JP2007103475A - インダクタ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低域のコモンモードノイズをバイパスさせる素子として用いることが好適なインダクタ素子を提供する。
【解決手段】基板111上に設けられ、互いに磁気結合する第1及び第2のスパイラル状導体141,142を備える。第1のスパイラル状導体141は、一端141aが第1の端子電極に接続され、他端141bが第3の端子電極に接続されている。第2のスパイラル状導体142は、一端142aが第2の端子電極に接続され、他端142bが第4の端子電極に接続されている。そして、一方向からみた第1のスパイラル状導体141の一端141aから他端141bに向かう巻回方向と、前記一方向からみた第2のスパイラル状導体142の一端142aから他端142bに向かう巻回方向とが互いに逆となっている。
【選択図】図1

Description

本発明はインダクタ素子に関し、特に、コモンモードノイズの除去に用いることが好適なインダクタ素子に関する。
近年、高速な信号伝送インターフェースとして、USB2.0規格やIEEE1394規格が広く普及し、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなど数多くのデジタル機器に用いられている。USB2.0規格やIEEE1394規格などのインターフェースは、古くから一般的であったシングルエンド伝送方式とは異なり、一対の信号線を用いて差動信号を伝送する差動信号方式が採用されている。
差動伝送方式は、シングルエンド伝送方式と比べて信号線から発生する放射電磁界が少ないだけでなく、外来ノイズの影響を受けにくいという優れた特徴を有している。このため、信号の小振幅化が容易であり、小振幅化による立ち上がり時間及び立ち下がり時間の短縮によって、シングルエンド伝送方式よりも高速な信号伝送を行うことが可能となる。
図19は、一般的な差動伝送回路の回路図である。
図19に示す差動伝送回路は、一対の信号線11,12と、信号線11,12に差動信号を供給する出力バッファ13と、信号線11,12からの差動信号を受ける入力バッファ14とを備えている。かかる構成により、出力バッファ13に与えられる入力信号INは、一対の信号線11,12を経由して入力バッファ14へ伝えられ、出力信号OUTとして再生される。このような差動伝送回路は、上述の通り、信号線11,12から発生する放射電磁界が少ないという特徴を有しているが、信号線11,12に共通のノイズ(コモンモードノイズ)が重畳した場合には比較的大きな放射電磁界を発生させてしまう。コモンモードノイズによって発生する放射電磁界を低減するためには、図19に示すように、信号線11,12にコモンモードフィルタ20を挿入することが有効である。
コモンモードフィルタ20は、信号線11,12を伝わる差動成分(信号)に対するインピーダンスが低く、同相成分(コモンモードノイズ)に対するインピーダンスが高いという特性を有している。このため、信号線11,12にコモンモードフィルタ20を挿入することにより、差動信号を実質的に減衰させることなく、一対の信号線11,12を伝わるコモンモードノイズを遮断することができる。コモンモードフィルタ20としては、例えば特許文献1に記載された素子が知られている。
しかしながら、コモンモードフィルタの同相成分に対するインピーダンスは、一般に、高域において高く、低域において低いという周波数特性があるため、低域のコモンモードノイズを十分に除去することができないという問題があった。このような問題を解決するためには、図20に示すように、低域のコモンモードノイズをバイパスさせるフィルタ素子30を信号線11,12とグランド間に接続することが有効である(非特許文献1参照)。
このようなフィルタ素子30としては、一般的なコモンモードフィルタを用いることができ、図20に示すように、通常は一対の入力端として用いられる端子電極31,32をそれぞれ信号線11及びグランドに接続し、通常は一対の出力端として用いられる端子電極33,34をそれぞれグランド及び信号線12に接続すればよい。これにより、フィルタ素子30の同相成分に対する周波数特性は、コモンモードフィルタ20の差動成分に対する周波数特性と同様となるため、低域において低いインピーダンスが得られる。つまり、低域のコモンモードノイズをグランドにバイパスすることができる。
一方、フィルタ素子30の差動成分に対する周波数特性は、コモンモードフィルタ20の同相成分に対する周波数特性と同様となるため、差動信号に対しては高いインピーダンスが得られる。このため、このようなフィルタ素子30を追加すれば、差動信号に実質的な影響を与えることなく、コモンモードフィルタ20の周波数特性を補完し、広域に亘ってコモンモードノイズを除去することが可能となる。
特開平8−203737号公報 社団法人電気学会、「情報通信機器のノイズイミュニティ−電磁障害防止に向けて−」、初版、発行国日本、株式会社コロナ社発行、2002年7月18日、186ページ
しかしながら、一般的なコモンモードフィルタを図20に示すフィルタ素子30として用いるためには、上述のように、通常とは異なる接続方法をとる必要があることから、これを搭載するプリント基板上の配線パターンが通常とは大幅に異なるパターンとなってしまう。このため、信号線11,12の対称性が崩れたり、プリント基板上における配線パターンの占有面積が必要以上に増大するなどの問題が生じていた。
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであって、低域のコモンモードノイズをバイパスさせることが可能な改良されたインダクタ素子を提供することを目的とする。
本発明の一側面によるインダクタ素子は、基板と、第1及び第2の端子電極と、前記第1及び第2の端子電極に対して対向配置された第3及び第4の端子電極と、前記基板上に設けられ、互いに磁気結合する第1及び第2のスパイラル状導体とを備え、前記第1のスパイラル状導体は、一端が前記第1の端子電極に接続され、他端が前記第3の端子電極に接続されており、前記第2のスパイラル状導体は、一端が前記第2の端子電極に接続され、他端が前記第4の端子電極に接続されており、一方向からみた前記第1のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向と、前記一方向からみた前記第2のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向とが互いに逆であることを特徴とする。
このように、本発明では、第1の端子電極を始点とした第1のスパイラル状導体の巻回方向と、第2の端子電極を始点とした第2のスパイラル状導体の巻回方向とが逆であることから、第1及び第2の端子電極を一対の信号線に接続し、これらに対して対向配置された第3及び第4の端子電極をグランドに接続すれば、低域のコモンモードノイズをバイパスさせる素子として用いることが可能となる。
ここで、「対向配置された」とは、インダクタ素子を横切る直線に対して概略線対称に配置されていることを意味する。これにより、第1及び第2の端子電極の位置関係と、第3及び第4の端子電極の位置関係が、通常のコモンモードフィルタとは異なった位置関係となることから、第1及び第2の端子電極を一対の信号線に接続し、第3及び第4の端子電極をグランドに接続する場合であっても、信号線の対称性が崩れたり、プリント基板などに形成される配線パターンの占有面積が必要以上に増大することがなくなる。
しかも、基板上に2つのスパイラル状導体が形成された構造を有していることから、コアに巻線を巻回するタイプのインダクタ素子に比べ、全体のサイズを小型化することが可能となる。
この場合、第1の端子電極と第2の端子電極が隣接して配置され、第3の端子電極と第4の端子電極が隣接して配置されていることが好ましい。これによれば、信号線の対称性をより高めることができるとともに、プリント基板などに形成される配線パターンの占有面積をより低減することが可能となる。
また、本発明の他の側面によるフィルタ素子は、基板と、第1及び第2の入力ラインと、第1及び第2の出力ラインと、前記基板上に設けられ、互いに磁気結合する第1及び第2のスパイラル状導体とを備え、前記第1のスパイラル状導体は、一端が前記第1の入力ラインに接続され、他端が前記第1の出力ラインに接続されており、前記第2のスパイラル状導体は、一端が前記第2の入力ラインに接続され、他端が前記第2の出力ラインに接続されており、一方向からみた前記第1のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向と、前記一方向からみた前記第2のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向とが互いに逆であることを特徴とする。
このような構成においても、第1の入力ラインを始点とした第1のスパイラル状導体の巻回方向と、第2の入力ラインを始点とした第2のスパイラル状導体の巻回方向とが逆となることから、第1及び第2の入力ラインに差動信号を供給し、第1及び第2の出力ラインをグランドに接続することにより、低域のコモンモードノイズをバイパスさせる素子として用いることが可能となる。
本発明においては、第1及び第2のスパイラル状導体が平面状コイルであることが好ましい。平面状コイルは、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法などのいわゆる薄膜プロセスによって形成することができるため、インダクタ素子のサイズを小型化することが可能となる。また、薄膜プロセスを用いれば、高い加工精度でスパイラル状導体を形成することも可能となる。
この場合、第1及び第2のスパイラル状導体は、絶縁層を介して異なる層に形成されていても構わないし、同一層において互いに沿って形成されていても構わない。前者によれば、寄生容量を抑制することができることから、良好な特性を得ることが可能となる。一方、後者によれば、基板上に形成する層数を少なくすることができることから、製造コストを低減することが可能となる。
また、本発明によるインダクタ素子は、第1及び第2のスパイラル状導体がいずれも複数層に亘って形成されていても構わない。このようなスパイラル状導体は、スクリーン印刷法などのいわゆる厚膜プロセスによって形成することができるため、製造コストを低減することが可能となる。
また、本発明においては、基板が磁性体であることが好ましい。これによれば、漏れの少ない磁気回路が形成されることから、より良好な特性を得ることが可能となる。この場合、第1及び第2のスパイラル状導体からみて、前記基板とは反対側に設けられた他の基板をさらに備え、当該他の基板が磁性体であることが好ましい。これによれば、より漏れの少ない磁気回路が形成されることから、よりいっそう良好な特性を得ることが可能となる。
また、本発明によるインダクタ素子は、第1及び第2のスパイラル状導体の中心部分に設けられた磁性体をさらに備えることが好ましい。この場合も、より漏れの少ない磁気回路が形成されることから、よりいっそう良好な特性を得ることが可能となる。
本発明においては、基板がプリント基板であっても構わない。この場合は、コモンモードフィルタを別部品としてプリント基板上に実装する必要がなくなることから、部品点数を削減することが可能となる。また、本発明においては、基板が半導体基板であっても構わない。この場合、トランジスタなどの電子回路と本発明によるインダクタ素子を同一チップに集積することができることから、部品点数を削減することが可能となる。
このように、本発明によるインダクタ素子を用いれば、差動信号を伝送する一対の信号線の対称性が崩れたり、プリント基板などに形成される配線パターンの占有面積が必要以上に増大するという問題を生じることなく、低域のコモンモードノイズを効果的に除去することが可能となる。尚、本発明によるインダクタ素子は、低域のコモンモードノイズを除去するためのコモンモードフィルタとしてではなく、他の用途に使用することも可能である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の好ましい第1の実施形態によるインダクタ素子100の構造を示す略分解斜視図であり、図2は、第1の実施形態によるインダクタ素子100を組み立てた状態を示す略斜視図である。
図1に示すように、本実施形態によるインダクタ素子100は、基板111,112と、基板111,112間に設けられた絶縁層121〜125と、所定の絶縁層に形成された導体パターンとを備えて構成されている。基板111,112の材料については特に限定されないが、透磁率の高い材料、例えばフェライトなどを用いることが好ましい。また、絶縁層121〜125の材料については、特に限定されないが、ポリイミドなどを用いることが好ましい。
絶縁層に形成された導体パターンは、各絶縁層121〜125の表面に形成された第1〜第4の内部電極131〜134と、絶縁層123の表面に形成された第1のスパイラル状導体141と、絶縁層122の表面に形成された第2のスパイラル状導体142と、絶縁層124の表面に形成された引き出し導体151と、絶縁層121の表面に形成された引き出し導体152とを含んでいる。第1のスパイラル状導体141と第2のスパイラル状導体142は、絶縁層123を介して向かい合うように配置されており、このため、両者は互いに磁気結合している。後述するように、これらの導体パターンは、絶縁層上に、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法などのいわゆる薄膜プロセスによって形成することができる。
これら導体パターンのうち、第1〜第4の内部電極131〜134は、ぞれぞれ図2に示す第1〜第4の端子電極101〜104に接続される導体パターンである(図1では、第1〜第4の端子電極101〜104の図示を省略してある。以下、各分解斜視図において同様)。図3に示すように、第1及び第2の端子電極101,102と、第3及び第4の端子電極103,104とは、インダクタ素子100を横切る直線Bに対して略線対称に配置されている。つまり、第1及び第2の端子電極101,102と、第3及び第4の端子電極103,104とは、互いに対向配置されている。また、第1の端子電極101と第2の端子電極102とは互いに隣接して配置されており、第3の端子電極103と第4の端子電極104とは互いに隣接して配置されている。
図1に戻って、第1のスパイラル状導体141は平面状コイルであり、その一端141aは第1の内部電極131に接続されている。一方、第1のスパイラル状導体141の他端141bは、絶縁層124に形成されたスルーホール及び引き出し導体151を介して、第3の内部電極133に接続されている。上述の通り、第1の内部電極131は第1の端子電極101に接続されており、第3の内部電極133は第3の端子電極103に接続されていることから、第1のスパイラル状導体141の一端141aは、第1の端子電極101に接続され、他端141bは第3の端子電極103に接続されていることになる。
第2のスパイラル状導体142も平面状コイルであり、その一端142aは第2の内部電極132に接続されている。一方、第2のスパイラル状導体142の他端142bは、絶縁層122に形成されたスルーホール及び引き出し導体152を介して、第4の内部電極134に接続されている。上述の通り、第2の内部電極132は第2の端子電極102に接続されており、第4の内部電極134は第4の端子電極104に接続されていることから、第2のスパイラル状導体142の一端142aは、第2の端子電極102に接続され、他端142bは第4の端子電極104に接続されていることになる。
本実施形態においては、第1のスパイラル状導体141の巻数及び第2のスパイラル状導体142の巻数はいずれも約3回である。もちろん、本発明において第1及び第2のスパイラル状導体141,142の巻数はこれに限定されず、何回であっても構わない。但し、第1及び第2のスパイラル状導体141,142の対称性を保つためには、第1のスパイラル状導体141の巻数及び第2のスパイラル状導体142の巻数については同一とする必要がある。
さらに、図1に示す矢印Aからみた場合、第1のスパイラル状導体141は、一端141aから他端141bに向かって右回り(時計回り)に巻回されている一方、第2のスパイラル状導体142は、一端142aから他端142bに向かって左回り(反時計回り)に巻回されている。上述の通り、第1のスパイラル状導体141の一端141aは第1の端子電極101に接続され、第2のスパイラル状導体142の一端142aは第2の端子電極102に接続されていることから、第1の端子電極101を始点とした第1のスパイラル状導体141の巻回方向と、第2の端子電極102を始点とした第2のスパイラル状導体142の巻回方向は、互いに逆方向となる。
尚、第1及び第2のスパイラル状導体141,142の巻回方向については、互いに逆方向である限りその方向については特に限定されず、したがって上記とは逆、すなわち、第1のスパイラル状導体141が左回り(反時計回り)であり、第2のスパイラル状導体142が右回り(時計回り)であっても構わない。
また、絶縁層121〜125には、略中心部に貫通孔121a〜125aが形成されており、この貫通孔121a〜125aに磁性体160が挿入されている。図1に示すように、絶縁層122,123に形成された貫通孔122a,123aは、スパイラル状導体141,142の中心部分に位置しており、このため、スパイラル状導体141,142は、磁性体160の周囲に巻回された状態となる。本発明において、このような磁性体160を設けることは必須でないが、これを設けることによって、漏れの少ない磁気回路を形成することができる。
図4は、本実施形態によるインダクタ素子100の使用形態を示す回路図である。
図4に示す回路図は、回路的には図20に示した回路図と実質的に同一であるが、インダクタ素子100に設けられた端子電極101〜104の配列が通常のフィルタ素子30(図20参照)とは異なっているため、隣接して配置された第1及び第2の端子電極101,102を一対の信号線11,12に接続し、隣接して配置された第3及び第4の端子電極を103,104グランドに接続することによって、コモンモードノイズをバイパスするフィルタとして使用することが可能となる。
つまり、一般的なコモンモードフィルタを用いた場合、一対の信号線11,12を互いに対角線上に位置する端子電極に接続する必要があることから、図5に示すように、プリント基板190上において一対の信号線11,12の一方(図5では信号線11)を迂回させる必要がある。具体的には、フィルタ素子30に設けられた隣接する端子電極31,32を、それぞれ信号線11及びグランドGNDに接続し、隣接する端子電極33,34を、それぞれグランドGND及び信号線12に接続する必要があるため、信号線11,12を対称且つ平行に配置することができない。その結果、配線パターンの占有面積が増大するとともに、対称性の崩れによって信号品質の低下を招いてしまう。
これに対し、本実施形態によるフィルタ素子100を用いれば、図6に示すように、プリント基板190上において一対の信号線11,12を平行に敷設することができることから、プリント基板190上における配線パターンの迂回などが不要となる。このため、プリント基板190上における配線パターンの占有面積が必要以上に増大することがなく、しかも、高い対称性を確保することが可能となる。これにより、装置全体の小型化と信号品質の向上を両立させることが可能となる。
次に、インダクタ素子100の好ましい製造方法について説明する。
図7(a)〜(c)は、インダクタ素子100の好ましい一製造方法を説明するための工程図である。
まず、図7(a)に示すように、フェライトなどの磁性材料からなる基板111を用意し、その表面にポリイミドなどの樹脂を塗布することによって絶縁層121を形成する。図7(a)には示されていないが、絶縁層121の一部はパターニングされ、これによって、図1に示した貫通孔121aが形成される。
次に、スパッタリング法などにより、絶縁層121の全表面に下地導体159を形成し、さらにその表面にフォトレジスト191を形成する。下地導体159は、後述するメッキ工程において給電体として機能するとともに、導体パターンと絶縁層との密着性を向上させるための密着層として機能する。このような機能を果たすためには、例えば、クロム(Cr)と銅(Cu)の積層膜によって下地導体159を構成することが好ましい。
次に、図7(b)に示すように、フォトリソグラフィー法によってフォトレジスト191をパターニングし、下地導体159の一部を露出させる。その後、下地導体159を給電体とした電解メッキを行うことにより、下地導体159が露出した部分に引き出し導体152(導電パターン)を形成する。導電パターンの材料としては、メッキにより形成可能な金属であれば特に限定されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ニッケルクロム合金(Ni−Cr)、はんだ、スズ(Sn)などを用いることができる。中でも、コストや電気伝導性などを考慮すれば、銅(Cu)を用いることが非常に好ましい。導電パターンの材料として銅(Cu)を選択する場合には、メッキ液として硫酸銅浴等を用いればよい。
そして、図7(c)に示すように、フォトレジスト191を除去し、酸などのエッチング液を用いて引き出し導体152が形成されていない部分の不要な下地導体159を除去(ソフトエッチング)すれば、1層目の加工が完了する。
以下、同様の工程を繰り返すことにより、絶縁層122〜125及び他の導電パターン(スパイラル状導体141,142など)を形成した後、各絶縁層121〜125に形成された貫通孔121a〜125aに磁性体160を埋め込む。そして、フェライトなどの磁性材料からなる上側の基板112を取り付けた後、第1〜第4の端子電極101〜104を形成すれば、本実施形態によるインダクタ素子100が完成する。
このように、スパイラル状導体141,142などの導体パターンをメッキ法により形成すれば、スクリーン印刷法などの厚膜プロセスを用いた場合と比べて、インダクタ素子100全体の厚みを薄くすることが可能となる。
尚、インダクタ素子100の作製においては、例えばウェハ状である大型の基板111,112を用い、同一のウェハ上に多数のインダクタ素子100を同時に形成した後、ダイサーなどを用いて個々のインダクタ素子100に分離することが好ましい。これによれば、1枚のウェハから多数のインダクタ素子100を取り出すことができることから、製造コストを大幅に削減することが可能となる。
導体パターンの形成方法としては、上述したメッキ法に限らず、スパッタリング法や蒸着法など、他の薄膜プロセスを用いることも可能である。この場合、図8(a)に示すように全面に導体膜150を成膜した後、フォトレジスト191を形成し、図8(b)に示すように、フォトレジスト191を用いて導体膜150をパターニングすることによって導体パターン(例えば引き出し導体152)を形成しても構わない。さらには、図9に示すように、メタルマスク192を用いたスパッタリングや蒸着を行うことによって、導体パターン(例えば引き出し導体152)を選択的に成膜しても構わない。
以上説明したように、本実施形態によるインダクタ素子100は、第1の端子電極101を始点とした第1のスパイラル状導体141の巻回方向と、第2の端子電極102を始点とした第2のスパイラル状導体142の巻回方向とが互いに逆方向であり、これら第1及び第2の端子電極101,102が互いに隣接して配置されている。このため、第1及び第2の端子電極101,102を一対の信号線に接続し、これらに対して対向配置された第3及び第4の端子電極103,104をグランドに接続するといった態様で使用する場合、プリント基板上において一対の信号線を平行に敷設することができることから、プリント基板上における配線パターンの占有面積が必要以上に増大することがなく、しかも、高い対称性を確保することが可能となる。これにより、装置全体の小型化と信号品質の向上を両立させることが可能となる。
しかも、本実施形態によるインダクタ素子100は、スパイラル状導体141,142をフェライトなどの磁性材料からなる基板111,112によって挟み込んでおり、且つ、スパイラル状導体141,142の中心部分を貫通するように磁性体160が設けられていることから、漏れの少ない磁気回路を形成することが可能となる。これにより、小型化した場合であっても、良好な特性を得ることが可能となる。
さらに、本実施形態では、絶縁層を介して第1及び第2のスパイラル状導体141,142を異なる層に形成していることから、両者間に生じる寄生容量を抑制することができ、その結果、良好な特性を得ることが可能となる。また、第1及び第2のスパイラル状導体141,142の巻数を大きくすることが容易である、という利点も有している。
さらに、本実施形態では、第1のスパイラル状導体141の内周から外周へ向かう巻回方向と、第2のスパイラル状導体142の内周から外周へ向かう巻回方向とが逆であることから、引き出し導体を含めた2つのコイルの導体長や巻数を均一とすることが容易となる。また、引き出し導体の長さを短縮することも可能となる。但し、2つのスパイラル状導体の内周から外周へ向かう巻回方向を互いに逆とすることは必須でなく、両者が一致していても構わない。この態様は、後述する第2の実施形態において詳述する。
尚、本実施形態では、第1及び第2のスパイラル状導体141,142の他端141b,142bを、第3及び第4の端子電極103,104にそれぞれ接続しているが、この接続関係が逆であっても構わない。この場合、本実施形態の変形例である図10に示すように、引き出し導体151を第4の内部電極134に接続し、引き出し導体152を第3の内部電極133に接続するよう、導体パターンのパターン形状を変えればよい。この場合も、図4に示した形態で使用すれば、図6に示したように、プリント基板190上において一対の信号線11,12を平行に敷設することができる。
[第2の実施形態]
図11は、本発明の好ましい第2の実施形態によるインダクタ素子200の構造を示す略分解斜視図である。第2の実施形態によるインダクタ素子200を組み立てた状態は、図2に示した通りである。
本実施形態によるインダクタ素子200は、絶縁層121〜124上に形成された導体パターンの形状が異なる点において、第1の実施形態によるインダクタ素子100と相違している。その他の点は、第1の実施形態によるインダクタ素子100と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態では、第1のスパイラル状導体241の一端241aが、第1の内部電極131に直接接続されておらず、絶縁層124に形成されたスルーホール及び引き出し導体251を介して接続されている。第1のスパイラル状導体241の他端241bは、第1の実施形態と同様、絶縁層124に形成されたスルーホール及び引き出し導体252を介して、第3の内部電極133に接続されている。
一方、第2のスパイラル状導体242は、第1の実施形態とは異なり、外周から内周に向かって右回り(時計回り)に形成されている。これは、第1のスパイラル状導体241と同じ巻回方式である。つまり、本実施形態では、内周から外周へ向かう巻回方向については、第1のスパイラル状導体241と第2のスパイラル状導体242とで一致している。
また、絶縁層121には、引き出し導体253,254が形成されている。引き出し導体253は、第2の内部電極132と第2のスパイラル状導体242の一端242aとを接続する導体であり、引き出し導体254は、第4の内部電極134と第2のスパイラル状導体242の他端242bとを接続する導体である。本実施形態では、第2のスパイラル状導体242の一端242aは内周に位置し、第2のスパイラル状導体242の他端242bは外周に位置している。
これにより、第1〜第4の端子電極101〜104と、第1及び第2のスパイラル状導体241,242との接続関係は、第1の実施形態における接続関係と一致する。つまり、図11に示す矢印Aからみた場合、第1のスパイラル状導体241は、一端241aから他端241bに向かって右回り(時計回り)に巻回されている一方、第2のスパイラル状導体242は、一端242aから他端242bに向かって左回り(反時計回り)に巻回されていることになる。
このため、本実施形態によるインダクタ素子200は、第1の実施形態によるインダクタ素子100と全く同じ機能を果たす。しかも、本実施形態の構成によれば、第1のスパイラル状導体241を形成するためのマスクパターンと、第2のスパイラル状導体242を形成するためのマスクパターンを共用することが可能となり、これにより製造コストを削減することも可能となる。但し、本実施形態において、マスクパターンを共用可能な構成とすることは必須でなく、例えば、絶縁層123,124上の導電パターンの形状を第1の実施形態と全く同じパターンとしても構わない。
[第3の実施形態]
図12は、本発明の好ましい第3の実施形態によるインダクタ素子300の構造を示す略分解斜視図である。第3の実施形態によるインダクタ素子300を組み立てた状態も、図2に示した通りである。
本実施形態によるインダクタ素子300は、絶縁層121,122,124上に形成された導体パターンの形状が異なる点において、第1の実施形態によるインダクタ素子100と相違する。その他の点は、第1の実施形態によるインダクタ素子100と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図12に示すように、本実施形態においては、第1のスパイラル状導体141の他端141bが、引き出し導体351を介して第2の内部電極132に接続されている。第1のスパイラル状導体141の一端141aは、第1の実施形態と同様、第1の内部電極131に接続されている。また、本実施形態では、第2のスパイラル状導体342の一端342aが第3の内部電極133に接続されている。一方、第2のスパイラル状導体342の他端342bは、引き出し導体352を介して、第4の内部電極134に接続されている。
本実施形態においても、図12に示す矢印Aからみた場合、第1のスパイラル状導体141は、一端141aから他端141bに向かって右回り(時計回り)に巻回されている一方、第2のスパイラル状導体342は、一端342aから他端342bに向かって左回り(反時計回り)に巻回されている。つまり、第1の端子電極101を始点とした第1のスパイラル状導体141の巻回方向と、第3の端子電極103を始点とした第2のスパイラル状導体342の巻回方向が互いに逆方向となっている。
このため、本実施形態によるインダクタ素子300は、第1及び第3の端子電極101,103(又は、第2及び第4の端子電極102,104)を一対の信号線に接続すれば、第1の実施形態によるインダクタ素子100と全く同じ機能を果たすことになる。
つまり、図13に示すように、本実施形態によるインダクタ素子300を用いた場合においても、プリント基板190上で一対の信号線11,12を平行に敷設することができることから、プリント基板190上における配線パターンの迂回などが不要となる。このため、プリント基板190上における配線パターンの占有面積が必要以上に増大することがなく、しかも、高い対称性を確保することが可能となる。これにより、装置全体の小型化と信号品質の向上を両立させることが可能となる。
本実施形態では、図14に示すように、第1及び第3の端子電極101,103と、第2及び第4の端子電極102,104とは、インダクタ素子300を横切る直線Cに対して略線対称に配置されていると考えることができる。つまり、第1及び第3の端子電極101,103と、第2及び第4の端子電極102,104とが互いに対向配置されている。このように、本発明は、隣接しない2つの端子電極を一対の入力端子(又は、一対の出力端子)として用いることも可能である。
尚、本実施形態によるインダクタ素子300では、第1のスパイラル状導体141の内周から外周へ向かう巻回方向と、第2のスパイラル状導体342の内周から外周へ向かう巻回方向とを互いに逆方向としているが、第2の実施形態のように、これらを同一方向としても構わない。
[第4の実施形態]
図15は、本発明の好ましい第4の実施形態によるインダクタ素子400の構造を示す略分解斜視図である。第4の実施形態によるインダクタ素子400を組み立てた状態も、図2に示した通りである。
本実施形態によるインダクタ素子400は、基板111,112に挟まれた絶縁層が3層(421〜423)である点、並びに、これら絶縁層に形成された導体パターンの形状が異なる点において、第1の実施形態によるインダクタ素子100と相違する。その他の点は、第1の実施形態によるインダクタ素子100と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図15に示すように、本実施形態においては、第1及び第2のスパイラル状導体441,442がいずれも絶縁層422上に形成されており、両者は、互いに沿って形成されている。このため、両者は互いに磁気結合している。
第1のスパイラル状導体441の一端441aは第1の内部電極131に接続されており、第1のスパイラル状導体441の他端441bは、絶縁層421上に形成された引き出し導体451を介して、第3の内部電極133に接続されている。一方、第2のスパイラル状導体442の一端442aは、絶縁層421上に形成された引き出し導体452を介して、第2の内部電極132に接続されており、第2のスパイラル状導体442の他端442bは、絶縁層421上に形成された引き出し導体453を介して、第4の内部電極134に接続されている。
本実施形態においても、図15に示す矢印Aからみた場合、第1のスパイラル状導体441は、一端441aから他端441bに向かって右回り(時計回り)に巻回されている一方、第2のスパイラル状導体442は、一端442aから他端442bに向かって左回り(反時計回り)に巻回されている。つまり、第1の端子電極101を始点とした第1のスパイラル状導体441の巻回方向と、第2の端子電極102を始点とした第2のスパイラル状導体442の巻回方向が互いに逆方向となっている。
これにより、第1〜第4の端子電極101〜104と、第1及び第2のスパイラル状導体441,442との接続関係は、第1の実施形態における接続関係と一致する。このため、本実施形態によるインダクタ素子400は、第1の実施形態によるインダクタ素子100と全く同じ機能を果たす。しかも、本実施形態の構成によれば、第1及び第2のスパイラル状導体441,442が同一層に形成されていることから、絶縁層の数を削減することが可能となり、その結果、低背化を実現することが可能となる。また、製造コストを削減することも可能となる。
尚、本実施形態によるインダクタ素子400は、端子電極とスパイラル状導体との接続関係を第1の実施形態と同一としているが、これらの接続関係を第3の実施形態と同一としても構わない。つまり、第1及び第3の端子電極101,103(又は、第2及び第4の端子電極102,104)を一対の信号線に接続する構成としても構わない。この場合、第1のスパイラル状導体441の他端441bを第2の内部電極132に接続し、第2のスパイラル状導体442の一端441aを第3の内部電極133に接続すればよい。
[第5の実施形態]
図16は、本発明の好ましい第5の実施形態によるインダクタ素子500の構造を示す略分解斜視図である。第5の実施形態によるインダクタ素子500を組み立てた状態も、図2に示した通りである。
本実施形態によるインダクタ素子500は、基板111,112に挟まれた絶縁層が6層(521〜526)である点、並びに、これら絶縁層に形成された導体パターンの形状が異なる点において、第1の実施形態によるインダクタ素子100と相違する。その他の点は、第1の実施形態によるインダクタ素子100と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。絶縁層521〜526には、それぞれ貫通孔521a〜526aが形成されている。
図16に示すように、本実施形態においては、スパイラル状導体が複数層に亘って形成されている。より具体的に説明すると、第1のスパイラル状導体は、それぞれ異なる層に形成された導体540,542,544,546,548によって構成され、第2のスパイラル状導体は、それぞれ異なる層に形成された導体541,543,545,547,549によって構成されている。第1のスパイラル状導体と第2のスパイラル状導体は、2重らせん構造を有しており、このため、両者は互いに磁気結合している。
また、導体540,542,544,546,548によって構成される第1のスパイラル状導体の一端540aは、第1の内部電極131に接続されており、第1のスパイラル状導体の他端548bは、第3の内部電極133に接続されている。一方、導体541,543,545,547,549によって構成される第2のスパイラル状導体の一端549aは、第2の内部電極132に接続されており、第2のスパイラル状導体の他端541bは、第4の内部電極134に接続されている。
本実施形態においては、図16に示す矢印Aからみた場合、第1のスパイラル状導体(540,542,544,546,548)は、一端540aから他端548bに向かって左回り(反時計回り)に巻回されている一方、第2のスパイラル状導体(541,543,545,547,549)は、一端549aから他端541bに向かって右回り(時計回り)に巻回されている。したがって、第1の端子電極101を始点とした第1のスパイラル状導体(540,542,544,546,548)の巻回方向と、第2の端子電極102を始点とした第2のスパイラル状導体(541,543,545,547,549)の巻回方向が互いに逆方向となっている。
これにより、第1〜第4の端子電極101〜104と、第1及び第2のスパイラル状導体との接続関係は、第1の実施形態における接続関係と一致する。このため、本実施形態によるインダクタ素子500も第1の実施形態によるインダクタ素子100と全く同じ機能を果たす。しかも、本実施形態の構成によれば、各絶縁層上の導体パターンの形状がそれほど複雑ではなく、また、それほど高いパターン精度が要求されないことから、スクリーン印刷法などの厚膜プロセスを用いることが可能となる。その結果、製造コストを削減することが可能となる。
尚、本実施形態によるインダクタ素子500においても、端子電極とスパイラル状導体との接続関係を第1の実施形態と同一としているが、これら接続関係を第3の実施形態と同一としても構わない。つまり、第1及び第3の端子電極101,103(又は、第2及び第4の端子電極102,104)を一対の信号線に接続する構成としても構わない。
[第6の実施形態]
図17は、本発明の好ましい第6の実施形態によるインダクタ素子600の構造を示す略分解斜視図である。本実施形態によるインダクタ素子600は、プリント基板上に形成された構造を有している。
本実施形態によるインダクタ素子600は、第1のスパイラル状導体641及び第2のスパイラル状導体642の構造については、図1に示した第1の実施形態とほぼ同様であり、互いに磁気結合しているが、これらがプリント基板を構成する樹脂層190−1〜190−3に形成され、これにより、素子自体が別部品ではなく、プリント基板上に集積された構造を有している点において相違する。
より具体的には、第1のスパイラル状導体641は樹脂層190−2に形成されており、その一端は第1の入力ライン601に接続され、他端は第1の出力ライン603に接続されている。また、第2のスパイラル状導体642は樹脂層190−1に形成されており、その一端は第2の入力ライン602に接続され、他端は第2の出力ライン604に接続されている。第1及び第2の入力ライン601,602は、差動信号が供給される一対の配線であり、例えば、図4に示した信号線11,12がこれに該当する。第1及び第2の出力ライン603,604も一対の配線であるが、本実施形態によるインダクタ素子600を、図4に示したインダクタ素子100の替わりに用いる場合には、第1及び第2の出力ライン603,604はグランド配線となる。
本実施形態においては、図17に示す矢印Aからみた場合、第1のスパイラル状導体641は、第1の入力ライン601に接続された一端から、第1の出力ライン603に接続された他端に向かって右回り(時計回り)に巻回されている一方、第2のスパイラル状導体642は、第2の入力ライン602に接続された一端から、第2の出力ライン604に接続された他端に向かって左回り(反時計回り)に巻回されている。したがって、本実施形態においても、第1の入力ライン601を始点とした第1のスパイラル状導体641の巻回方向と、第2の入力ライン602を始点とした第2のスパイラル状導体642の巻回方向が互いに逆方向となっている。
これにより、本実施形態によるインダクタ素子600は、第1の実施形態によるインダクタ素子100と全く同じ機能を果たす。しかも、本実施形態によれば、素子自体がプリント基板上に形成されていることから、プリント基板に搭載すべき部品点数を削減することが可能となる。
尚、本実施形態によるインダクタ素子600は、第1のスパイラル状導体641の内周から外周へ向かう巻回方向と、第2のスパイラル状導体642の内周から外周へ向かう巻回方向とが逆であるが、第2の実施形態によるインダクタ素子200のように、内周から外周へ向かう巻回方向を一致させても構わない。
また、本実施形態では、インダクタ素子をプリント基板上に形成しているが、これを半導体チップに集積することにより、半導体チップ内に埋め込んでも構わない。この場合、略断面図である図18に示すように、半導体基板711上に設けられた層間絶縁膜721,722間に第1のスパイラル状導体741を形成し、層間絶縁膜722,723間に第2のスパイラル状導体742を形成すればよい。この場合も、図18に示す矢印Aからみた場合、第1のスパイラル状導体741の一端(入力ライン)から、他端(出力ライン)に向かう巻回方向と、第2のスパイラル状導体742の一端(入力ライン)から、他端(出力ライン)に向かう巻回方向を、互いに逆方向とすればよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記各実施形態にて例示したスパイラル状導体の巻数や、絶縁層の層数は、あくまで一例であり、本発明が何らこれに限定されるものではない。
さらに、上記各実施形態にて例示したスパイラル状導体は周囲が略四角形であるが、スパイラル状導体の形状についてはこれに限定されず、円形や多角形であっても構わない。
また、本発明によるインダクタ素子は、低域のコモンモードノイズをバイパスさせる素子として用いるだけでなく、他の用途にも使用することも可能である。
本発明の好ましい第1の実施形態によるインダクタ素子100の構造を示す略分解斜視図である。 インダクタ素子100を組み立てた状態を示す略斜視図である。 第1〜第4の端子電極101〜104の対称関係を説明するための図である。 フィルタ素子100の使用形態を示す回路図である。 一般的なコモンモードフィルタを用いた場合における、プリント基板上の配線パターンを説明するための図である。 インダクタ素子100を用いた場合における、プリント基板上の配線パターンを説明するための図である。 インダクタ素子100の好ましい一製造方法を説明するための工程図である。 インダクタ素子100の好ましい他の製造方法を説明するための工程図である。 インダクタ素子100の好ましいさらに他の製造方法を説明するための工程図である。 フィルタ素子100の変形例を示す略分解斜視図である。 本発明の好ましい第2の実施形態によるインダクタ素子200の構造を示す略分解斜視図である。 本発明の好ましい第3の実施形態によるインダクタ素子300の構造を示す略分解斜視図である。 インダクタ素子300を用いた場合における、プリント基板上の配線パターンを説明するための図である。 第1〜第4の端子電極101〜104の対称関係を説明するための図である。 本発明の好ましい第4の実施形態によるインダクタ素子400の構造を示す略分解斜視図である。 本発明の好ましい第5の実施形態によるインダクタ素子500の構造を示す略分解斜視図である。 本発明の好ましい第6の実施形態によるインダクタ素子600の構造を示す略分解斜視図である。 半導体基板上に第1及び第2のスパイラル状導体741,742を形成した例を示す略断面図である。 一般的な差動伝送回路の回路図である。 図19の回路に低域のコモンモードノイズをバイパスさせる素子30を追加した図である。
符号の説明
11,12 信号線
13 出力バッファ
14 入力バッファ
20 コモンモードフィルタ
30 フィルタ素子
31〜34 端子電極
100,200,300,400,500,600 インダクタ素子
101 第1の端子電極
102 第2の端子電極
103 第3の端子電極
104 第4の端子電極
111,112 基板
121〜125,421〜423,521〜526 絶縁層
121a〜125a,421a〜423a,521a〜526a 貫通孔
131 第1の内部電極
132 第2の内部電極
133 第3の内部電極
134 第4の内部電極
141,241,441,641,741 第1のスパイラル状導体
141a,241a,441a,540a 第1のスパイラル状導体の一端
141b,241b,441b,548b 第1のスパイラル状導体の他端
142,242,342,442,642,742 第2のスパイラル状導体
142a,242a,342a,442a,549a 第2のスパイラル状導体の一端
142b,242b,342b,442b,541b 第2のスパイラル状導体の他端
150 導体膜
151,152,251〜254,351,352,451〜453 引き出し導体
159 下地導体
160 磁性体
190 プリント基板
190−1〜190−3 樹脂層
191 フォトレジスト
192 メタルマスク
540〜549 導体
601 第1の入力ライン
602 第2の入力ライン
603 第1の出力ライン
604 第2の出力ライン
711 半導体基板
721〜723 層間絶縁膜

Claims (12)

  1. 基板と、
    第1及び第2の端子電極と、
    前記第1及び第2の端子電極に対して対向配置された第3及び第4の端子電極と、
    前記基板上に設けられ、互いに磁気結合する第1及び第2のスパイラル状導体とを備え、
    前記第1のスパイラル状導体は、一端が前記第1の端子電極に接続され、他端が前記第3の端子電極に接続されており、
    前記第2のスパイラル状導体は、一端が前記第2の端子電極に接続され、他端が前記第4の端子電極に接続されており、
    一方向からみた前記第1のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向と、前記一方向からみた前記第2のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向とが互いに逆であることを特徴とするインダクタ素子。
  2. 前記第1の端子電極と前記第2の端子電極が隣接して配置されており、前記第3の端子電極と前記第4の端子電極が隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ素子。
  3. 基板と、
    第1及び第2の入力ラインと、
    第1及び第2の出力ラインと、
    前記基板上に設けられ、互いに磁気結合する第1及び第2のスパイラル状導体とを備え、
    前記第1のスパイラル状導体は、一端が前記第1の入力ラインに接続され、他端が前記第1の出力ラインに接続されており、
    前記第2のスパイラル状導体は、一端が前記第2の入力ラインに接続され、他端が前記第2の出力ラインに接続されており、
    一方向からみた前記第1のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向と、前記一方向からみた前記第2のスパイラル状導体の前記一端から前記他端に向かう巻回方向とが互いに逆であることを特徴とするインダクタ素子。
  4. 前記第1及び第2のスパイラル状導体が平面状コイルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインダクタ素子。
  5. 前記第1及び第2のスパイラル状導体が、絶縁層を介して異なる層に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のインダクタ素子。
  6. 前記第1及び第2のスパイラル状導体が、同一層において互いに沿って形成されていることを特徴とする請求項4に記載のインダクタ素子。
  7. 前記第1及び第2のスパイラル状導体が、いずれも複数層に亘って形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインダクタ素子。
  8. 前記基板が磁性体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインダクタ素子。
  9. 前記第1及び第2のスパイラル状導体からみて、前記基板とは反対側に設けられた他の基板をさらに備え、前記他の基板が磁性体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインダクタ素子。
  10. 前記第1及び第2のスパイラル状導体の中心部分に設けられた磁性体をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のインダクタ素子。
  11. 前記基板がプリント基板であることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか一項に記載のインダクタ素子。
  12. 前記基板が半導体基板であることを特徴とする請求項3乃至7、並びに、請求項9及び10のいずれか一項に記載のインダクタ素子。
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