まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図1には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面を模式的に図示している。
図1に示す半導体装置1Aは、不揮発性メモリの一例であって、そのメモリ領域10aに設けられたトランジスタ(メモリトランジスタ)10、及びロジック領域20aに設けられたトランジスタ(ロジックトランジスタ)20を有する。メモリトランジスタ10及びロジックトランジスタ20は、p型又はn型の共通の半導体基板2上に形成(混載)される。半導体基板2には、シリコン(Si)基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)等の各種半導体基板が用いられる。メモリトランジスタ10が形成される領域(素子領域)、及びロジックトランジスタ20が形成される領域(素子領域)は、STI(Shallow Trench Isolation)法、熱酸化法等を用いて半導体基板2に形成された素子分離領域3によって画定される。
尚、図1には1つのメモリトランジスタ10を例示するが、半導体装置1Aのメモリ領域10aには、複数のメモリトランジスタ10、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ10とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、図1には1つのロジックトランジスタ20を例示するが、半導体装置1Aのロジック領域20aには、複数のロジックトランジスタ20、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ20とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。
図1に示すように、メモリトランジスタ10は、半導体基板2の上方に設けられたゲート絶縁膜11、ゲート絶縁膜11の上方に設けられたゲート電極12、ゲート電極12の側壁及び半導体基板2の上方に設けられたサイドウォール絶縁膜13を有する。メモリトランジスタ10は更に、ゲート電極12の両側(ゲート長方向の両側)の半導体基板2内にそれぞれ設けられ、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域14a及び不純物領域14bを有する。メモリトランジスタ10はまた、サイドウォール絶縁膜13の下方の半導体基板2内で、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域14a及び不純物領域14bの内側に、LDD(Lightly Doped Drain)領域15a及びLDD領域15bを有してよい。
ここで、ゲート絶縁膜11には、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ハフニウム(HfO2)等、各種絶縁材料を用いることができる。ゲート絶縁膜11の膜厚は、例えば、メモリトランジスタ10について設定される閾値電圧に基づいて設定される。
ゲート電極12には、ポリシリコンのほか、チタン(Ti)、タングステン(W)等の金属やその窒化物を用いることができる。
サイドウォール絶縁膜13は、例えば、絶縁膜である酸化膜13aと窒化膜13bが積層された構造を含む。酸化膜13aには、例えば、酸化シリコンが用いられる。窒化膜13bには、例えば、窒化シリコンが用いられる。例えば、ゲート電極12の側壁及び半導体基板2上に断面L字状に酸化膜13aが設けられ、この酸化膜13a上に窒化膜13bが設けられる。図1には、酸化膜13aと窒化膜13bの2層構造のサイドウォール絶縁膜13を例示するが、サイドウォール絶縁膜13を、断面L字状とした酸化膜及び窒化膜の上に更に酸化膜を設けた3層構造としたり、4層以上の絶縁膜の積層構造としたりすることもできる。このほか、サイドウォール絶縁膜43は、酸化膜や窒化膜の単層構造とすることも可能である。サイドウォール絶縁膜13は、ゲート電極12のゲート長方向(半導体基板2の平面方向)の幅(厚み)W1が、ロジックトランジスタ20の後述するサイドウォール絶縁膜23の幅(厚み)W2よりも大きくなるように、設けられる。
不純物領域14a及び不純物領域14bには、所定の導電型の不純物、即ち、リン(P)やヒ素(As)等のn型の不純物、又はホウ素(B)等のp型の不純物が、所定の濃度で含まれる。
LDD領域15a及びLDD領域15bには、不純物領域14a及び不純物領域14bに含まれる不純物と同じ導電型の不純物が、不純物領域14a及び不純物領域14bよりも低濃度で含まれる。
メモリトランジスタ10では、ゲート電極12の下方の、不純物領域14aと不純物領域14bの間(或いはLDD領域15aとLDD領域15bの間)の領域が、キャリア(電子又は正孔)が移動するチャネル領域16として機能する。
メモリトランジスタ10は、サイドウォール絶縁膜13に電荷(電子又は正孔)を蓄積することによって情報を記憶する、不揮発性メモリトランジスタである。酸化膜13aと窒化膜13bの積層構造を含むサイドウォール絶縁膜13を備えたメモリトランジスタ10では、主にその窒化膜13bに電荷が蓄積される。窒化シリコンのような窒化膜13bは、電荷をトラップする準位を有し、また、酸化シリコンのような酸化膜13aは、窒化膜13bに蓄積された電荷の散逸を抑える。
ロジックトランジスタ20は、図1に示すように、半導体基板2の上方に設けられたゲート絶縁膜21、ゲート絶縁膜21の上方に設けられたゲート電極22、ゲート電極22の側壁及び半導体基板2の上方に設けられたサイドウォール絶縁膜23を有する。ロジックトランジスタ20は更に、ゲート電極22の両側(ゲート長方向の両側)の半導体基板2内にそれぞれ設けられ、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域24a及び不純物領域24bを有する。ロジックトランジスタ20はまた、サイドウォール絶縁膜23の下方の半導体基板2内で、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域24a及び不純物領域24bの内側に、LDD領域25a及びLDD領域25bを有してよい。
ここで、ゲート絶縁膜21には、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム等、各種絶縁材料を用いることができる。ゲート絶縁膜21の膜厚は、例えば、ロジックトランジスタ20について設定される閾値電圧に基づいて設定される。
ゲート電極22には、ポリシリコンのほか、チタン等の金属やその窒化物を用いることができる。
サイドウォール絶縁膜23は、酸化シリコン等の酸化膜、又は窒化シリコン等の窒化膜を含む。サイドウォール絶縁膜23は、必ずしも酸化膜と窒化膜の積層構造を含むことを要せず、酸化膜や窒化膜といった絶縁膜の単層構造とすることができる。サイドウォール絶縁膜23は、ゲート電極22のゲート長方向(半導体基板2の平面方向)の幅W2が、メモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13の幅W1よりも小さくなるように、設けられる。
不純物領域24a及び不純物領域24bには、n型又はp型の導電型の不純物が、所定の濃度で含まれる。
LDD領域25a及びLDD領域25bには、不純物領域24a及び不純物領域24bに含まれる不純物と同じ導電型の不純物が、不純物領域24a及び不純物領域24bよりも低濃度で含まれる。
ロジックトランジスタ20では、ゲート電極22の下方の、不純物領域24a及び不純物領域24bの間(或いはLDD領域25aとLDD領域25bの間)の領域が、キャリア(電子又は正孔)が移動するチャネル領域26として機能する。
ロジック領域20aのロジックトランジスタ20は、例えば、メモリ領域10aのメモリトランジスタ10に対してプログラム(書き込み)、リード(読み出し)を行うために用いられる。
メモリトランジスタ10のプログラム、リードの各動作は、次のようにして行われる。
まずプログラム動作は、ゲート電極12、不純物領域14a及び不純物領域14b並びに半導体基板2の各ノードを所定の電位にしてホットキャリアを生成させ、生成させたホットキャリアをサイドウォール絶縁膜13に注入、蓄積(保持)させることで、行う。
今、メモリトランジスタ10をnチャネル型とし、半導体基板2(非動作時のチャネル領域16)はp型、不純物領域14a及び不純物領域14b(LDD領域15a及びLDD領域15b)はn型とする。
一方の不純物領域14b側のサイドウォール絶縁膜13(13d)に電子を注入する場合であれば、例えば、不純物領域14a(ソース)及び半導体基板2を接地し、ゲート電極12及び不純物領域14b(ドレイン)に正電圧を印加する。半導体基板2には負電圧を印加するようにしてもよい。このように電位を調整すると、nチャネル型のメモリトランジスタ10では、チャネル領域16に反転層(図示せず)が形成され、チャネル領域16を不純物領域14aから不純物領域14bに向かって電子が流れる。チャネル領域16を不純物領域14bに向かって流れる電子は、不純物領域14bの近傍で、不純物領域14bに印加された正電圧による電界によって高エネルギー状態となり、これによりホットエレクトロンが生成される。不純物領域14bの近傍で生成されたホットエレクトロンは、ゲート電極12に印加された正電圧による電界によって、不純物領域14b側のサイドウォール絶縁膜13dに注入、蓄積される。
nチャネル型のメモリトランジスタ10でのリード動作は、例えば、不純物領域14b(ソース)及び半導体基板2を接地し、ゲート電極12及び不純物領域14a(ドレイン)に正電圧を印加することで行う。不純物領域14b側のサイドウォール絶縁膜13dに電子が注入、蓄積されている場合には、そのサイドウォール絶縁膜13の下方の領域、例えばLDD領域15bに正電荷が誘起され、当該領域の抵抗が高くなる。そのため、不純物領域14aから不純物領域14bに流れる電流が低下する。不純物領域14b側のサイドウォール絶縁膜13dに電子が注入、蓄積されていない場合には、そのサイドウォール絶縁膜13の下方の領域、例えばLDD領域15bの抵抗が高くならず、不純物領域14aから不純物領域14bに流れる電流も低下しない。このように不純物領域14aから不純物領域14bに流れる電流によって、サイドウォール絶縁膜13dの電子の有無(“0”又は“1”の情報)が読み出される。
もう一方の不純物領域14a側のサイドウォール絶縁膜13(13c)に電子を注入するプログラム動作を行う場合には、上記のプログラム動作時と不純物領域14a及び不純物領域14bに印加する電圧(ソースとドレインの電圧)を入れ替えればよい。また、そのサイドウォール絶縁膜13cの電子の有無を読み出すリード動作を行う場合も同様に、上記のリード動作時と不純物領域14a及び不純物領域14bに印加する電圧(ソースとドレインの電圧)を入れ替えればよい。
メモリトランジスタ10は、サイドウォール絶縁膜13c及びサイドウォール絶縁膜13dの、各々の注入電子の有無によって、2ビットの情報を記憶するメモリセルとして用いられる。
また、メモリトランジスタ10をpチャネル型とする場合には、半導体基板2(非動作時のチャネル領域16)はn型、不純物領域14a及び不純物領域14b(LDD領域15a及びLDD領域15b)はp型とされる。
pチャネル型のメモリトランジスタ10では、例えば、各ノードに上記のプログラム動作時とは反対符号の電圧を印加することで、サイドウォール絶縁膜13への正孔の注入、蓄積が行われる。また、pチャネル型のメモリトランジスタ10では、例えば、各ノードに上記のリード動作時とは反対符号の電圧を印加することで、サイドウォール絶縁膜13の正孔の有無が読み出される。
続いて、上記のようなメモリトランジスタ10及びロジックトランジスタ20の、サイドウォール絶縁膜13及びサイドウォール絶縁膜23について説明する。
まず比較のため、メモリトランジスタとロジックトランジスタの、互いのサイドウォール絶縁膜の幅を同等にした、別形態に係る半導体装置の一例を図2に示す。
図2に示す半導体装置100は、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23と同じ幅W2のサイドウォール絶縁膜113を設けたメモリトランジスタ110を有する点で、上記図1に示した第1の実施の形態に係る半導体装置1Aと相違する。
LDD領域15a及びLDD領域15bは、プログラム動作時のホットキャリアの生成、サイドウォール絶縁膜13(13c,13d)への注入のばらつきを抑え、プログラムスピードのばらつきを抑える効果がある。図2に示す半導体装置100でも、LDD領域15a及びLDD領域15bを設けることで、それらを設けない場合に比べて、プログラムスピードのばらつきを抑えることが可能になる。但し、このようなLDD領域15a及びLDD領域15bを設けても、半導体装置100に要求される十分なプログラムスピードが得られない場合がある。メモリトランジスタ110を複数含むメモリ領域110a(不揮発性メモリ)のメモリ容量が比較的小さい場合には、個々のメモリトランジスタ110(メモリセル)のプログラムスピードが比較的遅くても、全体としてのプログラム時間は許容できる程度に収まる。しかし、メモリ容量が比較的大きくなると、全体としてのプログラム時間が許容できる程度に収まらなくなる場合がある。
プログラムスピードを上げる手法の1つに、ホットキャリアの生成を多くする手法がある。そのためには、サイドウォール絶縁膜13の下方の電場を大きくすればよく、チャネル領域16の不純物濃度を高くすればよい。しかし、このようにチャネル領域16の不純物濃度を高くすると、メモリトランジスタ110の閾値電圧が高くなってしまい、リード電流が減少してしまうという不都合が生じる。
一方、上記図1に示した半導体装置1Aでは、メモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13の幅W1を、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23の幅W2よりも大きくする。これにより、サイドウォール絶縁膜13にホットキャリアが注入された場合の、サイドウォール絶縁膜13の下方の領域における抵抗変動を生じ易くし、結果的にプログラムスピードの向上が図られるようになる。
図3はメモリトランジスタのサイドウォール絶縁膜への電荷注入の説明図である。図3(A)には比較的幅狭のサイドウォール絶縁膜への電荷注入の一例を模式的に図示し、図3(B)には比較的幅広のサイドウォール絶縁膜への電荷注入の一例を模式的に図示している。即ち、図3(A)は上記図2に示したメモリトランジスタ110のサイドウォール絶縁膜113への電荷注入の一例に相当する。図3(B)は上記図1に示したメモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13への電荷注入の一例に相当する。
図3(A)において、高濃度ソースドレイン拡散層である不純物領域14a,14b及び不純物領域24a,24bは、サイドウォール絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜23の形成後の不純物イオン注入で形成される。その後の活性化アニールにより、不純物はサイドウォール絶縁膜113及びサイドウォール絶縁膜23の下方にまで横方向に拡散する。ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23の幅W2は、不純物領域24a,24bが横方向に拡散してゲート電極22の下方にまで達しない程度に設定される。サイドウォール絶縁膜23の幅W2が必要以上に大きいと、寄生抵抗が大きくなり、性能が悪化してしまう。一方、メモリトランジスタ110のサイドウォール絶縁膜113をロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23と同じ幅W2に設定すると、サイドウォール絶縁膜113の下方の不純物濃度は、不純物領域14a,14bの横方向拡散によって、必要以上に高濃度となってしまい、サイドウォール絶縁膜113に蓄積された電荷13eによる影響を受け難くなってしまう。結果として、より多くの電荷13eをサイドウォール絶縁膜113に注入する必要があり、プログラムに長時間を要してしまう。
これに対し、図3(B)においては、メモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13を、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23の幅W2よりも大きい幅W1に設定する。これにより、サイドウォール絶縁膜13の形成後にイオン注入して形成される不純物領域14a,14bの不純物の横方向拡散があっても、LDD領域15a,15bがサイドウォール絶縁膜13の下方に十分大きな幅で存在するようになる。結果として、サイドウォール絶縁膜13に電荷13eが注入された場合の抵抗変化が、同じ電荷量であっても大きくなり、プログラム時間が短縮される。
サイドウォール絶縁膜113、サイドウォール絶縁膜13への電子の注入、正孔の注入について、いずれも同様のことが言える。
メモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13の幅W1は、半導体基板2にメモリトランジスタ10と共に混載されるロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23の幅W2よりも大きくする。
サイドウォール絶縁膜13は、上記観点からは、幅広にするほどよいが、実質的には、ゲート電極12の側壁から、不純物領域14a及び不純物領域14bに接続されるプラグ(図示せず)までの幅に制限される。尚、サイドウォール絶縁膜13を幅広にした分、メモリトランジスタ10の素子領域を広げ、不純物領域14a及び不純物領域14bをゲート電極12から離れる方向にシフトすることも可能である。但し、この場合は、メモリトランジスタ10群を含むメモリ領域10aのサイズの増大、メモリ領域10aを含む半導体装置1Aの大型化に留意する。
メモリトランジスタ10のプログラムスピード向上のために、そのサイドウォール絶縁膜13の幅W1を、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23の幅W2よりも大きくすることに加えて、酸化膜13aの膜厚を薄くしてもよい。このように主に電荷が注入される窒化膜13bと半導体基板2との間に設けられる酸化膜13aの膜厚を薄くすることで、ホットキャリアの注入確率が大きくなるため、プログラムスピードの向上が図られる。但し、酸化膜13aの膜厚を薄くするほど、注入された電荷が消失し易くなり、データリテンション特性が低下する可能性がある点に留意する。
尚、ロジックトランジスタ20側についてそのサイドウォール絶縁膜23の幅W2を大きくすると、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23へのホットキャリア注入確率が低減され得る。但し、サイドウォール絶縁膜23の幅W2が大きくなることで、LDD領域25a及びLDD領域25bが長くなり、寄生抵抗が増大するため、トランジスタ性能が悪化する。
次に、第2の実施の形態について説明する。
図4は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。図4には、第2の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面を模式的に図示している。
図4に示す半導体装置1Bは、不揮発性メモリの一例であって、そのメモリ領域40aに設けられたトランジスタ(メモリトランジスタ)40を有する。メモリトランジスタ40は、p型又はn型の半導体基板2上に形成される。半導体基板2には、シリコン基板等の各種半導体基板が用いられる。メモリトランジスタ40が形成される領域(素子領域)は、STI法等を用いて半導体基板2に形成された素子分離領域3によって画定される。
尚、図4には1つのメモリトランジスタ40を例示するが、半導体装置1Bのメモリ領域40aには、複数のメモリトランジスタ40、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ40とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。
図4に示すように、メモリトランジスタ40は、半導体基板2の上方に設けられたゲート絶縁膜41、ゲート絶縁膜41の上方に設けられたゲート電極42、ゲート電極42の側壁及び半導体基板2の上方に設けられたサイドウォール絶縁膜43を有する。メモリトランジスタ40は更に、ゲート電極42の両側(ゲート長方向の両側)の半導体基板2内にそれぞれ設けられ、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域44a及び不純物領域44bを有する。メモリトランジスタ40は、サイドウォール絶縁膜43の下方の半導体基板2内で、不純物領域44a及び不純物領域44bの内側に、LDD領域45a及びLDD領域45bを有してよい。メモリトランジスタ40は、ゲート電極42の下方の、不純物領域44aと不純物領域44bの間(或いはLDD領域45aとLDD領域45bの間)の領域に設けられるチャネル領域46と、その下方に設けられた不純物領域47を更に有する。
ここで、ゲート絶縁膜41には、酸化シリコン等の各種絶縁材料を用いることができる。ゲート絶縁膜41の膜厚は、例えば、メモリトランジスタ40について設定される閾値電圧、プログラム電圧及び消去電圧に基づいて設定される。
ゲート電極42には、ポリシリコン等の各種導体材料を用いることができる。
サイドウォール絶縁膜43は、酸化シリコン等の酸化膜43aと、窒化シリコン等の窒化膜43bが積層された構造を含む。例えば、ゲート電極42の側壁及び半導体基板2上に断面L字状に酸化膜43aが設けられ、この酸化膜43a上に窒化膜43bが設けられる。サイドウォール絶縁膜43は、断面L字状とした酸化膜及び窒化膜の上に更に酸化膜を設けた3層構造としたり、4層以上の絶縁膜の積層構造としたりすることもできる。このほか、サイドウォール絶縁膜43は、酸化膜や窒化膜の単層構造とすることも可能である。
不純物領域44a及び不純物領域44bには、n型又はp型の導電型の不純物が、所定の濃度で含まれる。
LDD領域45a及びLDD領域45bには、不純物領域44a及び不純物領域44bに含まれる不純物と同じ導電型の不純物が、不純物領域44a及び不純物領域44bよりも低濃度で含まれる。
チャネル領域46は、不純物を意図的に添加していないノンドープの領域、或いは、含まれる不純物が極低濃度の領域である。チャネル領域46の不純物濃度は、例えば、1×1017cm-3以下とされる。
不純物領域47は、チャネル領域46の下方に設けられ、チャネル領域46よりも高濃度の不純物を含む領域である。不純物領域47は、スクリーン層とも称される。不純物領域47には、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域44a及び不純物領域44bに含まれる不純物とは異なる導電型の不純物が、所定の濃度で含まれる。この不純物領域47の不純物濃度によって、メモリトランジスタ40の閾値電圧が制御される。また、不純物領域47により、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域44aと不純物領域44bの間のパンチスルーが抑制される。不純物領域47は、半導体基板2とゲート絶縁膜41との界面からチャネル領域46の厚さ分、半導体基板2の内部に埋め込まれた位置に設けられ、その不純物濃度で閾値電圧が調整されるため、例えば、1×1019cm-3程度の比較的高い不純物濃度とされる。
メモリトランジスタ40は、サイドウォール絶縁膜43に電荷(電子又は正孔)を蓄積することによって情報を記憶する、不揮発性メモリトランジスタである。
メモリトランジスタ40のプログラム、リードの各動作は、上記第1の実施の形態で述べたメモリトランジスタ10と同様に行うことができる。即ち、ゲート電極42、不純物領域44a及び不純物領域44b並びに半導体基板2の各ノードを所定の電位にしてホットキャリアを生成させ、生成させたホットキャリアをサイドウォール絶縁膜43に注入、蓄積させることで、行う。
メモリトランジスタ40では、半導体基板2の内部に埋め込まれる不純物領域47の不純物濃度によって閾値電圧が制御され、その上方のチャネル領域46は低不純物濃度とされる。メモリトランジスタ40では、チャネル領域46の不純物濃度を高くせず、その下方の不純物領域47の不純物濃度を高くすることで、プログラム動作時のホットキャリアの生成を増大させる。この不純物領域47は、半導体基板2とゲート絶縁膜41との界面から離間した位置にあるため、その不純物濃度を高くしても、メモリトランジスタ40の閾値電圧が大幅に高くなることはない。
即ち、このような不純物領域47を設けないメモリトランジスタでは、ホットキャリアの生成を増大させるためにそのチャネル領域の不純物濃度を高くすると、閾値電圧が高くなり、リード電流が減少するという不都合が生じ得る。これに対し、上記のようなチャネル領域46の下方に比較的高濃度の不純物領域47を設けたメモリトランジスタ40では、このような不都合を生じさせることなく、ホットキャリアの生成の増大と、閾値電圧の制御が可能になる。
不純物領域47は、ホットキャリアの生成の増大、閾値電圧の制御、パンチスルーの抑制等の機能を効果的に実現するために、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域44a及び不純物領域44bと接するように設けられる。
メモリトランジスタ40では、上記のような不純物領域47を採用することで、プログラムスピードの向上が図られる。
図5は第2の実施の形態に係るメモリトランジスタのプログラム特性を説明する図である。図5(A)には第2の実施の形態に係るメモリトランジスタの構成例を模式的に示し、図5(B)及び図5(C)にはそれぞれゲート電圧Vg[V]とリード電流(ドレイン電流)Id[A]の関係の一例を示している。また、図6は比較例に係るメモリトランジスタのプログラム特性を説明する図である。図6(A)には比較例に係るメモリトランジスタの構成例を模式的に示し、図6(B)にはそれぞれゲート電圧Vg[V]とリード電流(ドレイン電流)Id[A]の関係の一例を示している。
図5(A)に示すメモリトランジスタ40では、ゲート絶縁膜41の膜厚は7nm、ゲート電極42のゲート長Lgは0.1μm又は0.5μm、サイドウォール絶縁膜43の幅は74nmとしている。LDD領域45a及びLDD領域45bは、リンを加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1012cm-2の条件で四方向から注入して形成し、不純物領域44a及び不純物領域44bは、これよりも十分高い濃度となるように形成している。チャネル領域46はノンドープ層とし、チャネル領域46の下方の半導体基板2内に設けられる不純物領域47は、ホウ素を加速エネルギー20keV、ドーズ量2.4×1013cm-2の条件で注入して形成している。
メモリトランジスタ40に対するプログラム動作は、不純物領域44a(ソース)及び半導体基板2を共に0Vとし、ゲート電極42及び不純物領域44b(ドレイン)を共に4.5Vとした電圧条件で行っている。この電圧条件で、プログラム時間Tpを1ms、100μs、10μsとしてプログラム動作を行った後、不純物領域44b(ソース)及び半導体基板2を0Vとし、ゲート電極42及び不純物領域44a(ドレイン)に正電圧を印加してリード動作を行っている。不純物領域44aの電圧は例えば0.5Vとする。このリード動作時のゲート電圧Vgと、ドレインからソースに流れるリード電流Idの関係を、図5(B)(ゲート長0.1μmの場合)及び図5(C)(ゲート長0.5μmの場合)に示している。図5(B)及び図5(C)には、プログラム前のリード電流Id(initial)も併せて示している。
また、図6(A)に示すメモリトランジスタ40Aは、ゲート電極42のゲート長Lgを0.35μmとし、半導体基板2の表面から一定の深さのチャネル領域(便宜上「フラットチャネル領域」と言う)46Aが設けられている。フラットチャネル領域46Aは、ホウ素をドーズ量3.2×1012cm-2の比較的低ドーズ量の条件で注入して形成している。その他の構成は、図5(A)のメモリトランジスタ40と同じである。
このメモリトランジスタ40Aに対するプログラム動作も、図5(A)のメモリトランジスタ40のプログラム動作と同じ電圧条件、同じプログラム時間条件で行い、その後、リード動作を行っている。このリード動作時のゲート電圧Vgと、ドレインからソースに流れるリード電流Idの関係を、図6(B)に示している。図6(B)には、プログラム前のリード電流(initial)も併せて示している。
チャネル領域46の下方に比較的高濃度の不純物領域47を設けた図5(A)のメモリトランジスタ40では、図5(B)及び図5(C)に示すように、プログラム時間Tpが1ms、100μs、10μsと1桁ずつ短くなってもプログラムが行われている。
一方、フラットチャネル領域46Aを設けた図6(A)のメモリトランジスタ40Aでは、図6(B)に示すように、プログラム時間Tpが1msでも全くIV特性に変化が認められず、プログラムが行われない。図6(B)は、初期、10μs、100μs、1ms後の全てのIVが重なり合って変化していない、即ち、プログラムが全く行われていないことを示している。フラットチャネル領域46Aを設けたメモリトランジスタ40Aでは、プログラムを行うために更に高電圧を印加しなければならず、このように高電圧を印加しても、メモリトランジスタ40に比べてプログラムスピードは遅い。
図7は第2の実施の形態に係るメモリトランジスタのプログラム特性評価の説明図である。図7の横軸は、プログラム電圧Vp[V]であり、図7の縦軸は、一定時間プログラム動作を行った後に検出されるリード電流の、プログラム前のリード電流に対する比率(電流比率)R[%]である。
図7より、不純物領域47を設けるメモリトランジスタ40(図5(A))では、プログラム電圧Vp=3.5Vでプログラム時間Tp=1msの条件、Vp=4.0VでTp=100μsの条件、Vp=4.5VでTp=10μsの条件でそれぞれプログラム動作を行った後の電流比率Rが、30%程度で概ね等しくなる。つまり、メモリトランジスタ40では、プログラム電圧Vpが0.5V高くなると、プログラムスピードが1桁速くなる。
このようにチャネル領域46の下方に比較的高濃度の不純物領域47を設けるメモリトランジスタ40では、プログラムスピードの大幅な向上を図ることができる。
次に、第3の実施の形態について説明する。
ここでは、第3の実施の形態として、上記第1の実施の形態で述べたメモリトランジスタ10及びロジックトランジスタ20と、更にI/Oトランジスタとを有する半導体装置について説明する。
図8〜図13は第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。ここで、図8は第1製造工程の一例の要部断面模式図、図9は第2製造工程の一例の要部断面模式図、図10は第3製造工程の一例の要部断面模式図、図11は第4製造工程の一例の要部断面模式図、図12は第5製造工程の一例の要部断面模式図、図13は第6製造工程の一例の要部断面模式図である。以下、図8〜図13を参照し、第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例について、順に説明する。
まず、図8に示すように、半導体基板2に、STI法を用いて、メモリトランジスタ10(図13)の素子領域10b、ロジックトランジスタ20(図13)の素子領域20b、及びI/Oトランジスタ30(図13)の素子領域30bを画定する素子分離領域3を形成する。半導体基板2には、素子分離領域3の形成前或いは形成後に、ウェル領域6を形成する。ウェル領域6は、例えばp型とされる。ウェル領域6及び素子分離領域3の形成後、メモリトランジスタ10、ロジックトランジスタ20及びI/Oトランジスタ30の各閾値電圧を調整するための不純物注入(チャネル不純物注入)を行う。
その後、熱酸化法を用いて半導体基板2上に例えば膜厚7nmで酸化膜を形成し、ロジックトランジスタ20の素子領域20bに形成された当該酸化膜を除去し、再度熱酸化法を用いて半導体基板2上に例えば膜厚1.8nmで酸化膜を形成する。これにより、図8に示すように、メモリトランジスタ10の素子領域10b、ロジックトランジスタ20の素子領域20b、及びI/Oトランジスタ30の素子領域30bにそれぞれ、所定の膜厚のゲート絶縁膜11、ゲート絶縁膜21及びゲート絶縁膜31を形成する。
ゲート絶縁膜11、ゲート絶縁膜21及びゲート絶縁膜31の形成後は、図8に示すように、ゲート電極材料であるポリシリコン4を、例えば膜厚100nmで形成する。
次いで、図9に示すように、ポリシリコン4上にレジスト材料を形成し、露光及び現像を行って、メモリトランジスタ10のゲート電極12を形成する領域、並びに、素子領域20b及び素子領域30bを覆うレジストパターン5aを形成する。このレジストパターン5aをマスクにしてポリシリコン4のエッチングを行い、メモリトランジスタ10のゲート電極12を形成する。
ゲート電極12の形成後、レジストパターン5aを除去し、半導体基板2上に残るゲート電極12及びポリシリコン4をマスクにして、素子領域10bの半導体基板2に対し、不純物注入を行う。この不純物注入により、図10に示すように、ゲート電極12の両側の半導体基板2内にLDD領域15a及びLDD領域15bを形成する。LDD領域15a及びLDD領域15bは、例えば、n型の不純物であるヒ素を、加速エネルギーが10keV、ドーズ量が1×1013cm-2の条件で注入することで、形成する。LDD領域15aとLDD領域15bの間に、メモリトランジスタ10のチャネル領域16が形成される。
LDD領域15a及びLDD領域15bの形成後は、まず、露出するゲート電極12、ポリシリコン4、ゲート絶縁膜11を覆うように酸化膜13aを形成し、その酸化膜13a上に窒化膜13bを形成する。例えば、酸化膜13aを膜厚10nmで形成し、その上に窒化膜13bを膜厚150nmで形成する。そして、形成した酸化膜13a及び窒化膜13bをエッチバックすることで、図11に示すように、素子領域10bのゲート電極12の側壁と半導体基板2の上方に、所定の幅W1を有するメモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13を形成する。尚、ゲート電極12以外のポリシリコン4の側壁と半導体基板2の上方(素子分離領域3上)にも同様に、サイドウォール絶縁膜13が形成される。
サイドウォール絶縁膜13の形成後は、全面にレジスト材料を形成し、露光及び現像を行う。これにより、図12に示すように、素子領域10b、並びに、ロジックトランジスタ20のゲート電極22を形成する領域、及びI/Oトランジスタ30のゲート電極32を形成する領域を覆うレジストパターン5bを形成する。このレジストパターン5bをマスクにしてポリシリコン4のエッチングを行い、ロジックトランジスタ20のゲート電極22、及びI/Oトランジスタ30のゲート電極32を形成する。尚、図12には、素子分離領域3上にもポリシリコン4の一部(縁部)を残した形態を図示している。
ゲート電極22及びゲート電極32の形成後は、レジストパターン5bを除去し、素子領域20b及び素子領域30bの半導体基板2に対してそれぞれ、不純物注入を行う。これらの不純物注入によってそれぞれ、図13に示すように、ゲート電極22の両側の半導体基板2内にLDD領域25a及びLDD領域25bを形成し、ゲート電極32の両側の半導体基板2内にLDD領域35a及びLDD領域35bを形成する。LDD領域25a及びLDD領域25bは、例えば、n型の不純物であるヒ素を、加速エネルギーが1.5keV、ドーズ量が1×1015cm-2の条件で注入することで、形成する。LDD領域35a及びLDD領域35bは、例えば、n型の不純物であるリンを、加速エネルギーが35keV、ドーズ量が1×1013cm-2の条件で注入することで、形成する。LDD領域25aとLDD領域25bの間に、ロジックトランジスタ20のチャネル領域26が形成され、LDD領域35aとLDD領域35bの間に、I/Oトランジスタ30のチャネル領域36が形成される。
次いで、絶縁膜、例えば酸化シリコン膜を膜厚80nmで形成し、それをエッチバックする。これにより、図13に示すように、素子領域20bのゲート電極22の側壁と半導体基板2の上方に、所定の幅W2を有するロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23を形成する。同時に、素子領域30bのゲート電極32の側壁と半導体基板2の上方に、I/Oトランジスタ30のサイドウォール絶縁膜33を形成する。ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23、及びI/Oトランジスタ30のサイドウォール絶縁膜33は、メモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13の幅W1よりも小さい所定の幅W2となるように形成される。尚、素子分離領域3上に残るポリシリコン4の側壁にも同様に、サイドウォール絶縁膜23(又は33)が形成される。
その後、ゲート電極12とその側壁のサイドウォール絶縁膜13、ゲート電極22とその側壁のサイドウォール絶縁膜23、及びゲート電極32とその側壁のサイドウォール絶縁膜33をマスクにして、半導体基板2に対し、リン等のn型の不純物を注入する。これらの不純物注入は、素子領域10b、素子領域20b及び素子領域30bについて一括で行ってもよいし、素子領域10b、素子領域20b及び素子領域30bについてそれぞれ行ってもよい。
この時、素子領域10bの半導体基板2に対する不純物注入は、LDD領域15a及びLDD領域15bよりも濃度が高く、深い領域まで不純物が注入されるような条件で、行う。同様に、素子領域20bの半導体基板2に対する不純物注入は、LDD領域25a及びLDD領域25bよりも濃度が高く、深い領域まで不純物が注入されるような条件で、行う。素子領域30bの半導体基板2に対する不純物注入は、LDD領域35a及びLDD領域35bよりも濃度が高く、深い領域まで不純物が注入されるような条件で、行う。例えば、リンを、加速エネルギーが8keV、ドーズ量が1×1016cm-2の条件で注入する。これにより、素子領域10bの半導体基板2内の、n型のLDD領域15a及びLDD領域15bの外側に、メモリトランジスタ10のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域14a及び不純物領域14bを形成する。同様に、素子領域20bの半導体基板2内の、n型のLDD領域25a及びLDD領域25bの外側に、ロジックトランジスタ20のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域24a及び不純物領域24bを形成する。素子領域30bの半導体基板2内の、n型のLDD領域35a及びLDD領域35bの外側に、I/Oトランジスタ30のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域34a及び不純物領域34bを形成する。
以上の工程により、図13に示すような、共通の半導体基板2上にメモリトランジスタ10、ロジックトランジスタ20及びI/Oトランジスタ30が混載された半導体装置1C(不揮発性メモリ)が得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
第3の実施の形態に係る半導体装置1Cでは、メモリトランジスタ10のサイドウォール絶縁膜13の幅W1が、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23(及びI/Oトランジスタ30のサイドウォール絶縁膜33)の幅W2よりも大きな幅とされる。これにより、上記第1の実施の形態で述べたように、メモリトランジスタ10のプログラムスピードの向上が図られる。以上の工程により、優れたプログラムスピードを示すメモリトランジスタ10を備えた半導体装置1Cの製造が可能になる。
尚、ここでは1つのメモリトランジスタ10を例示したが、半導体装置1Cには、複数のメモリトランジスタ10、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ10とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、ここでは1つのロジックトランジスタ20を例示したが、半導体装置1Cには、複数のロジックトランジスタ20、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ20とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。更にまた、ここでは1つのI/Oトランジスタ30を例示したが、半導体装置1Cには、複数のI/Oトランジスタ30、或いは少なくとも1つのI/Oトランジスタ30とその他のI/Oトランジスタが含まれ得る。
次に、第4の実施の形態について説明する。
ここでは、第4の実施の形態として、上記第2の実施の形態で述べたメモリトランジスタ40と、更にロジックトランジスタ及びI/Oトランジスタとを有する半導体装置について説明する。
図14〜図25は第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。ここで、図14は第1製造工程の一例の要部断面模式図、図15は第2製造工程の一例の要部断面模式図、図16は第3製造工程の一例の要部断面模式図、図17は第4製造工程の一例の要部断面模式図、図18は第5製造工程の一例の要部断面模式図、図19は第6製造工程の一例の要部断面模式図、図20は第7製造工程の一例の要部断面模式図、図21は第8製造工程の一例の要部断面模式図、図22は第9製造工程の一例の要部断面模式図、図23は第10製造工程の一例の要部断面模式図、図24は第11製造工程の一例の要部断面模式図、図25は第12製造工程の一例の要部断面模式図である。以下、図14〜図25を参照し、第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例について、順に説明する。
まず、図14に示すように、半導体基板2上に、メモリトランジスタ40(図25)の素子領域40bが開口され、ロジックトランジスタ20(図25)の素子領域20b、及びI/Oトランジスタ30(図25)の素子領域30bが覆われたレジストパターン5cを形成する。このレジストパターン5cをマスクにして、素子領域40bの半導体基板2に対し、所定の不純物注入を行う。この不純物注入により、素子領域40bの半導体基板2内に、ウェル領域6a、及びメモリトランジスタ40のチャネル領域46(図25)の下方に設ける比較的高濃度の不純物領域47を形成する。ウェル領域6a及び不純物領域47は、例えばp型とされる。
この不純物注入は、例えば、次のような条件で行われる。ホウ素を135keV又は185keVの加速エネルギーでドーズ量4×1013cm-2の条件で注入する。ゲルマニウム(Ge)を30keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。炭素(C)を5keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。ホウ素を20keVの加速エネルギーでドーズ量3×1013cm-2の条件で注入する。これらの各不純物をそれぞれ所定の条件で注入することにより、素子領域40bの半導体基板2内に、p型のウェル領域6a及び不純物領域47が形成される。尚、ゲルマニウム及び炭素を注入することで、不純物領域47に含まれるp型の不純物の、下方や上方の領域への拡散が抑制される。
ウェル領域6a及び不純物領域47の形成後は、レジストパターン5cを除去し、半導体基板2上に半導体材料をエピタキシャル成長させる。例えば、半導体基板2としてシリコン基板を用いる場合、その上に同種の半導体材料であるシリコンを、膜厚25nmで、エピタキシャル成長させる。半導体材料のエピタキシャル成長により、図15に示すように、素子領域40bの不純物領域47上に、半導体層8(ノンドープ層)を形成する。この半導体層8に、メモリトランジスタ40のチャネル領域46が形成される。尚、エピタキシャル成長により、素子領域20b及び素子領域30bにも、素子領域40bの半導体層8と同様の半導体層が形成されるが、ここでは便宜上、半導体基板2と一体のものとして説明する。半導体層8の形成後、図15に示すように、素子領域40b、素子領域30b及び素子領域20bを画定する素子分離領域3を形成する。
次いで、図16に示すように、素子領域40bが覆われ、素子領域20b及び素子領域30bが開口されたレジストパターン5dを形成する。このレジストパターン5dをマスクにして、素子領域20b及び素子領域30bの半導体基板2に対し、所定の不純物注入を行う。この不純物注入により、図16に示すように、素子領域20b及び素子領域30bの半導体基板2内に、ウェル領域6bを形成する。ウェル領域6bは、例えばp型とされる。ウェル領域6bの形成は、例えば、ホウ素を135keV又は185keVの加速エネルギーでドーズ量4×1013cm-2の条件で注入し、フッ化ホウ素(BF,BF2)を15keVの加速エネルギーでドーズ量3×1012cm-2の条件で注入して行う。
ウェル領域6bの形成後は、レジストパターン5dを除去し、図17に示すように、素子領域30b及び素子領域40bが覆われ、素子領域20bが開口されたレジストパターン5eを新たに形成する。このレジストパターン5eをマスクにして、素子領域20bの半導体基板2に対し、ロジックトランジスタ20の閾値電圧を調整するための不純物注入を行う。この不純物注入は、例えば、フッ化ホウ素を15keVの加速エネルギーでドーズ量1×1013cm-2の条件で注入して行う。これにより、図17に示すように、ロジックトランジスタ20のチャネル領域26が形成される。
その後、レジストパターン5eを除去し、図18に示すように、熱酸化法を用いて素子領域20b、素子領域30b及び素子領域40bの半導体基板2上に例えば膜厚7nmで酸化膜7を形成する。そして、素子領域20bが開口されたレジストパターン5fを新たに形成し、素子領域20bの半導体基板2上に形成された酸化膜7を除去する。
次いで、レジストパターン5fを除去し、再度熱酸化法を用いて半導体基板2上に例えば膜厚1.8nmで酸化膜を形成する。これにより、図19に示すように、ロジックトランジスタ20の素子領域20b、I/Oトランジスタ30の素子領域30b、及びメモリトランジスタ40の素子領域40bにそれぞれ、所定の膜厚のゲート絶縁膜21、ゲート絶縁膜31及びゲート絶縁膜41を形成する。
ゲート絶縁膜21、ゲート絶縁膜31及びゲート絶縁膜41の形成後は、図20に示すように、ゲート電極材料であるポリシリコン4を、例えば膜厚100nmで形成し、そのパターニングを行う。これにより、ロジックトランジスタ20のゲート電極22、I/Oトランジスタ30のゲート電極32、及びメモリトランジスタ40のゲート電極42を形成する。
ゲート電極22、ゲート電極32及びゲート電極42の形成後、図21に示すように、素子領域40bが開口されたレジストパターン5gを形成し、これをマスクにして素子領域40bの半導体基板2に対し、不純物注入を行う。この不純物注入により、図21に示すように、ゲート電極42の両側の半導体基板2内にLDD領域45a及びLDD領域45bを形成する。LDD領域45a及びLDD領域45bは、例えば、n型の不純物であるヒ素を、加速エネルギーが10keV、ドーズ量が1×1013cm-2の条件で注入することで、形成する。先に形成した比較的高濃度の不純物領域47の上方で、LDD領域45aとLDD領域45bの間に、メモリトランジスタ40のチャネル領域46が形成される。
同様にして、図22に示すように、素子領域30bが開口されたレジストパターン5hを形成し、これをマスクにして素子領域30bの半導体基板2に対して不純物注入を行い、I/Oトランジスタ30のLDD領域35a及びLDD領域35bを形成する。また、図23に示すように、素子領域20bが開口されたレジストパターン5iを形成し、これをマスクにして素子領域20bの半導体基板2に対して不純物注入を行い、ロジックトランジスタ20のLDD領域25a及びLDD領域25bを形成する。図22に示すI/Oトランジスタ30のLDD領域35a及びLDD領域35bは、例えば、n型の不純物であるリンを、加速エネルギーが35keV、ドーズ量が3×1013cm-2の条件で注入することで、形成する。図23に示すロジックトランジスタ20のLDD領域25a及びLDD領域25bは、例えば、n型の不純物であるヒ素を、加速エネルギーが1.5keV、ドーズ量が1×1015cm-2の条件で注入することで、形成する。LDD領域35aとLDD領域35bの間に、I/Oトランジスタ30のチャネル領域36が形成され、LDD領域25aとLDD領域25bの間に、ロジックトランジスタ20のチャネル領域26が形成される。
尚、図21〜図23に示す工程は、互いに順序を入れ替えて実施してもよい。
次いで、絶縁膜、例えば酸化シリコン膜若しくは窒化シリコン膜又はこれらの積層膜を膜厚80nmで形成し、それをエッチバックする。これにより、図24に示すように、ゲート電極22、ゲート電極32及びゲート電極42の各側壁に、サイドウォール絶縁膜23、サイドウォール絶縁膜33及びサイドウォール絶縁膜43を形成する。
尚、サイドウォール絶縁膜43のみを、酸化シリコン等の酸化膜と、窒化シリコン等の窒化膜との積層構造とする場合には、上記図19のようにゲート絶縁膜21、ゲート絶縁膜31及びゲート絶縁膜41を形成した後、次のような工程を実施すればよい。
即ち、上記図19の工程後、まず、ゲート絶縁膜21、ゲート絶縁膜31及びゲート絶縁膜41の上にポリシリコン4を形成する。次いで、第3の実施の形態で述べた上記図9の工程の例に従い、メモリトランジスタ40の素子領域40bにゲート電極42(図9のゲート電極12に相当する要素)を形成する。次いで、上記図10(又は図21)の工程の例に従い、メモリトランジスタ40の素子領域40bにLDD領域45a及びLDD領域45b(図10のLDD領域15a及びLDD領域15bに相当する要素)を形成する。次いで、上記図11の工程の例に従い、所定の膜厚で酸化膜と窒化膜(図11の酸化膜13a及び窒化膜13bに相当する要素)を積層して形成し、それらをエッチバックすることで、酸化膜と窒化膜の積層構造のサイドウォール絶縁膜43(図11のサイドウォール絶縁膜13に相当する要素)を形成する。次いで、上記図12の工程の例に従い、素子領域30b及び素子領域20bのポリシリコン4をパターニングしてゲート電極32及びゲート電極22を形成する。
その後、この第4の実施の形態で述べた図22及び図23の工程の例に従い、素子領域30b並びに素子領域20bにそれぞれ、LDD領域35a及びLDD領域35b並びにLDD領域25a及びLDD領域25bを形成する。そして、絶縁膜として例えば単層の酸化シリコン膜を所定の膜厚で形成し、それをエッチバックすることで、素子領域30b及び素子領域20bにそれぞれ単層構造のサイドウォール絶縁膜33及びサイドウォール絶縁膜23を形成する。
これにより、素子領域40bのサイドウォール絶縁膜43を酸化膜と窒化膜の積層構造とし、素子領域30bのサイドウォール絶縁膜33及び素子領域20bのサイドウォール絶縁膜23を単層構造として、図24のような構造を得ることができる。これにより、サイドウォール絶縁膜43に電荷を蓄積させ易くすると共に、サイドウォール絶縁膜33及びサイドウォール絶縁膜23への電荷の蓄積を抑制してI/Oトランジスタ30及びロジックトランジスタ20の性能劣化を抑制することが可能になる。
このようにサイドウォール絶縁膜33、サイドウォール絶縁膜43、サイドウォール絶縁膜23に採用する構造によって、適宜工程を変更してもよい。
上記のようにして図24の工程まで行った後、図25の工程に進む。ここではまず、ゲート電極22とその側壁のサイドウォール絶縁膜23、ゲート電極32とその側壁のサイドウォール絶縁膜33、及びゲート電極42とその側壁のサイドウォール絶縁膜43をマスクにして、半導体基板2に対し、リン等のn型の不純物を注入する。これらの不純物注入は、リンを、加速エネルギーが8keV、ドーズ量が1×1016cm-2の条件で注入することで、行う。これにより、図25に示すように、素子領域20bの半導体基板2内の、n型のLDD領域25a及びLDD領域25bの外側に、ロジックトランジスタ20のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域24a及び不純物領域24bを形成する。同様に、図25に示すように、素子領域30bの半導体基板2内の、n型のLDD領域35a及びLDD領域35bの外側に、I/Oトランジスタ30のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域34a及び不純物領域34bを形成する。図25に示すように、素子領域40bの半導体基板2内の、n型のLDD領域45a及びLDD領域45bの外側に、メモリトランジスタ40のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域44a及び不純物領域44bを形成する。
以上の工程により、図25に示すような、共通の半導体基板2上にロジックトランジスタ20、I/Oトランジスタ30及びメモリトランジスタ40が混載された半導体装置1D(不揮発性メモリ)が得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
第4の実施の形態に係る半導体装置1Dでは、メモリトランジスタ40に不純物濃度の低いチャネル領域46が設けられ、その下方に、比較的高濃度の不純物領域47が設けられる。これにより、上記第2の実施の形態で述べたように、メモリトランジスタ40のプログラムスピードの向上が図られる。以上の工程により、優れたプログラムスピードを示すメモリトランジスタ40を備えた半導体装置1Dの製造が可能になる。
尚、ここでは1つのメモリトランジスタ40を例示したが、半導体装置1Dには、複数のメモリトランジスタ40、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ40とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、ここでは1つのロジックトランジスタ20を例示したが、半導体装置1Dには、複数のロジックトランジスタ20、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ20とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。更にまた、ここでは1つのI/Oトランジスタ30を例示したが、半導体装置1Dには、複数のI/Oトランジスタ30、或いは少なくとも1つのI/Oトランジスタ30とその他のI/Oトランジスタが含まれ得る。
次に、第5の実施の形態について説明する。
ここでは、第5の実施の形態として、上記のような低不純物濃度のチャネル領域の下方に高不純物濃度の領域を設けるチャネル構造を、メモリトランジスタ及びそれと混載されるロジックトランジスタの双方に採用した半導体装置について説明する。
図26〜図31は第5の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。ここで、図26は第1製造工程の一例の要部断面模式図、図27は第2製造工程の一例の要部断面模式図、図28は第3製造工程の一例の要部断面模式図、図29は第4製造工程の一例の要部断面模式図、図30は第5製造工程の一例の要部断面模式図、図31は第6製造工程の一例の要部断面模式図である。以下、図26〜図31を参照し、第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例について、順に説明する。
まず、図26に示すように、半導体基板2上に、メモリトランジスタ40(図31)の素子領域40b、及びロジックトランジスタ50(図31)の素子領域50bが開口され、I/Oトランジスタ30(図31)の素子領域30bが覆われたレジストパターン5jを形成する。このレジストパターン5jをマスクにして、素子領域40b及び素子領域50bの半導体基板2に対し、所定の不純物注入を行う。この不純物注入により、ウェル領域6a、並びに、メモリトランジスタ40の比較的高濃度の不純物領域47、及びロジックトランジスタ50の比較的高濃度の不純物領域57を形成する。ウェル領域6a、不純物領域47及び不純物領域57は、例えばp型とされる。
この不純物注入は、例えば、次のような条件で行われる。ホウ素を135keV又は185keVの加速エネルギーでドーズ量4×1013cm-2の条件で注入する。ゲルマニウムを30keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。炭素を5keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。ホウ素を20keVの加速エネルギーでドーズ量5×1012cm-2の条件で注入する。フッ化ホウ素を10keVの加速エネルギーでドーズ量1.5×1012cm-2の条件で注入する。これらの各不純物をそれぞれ所定の条件で注入することにより、素子領域40bの半導体基板2内にp型のウェル領域6a及び不純物領域47が形成され、素子領域50bの半導体基板2内にp型のウェル領域6a及び不純物領域57が形成される。尚、ゲルマニウム及び炭素を注入することで、不純物領域47及び不純物領域57に含まれるp型の不純物の、下方や上方の領域への拡散が抑制される。
形成するロジックトランジスタ50を超低リークトランジスタとする場合には、ジャンクションリーク電流を十分小さく抑えるために、上記不純物領域57の濃度が、メモリトランジスタ40の不純物領域47の最適濃度に比べて、低く設定される。
そのため、ロジックトランジスタ50を超低リークトランジスタとする場合は、図26に示す工程で、そのロジックトランジスタ50に最適な濃度の不純物領域57が得られるような条件で、素子領域50bの半導体基板2に対する不純物注入を行う。そうしたうえで、続く図27に示すように、メモリトランジスタ40の素子領域40bの半導体基板2に対し、追加の不純物注入を行い、メモリトランジスタ40に最適な濃度の不純物領域47を得る。この追加の不純物注入は、図27に示すように、素子領域40bが開口されたレジストパターン5kをマスクにして、例えば、ホウ素を20keVの加速エネルギーでドーズ量2.5×1013cm-2の条件で注入することで、行う。
その後は、半導体基板2上に半導体材料をエピタキシャル成長させ、図28に示すように、素子領域40bの不純物領域47上、及び素子領域50bの不純物領域57上に、半導体層8a(ノンドープ層)を形成する。この半導体層8aに、メモリトランジスタ40のチャネル領域46、及びロジックトランジスタ50のチャネル領域56が形成される。尚、エピタキシャル成長により、素子領域30bにも、素子領域40b及び素子領域50bの半導体層8aと同様の半導体層が形成されるが、ここでは便宜上、半導体基板2と一体のものとして説明する。半導体層8aの形成後、図28に示すように、素子領域40b、素子領域30b及び素子領域50bを画定する素子分離領域3を形成する。
次いで、図29に示すように、素子領域30bが開口されたレジストパターン5mをマスクにして不純物注入を行い、素子領域30bの半導体基板2内にウェル領域6bを形成する。ウェル領域6bは、例えばp型とされる。その後、素子領域30bの半導体基板2に対し、I/Oトランジスタ30の閾値電圧を調整するための不純物注入を行ってもよい。
以後は、上記第4の実施の形態で述べた図18〜図25と同様の工程を実施し、図30、更に図31に示すような構造を得る。
即ち、まず上記図18及び図19の工程の例に従い、熱酸化法により、素子領域30b、素子領域40b及び素子領域50bにそれぞれ、所定の膜厚のゲート絶縁膜31、ゲート絶縁膜41及びゲート絶縁膜51を形成する。次いで、上記図20の工程の例に従い、ポリシリコンの形成とそのパターニングにより、ゲート電極32、ゲート電極42及びゲート電極52を形成する。そして、上記図21〜図23の工程の例に従い、所定条件の不純物注入により、LDD領域45a及びLDD領域45b、LDD領域35a及びLDD領域35b、LDD領域55a及びLDD領域55bを形成する。LDD領域45a及びLDD領域45b、LDD領域35a及びLDD領域35b、LDD領域55a及びLDD領域55bは、例えばn型である。これにより、図30のような構造を得る。LDD領域35aとLDD領域35bの間に、I/Oトランジスタ30のチャネル領域36が形成される。LDD領域45aとLDD領域45bの間に、メモリトランジスタ40のチャネル領域46が形成される。LDD領域55aとLDD領域55bの間に、ロジックトランジスタ50のチャネル領域56が形成される。
更に、上記図24の工程の例に従い、絶縁膜の形成とそのエッチバックにより、ゲート電極32、ゲート電極42及びゲート電極52の各側壁に、サイドウォール絶縁膜33、サイドウォール絶縁膜43及びサイドウォール絶縁膜53を形成する。そして、上記図25の工程の例に従い、所定条件の不純物注入により、I/Oトランジスタ30、メモリトランジスタ40及びロジックトランジスタ50の、各々のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を形成する。即ち、素子領域30bの半導体基板2内の、n型のLDD領域35a及びLDD領域35bの外側に、I/Oトランジスタ30のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域34a及び不純物領域34bを形成する。同様に、素子領域40bの半導体基板2内の、n型のLDD領域45a及びLDD領域45bの外側に、メモリトランジスタ40のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域44a及び不純物領域44bを形成する。素子領域50bの半導体基板2内の、n型のLDD領域55a及びLDD領域55bの外側に、ロジックトランジスタ50のソース領域又はドレイン領域として機能するn型の不純物領域54a及び不純物領域54bを形成する。これにより、図31のような構造を得る。
尚、サイドウォール絶縁膜33、サイドウォール絶縁膜43、サイドウォール絶縁膜53は、酸化膜若しくは窒化膜の単層構造、又は酸化膜と窒化膜の積層構造とすることができる。上記第4の実施の形態で述べたように、サイドウォール絶縁膜33、サイドウォール絶縁膜43、サイドウォール絶縁膜53に採用する構造によって、適宜工程を変更してもよい。
以上の工程により、共通の半導体基板2上にI/Oトランジスタ30、メモリトランジスタ40及びロジックトランジスタ50が混載された半導体装置1E(不揮発性メモリ)が得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
第5の実施の形態に係る半導体装置1Eでは、メモリトランジスタ40に不純物濃度の低いチャネル領域46が設けられ、その下方に、比較的高濃度の不純物領域47が設けられる。これにより、上記第2の実施の形態で述べたように、メモリトランジスタ40のプログラムスピードの向上が図られる。更に、この第5の実施の形態に係る半導体装置1Eでは、ロジックトランジスタ50にも同様に、不純物濃度の低いチャネル領域56が設けられ、その下方に、比較的高濃度の不純物領域57が設けられる。これにより、ロジックトランジスタ50の閾値電圧のばらつき低減、消費電力の低減等が図られる。以上の工程により、優れたプログラムスピードを示すメモリトランジスタ40、及び優れた動作性能を示すロジックトランジスタ50を備えた半導体装置1Eの製造が可能になる。
尚、ここでは超低リークのロジックトランジスタ50を想定し、まずそれに最適な濃度の不純物領域57を得る条件で不純物注入を行い(図26)、追加の不純物注入を行ってメモリトランジスタ40に最適な濃度の不純物領域47を得る(図27)場合を例示した。
一方、半導体装置1E全体の消費電力の制約が緩和される場合は、ロジックトランジスタ50のリーク電流に対する制約も緩和される。この場合は、ロジックトランジスタ50の上記不純物領域57を、より高不純物濃度としてもよい。この時の不純物注入の条件としては、次のようなものを採用できる。ホウ素を135keV又は185keVの加速エネルギーでドーズ量4×1013cm-2の条件で注入する。ゲルマニウムを30keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。炭素を5keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。ホウ素を20keVの加速エネルギーでドーズ量1.8×1013cm-2の条件で注入する。フッ化ホウ素を25keVの加速エネルギーでドーズ量6×1012cm-2の条件で注入する。フッ化ホウ素を10keVの加速エネルギーでドーズ量3.0×1012cm-2の条件で注入する。図26の工程において、各不純物をこのような条件で注入することにより、半導体基板2内にp型のウェル領域6a、不純物領域47及び不純物領域57を形成する。その後は、図27の工程を経ずに、図28以降の工程を実施すればよい。このような手法を用いる場合、メモリトランジスタ40の閾値電圧は、追加の不純物注入を行って不純物領域47を得る上記手法(図26及び図27)に比べて、若干高くなる。しかし、半導体装置1E全体の消費電力の制約が緩和されているので、メモリトランジスタ40のリード電圧を高く設定することで対処できる。
また、リーク電流に対する制約が緩和され、ロジックトランジスタ50の上記不純物領域57を、より高不純物濃度とすることができる場合には、次のような手法を用いてもよい。即ち、図26の工程において、メモリトランジスタ40に最適な濃度の不純物領域47を得る条件で、素子領域40b及び素子領域50bの半導体基板2に対して同時に不純物注入を行う。これにより、素子領域40bの半導体基板2内に、メモリトランジスタ40に最適な濃度の不純物領域47を形成し、ロジックトランジスタ50の素子領域50bの半導体基板2内に、当該不純物領域47と同等濃度の不純物領域57を形成する。その後は、図27の工程を経ずに、図28以降の工程を実施すればよい。ロジックトランジスタ50のリーク電流に対する制約が緩和されている場合には、このような手法を用いることもできる。
また、リーク電流に対する制約が緩和され、ロジックトランジスタ50の上記不純物領域57を、より高不純物濃度とすることができる場合には、次のような手法を用いてもよい。即ち、図26の工程において、超低リークのロジックトランジスタ50に最適な濃度よりも高い濃度の不純物領域が得られ、且つ、メモリトランジスタ40に最適な濃度よりも低い濃度の不純物領域が得られるような条件で、不純物注入を行う。このような条件で素子領域40b及び素子領域50bの半導体基板2に対して同時に不純物注入を行い、上記手法(図26及び図27)に比べて低濃度の不純物領域47と高濃度の不純物領域57とを形成する。その後は、図27の工程を経ずに、図28以降の工程を実施すればよい。ロジックトランジスタ50のリーク電流に対する制約が緩和されている場合には、このような手法を用いることもできる。
不純物領域47及び不純物領域57に関して述べた上記のいずれの別法においても、図27に示したような追加の不純物注入の工程を省略し、半導体装置1Eの製造工数の削減を図ることができる。
尚、ここでは1つのメモリトランジスタ40を例示したが、半導体装置1Eには、複数のメモリトランジスタ40、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ40とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、ここでは1つのロジックトランジスタ50を例示したが、半導体装置1Eには、複数のロジックトランジスタ50、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ50とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。更にまた、ここでは1つのI/Oトランジスタ30を例示したが、半導体装置1Eには、複数のI/Oトランジスタ30、或いは少なくとも1つのI/Oトランジスタ30とその他のI/Oトランジスタが含まれ得る。
次に、第6の実施の形態について説明する。
図32は第6の実施の形態に係る半導体装置の第1構成例を示す図である。図32には半導体装置の第1構成例の要部断面を模式的に図示している。
図32に示す半導体装置1Faは、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23の幅W2よりも大きな幅W1のサイドウォール絶縁膜43を有するメモリトランジスタ40を備えている点で、上記第4の実施の形態で述べた半導体装置1D(図25)と相違する。尚、図32には、酸化膜43aと窒化膜43bの積層構造を有するサイドウォール絶縁膜43を例示している。
図32に示すような半導体装置1Faは、例えば、上記第4の実施の形態で述べた図14〜図17の工程を実施した後、上記第3の実施の形態で述べた図8〜図13の工程の例に従って各要素を形成することで、得ることができる。
即ち、まず上記図14〜図17の工程を実施し、上記図17のような、素子分離領域3で画定されたメモリトランジスタ40の素子領域40b、I/Oトランジスタ30の素子領域30b、及びロジックトランジスタ20の素子領域20bを含む半導体基板2を得る。メモリトランジスタ40の素子領域40bには、ウェル領域6a、不純物領域47及びチャネル領域46(半導体層8)が含まれる。I/Oトランジスタ30の素子領域30bには、ウェル領域6bが含まれる。ロジックトランジスタ20の素子領域20bには、ウェル領域6b及びチャネル領域26が含まれる。ウェル領域6a、ウェル領域6b及び不純物領域47は、例えばp型とされる。
その後、素子領域40b、素子領域30b及び素子領域20bにそれぞれ、上記図8の例に従い、所定の膜厚のゲート絶縁膜41(図8のゲート絶縁膜11に相当する要素)、ゲート絶縁膜31及びゲート絶縁膜21を形成し、これらの上にポリシリコン4を形成する。
次いで、上記図9の例に従い、そのポリシリコン4をパターニングし、メモリトランジスタ40のゲート電極42(図9のゲート電極12に相当する要素)を形成する。
次いで、上記図10の例に従い、不純物注入によって、メモリトランジスタ40のLDD領域45a及びLDD領域45b(図10のLDD領域15a及びLDD領域15bに相当する要素)を形成する。LDD領域45a及びLDD領域45bは、例えばn型とされる。
次いで、上記図11の例に従い、酸化膜43a及び窒化膜43b(図11の酸化膜13a及び窒化膜13bに相当する要素)の形成とそのエッチバックを行う。これにより、所定の幅W1を有するメモリトランジスタ40のサイドウォール絶縁膜43(図11のサイドウォール絶縁膜13に相当する要素)を形成する。
次いで、上記図12の例に従い、素子領域30b及び素子領域20bのポリシリコン4をパターニングし、I/Oトランジスタ30のゲート電極32、及びロジックトランジスタ20のゲート電極22を形成する。
次いで、上記図13の例に従い、素子領域30bの半導体基板2内にLDD領域35a及びLDD領域35bを形成し、素子領域20bの半導体基板2内にLDD領域25a及びLDD領域25bを形成する。LDD領域35a及びLDD領域35b、LDD領域25a及びLDD領域25bは、例えばn型とされる。更に、絶縁膜の形成とそのエッチバックによって、素子領域30bのゲート電極32の側壁及び素子領域20bのゲート電極22の側壁にそれぞれ、サイドウォール絶縁膜33及びサイドウォール絶縁膜23を形成する。そして、不純物注入によって、素子領域40bにメモリトランジスタ40のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域44a及び不純物領域44b(図13の不純物領域14a及び不純物領域14bに相当する要素)を形成する。同様に、不純物注入によって、素子領域30bにI/Oトランジスタ30のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域34a及び不純物領域34bを形成し、素子領域20bにロジックトランジスタ20のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域24a及び不純物領域24bを形成する。不純物領域44a及び不純物領域44b、不純物領域34a及び不純物領域34b、不純物領域24a及び不純物領域24bは、例えばn型とされる。
このような工程により、図32に示すような半導体装置1Fa(不揮発性メモリ)が得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
第6の実施の形態に係る第1構成例の半導体装置1Faでは、メモリトランジスタ40に不純物濃度の低いチャネル領域46が設けられ、その下方に、比較的高濃度の不純物領域47が設けられる。更に、メモリトランジスタ40のサイドウォール絶縁膜43の幅W1が、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23(及びI/Oトランジスタ30のサイドウォール絶縁膜33)の幅W2よりも大きな幅とされる。これらの構成は、上記第1及び第2の実施の形態で述べたように、メモリトランジスタ40のプログラムスピードの向上に寄与する。これらの構成を採用することにより、優れたプログラムスピードを示すメモリトランジスタ40を備えた半導体装置1Faが実現可能になる。
尚、ここでは1つのメモリトランジスタ40を例示したが、半導体装置1Faには、複数のメモリトランジスタ40、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ40とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、ここでは1つのロジックトランジスタ20を例示したが、半導体装置1Faには、複数のロジックトランジスタ20、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ20とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。更にまた、ここでは1つのI/Oトランジスタ30を例示したが、半導体装置1Faには、複数のI/Oトランジスタ30、或いは少なくとも1つのI/Oトランジスタ30とその他のI/Oトランジスタが含まれ得る。
図33は第6の実施の形態に係る半導体装置の第2構成例を示す図である。図33には半導体装置の第2構成例の要部断面を模式的に図示している。
図33に示す半導体装置1Fbは、ロジックトランジスタ50のサイドウォール絶縁膜53の幅W2よりも大きな幅W1のサイドウォール絶縁膜43を有するメモリトランジスタ40を備えている点で、上記第5の実施の形態で述べた半導体装置1E(図31)と相違する。尚、図33には、酸化膜43aと窒化膜43bの積層構造を有するサイドウォール絶縁膜43を例示している。
図33に示すような半導体装置1Fbは、例えば、上記第5の実施の形態で述べた図26〜図29の工程を実施した後、上記第3の実施の形態で述べた図8〜図13の工程の例に従って各要素を形成することで、得ることができる。
即ち、まず上記図26〜図29の工程を実施し、上記図29のような、素子分離領域3で画定されたメモリトランジスタ40の素子領域40b、I/Oトランジスタ30の素子領域30b、及びロジックトランジスタ50の素子領域50bを含む半導体基板2を得る。メモリトランジスタ40の素子領域40bには、ウェル領域6a、不純物領域47及びチャネル領域46(半導体層8a)が含まれる。I/Oトランジスタ30の素子領域30bには、ウェル領域6bが含まれる。ロジックトランジスタ20の素子領域20bには、ウェル領域6a、不純物領域57及びチャネル領域56(半導体層8a)が含まれる。ウェル領域6a、ウェル領域6b、不純物領域47及び不純物領域57は、例えばp型とされる。
その後、素子領域40b、素子領域30b及び素子領域50bにそれぞれ、上記図8の例に従い、所定の膜厚のゲート絶縁膜41(図8のゲート絶縁膜11に相当する要素)、ゲート絶縁膜31及びゲート絶縁膜51(図8のゲート絶縁膜21に相当する要素)を形成する。更に、これらの上にポリシリコン4を形成する。
次いで、上記図9の例に従い、そのポリシリコン4をパターニングし、メモリトランジスタ40のゲート電極42(図9のゲート電極12に相当する要素)を形成する。
次いで、上記図10の例に従い、不純物注入によって、メモリトランジスタ40のLDD領域45a及びLDD領域45b(図10のLDD領域15a及びLDD領域15bに相当する要素)を形成する。LDD領域45a及びLDD領域45bは、例えばn型とされる。
次いで、上記図11の例に従い、酸化膜43a及び窒化膜43b(図11の酸化膜13a及び窒化膜13bに相当する要素)の形成とそのエッチバックを行う。これにより、所定の幅W1を有するメモリトランジスタ40のサイドウォール絶縁膜43(図11のサイドウォール絶縁膜13に相当する要素)を形成する。
次いで、上記図12の例に従い、素子領域30b及び素子領域20bのポリシリコン4をパターニングし、I/Oトランジスタ30のゲート電極32、及びロジックトランジスタ50のゲート電極52(図12のゲート電極22に相当する要素)を形成する。
次いで、上記図13の例に従い、素子領域30bの半導体基板2内にLDD領域35a及びLDD領域35bを形成し、素子領域50bの半導体基板2内にLDD領域55a及びLDD領域55b(図13のLDD領域25a及びLDD領域25bに相当する要素)を形成する。LDD領域35a及びLDD領域35b、LDD領域55a及びLDD領域55bは、例えばn型とされる。更に、絶縁膜の形成とそのエッチバックによって、素子領域30bのゲート電極32の側壁及び素子領域50bのゲート電極52の側壁にそれぞれ、サイドウォール絶縁膜33及びサイドウォール絶縁膜53(図13のサイドウォール絶縁膜23に相当する要素)を形成する。そして、不純物注入によって、素子領域40bにメモリトランジスタ40のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域44a及び不純物領域44b(図13の不純物領域14a及び不純物領域14bに相当する要素)を形成する。同様に、不純物注入によって、素子領域30bにI/Oトランジスタ30のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域34a及び不純物領域34bを形成する。素子領域50bにロジックトランジスタ50のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域54a及び不純物領域54b(図13の不純物領域24a及び不純物領域24bに相当する要素)を形成する。不純物領域44a及び不純物領域44b、不純物領域34a及び不純物領域34b、不純物領域54a及び不純物領域54bは、例えばn型とされる。
このような工程により、図33に示すような半導体装置1Fb(不揮発性メモリ)が得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
第6の実施の形態に係る第2構成例の半導体装置1Fbでは、メモリトランジスタ40に不純物濃度の低いチャネル領域46が設けられ、その下方に、比較的高濃度の不純物領域47が設けられる。更に、メモリトランジスタ40のサイドウォール絶縁膜43の幅W1が、ロジックトランジスタ20のサイドウォール絶縁膜23(及びI/Oトランジスタ30のサイドウォール絶縁膜33)の幅W2よりも大きな幅とされる。これらの構成は、上記第1及び第2の実施の形態で述べたように、メモリトランジスタ40のプログラムスピードの向上に寄与する。また、ロジックトランジスタ50にもメモリトランジスタ40と同様に、不純物濃度の低いチャネル領域56が設けられ、その下方に、比較的高濃度の不純物領域57が設けられ、これにより、閾値電圧のばらつき低減、消費電力の低減等が図られている。これらの構成を採用することにより、優れたプログラムスピードを示すメモリトランジスタ40、及び優れた動作性能を示すロジックトランジスタ50を備えた半導体装置1Fbが実現可能になる。
尚、ここでは1つのメモリトランジスタ40を例示したが、半導体装置1Fbには、複数のメモリトランジスタ40、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ40とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、ここでは1つのロジックトランジスタ50を例示したが、半導体装置1Fbには、複数のロジックトランジスタ50、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ50とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。更にまた、ここでは1つのI/Oトランジスタ30を例示したが、半導体装置1Fbには、複数のI/Oトランジスタ30、或いは少なくとも1つのI/Oトランジスタ30とその他のI/Oトランジスタが含まれ得る。
次に、第7の実施の形態について説明する。
例えば、不純物濃度の低いチャネル領域46の下方に比較的高濃度の不純物領域47を設けるメモリトランジスタ40において、ホットキャリアの生成を増大させるためには、次のような手法がある。即ち、メモリトランジスタ40のソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域44a及び不純物領域44bの濃度分布を急峻にする手法である。メモリトランジスタ40の不純物領域44a及び不純物領域44bの濃度分布を急峻にするためには、例えば、次の図34及び図35に示すような工程を実施する。
図34及び図35は第7の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。ここで、図34は第1製造工程の一例の要部断面模式図、図35は第2製造工程の一例の要部断面模式図である。以下、図34及び図35を参照し、第7の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例について、順に説明する。
ここでは、上記第6の実施の形態で第2構成例として挙げた半導体装置1Fb(図33)について、そのメモリトランジスタ40の不純物領域44a及び不純物領域44bの濃度分布を急峻にする場合を例にする。この場合は、メモリトランジスタ40の素子領域40bに対する不純物注入と、I/Oトランジスタ30の素子領域30b及びロジックトランジスタ50の素子領域50bに対する不純物注入とを、同時(一括)ではなく、別々の工程で行う。
例えば、サイドウォール絶縁膜33、サイドウォール絶縁膜43及びサイドウォール絶縁膜53の形成まで行った後、まず図34に示すように、メモリトランジスタ40の素子領域40bを覆うレジストパターン5pを形成する。このレジストパターン5pをマスクにして不純物注入を行い、I/Oトランジスタ30の不純物領域34a及び不純物領域34b及び、ロジックトランジスタ50の不純物領域54a及び不純物領域54bを形成する。この不純物注入は、例えば、リンを、加速エネルギーが8keV、ドーズ量が1×1016cm-2の条件で注入することで、行う。
次いで、レジストパターン5pを除去し、図35に示すように、I/Oトランジスタ30の素子領域30b及びロジックトランジスタ50の素子領域50bを覆うレジストパターン5qを形成する。このレジストパターン5qをマスクにして不純物注入を行い、メモリトランジスタ40の不純物領域44a及び不純物領域44bを形成する。この不純物注入は、例えば、ヒ素を、加速エネルギーが5keV、ドーズ量が5×1015cm-2の条件で注入することで行う。このような条件を用いることで、I/Oトランジスタ30の不純物領域34a及び不純物領域34bやロジックトランジスタ50の不純物領域54a及び不純物領域54bよりも急峻な濃度分布の不純物領域44a及び不純物領域44bを得ることが可能になる。不純物注入後、レジストパターン5qを除去する。
このような工程を実施することで、急峻な濃度分布の不純物領域44a及び不純物領域44bを有し、ホットキャリアの生成を増大させることのできるメモリトランジスタ40を備えた半導体装置(不揮発性メモリ)が実現可能になる。
尚、ここでは1つのメモリトランジスタ40を例示したが、上記半導体装置には、複数のメモリトランジスタ40、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ40とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、ここでは1つのロジックトランジスタ50を例示したが、上記半導体装置には、複数のロジックトランジスタ50、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ50とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。更にまた、ここでは1つのI/Oトランジスタ30を例示したが、上記半導体装置には、複数のI/Oトランジスタ30、或いは少なくとも1つのI/Oトランジスタ30とその他のI/Oトランジスタが含まれ得る。
ここでは、上記第6の実施の形態で第2構成例として挙げた半導体装置1Fb(図33)について、そのメモリトランジスタ40の不純物領域44a及び不純物領域44bの濃度分布を急峻にする場合を例にして説明した。このように不純物領域の濃度分布を急峻にする手法は、第3の実施の形態で述べたメモリトランジスタ10、第4及び第5の実施の形態並びに第6の実施の形態の第1構成例で述べたメモリトランジスタ40にも、同様に適用可能であり、上記同様の効果が得られる。
次に、第8の実施の形態について説明する。
以上説明したようなメモリトランジスタのチャネル領域の下方、或いはチャネル領域の下方に設ける比較的高濃度の不純物領域の下方には、比較的高濃度の不純物を含む領域(高濃度埋め込み層)を更に設けてもよい。ここでは、第8の実施の形態として、このような高濃度埋め込み層を設けたメモリトランジスタを備える半導体装置について説明する。
図36〜図39は第8の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。ここで、図36は第1製造工程の一例の要部断面模式図、図37は第2製造工程の一例の要部断面模式図、図38は第3製造工程の一例の要部断面模式図、図39は第4製造工程の一例の要部断面模式図である。以下、図36〜図39を参照し、第8の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一例について、順に説明する。
ここでは、上記第6の実施の形態で第2構成例として挙げた半導体装置1Fb(図33)について、そのメモリトランジスタ40の不純物領域47の下方に高濃度埋め込み層を設ける場合を例にする。
この場合は、まず、上記図26に示したような工程を実施し、半導体基板2内に、ウェル領域6a、並びに、メモリトランジスタ40の比較的高濃度の不純物領域47、及びロジックトランジスタ50の比較的高濃度の不純物領域57を形成する。ウェル領域6a、不純物領域47及び不純物領域57は、例えばp型とされる。
その後、図36に示すように、半導体基板2上に、メモリトランジスタ40の素子領域40bが開口されたレジストパターン5rを形成する。このレジストパターン5rをマスクにして、素子領域40bの半導体基板2に対し、所定の不純物注入を行う。この不純物注入では、不純物領域47及びウェル領域6aと同じ導電型の不純物、例えば不純物領域47及びウェル領域6aがp型であればp型の不純物を注入する。不純物注入は、例えば、ホウ素を20keVの加速エネルギーでドーズ量2.5×1013cm-2の条件で注入し、200keVの加速エネルギーでドーズ量1×1014cm-2の条件で注入して行う。この不純物注入により、不純物領域47よりも下方に、高濃度埋め込み層48を形成する。
このようにして高濃度埋め込み層48を形成した後は、半導体基板2上に半導体材料をエピタキシャル成長させ、図37に示すように、素子領域40bの不純物領域47上、及び素子領域50bの不純物領域57上に、半導体層8b(ノンドープ層)を形成する。この半導体層8bに、メモリトランジスタ40のチャネル領域46、及びロジックトランジスタ50のチャネル領域56が形成される。尚、エピタキシャル成長により、素子領域30bにも、素子領域40b及び素子領域50bの半導体層8bと同様の半導体層が形成されるが、ここでは便宜上、半導体基板2と一体のものとして説明する。半導体層8bの形成後、図37に示すように、素子領域40b、素子領域30b及び素子領域50bを画定する素子分離領域3を形成する。
次いで、図38に示すように、素子領域30bが開口されたレジストパターン5uをマスクにして不純物注入を行い、素子領域30bの半導体基板2内にウェル領域6bを形成する。ウェル領域6bは、例えばp型とされる。その後、素子領域30bの半導体基板2に対し、I/Oトランジスタ30の閾値電圧を調整するための不純物注入を行ってもよい。
以後は、上記第6の実施の形態に係る第2構成例について説明したように、上記第3の実施の形態で述べた図8〜図13の工程の例に従って各要素を形成することで、図39に示すような半導体装置1G(不揮発性メモリ)が得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
尚、ここでは1つのメモリトランジスタ40を例示したが、半導体装置1Gには、複数のメモリトランジスタ40、或いは少なくとも1つのメモリトランジスタ40とその他のメモリトランジスタが含まれ得る。また、ここでは1つのロジックトランジスタ50を例示したが、半導体装置1Gには、複数のロジックトランジスタ50、或いは少なくとも1つのロジックトランジスタ50とその他のロジックトランジスタが含まれ得る。更にまた、ここでは1つのI/Oトランジスタ30を例示したが、半導体装置1Gには、複数のI/Oトランジスタ30、或いは少なくとも1つのI/Oトランジスタ30とその他のI/Oトランジスタが含まれ得る。
第8の実施の形態に係る半導体装置1Gでは、メモリトランジスタ40のチャネル領域46の下方に設けられる比較的高濃度の不純物領域47の更に下方に、高濃度埋め込み層48が設けられる。半導体装置1Gでは、高濃度埋め込み層48が設けられることで、半導体基板2にバイアス(基板バイアス)を印加する際の抵抗(ウェル抵抗)の低減を図ることができる。ウェル抵抗が低減されることで、例えば、印加する基板バイアスの低減を図ることが可能になる。
また、ウェル抵抗が低減されることで、半導体装置1Gのメモリ領域の面積縮小化、半導体装置1Gの小型化を図ることが可能になる。これは、次のような理由による。
即ち、半導体装置1Gのメモリ領域では、半導体基板2上に、半導体基板2内のウェル領域に電気的に繋がるウェルタップ領域が設けられ、この半導体基板2上のウェルタップ領域から、半導体基板2内のウェル領域に対して、基板バイアスが印加される。メモリ領域には、通常、そのメモリ容量に応じた数のメモリトランジスタ40群が含まれる。そして、一定数のメモリトランジスタ40群でウェル領域を共用させ、1箇所のウェルタップ領域から、それら一定数のメモリトランジスタ40群が共用するウェル領域に対して、基板バイアスが印加される。従って、半導体基板2上には、メモリ領域に含まれるメモリトランジスタ40の総数に応じた数のウェルタップ領域が配置される。
上記のように半導体基板2内にウェル領域6aと高濃度埋め込み層48を設け、ウェル抵抗を低減させると、1箇所のウェルタップ領域から、より広範囲のウェル領域6aと高濃度埋め込み層48に対して、一定の基板バイアスを印加することが可能になる。1箇所のウェルタップ領域から一定の基板バイアスが印加可能な範囲が広がれば、1箇所のウェルタップ領域から一定の基板バイアスが印加可能なメモリトランジスタ40の数を増大させることができる。1箇所のウェルタップ領域から一定の基板バイアスが印加可能なメモリトランジスタ40の数を増大させることができれば、半導体基板2上に配置するウェルタップ領域の総数を減らすことができる。ウェルタップ領域の総数を減らすことができれば、半導体基板2上のウェルタップ領域が占有する面積を減少させることが可能になり、それにより、メモリ領域の面積を減少させることが可能になる。更に、メモリ領域の面積を減少させることで、メモリ領域を備える半導体装置1Gの小型化も図ることが可能になる。
ここでは、上記第6の実施の形態で第2構成例として挙げた半導体装置1Fb(図33)について、そのメモリトランジスタ40の不純物領域47の下方に、高濃度埋め込み層48を設ける場合を例にして説明した。高濃度埋め込み層48を設ける手法は、第4及び第5の実施の形態、第6の実施の形態の第1構成例並びに第7の実施の形態で述べたメモリトランジスタ40にも、同様に適用可能であり、上記同様の効果が得られる。また、高濃度埋め込み層を設ける手法は、上記のメモリトランジスタ10、ロジックトランジスタ20、ロジックトランジスタ50、I/Oトランジスタ30にも適用可能であり、それにより、半導体装置の小型化を図ることができる。
ところで、不揮発性メモリのメモリトランジスタとして、上記のような不純物領域47(スクリーン(SCR)層)を設けないトランジスタを用いると、メモリセルアレイのレイアウトが制約を受ける場合がある。
ここで、図40は比較例のメモリトランジスタを示す図である。図40にはメモリトランジスタの一例の要部断面を模式的に図示している。
図40に示すメモリトランジスタ40Bは、半導体基板2の上方に設けられたゲート絶縁膜41、ゲート絶縁膜41の上方に設けられたゲート電極42、ゲート電極42の側壁及び半導体基板2の上方に設けられたサイドウォール絶縁膜43を有する。サイドウォール絶縁膜43は、酸化シリコン等の酸化膜43aと、窒化シリコン等の窒化膜43bが積層された構造を有する。メモリトランジスタ40Bは更に、ゲート電極42の両側の半導体基板2内にそれぞれ設けられ、ソース領域又はドレイン領域(SD領域)として機能する不純物領域44a,44bを有する。メモリトランジスタ40Bはまた、サイドウォール絶縁膜43の下方の半導体基板2内で、SD領域として機能する不純物領域44a,44bの内側に、LDD領域45a,45bを有する。LDD領域45a,45b間の領域が、キャリアが移動するチャネル領域46Bとなる。
例えば、nチャネル型のメモリトランジスタ40Bの場合、不純物領域44b(ドレイン領域)の近傍で生成されるホットエレクトロン(ホットキャリア49)をサイドウォール絶縁膜43に注入、蓄積させることで、情報を書き込む。また、サイドウォール絶縁膜43に注入、蓄積された電子を、不純物領域44bの近傍で生成されるホットホール(ホットキャリア49)によって中和することで、情報を消去する。
メモリトランジスタ40Bでは、不純物領域44bの近傍でホットキャリア49を効率よく生成させるために、チャネル領域46Bが形成される半導体基板2の表面にp型の不純物が注入される。サイドウォール絶縁膜43の下方の半導体基板2内には、そのp型の不純物と共にn型の不純物が注入され、p型の不純物が一部のn型の不純物で相殺されて、n型の不純物領域45a,45bが形成される。サイドウォール絶縁膜43の下方の半導体基板2内に、安定してn型の不純物領域45a,45bを形成するためには、n型の不純物をp型の不純物に対して余裕を持った濃度とする必要があり、そのため、n型の不純物はあまり低濃度にすることができない。その結果、情報を書き込んだメモリトランジスタ40Bと、書き込んでいないメモリトランジスタ40Bとでは、例えばそれらのオン電流比が1桁程度異なる程度の特性差しか得られない。このオン電流比を閾値電圧に換算すると0.1V程度と非常に小さい。
また、メモリトランジスタ40Bの閾値電圧のばらつき評価値AVTは、10mVμm程度以上である。尚、閾値電圧のばらつき評価値AVTは、Pelgromプロット(ゲート面積(チャネル長L×チャネル幅W)の平方根の逆数[μm-1]に対して閾値電圧の標準偏差σ[mV]をプロットしたもの)の傾き[mVμm]である。メモリトランジスタ40BのW/L=0.1μm/0.1μmとすると、閾値電圧のばらつきは、1σで0.1Vであり、1Mビットのメモリセルアレイでは5σ=0.5Vとなり、プログラム前後の閾値電圧シフトを大きく上回る。そのため、図40に示すようなメモリトランジスタ40Bを用いて不揮発性メモリを実現しようとした場合、そのメモリセルアレイにNOR型のレイアウトを採用することが難しい。
メモリトランジスタ40Bを用いたメモリセルアレイでも安定的に情報の読み出しが可能なレイアウトとして、次の図41に示すようなツインビットセル型のレイアウトが考えられる。
図41はツインビットセル型不揮発性メモリの一例を示す図である。図41にはツインビットセル型不揮発性メモリの一例の要部平面レイアウトを模式的に図示している。
図41に示す不揮発性メモリ60(半導体装置)は、素子領域(図40の半導体基板2の素子領域)として、方向Sに延在され、方向Sと直交する方向Tに並設された複数(一例として4つ)のアクティブ領域61a,61b,61c,61dを有する。これらのアクティブ領域61a,61b,61c,61dを横切るように、方向Tに、図示しないゲート絶縁膜(図40のゲート絶縁膜41に相当)を介して、ワード線WL1,WL2(図40のゲート電極42に相当)が延在される。ワード線WL1,WL2の側壁には、サイドウォール絶縁膜63(図40のサイドウォール絶縁膜43に相当)が形成される。各アクティブ領域61a,61b,61c,61dのワード線WL1,WL2の両側にそれぞれ、SD領域として機能する不純物領域64(図40の不純物領域44a,44bに相当)が形成される。サイドウォール絶縁膜63の下方で、不純物領域64の内側には、図示しないLDD領域(図40の不純物領域45a,45bに相当)が形成され、LDD領域間に、図示しないチャネル領域が形成される。不揮発性メモリ60には、これらの要素によって形成された複数(一例として8つ)のメモリトランジスタ70a,70b,70c,70d,70e,70f,70g,70h(図40のメモリトランジスタ40Bに相当)が含まれる。
各不純物領域64上には、上層に向かって延びるプラグ71(コンタクト)が形成される。各不純物領域64は、プラグ71を介して、第1層目の導体層に含まれる配線72a,72b,72cに接続される。
配線72aは、方向Sに延在する部位72aaと、方向Tに延在する部位72abとを含む、平面十字形状を有する。部位72aaは、隣接するアクティブ領域61a,61b間で方向Sに延在される。部位72abは、アクティブ領域61aのメモリトランジスタ70a,70bで共用される不純物領域64と、アクティブ領域61bのメモリトランジスタ70c,70dで共用される不純物領域64とを繋ぐように、方向Tに延在される。
配線72bは、方向Sに延在する部位72baと、方向Tに延在する部位72bbとを含む、平面十字形状を有する。部位72baは、隣接するアクティブ領域61c,61d間で方向Sに延在される。部位72bbは、アクティブ領域61cのメモリトランジスタ70e,70fで共用される不純物領域64と、アクティブ領域61dのメモリトランジスタ70g,70hで共用される不純物領域64とを繋ぐように、方向Tに延在される。
配線72cは、各メモリトランジスタ70a,70b,70c,70d,70e,70f,70g,70hの、配線72a,72bと繋がる不純物領域64とは反対側の不純物領域64に、プラグ71を介して接続される。
各配線72a,72b,72c上には、上層に向かって延びるビア73が形成される。配線72aは、ビア73を介して、方向Sに延在されるソース線SL1に接続される。配線72bは、ビア73を介して、方向Sに延在されるソース線SL2に接続される。アクティブ領域61aのトランジスタ70a,70bの不純物領域64に繋がる配線72cは、ビア73を介して、方向Sに延在されるビット線BL1に接続される。アクティブ領域61bのトランジスタ70c,70dの不純物領域64に繋がる配線72cは、ビア73を介して、方向Sに延在されるビット線/BL1に接続される。アクティブ領域61cのトランジスタ70e,70fの不純物領域64に繋がる配線72cは、ビア73を介して、方向Sに延在されるビット線BL2に接続される。アクティブ領域61dのトランジスタ70g,70hの不純物領域64に繋がる配線72cは、ビア73を介して、方向Sに延在されるビット線/BL2に接続される。ソース線SL1,SL2及びビット線BL1,/BL1,BL2,/BL2は、不揮発性メモリ60の第2層目の導体層に含まれる。
ツインビットセル型の不揮発性メモリ60では、例えば図41の枠74で囲まれるような一対のメモリトランジスタ70a,70cが1つのメモリセルとして機能する。枠74のメモリセルでは、ビット線BL1,/BL1に繋がるメモリトランジスタ70a,70cに互いに反対の情報を書き込み、メモリトランジスタ70a,70cを差動させて、1つのメモリセルの情報を読み出す。同様に、不揮発性メモリ60では、一対のメモリトランジスタ70b,70d、一対のメモリトランジスタ70e,70g、及び一対のメモリトランジスタ70f,70hが、それぞれ1つのメモリセルとして機能する。
不揮発性メモリ60における情報のプログラム(書き込み)、リード(読み出し)及びイレーズ(消去)の各動作の一例を、図42、図43及び図44を参照して具体的に説明する。尚、ここでは、nチャネル型のメモリトランジスタ70a,70b,70c,70d,70e,70f,70g,70hを備える不揮発性メモリ60を例にする。
図42はツインビットセル型不揮発性メモリのプログラム動作の説明図である。
例えば、一対のメモリトランジスタ70a,70cを含むメモリセル(枠74)に対するプログラム動作時には、ワード線WL1の電位がhigh、ビット線BL1の電位がlow、ビット線/BL1の電位がhigh、ソース線SL1の電位がhighとされる。ワード線WL2の電位はlow、ビット線BL2,/BL2の電位はlow、ソース線SL2の電位はlowとされる。これにより、メモリトランジスタ70aのサイドウォール絶縁膜63にホットエレクトロン(ホットキャリア49、電荷49a)が注入、蓄積され、情報のプログラムが行われる。
図43はツインビットセル型不揮発性メモリのリード動作の説明図である。
メモリトランジスタ70a,70cを含むメモリセル(枠74)に対するリード動作時には、ワード線WL1の電位がhigh、ビット線BL1,/BL1の電位がhigh、ソース線SL1の電位がlowとされる。ワード線WL2の電位はlow、ビット線BL2,/BL2の電位はlow、ソース線SL2の電位はlowとされる。例えば上記図42のようにしてプログラムが行われたメモリトランジスタ70aを含むメモリセルでは、このような電位とした時、メモリトランジスタ70a,70cにそれぞれ繋がるビット線BL1,/BL1を流れる電流が互いに異なってくる。その電流の差を検出することで、メモリトランジスタ70aの情報のリードが行われる。
図44はツインビットセル型不揮発性メモリのイレーズ動作の説明図である。
メモリトランジスタ70a,70cを含むメモリセル(枠74)に対するイレーズ動作時には、まず、メモリトランジスタ70a,70cに対して上記のようなプログラム動作が行われる(図示せず)。このようにメモリセルのメモリトランジスタ70a,70cの双方がプログラム状態とされた後、ワード線WL1の電位が負(negative)、ビット線BL1,/BL1の電位がlow、ソース線SL1の電位がhighとされる。ワード線WL2の電位はlow、ビット線BL2,/BL2の電位はlow、ソース線SL2の電位はlowとされる。これにより、メモリセルのメモリトランジスタ70a,70cの双方にプログラムされた情報のイレーズが行われる。
このようなツインビットセル型の不揮発性メモリ60は、例えば、次の図45に示すような面積とされる。
図45はツインビットセル型不揮発性メモリの面積の説明図である。
例えば、メモリトランジスタ70a,70cを含む1つのメモリセルに着目する。
このメモリセルの方向Sについて、ワード線WL1のサイズ(ゲート長Lg)が0.06μm、プラグ71に接続される配線72a(部位72ab),72cの半サイズが各々0.04μm、ワード線WL1と配線72a(部位72ab),72cと間のサイズが各々0.07μmとする。この場合、メモリトランジスタ70a,70cを含むメモリセルの方向SのサイズUは、0.28μm(=0.06μm+0.04μm×2+0.07μm×2)となる。
メモリセルの方向Tについては、配線72a(部位72aa),72cの各々の幅とピッチがいずれも合計で0.18μmとする。この場合、メモリトランジスタ70a,70cを含むメモリセルの方向TのサイズVは、0.54μm(=0.18μm×3)となる。
従って、不揮発性メモリ60の、メモリトランジスタ70a,70cを含む1つのメモリセルの面積は、0.1512μm2(=0.28μm×0.54μm)となる。他のメモリセルについても同じである。例えば、1Mビットの不揮発性メモリ60の場合、メモリ領域の合計面積は1.21mm2、メモリマクロ全体(メモリ領域のほかロジック領域やI/O領域等を含む)の面積は3mm2、メモリ領域の占有率は40%となる。
SCR層を有しないメモリトランジスタと、それを用いたツインビットセル型の不揮発性メモリについて述べたが、これに対し、SCR層を有するメモリトランジスタを用いると、以下に示すようなメリットがある。
図46は実施の形態に係るメモリトランジスタの一例を示す図である。図46にはメモリトランジスタの一例の要部断面を模式的に図示している。
図46に示すメモリトランジスタ40Cは、半導体基板2の上方に設けられたゲート絶縁膜41、ゲート絶縁膜41の上方に設けられたゲート電極42、ゲート電極42の側壁及び半導体基板2の上方に設けられたサイドウォール絶縁膜43を有する。サイドウォール絶縁膜43は、酸化シリコン等の酸化膜43aと、窒化シリコン等の窒化膜43bが積層された構造を有する。メモリトランジスタ40Cは更に、ゲート電極42の両側の半導体基板2内にそれぞれ設けられ、SD領域として機能する不純物領域44a,44bを有する。メモリトランジスタ40Cはまた、サイドウォール絶縁膜43の下方の半導体基板2内で、SD領域として機能する不純物領域44a,44bの内側に、LDD領域45a,45bを有する。LDD領域45a,45b間が、キャリアが移動するチャネル領域46となる。メモリトランジスタ40Cは、このチャネル領域46の下方に、SCR層として不純物領域47を有する。
メモリトランジスタ40Cのチャネル領域46は、不純物を意図的に添加していないノンドープの領域、或いは、含まれる不純物が極低濃度の領域である。その下方の不純物領域47は、LDD領域45a,45bとは異なる導電型でチャネル領域46よりも高濃度の不純物を含む領域、例えば高濃度のp型領域である。LDD領域45a,45bの不純物注入時のドーズ量は、SCR層である不純物領域47の不純物注入時のドーズ量よりも、低い値に設定される。
メモリトランジスタ40Cでは、ノンドープ又は極低濃度のチャネル領域46が、低い閾値電圧を実現すると共に、閾値電圧のばらつきも低減させる。メモリトランジスタ40Cの閾値電圧のばらつき評価値AVTは、4mVμm程度であり、1Mビットのメモリ領域全体では、閾値電圧のばらつきが5σ=0.2V程度と、上記メモリトランジスタ40B(図40)を用いた場合に比べて極めて小さくなる。
メモリトランジスタ40Cでは、比較的高濃度の不純物領域47が、効率良くホットキャリア49を生成させる。サイドウォール絶縁膜43の下方のLDD領域45a,45bは、ノンドープ又は極低濃度のチャネル領域46が形成される半導体層に形成される(図63及び図64)。ノンドープ又は極低濃度のチャネル領域46が形成される半導体層は、不純物領域47からの不純物、例えばp型の不純物の拡散を抑制する。そのため、LDD領域45a,45bの不純物注入、例えばn型の不純物の注入を低ドーズ量としても、必ずその不純物の導電型、例えばn型となり、オフセットにはならない。こうしてメモリトランジスタ40Cでは、サイドウォール絶縁膜43に電荷49aがトラップされていない状態で高いオン電流を安定して実現でき、且つ、サイドウォール絶縁膜43に電荷49aがトラップされた状態で大きな閾値電圧の変化を生じさせることができる。
ここで、LDD領域の不純物にリンを用いた場合の濃度プロファイルの一例を図47に示す。
図47には、不純物注入によるSCR層の形成(図61)、エピタキシャル成長による半導体層の形成(図63)、及びゲート絶縁膜を介したゲート電極の形成(図64)が行われた半導体基板に対し、LDD領域としてリンを注入した場合のTCAD(Technology Computer Aided Design)による濃度プロファイルを示している。
SCR層の形成には、次のような不純物注入条件が用いられる。ゲルマニウムを加速エネルギー30keV、ドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。炭素を加速エネルギー5keV、ドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。ホウ素を加速エネルギー20keV、ドーズ量4×1013cm-2の条件で注入する。
図47(A)は、加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1012cm-2のリンの注入を、チルト角28°で四方向から行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。図47(B)は、加速エネルギー35keV、ドーズ量1.0×1012cm-2のリンの注入を、チルト角28°で四方向から行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。図47(C)は、加速エネルギー35keV、ドーズ量5.0×1011cm-2のリンの注入を、チルト角28°で四方向から行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。図47(D)は、LDD領域の形成のために、加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1011cm-2のリンの注入を、チルト角28°で四方向から行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。
図47(A)〜図47(D)において、横軸は半導体基板の表面からの深さ[μm]を表し、縦軸はp型及びn型の不純物の濃度[cm-3]を表している。尚、図47(A)〜図47(D)には、p型の不純物の濃度プロファイルを太鎖線で、n型の不純物の濃度プロファイルを太実線で、p型及びn型の不純物の相殺された濃度プロファイルを細点線で、それぞれ図示している。
例えば、図47(A)に示すように、LDD領域の形成のために注入されるn型の不純物(リン)は、SCR層の形成のために注入されるp型の不純物(ホウ素)よりも半導体基板の表面側に存在する。図47(A)のようなn型の不純物の注入条件では、n型のLDD領域が、内部にp型のSCR層を形成した半導体基板の表面近傍に、安定的に形成される。同様に、図47(B)及び図47(C)のようなn型の不純物の注入条件でも、n型の不純物は、p型の不純物よりも半導体基板の表面側に存在し、n型のLDD領域が、内部にp型のSCR層を形成した半導体基板の表面近傍に、安定的に形成される。更に、図47(D)のようなn型の不純物の注入条件でも、n型のLDD領域が、内部にp型のSCR層を形成した半導体基板の表面近傍に形成される。図47(A)〜図47(D)より、n型のLDD領域は、極低濃度、例えば1×1017cm-3以下といった極低濃度であっても、内部にp型のSCR層を形成した半導体基板の表面近傍に形成することができる。
また、LDD領域の不純物にヒ素を用いた場合の濃度プロファイルの一例を図48に示す。
図48には、不純物注入によるSCR層の形成(図61)、エピタキシャル成長による半導体層の形成(図63)、及びゲート絶縁膜を介したゲート電極の形成(図64)が行われた半導体基板に対し、LDD領域としてヒ素を注入した場合のTCADによる濃度プロファイルを示している。
SCR層の形成には、次のような不純物注入条件が用いられる。ゲルマニウムを加速エネルギー30keV、ドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。炭素を加速エネルギー5keV、ドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。ホウ素を加速エネルギー20keV、ドーズ量4×1013cm-2の条件で注入する。
図48(A)は、加速エネルギー10keV、ドーズ量2.5×1012cm-2のヒ素の注入を、チルト角0°で四回行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。図48(B)は、加速エネルギー10keV、ドーズ量1.0×1012cm-2のヒ素の注入を、チルト角0°で四回行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。図48(C)は、加速エネルギー10keV、ドーズ量5.0×1011cm-2のヒ素の注入を、チルト角0°で四回行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。図48(D)は、加速エネルギー10keV、ドーズ量2.5×1011cm-2のヒ素の注入を、チルト角0°で四回行い、LDD領域を形成する場合の濃度プロファイルである。
図48(A)〜図48(D)において、横軸は半導体基板の表面からの深さ[μm]を表し、縦軸はp型及びn型の不純物の濃度[cm-3]を表している。尚、図48(A)〜図48(D)には、p型の不純物の濃度プロファイルを太鎖線で、n型の不純物の濃度プロファイルを太実線で、p型及びn型の不純物の相殺された濃度プロファイルを細点線で、それぞれ図示している。
例えば、図48(A)に示すように、LDD領域の形成のために注入されるn型の不純物(ヒ素)は、SCR層の形成のために注入されるp型の不純物(ホウ素)よりも半導体基板の表面側に存在する。図48(A)のようなn型の不純物の注入条件では、n型のLDD領域が、内部にp型のSCR層を形成した半導体基板の表面近傍に、安定的に形成される。同様に、図48(B)〜図48(D)のようなn型の不純物の注入条件でも、n型の不純物は、p型の不純物よりも半導体基板の表面側に存在し、n型のLDD領域が、内部にp型のSCR層を形成した半導体基板の表面近傍に、安定的に形成される。
図49はSCR層を有するメモリトランジスタのプログラム特性の一例を示す図である。
図49には、SCR層である不純物領域47を有する、上記図46に示したメモリトランジスタ40Cの、プログラム前後のリード動作で得られるゲート電圧Vg[V]とリード電流(ドレイン電流)Id[A/μm]の関係を示している。
メモリトランジスタ40Cに対するプログラム動作は、不純物領域44a及び半導体基板2が共に0Vとし、ゲート電極42及び不純物領域44bを共に4V(プログラム電圧Vp=4V)とした電圧条件で行われる。この電圧条件で、プログラム時間Tp=1μsのプログラム動作後、不純物領域44b及び半導体基板2を0Vとし、ゲート電極42に所定の電圧、不純物領域44aに0.5V(ドレイン電圧Vd=0.5V)を印加してリード動作が行われる。このリード動作時のゲート電圧Vgとリード電流Idの関係を、図49に示している。
メモリトランジスタ40Cの、プログラム前(initial)の閾値電圧は、0.5V程度である。図49より、メモリトランジスタ40Cでは、ゲート電圧Vg=1.0Vでも、0.5μA以上の十分なオン電流が得られる。メモリトランジスタ40Cに対し、上記のようなプログラム電圧Vp=4V、プログラム時間Tp=1μsという、比較的低電圧で短時間のプログラム動作を行うと、プログラム後の閾値電圧は、1V程度、高Vg側にシフトする。プログラム前後のオン電流比は4桁程度と、SCR層(不純物領域47)を有しない上記メモリトランジスタ40Bに比べて格段に大きい。メモリトランジスタ40Cにおける、このプログラム前後の閾値電圧のシフトは、例えば1Mビットのメモリ領域の場合、そのメモリ領域全体の閾値電圧のばらつきよりも格段に大きくなる。従って、メモリトランジスタ40Cであれば、必ずしもツインビットセル型の構成を採用することを要しない。
メモリトランジスタ40Cについて更に説明する。
図50はSCR層を有するメモリトランジスタのイレーズ特性の一例を示す図である。
図50には、SCR層である不純物領域47を有する、上記図46に示したメモリトランジスタ40Cの、プログラム前後及びイレーズ後のリード動作で得られるゲート電圧Vg[V]とリード電流Id[A/μm]の関係を示している。
メモリトランジスタ40Cに対するプログラム動作は、不純物領域44a及び半導体基板2を共に0Vとし、ゲート電極42及び不純物領域44bを共に4V(プログラム電圧Vp=4V)とし、プログラム時間Tpを1μsとして行われる。プログラム動作後のイレーズ動作は、不純物領域44a及び半導体基板2を共に0Vとし、ゲート電極42を−5V、不純物領域44bを5V(イレーズ電圧Ve=5V)とし、イレーズ時間Teを1ms、10ms、100ms、1sとして行われる。プログラム前後及びイレーズ後のリード動作は、不純物領域44b及び半導体基板2を0Vとし、ゲート電極42に所定の電圧、不純物領域44aに0.5V(ドレイン電圧Vd=0.5V)を印加して行われる。このリード動作時のゲート電圧Vgとリード電流Idの関係を、図50に示している。
上記図49で述べたように、プログラム電圧Vp=4V、プログラム時間Tp=1μsの条件でプログラム動作を行うと、プログラム後の閾値電圧は、プログラム前(initial)よりも、1V程度、高Vg側にシフトする。
このプログラム後のメモリトランジスタ40Cに対し、イレーズ電圧Ve=5V、イレーズ時間1msの条件でイレーズ動作を行うと、図50に示すように、イレーズ後の閾値電圧は、0.4V程度、低Vg側にシフトバックする。プログラム後のメモリトランジスタ40Cに対し、より長いイレーズ時間10msでイレーズ動作を行うと、イレーズ後の閾値電圧は、プログラム前(initial)の値まで戻る。メモリトランジスタ40Cでは、プログラム後、イレーズ時間を更に長い100ms、1sでイレーズ動作を行っても、図50に示すように、イレーズ後の閾値電圧は殆どシフトせず、オーバーイレーズ(過消去)状態とはならない。このようにSCR層(不純物領域47)を有するトランジスタ40Cでは、イレーズ電圧Ve=5V、イレーズ時間10ms又は10ms以上の条件で、良好なイレーズ動作が行える。
図51〜図53はそれぞれ、SCR層を有するメモリトランジスタのプログラム特性のLDD領域濃度依存性を説明する図である。
図51(A)には、SCR層である不純物領域47にホウ素を注入し、LDD領域45a,45bにリンを注入し、SD領域である不純物領域44a,44bにヒ素を注入したメモリトランジスタ40Cのプログラム特性を示している。ここで、SCR層のホウ素は、加速エネルギー20keV、ドーズ量2.5×1013cm-2の条件で注入される。LDD領域45a,45bのリンは、加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1012cm-2、チルト角28°の条件で四方向から注入される。
プログラム動作は、不純物領域44a及び半導体基板2を共に0Vとし、ゲート電極42及び不純物領域44bを共に4V(プログラム電圧Vp=4V)とし、プログラム時間Tpを10μsとして行われる。リード動作は、不純物領域44b及び半導体基板2を0Vとし、ゲート電極42に所定のゲート電圧Vg、不純物領域44aにドレイン電圧Vd=0.5Vを印加して行われる。図51(A)には、プログラム前後のリード動作で得られるゲート電圧Vg[V]とリード電流Id[A/μm]の関係を示している。図51(B)には、図51(A)のId−Vg特性のメモリトランジスタ40Cにおける不純物領域47及びLDD領域45a,45bのp型及びn型の不純物の、TCADによる濃度プロファイルを示している。
図52(A)には、SCR層である不純物領域47にホウ素を注入し、LDD領域45a,45bにヒ素を注入し、SD領域である不純物領域44a,44bにヒ素を注入したメモリトランジスタ40Cのプログラム特性を例示している。ここで、SCR層のホウ素は、加速エネルギー20keV、ドーズ量2.5×1013cm-2の条件で注入される。LDD領域45a,45bのヒ素は、加速エネルギー10keV、ドーズ量5×1011cm-2、チルト角0°の条件で四回注入される。
プログラム動作は、不純物領域44a及び半導体基板2を共に0Vとし、ゲート電極42及び不純物領域44bを共に4V(プログラム電圧Vp=4V)とし、プログラム時間Tpを10μsとして行われる。リード動作は、不純物領域44b及び半導体基板2を0Vとし、ゲート電極42に所定のゲート電圧Vg、不純物領域44aにドレイン電圧Vd=0.5Vを印加して行われる。図52(A)には、プログラム前後のリード動作で得られるゲート電圧Vg[V]とリード電流Id[A/μm]の関係を示している。図52(B)には、図52(A)のId−Vg特性のメモリトランジスタ40Cにおける不純物領域47及びLDD領域45a,45bのp型及びn型の不純物の、TCADによる濃度プロファイルを示している。
図53(A)には、SCR層である不純物領域47にホウ素を注入し、LDD領域45a,45bにヒ素を注入し、SD領域である不純物領域44a,44bにヒ素を注入したメモリトランジスタ40Cのプログラム特性を例示している。ここで、SCR層のホウ素は、加速エネルギー20keV、ドーズ量2.5×1013cm-2の条件で注入される。LDD領域45a,45bのヒ素は、加速エネルギー10keV、ドーズ量1×1013cm-2、チルト角0°の条件で四回注入される。
プログラム動作は、不純物領域44a及び半導体基板2を共に0Vとし、ゲート電極42及び不純物領域44bを共に4V(プログラム電圧Vp=4V)とし、プログラム時間Tpを10μsとして行われる。リード動作は、不純物領域44b及び半導体基板2を0Vとし、ゲート電極42に所定のゲート電圧Vg、不純物領域44aにドレイン電圧Vd=0.5Vを印加して行われる。図53(A)には、プログラム前後のリード動作で得られるゲート電圧Vg[V]とリード電流Id[A/μm]の関係を示している。図53(B)には、図53(A)のId−Vg特性のメモリトランジスタ40Cにおける不純物領域47及びLDD領域45a,45bのp型及びn型の不純物の、TCADによる濃度プロファイルを示している。
図51(A)より、リンを上記条件で注入してLDD領域45a,45bを形成したメモリトランジスタ40Cでは、Vp=4V、Tp=10μsのプログラム後(program)、閾値電圧がプログラム前(initial)の値から比較的大きくシフトする。また、図52(A)より、ヒ素を上記条件で注入してLDD領域45a,45bを形成したメモリトランジスタ40Cでも、Vp=4V、Tp=10μsのプログラム後(program)、閾値電圧がプログラム前(initial)の値から比較的大きくシフトする。これに対し、図53(A)より、ヒ素を、図52(A)の場合よりも高濃度に注入してLDD領域45a,45bを形成した場合には、Vp=4V、Tp=10μsのプログラム後(program)、閾値電圧がプログラム前(initial)の値から殆どシフトしない。
図51(A)及び図52(A)のように、閾値電圧が比較的大きくシフトするメモリトランジスタ40Cでは、図51(B)及び図52(B)のように、内部にp型の不純物(SCR層)が存在する半導体基板2の表面近傍に、比較的低濃度のn型の不純物(LDD領域)が存在する。これに対し、図53(A)のように、閾値電圧が殆どシフトしないメモリトランジスタ40Cでは、図53(B)のように、内部にp型の不純物(SCR層)が存在する半導体基板2の表面近傍に、比較的高濃度のn型の不純物(LDD領域)が存在する。
図51〜図53より、メモリトランジスタ40Cでは、LDD領域45a,45bが比較的低濃度であると比較的高いプログラムスピードが得られる一方、LDD領域45a,45bが過剰に高濃度になるとプログラムスピードが低下する。プログラムスピードの大幅な低下を抑制する観点から、LDD領域45a,45bの濃度は、5×1018cm-3以下、好ましくは5×1017cm-3以下、より好ましくは3×1017cm-3以下、更には1×1017cm-3以下に設定される。
図54及び図55はそれぞれ、SCR層を有するメモリトランジスタのプログラム特性のSCR層濃度依存性及びSD領域不純物種依存性を説明する図である。
図54には、上記図51(A)に示したプログラム前(initial)のId−Vg特性を実線X1iで、プログラム後(program)のId−Vg特性を鎖線X1pで、それぞれ示している。併せて図54には、上記図51(A)の場合よりもSCR層の不純物領域47を高濃度としたメモリトランジスタ40Cの、プログラム前(initial)のId−Vg特性を太実線X2iで、プログラム後(program)のId−Vg特性を太鎖線X2pで、それぞれ示している。当該高濃度のSCR層には、ホウ素が、加速エネルギー20keV、ドーズ量4.0×1013cm-2の条件で注入される。図54のId−Vg特性を示すメモリトランジスタ40Cにおいて、そのSD領域の不純物領域44a,44bには、ヒ素が注入される。尚、プログラム動作及びリード動作は、上記図51(A)の場合と同条件で行われる。
図55には、SCR層の不純物領域47及びLDD領域45a,45bの不純物注入条件(不純物濃度)は図54の場合と同じで、SD領域の不純物領域44a,44bに、ヒ素ではなく、リンが注入されるメモリトランジスタ40CのId−Vg特性を示している。
即ち、第1のメモリトランジスタ40Cは、比較的低濃度のSCR層を有するものであり、SCR層には、ホウ素が加速エネルギー20keV、ドーズ量2.5×1013cm-2で注入される。この第1のメモリトランジスタ40CのLDD領域45a,45bには、リンが加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1012cm-2、チルト角28°で四回注入され、SD領域には、リンが注入される。図55には、この第1のメモリトランジスタ40Cの、プログラム前(initial)のId−Vg特性を実線Y1iで、プログラム後(program)のId−Vg特性を鎖線Y1pで、それぞれ示している。尚、プログラム動作及びリード動作は、上記図54の場合と同条件で行われる。
また、第2のメモリトランジスタ40Cは、比較的高濃度のSCR層を有するものであり、SCR層には、ホウ素が加速エネルギー20keV、ドーズ量4.0×1013cm-2で注入される。この第2のメモリトランジスタ40CのLDD領域45a,45bには、リンが加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1012cm-2、チルト角28°で四回注入され、SD領域には、リンが注入される。図55には、この第2のメモリトランジスタ40Cの、プログラム前(initial)のId−Vg特性を太実線Y2iで、プログラム後(program)のId−Vg特性を太鎖線Y2pで、それぞれ示している。尚、プログラム動作及びリード動作は、上記図54の場合と同条件で行われる。
図54及び図55より、SD領域に注入される不純物がヒ素、リンのいずれの場合にも、SCR層のドーズ量を高め、不純物の濃度を高めた場合の方が、同条件でのプログラム前後の閾値電圧のシフトが大きくなる。また、図54及び図55より、SD領域に注入される不純物がリンの場合(図55)には、SD領域に注入される不純物がヒ素の場合(図54)よりも、ジャンクションリークを減らして、オフ電流Ioffを小さくすることができる。
図56はSCR層を有するメモリトランジスタのプログラム特性の別例を示す図である。
図56には、上記図55に実線Y1i及び鎖線Y1pで示したId−Vg特性を示している。即ち、図56には、上記図55について述べた第1のメモリトランジスタ40Cの、プログラム前後のId−Vg特性を、それぞれ実線Y1iと鎖線Y1pで示している。併せて図56には、当該第1のメモリトランジスタ40Cのプログラム動作時に、その半導体基板2に対して−3.0Vの基板バイアス(バックバイアス)Vbbを印加した場合のId−Vg特性を、太鎖線Z1pで示している。尚、プログラム動作及びリード動作は、上記図55の場合と同条件で行われる。
図56より、プログラム動作時に基板バイアスVbbを印加する場合(太鎖線Z1p)には、基板バイアスVbbを印加しない場合(鎖線Y1p)よりも、プログラム後の閾値電圧が、プログラム前の閾値電圧に対して大幅に高Vg側にシフトする。プログラム動作時に基板バイアスVbbを印加することで、プログラムスピードの大幅な向上を図ることができる。
以上述べたように、SCR層として不純物領域47を有するメモリトランジスタ40Cでは、LDD領域45a,45bに注入される不純物、例えばリンやヒ素のようなn型の不純物を、極低濃度とすることができる。更に、LDD領域45a,45b、不純物領域47(SCR層)及び不純物領域44a,44b(SD領域)に注入される不純物の種類や濃度の調整、或いは更に基板バイアスVbbの印加によって、メモリトランジスタ40Cの特性向上が図られる。例えば、メモリトランジスタ40Cの、プログラム前後の閾値電圧変化量の増大、即ちプログラムスピードの増大が図られる。また、メモリトランジスタ40Cでは、オーバーイレーズが抑えられる。そのため、メモリトランジスタ40Cを用いた不揮発性メモリでは、必ずしもイレーズ動作後にイレーズベリファイといった比較的複雑な処理動作を行うことを要しない。
続いて、上記のようなSCR層を有するメモリトランジスタ40Cを用いた不揮発性メモリについて説明する。
図57はSCR層を有するメモリトランジスタを用いた不揮発性メモリの一例を示す図である。図57にはSCR層を有するメモリトランジスタを用いた不揮発性メモリの一例の要部平面レイアウトを模式的に図示している。
図57に示す不揮発性メモリ80(半導体装置)は、素子領域(図46の半導体基板2の素子領域)として、方向Sに延在され、方向Sと直交する方向Tに並設された複数(一例として4つ)のアクティブ領域81a,81b,81c,81dを有する。これらのアクティブ領域81a,81b,81c,81dを横切るように、方向Tに、図示しないゲート絶縁膜(図46のゲート絶縁膜41に相当)を介して、ワード線WL1,WL2(図46のゲート電極42に相当)が延在される。ワード線WL1,WL2の側壁には、サイドウォール絶縁膜83(図46のサイドウォール絶縁膜43に相当)が形成される。各アクティブ領域81a,81b,81c,81dのワード線WL1,WL2の両側にそれぞれ、SD領域として機能する不純物領域84(図46の不純物領域44a,44bに相当)が形成される。サイドウォール絶縁膜83の下方で、不純物領域84の内側には、図示しないLDD領域(図46の不純物領域45a,45bに相当)が形成され、LDD領域間に、図示しないチャネル領域が形成される。また、チャネル領域の下方に、SCR層となる図示しない不純物領域が形成される。不揮発性メモリ80には、これらの要素によって形成された複数(一例として8つ)のメモリトランジスタ90a,90b,90c,90d,90e,90f,90g,90h(図46のメモリトランジスタ40Cに相当)が含まれる。
各不純物領域84上には、上層に向かって延びるプラグ91(コンタクト)が形成される。各不純物領域84は、プラグ91を介して、第1層目の導体層に含まれる配線92a,92bに接続される。
配線92aは、方向Tに延在される。配線92aは、アクティブ領域81aのメモリトランジスタ90a,90bで共用される不純物領域84に、プラグ91を介して接続される。配線92aは、アクティブ領域81bのメモリトランジスタ90c,90dで共用される不純物領域84に、プラグ91を介して接続される。配線92aは、アクティブ領域81cのメモリトランジスタ90e,90fで共用される不純物領域84に、プラグ91を介して接続される。配線92aは、アクティブ領域81dのメモリトランジスタ90g,90hで共用される不純物領域84に、プラグ91を介して接続される。配線92aは、ソース線(SL1)として用いられる。
配線92bは、各メモリトランジスタ90a,90b,90c,90d,90e,90f,90g,90hの、ソース線SL1と繋がる不純物領域84とは反対側の不純物領域84に、プラグ91を介して接続される。
各配線92b上には、上層に向かって延びるビア93が形成される。アクティブ領域81aのトランジスタ90a,90bの不純物領域84に繋がる配線92bは、ビア93を介して、方向Sに延在されるビット線BL1に接続される。アクティブ領域81bのトランジスタ90c,90dの不純物領域84に繋がる配線92bは、ビア93を介して、方向Sに延在されるビット線BL2に接続される。アクティブ領域81cのトランジスタ90e,90fの不純物領域84に繋がる配線92bは、ビア93を介して、方向Sに延在されるビット線BL3に接続される。アクティブ領域81dのトランジスタ90g,90hの不純物領域84に繋がる配線92bは、ビア93を介して、方向Sに延在されるビット線BL4に接続される。ビット線BL1,BL2,BL3,BL4は、不揮発性メモリ80の第2層目の導体層に含まれる。
不揮発性メモリ80では、個々のメモリトランジスタ90a,90b,90c,90d,90e,90f,90g,90hが、1つのメモリセルとして機能する。不揮発性メモリ80における情報のプログラム、リード及びイレーズの各動作の一例を、図58、図59及び図60を参照して具体的に説明する。尚、ここでは、nチャネル型のメモリトランジスタ90a,90b,90c,90d,90e,90f,90g,90hを備える不揮発性メモリ80を例にする。
図58はSCR層を有するメモリトランジスタを用いた不揮発性メモリのプログラム動作の説明図である。図58(A)にはプログラム動作時の当該不揮発性メモリの要部平面を模式的に図示し、図58(B)にはプログラム動作時の当該不揮発性メモリの要部断面を模式的に図示している。尚、図58(B)は図58(A)のL1−L1断面模式図である。
例えば、SCR層となる不純物領域87を有するメモリトランジスタ90a(メモリセル)に対するプログラム動作時には、ゲート絶縁膜81上のワード線WL1の電位がhigh(4V〜5V)、ビット線BL1の電位がlow(0V)、ソース線SL1の電位がhigh(4V〜5V)とされる。非選択のワード線WL2の電位はlow(0V)、非選択のビット線BL2〜BL4の電位はhigh(4V〜5V)とされる。これにより、メモリトランジスタ90aの、ソース線SL1側のLDD領域85上方のサイドウォール絶縁膜83に、ホットエレクトロン(ホットキャリア49、電荷49a)が注入、蓄積され、情報のプログラムが行われる。
メモリトランジスタ90aのLDD領域85が極低濃度であるため、LDD領域85の電場は比較的小さい。一方、LDD領域85の外側に隣接するSD領域である不純物領域84は高濃度であるため、電場は不純物領域84の端部で急激に大きくなる。結果として、ソース線SL1側の不純物領域84(ドレイン)近傍でホットエレクトロンが効率的に生成され、生成されたホットエレクトロンがソース線SL1側のLDD領域85上方のサイドウォール絶縁膜83に効率良く注入される。
図59はSCR層を有するメモリトランジスタを用いた不揮発性メモリのリード動作の説明図である。図59(A)にはリード動作時の当該不揮発性メモリの要部平面を模式的に図示し、図59(B)にはリード動作時の当該不揮発性メモリの要部断面を模式的に図示している。尚、図59(B)は図59(A)のL2−L2断面模式図である。
メモリトランジスタ90aに対するリード動作時には、ワード線WL1の電位がhigh(0.5V)、ビット線BL1の電位がhigh(0.5V)、ソース線SL1の電位がlow(0V)とされる。非選択のワード線WL2の電位はlow(0V)、非選択のビット線BL2〜BL4の電位はlow(0V)とされる。尚、図59には、サイドウォール絶縁膜83に電荷49aが注入、蓄積されたメモリトランジスタ90aを例示している。このような電位とした時にビット線BL1側からソース線SL1側に流れる電流を検出することで、メモリトランジスタ90aの情報のリードが行われる。
図60はSCR層を有するメモリトランジスタを用いた不揮発性メモリのイレーズ動作の説明図である。図60(A)にはイレーズ動作時の当該不揮発性メモリの要部平面を模式的に図示し、図60(B)にはイレーズ動作時の当該不揮発性メモリの要部断面を模式的に図示している。尚、図60(B)は図60(A)のL3−L3断面模式図である。
メモリトランジスタ90aに対するイレーズ動作時には、まず、ワード線WL1に繋がるメモリトランジスタ90a,90c,90e,90gに対して上記のようなプログラム動作が行われる(図示せず)。このようにメモリトランジスタ90a,90c,90e,90gがプログラム状態とされた後、ワード線WL1の電位が負(negative,−5V〜−6V)、ビット線BL1〜BL4の電位がlow(0V)、ソース線SL1の電位がhigh(5V〜6V)とされる。非選択のワード線WL2の電位はlow(0V)とされる。これにより、メモリトランジスタ90aを含む、ワード線WL1に繋がるメモリトランジスタ90a,90c,90e,90gにプログラムされた情報のイレーズが行われる。
イレーズ動作時には、ソース線SL1側の不純物領域84近傍でホットホール(ホットキャリア49)が生成され、ソース線SL1側のLDD領域85上方のサイドウォール絶縁膜83に蓄積されていた電子(電荷49a)が中和される。ホットホールは、ソース線SL1側の不純物領域84近傍で生成されるため、当該不純物領域84から離れた領域の閾値電圧への影響が抑えられる。従って、ワード線WL1のゲート長Lgを過剰に小さくしなければ、全体としての閾値電圧は正、つまりメモリトランジスタ90aのオフ電流が初期の値を大きく超えることはない。
尚、フローティングゲート型のメモリトランジスタでは、イレーズ時間を延ばすと閾値電圧が負となってしまうオーバーイレーズという問題が生じ得るが、上記のようなSCR層を有するメモリトランジスタでは、ゲート長Lgを過剰に小さく設定しなければ、そのような問題を回避することができる。
上記のようにしてプログラム、リード及びイレーズの各動作が行える不揮発性メモリ80では、前述のツインビットセル型の不揮発性メモリ60に比べて、メモリ領域の面積の縮小化を図ることができる。ここで、図57に示した不揮発性メモリ80において、1つのメモリセル、例えばメモリトランジスタ90aに着目する。
メモリトランジスタ90aの方向Sについて、ワード線WL1のサイズ(ゲート長Lg)が0.06μm、プラグ91に接続されるソース線SL1及び配線92bの半サイズが各々0.04μm、ワード線WL1とソース線SL1及び配線92bとの間のサイズが各々0.07μmとする。この場合、メモリトランジスタ90aの方向SのサイズUは、0.28μm(=0.06μm+0.04μm×2+0.07μm×2)となる。
メモリトランジスタ90aの方向Tについては、配線92bの幅とピッチが合計で0.18μmとすると、メモリトランジスタ90aの方向TのサイズVは、0.18μmとなる。
従って、不揮発性メモリ80の1つのメモリセルの面積は、0.0504μm2(=0.28μm×0.18μm)となる。他のメモリセルについても同じである。例えば、1Mビットの不揮発性メモリ80の場合、メモリ領域の合計面積は0.402mm2、メモリマクロ全体(メモリ領域のほかロジック領域やI/O領域等を含む)の面積は1.34mm2、メモリ領域の占有率は30%となる。不揮発性メモリ80では、ツインビットセル型の不揮発性メモリ60に比べて、メモリ領域の面積を3分の1に縮小化することができる。
メモリトランジスタ40C(90a等)を用いた不揮発性メモリの構成及び製造方法の一例を図61〜図65を参照して更に説明する。
図61〜図65は不揮発性メモリの製造方法の一例を示す図である。ここで、図61は第1製造工程の一例の要部断面模式図、図62は第2製造工程の一例の要部断面模式図、図63は第3製造工程の一例の要部断面模式図、図64は第4製造工程の一例の要部断面模式図、図65は第5製造工程の一例の要部断面模式図である。以下、図61〜図65を参照し、不揮発性メモリの製造工程の一例について、順に説明する。
まず、図61に示すように、半導体基板2上に、メモリトランジスタ40C(図65)の素子領域40bが開口され、ロジックトランジスタ50(図65)の素子領域50b、及びI/Oトランジスタ30(図65)の素子領域30bが覆われたレジストパターン5vを形成する。このレジストパターン5vをマスクにして、素子領域40bの半導体基板2に対し、所定の不純物注入を行う。例えば、ゲルマニウムを30keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。炭素を5keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。ホウ素を20keVの加速エネルギーでドーズ量4×1013cm-2の条件で注入する。この不純物注入により、メモリトランジスタ40Cの比較的高濃度の不純物領域47(SCR層)を形成する。
次いで、図62に示すように、半導体基板2上に、ロジックトランジスタ50の素子領域50bが開口され、メモリトランジスタ40Cの素子領域40b、及びI/Oトランジスタ30の素子領域30bが覆われたレジストパターン5wを形成する。このレジストパターン5wをマスクにして、素子領域50bの半導体基板2に対し、所定の不純物注入を行う。例えば、ゲルマニウムを30keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。炭素を5keVの加速エネルギーでドーズ量5×1014cm-2の条件で注入する。ホウ素を20keVの加速エネルギーでドーズ量5×1012cm-2の条件で注入する。フッ化ホウ素を10keVの加速エネルギーでドーズ量1.5×1012cm-2の条件で注入する。この不純物注入により、ロジックトランジスタ50の比較的高濃度の不純物領域57(SCR層)を形成する。
次いで、図63に示すように、半導体基板2上に半導体材料をエピタキシャル成長させ、素子領域40bの不純物領域47上、及び素子領域50bの不純物領域57上に、半導体層8c(ノンドープ層)を形成する。この半導体層8cに、メモリトランジスタ40Cのチャネル領域46、及びロジックトランジスタ50のチャネル領域56が形成される。尚、エピタキシャル成長により、素子領域30bにも、素子領域40b及び素子領域50bの半導体層8cと同様の半導体層が形成されるが、ここでは便宜上、半導体基板2と一体のものとして説明する。半導体層8cの形成後、図63に示すように、素子領域40b、素子領域30b及び素子領域50bを画定する素子分離領域3を形成する。
次いで、素子領域30b及び素子領域50bの半導体基板2に対し、I/Oトランジスタ30及びロジックトランジスタ50の各閾値電圧を調整するための不純物注入を行う。その後、熱酸化法により、図64に示すように、素子領域30b、素子領域40b及び素子領域50bにそれぞれ、所定の膜厚のゲート絶縁膜31、ゲート絶縁膜41及びゲート絶縁膜51を形成する。例えば、膜厚7nmのゲート絶縁膜31及びゲート絶縁膜41、並びに膜厚1.5nmのゲート絶縁膜51を形成する。次いで、ポリシリコンの形成とそのパターニングにより、ゲート電極32、ゲート電極42及びゲート電極52を形成する。
次いで、所定条件の不純物注入により、図64に示すように、LDD領域45a,45b、LDD領域35a,35b及びLDD領域55a,55bを形成する。例えば、リンを加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1012cm-2、チルト角28°で四方向から注入し、LDD領域45a,45b及びLDD領域35a,35bを形成する。ヒ素を加速エネルギー1.5keV、ドーズ量2.5×1014cm-2、チルト角0°で二回注入し、LDD領域55a,55bを形成する。これにより、図64のような構造を得る。LDD領域35a,35b間にI/Oトランジスタ30のチャネル領域36が形成される。LDD領域45a,45b間にメモリトランジスタ40Cのチャネル領域46が形成される。LDD領域55a,55b間にロジックトランジスタ50のチャネル領域56が形成される。
次いで、絶縁膜の形成とそのエッチバックにより、図65に示すように、ゲート電極32、ゲート電極42及びゲート電極52の各側壁に、サイドウォール絶縁膜33、サイドウォール絶縁膜43及びサイドウォール絶縁膜53を形成する。例えば、膜厚5nmの酸化シリコン等の酸化膜101、膜厚70nmの窒化シリコン等の窒化膜102を順に形成し、それらをエッチバックすることで、サイドウォール絶縁膜33、サイドウォール絶縁膜43及びサイドウォール絶縁膜53を形成する。尚、メモリトランジスタ40Cのサイドウォール絶縁膜43と、ロジックトランジスタ50のサイドウォール絶縁膜53には、異なる膜厚の酸化膜101を採用してもよい。例えば、メモリトランジスタ40Cのサイドウォール絶縁膜43の酸化膜101を、ロジックトランジスタ50のサイドウォール絶縁膜53の酸化膜101よりも薄くする。これにより、メモリトランジスタ40Cにおいて、ホットキャリアの窒化膜102への注入効率が高まり、プログラムスピードが改善される。
次いで、所定条件の不純物注入により、図65に示すように、I/Oトランジスタ30、メモリトランジスタ40C及びロジックトランジスタ50のSD領域となる不純物領域34a,34b、不純物領域44a,44b及び不純物領域54a,54bを形成する。例えば、リンを加速エネルギー8keV、ドーズ量1.2×1016cm-2の条件で注入し、不純物領域34a,34b、不純物領域44a,44b及び不純物領域54a,54bを形成する。
以上の工程により、共通の半導体基板2上にI/Oトランジスタ30、メモリトランジスタ40C及びロジックトランジスタ50が混載された不揮発性メモリ80aが得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
メモリトランジスタ40C(90a等)を用いた不揮発性メモリの構成及び製造方法の別例を図66〜図71を参照して更に説明する。
図66〜図71は不揮発性メモリの製造方法の別例を示す図である。ここで、図66は第1製造工程の一例の要部断面模式図、図67は第2製造工程の一例の要部断面模式図、図68は第3製造工程の一例の要部断面模式図、図69は第4製造工程の一例の要部断面模式図、図70は第5製造工程の一例の要部断面模式図、図71は第6製造工程の一例の要部断面模式図である。以下、図66〜図71を参照し、不揮発性メモリの製造工程の一例について、順に説明する。
この例では、上記図61〜図63の工程、及び上記図64の工程で述べたゲート絶縁膜31、ゲート絶縁膜41及びゲート絶縁膜51の形成まで行った後、まず図66に示すように、ポリシリコン4を形成する。
次いで、図67に示すように、ポリシリコン4上に所定のレジストパターン5xを形成し、これをマスクにしてポリシリコン4のエッチングを行い、メモリトランジスタ40Cのゲート電極42を形成する。
次いで、レジストパターン5xを除去し、半導体基板2上に残るゲート電極42及びポリシリコン4をマスクにして、素子領域40bの半導体基板2に対し、所定の不純物注入を行い、図68に示すように、LDD領域45a,45bを形成する。例えば、リンを加速エネルギー35keV、ドーズ量2.5×1012cm-2、チルト角28°で四方向から注入し、LDD領域45a,45bを形成する。LDD領域45a,45b間にメモリトランジスタ40Cのチャネル領域46が形成される。
次いで、絶縁膜の形成とそのエッチバックにより、図69に示すように、ゲート電極42の側壁にサイドウォール絶縁膜43を形成する。例えば、膜厚5nmの酸化シリコン等の酸化膜101、膜厚70nmの窒化シリコン等の窒化膜102を順に形成し、それらをエッチバックすることで、サイドウォール絶縁膜43を形成する。尚、ゲート電極42以外のポリシリコン4の側壁と半導体基板2の上方(素子分離領域3上)にも同様に、サイドウォール絶縁膜43が形成される。
次いで、図70に示すように、所定のレジストパターン5yを形成し、これをマスクにしてポリシリコン4のエッチングを行い、I/Oトランジスタ30のゲート電極32、及びロジックトランジスタ50のゲート電極52を形成する。尚、図70には、素子分離領域3上にもポリシリコン4の一部(縁部)を残した形態を図示している。
次いで、所定条件の不純物注入により、図71に示すように、素子領域30bにLDD領域35a,35bを形成し、素子領域50bにLDD領域55a,55bを形成する。LDD領域35a,35b間にI/Oトランジスタ30のチャネル領域36が形成され、LDD領域55a,55b間にロジックトランジスタ50のチャネル領域56が形成される。
次いで、絶縁膜の形成とそのエッチバックにより、図71に示すように、ゲート電極32及びゲート電極52の各側壁に、サイドウォール絶縁膜33及びサイドウォール絶縁膜53を形成する。サイドウォール絶縁膜33及びサイドウォール絶縁膜53は、メモリトランジスタ40Cのサイドウォール絶縁膜43の幅よりも小さい幅となるように形成される。尚、素子分離領域3上に残るポリシリコン4の側壁にも同様に、サイドウォール絶縁膜53(又は33)が形成される。次いで、所定条件の不純物注入により、図71に示すように、I/Oトランジスタ30、メモリトランジスタ40C及びロジックトランジスタ50のSD領域となる不純物領域34a,34b、不純物領域44a,44b及び不純物領域54a,54bを形成する。
以上の工程により、共通の半導体基板2上にI/Oトランジスタ30、メモリトランジスタ40C及びロジックトランジスタ50が混載された不揮発性メモリ80bが得られる。以後は、層間絶縁膜の形成、プラグの形成、配線やビア等の導体部を含む上層の配線層の形成等が行われる。
メモリトランジスタ40Cのサイドウォール絶縁膜43の幅は、前述の通り、そのトランジスタ特性に影響を及ぼす重要なパラメータである。図66〜図71に示す製造方法では、メモリトランジスタ40Cのサイドウォール絶縁膜43の幅を、ロジックトランジスタ50のサイドウォール絶縁膜53の幅とは独立に調整することができる。
図72はSCR層を有するメモリトランジスタの説明図である。
以上のようにメモリトランジスタ40C(90a等)では、サイドウォール絶縁膜43下方のノンドープ又は極低濃度の層(エピタキシャル成長される半導体層8c)への不純物注入によってLDD領域45a,45bが形成される。そのため、極低濃度のLDD領域45a,45bが安定的に形成される。例えば、LDD領域45a,45bを5×1017cm-3以下にすると、LDD領域45a,45bはインパクトイオン化に殆ど寄与しない。そのため、例えばLDD領域45bよりも高濃度の不純物領域44b(SD領域)の端部でホットキャリア49が生成され、その上方のサイドウォール絶縁膜43に注入されるようになる。サイドウォール絶縁膜43に電荷49aが存在すると、その下方の極低濃度のLDD領域45bは容易に変調され、メモリトランジスタ40Cの閾値電圧が変化する。更に、LDD領域45a,45bは、その導電型が確定されるため、メモリトランジスタ40Cのオフセットも抑えられる。また、サイドウォール絶縁膜43の構成(材料、幅、積層構造の各層の材料及び厚さ等)を調整することで、プログラム特性の向上が図られる。
メモリトランジスタ40Cは、SONOS(半導体基板2−酸化膜43a−窒化膜43b−酸化膜43a−ゲート電極42)構造のトランジスタ40Cbが、本体のトランジスタ40Caの側面に付加された構成を有していると言える。