浴を含む総称である。
偏光フィルム製造装置のフィルム搬送経路は、上記処理浴の他、搬送されるフィルムを支持する、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるガイドロール30〜41,60,61や、搬送されるフィルムを押圧・挟持し、その回転による駆動力をフィルムに与えることができる、あるいはさらにフィルム搬送方向を変更することができるニップロール50〜55を適宜の位置に配置することによって構築することができる。ガイドロールやニップロールは、各処理浴の前後や処理浴中に配置することができ、これにより処理浴へのフィルムの導入・浸漬及び処理浴からの引き出しを行うことができる〔図1参照〕。例えば、各処理浴中に1以上のガイドロールを設け、これらのガイドロールに沿ってフィルムを搬送させることにより、各処理浴にフィルムを浸漬させることができる。
図1に示される偏光フィルム製造装置は、各処理浴の前後にニップロールが配置されており(ニップロール50〜54)、これにより、いずれか1以上の処理浴中で、その前後に配置されるニップロール間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸を実施することが可能になっている。
図1に示される偏光フィルム製造装置は、各処理浴13,15,17,19後に配置されているガイドロール32,35,38,41及びニップロール51〜54に対向するようにシャワー71〜78が設けられている。偏光フィルムの連続製造中に、シャワー71〜78によりガイドロール32,35,38,41及びニップロール51〜54の表面にロール洗浄液を導出して、ガイドロール32,35,38,41及びニップロール51〜54の表面が洗浄される(ロール洗浄工程)。以下、各工程について説明する。
(膨潤処理工程)
膨潤処理工程は、原反フィルム10表面の異物除去、原反フィルム10中の可塑剤除去
、易染色性の付与、原反フィルム10の可塑化等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつ原反フィルム10の極端な溶解や失透等の不具合を生じない範囲で決定される。
図1を参照して、膨潤処理工程は、原反フィルム10を原反ロール11より連続的に巻出しながら、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、原反フィルム10を膨潤浴13に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。図1の例において、原反フィルム10を巻き出してから膨潤浴13に浸漬させるまでの間、原反フィルム10は、ガイドロール60,61及びニップロール50によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送される。膨潤処理においては、ガイドロール30〜32によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送される。
膨潤浴13の膨潤液としては、純水のほか、ホウ酸(特開平10−153709号公報)、塩化物(特開平06−281816号公報)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類等を約0.01〜10重量%の範囲で添加した水溶液を使用することも可能である。
膨潤浴13の温度は、例えば10〜50℃程度、好ましくは10〜40℃程度、より好ましくは15〜30℃程度である。原反フィルム10の浸漬時間は、好ましくは10〜300秒程度、より好ましくは20〜200秒程度である。また、原反フィルム10が予め気体中で延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムである場合、膨潤浴13の温度は、例えば20〜70℃程度、好ましくは30〜60℃程度である。原反フィルム10の浸漬時間は、好ましくは30〜300秒程度、より好ましくは60〜240秒程度である。
膨潤処理では、原反フィルム10が幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るといった問題が生じやすい。このシワを取りつつフィルムを搬送するための1つの手段として、ガイドロール30,31及び/又は32にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることが挙げられる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は延伸処理を施すことである。例えば、ニップロール50とニップロール51との周速差を利用して膨潤浴13中で一軸延伸処理を施すことができる。
膨潤処理では、フィルムの搬送方向にもフィルムが膨潤拡大するので、フィルムに積極的な延伸を行わない場合は、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、例えば、膨潤浴13の前後に配置するニップロール50,51の速度をコントロールする等の手段を講ずることが好ましい。また、膨潤浴13中のフィルム搬送を安定化させる目的で、膨潤浴13中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position
Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)等を併用したりすることも有用である。
図1に示される例において、膨潤浴13から引き出されたフィルムは、ガイドロール32、ニップロール51を順に通過して染色浴15へ導入される。
(染色処理工程)
染色処理工程は、膨潤処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させる等の目的で行われる。処理条件は、当該目的が達成できる範囲で、かつフィルムの極端な溶解や失透等の不具合が生じない範囲で決定される。図1を参照して、染色処理工程は、ガイドロール33〜35及びニップロール51によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、膨潤処理後のフィルムを染色浴15(染色槽に収容された
処理液)に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。二色性色素の染色性を高めるために、染色処理工程に供されるフィルムは、少なくともある程度の一軸延伸処理を施したフィルムであることが好ましく、又は染色処理前の一軸延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の一軸延伸処理に加えて、染色処理時に一軸延伸処理を行うことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色浴15の染色液には、例えば、濃度が重量比でヨウ素/ヨウ化カリウム/水=約0.003〜0.3/約0.1〜10/100である水溶液を用いることができる。ヨウ化カリウムに代えて、ヨウ化亜鉛等の他のヨウ化物を用いてもよく、ヨウ化カリウムと他のヨウ化物を併用してもよい。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、ホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルト等を共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理と区別され、水溶液が水100重量部に対し、ヨウ素を約0.003重量部以上含んでいるものであれば、染色浴15とみなすことができる。フィルムを浸漬するときの染色浴15の温度は、通常10〜45℃程度、好ましくは10〜40℃であり、より好ましくは20〜35℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒である。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、染色浴15の染色液には、例えば、濃度が重量比で二色性染料/水=約0.001〜0.1/100である水溶液を用いることができる。この染色浴15には、染色助剤等を共存させてもよく、例えば、硫酸ナトリウム等の無機塩や界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は1種のみを単独で用いてもよいし、2種類以上の二色性染料を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの染色浴15の温度は、例えば20〜80℃程度、好ましくは30〜70℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜300秒程度である。
上述のように染色処理工程では、染色浴15でフィルムの一軸延伸を行うことができる。フィルムの一軸延伸は、染色浴15の前後に配置したニップロール51とニップロール52との間に周速差をつけるなどの方法によって行うことができる。
染色処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール33,34及び/又は35にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図1に示される例において、染色浴15から引き出されたフィルムは、ガイドロール35、ニップロール52を順に通過して架橋浴17へ導入される。
(架橋処理工程)
架橋処理工程は、架橋による耐水化や色相調整(フィルムが青味がかるのを防止する等)などの目的で行う処理である。図1を参照して、架橋処理は、ガイドロール36〜38及びニップロール52によって構築されたフィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋浴17(架橋槽に収容された架橋液)に染色処理後のフィルムを所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
架橋浴17の架橋液としては、水100重量部に対してホウ酸を例えば約1〜10重量部含有する水溶液であることができる。架橋液は、染色処理で使用した二色性色素がヨウ素の場合、ホウ酸に加えてヨウ化物を含有することが好ましく、その量は、水100重量部に対して、例えば1〜30重量部とすることができる。ヨウ化物としては、ヨウ化カリ
ウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等を共存させてもよい。
架橋処理においては、その目的によって、ホウ酸及びヨウ化物の濃度、並びに架橋浴17の温度を適宜変更することができる。例えば、架橋処理の目的が架橋による耐水化であり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対し、膨潤処理、染色処理及び架橋処理をこの順に施す場合、架橋浴の架橋剤含有液は、濃度が重量比でホウ酸/ヨウ化物/水=3〜10/1〜20/100の水溶液であることができる。必要に応じ、ホウ酸に代えてグリオキザール又はグルタルアルデヒド等の他の架橋剤を用いてもよく、ホウ酸と他の架橋剤を併用してもよい。フィルムを浸漬するときの架橋浴の温度は、通常50〜70℃程度、好ましくは53〜65℃であり、フィルムの浸漬時間は、通常10〜600秒程度、好ましくは20〜300秒、より好ましくは20〜200秒である。また、膨潤処理前に予め延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して染色処理及び架橋処理をこの順に施す場合、架橋浴17の温度は、通常50〜85℃程度、好ましくは55〜80℃である。
色相調整を目的とする架橋処理においては、例えば、二色性色素としてヨウ素を用いた場合、濃度が重量比でホウ酸/ヨウ化物/水=1〜5/3〜30/100の架橋剤含有液を使用することができる。フィルムを浸漬するときの架橋浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常1〜300秒程度、好ましくは2〜100秒である。
架橋処理は複数回行ってもよく、通常2〜5回行われる。この場合、使用する各架橋浴の組成及び温度は、上記の範囲内であれば同じであってもよく、異なっていてもよい。架橋による耐水化のための架橋処理及び色相調整のための架橋処理は、それぞれ複数の工程で行ってもよい。
ニップロール52とニップロール53との周速差を利用して架橋浴17中で一軸延伸処理を施すこともできる。
架橋処理においても、膨潤処理と同様にフィルムのシワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送するために、ガイドロール36,37及び/又は38にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。シワの発生を抑制するためのもう1つの手段は、膨潤処理と同様、延伸処理を施すことである。
図1に示される例において、架橋浴17から引き出されたフィルムは、ガイドロール38、ニップロール53を順に通過してフィルム洗浄浴19へ導入される。
(フィルム洗浄処理工程)
本発明の製造方法は、架橋処理工程後のフィルム洗浄処理工程を含むことができる。フィルム洗浄処理は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに付着した余分なホウ酸やヨウ素等の薬剤を除去する目的で行われる。フィルム洗浄処理は、例えば、架橋処理したポリビニルアルコール系樹脂フィルムをフィルム洗浄浴19に浸漬、又は該フィルムに対してフィルム洗浄液を噴霧、若しくはこれらを併用することによって行うことができる。
図1には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをフィルム洗浄浴19に浸漬して洗浄処理を行う場合の例を示している。フィルム洗浄処理におけるフィルム洗浄浴19の温度
は、通常2〜40℃程度であり、フィルムの浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。
なお、フィルム洗浄処理においても、シワを除きつつポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送する目的で、ガイドロール39,40及び/又は41にエキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロールのような拡幅機能を有するロールを用いたり、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップのような他の拡幅装置を用いたりすることができる。また、フィルム洗浄処理において、シワの発生を抑制するために延伸処理を施してもよい。
(延伸処理工程)
上述のように原反フィルム10は、上記一連の処理工程の間(すなわち、いずれか1以上の処理工程の前後及び/又はいずれか1以上の処理工程中)に、湿式又は乾式にて一軸延伸処理される。一軸延伸処理の具体的方法は、例えば、フィルム搬送経路を構成する2つのニップロール(例えば、処理浴の前後に配置される2つのニップロール)間に周速差をつけて縦一軸延伸を行うロール間延伸、特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸、テンター延伸等であることができ、好ましくはロール間延伸である。一軸延伸処理工程は、原反フィルム10から偏光フィルム23を得るまでの間に複数回にわたって実施することができる。上述のように延伸処理は、フィルムのシワの発生の抑制にも有利である。
原反フィルム10を基準とする、偏光フィルム23の最終的な累積延伸倍率は通常、4.5〜7倍程度であり、好ましくは5〜6.5倍である。
延伸処理工程はいずれの処理工程で行ってもよく、2以上の処理工程で延伸処理を行う場合においても延伸処理はいずれの処理工程で行ってもよい。本発明によれば、膨潤処理工程以降(膨潤処理工程を含む)のいずれの段階で一軸延伸処理を行う場合であっても、延伸処理時におけるフィルム破断を効果的に抑制することができる。
(乾燥処理工程)
洗浄処理工程の後、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾燥させる処理を行うことが好ましい。フィルムの乾燥は特に制限されないが、図1に示される例のように乾燥炉21を用いて行うことができる。乾燥温度は、例えば30〜100℃程度であり、乾燥時間は、例えば30〜600秒程度である。以上のようにして得られる偏光フィルム23の厚みは、例えば約5〜30μm程度である。
(ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対するその他の処理工程)
上記した処理以外の処理を付加することもできる。追加されうる処理の例は、架橋処理工程の後に行われる、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液への浸漬処理(補色処理)、ホウ酸を含まず塩化亜鉛等を含有する水溶液への浸漬処理(亜鉛処理)を含む。
(ロール洗浄工程)
ロール洗浄工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する上述の連続製造中に、二つの処理浴間の搬送路に配置された各ロールをロール洗浄液で洗浄する洗浄工程である。ロールの洗浄方法は特に限定されないが、図1に示される例のように、各ロール(ガイドロール32,35,38,41及びニップロール51,52,53,54)の表面に対向するように配置されたシャワー71〜78により、各ロールの表面にロール洗浄液を導出して、各ロールの表面が洗浄されるようにする方法を好適に採用することができる。
ロール洗浄液での各ロールの洗浄は、偏光フィルムの連続製造中に実施されることが好
ましく、連続製造中に常時実施されることが好ましい。このようなロール洗浄工程により、搬送されるポリビニルアルコール系樹脂フィルム10が、処理浴中の処理液を持ち込み、これが各ロールの表面に付着しても、ロール洗浄液により直ちに洗い流されるので、塩等の析出によりロール表面が汚染されることを防ぐことができる。シャワー71〜78のロールに対する配置位置、ロール洗浄液の導出量及び導出角度は適宜調整することができ、ロールに対しロール洗浄液をロールの上側、下側や、搬送方向の上流側、下流側のいずれか一つまたは任意に組合せて浴びせてもよいが、搬送されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムにロール洗浄液が直接浴びせられることがないように調整することが好ましい。また、ロール洗浄液の導出量は、少なくともロール表面の汚染が抑制されるために必要な量とする。
図1においては、各処理槽の後に配置された全てのロール(ガイドロール32,35,38,41及びニップロール51,52,53,54)に対して、これらを洗浄するためのシャワー71〜78が設けられている構成を例示したが、汚染されやすいロールの表面のみに配置する構成であってもよく、少なくとも一つのロールの表面に対向して配置するように構成する。汚染されやすいロールとしては、染色浴15直後のガイドロール35及びニップロール52、並びに架橋浴17直後のガイドロール38及びニップロール53が挙げられる。染色浴15中の染色液及び架橋浴17中の架橋液には他の処理浴と比較して塩濃度が高い場合が多いため、その直後のロール表面にこれらの処理液が付着した場合に、塩が析出しやすい状況にある。
図2は、図1におけるニップロール51,52,53,54の上方側ロールとシャワー72,74,76,78の関係の一例を示す斜視図である。シャワー72,74,76,78は、ロール51,52,53,54の幅方向の一端から他端に向かって複数個のノズルが等間隔で配列されている構成を有し、シャワー72,74,76,78からロール洗浄液が導出されると、ロール表面の幅方向全域にロール洗浄液が接触する。したがって、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが搬送されている状態ではロールは回転しているので、シャワー72,74,76,78からのロール洗浄液の導出が継続されると、ロール51,52,53,54の全表面にロール洗浄液を接触させることができ、ロール表面の汚染が防止される。
膨潤浴13の後に配置されているガイドロール32及びニップロール51を洗浄するシャワー71,72に用いられるロール洗浄液としては、膨潤液が好適である。そして、偏光フィルム製造装置は、ガイドロール32及びニップロール51に導出されたロール洗浄液を膨潤槽内に回収する手段を備えることが好ましい。
染色浴15の後に配置されているガイドロール35及びニップロール52を洗浄するシャワー73,74に用いられるロール洗浄液としては、染色液が好適である。そして、偏光フィルム製造装置は、ガイドロール35及びニップロール52に導出されたロール洗浄液を染色槽内に回収する手段を備えることが好ましい。
架橋浴17の後に配置されているガイドロール38及びニップロール53を洗浄するシャワー75,76に用いられるロール洗浄液としては、架橋液が好適である。そして、偏光フィルム製造装置は、ガイドロール38及びニップロール53に導出されたロール洗浄液を架橋槽内に回収する手段を備えることが好ましい。
フィルム洗浄浴19の後に配置されているガイドロール41及びニップロール54を洗浄するシャワー77,78に用いられるロール洗浄液としては、フィルム洗浄液が好適である。そして、偏光フィルム製造装置は、ガイドロール71およびニップロール54に導出されたロール洗浄液をフィルム洗浄槽内に回収する手段を備えることが好ましい。
上述のように、ロール洗浄液としては洗浄するロールの直前の処理槽で用いられる処理液が好適である。加えて、ロール洗浄に供したロール洗浄液は、そのロール洗浄液が処理液として用いられていた処理槽内に回収される手段を備えることが好ましい。さらに、異物混入防止の観点から、ロール洗浄に供したロール洗浄液に対して濾過処理を施してから処理槽に回収してもよい。
図1に示される偏光フィルム製造装置により偏光フィルムを製造したところ、その表面に汚れ付着等の欠陥が観察されなかった。
図1においては、ロールの表面にロール洗浄液を導出するための部材としてシャワーを示したが、ロール洗浄液をロールの表面に導出することができる部材であればシャワーに限定されることはない。シャワーは、洗浄液を線状にして噴出させる部材であり、シャワー以外にも、洗浄液を液滴状または霧状にして噴出させる部材、重力によりロール洗浄液を滴下または流下させる部材、ロール洗浄液をロール表面に塗布する部材等が挙げられる。また、洗浄対象のロールそのものが内部からロール洗浄液が染み出す構造を有することにより内部からロール表面にロール洗浄液が導出されてロール洗浄工程が行なわれる形態であってもよい。ロール洗浄液をロール表面に塗布する部材としては、ロール洗浄液が染み出す構造のブラシが例示され、これを用いて洗浄対象のロール表面をロール洗浄液で洗浄する形態が挙げられる。なお、ロール洗浄工程は洗浄対象のロールの表面にロール洗浄液を導出する工程に代えて、洗浄対象のロールの表面をロール洗浄液に浸漬させる工程を含むものであってもよい。具体的には、洗浄対象のロールの回転経路にロール洗浄液の液溜まりを設けて、一回転毎にロールの全表面がかかる液溜まりを通過し洗浄されるようにする方法等が挙げられる。かかる方法においても、ロール洗浄液として、直前の処理槽で用いられる処理液を使用し、ロール洗浄後のロール洗浄液が直前の処理槽内に回収される構成であることが好ましい。
<偏光板>
以上のようにして製造される偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤を介して保護フィルムを貼合することにより偏光板を得ることができる。保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂からなるフィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム;アクリル系樹脂フィルム;ポリプロピレン系樹脂の鎖状オレフィン系樹脂からなるフィルムが挙げられる。
偏光フィルムと保護フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルム及び/又は保護フィルムの貼合面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。偏光フィルムと保護フィルムとの貼合に用いる接着剤としては、紫外線硬化性接着剤のような活性エネルギー線硬化性接着剤や、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液、又はこれに架橋剤が配合された水溶液、ウレタン系エマルジョン接着剤のような水系接着剤を挙げることができる。紫外線硬化型接着剤は、アクリル系化合物と光ラジカル重合開始剤の混合物や、エポキシ化合物と光カチオン重合開始剤の混合物等であることができる。また、カチオン重合性のエポキシ化合物とラジカル重合性のアクリル系化合物とを併用し、開始剤として光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
2つの架橋浴17(以下では、1つ目の架橋浴を第1架橋浴17aといい、2つ目の架橋浴を第2架橋浴17bという。)を用いたこと以外は図1に示される偏光フィルム製造装置と同様の装置を用いて偏光フィルムを製造した。ガイドロール30〜41にはすべてフラットロールを使用した。
厚み30μmの長尺のポリビニルアルコール(PVA)原反フィルム〔(株)クラレ製の商品名「クラレポバールフィルムVF−PE#3000」、平均重合度2400、ケン化度99.9モル%以上〕をロールから巻き出しながら連続的に搬送し、20℃の純水からなる膨潤浴13に滞留時間31秒で浸漬させた(膨潤処理工程)。その後、膨潤浴13から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/水が2/100(重量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴15に滞留時間122秒で浸漬させた(染色処理工程)。次いで、染色浴15から引き出したフィルムを、ホウ酸/ヨウ化カリウム/水が4.1/12/100(重量比)である56℃の第1架橋浴17aに滞留時間70秒で浸漬させ、続いて、ホウ酸/ヨウ化カリウム/水が2.9/9/100(重量比)である40℃の第2架橋浴17bに滞留時間13秒で浸漬させた(架橋処理工程)。染色処理工程及び架橋処理工程において、浴中でのロール間延伸により縦一軸延伸を行った。原反フィルムを基準とする総延伸倍率は5.36倍とした。次に、第2架橋浴17bから引き出したフィルムを5℃の純水からなる洗浄浴19に滞留時間3秒で浸漬させた(洗浄処理工程)。その後、60℃の乾燥炉21内で190秒乾燥させて、厚み13.1μmの偏光フィルムを得た。
偏光フィルムを連続製造中に、膨潤浴13からポリビニルアルコールフィルムを引き出すためのガイドロール32をシャワー71を用いて純水で洗浄し、染色浴15からポリビニルアルコールフィルムを引き出すためのガイドロール35をシャワー73を用いて染色浴15と同じ組成の染色液で洗浄し、第2架橋浴17bからポリビニルアルコールフィルムを引き出すためのガイドロール38とニップロール53をシャワー75,76を用いて第2架橋浴17bと同じ組成の架橋液で洗浄し、洗浄浴19からポリビニルアルコールフィルムを引き出すためのガイドロール41とニップロール54をシャワー77,78を用いて純水で洗浄した。
各処理浴から引き出すガイドロールとニップロールを洗浄しながら、偏光フィルムを製造することで、連続して7時間偏光フィルムを製造しても各ロールの表面に塩等の析出は発生しなかった。また、偏光フィルムにロール表面の汚染起因の欠陥も発生しなかった。<比較例1>
各処理浴から引き出すガイドロールとニップロールを洗浄しなかったこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを製造した。
各処理浴から引き出すガイドロールとニップロールを洗浄しなかった場合には、連続して1時間偏光フィルムを製造した後には、各ロール上汚染が確認された。特に第2架橋浴17bからポリビニルアルコールフィルムを引き出すためのガイドロール38とニップロール53上に汚染が多く観察された。また、連続して1時間偏光フィルムを製造した後に製造した偏光フィルムには各ロール上の汚染を転写した変形や付着異物等の欠陥が確認された。
10 ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルム、11 原反ロール、13 膨潤浴、15 染色浴、17 架橋浴、19 洗浄浴、21 乾燥炉、23 偏光フィルム、30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,60,61 ガイドロール、50,51,52,53,54,55 ニップロール、71,72,73,74,75,76,77,78 シャワー。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを作製する偏光フィルムの製造方法であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理槽に収容された処理液に浸漬させる浸漬工程と、
    前記処理液に浸漬された前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをロールに沿って搬送させる搬送工程と、
    前記ロールの表面をロール洗浄液で洗浄するロール洗浄工程と、を備える偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記ロール洗浄工程において、前記ロール洗浄液として前記処理液を用いる、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記ロール洗浄液は、前記ロール洗浄工程後に前記処理槽内に回収される、請求項2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記浸漬工程は、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色液に浸漬させて二色性色素で染色する染色処理工程または前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを架橋液に浸漬させて架橋する架橋処理工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  5. 前記ロール洗浄工程は、前記ロールの表面に前記ロール洗浄液を導出する工程または前記ロールの表面を前記ロール洗浄液に浸漬させる工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
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