JP7120814B2 - 偏光フィルムの製造装置 - Google Patents
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[1] ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための製造装置であって、
複数のロールによって構成されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送経路と、
前記搬送経路上に配置され、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが浸漬される処理液を収容するための2以上の処理槽と、
を含み、
前記2以上の処理槽は、前記搬送経路の上流側から順に、染色処理液を収容するための染色処理槽と、第1架橋処理液を収容するための第1架橋処理槽と、を含み、
第1架橋処理槽の深さが染色処理槽の深さよりも小さく、
第1架橋処理槽の底面が染色処理槽の底面よりも高い位置にあり、
前記製造装置は、第1架橋処理槽に隣接する床面をさらに含み、
前記床面は、第1架橋処理槽の底面と略同じ高さに配置されている、偏光フィルムの製造装置。
[2] 前記床面と第1架橋処理槽の底面との高さの差の絶対値が0mm~300mmである、[1]に記載の製造装置。
[3] 前記複数のロールは、第1架橋処理槽内に配置される1以上のガイドロールを含み、
前記1以上のガイドロールは、第1架橋処理槽内の搬送経路の最高位置と最低位置との差が500mm以下となるように配置される、[1]又は[2]に記載の製造装置。
[4] 前記複数のロールは、第1架橋処理槽内に配置される2以上のガイドロールを含み、
前記2以上のガイドロールは、隣り合う2つのガイドロールであって、いずれのガイドロールにおいてもポリビニルアルコール系樹脂フィルムの抱き角が30度以下となるように配置される2つのガイドロールを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の製造装置。
[5] 第1架橋処理槽は、第1架橋処理液中でポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して延伸処理が施される処理槽であり、
前記複数のロールは、前記延伸処理を施すための延伸手段としての第1ニップロール及び第2ニップロールをさらに含み、
第1ニップロールは、前記隣り合う2つのガイドロールよりも前記搬送経路の上流側に配置され、
第2ニップロールは、前記隣り合う2つのガイドロールよりも前記搬送経路の下流側に配置され、
第1ニップロール及び第2ニップロールはそれぞれ、上下に配置される2つのロールを含み、かつ、それらの下側のロールの上端が第1架橋処理槽の上端よりも低い位置にあり、前記下側のロールの下端が第1架橋処理槽の下端よりも高い位置にあるように配置される、[4]に記載の製造装置。
[6] 第1架橋処理槽よりも前記搬送経路の下流側に配置される処理槽であって第2架橋処理液を収容するための第2架橋処理槽をさらに含み、
第2架橋処理槽の深さが染色処理槽の深さよりも小さく、
第2架橋処理槽の底面が染色処理槽の底面よりも高い位置にある、[1]~[5]のいずれかに記載の製造装置。
[7] 第1架橋処理槽の搬送経路方向の長さが染色処理槽の搬送経路方向の長さよりも長い、[1]~[6]のいずれかに記載の製造装置。
偏光フィルムは、延伸されたPVA系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向しているものである。
図1において、30は作業用床面の位置を示しており、各処理槽に収容される処理液の液面の一例を点線で示している。
図1に示される製造装置を用いた偏光フィルム25の製造においては、PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11から連続的に巻き出しつつ、膨潤処理槽13、染色処理槽15、第1架橋処理槽17、第2架橋処理槽18及び洗浄処理槽19に順次浸漬し、最後に乾燥炉21に通すことにより乾燥処理を行って偏光フィルム25を得る。長尺物として製造される偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってもよいし、あるいは、巻き取ることなく、偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムを接着する偏光板作製工程に供されてもよい。
湿式処理部は、染色処理槽及び架橋処理槽を少なくとも有し、好ましくは、膨潤処理槽、染色処理槽、架橋処理槽及び洗浄処理槽を含む。
偏光フィルム製造装置は、PVA系樹脂フィルム10を搬送させる搬送経路を有しており、この搬送経路上に湿式処理部、さらには乾燥処理部が配置される。
図1に示される例において偏光フィルム製造装置は、湿式処理部と乾燥処理部とを含むPVA系樹脂フィルム10の搬送経路を有している。この搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルム10を搬送させることにより、湿式処理及び乾燥処理を含む一連の処理が施されて偏光フィルム25が得られる。
搬送経路に沿って搬送されるPVA系樹脂フィルム10の搬送速度は、通常1~50m/分であり、生産効率の観点から、好ましくは5m/分以上である。
複数のロールは、フィルムの片面を支持するフリーロールであるガイドロール、及び/又は、1対のロール(通常は駆動ロールを含む。)からなり、当該1対のロールは、例えば、フィルムを両面から挟み込む又は挟み込んで押圧するニップロールである。
図1に示される例において偏光フィルム製造装置は、ガイドロール1a~1bb及びニップロール2a~2iを含んでいる。搬送経路を規定する複数のロールは、駆動ロールの1種であるサクションロール(吸引ロール)を含んでいてもよい。通常、これらのロールはいずれも搬送経路内のフィルムの一方又は両方の表面(主面)に接して該フィルムを支持する。これらのロールは、各処理槽及び乾燥手段(乾燥炉)の前後や処理槽及び乾燥手段(乾燥炉)内等の適宜の位置に配置することができる。
湿式処理に供される(湿式処理部に導入される)PVA系樹脂フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」ともいう。)で構成されるフィルムである。PVA系樹脂とは、ビニルアルコール由来の構成単位を50重量%以上含む樹脂をいう。PVA系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体が例示される。
酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
ケン化度(モル%)=100×(水酸基の数)/(水酸基の数+酢酸基の数)
で定義される。ケン化度は、JIS K 6726(1994)に準拠して求めることができる。
PVA系樹脂フィルム10の他の一例は、上記未延伸フィルムを延伸してなる延伸フィルムである。この延伸は通常、一軸延伸、好ましくは縦一軸延伸である。縦延伸とは、フィルムの機械流れ方向(MD)、すなわちフィルムの長手方向への延伸をいう。
湿式処理に供される(湿式処理部に導入される)PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合において、この延伸は、好ましくは乾式延伸である。乾式延伸とは空中で行う延伸をいい、通常は縦一軸延伸となる。
延伸温度(熱ロールの表面温度や、オーブン内温度等)は、例えば80~150℃であり、好ましくは100~135℃である。
可塑剤の含有量は、PVA系樹脂フィルム10を構成するPVA系樹脂100重量部に対して、通常5~20重量部であり、好ましくは7~15重量部である。
湿式処理が実施される湿式処理部は、PVA系樹脂フィルム10の搬送経路上に配置されるゾーンであり、PVA系樹脂フィルム10が浸漬される処理液を収容する2以上の処理槽を含む。この湿式処理部において、PVA系樹脂フィルム10を搬送させながら処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬させる湿式処理が実施される。
第1架橋処理槽17は、染色処理槽15に隣り合って配置される槽である。すなわち、湿式処理部が架橋処理槽を2槽以上含む場合、第1架橋処理槽17は、搬送経路の最も上流側(最も染色処理槽側)に配置される槽である。
図1には、膨潤処理槽13、染色処理槽15、及び洗浄処理槽19をそれぞれ1槽ずつ設け、架橋処理槽を2槽(第1架橋処理槽17及び第2架橋処理槽18)設けた例を示しているが、必要に応じて染色処理槽15を2槽以上を設けてもよく、架橋処理槽を3槽以上を設けてもよい。架橋処理槽は、第1架橋処理槽17の1槽のみであってもよい。
膨潤処理槽13、洗浄処理槽19についても同様であり、それぞれ2槽以上設けてもよい。
湿式処理部が染色処理槽を2槽以上含む場合、第1架橋処理槽17は、搬送経路の最も下流側に配置される染色処理槽に隣り合って配置される。
膨潤処理は、PVA系樹脂フィルム10の異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理である。
図1を参照して、膨潤処理は、PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11より連続的に巻き出しながら、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、PVA系樹脂フィルム10を、膨潤処理液を収容する膨潤処理槽13に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
膨潤処理液の温度は、通常10~70℃、好ましくは15~50℃、より好ましくは15~35℃である。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(膨潤処理液中での滞留時間)は、通常10~600秒、好ましくは15~300秒である。
図1に示される例において、膨潤処理槽13から引き出されたフィルムは、ガイドロール1c、ニップロール2bを順に通過して染色処理槽15へ導入される。
染色処理は、PVA系樹脂フィルム10に二色性色素を吸着、配向させる等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、染色処理は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、PVA系樹脂フィルム10を染色処理槽15に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。染色処理槽15は、それに収容される染色処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬させるための槽である。染色処理液に浸漬されるPVA系樹脂フィルム10は、好ましくは膨潤処理(膨潤処理槽13に浸漬された)後のフィルムである。
染色処理槽15に収容される染色処理液は、二色性色素を含有する液(通常は水溶液)である。二色性色素は、ヨウ素又は二色性有機染料であることができ、好ましくはヨウ素である。二色性色素は、1種のみを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
図1に示される例において、染色処理槽15から引き出されたフィルムは、ガイドロール1g、ニップロール2c、ガイドロール1hを順に通過して第1架橋処理槽17へ導入される。
架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整(補色)等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、架橋処理は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、染色処理(染色処理槽15に浸漬された)後のPVA系樹脂フィルム10を第1架橋処理槽17に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。第2架橋処理槽18のように架橋処理槽を2槽以上設ける場合も同様である。
架橋処理槽は、それに収容される架橋処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬させるための槽である。以下、第1架橋処理槽17に収容される架橋処理液を「第1架橋処理液」、第2架橋処理槽18に収容される架橋処理液を「第2架橋処理液」ともいう。
架橋処理槽に収容される架橋処理液は、架橋剤を含有する液(通常は水溶液)である。この架橋処理液に染色処理後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬することによって架橋処理を行う。
架橋処理液における架橋剤の含有量は概して、水100重量部あたり、通常0.1~15重量部であり、好ましくは1~12重量部である。
ヨウ化物としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛等が挙げられる。
架橋処理液におけるヨウ化物の含有量は概して、水100重量部あたり、通常0.1~20重量部であり、好ましくは5~15重量部である。
一般に、架橋による耐水化のための架橋処理及び色相調整(補色)のための架橋処理の双方を実施する場合、色相調整(補色)のための架橋処理を実施する槽(補色槽)が後段に配置される。補色槽に収容される処理液の温度は、例えば10~55℃であり、好ましくは20~50℃である。補色槽に収容される処理液における架橋剤の含有量は、水100重量部あたり、例えば1~5重量部である。補色槽に収容される処理液におけるヨウ化物の含有量は、水100重量部あたり、例えば3~30重量部である。
第1架橋処理槽17中で行う延伸の延伸倍率は、通常1.05~2.5倍であり、好ましくは1.1~2.2倍である。
湿式処理部が架橋処理槽を2槽以上含む場合、第1架橋処理槽17以外の架橋処理槽でも延伸処理を行ってもよい。
図1に示される例において、第2架橋処理槽18から引き出されたフィルムは、ガイドロール1s、ニップロール2gを順に通過して洗浄処理槽19へ導入される。
偏光フィルム製造装置は、架橋処理槽の下流側に配置される洗浄処理槽19をさらに含むことができる。洗浄処理は、架橋処理後のPVA系樹脂フィルム10に付着した余分な薬剤を除去する等の目的で実施される処理である。
図1を参照して、洗浄処理は、フィルム搬送経路に沿って搬送させ、架橋処理(架橋処理槽に浸漬された)後のPVA系樹脂フィルム10を洗浄処理槽19に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。あるいは、洗浄処理は、架橋処理後のPVA系樹脂フィルム10に対して洗浄液を例えばシャワーとして噴霧する処理であってもよく、洗浄処理槽19への浸漬と洗浄液の噴霧とを組み合わせてもよい。図1には、PVA系樹脂フィルム10を洗浄処理槽19に浸漬して洗浄処理を施す場合の例を示している。
湿式処理においてPVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸を実施してもよい。湿式延伸は通常、一軸延伸であり、膨潤処理、染色処理、架橋処理、洗浄処理のいずれかの処理を行いながら、又はこれらから選択される2以上の処理中に行うことができる。上述のように、少なくとも第1架橋処理槽17において延伸処理を行うことが好ましい。
湿式延伸の延伸倍率は、得られる偏光フィルム25の偏光特性の観点から、好ましくは、偏光フィルム25の最終的な累積延伸倍率(湿式処理に供されるPVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合には、この延伸も含めた累積延伸倍率)が3~8倍となるように調整される。
乾燥処理が実施される乾燥処理部は、PVA系樹脂フィルム10の搬送経路上であって湿式処理部の下流側に配置される、湿式処理後のPVA系樹脂フィルム10を乾燥させるためのゾーンである。湿式処理後のPVA系樹脂フィルム10を引き続き搬送させながら、乾燥処理部に当該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光フィルム25が得られる(図1参照)。
Ty及びPyは、積分球付き吸光光度計を用い、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことによって測定することができる。
(4-1)架橋処理槽の深さ及び底面の位置
偏光フィルム製造装置が備える第1架橋処理槽17の深さは、その搬送経路上流側に隣り合って配置される染色処理槽15(上述のように、湿式処理部が染色処理槽を2槽以上含む場合、搬送経路の最も下流側に配置される染色処理槽)の深さよりも小さい(図1参照)。
上記深さ関係を充足する第1架橋処理槽17によれば、第1架橋処理槽17に収容される第1架橋処理液の液量を少なくすることができるとともに、第1架橋処理液の液高さ(深さ)を小さくすることができる。第1架橋処理液の液高さ(深さ)を小さくできることは、作業性の向上にも寄与し、例えば、通紙(フィルムを搬送経路上にセットする作業)が容易になったり、第1架橋処理液中に混入した異物(フィルムが破断した場合のフィルム片等)の回収作業が容易になったりする。第1架橋処理液の液量の低減は、試剤(架橋剤やヨウ化物等)の使用量の低減に寄与する。上記深さ関係を充足する第1架橋処理槽17を用いることは、偏光フィルム製造装置のコンパクト化の点でも有利である。
上記深さ関係を充足する第1架橋処理槽17によれば、第1架橋処理槽17に収容される第1架橋処理液の液量を少なくすることができるとともに、第1架橋処理液の液高さ(深さ)を小さくすることができる結果、第1架橋処理槽17での架橋処理(さらには延伸処理)中における第1架橋処理液の液温及び濃度の変動を小さくすることができる。これにより、第1架橋処理槽17での架橋処理、さらには延伸処理を実施する場合の該延伸処理のフィルム長手方向にわたっての均一性を向上させることができる。
D17は例えば300~1500mmであってよく、D15は例えば400~2000mmであってよい。
同様の理由で、必要に応じて設置される2槽目以降の架橋処理槽も上記底面の位置関係を充足することが好ましい。
図1を参照して、作業用床面の位置30は、第1架橋処理槽17の底面と略同じ高さに配置されている。略同じ高さとは、高さの差の絶対値が0~300mm程度であることをいう。高さの差の絶対値は、好ましくは0~200mm、より好ましくは0~100mmである。
作業用床面の位置30が第1架橋処理槽17の底面と略同じ高さに配置されていると、上述の作業性をより高めることができる。
作業用床面の位置30は、偏光フィルム製造装置全体にわたって略同じ高さになっていることが好ましい。
光学特性が安定した偏光フィルム25を連続製造する観点から、第1架橋処理槽17内のフィルム搬送経路は、下記〔a〕及び〔b〕の少なくともいずれか一方を充足することが好ましい。
〔a〕第1架橋処理槽17内に1以上のガイドロールが配置されており、該1以上のガイドロールは、第1架橋処理槽17内の搬送経路の最高位置と最低位置との差が500mm以下となるように配置されている。
〔b〕第1架橋処理槽17内に配置される2以上のガイドロールを含み、該2以上のガイドロールは、互いに隣り合う2つのガイドロールであって、いずれのガイドロールにおいてもPVA系樹脂フィルム10の抱き角が30度以下となるように配置される2つのガイドロールを含む。
なお、ガイドロールは、第1架橋処理槽17内に2以上、さらには3以上配置することができる(図1参照)。
必要に応じて配置される2槽目以降の架橋処理槽も上記〔a〕を充足することが好ましい。
図2を参照して、フィルムAのロールBへの抱き角とは、フィルムAがロールBに初めて接触する瞬間のフィルムAとロールBとの接点と、ロールBの中心とを結ぶ直線をX、フィルムAがロールBから離れる瞬間のフィルムAとロールBとの接点と、ロールBの中心とを結ぶ直線をYとするとき、直線Xと直線Yとがなす角αをいう。
第1架橋処理槽17内に3以上のガイドロールを配置する場合、これら3以上のガイドロールのうち、できるだけ多くのガイドロールにおいてPVA系樹脂フィルム10の抱き角が30度以下となるようにガイドロールを配置することが好ましい。できるだけ多くとは、例えば2以上、さらには3以上、なおさらには4以上である。また、抱き角が30度以下となるガイドロールをできるだけ多く連続して並べることが好ましい。できるだけ多くとは、例えば2以上、さらには3以上、なおさらには4以上である。
必要に応じて配置される2槽目以降の架橋処理槽も上記〔b〕を充足することが好ましい。
上記〔b〕を充足する場合において、偏光フィルム製造装置は、さらに下記〔c-1〕及び〔c-2〕を充足することが好ましい。
〔c-1〕第1ニップロールは、上記〔b〕に記載の隣り合う2つのガイドロールよりも搬送経路の上流側に配置され、第2ニップロールは、上記〔b〕に記載の隣り合う2つのガイドロールよりも搬送経路の下流側に配置される。
〔c-2〕第1ニップロール及び第2ニップロールはそれぞれ、上下に配置される2つのロールを含み、かつ、それらの下側のロールの上端が第1架橋処理槽17の上端よりも低い位置にあり、下側のロールの下端が第1架橋処理槽17の下端よりも高い位置にあるように配置される。
第1架橋処理槽17の搬送方向の長さは、染色処理槽15の搬送方向の長さよりも長いことが好ましい。この長さ関係は、とりわけ上記〔a〕又は〔b〕を充足する場合において充足されることが好ましい。
上記〔a〕又は〔b〕を充足する場合においては、第1架橋処理槽17内でのPVA系樹脂フィルム10の滞留時間(搬送経路の長さ)は、当該槽の深さ方向よりはむしろ搬送方向への搬送経路によって確保される。
第1架橋処理槽17の搬送方向の長さを染色処理槽15の搬送方向の長さよりも長くすることにより、必要な架橋処理時間を確保しつつ、光学特性が安定した偏光フィルム25を連続製造することができる。
L17は例えば3~10mであってよく、L15は例えば1~8mであってよい。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムから偏光フィルムを製造するための製造装置であって、
複数のロールによって構成されるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送経路と、
前記搬送経路上に配置され、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが浸漬される処理液を収容するための2以上の処理槽と、
を含み、
前記2以上の処理槽は、前記搬送経路の上流側から順に、染色処理液を収容するための染色処理槽と、第1架橋処理液を収容するための第1架橋処理槽と、を含み、
第1架橋処理槽の深さが染色処理槽の深さよりも小さく、
第1架橋処理槽の底面が染色処理槽の底面よりも高い位置にあり、
前記製造装置は、第1架橋処理槽に隣接する床面をさらに含み、
前記床面は、第1架橋処理槽の底面と略同じ高さに配置されており、
前記複数のロールは、第1架橋処理槽内に配置される3以上のガイドロールを含み、
前記3以上のガイドロールは、いずれのガイドロールにおいてもポリビニルアルコール系樹脂フィルムの抱き角が30度以下となるように配置されており、
前記3以上のガイドロールは、第1架橋処理槽内の搬送経路の最高位置と最低位置との差が500mm以下となるように配置され、
第1架橋処理槽は、第1架橋処理液中でポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して延伸処理が施される処理槽であり、
前記複数のロールは、前記延伸処理を施すための延伸手段としての第1ニップロール及び第2ニップロールをさらに含み、
第1ニップロールは、前記3以上のガイドロールよりも前記搬送経路の上流側に配置され、
第2ニップロールは、前記3以上のガイドロールよりも前記搬送経路の下流側に配置され、
第1ニップロール及び第2ニップロールはそれぞれ、上下に配置される2つのロールを含み、かつ、それらの下側のロールの上端が第1架橋処理槽の上端よりも低い位置にあり、前記下側のロールの下端が第1架橋処理槽の下端よりも高い位置にあるように配置される、偏光フィルムの製造装置。 - 前記床面と第1架橋処理槽の底面との高さの差の絶対値が0mm~300mmである、請求項1に記載の製造装置。
- 第1架橋処理槽よりも前記搬送経路の下流側に配置される処理槽であって第2架橋処理液を収容するための第2架橋処理槽をさらに含み、
第2架橋処理槽の深さが染色処理槽の深さよりも小さく、
第2架橋処理槽の底面が染色処理槽の底面よりも高い位置にある、請求項1又は2に記載の製造装置。 - 第1架橋処理槽の搬送方向の長さが染色処理槽の搬送方向の長さよりも長い、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造装置。
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