現在、電気的に書き換え可能な半導体不揮発性記憶素子として、MONOS(Metal/Oxide/Nitride/Oxide/Semiconductor)型の半導体不揮発性記憶素子が注目を集めている。上記MONOS型の半導体不揮発性記憶素子は、フローティングゲート型の半導体不揮発性記憶素子と比較して動作電圧が低く、また、トンネル酸化膜に欠陥があった場合にもデータが急に消滅しないなど、信頼性が高いという特徴がある。また、MONOS型の半導体不揮発性記憶素子は、電荷保持領域が非導電性膜である窒化膜によって構成されていることから、1つのメモリセル中の物理的に離れた2つの記憶場所にそれぞれ1ビットを記憶する2ビット/セル動作が可能であるという特徴を有する。以上の理由から、MONOS型の半導体不揮発性記憶素子は、高密度半導体不揮発性記憶素子として様々な機器への搭載が期待されている。
図11に、従来のMONOS型の半導体不揮発性記憶素子の断面図を示す(例えば、特許文献1参照)。
図11に示すように、従来のMONOS型の半導体不揮発性記憶素子は、シリコンなどからなる半導体基板401、シリコン酸化膜などからなる下部絶縁膜405、シリコン窒化膜などの非導電性膜からなる電荷保持領域406、シリコン酸化膜などからなる上部絶縁膜407、ポリシリコンなどからなるゲート電極408、第1の拡散層領域410および第2の拡散層領域411を有する。なお、上記電荷保持領域406は、電荷保持領域406aおよび電荷保持領域406bを含む。
上記従来のMONOS型半導体不揮発性記憶素子の動作を以下に説明する。データの書き込みは、電荷保持領域である電荷保持領域406に電子を注入し、メモリセルトランジスタのしきい値を増大させることによって行う。今、電荷保持領域406aへ書き込む場合を考える。この場合、ゲート電極408に8[V]、ドレインとして機能する第1の拡散層領域410に5[V]、ソースとして機能する第2の拡散層領域411および半導体基板401に0[V]を印加する。これによって、ドレイン近傍にて発生したホットエレクトロンを電荷保持領域406のドレイン側である電荷保持領域406aに注入することができ、その結果、書き込みが行われる。
データの読み出しは、上記ソースとドレインを逆にした、いわゆるリバースリードによって行う。今、電荷保持領域406aに記憶されたデータを読み出す場合を考える。この場合、ゲート電極408に3[V]、ドレインとして機能する第2の拡散層領域411に1.5[V]、ソースとして機能する第1の拡散層領域410および半導体基板401に0[V]を印加する。このとき、電荷保持領域406aに電子がある場合にはしきい値が高くなり、電荷保持領域406aに電子がない場合はしきい値が低くなることを利用して読み出しを行う。
ここで、上記書き込み時、および読み出し時におけるソースとドレインとをそれぞれ逆にすることによって電荷保持領域406bへの読み書きが可能となり、1つの素子に2ビットを記憶させることが可能となる。
一方、データの消去は上記注入された電子を、電荷保持領域406にホールを注入することによって中和させ、メモリセルトランジスタのしきい値を下げることによって行う。具体的には、ゲート電極408に−6[V]、第1の拡散層領域410および第2の拡散層領域411に5[V]を印加する。このとき、バンド間トンネリングにより発生したホットホールを電荷保持領域406aおよび電荷保持領域406bに注入することによって、データの消去を行う。
上記MONOS型のような2ビット/セルを実現する半導体不揮発性記憶素子において、2ビットの分離をより確実にする構成として、電荷保持領域をゲート電極の両側に設ける構造の半導体不揮発性記憶素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図12に、MONOS型の半導体不揮発性記憶素子よりも2ビットの分離を改善するために、電荷保持領域をゲート電極の両側に設ける構造の半導体不揮発性記憶素子を示す。
図12に示すように、電荷保持領域をゲート電極の両側に設ける構造の半導体不揮発性記憶素子は、シリコンなどからなる半導体基板501、シリコン酸化膜などからなるゲート絶縁膜502、シリコン酸化膜などからなる下部絶縁膜505、シリコン窒化膜などからなる電荷保持領域506、シリコン酸化膜などからなる上部絶縁膜507、ポリシリコンなどからなるゲート電極508、第1の拡散層領域510および第2の拡散層領域511を有する。なお、上記電荷保持領域506は、電荷保持領域506aおよび電荷保持領域506bを含む。
図11におけるMONOS型の半導体不揮発性記憶素子と異なる点は、電荷保持領域506が、電荷保持領域506aおよび電荷保持領域506bとして、ゲート電極508の両側壁に存在することである。図12に示すように、電荷保持領域をゲート電極の両側に設ける構造の半導体不揮発性記憶素子は、電荷保持領域506aおよび電荷保持領域506bがゲート電極508によって完全に分離されているため、図11に示すMONOS型の半導体不揮発性記憶素子に比べて2ビットの分離を改善することに成功している。
なお、書き込み方法、読み出し方法および消去方法は、MONOS型の半導体不揮発性記憶素子と同じである。
特開2004−221448号公報(平成16年8月5日公開)
特開2004−56095号公報(平成16年2月19日公開)
しかしながら、図11に示すような、上記従来のMONOS型の半導体不揮発性記憶素子、および図12に示すような、上記従来の電荷保持領域をゲート電極の両側に設ける構造の半導体不揮発性記憶素子では、データの読み出し時の電流値が、読み出したい側と反対側に書かれたデータの影響を受けてしまうという問題点(ビット干渉問題)を有している。すなわち、読み出したい側と反対側が書き込み状態である場合、その影響を受けて、読み出し電流が低下してしまうという問題点を有している。上記問題は、読み出し時のドレイン電圧が低い場合に特に顕著に起こる。
例えば、図11に示すようなMONOS型の半導体不揮発性記憶素子において、電荷保持領域406aに記憶されたデータを読み出すとき、読み出し時ドレイン電圧が高い場合にはドレイン電圧の影響を受けて電荷保持領域406b下のチャネル領域のしきい値は、DIBL(Drain Induced Barrier Lowering)効果によって大幅に低下する。その結果、電荷保持領域406b中の電子の有無にかかわらず、読み出し電流はその影響を受けない。ところが、読み出し時のドレイン電圧が低くなると、電荷保持領域406bの下のチャネル領域のしきい値の低下が不十分となる。その結果、電荷保持領域406b中の電子の影響が、電荷保持領域406aの読み出し電流に影響してしまう。
同様の問題が、図12に示すような電荷保持領域をゲート電極の両側に設ける構造の半導体不揮発性記憶素子でも生じる。
図13に、上記従来のMONOS型の半導体不揮発性記憶素子において、ビット干渉によって生じる電流低下をシミュレーションした結果を示す。具体的に図13には、図11に示したMONOSセルを3つのトランジスタに分解した場合、消去状態のビット情報を読み出す際の読み出し電流が、反対側のビットが消去状態であるか書き込み状態であるかによって、どう変化するかをシミュレーションによって求めた結果を示している。図13に示すように、読み出しドレイン電圧が高い場合には、反対側ビットが書き込み状態であっても消去状態であっても、読み出し電流は、あまり変わらない。一方、読み出しドレイン電圧が低い場合には、ビット干渉の影響によって、読み出し電流は低下してしまう。
なお、ビット干渉問題を低減させるために、読み出しドレイン電圧を上げようとすると、今度は、リードディスターブおよびドレインディスターブの問題が顕著となる。したがって、読み出しドレイン電圧は、一定値以上にあげることはできない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、1つの素子の物理的に離れた場所に2ビットを記憶させる2ビット/セルタイプの半導体不揮発性記憶素子において、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制し得る半導体不揮発性記憶素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下の事実に着目することによって本発明を完成させるに至った。
本発明の実施の形態の説明図である図2に示すように、MONOSセルを3つのトランジスタに分解してその動作を考える。MONOS型半導体不揮発性記憶素子などにおいて、リバースリードによって2ビット/セル動作が可能であるのは、読み出し時のドレイン電圧を増加させていった場合に、干渉側ビットのしきい値が低下するためであると考えられる。読み出し時のドレイン電圧を増加させた際に干渉側ビットのしきい値が低下するのは、ドレイン誘起電位障壁引き下げ効果、いわゆるDIBL効果であると考えられる。上記DIBL効果を増大させるためには、以下の1)〜3)の方法が考えられる。
1)拡散層領域のチャネル領域に近い部分を深くする。
2)ゲート酸化膜を厚くする。
3)チャネル濃度を薄くする。
ここで、図2において、Bit1_Trの情報を読み出すために、Node1をソース、Node2をドレインとして機能させる。ここで、干渉側ビットであるBit2_TrのDIBL効果が小さければ、Bit2_Trのしきい値はあまり下がらない。その結果、Bit1_Trの情報のみを読み出したいと思っても、Bit2_Trの影響を受けてしまう。つまり、Bit2_Trが書き込み状態であった場合、読み出し電流は低下してしまう。
ところが、本発明の半導体不揮発性記憶素子の場合、第1の拡散層領域、および第2の拡散層領域の深さが深いため、DIBL効果が大きく、干渉側ビットのしきい値はドレイン電圧の増加に伴って急激に低下する。そのため、干渉側ビットが書き込み状態であった場合でも、読み出したいビットの読み出し電流値が低下することを抑制することができる。
すなわち、本発明の半導体不揮発性記憶素子は、上記課題を解決するために、半導体基板と、上記半導体基板中に形成された第1の拡散層領域および第2の拡散層領域と、上記半導体基板中に形成され、かつ上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域の間に形成されたチャネル領域と、上記チャネル領域上に形成された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜上に形成された、非導電膜からなる電荷保持領域と、上記電荷保持領域上に形成された第2絶縁膜と、上記第2絶縁膜上に形成されたゲート電極と、を備え、上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域中、上記ゲート電極とオーバーラップした部分の深さ方向への最大寸法は、上記ゲート電極における、第1の拡散層領域と第2の拡散層領域とを結ぶ方向と平行な方向の寸法の半分よりも大きいことを特徴としている。
上記構成によれば、上記半導体不揮発性記憶素子を3つのトランジスタに分解して考えた際の、干渉側ビットを等価的に示すトランジスタのゲート長よりも、ドレイン側の拡散層領域の方が深くなるため、読み出し時のドレイン電圧が低い場合でも、DIBL効果を十分大きくすることが可能となる。その結果、読み出したいビットと反対側のビット(干渉側ビット)が書き込み状態であっても読み出し電流の低下を抑制することができる。
本発明の半導体不揮発性記憶素子は、上記課題を解決するために、半導体基板と、上記半導体基板中に形成された第1の拡散層領域および第2の拡散層領域と、上記半導体基板中に形成され、かつ上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域の間に形成されたチャネル領域と、上記チャネル領域上に形成された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜上に形成された、非導電膜からなる電荷保持領域と、上記電荷保持領域上に形成された第2絶縁膜と、上記第2絶縁膜上に形成されたゲート電極と、を備え、上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域が、上記チャネル領域の両端に形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、チャネル領域の両端に、第1の拡散層領域および第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域を形成することによって干渉側ビットのDIBL効果が大きくなる。その結果、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制することができる。
本発明の半導体不揮発性記憶素子は、上記課題を解決するために、半導体基板と、上記半導体基板中に形成された第1の拡散層領域および第2の拡散層領域と、上記半導体基板中に形成され、かつ上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域の間に形成されたチャネル領域と、上記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極の側壁および上記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜上に形成された、非導電膜からなる電荷保持領域と、上記電荷保持領域上に形成された第2絶縁膜と、を備え、上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域中、上記電荷保持領域とオーバーラップした部分の深さ方向への最大寸法は、上記ゲート電極の両側壁に形成された、上記第1絶縁膜、上記電荷保持領域および上記第2絶縁膜を積層してなるサイドウォールの積層方向への寸法よりも大きいことを特徴としている。
上記構成によれば、上記半導体不揮発性記憶素子を3つのトランジスタに分解して考えた際の、干渉側ビットを等価的に示すトランジスタのゲート長よりも、ドレイン側の拡散層領域の深さが深くなるため、DIBL効果が十分大きくなる。その結果、読み出し時のドレイン電圧が低い場合に、干渉側ビットが書き込み状態であっても読み出し電流の低下を抑制できる。また、2つのビットがゲート電極によって完全に分離されているため、ゲート電極の長さが短くなった場合でも2つのビットが重なることはない。それ故、MONOS型と比べて微細化に有利である。
本発明の半導体不揮発性記憶素子は、上記課題を解決するために、半導体基板と、上記半導体基板中に形成された第1の拡散層領域および第2の拡散層領域と、上記半導体基板中に形成され、かつ上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域の間に形成されたチャネル領域と、上記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、上記ゲート電極の側壁および上記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜上に形成された、非導電膜からなる電荷保持領域と、上記電荷保持領域上に形成された第2絶縁膜と、を備え、上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域が、上記チャネル領域の両端に形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、チャネル領域の両端に第1の拡散層領域、および第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域を形成することによって干渉側ビットのDIBL効果が大きくなり、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制することができる。また、2つのビットがゲート電極によって完全に分離されているため、ゲート電極の長さが短くなった場合でも2つのビットが重なることはない。それ故、MONOS型と比べて微細化に有利である。
本発明の半導体不揮発性記憶素子の製造方法は、上記課題を解決するために、半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、上記第1絶縁膜上に非導電膜からなる電荷保持領域を形成する工程と、上記電荷保持領域上に第2絶縁膜を形成する工程と、上記第2絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、上記半導体基板中に第1の拡散層領域および第2の拡散層領域を形成する工程と、上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域をチャネル領域の両端に形成する工程と、を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、チャネル領域の両端に、第1の拡散層領域および第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域を形成することによって干渉側ビットのDIBL効果が大きくなる。その結果、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制することができる。
本発明の半導体不揮発性記憶素子の製造方法は、上記課題を解決するために、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、上記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、上記ゲート電極の側壁および半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、上記第1絶縁膜上に非導電膜からなる電荷保持領域を形成する工程と、上記電荷保持領域上に第2絶縁膜を形成する工程と、上記半導体基板中に第1の拡散層領域および第2の拡散層領域を形成する工程と、上記第1の拡散層領域および上記第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域をチャネル領域の両端に形成する工程と、を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、チャネル領域の両端に第1の拡散層領域、および第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域を形成することによって干渉側ビットのDIBL効果が大きくなり、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制することができる。また、2つのビットがゲート電極によって完全に分離されているため、ゲート電極の長さが短くなった場合でも2つのビットが重なることはない。それ故、MONOS型と比べて微細化に有利である。
本発明の半導体不揮発性記憶素子およびその製造方法は、以上のように、第1の拡散層領域および第2の拡散層領域中、ゲート電極とオーバーラップした部分の深さ方向への最大寸法は、ゲート電極における、第1の拡散層領域と第2の拡散層領域とを結ぶ方向と平行な方向の寸法の半分よりも大きいように形成されている。
それゆえ、1つの素子の物理的に離れた場所に2ビットを記憶させる2ビット/セルタイプの半導体不揮発性記憶素子において、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制し得る半導体不揮発性記憶素子およびその製造方法を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の半導体不揮発性記憶素子およびその製造方法は、以上のように、第1の拡散層領域および第2の拡散層領域と同じ型の不純物領域が、チャネル領域の両端に形成されている。
それゆえ、1つの素子の物理的に離れた場所に2ビットを記憶させる2ビット/セルタイプの半導体不揮発性記憶素子において、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制し得る半導体不揮発性記憶素子およびその製造方法を提供することができるという効果を奏する。
また、本発明の半導体不揮発性記憶素子およびその製造方法は、以上のように、第1の拡散層領域および第2の拡散層領域中、電荷保持領域とオーバーラップした部分の深さ方向への最大寸法は、ゲート電極の両側壁に形成された、第1絶縁膜、電荷保持領域および第2絶縁膜を積層してなるサイドウォールの積層方向への寸法よりも大きいように形成されている。
それゆえ、1つの素子の物理的に離れた場所に2ビットを記憶させる2ビット/セルタイプの半導体不揮発性記憶素子において、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制し得る半導体不揮発性記憶素子およびその製造方法を提供することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1には、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の断面図が示されている。また、図2には、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の等価回路図が示されている。図2の等価回路は、図1に示す半導体不揮発性記憶素子を3つのトランジスタに分離し、それらが直列につながったものである。ここで、Bit1_TrおよびBit2_Trは、それぞれ図1における電荷保持領域6aおよび電荷保持領域6bの状態を表すトランジスタであって、これらは電荷保持領域の状態によってそのしきい値が変化する。すなわち、例えば電荷保持領域6aが消去状態の時はBit1_Trのしきい値は低く、電荷保持領域6aが書き込み状態の時はBit1_Trのしきい値は高くなる。Main_Trは、図1に示す半導体不揮発性記憶素子の中央部分の特性を表すトランジスタであって、その特性は一定である。
図1に示すように、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、半導体基板1、下部絶縁膜5(第1絶縁膜)、電荷保持領域6、上部絶縁膜7(第2絶縁膜)、ゲート電極8、第1の拡散層領域10、第2の拡散層領域11を有する。上記電荷保持領域6は、電荷保持領域6a・6bを含む。電荷保持領域6aは特に第1の拡散層領域10近傍の電荷保持領域であり、また電荷保持領域6bは特に第2の拡散層領域11近傍の電荷保持領域である。
半導体基板1は、例えばP型シリコン基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを用いることができる。下部絶縁膜5はポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜10nm程度のシリコン酸化膜などから形成されている。電荷保持領域6は、その内部に電荷を保持するためのトラップ準位などを有し、電荷保持領域として機能する。電荷保持領域6は、例えば膜厚1nm〜15nm程度のシリコン窒化膜などによって形成されている。上部絶縁膜7はポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜20nm程度のシリコン酸化膜などによって形成されている。ゲート電極8は、例えばN型にドープされた多結晶シリコンなどを用いることができる。第1の拡散層領域10、および第2の拡散層領域11は、例えば高濃度にN型不純物がドープされた領域によって形成されている。
ここで、図1においてWによって示した第1の拡散層領域10および第2の拡散層領域11中、ゲート電極とオーバーラップした部分における深さ方向への最大寸法は、図1中においてLによって示したゲート電極8における、第1の拡散層領域10と第2の拡散層領域11とを結ぶ方向と平行な方向の寸法の半分よりも大きい寸法にて形成されている。つまり、上記Wは、W>0.5×Lを満たすものであればよく、特に限定されるものではない。上記Wは、さらに好ましくはW>Lを満たすものである。
今、第1の拡散層領域10近傍の電荷保持領域6aに記憶された情報(消去状態とする)を読み出す場合を考える。すなわち、ゲート電極8に3[V]、ドレインとして機能する第2の拡散層領域11に1.5[V]を印加して、電荷保持領域6aに記憶された情報を読み出す場合、その電流値は、理想的には第2の拡散層領域11近傍の電荷保持領域6bに記憶された情報の影響を受けない。これは、第2の拡散層領域11に与えるドレイン電圧によって、図2の等価回路におけるBit2_Trのしきい値が、DIBL効果によって低下するためであると考えられる。ところが、図11に示すような従来のMONOS型の半導体不揮発性記憶素子の場合、第2の拡散層領域411の深さ方向への最大寸法が十分大きくなかったため、上記DIBL効果が十分ではなかった。その結果、電荷保持領域406bが書き込み状態であった場合、読み出し電流値は電荷保持領域406bの影響を受けて大きく低下していた。
本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、第1の拡散層領域10および第2の拡散層領域11中、ゲート電極とオーバーラップした部分における深さ方向への最大寸法は、図1中でLによって示されるゲート電極8における、第1の拡散層領域10と第2の拡散層領域11とを結ぶ方向と平行な方向の寸法の半分よりも大きく形成されている。上記構成によれば、上記半導体不揮発性記憶素子を3つのトランジスタに分解して考えた際の、干渉側ビットを等価的に示すBit2_Trのゲート長よりも、ドレイン側の拡散層領域の方が深くなるため、DIBL効果を十分大きくすることが可能となる。したがって、電荷保持領域6bが書き込み状態である場合でも、第2の拡散層領域11に与えられるドレイン電圧によってBit2_Trのしきい値が十分低下するため、電荷保持領域6aの読み出し電流に与える影響は少ない。
図3は、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子におけるビット干渉によって生じる電流低下を、従来との比較により示す図である。図3に示すように、電荷保持領域6a(消去状態とする)の情報を読み出す際に、電荷保持領域6bが消去状態である場合と書き込み状態である場合とについて、図2に示される等価回路を用いて、読み出し電流のドレイン電圧依存性がシミュレーションによって求められた。図3において、電荷保持領域6bが書き込み状態である場合のシミュレーション結果については、DIBL効果が大きい場合(改善後と表記)と小さい場合(改善前と表記)についてシュミレーション結果を示した。
上述したように、第2の拡散層領域11を深く形成することによって、Bit2_TrにおけるDIBL効果を大きくすると、読み出し電流の低下を抑えられることが分かる。
次に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の製造方法を図4を参照しながら説明する。
図4に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の、各製造工程における断面図を示す。
まず、図4(a)に示すように、P型の不純物がドープされたシリコンからなる半導体基板1に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子のしきい値を決定するために、基板と同じ型の不純物イオンを注入する。次に、半導体基板1の表面に、例えば熱酸化によって、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜である下部絶縁膜5を形成する。次に、下部絶縁膜5上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、膜厚1nm〜15nmのシリコン窒化膜である電荷保持領域6を形成する。次に、電荷保持領域6上に、例えばCVD法によって、膜厚1nm〜20nmのシリコン酸化膜である上部絶縁膜7を形成する。
次に、図4(b)に示すように、上部絶縁膜7上に、例えばN型にドープされた多結晶シリコンを堆積する。次いで、レジストを用いて上記多結晶シリコンをパターニングした後、例えばRIE(Reactive Ion Etching)法によってエッチングを行い、ゲート電極8を形成する。
次に、図4(c)に示すように、半導体基板1中に、上記ゲート電極8をマスクして、イオン注入法などによって、例えば砒素イオンを注入する。これによって、第1の拡散層領域10、および第2の拡散層領域11を形成する。上記砒素イオン注入時の注入エネルギーは、注入後にゲート電極とオーバーラップする部分の深さ方向への最大寸法が上記ゲート電極8における、第1の拡散層領域10と第2の拡散層領域11とを結ぶ方向と平行な方向の寸法の半分よりも大きくなるように調節すればよい。上記製造工程により、図1に示すような、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子が完成する。
〔実施の形態2〕
本発明の一実施形態について図5および図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図5には、本発明の他の実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の断面図が示されている。
図5に示すように、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、半導体基板101、下部絶縁膜105(第1絶縁膜)、電荷保持領域106、上部絶縁膜107(第2絶縁膜)、ゲート電極108、第1の拡散層領域110、第1の拡散層領域110と同じ型の不純物イオンが打ち込まれたポケット領域110a(不純物領域)、第2の拡散層領域111、第2の拡散層領域111と同じ型の不純物イオンが打ち込まれたポケット領域111a(不純物領域)を有する。上記電荷保持領域106は、電荷保持領域106a・106bを含む。電荷保持領域106aは特に第1の拡散層領域110近傍の電荷保持領域であり、また電荷保持領域106bは特に第2の拡散層領域111近傍の電荷保持領域を示す。
半導体基板101は、例えばP型シリコン基板、SOI基板などを用いることができる。下部絶縁膜105はポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜10nm程度のシリコン酸化膜などから形成されている。電荷保持領域106は、その内部に電荷を保持するためのトラップ準位などを有し、電荷保持領域として機能する。電荷保持領域106は、例えば膜厚1nm〜15nm程度のシリコン窒化膜などによって形成されている。上部絶縁膜107は、ポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜20nm程度のシリコン酸化膜などによって形成されている。ゲート電極108は、例えばN型にドープされた多結晶シリコンなどを用いることができる。第1の拡散層領域110、および第2の拡散層領域111は、例えば高濃度にN型不純物がドープされた領域によって形成されている。ポケット領域110a、および111aは、例えばN型不純物がドープされた領域によって形成されている。
上述したように、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、第1の拡散層領域110、および第2の拡散層領域111と同じ型の不純物イオンを含むポケット領域110aおよびポケット領域111aが、チャネル領域の両端に形成されている。そのため、DIBL効果が十分大きくなり、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制することができる。
上記ポケット領域110aおよびポケット領域111aが含む不純物イオンは、第1の拡散層領域110および第2の拡散層領域111が含む不純物イオンと同じ型であればよく、特に限定されるものではない。上記型としては、N型であってもよいし、P型であってもよい。具体的に、N型の不純物イオンとしては、P(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)などを挙げることができる。また、P型の不純物イオンとしては、B(ホウ素)などを挙げることができる。
また、上記ポケット領域110aおよびポケット領域111aに含まれる不純物イオンの濃度は、第1および第2の拡散層領域と同程度であればよい。具体的には、1×1018〜1×1021[1/cm3]であることが好ましく、1×1019〜1×1020[1/cm3]であることが最も好ましい。
また、上記ポケット領域110aおよびポケット領域111aの形状は、拡散層領域を越えてチャネル領域下に入り込む形状であればよく、特に限定されるものではない。例えば、ポケット領域110aおよびポケット領域111aは、チャネル領域の両端に「ポケット状」に形成することが可能である。なお、本明細書中にて「ポケット状」とは、チャネル両端下の、半導体基板表面から少し深い部分に局所的に第1および第2拡散層領域と同じ型の不純物イオン領域が形成されたような形状を意味する。
次に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の製造方法を図面を参照しながら説明する。
図6に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の製造工程における断面図を示す。
まず、図6(a)に示すように、P型の不純物がドープされたシリコンからなる半導体基板101に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子のしきい値を決定するために、基板と同じ型の不純物イオンを注入する。次に、半導体基板101の表面に、例えば熱酸化によって、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜である下部絶縁膜105を形成する。次に、下部絶縁膜105上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、膜厚1nm〜15nmのシリコン窒化膜である電荷保持領域106を形成する。次に、電荷保持領域106上に、例えばCVD法によって、膜厚1nm〜20nmのシリコン酸化膜である上部絶縁膜107を形成する。
次に、図6(b)に示すように、上部絶縁膜107上に、例えばN型にドープされた多結晶シリコンを堆積する。その後、レジストを用いて上記多結晶シリコンをパターニングした後、例えばRIE法によってエッチングを行い、ゲート電極108を形成する。
次に、図6(c)に示すように、半導体基板101中に、上記ゲート電極108をマスクして、イオン注入法などによって、例えば砒素イオンを注入する。これによって、第1の拡散層領域110、および第2の拡散層領域111を形成する。また、ウエハを回転しながら、半導体基板101の表面に対して斜め方向から、砒素イオンなどをチャネル両端に例えばポケット状に注入する。これによって、第1の拡散層領域110および第2の拡散層領域111と同じ型のポケット領域110aおよびポケット領域111aを形成する。上記製造工程により、図5に示すような、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子が完成する。
〔実施の形態3〕
本発明の一実施形態について図7および図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図7には、本発明の他の実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の断面図が示されている。
図7に示すように、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、半導体基板201、ゲート絶縁膜202、下部絶縁膜205(第1絶縁膜)、電荷保持領域206、上部絶縁膜207(第2絶縁膜)、ゲート電極208、第1の拡散層領域210、第2の拡散層領域211を有する。上記電荷保持領域206は、電荷保持領域206a・206bを含む。電荷保持領域206aは特に第1の拡散層領域210近傍の電荷保持領域であり、また電荷保持領域206bは特に第2の拡散層領域211近傍の電荷保持領域である。
半導体基板201は、例えばP型シリコン基板、SOI基板などを用いることができる。ゲート絶縁膜202は、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜によって形成されている。下部絶縁膜205はポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜10nm程度のシリコン酸化膜などから形成されている。電荷保持領域206は、その内部に電荷を保持するためのトラップ準位などを有し、電荷保持領域として機能する。電荷保持領域206は、例えば膜厚1nm〜15nm程度のシリコン窒化膜などによって形成されている。上部絶縁膜207は、ポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜20nm程度のシリコン酸化膜などによって形成されている。ゲート電極208は、例えばN型にドープされた多結晶シリコンなどを用いることができる。第1の拡散層領域210、および第2の拡散層領域211は、例えば高濃度にN型不純物がドープされた領域によって形成されている。
ここで、図7においてWによって示される第1の拡散層領域210および第2の拡散層領域211領域中、電荷保持領域とオーバーラップした部分の深さ方向への最大寸法は、図7中でLによって示した上記ゲート電極208の側壁に形成された下部絶縁膜205、電荷保持領域206および上部絶縁膜207を積層してなるサイドウォールの積層方向への寸法よりも大きく形成される。
つまり、上記Wは、W>Lを満たすものであればよく、特に限定されるものではない。上記Wは、さらに好ましくはW>2Lを満たすものである。
上述したように、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、第1の拡散層領域210、および第2の拡散層領域211の深さ方向への最大寸法が、ゲート電極208の側壁に形成された、下部絶縁膜205、電荷保持領域206および上部絶縁膜207を積層してなるサイドウォールの積層方向への寸法よりも大きい。上記構成によれば、上記半導体不揮発性記憶素子を3つのトランジスタに分解して考えた際の、干渉側ビットを等価的に示すトランジスタのゲート長よりも、ドレイン側の拡散層領域の方が深くなるため、DIBL効果を十分大きくすることが可能となる。その結果、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制することができる。
次に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の、各製造工程における断面図を示す。
まず、図8(a)に示すように、P型の不純物がドープされたシリコンからなる半導体基板201に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子のしきい値を決定するために、基板と同じ型の不純物イオンを注入する。次に、半導体基板201の表面に、例えば熱酸化によって、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜であるゲート絶縁膜202を形成する。次に、ゲート絶縁膜202上に、CVD法によって、N型にドープされた多結晶シリコンを堆積する。次いで、レジストを用いて上記多結晶シリコンをパターニングした後、RIE法によって上記多結晶シリコンをエッチングし、ゲート電極208を形成する。
次に図8(b)に示すように、熱酸化またはCVD法によって、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜である下部絶縁膜205を堆積する。その後、下部絶縁膜205上にCVD法によって、後に電荷保持領域206aおよび電荷保持領域206bとなる膜厚1nm〜15nm程度の窒化膜を堆積する。次に、CVD法によって、膜厚1nm〜20nmのシリコン酸化膜である上部絶縁膜207を堆積する。その後、RIE法によって、上部絶縁膜207、窒化膜および下部絶縁膜205をエッチバックすることによって、ゲート電極208の側壁に電荷保持領域206a、および電荷保持領域206bが形成される。
次に図8(c)に示すように、ゲート電極208、下部絶縁膜205、電荷保持領域206a、電荷保持領域206bおよび上部絶縁膜207をマスクして、イオン注入法などによって例えば砒素イオンを注入する。これによって、第1の拡散層領域210、および第2の拡散層領域211を形成する。ここで、上記砒素イオン注入時の注入エネルギーは、電荷保持領域とオーバーラップした部分における注入後の深さ方向の最大寸法が、ゲート電極208の側壁に形成された、下部絶縁膜205、電荷保持領域206および上部絶縁膜207を積層してなるサイドウォールの積層方向への寸法よりも大きくなるように調節する。上記製造工程により、図1に示すような、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子が完成する。
〔実施の形態4〕
本発明の一実施形態について図9および図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図9には、本発明の他の実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の断面図が示されている。
図9に示すように、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、半導体基板301、ゲート絶縁膜302、下部絶縁膜305(第1絶縁膜)、電荷保持領域306、上部絶縁膜307(第2絶縁膜)、ゲート電極308、第1の拡散層領域310、第1の拡散層領域310と同じ型の不純物イオンが打ち込まれたポケット領域310a(不純物領域)、第2の拡散層領域311、第2の拡散層領域311と同じ型の不純物イオンが打ち込まれたポケット領域311a(不純物領域)を有する。上記電荷保持領域306は、電荷保持領域306a・306bを含む。電荷保持領域306aは特に第1の拡散層領域310近傍の電荷保持領域であり、また電荷保持領域306bは特に第2の拡散層領域311近傍の電荷保持領域である。
半導体基板301は、例えばP型シリコン基板、SOI基板などを用いることができる。ゲート絶縁膜302は、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜によって形成されている。下部絶縁膜305はポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜10nm程度のシリコン酸化膜などから形成されている。電荷保持領域306は、その内部に電荷を保持するためのトラップ準位などを有し、電荷保持領域として機能する。電荷保持領域306は、例えば膜厚1nm〜15nm程度のシリコン窒化膜などによって形成されている。上部絶縁膜307は、ポテンシャルバリアとして機能し、例えば膜厚1nm〜20nm程度のシリコン酸化膜などによって形成されている。ゲート電極308は、例えばN型にドープされた多結晶シリコンなどを用いることができる。第1の拡散層領域310、および第2の拡散層領域311は、例えば高濃度にN型不純物がドープされた領域によって形成されている。ポケット領域310aおよびポケット領域311aは、例えばN型不純物がドープされた領域によって形成されている。
上述したように、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子は、第1の拡散層領域310、および第2の拡散層領域311と同じ型の不純物イオンを含むポケット領域310aおよびポケット領域311aが、チャネル領域の両端に形成されている。そのため、DIBL効果が十分大きくなり、ビット干渉による読み出し電流の低下を抑制することができる。
上記ポケット領域310aおよびポケット領域311aが含む不純物イオンは、第1の拡散層領域310および第2の拡散層領域311が含む不純物イオンと同じ型であればよく、特に限定されるものではない。上記型としては、N型であってもよいし、P型であってもよい。具体的に、N型の不純物イオンとしては、P(リン)、As(砒素)、Sb(アンチモン)などを挙げることができる。また、P型の不純物イオンとしては、B(ホウ素)などを挙げることができる。
また、上記ポケット領域310aおよびポケット領域311aに含まれる不純物イオンの濃度は、第1および第2の拡散層領域と同程度であればよい。具体的には、1×1018〜1×1021[1/cm3]であることが好ましく、1×1019〜1×1020[1/cm3]であることが最も好ましい。
また、上記ポケット領域310aおよびポケット領域311aの形状は、拡散層領域を越えてチャネル領域下に入り込む形状であればよく、特に限定されるものではない。例えば、ポケット領域310aおよびポケット領域311aは、チャネル領域の両端に「ポケット状」に形成することが可能である。なお、本明細書中にて「ポケット状」とは、チャネル両端下の、半導体基板表面から少し深い部分に局所的に第1および第2拡散層領域と同じ型の不純物イオン領域が形成されたような形状を意味する。
次に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の製造方法を図面を参照しながら説明する。図10に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子の製造工程における断面図を示す。
まず、図10(a)に示すように、P型の不純物がドープされたシリコンからなる半導体基板301に、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子のしきい値を決定するために、基板と同じ型の不純物イオンを注入する。次に、半導体基板301の表面に、例えば熱酸化によって、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜であるゲート絶縁膜302を形成する。次に、ゲート絶縁膜302上に、CVD法によりN型にドープされた多結晶シリコンを堆積する。次いで、レジストを用いて上記多結晶シリコンをパターニングした後、RIE法によって上記多結晶シリコンをエッチングし、ゲート電極308を形成する。
次に図10(b)に示すように、熱酸化あるいはCVD法により、膜厚1nm〜10nmのシリコン酸化膜である下部絶縁膜305を堆積する。その後、下部絶縁膜305上にCVD法によって、膜厚1nm〜15nm程度の窒化膜である電荷保持領域306を堆積する。次に、CVD法によって、膜厚1nm〜20nmのシリコン酸化膜である上部絶縁膜307を堆積する。その後、RIE法によって、上部絶縁膜307、電荷保持領域306および下部絶縁膜305をエッチバックすることにより、ゲート電極308の側壁に電荷保持領域306aおよび電荷保持領域306bが形成される。
次に図10(c)に示すように、ゲート電極308、下部絶縁膜305、電荷保持領域306a、電荷保持領域306bおよび上部絶縁膜307をマスクして、イオン注入法などによって例えば砒素イオンを注入する。これによって、第1の拡散層領域310、および第2の拡散層領域311を形成する。また、ウエハを回転しながら、半導体基板301の表面に対して斜め方向から、砒素イオンなどをチャネル両端に、例えばポケット状に注入する。これによって、第1の拡散層領域310および第2の拡散層領域311と同じ型のポケット領域310aおよびポケット領域311aを形成する。上記製造工程により、図9に示すような、本実施の形態の半導体不揮発性記憶素子が完成する。
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。