以下、本発明のテーブルタップの一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。尚、以下の説明では、図1(a)の紙面手前方をテーブルタップの上方とし、図1(a)の紙面奥方をテーブルタップの下方とするが、これは説明の簡略化のためであって、テーブルタップの使用形態が上記の方向に限られることを意味するものではない。
本実施形態のテーブルタップは、防水及び防塵用の扉付きのテーブルタップであって、図1(a)〜(c)に示すように、プラグPの一対の栓刃P1,P2(図6参照)がそれぞれ挿入される一対の栓刃挿入孔3a,3bを3組備える筐体1と、筐体1内に収納されて栓刃挿入孔3a,3bに挿入されたプラグPの一対の栓刃P1,P2がそれぞれ接触接続される刃受部20〜22,25〜27と、各一対の栓刃挿入孔3a,3bと刃受部20〜22,25〜27との間に介在されて栓刃挿入孔3a,3bから挿入されたプラグPの一対の栓刃P1,P2をそれぞれ刃受部20〜22,25〜27側へ通す一対の栓刃挿通孔60,61を備える中枠6と、栓刃挿入孔3a,3bと中枠6との間に、プラグPの挿入方向に対して傾斜した方向にスライド移動自在に介装されて、一対の栓刃挿入孔3a,3bを開閉する扉部4、及び中枠6における一対の栓刃挿通孔60,61間の略中間部位に固定されて、扉部4が栓刃挿入孔3a,3bを閉じる位置に移動するように扉部4を栓刃挿入孔3a,3b側へ押圧するばね部材5からなる開閉手段とを具備し、ばね部材5は、一枚の金属板から曲成されて、中枠6に固定される固定片50と、固定片50の長さ方向の両端部からそれぞれ固定片50に対して鋭角方向に延設されるとともに、互いに干渉しないように幅方向にずらされた一対の扉部押圧片51,52とを備えている。
筐体1は、図1(a)〜(c)に示すように、上面が開口した長尺箱状のボディ10と、ボディ10の上面開口を覆うカバー11とで構成されており、これらボディ10とカバー11は、ともに熱可塑性樹脂(例えば、塩化ビニル等)を用いた樹脂成形品である。
ボディ10は、上述したように、上面が開口した長尺箱状のものであり、その長手方向一端側(図1(a)における下側)の側面には、扉ユニットU用の略矩形状の切欠部10aが形成されている。また、ボディ10の長手方向他端側(図1(a)における上側)の側面には、電源コード7挿通用の略矩形状の切欠部10bが形成されており、この切欠部10bの近傍には、ブッシング8固定用の突部10c(図1(b)参照)が設けられている。加えて、ボディ10の底部の上面には、ボディ10とカバー11とを結合するための組立ねじSが挿通されるねじ挿通孔10eを備える略円筒状のボス部10dが、ボディ10の長手方向に3つ一体に突設されている。さらに、ボディ10の底部の上面における長手方向他端側には、図3に示すように、電源コード7の張力止め用のリブ10fが一体に突設されている。一方、ボディ10の側壁部の上端面における幅方向の中央部には、突壁部10gが上端面の長手方向に沿うようにして一体に突設されている。
カバー11は、ボディ10の上面開口を閉塞するようにしてボディ10に取り付けられるものであり、下面が開口した長尺箱状に形成されている。このカバー11の長手方向一端側(図1(a)における下側)の側面には、ボディ10の切欠部10aとともに扉ユニットU用の窓孔12aを構成する略矩形状の切欠部11aが形成されている。また、カバー11の上壁部には、扉ユニットU用の略矩形状の窓孔12b,12cが、カバー11の長手方向に2つ貫設されている。さらに、カバー11の長手方向他端側(図1(a)における上側)の側面には、ボディ10の切欠部10bとともに電源コード7用の挿通孔13を構成する略矩形状の切欠部11bが形成されており、この切欠部11bの近傍には、ボディ10の場合と同様に、ブッシング8固定用の突部11c(図1(b)参照)が設けられている。
一方、カバー11の上壁部の下面には、図1(b)に示すように、ボディ10のボス部10dと相対する位置に略円筒状のボス部11dが一体に突設されており、各ボス部11dには、組立ねじS用のねじ孔11eが、ボディ10のボス部10dのねじ挿通孔10eとそれぞれ連通するようにして形成されている。加えて、カバー11の上壁部の下面における長手方向他端側には、上記のリブ10fとで電源コード7を狭持して電源コード7の張力止めを行うリブ(図示せず)が一体に突設されている。さらに、カバー11の側壁部の下端面には、図1(c)に示すように、上記ボディ10の突壁部10gが嵌入される溝部11fが凹設されており、ボディ10とカバー11とを組立ねじSを用いて結合した際には、突壁部10gが溝部11fの内面に密着するようにしてあり、これにより筐体1の防水性及び防塵性を高めている。また、筐体1の窓孔12a〜12cの内周面には、窓孔内に突出する突部15が周設されており、これにより外側パッキン部31と筐体1との密着性を高めている。
ところで、筐体1内には、端子板2A,2Bを固定支持するための中ボディ14が収納されている。ここにおいて、中ボディ14は、樹脂成形品であり、図2に示すように、上面が開口した長尺箱状に形成されている。この中ボディ14の長手方向一端側(図1(a)における下側)の側面は、窓孔12aを経由して端子板2A,2Bに栓刃P1,P2を接続できるように開口しており、また、中ボディ14の底部の上面には、端子板2A,2Bを固定するための各一対のリブ14a,14bと、端子板2A,2Bを各々絶縁隔離するための複数の隔離壁14cとが一体に突設されている。さらに、中ボディ14の底部には、ボディ10の3つのボス部10dのうち、ボディ10の長手方向他端側のボス部10dを除く2つのボス部10dがそれぞれ挿通される一対の孔部14dが貫設されている。
次に、中ボディ14に納装される端子板2A,2Bについて説明する。端子板2Aは、導電性を有する長尺状の金属板から曲成されており、図3に示すように、窓孔12aに対応する一対の刃受ばね20a,20aを有する第1の刃受部20と、第1の刃受部20から長手方向他端側(図1(b)における上側)へ延設され窓孔12bに対応する一対の刃受ばね21a,21aを有する第2の刃受部21と、第2の刃受部21から長手方向他端側へ延設され中板14の一対のリブ14aとそれぞれ凹凸嵌合する一対の孔部23a,23aを有する平板部23と、平板部23から後方へ長手方向他端側され窓孔12cに対応する一対の刃受ばね22a,22aを有する第3の刃受部22と、第3の刃受部22から長手方向他端側へ延設され電源コード7の芯線7aをかしめ固定するためのかしめ部24とを一体に備えている。
一方、端子板2Bは、図3に示すように、上記端子板2Aと同様に導電性を有する長尺状の金属板から折曲されており、窓孔12aに対応する一対の刃受ばね25a,25aを有する第1の刃受部25と、第1の刃受部25から長手方向他端側(図1(b)における上側)へ延設され窓孔12bに対応する一対の刃受ばね26a,26aを有する第2の刃受部26と、第2の刃受部26から長手方向他端側へ延設され中板14の一対のリブ14b,14bとそれぞれ凹凸嵌合する一対の孔部28a,28aを有する平板部28と、平板部28から長手方向他端側へ延設され窓孔12cに対応する一対の刃受ばね27a,27aを有する第3の刃受部27と、第3の刃受部27から長手方向他端側へ延設され電源コード7の芯線7bをかしめ固定するためのかしめ部29とを一体に備えている。
さらに、筐体1には、栓刃挿入孔3a,3bを有する扉ユニットUが各窓孔12a〜12cにそれぞれ対応して計3つ取り付けられており、以下に、扉ユニットUについて説明する。ただし、扉ユニットUは図3に示すように、筐体1への取り付け位置によって、向きが異なるものであるから、説明の簡略化のために、扉ユニットUの説明に限り、図1(c)の上方を扉ユニットUの前方とし、図1(c)の下方を扉ユニットUの後方とし、図1(c)の右方を扉ユニットUの右方とし、図1(c)の左方を扉ユニットUの左方とする。
扉ユニットUは、栓刃挿入孔3a,3bから筐体1内への異物やゴミの侵入を防止する機能の他、栓刃挿入孔3a,3bから筐体1内への水の浸入を防止する防水機能、及び栓刃挿入孔3a,3bから筐体1内への塵や埃の侵入を防止する防塵機能を備えるものであって、図3に示すように、プラグPの一対の栓刃P1,P2がそれぞれ挿入される一対の栓刃挿入孔3a,3bを前面に有するとともに、該前面に対向する後面が開口した箱状の一体成形ブロック3、及び一体成形ブロック3の一対の栓刃挿入孔3a,3bから挿入された一対の栓刃P1,P2がそれぞれ挿通される一対の栓刃挿通孔60,61を有して一体成形ブロック3の後面開口を閉塞する中枠6からなるユニット本体と、ユニット本体にスライド移動自在に収納されて一対の栓刃挿入孔3a,3bを開閉する扉部4、及び扉部4が一対の栓刃挿入孔3a,3bを閉じる位置に移動するように扉部4を付勢するばね部材5からなる開閉手段とで構成されている。
一体成形ブロック3は、図1(c)に示すように、例えば耐トラッキング及び耐熱性に優れるユリア樹脂等の硬質樹脂材料を用いた樹脂成形品からなる本体部30と、それぞれゴムやエラストマー等の復元性(弾性)を有する軟質樹脂材料を用いた樹脂成形品からなり、本体部30に一体成形される外側パッキン部31及び内側パッキン部32とで構成されている。
本体部30は、後面が開口した箱状に形成されており、その前面中央部には、筐体1の窓孔内に配置される突台状のボス部30aが一体に突設されている。このボス部30aの前壁部には、栓刃挿入孔3a,3bが貫設されている。また、本体部30の短手方向の両内側面には、図1(c)に示すように、本体部30の左方から右方に向けて後方へ傾斜する傾斜面30bを後面側に有するガイドリブ30cがそれぞれ設けられている。また、本体部30の各内側面の後端側には、中枠6の側周部と当接する一対のリブ30dが設けられており、これらリブ30d間の部位に中枠6を嵌入することで、中枠6を一体成形ブロック3に固定できるようになっている。
外側パッキン部31は、一体成形ブロック3の本体部30と窓孔12a〜12cの縁部との間に介在して、筐体1の窓孔12a〜12cから筐体1内に水が浸入することを防止するためのものであり、一対の栓刃挿入孔3a,3bを備えるボス部30aを囲繞する周壁部31aと、枠部31aの後端部から外方へ突出して本体部30の前面においてボス部30aの周辺部を覆う鍔部31bとを一体に備えている。
ここにおいて、周壁部31aは、図1(c)に示すように、その前端面が、ボス部30aの前面よりも前方へ突出するとともに、その外形が、一般的なプラグPにおける栓刃P1,P2が突設されている面の外形に収まるように形成されている。そのため、一対の栓刃挿入孔3a,3bを介してプラグPの栓刃P1,P2を筐体1内の刃受部に接触接続した際には、プラグPにおける栓刃P1,P2が突設されている面(つまりは、プラグPにおける本体部30との対向面)に、外側パッキン部31の周壁部31aの前端面が密着して、プラグPと筐体1との隙間を無くし、これによりプラグPの栓刃P1,P2を水や埃から保護して、トラッキングや短絡等が生じてしまうことを防止できる。また、外側パッキン部31は上述したように復元性(弾性)を有しているため、本体部30とプラグPとの間で押し縮められるように変形することで、プラグPに多少の傾きや、浮き上がり、前記対向面に凹凸があった場合でも、同様にプラグPと筐体1との隙間を無くすことができる。
加えて、周壁部31aの前端面には、前方へ突出する外壁部31c及び内壁部31dが一体に周設されており、これにより周壁部31aがプラグPに外壁部31cと内壁部31dとの2箇所で密着することになるから、周壁部31aとプラグPとの密着性をより高めることができ、これによりさらなる防水性の向上を図ることができる。
内側パッキン部32は、扉部4により栓刃挿入孔3a,3bが閉じられた状態で、扉部4と本体部30の栓刃挿入孔3a,3bの縁部との間に介在して、栓刃挿入孔3a,3bから筐体1内に水が浸入することを防止するためのものであり、ボス部30aの前壁部の後面を覆う形状に形成されている。
また、上記外側パッキン部31と、内側パッキン部32とを本体部30に一体成形することによって、各パッキン部31,32と本体部30との密着性を高めており、これにより、各パッキン部31,32と本体部30との間に水や埃等が入ることを防止している。
扉部4は、例えば合成樹脂を用いて矩形板状に形成されており、その前面において、扉部4が一対の栓刃挿入孔3a,3bを閉じる位置に位置した際に一対の栓刃挿入孔3a,3bと対向する部位には、栓刃挿入孔3a,3b遮蔽用の突台部40,41が一体に突設されている。また、扉部4の前面における突台部40,41間の部位には、プラグPの一方の栓刃P2を刃受部側へ通すための挿通孔42が貫設されている。さらに、扉部4の短手方向(すなわちプラグの挿入方向に交差する方向)の両側面における長手方向中央部には、扉部4のスライド軸となる略円柱状の突部43,43が互いに上記短手方向において同軸となるように一体に突設されている。
ばね部材5は、弾性を有する一枚の長尺状の金属板から曲成された板ばねであって、図4(a)に示すように、中枠6に固定される板状の固定片50と、固定片50の長手方向(長さ方向)両端部から固定片50に対して鋭角方向(本実施形態では約60度の方向)にそれぞれ延設されて、幅方向にずれた状態で交差する一対の扉部押圧片51,52とを備えている。ここにおいて、固定片50の短手方向(幅方向)両端部には、ばね部材5を中枠6に固定するための各一対の爪部50aが一体に設けられている。また、一対の扉部押圧片51,52は、図4(b)〜(d)に示すように、各々の先部を基部に対して狭幅に形成することにより一対の扉部押圧片51,52の先部を幅方向にずらして、各々の先部の通る空間部間に重複する部分が生じないようにしているから、無負荷時及び屈撓時に関わらず、両扉部押圧片51,52が互いに干渉しないようになっている。
このようなばね部材5によれば、各扉部押圧片51,52のスパンと、固定片50の長さ寸法との間に、図9に示す従来の板ばね100のような設計上の制約がなくなる。そのため、曲げストロークを長くすることを目的として扉部押圧片51,52のスパンを大きくした際に、固定片50の長さ寸法を大きくしなくて済むから、曲げ部での応力集中を減少させつつもばね部材5の小型化を図ることが可能となる。
さらに、各扉部押圧片51,52において扉部4に弾接されて扉部4上を摺動する部位である先端部51a,52aは、その表面形状が略球面状に形成されており、これにより、先端部51a,52aにエッジや角がある場合に比べて、扉部押圧片51,52の先端部51a,52aが扉部4上を摺動しやすくなって、扉部4の操作性を向上できる。しかも、上記のエッジや角がある場合に比べて、扉部4が磨耗によって劣化してしまうことを防止することが可能となる。加えて、各扉部押圧片51,52において幅寸法の異なる基部と先部との間には、図4(b)〜(d)に示すように、基部側から先部側へ行くにつれて徐々に狭幅となる部位51bが設けられており、これにより基部と先部との境界部分に生じる応力集中を緩和している。
中枠6は、一体成形ブロック3の後面開口を閉塞するものであり、例えば合成樹脂を用いて矩形板状に形成されている。そして、図5(a)に示すように、中枠6の左右両端側には、プラグの栓刃が挿通される栓刃挿通孔60,61が貫設されている。また、中枠6の前面において、栓刃挿通孔60,61間の中間部位には、ばね部材5の固定片50が内部に配置されるばね部材5固定用の略直方形状の凹部62が凹設されている。さらに、中枠6の前面において、一体成形ブロック3のガイドリブ30c,30cと対向する部位には、図5(a)〜(e)に示すように、中枠6の左方から右方に向かって後方に傾斜する傾斜面63aを有するガイドリブ63がそれぞれ突設されている。
ここにおいて、一体成形ブロック3の各ガイドリブ30cの傾斜面30bと、中枠6のガイドリブ63の傾斜面63aとは各々の沿面方向が略平行となっており、これらの傾斜面30b,63a間の空間部が扉部4の突部43のガイド溝として用いられ、このガイド溝の溝方向は、プラグPの栓刃P1,P2の挿入方向(扉ユニットUの前後方向)に対して、傾斜した方向(扉ユニットUの左前方から右後方に向かう方向)となっている。
上記の一体成形ブロック3、扉部4、ばね部材5、及び中枠6からなる扉ユニットUは、次のようにして組み立てられる。まず、図5(a)に示すように、中枠6の凹部62にばね部材5の固定片50を嵌入することで、ばね部材5を中枠6に取り付ける。このとき、図5(c)に示すように、凹部62内においてばね部材5の爪部50aが凹部62の内側面に引っ掛かることによって、ばね部材5が中枠6にがたつかずに強固に固定され、これにより扉部4の開閉感触を向上でき、また、組み立て時にばね部材5が中枠6から脱落してしまうことを防止できるから、組み立て作業を行い易くなる。
次に、扉部4を図1(c)に示すように一体成形ブロック3内に収納し、この後に、ばね部材5が取り付けられた中枠6を体成形ブロック3のリブ30d間の部位に嵌入することで、中枠6を一体成形ブロック3に固定し、これにより扉ユニットUが完成する。
このように組み立てられた扉ユニットUでは、図1(c)に示すように、扉部4の軸部43,43が、一体成形ブロック3のガイドリブ30c,30cの傾斜面30bと、中枠6のガイドリブ63の傾斜面63aとの間の空間部からなるガイド溝に、該ガイド溝の溝方向にスライド自在、且つ扉部4の短手方向を回転軸として回動自在に嵌め合わされるとともに、扉部4の後面中央部にばね部材5の一対の扉部押圧片51,52の先端部51a,52aが弾接され、これにより扉部4がガイド溝に沿って前方へ移動させられて、扉部4の突台部40,41によって一体成形ブロック3の栓刃挿入孔3a,3bが閉じられる。このとき、扉部4がばね部材5により前方へ付勢されていることによって、扉部4と内側パッキン32との密着性が向上し、これにより防水性の向上が図られている。加えて、中枠6における一対の栓刃挿通孔60,61間の中間部位にばね部材5が固定されているので、扉部4が一対の栓刃挿入孔3a,3bを閉じた状態では、扉部4における一対の突台部40,41間の中間部位がばね部材5により押圧されることになり、これにより各突台部40,41が略均一な力で内側パッキン部32に密着されるから、防水性がさらに向上することになる。さらに、1つのばね部材5によって、扉部4をプラグPの挿入方向に傾斜した左前方向に移動させることができるから、扉部4を左方向に付勢するばね部材と、扉部4を前方向に付勢するばね部材との2つのばね部材を用いなくて済み、これにより部品点数の削減も図れる。
ブッシング8は、筐体1から引き出された電源コード7の外周を覆って内部の芯線7a,7bの屈曲による断線を防止するとともに、電源コード7用の挿通孔13での防水性及び防塵性を向上させるためのもので、電源コード7を囲繞する筒部80と、筒部80の一端側に設けられた鍔部81とを一体に備えたゴム等の樹脂成形品からなる。また、ブッシング8の筒部80の内周面には、電源コード7と隙間無く当接する突起部80aが複数周設されており、鍔部81の外周面には、ボディ10の突部10c及びカバー11の突部11cのそれぞれと凹凸嵌合する凹部81aが設けられている。
上記部材により本実施形態のテーブルタップは構成されており、以下にテーブルタップの組立方法について説明する。
まず、ボディ10に中ボディ14を、中ボディ14の孔部14d,14dにボディ10のボス部10d,10dを挿通させた状態で取り付ける。この後に、中ボディ14のリブ14a,14bと端子板2A,2Bの各々の孔部23a,28aとを凹凸嵌合させることで、中ボディ14に端子部2A,2Bをそれぞれ取り付ける。そして、各端子板2A,2Bのかしめ部24,29に、電源コード7の芯線7a,7bをそれぞれかしめ固定するとともに、電源コード7をボディ10の切欠部10bから外方へ引き出し、このとき、電源コード7にブッシング8を被せるとともに、ブッシングの凹部81aとボディ10の突部10cとを凹凸嵌合させる。そして、上記の扉ユニットUをボディ10内に、一体成形ブロック3の栓刃挿入孔3a,3bを筐体外方に向けるとともに、各扉ユニットUの栓刃挿通孔60,61と、各端子板2A,2Bの第1の刃受部20,25、第2の刃受部21,26、第3の刃受部22,27とをそれぞれ対応させた状態で配置する。
この後に、ボディ10とカバー11とを結合するのであるが、この作業は、各窓孔12a〜12cから一体成形ブロック3のボス部30aを外方へ臨ませるとともに、ブッシング8の凹部81aとカバー11の突部11cとを凹凸嵌合させ、且つ、カバー11のねじ孔11eとボディ10のねじ挿通孔10eとを連通させた状態で、組立ねじSをカバー11の各ねじ孔11eに螺着することで行われる。そして、ボディ10とカバー11とを結合した際には、電源コード7がボディ10のリブ10fと、カバー11のリブ(図示せず)とで狭持されて電源コード7の張力止めがなされる。
以上により図1(a)〜(c)に示すようなテーブルタップが得られ、このテーブルタップでは、扉ユニットUの一体成形ブロック3の本体部30と窓孔12a〜12cの縁部との間に介在される外側パッキン部31と、扉ユニットUの扉部4と本体部30の栓刃挿入孔3a,3bの縁部との間に介在される内側パッキン部32と、電源コード7と筐体1の挿通孔13の縁部との間に介在されるブッシング8とによって、筐体1内に水や埃等が入ることを防止するとともに、ボディ10の突壁部10gがカバー11の溝部11fに嵌入されることによってボディ10とカバー11との隙間から筐体1内に水や埃が入ることを防止している。
次に、本実施形態のテーブルタップにプラグPを脱着する際の扉ユニットUの扉部4の開閉動作について図6及び図7を参照して説明する。尚、以下の動作説明では、説明の簡略化のために、図6(a)の上方を扉ユニットUの前方とし、図6(a)の下方を扉ユニットUの後方とし、図6(a)の左方を扉ユニットUの左方とし、図6(a)の右方を扉ユニットUの右方とする。
まず、テーブルタップにプラグPを接続していない場合は、図6(a)に示すように、扉部4の突台部40,41が一体成形ブロック3の栓刃挿入孔3a,3bの後方に位置して、栓刃挿入孔3a,3bが閉じた状態となっている。また、このとき、図7(a)に示すように、扉部4の突部43が最も前方に位置した状態となっている。
そして、テーブルタップにプラグPを接続する際には、図6(a)に示すように、プラグPの栓刃P1,P2を栓刃挿入孔3a,3b内に差し入れて扉部4の突台部40,41に当接させ、このまま突台部40,41をばね部材5の付勢に逆らって押圧して、図6(b)に示すように、扉部4を後方へ押し込んでいく。このようにして栓刃P1,P2により扉部4を後方へ押し込むと、扉部4の突部43,43が、図7(b)に示すように、中枠6のガイドリブ63,63の傾斜面63a,63aに当接する。ここからさらに栓刃P1,P2を押し込んでいくと、傾斜面63a,63aは面方向が右前方を向いているため、扉部4の突部43,43は、傾斜面63a,63aに沿って右後方へ摺動し、これにより扉部4が、扉ユニットUの右後方へと誘導される。このまま、扉部4を右後方へ移動させていくと、やがて、図6(c)に示すように、突台部40,41が栓刃挿入孔3a,3bの後方から右側にずれて、扉部4が栓刃挿入孔3aの後方に位置しなくなるとともに、扉部4の挿通孔42が栓刃挿入孔3bの後方に位置するようになる。これにより一体成形ブロック3の栓刃挿入孔3a,3bと、中枠6の栓刃挿通孔60,61と前後方向で対向し、この結果、プラグPの一対の栓刃P1,P2を端子板2A,2Bの刃受部22,27にそれぞれ接触接続することができるようになる。
一方、プラグPの栓刃P1,P2をテーブルタップから引き抜いた際には、扉部4には栓刃P1,P2による押し込み方向の外力がかからないために、扉部4はばね部材5によって前方に付勢されて、図7(c)に示すように扉部4の突部43,43が一体成形ブロック3の傾斜面30b,30bに当接する。そして、傾斜面30b,30bの面方向が左後方を向いているために、扉部4の突部43,43は、傾斜面30b,30bに沿って左前方へ摺動し、これにより扉部4が、扉ユニットUの左前方へと誘導される。このまま、扉部4が左前方へ移動していくと、やがて扉部4の突台部40,41が栓刃挿入孔3a,3bの後方に位置し、その結果、図6(a)に示すように、両栓刃挿入孔3a,3bが扉部4により遮蔽されることになる。
以上述べた本実施形態のテーブルタップによれば、筐体1の栓刃挿入孔3a,3bを開閉する扉部4を栓刃挿入孔3a,3b側へ押圧するばね部材5が、中枠6に固定される固定片50と、固定片50の長手方向両端部から固定片50に対して鋭角方向にそれぞれ延設されるとともに、互いに干渉しないように幅方向にずらされた一対の扉部押圧片51,52とからなるので、扉部押圧片51,52のスパンを大きくすることで曲げ部での応力集中を減少させようとした場合でも、固定片50の長さ寸法を大きくせずに済むから、曲げ部での応力集中の減少とばね部材5の小型化の両立が可能となり、これにより、テーブルタップの小型化が図れるようになるという効果がある。しかも、上述したように、ばね部材5の小型化を図った際でも、ばね部材5の曲げ部での応力集中を減少できるから、ばね部材5が動作不良を起こしたり、破損したりして扉部4の開ばね部材5が動作不良を起こしたり、破損したりして扉部の開閉動作を正しく行えなくなる可能性を低くできて、安定した開閉動作を行えるようになるという効果がある。
また、従来の板ばね100では、板ばね100の扉部押圧片101,102と扉部4との接触範囲が、図2(a)にd1で示す範囲となっていたが、本実施形態のばね部材5は一対の扉部押圧片51,52の幅方向にずれているので、扉部押圧片の幅寸法が同じであれば、図2(a)にd2で示す範囲が扉部押圧片51,52と扉部4との接触範囲となる。したがって、本実施形態によれば、図2(a)から明らかなように、従来の板ばね100に比べて、扉部4との接触範囲を広げることができるから、扉部4を移動させた際に、扉部4の長手方向両端側がプラグPの栓刃P1,P2の挿抜方向(図2(a)における上下方向)でがたついてしまうことを抑制でき、これにより、安定した開閉動作を行えるようになる。
加えて、ばね部材5は、図2(b)に示すように、一対の扉部押圧片51,52が常に交差した状態となっているので、プラグの栓刃で扉部4を押圧していくと、一対の扉部押圧片51,52の先端部51a,52a間の距離d3が長くなっていくことになるから、扉部4を移動させた際には、扉部4の短手方向両端側がプラグPの栓刃P1,P2の挿抜方向(図2(a)における左右方向)でがたついてしまうことを抑制でき、これによって、安定した開閉動作を行えるようになる。
さらに、上述したように、扉部4を移動させた際に、扉部4の長手方向及び短手方向の両端側においてプラグPの栓刃P1,P2の挿抜方向でのがたつきが抑制されることにより、扉部4を受口カバー3のボス部30aの後面に対して傾かずに平行移動させることができ、これにより、扉部4が傾いた状態でボス部30aの内側パッキン部32に接触して、内側パッキン部32と扉部4との間で生じる比較的大きい摩擦力によって、扉部4の移動が妨げられてしまうことを防止できる。
ところで、本実施形態のテーブルタップに用いるばね部材5の例としては、上記の図4(a)〜(d)に示す形状に限られるものではない。例えば、図8(a)〜(d)に示すように、ばね部材5を固定片50の中央部で固定片50の長さ方向(長手方向)に分割した形状のばね部材5Aを2つ用いることとしもよく、この場合、各ばね部材5Aの扉部押圧片51が互いに干渉しないように、扉部押圧片51を幅方向にずらした状態で、対向配置すればよい。
このような図8(a)〜(d)に示すようなばね部材5Aを2つ用いることによっても上記と同様の効果を得ることができるが、このようなばね部材5Aを2つ用いる場合に比べると、上記の例のように1つのばね部材5を用いる方が、部品点数が少なくて済むため好ましい。
また、ばね部材5としては、上記のように一対の扉部押圧片51,52が常に交差したものに限られるものではなく、扉部押圧片51,52が少なくとも屈撓時において、互いの先部が干渉しないように交差するものであればよいが、扉部押圧片51,52が常に交差した状態とすれば、扉部押圧片51,52のスパンを大きくした際でも、扉部押圧片51,52の先端部51a,52aと固定片50との間の距離を短くでき、これによりばね部材の高さ寸法も小さくできて、ばね部材5のより一層の小型化を図ることが可能になる。
尚、テーブルタップの形状としては、本実施形態のような形状のものに限られるものではなく、さらに栓刃挿入孔を増やしたものや、端子板2A,2Bと電源コード7との間に通電をオンオフするスイッチを具備したものとしてもよく、状況に応じて好適なものを採用することができる。