JP2007102905A - 磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドおよび磁気記録装置 - Google Patents

磁気抵抗効果素子、磁気ヘッドおよび磁気記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 薄膜化しつつ、高出力を得るスピンバルブ膜が求められてきた。
【解決手段】 本発明では、下地層と、磁化の方向が実質的に一方の方向に固定された強磁性膜を有する磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化の方向が外部磁界に応じて変化する強磁性膜よりなる磁化自由層とを含み、これらの層の膜面に対して垂直方向に通電可能な磁気抵抗効果素子であって、当該磁化固定層が、当該下地層に接して設けられた硬質磁性材料と絶縁材料を含むグラニュラー層からなる第一の強磁性層と、非磁性結合層と、軟磁性材料からなる第二の強磁性層と、からなることを特徴とする磁気抵抗効果素子を構成している。これにより、薄膜化しつつ、高出力を得る磁気抵抗効果素子を提供できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気情報を再生(読み取り)する為の磁気抵抗効果素子、磁気情報を記録(書き込み)或は再生する為の磁気ヘッド及び磁気記録装置に関し、特に、所謂スピンバルブ膜や磁気トンネル接合膜を用いて、積層方向にセンス電流を流す膜面垂直通電型(CPP:Current Perpendicular to Plane)構造を有する磁気抵抗効果素子に関する。
従来、磁気記録装置の磁気ヘッドには、磁気記録媒体に記録された情報を再生する為の再生用素子として磁気抵抗効果素子が用いられてきた。磁気抵抗効果素子は、高記録密度化に伴い、磁界感度が高いスピンバルブ膜を備えたものが主流となっている。ここで、スピンバルブ膜は2つの強磁性層、即ち、磁化を固定された磁化固定層と、磁気記録媒体からの漏洩磁界に応じて磁化の向きが変わる磁化自由層から構成される。
これまでは、スピンバルブ膜の面内方向にセンス電流を流すCIP(Current−In−Plane)構造が主に用いられてきた。しかし、最近では、更なる高記録密度化を図る為に、スピンバルブ膜の積層方向にセンス電流を流すCPP構造が提案され、次世代再生用素子として盛んに研究が行われている(特許文献1参照)。
このCPP構造のスピンバルブ膜では、図1に示すように、磁化自由層8の磁化と、非磁性中間層7を挟んで存在する磁化固定層6の第二の強磁性層5の磁化と、の相対的な向きに応じて磁気抵抗が変化する。従って、その信号出力は、CPP構造のスピンバルブ膜1の積層方向にセンス電流Iを流すと、スピンバルブ膜1の両端に生じる電圧変化として検出される。ここで、磁化固定層6は、例えば、2つの強磁性層(軟磁性材料よりなる第一の強磁性層3及び軟磁性材料よりなる第二の強磁性層5)が非磁性結合層4を介して反強磁性的に結合した積層フェリ構造を有する。この積層フェリ構造は、2つの強磁性層、即ち、第一の強磁性層3及び第二の強磁性層5の磁化が、図1の矢印で模式的に示すように、互いに反平行をなすので、正味の磁化の大きさが小さくなり、反磁界を低減し、正味の磁化を抑制しつつ反強磁性層2との交換結合を増加させ、確実に磁化固定層6の磁化方向を固定できる。
一方、上述したCPP構造のスピンバルブ膜1を薄膜化し、磁気抵抗効果素子の分解能を高める為、スピンバルブ膜1の第一の強磁性層3を硬質磁性材料で、第二の強磁性層5を軟質磁性材料で構成し、反強磁性層2を省くことが提案されている。
特開2002−208744号公報
ところで、上述のように、第一の強磁性体層3を硬質磁性材料で構成したスピンバルブ膜1は、薄膜化、即ち狭ギャップ化を図る事は可能であるが、その出力は小さい。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであって、信号出力を低下させることなく、スピンバルブ膜を薄膜化した磁気抵抗効果素子を提供することを目的とする。
上記目的は、下地層と、磁化の方向が実質的に一方の方向に固定された強磁性膜を有する磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化の方向が外部磁界に応じて変化する強磁性膜よりなる磁化自由層とを含み、これらの層の膜面に対して垂直方向に通電可能な磁気抵抗効果素子であって、当該磁化固定層が、当該下地層に接して設けられた硬質磁性材料と絶縁材料を含むグラニュラー層からなる第一の強磁性層と、非磁性結合層と、軟磁性材料からなる第二の強磁性層と、からなることを特徴とする磁気抵抗効果素子により達成される。これにより、従来の反強磁性層を省くことが可能となり、スピンバルブ膜の薄膜化をすることが出来ると共に、第一の強磁性層をグラニュラー層としたことで、電流狭窄効果などを得る事ができ、高出力化することが出来る。
本発明によれば、第一の強磁性層を、グラニュラー層としたため、高出力化することが可能となり、当該グラニュラー層が、硬質磁性材料を含むため、従来のような反強磁性層を省くことが可能となり、薄膜化することができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図、実施例等を使用して説明する。尚、これらの図、実施例及び説明は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得る。尚、同一の符合は同一の要素を表わすものである。
本発明に係る磁気抵抗効果素子は、下地層と、磁化の方向が実質的に一方の方向に固定された強磁性膜を有する磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化の方向が外部磁界に応じて変化する強磁性膜よりなる磁化自由層とを含み、これらの層の膜面に対して垂直方向に通電可能な(即ちCPP型の)磁気抵抗効果素子であって、当該磁化固定層が、当該下地層に接して設けられた硬質磁性材料と絶縁材料を含むグラニュラー層からなる第一の強磁性層と、非磁性結合層と、軟磁性材料からなる第二の強磁性層と、からなることを特徴とする。即ち、第一の強磁性層が硬質磁性材料を含むことにより、従来のように、下地層と磁化固定層との間に反強磁性層を形成する事を不要としつつ(つまりスピンバルブ膜の薄膜化)、第一の強磁性層が硬質磁性材料と絶縁材料とを含むグラニュラー層とすることにより、高出力化を可能としたものである。
図2は、本発明に係るCPP構造のスピンバルブ膜1の断面構造を示す模式図である。
本発明に係るCPP構造のスピンバルブ膜1では、磁化自由層8、非磁性中間層7、第二の強磁性層5、及び非磁性結合層4については、図1と同様であるが、第一の強磁性層3については、硬質磁性材料と絶縁材料とを含むグラニュラー層で構成されている。また、反強磁性層2も存在しない。
このように、第一の強磁性層3を、硬質磁性材料と絶縁材料とからなるグラニュラー層で構成することで、磁気抵抗効果に悪影響を及ぼす第一の強磁性層3中のスピンバルク散乱を抑えることが可能となる。また、グラニュラー層には絶縁材料が含まれており、それによって、第一の強磁性層3を流れる電流の経路(以下電流パスと称する)が限定されることになる。それによって、第二の強磁性層5、磁化自由層8の電流パスも限定されることになり、電流狭窄効果による信号出力の増加も可能となる。更に、反強磁性層2を不要としたことで、反強磁性/強磁性界面の交換異方性が反強磁性層厚の低減とともに低下する問題を回避することができる。また、第一の強磁性層3が硬質磁性材料を含むことで、磁化固定層6を、熱、外部磁場に対し安定化することができる。更に、反強磁性層2が不要となることにより、反強磁性層2の堆積時間、場合によっては、反強磁性層2と磁化固定層6の第一の強磁性層3との間に一方向異方性を与える磁場中アニール時間が短縮され、生産性も向上する。
次に、本発明に係る磁気抵抗効果素子と誘導型記録素子を備えた複合型磁気ヘッドについて説明する。
図3は、複合型磁気ヘッドの磁気記録媒体対向面の構造例を示す図である。図3中、磁気記録媒体の移動方向は矢印Xで示す方向である。紙面に垂直な方向がハイト方向である。
図3を参照して、複合型磁気ヘッド20は、ヘッドスライダの基本となるAl−TiC(アルチック)等からなる平坦なセラミック基板21の上に形成された磁気抵抗効果素子22と、その上に形成された誘導型記録素子23から構成される。
誘導型記録素子23は、磁気記録媒体対向面に磁気記録媒体のトラック幅に相当する幅を有する上部磁極24Aと、非磁性材料からなる記録ギャップ層25を挟んで上部磁極24Aに対向する下部磁極24Bと、上部磁極24Aと下部磁極24Bとを磁気的に接続するヨーク(図示せず)と、ヨークを巻回し、記録電流により磁場を誘起するコイル(図示せず)等からなる。上部磁極24A、下部磁極24Bおよびヨークは、軟磁性材料より構成され、記録磁界を確保するために飽和磁束密度の大きい材料、例えば、Ni80Fe20、CoZrNb、FeN、FeSiN、FeCo合金等から造られる。
磁気抵抗効果素子22は、セラミック基板21表面に形成されたアルミナ膜26上に、下部電極28、磁気抵抗効果膜30、アルミナ膜31、上部電極32が順次積層された構成となっており、下部電極28、磁気抵抗効果膜30、及び上部電極32が電気的に接続されている。磁気抵抗効果膜30の両側には、約10nm以下の膜厚の絶縁膜33を介して磁区制御膜34が形成されている。磁区制御膜34は、例えば、Cr/CoCrPtの積層体からなり、磁気抵抗効果膜30を構成する磁化固定層及び磁化自由層(図4に示す)の単磁区分化を図り、バルクハウゼンノイズの発生を防止する。抵抗変化を検知するセンス電流は、例えば上部電極32から磁気抵抗効果膜30を通じて下部電極28に流れ、磁気記録媒体からの漏洩磁界に対応して変化する磁気抵抗効果膜30の磁気抵抗を信号電圧として検出して、磁気記録媒体に記録された情報を再生する。尚、下部電極28及び上部電極32はセンス電流の流路としての機能に加え磁気シールドとしての機能も兼ねるため、軟磁性合金、例えば、NiFe、CoFe等から構成され、更に導電性材料、例えば、Cu、Ta、Ti等からなる層の積層体としてもよい。また、磁気抵抗効果素子22及び誘導型記録素子23は、腐食等を防止する為、アルミナ膜や水素化カーボン膜等により覆われている。
図4は、本発明に係る磁気抵抗効果素子22を構成する磁気抵抗効果膜30の断面図である。
図4を参照して、磁気抵抗効果膜30は、CPP構造のシングルスピンバルブ構造を有し、下地層41、第一の強磁性層42と非磁性結合層43と第二の強磁性層44とからなる磁化固定層45、非磁性中間層46、磁化自由層47及び保護層48が順次積層された構造を有する。
下地層41は、図3に示す下部電極28の表面にスパッタ等により形成される。下地層41については、後で更に説明する。
磁化固定層45は、下地層41側から、第一の強磁性層42、非磁性結合層43、第二の強磁性層44の順に形成した積層体で構成される。第一の強磁性層42は硬質磁性材料と絶縁材料とを含むグラニュラー層で構成されており、第二の強磁性層44は軟磁性材料で構成されている。第一の強磁性層42と第二の強磁性層44とは、非磁性結合層43を介して反強磁性的に交換結合している。
本発明に係る第一の強磁性層42は、強磁性材料と絶縁材料とを含むグラニュラー層であり、強磁性材料と絶縁材料とをスパッタすることにより、1〜30nmの膜厚に形成される。ここで、グラニュラー層に含まれる強磁性材料の体積の割合は、強磁性材料と絶縁材料とを含むスパッタターゲットの組成、或は同時放電時の強磁性材料と絶縁材料のスパッタ電力の比率により調整される。特に、強磁性材料の体積の割合を30%以上とすると好ましい。また、グラニュラー層に含まれる強磁性材料の割合に応じて、グラニュラー層中に強磁性材料が孤立分散した状態から強磁性材料のほぼ連続膜状態まで変化させることが可能である。後述するが、電流狭窄効果やblocking効果は、グラニュラー層に占める強磁性材料の割合が低いほど高い効果が得られる。また、強磁性材料は、(Co100−xPt1−y/100Cry/100(x:10〜30、y:0〜20)から成る合金であり、絶縁材料は、どのような材料でも構わないが、酸化物、窒化物等の絶縁材料からなり、例えば、SiO,Al、SiC、Siなどが挙がられる。
本発明に係る第二の強磁性層44は、軟磁性材料からなり、例えばスパッタなどで形成された、膜厚1〜30nmのCo、Fe、Ni及びこれらの元素を含んでなる合金から構成することができる。例えば、FeCo、NiFe(パーマロイ)、FeCoCuなどを例示することができる。また、場合によっては、強磁性を消失しない範囲において、他の元素を添加してもよい。添加元素としては、B、C、N、O、F、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Zn、Ga、Ge、As、Se、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、PoまたはAtを挙げることができる。尚、第二の強磁性層44は、1層のみならず、2層以上の積層体としても良い。
本発明に係る非磁性結合層43は、例えばスパッタなどで形成された、膜厚0.4nm〜1.5nm(好ましくは0.4nm〜0.9nm)の範囲のRu、Rh、Ir、Ru系合金、Rh系合金、Ir系合金等の非磁性材料から構成される。Ru系合金としてはRuに、Co、Cr、Fe、Ni、及びMnのうちいずれか一つを加えたものが好適である。
本発明に係る非磁性中間層46は、例えば、スパッタなどにより形成された、膜厚1.5nm〜10nmの導電性材料より構成され、例えば、Cu膜、Al膜等により構成される。
本発明に係る磁化自由層47は、磁化の方向が外部磁界に応じて変化する強磁性膜よりなる。この磁化自由層47は非磁性中間層46の表面にスパッタ等により形成され、膜厚が1nm〜30nmのCo、Fe、Ni及びこれらの元素からなる強磁性材料、例えば、NiFe(パーマロイ)、FeCo、FeCoB等、あるいは、これらの膜の積層体により構成される。磁化自由層の磁化は面内方向を向いており、磁気記録媒体より漏洩する磁場の方向に応じて磁化の向きが変わる。その結果、磁化自由層47の磁化と磁化固定層45の磁化とのなす角に対応して磁化固定層45/非磁性中間層46/磁化自由層47の積層体の抵抗値が変化する。
ここで、磁化自由層47は、積層構造を有していてもよい。図5は、磁化自由層47のそのような例の要部拡大図である。図5を参照して、磁化自由層47は強磁性層47a/非磁性導電層47bの繰り返しからなる、所謂、積層磁化自由層構造を有する。図5に示す積層磁化自由層構造は、強磁性層47a/非磁性導電層47bの2回の繰り返しを示しており、磁化自由層47の表面および底面の層を強磁性層47aとしている。強磁性層47aを、図4に示す磁化自由層47と同様の材料、非磁性導電層47bを、図4に示す非磁性中間層46と同様の材料(好ましくはCu)で構成することができる。このように、磁化自由層47を積層磁化自由層構造とすることで、磁化自由層47の保磁力を低下させ、磁界感度を向上させると共に、磁気抵抗変化率を向上させることができる。
積層磁化自由層構造は、強磁性層47a/非磁性導電層47bの繰り返しが、2〜3回の範囲が好ましく、強磁性層47aの膜厚を、1nm〜2nmの範囲で設定する事が好ましく、非磁性導電層47bの膜厚を、0.3nm〜2nmの範囲で設定することが好ましい。また、強磁性層47a同士は、互いに異なる組成の強磁性層の積層体としても良い。
本発明に係る保護層48は、磁化自由層47の表面にスパッタ等により形成され、例えばRu、Cu、Ta、Au、Al、Wからなる導電性膜、或は、これらの積層体等から構成することができる。このようにすると、熱処理等の間に磁気抵抗効果膜30が酸化されることを防止できる。また、保護層48にCu膜を用いると、磁化自由層47と磁性/非磁性界面を形成することができ、抵抗変化率を向上させることが可能となる。
上述のように、本発明に係る磁化固定層45は、磁化の方向が実質的に一方の方向に固定された第一の強磁性層42、及び第二の強磁性層44を有する。磁化の方向を一方の方向に固定させた結果、目的とする磁気抵抗記録素子の性能が発揮できれば、磁化の方向が実質的に一方の方向に固定されたと考えることができる。磁化固定層45については、磁化自由層47に対する磁区制御膜34の着磁の際に印加される外部磁場によって、非可逆な磁化反転が起こらないこと、非磁性結合層43を介した第二の強磁性層44との交換結合が安定であることが求められるが、これには、第一の強磁性層42に含まれる硬質磁性材料に、適切な材料を選択することで対応可能である。
このためには、第一の強磁性層42、つまり、グラニュラー層に含まれる硬質磁性材料の連続膜状態での保磁力が1.2kOe以上であることが好ましい。この保磁力は、連続膜としての値であり、磁気抵抗効果素子のサイズにおける値ではない。また、磁化固定層45は積層フェリ構造を有するため、実質的に一方向に固定された磁化は、2.5kOe程度まで保持することができる。従って、連続膜状態での保磁力がこの程度大きければ、磁化自由層47の磁化を制御するための磁区制御膜34(たとえばCoCrPt膜)を着磁する際に印加される磁場(1.5kOe程度)によって、磁化固定層45の第一の強磁性層42に含まれる硬質磁性材料の保磁力が、非可逆反転することを防止でき、非磁性結合層43を介した第二の強磁性層44との交換結合が安定になる。
このような保磁力を得るには、第一の強磁性層42、つまりグラニュラー層に含まれる硬質磁性材料が、主として、CoとPtまたは、CoとPtとCrとよりなることが好ましく、(Co100−xPt1−y/100Cry/100(10<x<30、0≦y<20)の組成を有することがより好ましい。CoとPtまたは、CoとPtとCrとの合計が90重量%以上であり、硬質磁性材料として所望の性能が得られれば、硬質磁性材料が、主として、CoとPtまたは、CoとPtとCrとよりなっていると考えることができる。この組成では、磁気抵抗効果素子の素子サイズが0.1μm以下で、磁化過程が回転モードとなり、保磁力が1.2kOe以上を示すようになる。素子サイズを小さくするほど保磁力が大きくなるので、素子サイズを0.1μmよりさらに小さくすることがより好ましい。式中xは10〜30、yは0〜20の範囲内の数字である。なお、第一の強磁性層42がCrを含む場合には、合金の保磁力を高い値に安定化するために、第一の強磁性層42形成中またはその後に熱処理を施すことが好ましい。熱処理は、150〜300℃の範囲で、1〜10時間行うことが好ましい。
本発明に係る第一の強磁性層42を、硬質磁性材料と絶縁材料とを含むグラニュラー層で構成したことによって、第一の強磁性層42の比抵抗が増加し、それによってスピン依存バルクが低下し、第一の強磁性層42での磁気抵抗効果の減少を抑えることができる。つまり、第一の強磁性層42を硬質磁性材料のみで構成した場合は、第一の強磁性層42でスピン散乱による磁気抵抗効果の減少が生じるが、第一の強磁性層42をグラニュラー層とすることで、第一の強磁性層42中で電子が散乱されず通過し、磁気抵抗効果を低下させる電子の数を減らすことが出来る。従って、第一の強磁性層42の散乱非対称項が第二の強磁性層44の散乱非対称項より小さくなり、信号出力を高めることができる。また、電流狭窄効果による高出力化を可能とする。このような効果を奏する理由を次に説明する。
一般的に、磁気抵抗を生ずる原因として、強磁性層と非磁性層との界面で発生するスピン依存界面散乱と、強磁性層内で発生するスピン依存バルク散乱がある。磁気抵抗への寄与は、通常、スピン依存界面散乱とスピン依存バルク散乱とはほぼ同等と考えて良い。ここでは、スピン依存界面散乱を省略して説明する。
磁気抵抗効果膜30を通過する電子には、磁化自由層8の磁化方向に対してアップスピンを有する電子EL1とダウンスピンを有する電子EL2が存在し、それらが磁化固定層45を通過し、下地層41を介して下部電極28に流れる。磁化固定層45は、上述の通り、第一の強磁性層42、非磁性結合層43、及び第二の強磁性層44で積層フェリ構造を有しているため、磁化の方向は互いに反平行となっている。アップスピン、ダウンスピンを有する電子EL1、EL2は、第二の強磁性層44でバルク散乱により、それぞれ抵抗率ρ21、ρ22を生じ、更に、第一の強磁性層42でバルク散乱により、それぞれ抵抗率ρ11、ρ12を生じる。
ここで、第一の強磁性層42、或は、第二の強磁性層44の磁化方向とスピンが平行である場合、抵抗率ρ=2ρ*(1−β)、反平行な場合は、抵抗率ρ=2ρ*(1+β)と表わされる。ここで、ρ*は、各材料に固有の比例定数であり、βは、散乱非対称項である。第一の強磁性層42、第二の強磁性層44の散乱非対称項βをそれぞれβ1、β2とし、比例定数ρ*をそれぞれρ1*、ρ2*とする。更に、第一の強磁性層42、第二の強磁性層44の膜厚をそれぞれt1、t2とする。
磁化固定層45を通過するアップスピンの電子EL1の感じる抵抗値は、非磁性結合層43に起因する抵抗をR13として、
ρ↑(t1+t2)=ρ11×t1+ρ21×t2+R13=2ρ1*(1−β1)×t1+2ρ2*(1+β2)×t2)・・・(1)
ダウンスピンの電子EL2の感じる抵抗は、
ρ↓(t1+t2)=ρ12×t1+ρ22×t2+R13=2ρ1*(1+β1)×t1+2ρ2*(1−β2)×t2)・・・(2)
と表わされる。
アップスピンの電子EL1が感じる抵抗とダウンスピンの電子EL2が感じる抵抗との差は、上記式(1)−(2)として、
(ρ↑−ρ↓)(t1+t2)=4(ρ2*×β2×t2−ρ1*×β1×t1)・・・(3)
となる。ここで、説明を簡単にするため、ρ1*とρ2*がほぼ等しく(=ρ*)、t1とt2がほぼ等しい(=t)とすると、上記式(3)は、
(ρ↑−ρ↓)(t1+t2)=4ρ*t(β2−β1)・・・(4)
となる。
従って、上記式(4)から、β1がβ2とほぼ等しい場合は、アップスピンの電子EL1が感じる抵抗とダウンスピンの電子EL2が感じる抵抗との差が小さくなり、その結果、磁化固定層45全体としてのスピン依存抵抗の非対称性が減少する。即ち、例えば磁化自由層47から第二の強磁性層44を流れてきた電子に対して、第一の強磁性層42において第二の強磁性層44と逆のスピン非対称性をもった抵抗を与えてしまうので、アップスピンの電子EF1が感じる抵抗とダウンスピンの電子EL2が感じる抵抗との差が減少する。
そこで、本発明では、第一の強磁性層42を、硬質磁性材料と絶縁材料とを含むグラニュラー層とすることで、β1をほぼ0とし、アップスピンの電子EL1が感じる抵抗とダウンスピンの電子EL2が感じる抵抗との差を増加させることができる。その結果、第一の強磁性層42では、アップスピンの電子EL1、及びダウンスピンの電子EL2ともに同じ抵抗を感じ、磁化固定層45全体で、アップスピンの電子EL1が感じる抵抗との差が増加する。
その結果、磁化固定層45の磁化の方向に対して磁化自由層47の磁化方向の変化に応じて生じる磁気抵抗変化量ΔRAを増加させることができる。
更に、第一の強磁性層を硬質磁性体と絶縁体とを含むグラニュラー層とすると、電流狭窄効果を得る事ができる。
本発明の第一の強磁性層42は、硬質磁性材料と絶縁材料で構成されている。従って、第一の強磁性層42においては、導電性を有する硬質磁性材料を含む箇所でのみ電子が流れることになり、絶縁材料を含む箇所においては、電子は流れない。つまり、第一の強磁性層42中では、電子の流れる経路は限定されることになる。そして、図6に示すように、磁気抵抗効果に関わる電子は、磁化自由層8や第二の強磁性層5にも一様に流れず、電流パス61を流れることになる。電子の平均自由工程は、絶縁材料部分を除き、スピンバルブ膜1の総膜厚以上の長さを有する。磁気抵抗効果に関わる電子は、第一の強磁性層42で散乱されない電子であるので、磁気抵抗効果は電流パス61が搾られた部分でのみ磁気抵抗効果が発生する。ここで、素子面積Aに対し、電流が流れる面積をA“、電流狭窄効果がある場合、ない場合の抵抗変化をΔR“、ΔRとそれぞれ定義すると、ΔRA=ΔR”A“となる。実際には、電流が流れる面積A”は、不明であるが、評価においては、Aとなり、電流狭窄効果がある場合のΔRAは、電流狭窄効果がない場合のΔRAのA/A“倍となり、高出力化を図ることが可能となる。
グラニュラー層を構成する絶縁材料は、どのようなものでも構わないが、例えば、SiO、Al、MgO、HfO、SiNなどが利用出来る。絶縁材料の添加量は、少しでも添加されれば、比抵抗の増加、電流狭窄効果を得る事は可能であるが、70%以上絶縁材料を添加すると強磁性粒子が10nm以下となり、磁気特性が超常磁性状態となり、所望の保磁力を得ることができなくなる。従って、第一の強磁性層に占める絶縁材料の体積率は、70%以下が好ましい。
このような要素からなる本発明に係る磁気抵抗効果素子は、磁気情報を記録あるいは再生するための磁気記録装置の磁気ヘッドに好適に使用する事ができる。図7は、本発明に係る磁気抵抗効果素子を使用した磁気記録装置の要部を示す図である。図7を参照して、磁気記録装置90は、ハウジング91内に、スピンドル(図示せず)により駆動されるハブ92、ハブ92に固定され回転される磁気記録媒体93、アクチュエータユニット94、アクチュエータユニット94に取り付けられ磁気記録媒体93の半径方向に移動できるアーム95及びサスペンション96、サスペンション96に支持された磁気ヘッド20が設けられている。この磁気ヘッド20を、図3に示したような磁気抵抗効果素子22とその上に形成された誘導型記録素子23から構成することにより、狭Gap化により高分解能化され、第一の強磁性層をグラニュラー層とすることにより、従来のスピンバルブ膜に比して10倍程度高出力された磁気記録装置90が得られる。
尚、本発明で用いる磁気記録媒体は、垂直磁気記録方式であれば、磁気ディスクに限定されず、磁気テープであっても良い。
このように、本発明では、磁化固定層6を構成する第一の強磁性層3を、硬質磁性材料と絶縁材料とを含むグラニュラー層としたことで、図1に示すような反強磁性層を省くことを可能とすると共に、図7に示すように、電流パス61が形成され、電流狭窄効果を得ることが可能となる。従って、薄膜、高出力の磁気抵抗効果素子を得ることが出来る。
以上のように、本発明の好ましい実施例を詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 下地層と、磁化の方向が実質的に一方の方向に固定された強磁性膜を有する磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化の方向が外部磁界に応じて変化する強磁性膜よりなる磁化自由層とを含み、これらの層の膜面に対して垂直方向に通電可能な磁気抵抗効果素子であって、
当該磁化固定層が、当該下地層に接して設けられた硬質磁性材料と絶縁材料を含むグラニュラー層からなる第一の強磁性層と、非磁性結合層と、軟磁性材料からなる第二の強磁性層と、からなることを特徴とする磁気抵抗効果素子。(1)
(付記2) 前記硬質磁性材料は、CoとPtまたはCoとPtとCrとよりなることを特徴とする付記1記載の磁気抵抗効果素子。(2)
(付記3) 前記硬質磁性材料は、(Co100−xPt1−y/100Cry/100(10<x<30、0≦y<20)の組成を有することを特徴とする付記2記載の磁性抵抗効果素子。
(付記4) 前記絶縁材料は、酸化物又は窒化物であることを特徴とする付記1記載の磁気抵抗効果素子。
(付記5) 前記第一の強磁性層に占める絶縁材料の体積率は、70%以下であることを特徴とする付記1記載の磁気抵抗効果素子。(3)
(付記6) 付記1記載の磁気抵抗効果素子を備えた磁気ヘッド。(4)
(付記7) 付記4記載の磁気ヘッドを備えた磁気記録装置。(5)
従来のCPP構造のスピンバルブ膜の一例の模式的横断面図である。 本発明に係るスピンバルブ膜の一例の模式的横断面図である。 複合型磁気ヘッドの磁気記録媒体対向面の構造例を示す図である。 本発明に係る磁気抵抗効果素子を構成する磁気抵抗効果膜の断面図である。 磁化自由層の他の例の要部拡大図である。 電流狭窄効果の概念を示す図である。 磁気抵抗効果素子を使用した磁気記録装置の要部を示す図である。
符号の説明
1 スピンバルブ膜
2 反強磁性層
3 第一の強磁性層
4 非磁性結合層
5 第二の強磁性層
6 磁化固定層
7 非磁性中間層
8 磁化自由層
20 複合型磁気ヘッド
21 セラミック基板
22 磁気抵抗効果素子
23 誘導型記録素子
24A 上部電極
24B 下部電極
25 記録ギャップ層
26 アルミナ膜
28 下部電極
30 磁気抵抗効果膜
31 アルミナ膜
32 上部電極
33 絶縁膜
34 磁区制御膜
41 下地層
42 第一の強磁性層
43 非磁性結合層
44 第二の強磁性層
45 磁化固定層
46 非磁性中間層
47 磁化自由層
47a 強磁性層
47b 非磁性導電層
48 保護層
61 電流パス
90 磁気記録装置
91 ハウジング
92 ハブ
93 磁気記録媒体
94 アクチュエータユニット
95 アーム
96 サスペンション
I センス電流

Claims (5)

  1. 下地層と、磁化の方向が実質的に一方の方向に固定された強磁性膜を有する磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化の方向が外部磁界に応じて変化する強磁性膜よりなる磁化自由層とを含み、これらの層の膜面に対して垂直方向に通電可能な磁気抵抗効果素子であって、
    当該磁化固定層が、当該下地層に接して設けられた硬質磁性材料と絶縁材料を含むグラニュラー層からなる第一の強磁性層と、非磁性結合層と、軟磁性材料からなる第二の強磁性層と、からなることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 前記硬質磁性材料は、主として、CoとPtまたはCoとPtとCrとよりなることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記第一の強磁性層に占める絶縁材料の体積率は、70%以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 請求項1記載の磁気抵抗効果素子を備えた磁気ヘッド。
  5. 請求項4記載の磁気ヘッドを備えた磁気記録装置。
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