JP2004136167A - 板状塗工物の製造方法 - Google Patents

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Koichi Tokuyama
徳山 恒一
Koichiro Watanabe
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Abstract

【課題】均一な膜厚を形成し、両面を同時に塗工でき、しかも塗布速度が速く、生産性に優れた塗布方法及びそのための装置を提供する。
【解決手段】板状の被塗布物をその被塗布面と平行に移動させ、回転軸が被塗布物の移動方向及び被塗布面の法線方向とほぼ垂直であり、被塗布物の移動方向と同一方向に回転する塗布液の付いた2本の塗布ロールの間に、被塗布物を該塗布ロールに接触させながら通過させることにより、被塗布物の表面に塗膜を形成する板状塗工物の製造方法において、該塗布ロール表面に微細で均一な溝が形成されており、その溝間隔が0.01〜5mmで溝深さが0.01〜0.1mmであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、枚葉の板状成形品に対し、耐擦傷性、帯電防止性、反射防止性、防汚性、防曇性、光線吸収性等の各種機能を付与する材料や着色剤等を含む塗布液を塗布し、各種機能性被膜や保護膜、着色膜、意匠性被膜等を形成した板状塗工物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
板状の被塗布物の表面に各種薬液を塗布する方法として、従来から、ディップコート法、フローコート法、カーテンフローコート法、ロールコート法などの各種塗布方法が採用されている。
【0003】
しかしながら、これら公知の塗布方法は、生産性や塗膜の膜厚精度において十分に満足できる性能を有していなかった。例えば、ディップコート法は、膜厚精度が高く、両面を同時に塗工できるものの、塗布速度が非常に遅いという問題があった。また、カーテンフローコート法やロールコート法は、塗布速度が速く、ほぼ均一な膜厚が得られるものの、両面を同時に塗工できないため、生産性に問題があった。さらにまた、フローコート法は、簡易に塗布が可能であり、かつ両面を同時に塗布できるものの、被膜の膜厚精度に乏しいという問題点を有している。
【0004】
そこで本出願人らは先に、表面が平坦または微細な溝を有する2本の塗布ロールを垂直に配置し、その間に板状の被塗布物をロールと圧着させながら通過させることにより(特許文献1参照)、また、表面が平坦または微細な溝を有する2本の塗布ロールを水平に配置し、その間に板状の被塗布物をロールと圧着させながら通過させることにより(特許文献2参照)、ほぼ均一な膜厚を形成し、両面を同時に塗工でき、しかも塗布速度が速く、生産性に優れた塗布方法を開発した。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−143739号公報(段落[0006]、[0007])
【0006】
【特許文献2】
特開2002−254002号公報(段落[0009]、[0010])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法は、ほぼ均一な膜厚を形成し、両面を同時に塗工でき、しかも塗布速度が速く、生産性に優れた塗布方法であるが、生産性を維持しつつ、更に均一な膜厚の塗膜を製造する方法が望まれている。
そこで本発明者らは、更に均一な膜厚の塗膜を製造する方法について、鋭意研究を行った結果、塗布ロール表面に形成されている微細な溝が、均一で、その溝深さが、特許文献1および特許文献2に具体的に開示されている深さより浅く、すなわち0.01〜0.1mmとすることによって、目的とする均一性に優れた塗膜が形成され、また非常に高い生産性をもって塗工物が製造できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、板状の被塗布物をその被塗布面と平行に移動させ、回転軸が被塗布物の移動方向及び被塗布面の法線方向とほぼ垂直であり、被塗布物の移動方向と同一方向に回転する塗布液の付いた2本の塗布ロールの間に、被塗布物を該塗布ロールに接触させながら通過させることにより、被塗布物の表面に塗膜を形成する板状塗工物の製造方法において、該塗布ロール表面に微細で均一な溝が形成されており、その溝間隔が0.01〜5mmで溝深さが0.01〜0.1mmであることを特徴とする板状塗工物の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面も参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。図面中、図1は、本発明に従い、板状の被塗布物に塗布している状態を模式的に示すものであって、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線に沿う横断面図である。
図2は、板状の被塗布物に塗布している他の状態を模式的に示すものであって、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線に沿う横断面図である。図1は、2本の塗布ロールを垂直に配置して行う場合であり、特許文献1に記載の方法に対応するものであり、図2は、2本の塗布ロールを水平に配置して行う場合であり、特許文献2に記載の方法に対応するものである。
以下、図1の2本の塗布ロールを垂直に配置して行う場合について詳細に説明するが、2本の塗布ロールを水平に配置して行う場合についての本発明の要部は同様である。図3は、被塗布物の把持状態の一例を模式的に示すものであって、(A)は正面図、(B)は側面図である。図4及び図5は、それぞれ異なる把持手段の例を模式的に示すものであって、それぞれの(A)は正面図、(B)は側面図である。図6は、塗布ロールの表面に設けられる溝の断面形状について、いくつかの例を示す塗布ロールの部分拡大断面模式図である。図7は、塗布ロールの表面に設けられる溝の方向について、いくつかの例を模式的に示す正面図である。図8は、塗布ロールの横断面直径が上部から下部にかけて変化している例を模式的に示す正面図である。図9は、塗布ロールに塗布液供給手段を付した状態を模式的に示す斜視図である。図10及び図11は、塗布ロールに掻き取り手段を付した状態を模式的に示す斜視図である。図12、図13及び図14は、それぞれ図9、図10及び図11に示す塗布ロールを用い、板状の被塗布物に塗布している状態を模式的に示す斜視図である。図15は、本発明において塗布液を循環する場合の一例を示すフローチャートである。図16は、後述する実施例1および2で用いた塗布装置の概観と塗布液循環フローチャートである。図17〜18は、後述する実施例1及び2得られた塗工物表面の膜厚分布を表す図である。
【0010】
図1に示すように、板状の被塗布物1は、その被塗布面がほぼ重力方向と平行になるように垂下され、重力方向の回転軸12,12を有する2本の塗布ロール10,10の間を両ロールに接触しながら通過して、その塗布ロール10,10の表面に予め適用された塗布液が被塗布物1の表面(被塗布面)に塗布される。塗布ロール10,10の回転軸12,12は、図1中に白抜き矢印で示される被塗布物1の移動方向及び図3(B)中に黒塗り矢印で示される被塗布面2の法線方向にほぼ垂直と表現することもできる。
【0011】
板状の被塗布物1は枚葉のものであって、その種類は特に限定されないが、例えば、板ガラスや樹脂成形品などが用いられる。樹脂成形品としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられる。
【0012】
被塗布物1の大きさにも特別な制限はないが、通常、 幅が300〜2,000mm、長さが500〜4,000mm、厚さが0.3〜20mm程度の範囲である。ここでいう幅と長さの関係は、長方形の長辺を長さ、短辺を幅としている。被塗布物1は、その4辺のうちの少なくとも1辺が固定され、把持される。図3は、固定する方法の一例であり、被塗布物1の上辺(長さ方向)が固定枠3で固定された状態を示しているが、幅方向を上辺として、そこを固定してもかまわない。被塗布物1は、図3(B)中に黒塗り矢印で示される被塗布面2の法線が、地面に対して平行となるように配置される。
【0013】
被塗布物1の固定方法は特に限定されないが、例えば、図4に示すように、固定される辺の端部に近い部分にいくつかの穴4,4を開けて、この穴4,4にひもや針金等の吊り具5,5を通すことで吊り下げてもよいし、また図5に示すように、万力や固定ネジのような挟持手段6,6で挟み込んで固定してもよい。図3〜5に示すような、固定手段で把持した被塗布物1の上辺把持部分は、通常2本のロール10,10で挟まれる部分より上を通って、そこに塗布液が適用されないように配置されるが、他の図では、このような固定手段の図示は省略する。また、このように塗布液が適用されず、したがって塗膜が形成されていない上辺把持部分は通常、塗工完了後に切り落とされる。
【0014】
さて、固定された被塗布物1は、水平方向に一定の速度で移動される。被塗布物1の移動方向は、図1及び図3に白抜き矢印で示される如く、被塗布面2の法線方向に垂直で地面とも垂直な方向、換言すれば、被塗布面と平行で重力方向とは直交する方向である。被塗布物1の移動には、例えば図3に示す如く、固定枠3をコンベア8等につないで搬送する手段を用いることができる。被塗布物1の移動速度は、必ずしも限定されるものでないが、通常は0.5〜20m/分程度の値が採用される。移動速度があまり遅いと生産性が低下し、またそれがあまり速くなると塗膜表面が乱れるおそれがある。
【0015】
被塗布物1は、図1に示す如く、塗布液の付着した塗布ロール10と接触することにより、塗膜が形成される。塗布ロール10の大きさは、被塗布物1の大きさに応じて適宜選択され、通常は、被塗布物1の幅(搬送時の垂直方向長さ)よりも10〜1,000mm長いロールを用いる。ロールの径にも特別な限定はないが、通常、直径50〜500mm程度である。
【0016】
塗布ロール10の材質も特に限定されないが、一般には、塗布液に対して耐性を有する材料が選択される。被塗布物1との密着性を高めるために、塗布ロール10の表面は、ゴムや樹脂のような弾性を有する材料で構成されているのが好ましい。塗布ロール10の表面を形成するゴムや樹脂は、塗布液に対して耐性を有する材料から適宜選択すればよい。例えば、有機溶剤を含む塗布液であれば、ブチルゴムやエチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などから、用いる溶剤に応じて適宜選択される。ロールの表面にある弾性体の層の厚さは特に限定されないが、通常3〜50mm程度である。この弾性体は、 JIS K 6301 に規定されるスプリング式硬さ試験のA形で測定した硬さが20〜90度程度であるのが好ましい。
硬さが20度より低いと、微細な溝が形成し難く、また硬さ90度より高いと、被塗布物1との密着性が低下し、塗布ロール表面の微細な溝による効果が現れないことがあるので好ましくない。
【0017】
塗布ロール10は、被塗布物1の両面を塗布するため、図1に示す如く、被塗布物1が表面に接触しながら通過できる程度の間隔を保って、2本設置される。2本の塗布ロール10,10の間隔は、その材質によっても異なるが、例えば、その表面が前述したような弾性体で構成されている場合は、無負荷時(被塗布物を挟んでいない状態)で、被塗布物の厚さに対して0〜99%程度とすればよい。2本の塗布ロール10,10は、それぞれ駆動のためにモーター等の駆動手段を有していてもよいし、駆動手段がないまま、被塗布物1の移動に伴って自由に回転できるようにしてもよい。駆動手段を設ける場合には、2本の塗布ロール10,10は、被塗布物1の移動方向と同じ方向に回転するため、2本のロール10,10の相互間では回転方向が異なることになる。塗布ロール10の回転速度は特に限定されず、ロールの径や被塗布物1の移動速度に応じて適宜選択されるが、通常は0.3〜150rpm程度の範囲が好ましい。塗布ロール10の表面がゴムや樹脂などの弾性体で構成されている場合は特に、被塗布物の進行速度と同じ速度となるように回転速度を決定するのが望ましい。
【0018】
本発明においては、図6及び図7に示す如く、表面に微細で均一な溝が形成されており、その溝間隔が0.01〜5mmで溝深さが0.01〜0.1mmである塗布ロールを使用する。
ロール10の表面に形成される微細な溝14の形状としては、例えば、その断面が図6の(A)及び(B)に示すようなV字型のもの、同図の(C)に示すような半円状のもの、同図の(D)に示すような台形状のものなどが挙げられる。微細な溝14は、図7の(A)に示す如く、塗布ロール10上に同心円状に複数本形成されていてもよいし、同図の(B)及び(C)に示す如く、一本又は複数本で螺旋状に形成されていてもよい。塗布ロール10の表面に形成される微細な溝14の深さは、0.01〜0.1mm、好ましくは0.03〜0.08mmである。また、溝の中央部と隣接する溝の中央部との距離(溝間隔)は、0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mmである。溝と隣接する溝の間には、図6の(A)、(C)及び(D)のように平坦な部分があってもよいし、同図の(B)のように平坦部がなくてもかまわない。溝の深さは塗布ロール表面の全体に渡って均一であり、溝の間隔も、通常、ほぼ均一である。
【0019】
塗布ロール10の径は、上部から下部まで通常一定であるが、目的とする塗工物の性状によっては、上部から下部にかけて横断面の直径を変化させるのも有効である。例えば、被塗布物1への接触圧力が一定となるよう、図8の(A)に示す如く、塗布ロール10の長さ方向にクラウンを付与し、中央部の径が端部よりもやや大きくなるようにしてもよい。また、被塗布物1の縦方向の一部の圧力を下げるか又は上げるために、その部分のロールの径を小さくするか又は大きくしてもよい。例えば、本発明の塗布方法では、被塗布物1を縦に配置する関係上、その縦方向上部の膜厚が重力の関係で薄くなる傾向にあるので、図8の(B)に示す如く、ロールの上部の径がやや小さくなるように、ロールの径にテーパーを持たせることもできる。このようにロールの上部から下部にかけてロール断面の直径を変化させる場合でも、その変化の割合は、最も大きい部分の径に対して、最も小さい部分の径が90%以上、さらには99%以上とするのが有利である。
【0020】
塗布ロール10上へは、塗布液が適用される。通常は、被塗布物1と接するまでに、塗布ロール10の全面にわたって塗布液が付着するように適用するのが好ましい。塗布ロール10上に塗布液を適用するにあたっては、このように被塗布物1との接触部分で塗布液が全面に行き渡るようにすればよいが、例えば、図9に示す如く、塗布ロール10の上部に塗布液供給手段16を設けて、そこから塗布液を流下させる方法が採用できる。図9では、塗布液供給手段16はフローノズルで構成されている。塗布ロール10への塗布液の供給量は特に限定されないが、通常、塗布ロール10の上下全体に塗布液が付着すれば十分であり、例えば0.1〜5L/分程度の範囲から適宜選択される。この量は、塗布ロール10の径や長さに応じて変化する。
【0021】
塗布ロール10に付着した余分な塗布液を除去して塗布液層の均一化を図るために、塗布ロール10の表面に掻き取り手段を設けることもできる。かかる掻き取り手段としては、例えば、金属や樹脂製のバーやロッド、ロール、ブレード等を、塗布ロール10上の塗布液供給手段16より回転方向前方で、被塗布物1と接する部分までの間に配置すればよい。図10には、2本の塗布ロール10,10のそれぞれ上部に設けられた塗布液供給手段16,16と、それぞれのロールの回転方向で2本の塗布ロール10,10の接触部との間に、ステンレスロッドで構成したドクターバー17,17を前記ロール10,10の表面に接するように配置した例を示している。また図11には、図10のドクターバー17,17に代えて、ステンレス板で構成したドクターブレード18,18を配置した例を示している。このような掻き取り手段を設けた場合は、塗布ロール10,10に塗布液を塗布した後、塗布ロール上についた塗布液層を掻き取り手段でほぼ均一にしてから、この塗布ロールが被塗布物に接触することとなる。
【0022】
さらには、被塗布物1が塗布ロール10,10と接する前に、流下(フロー)塗布により予め被塗布物1の表面に塗布液の膜を形成することもできる。図12〜図14は、この場合の装置の概略を示している。すなわち、図12では、塗布ロール10,10が図9に示したロール用塗布液供給手段16,16を備えた状態で、図13では、塗布ロール10,10が図10に示したロール用塗布液供給手段16,16及びドクターバー17,17を備えた状態で、そして図14では、塗布ロール10,10が図11に示したロール用塗布液供給手段16,16及びドクターブレード18,18を備えた状態で、それぞれ2本の塗布ロール10,10の間を通過する前の被塗布物1に対して、被塗布物用塗布液供給手段20,20から塗布液を供給するようになっている。これらの例では、被塗布物用塗布液供給手段20はフローノズルで構成されている。このように被塗布物1の被塗布面に予め塗布液を流下させて塗膜を形成した場合は、その後、塗膜が形成された被塗布物が2本のロール10,10の間を通過し、目的とする膜厚の塗膜が形成されることになる。
【0023】
被塗布物1上に供給される塗布液の量は特に限定されないが、図12〜14に示すような態様で、かつ被塗布物1上に5〜10cm程度の幅で流下させる場合には、通常、被塗布物1の片面あたり1〜10L/分程度で供給するのが好ましい。この量は、フローする部分の面積に応じて変化する。前もって被塗布物1上にフロー塗布を行うことにより、被塗布物1の表面に付着したゴミを洗い流す作用もあることから、得られる塗工物の外観が良好となる。またこの場合、被塗布物1上に塗布膜が多めに形成されても、塗布ロール10,10により、被塗布物1上に形成される塗膜に必要な分だけを残して、それ以外は除去されるため、被塗布物1上のゴミ等を取り除くだけでなく、塗布ロール10,10上に存在する可能性のあるゴミ等による影響も低減することができる。
【0024】
本発明において、塗布液は、ポンプ等の循環手段により循環させるのが好ましい。例えば、図15にフローチャートで示すように、塗布液31の入ったタンク30から、バルブ34を経由してポンプ33により塗布液31を汲み上げ、その後に分岐して、ロール用塗布液供給手段16,16から2本の塗布ロール10,10のそれぞれ上部へと供給すればよい。また、被塗布物1の表面へも塗布液の供給を行う場合は、ポンプ33で塗布液31を汲み上げた後、塗布液を分岐し、一方は被塗布物1の両面へのフローとして、もう一方は塗布ロール10,10へのフローとして配管すればよい。図15では、ポンプ33により汲み上げられた塗布液の圧力を、バルブ35を介して圧力計40で検知し、バルブ36を経由して分岐し、一方は、バルブ37,37及び流量計42,42を経由してロール用塗布液供給手段16,16へと導かれ、もう一方は、バルブ38,38及び流量計43,43を経由して被塗布物用塗布液供給手段20,20へと導かれるようになっている。圧力計40は、配管の詰まり等の異常を検知するために、設けるのが好ましい。
【0025】
塗布液は、ポンプにより汲み上げられた直後、又はロール10,10や被塗布物1へ供給する前に、フィルター等で清浄化することにより、塗布液中に含まれる可能性のあるゴミ等を除去するようにしておくのが好ましい。図15では、塗布液の経路がロール用及び被塗布物用にそれぞれ分岐する前に、フィルター45を配置して、そこで濾過されるようになっている。また、ポンプにより汲み上げられた塗布液のうち、塗布ロール10,10及び被塗布物1への供給経路に回された後の残りは、バルブ39を有するバイパス50を通ってタンク50へと戻るようになっている。さらに、ロール10,10上にフローした後の余分な塗布液及び必要により被塗布物1上へフローした後の余分な塗布液は、回収してタンク30へ戻すのが好ましい。図15では、塗布ロール10,10へのフローで生じた余分な塗布液は回収経路52から、また被塗布物1へのフローで生じた余分な塗料は回収経路53から、それぞれタンク30へと戻されるようになっている。
【0026】
以上述べた方法により、被塗布物1に塗布液の被膜が形成される。被塗布物1はその後、塗布液に含まれる溶剤等を乾燥除去し、製品化される。あるいは溶剤の除去後、必要に応じて、加熱するか、又は紫外線や電子線等の活性化放射線の照射により、被膜が架橋・重合等により硬化されて製品化される。
【0027】
本発明の方法は、被塗布物の両面を塗布するのに適しているが、所望により片面だけの塗布に適用することも可能である。例えば、被塗布物2枚を重ね、その端部を両面接着テープ等で固定して、2枚の被塗布物の隙間に塗布液が入り込まないように密着させた状態で、本発明により縦方向に配置された2本のロールの間を通過させて塗布を行い、塗布後、又は場合により必要な後処理を行った後、2枚の被塗布物を剥がすことで、片面塗工品を得ることができる。この方法によれば、2枚同時に塗工できるため、従来の方法に比べて生産性が向上する。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中にある%は、特にことわらないかぎり重量基準である。また、硬さはすべて JIS K 6301 のスプリング式硬さ試験(A形)により測定された値である。
【0029】
実施例1
幅1,350mm、長さ2,400mm、厚さ2mmのメチルメタクリレート−スチレン共重合体樹脂板(日本アクリエース(株)製)を被塗布物とし、その長さ方向の一辺を上辺として、クランプのついたハンガーで固定して吊り下げ、そのハンガーをコンベアにつないで、長さ方向に3.0m/分の搬送速度で搬送した。また塗布液として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート1.2重量部、シリカ微粒子0.8重量部、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.06重量部、イソプロピルアルコール88.2重量部およびブチルセロソルブ9.8重量部からなる溶液(固形分:2%)を用いた。
【0030】
この例で用いた装置の概観と塗布液循環のフローチャートを図16に示した。図中の符号は、図1、図12及び図15と同様である。塗布ロール10として、硬さ50度のエチレンプロピレンゴムで約10mm厚の表層が形成され、長さ1,350mm、直径150mm のロールを2本使用した。この塗布ロールは、表面に深さ0.05mm、間隔0.3mmのV字溝(溝角度90度)が、平行螺旋状に形成されており、このロール溝は、図6(A)及び図7(B)に示した形状に対応している。2本の塗布ロール10,10への塗布液の供給量は、1本あたり0.5L/分とした。塗布ロール10,10の回転周速度は3.0m/分とし、2本の塗布ロールの間隔は1.5mm(板厚に対して−0.5mm)とした。被塗布物1枚の塗布に要した時間は、約50秒であった。得られた塗工物は、40℃で10分間乾燥後、500mJ/cm の紫外線を照射し、被膜を硬化した。
【0031】
硬化被膜の膜厚は、得られた塗工物の裏面を黒ペンキで塗った後に、分光光度計「UV−3100PC」((株)島津製作所製)を用いて、入射角5度の絶対鏡面反射スペクトルを測定することにより算出した。膜厚d(nm)は、反射率が最も小さくなる波長(λmin )から次式により算出した。
【0032】
d=λmin /4n
〔ただし、nは硬化被膜の屈折率=1.437〕
【0033】
膜厚は、塗工物の幅方向(搬送時の鉛直方向)に50mm間隔で測定し、結果を図17および表1に示した。
【0034】
実施例2
2本の塗布ロールの間隔を1.0mm(板厚に対して−1.0mm)とした以外は実施例1と同様に行った。結果を図18および表1に示した。
【0035】
【表1】
Figure 2004136167
【0036】
上記のとおり、従来の方法では、中心膜厚からの振れが約±25%〜±45%であるのに対して、本発明の方法では、中心膜厚からの振れが約±10%程度以下であり、より均一な膜厚の塗膜を形成できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、より均一な膜厚の塗膜を、両面同時に、非常に高い生産性をもって製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従い、板状の被塗布物に塗布している状態を模式的に示すものであって、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線に沿う横断面図である。
【図2】本発明に従い、板状の被塗布物に塗布している別の状態を模式的に示すものであって、(A)は斜視図、(B)は(A)のB−B線に沿う横断面図である。
【図3】被塗布物の把持状態の一例を模式的に示すものであって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図4】把持手段の一例を模式的に示すものであって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図5】別の把持手段の例を模式的に示すものであって、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図6】塗布ロールの表面に設けられる溝の断面形状について、いくつかの例を示す塗布ロールの部分拡大断面模式図である。
【図7】塗布ロールの表面に設けられる溝の方向について、いくつかの例を模式的に示す正面図である。
【図8】塗布ロールの横断面直径が上部から下部にかけて変化している例を模式的に示す正面図である。
【図9】塗布ロールに塗布液供給手段を付した状態を模式的に示す斜視図である。
【図10】塗布ロールに掻き取り手段を付した状態を模式的に示す斜視図である。
【図11】塗布ロールに別の掻き取り手段を付した状態を模式的に示す斜視図である。
【図12】図9の塗布ロールを用いて、板状の被塗布物に塗布している状態を模式的に示す斜視図である。
【図13】図10の塗布ロールを用いて、板状の被塗布物に塗布している状態を模式的に示す斜視図である。
【図14】図11の塗布ロールを用いて、板状の被塗布物に塗布している状態を模式的に示す斜視図である。
【図15】本発明において塗布液を循環する場合の一例を示すフローチャートである。
【図16】実施例1及び2で用いた塗布装置の概観と塗布液循環フローチャートである。
【図17】実施例1で得られた塗工物表面の膜厚分布を表すグラフである。
【図18】実施例2で得られた塗工物表面の膜厚分布を表すグラフである。
【符号の説明】
1  被塗布物、
2  被塗布面、
3  固定枠、
4  固定枠取付け用の穴、
5  吊り具、
6  挟持手段、
8  コンベア、
10  塗布ロール、
12  塗布ロール回転軸、
14  塗布ロールの溝、
16  ロール用塗布液供給手段(フローノズル)、
17  ドクターバー、
18  ドクターブレード、
20  被塗布物用塗布液供給手段(フローノズル)、
30  タンク、
31  塗布液、
33  ポンプ、
34,35,36,37,38,39  バルブ、
40  圧力計、
42,43  流量計、
45  フィルター、
50  バイパス、
52,53  塗布液回収経路。

Claims (6)

  1. 板状の被塗布物をその被塗布面と平行に移動させ、回転軸が被塗布物の移動方向及び被塗布面の法線方向とほぼ垂直であり、被塗布物の移動方向と同一方向に回転する塗布液の付いた2本の塗布ロールの間に、被塗布物を該塗布ロールに接触させながら通過させることにより、被塗布物の表面に塗膜を形成する板状塗工物の製造方法において、該塗布ロール表面に微細で均一な溝が形成されており、その溝間隔が0.01〜5mmで溝深さが0.01〜0.1mmであることを特徴とする板状塗工物の製造方法。
  2. 形成する塗膜の乾燥後の厚さが0.05〜1μmである請求項1に記載の方法。
  3. 溝間隔が0.1〜1mmである請求項1に記載の方法。
  4. 溝深さが0.03〜0.08mmである請求項1に記載の方法。
  5. 2本の塗布ロールの間隔を、板状の被塗布物の厚さより小さくして行う請求項1に記載の方法。
  6. 塗布ロールの表面が、JIS K 6301 に規定されるスプリング式硬さ試験のA形で測定した硬さが20〜90度のゴム又は樹脂からなる弾性材料で構成されている請求項1に記載の方法。
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