JP2002032904A - 磁気ヘッドおよびこれを用いた磁気情報記録再生装置 - Google Patents

磁気ヘッドおよびこれを用いた磁気情報記録再生装置

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JP2002032904A
JP2002032904A JP2001109993A JP2001109993A JP2002032904A JP 2002032904 A JP2002032904 A JP 2002032904A JP 2001109993 A JP2001109993 A JP 2001109993A JP 2001109993 A JP2001109993 A JP 2001109993A JP 2002032904 A JP2002032904 A JP 2002032904A
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yoke
layer
magnetic layer
film
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JP2001109993A
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English (en)
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Masayoshi Hiramoto
雅祥 平本
Nozomi Matsukawa
望 松川
Akihiro Odakawa
明弘 小田川
Kenji Iijima
賢二 飯島
Hiroshi Sakakima
博 榊間
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電流を膜面に垂直に流す磁気抵抗素子を備え
た磁気ヘッドの特性を向上させる。 【解決手段】 ヨーク4、磁気抵抗素子3を形成する基
板表面に垂直な方向に沿って観察したときの素子断面積
をヨーク面積の30%以上として、素子断面積の抵抗増
大を抑制する。基板上に磁気抵抗素子を形成し、この素
子上にヨークを形成してもよい。磁気抵抗素子の自由層
を、2以上の磁性膜と1以上の非磁性膜とを交互に積層
した構成とし、この非磁性膜の厚さを2nm以上10n
m以下として、静磁結合を支配的としてもよい。磁気抵
抗素子に隣接して磁気ギャップを設け、かつ磁性膜を反
強磁性結合させてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク、光
磁気ディスク、テープ等磁気メディアの再生ヘッドとし
て有用な磁気ヘッドに関するものである。本発明は、特
に、トンネル磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗素子(TM
R素子)、カレント・パーペンディキュラー・トゥー・
ザ・プレイン型の巨大磁気抵抗効果を用いた磁気抵抗素
子(CPPGMR素子)のように、非磁性層を介して電
流を膜面に垂直に流す磁気抵抗素子を用いた磁気ヘッド
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気記録密度の向上に対応するために、
スピンバルブ型GMR素子が実用化され始めている。ス
ピンバルブ型GMR素子の原理は、自由層と固定層の磁
化方向がなす角度に応じて膜面に沿った方向(面内方
向)に流れる電子の平均自由行程の変化により説明され
ている。このスピンバルブ型GMR素子は、従来の異方
性MR素子に比べて数倍高い10%程度のMR比(磁気
抵抗比)を実現した。
【0003】一方、さらに高いMR比が得られる材料と
して、TMR素子が研究されている。TMRでは、トン
ネル非磁性層を介した2つの強磁性層の磁化方向がなす
角度に応じて変化するトンネル遷移確率が利用される。
TMR素子では、スピンバルブ型GMRとは異なり、膜
面を横切る方向(面垂直方向)に電流が流される。
【0004】TMR素子を使用する磁気ヘッドの構成と
して、特開平11−213349号公報には、従来GM
Rヘッドで用いられてきたシールド型のMRヘッドのM
R素子部をTMR素子で置き換え、フラックスガイドを
備えた構成を有する磁気ヘッドが提案されている。ま
た、特開平11−25425号公報には、ヨーク面が基
板面に垂直となるようにヨークを配置し、このヨーク内
にTMR素子を配置した構成を有する磁気ヘッドが提案
されている。この磁気ヘッドでは、基板上にヨークが形
成され、ヨーク上の一部に磁気抵抗素子が配置されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、TMR素子
など電流を膜面に垂直に流す磁気抵抗素子(磁気抵抗効
果素子)に適した構造を有する磁気ヘッドおよびこれを
用いた磁気情報記録再生装置を提供することを目的とす
る。また、本発明は、電流を膜面に垂直に流す磁気抵抗
素子自体に改善を施すことにより特性を向上させた磁気
ヘッドおよびこれを用いた磁気情報記録生成装置を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ヘッドは、
電流を膜面に垂直に流す磁気抵抗素子を有しており、基
本的に、第1磁性層と第2磁性層との間に非磁性層が介
在した積層構造を含む磁気抵抗素子と、磁気ギャップか
らこの磁気抵抗素子へと外部磁界を導くためのヨーク
と、第1磁性層と第2磁性層との間に非磁性層を介して
電流を流すための電流導入部と、上記ヨークを介して誘
導される外部磁界によって変化する第1磁性層と第2磁
性層との間の磁化相対角に応じて第1磁性層と第2磁性
層との間に発生する抵抗の変化を検知する測定部と、上
記磁気抵抗素子および上記ヨークを形成するための基板
とを備えている。
【0007】そして、本発明の第1の磁気ヘッドは、さ
らに、基板の表面に垂直な方向に沿って観察して、非磁
性層の面積を素子断面積、ヨークの面積をヨーク面積と
それぞれ定義したときに、素子断面積がヨーク面積の3
0%以上、好ましくは50%以上であることを特徴とす
る。
【0008】電流を面垂直方向に流す磁気抵抗素子で
は、電流を面内方向に沿って流す素子とは異なり、素子
小型化に伴う素子抵抗の増大がヘッドの特性を低下させ
やすい。そこで、上記第1の磁気ヘッドでは、ヨーク面
積に対する素子断面積の比率を従来よりも大きく保つこ
とにより、素子抵抗の増大を抑制することとした。特に
制限されないが、上記第1の磁気ヘッドは、素子断面積
が0.1μm2以下に制限される程度に小さい場合に大
きな効果を発揮する。
【0009】また、本発明の第1の磁気ヘッドによれ
ば、理想的なビットから漏れる僅かな磁束を十分にヨー
ク内に導入できる短磁路長が実現できる。磁束の導入を
十分に行うためには、ヨーク高さは10μm以下が好ま
しい。さらに、第1の磁気ヘッドでは、ヨークに占める
素子断面積が大きいため、磁区のひっかかり等を引き起
こすヨークの形状異方性効果が緩和され、安定した出力
を得ることができる。
【0010】本発明の第2の磁気ヘッドは、基板上に磁
気抵抗素子が形成され、この磁気抵抗素子を構成する非
磁性層よりも上方にヨークが配置されたことを特徴とす
る。
【0011】従来は、基板上にヨークが形成され、ヨー
ク上に磁気抵抗素子が形成されていたが(上記特開平1
1−25425号公報参照)、上記第2の磁気ヘッドで
は、基板とヨークとの間に磁気抵抗素子を配置する基本
構造を採用することによって、ヨークの形状等に制限さ
れることなく素子を形成するための領域を確保し、素子
抵抗の増大を抑制することとした。上記第2の磁気ヘッ
ドは、特に、ヨーク面が基板面と実質的に垂直である形
態を有する磁気ヘッドに適している。
【0012】なお、本明細書において、実質的に垂直と
は、角度が90°±20°の範囲をいい、実質的に平行
とは、角度が0°±20°の範囲をいう。また、略垂直
とは、角度が90°±30°の範囲をいう。
【0013】本発明の第3の磁気ヘッドは、第1磁性層
および第2磁性層から選ばれるいずれかの層であって、
他方の磁性層よりも外部磁化によって容易に磁化回転す
る磁性層(いわゆる自由層;他方の層は固定層)が、2
以上の磁性膜と1以上の非磁性膜とが交互に積層されて
なり、非磁性膜の厚さが2nm以上10nm以下である
ことを特徴とする。
【0014】非磁性膜の膜厚が上記程度であれば、この
層を介して積層された一対の磁性膜間では静磁結合が支
配的となる。このため、上記第3の磁気ヘッドでは、自
由層の磁区が安定し、自由層が外部磁界によりさらに容
易に磁化回転するようになってヘッド特性が向上する。
【0015】本発明の第4の磁気ヘッドでは、第1磁性
層および第2磁性層から選ばれるいずれか一方の層の少
なくとも一部を構成するように配置されたヨークの一部
とヨークの残部との間に少なくとも一つの磁気ギャップ
が形成され、この一方の層が、他方の磁性層よりも外部
磁化によって容易に磁化回転する磁性層(自由層)とな
っている。また、上記自由層が、2以上の磁性膜と1以
上の非磁性膜とが交互に積層されてなり、この非磁性膜
を介して隣接する一対の磁性膜が反強磁性結合し、かつ
上記2以上の磁性膜において磁気モーメントが閉じてい
ないことを特徴とする。
【0016】ヨークの一部が磁気抵抗素子を兼ねなが
ら、磁気抵抗素子とヨークの残部との間に磁気ギャップ
を形成すると、ヨークの形状異方性効果を緩和できる。
しかし、磁気ギャップの形成は、同時に、磁気抵抗素子
がヨークから切り離されることによる反磁界の増大や、
素子に誘導される磁束の低下をもたらす。そこで、上記
第4の磁気ヘッドでは、2以上の磁性膜を反強磁性的に
結合させて実効的な磁気モーメントを小さくすることと
した。ただし、磁気モーメントが完全に相殺されると
(すなわち磁性膜間で磁気モーメントが閉じてしまう
と)、自由層の磁化回転自体が極めて生じにくくなるか
ら、磁性膜は、磁気モーメントが外部に漏れ出る範囲内
で互いに反強磁性的に結合させるとよい。反強磁性結合
に適した非磁性膜の膜厚は、静磁結合に適した膜厚より
も薄く、0.2nm以上1.0nm以下が好適である。
【0017】本発明は、上記磁気ヘッドを含む磁気情報
記録再生装置も提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について説明する。
【0019】図1および図2に示した磁気ヘッドには、
基板1上に順に積層された、第1磁性層31、非磁性層
32および第2磁性層33からなるTMR素子3が用い
られている。TMR素子3には、磁気ギャップ5からヨ
ーク4を介して外部磁界が導入され、この磁界によって
磁気抵抗素子の磁性層31,33の磁化相対角が変化
し、この磁化相対角の変化に伴って両磁性層間のトンネ
ル遷移確率が変化する。トンネル遷移確率の変化は、例
えば、定電流電源8から電流を供給するときの電圧変化
として電圧計7により測定することができる。
【0020】TMR素子3が小さくなりすぎると、素子
抵抗が高くなりすぎるため、この磁気ヘッドでは、TM
R素子の面積が、ヨークの面積の30%以上、好ましく
は50%以上となるように設計されている。TMR素子
の面積は、より詳しくは電流が流れる非磁性層32の面
積であり、ヨークの面積は、磁路伸長方向に沿って磁路
幅を積分して得られる面積であると述べることもでき
る。この磁気ヘッドでは、ヨーク4の一部が磁気抵抗素
子の第1磁性層31を構成しているから、ヨークの面積
には、図1におけるハッチング領域4とともに、磁気抵
抗素子の面積を示すために付されたハッチング領域3が
含まれることになる。なお、図2に示したように、ヨー
ク4の厚さ(基板1と層間絶縁膜6とに挟まれた層の厚
さ)は、第1磁性層31の厚さと一致する必要はない。
【0021】磁気抵抗素子3に十分な外部磁界を誘導す
るためには、一般にヨーク高さと呼ばれるヨークの一辺
の長さ40は、10μm以下、さらには3μm以下が好
適である。なお、ヨーク高さは、磁気ギャップ5から見
たときのヨークの奥行きに相当する長さと述べることも
できる。
【0022】図1においてハッチング領域4により示さ
れた面は、ヨーク面と呼ばれることがある。図1および
図2に示した磁気ヘッドでは、ヨーク面と基板の表面と
が実質的に平行に配置されている。なお、ヨーク面は、
磁気ギャップ5から誘導される磁束が通過する経路(磁
路)がループを形成する面に平行な面ということもでき
る。
【0023】磁気ギャップの幅50は、記録されたビッ
ト長にもよるが、200nm以下が好ましく、特に制限
されないが、10nm以上とするとよい。ただし、素子
サイズが小さい場合には、10〜90nmの範囲が好ま
しい。
【0024】図3および図4に示した磁気ヘッドは、基
本的に図1、図2に示した磁気ヘッドと同様の構成を有
するが、基板1上に磁気抵抗素子3が形成され、この素
子上にヨーク4が配置されている点で、上述の磁気ヘッ
ドと相違している。このヘッドでは、ヨーク4の一部が
磁気抵抗素子の第2磁性層33を構成している。この点
を考慮すると、より詳しくは、ヨーク4は、磁気抵抗素
子3を構成する非磁性層32上に配置されていることに
なる。
【0025】こうして磁気抵抗素子を基板面側に設ける
と、反強磁性膜や高保磁力膜を用いた、いわゆる(磁
化)固定層を基板面に近接して形成できる。このため、
下地のラフネス増大に伴う固定層の一軸異方性磁界の低
下を抑制できる。また、ヨーク形状の制限を受けずに、
素子を形成するための領域を確保する点でも有利であ
る。
【0026】磁気ギャップ5から磁気抵抗素子3へと導
入される外部磁界により形成される磁路10は、ヨーク
面と垂直方向から観察すると、ヨーク4と媒体60(詳
しくは媒体内の磁気ポール)とを経由するループとして
観察される。この磁束が形成するループを、以下、磁気
回路ということもある。
【0027】なお、ヨーク面積に対する素子断面積の比
率の上限は、特に制限されないが、媒体からの微少磁界
により素子の磁化回転角を十分大きくとるためには、3
00%以下が好ましく、好適な比率を有する形態として
は、例えば図5に示したように、図3の磁気ヘッドにお
ける素子断面積をヨーク面積と等しくなるまで拡張(上
記比率が100%;S3=S4)したヘッドを挙げること
ができる。ただし、本発明の磁気ヘッドの形態は、これ
に限らず、図6および図7に示した磁気ヘッドのよう
に、第2磁性層33を層間絶縁膜6上にまで張り出すよ
うに形成してヨーク面積を広くとってもかまわない。
【0028】図8に示すように、磁気ギャップ5近傍に
磁性体を磁気シールド9として配置するとヘッド特性を
さらに改善できる。この磁気シールド9は、磁気ギャッ
プ5に隣接するヨーク4の記録媒体対向面上に配置され
(記録媒体は図示省略)、隣接する記録ビットからの漏
れ磁界を遮蔽する。
【0029】図9および図10に示した磁気ヘッドは、
ヨーク面が基板の表面に実質的に垂直に配置されてい
る。この形態の磁気ヘッドにおいても、図1〜図4に示
したように、ヨーク4上に磁気抵抗素子3を配置しても
よいが、素子断面積を確保するためには、図示したよう
に、磁気抵抗素子3上にヨーク4を配置するほうが格段
に有利である。この磁気ヘッドにおいても、微少磁界に
対して良好な再生特性を得るためには、ヨーク高さ40
は10μm以下、磁気ギャップ幅は200nm以下が好
ましい。
【0030】また、図9に示したように、ヨーク4を磁
気ギャップ5に向けて絞り込むように形成すると高記録
密度を実現するために必要な挟トラック化が可能とな
り、隣接するトラックからの磁束を拾いにくくもなる。
【0031】この形態の磁気ヘッドにおいても、図12
および図14に示したように磁気シールド9を配置する
と、再生対象とする記録ビットの近傍からの漏れ磁界を
シールドできるため、高密度で記録された磁気情報の再
生特性を向上させることができる。また、図10および
図12に示した磁気ヘッドでは、磁気ギャップを介して
対向するヨークの面(ギャップ面)が基板に実質的に垂
直となっているが、図13および図14に示したよう
に、ギャップ面は、基板に実質的に平行に配置してもよ
い。
【0032】磁気抵抗素子は、一対の磁性層の間に非磁
性層が介在した構造対を少なくとも1つ備えている。こ
の一対の磁性層のうち、磁化方向の容易さに従って一方
を自由層、他方を固定層としたときに、自由層は、単層
膜であってもよいが、膜厚2〜10nmの非磁性膜を介
して積層された2以上の磁性膜の積層体とすることが好
ましい。隣接する磁性膜の静磁結合によって素子サイズ
が微細化しても磁区が安定化し、磁気情報の再生特性が
安定化するからである。また、静磁結合が支配的となる
ために、自由層が微少磁界に対して容易に磁化回転する
ようになる。非磁性膜を介して隣接する一対の磁性膜の
磁化方向が、無磁界中において、実質的に平行または実
質的に反平行状態に配列している状態が特に好ましい。
【0033】なお、固定層では、静磁結合ではなく交換
結合が支配的となる範囲の膜厚の非磁性膜を挿入した磁
性膜の多層膜としてもよく、6A〜8族の元素から選ば
れるFeMn,PtMn,PtRhMn,PtPdMn,IrMn,NiMn等の反強
磁性膜を隣接させてもよい。
【0034】図15および図16に示すように、自由層
とする多層膜は、非磁性層32を介して対向する、第1
磁性層31および第2磁性層33のいずれとしてもよ
い。ここでは、磁性膜51,53および非磁性膜52を
含む3層構成の自由層を図示したが、自由層は、さらに
多層の膜を含んでいてもよい。
【0035】さらに、絶縁体または半導体からなる非磁
性層32を用いることにより、トンネル電流またはホッ
トエレクトロンの伝導が生じることになり、素子抵抗が
比較的高くなって、磁気ヘッドの抵抗の制御が容易とな
る。
【0036】図15および図16に示した自由層の少な
くとも一部をヨークの一部とする磁気ヘッドでは、磁気
抵抗素子の線形特性も改善される。ヨークが単層の磁性
体であって磁気異方性が付与されない場合、ヨークが閉
磁束構造をとるために、反磁界により磁化容易軸方向は
ヨーク周方向(磁路の伸長方向)となる。このため、ヨ
ーク自体が外部から導入された磁束変化に対してヒステ
リシスを有することになって磁気抵抗素子の線形特性が
低下する。一方、自由層として示した上記膜構成をヨー
クとして用いると、磁極がヨークの短軸側で静磁結合す
るために、ヨークの磁化方向がヨーク周方向に対して略
垂直となる。さらに、磁性層間における静磁結合によ
り、固定層への漏れ磁界の影響を低減することもでき
る。こうして、線形性が高い再生特性を得ることができ
る。
【0037】上記自由層は、ヨークの一部としてのみ用
いても効果があるが、図17および図18に示すよう
に、ヨーク4全体を、非磁性膜52を介して静磁接合し
た磁性膜51,53を含む磁性層により構成すれば、磁
気ヘッド再生特性の線形性は大きく向上する。
【0038】この形態の磁気ヘッドに限らず、本発明の
磁気ヘッドでは、ヨークを構成する磁性体の磁化方向
を、ヨークに導入される外部磁化によりヨーク内に生成
する磁路の伸長方向と略垂直とすると、磁気情報の再生
特性が向上する。このようなヘッドは、まず高温、高磁
界で固定層に一軸異方性を付与し、次いで先よりも低
温、低磁界で、例えば先の処理と直交する方向に磁界を
印加しながら処理することにより、ヨークを構成する磁
性体に、ヨークの磁路方向に略垂直となるような異方性
を付与するとよい。
【0039】図19〜図24により、本発明の磁気ヘッ
ドの別の形態について説明する。
【0040】この磁気ヘッドにおいても、図22および
図23に示したように、磁路10を構成するヨークの一
部が自由層である第1磁性層31を構成している。しか
し、この磁気ヘッドでは、第1磁性層31とヨーク(自
由層を構成する部分を除くヨーク残部)4とが磁気ギャ
ップ12によって分離され、磁気抵抗素子3とヨーク4
との交換結合が分断されている。このため、磁気抵抗素
子における磁化回転がヨークの形状異方性の影響を受け
にくくなって、素子設計の自由度が向上する。
【0041】磁気ギャップ12の幅は、10nm以上2
00nm以下が好適である。
【0042】しかし、ヨークに追加の磁気ギャップ12
を設けると、磁気抵抗素子へと誘導される磁束量が低下
し、反磁界が増大することにもなる。僅かな磁束量で自
由層の磁化回転を生じさせ、かつ反磁界を抑制するため
には、自由層を薄くすればよいが、物理的膜厚には限界
がある。また、膜厚を減少させると、高スピン分極率と
抵抗磁力との両立等、設計上の制約も生じる。
【0043】そこで、この自由層31では、反強磁性結
合を利用して実効的な磁気モーメントを小さくすること
とした。例えば、図19に示すように、第1磁性膜7
1、反強磁性結合用非磁性膜72、第2磁性膜73をこ
の順に積層した自由層31を用いると、両磁性膜間で磁
気モーメントが相殺されるために、微少外部磁界に対し
ても容易に磁化回転し、反磁界も抑制される。さらに磁
性膜の数を増やして、図20に示すように、例えば、第
1磁性膜71、第2磁性膜73、第3磁性膜75を反強
磁性結合用非磁性膜72,74を介して積層した自由層
33としてもよい。
【0044】反強磁性結合用非磁性膜の膜厚は、0.2
〜1.0nmが好適である。0.2nm未満では強磁性
交換結合が支配的となり、1.0nmを超えると反強磁
性結合が弱くなるからである。また、この非磁性膜を介
して反強磁性結合する磁性膜の膜厚は、1nm〜6nm
が好適である。磁性膜の膜厚が厚すぎると、磁気モーメ
ントの相殺が十分に行われないことがある。
【0045】ただし、図21に示すように、磁性膜7
1,73,75間で磁気モーメントが完全に相殺された
状態となると(図21では、磁性膜71が磁性膜73a
と、磁性膜75が磁性膜73bとそれぞれ互いに磁気モ
ーメントを相殺しあっていると考えることができる)、
外部磁界による磁化回転が生じなくなる。したがって、
反強磁性結合による磁気モーメントの相殺は、磁気モー
メントが自由層から漏れ出る範囲で行う必要がある。
【0046】磁気モーメントが閉じた状態では、非磁性
膜を介して反強磁性結合する第1磁性膜と第2磁性膜と
の間において以下の式(1)が成立する。
【0047】t1×m1=t2×m2 (1) ここで、t1、t2は、それぞれ第1磁性膜および第2磁
性膜の膜厚であり、m 1、m2はそれぞれ第1磁性膜およ
び第2磁性膜の実効磁化である。
【0048】同様に、奇数番目の磁性膜と偶数番目の磁
性膜との間において以下の式(2)が成立すると、磁気
モーメントが閉じてしまう。
【0049】 Σ(tod×mod)=Σ(tev×mev) (2) ここで、tod、tevは、それぞれ奇数層磁性膜および偶
数層磁性膜の膜厚であり、mod、mevはそれぞれ奇数層
磁性膜および偶数層磁性膜の実効磁化である。
【0050】さらに外部磁界に対する応答性を高めるた
めには、磁気ギャップ12を介して誘導される磁束によ
って自由層の磁化状態を一様にすることが好ましい。こ
のためには、磁気ギャップ12に露出している面におい
て以下の式(3)が成立する状態とするとよい。
【0051】S1×M1<S2×M2 (3) ここで、S1、S2は、それぞれ自由層を構成するヨーク
の一部およびヨークの残部の実効磁路断面積であり、M
1、M2は、それぞれ上記ヨークの一部およびヨークの残
部における実効磁化である。なお、実効磁路断面積と
は、使用周波数帯域におけるヨークのスキンデプスを考
慮した磁路断面積であって物理的な断面積ではない。
【0052】式(3)の関係を満たす状態とするための
好ましい条件の一つは、磁気ギャップに露出している面
において、自由層を構成する磁性膜のうち膜厚が最大の
磁性膜の当該膜厚H1よりも、ヨーク(残部)の膜厚H2
を厚くすることである。
【0053】H1<H2 (4)
【0054】反強磁性結合用非磁性膜を有しない磁気抵
抗素子を用いた磁気ヘッドにおいても、上記と同様、追
加の磁気ギャップを形成しても構わない。すなわち、磁
気抵抗素子に含まれる磁性層の少なくとも一部を構成す
るように配置されたヨークの一部とヨークの残部との間
に、少なくとも一つの(追加の)磁気ギャップを形成し
てもよい。この磁気ヘッドの例を図30〜図32に示
す。これらの磁気ヘッドでは、磁気抵抗素子3を挟むよ
うに一対の磁気ギャップ12が形成されており、この素
子3およびギャップ12により分断されたヨーク4の一
部を、磁性層81,83が兼ねている。
【0055】図30〜図32に示した磁気ヘッドは、3
以上の磁性層を有する磁気抵抗素子を有するヘッドの例
でもある。これらの磁気抵抗素子では、第1磁性層8
1,第1非磁性層82,第2磁性層83,第2非磁性層
84,第3磁性層85がこの順に形成されている。この
ように、2以上の非磁性層を用いると、磁気抵抗変化率
のバイアス依存性を低減できる。これは、高いバイアス
電流で使用しても、マグノンの影響などによるトンネル
通過電子の散乱を緩和できるからである。図示した磁気
抵抗素子では、第2磁性層83を自由層として、第1、
第3磁性層81,85を固定層として設計するとよい。
【0056】上記で説明した磁気抵抗素子では、いずれ
の場合も、自由層を、基板の表面に垂直な方向に沿って
観察して、鋭角または直角からなる隅角部を有しない形
状とすると、特に高周波帯域におけるヘッド特性が向上
する。この面形状に特に制限はなく、図27(b)〜図
27(e)に示したように、例えば、円、楕円、5以上
の角を有する多角形、隅角部を丸めた四角形等の多角形
を適用できる。この形状効果は、自由層内に発生する磁
区形成エネルギーが抑制されるために生じると考えられ
る。なお、少なくとも非磁性層に接する面において、自
由層が上記形状を有する状態とすると上記形状効果を得
ることができる。
【0057】上記で説明した磁気ヘッドを用いた磁気情
報の記録再生装置では、ヨークの電位と記録媒体の電位
とを等しくするとよい。ヨークと媒体とが接触しても、
電位の変化がなく、再生出力の変動を抑制できるからで
ある。
【0058】この磁気情報の記録再生装置に用いる記録
媒体は、特に制限されないが、図28(b)に示すよう
に、螺旋(スパイラル)状にトラックが形成された媒体
が好適である。トラック間のヘッド移動待ち時間に発生
するシークタイムが著しく減少し、特に動画などの連続
再生を高速に行うことができるからである。
【0059】本発明の磁気ヘッドに含まれる各層に用い
る材料にも特に制限はなく、従来から用いられてきた磁
性または非磁性材料を用いればよい。磁性材料として
は、Fe,Co,Niもしくはこれらの合金(例えばFeCo,Ni
Fe,NiFeCo)またはこれらの化合物(例えば窒化物、酸
化物、炭化物、硼化物)を用いることができる。ヨーク
に用いる磁性材料は、比抵抗50μΩcm以上となる程
度に電気抵抗が高く、1Tを超える程度に飽和磁束密度
が高い材料が好ましい。非磁性材料にも特に制限はな
い。ただし、反強磁性結合用非磁性膜には、導電性を有
する非磁性材料を用いるとよい。反強磁性結合用非磁性
膜の導電体としては、具体的にはCu,Ag,Au,Ru,Rh,
Ir,Re,Os、特にRu,Irが好適である。また、静磁結合
用非磁性膜にも導電性が高い非磁性金属、例えばAl,C
u,Pt,Pd,Rh,Cr,Mo,W,Ti,Zr,Hf,Ta,Nb,V,M
o,Wやこれらの合金が適しているが、TiN等の化合物を
用いてもよい。
【0060】上記各層その他の形成方法にも制限はな
く、IBD(イオンビームデポジション)、スパッタリ
ング、MBE、イオンプレーティングを始めとする真空
蒸着法を用いればよい。化合物からなる非磁性層を形成
する場合には、化合物そのものをターゲットにしたスパ
ッタリング、反応性蒸着、反応性スパッタリング、イオ
ンアシスト、CVDなどを適用すればよく、適当な分圧
の反応ガス雰囲気に反応すべき元素を適当な条件(温
度、時間)で放置してもよい。
【0061】さらに、磁気ヘッドの加工も、通常の半導
体プロセスで用いられるイオンミリング、RIE、E
B、FIB、I/M等の物理的または化学的エッチング
法を適用すればよい。微細プロセス中に平坦化が必要で
あれば、CMP法、または必要な微細加工の応じた線幅
を用いたフォトリソグラフィー法を適用してもよい。素
子の成膜時には、成膜した膜表面を平坦にするためにク
ラスターイオンビームエッチングを用いると、MR向上
に効果がある。
【0062】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。
【0063】(実施例1)図1および図2と同様の構成
を有する磁気ヘッドを作製した。この磁気ヘッドでは、
磁気抵抗素子がヨーク上に形成されている。
【0064】RFマグネトロンスパッタを用い、基板と
したAlTiC板上に、Ta(3)/Cu(100)/Ta(3)/NiFe(20)/Al
(0.4)をこの順に成膜した。Cu層は下部電極であり、NiF
e層は自由層となる第1磁性層である。Ta層は下地層で
ある。なお、カッコ内の数値は膜厚を示す(単位nm;
以下、同様)。
【0065】次いで、Alを200Torrの酸素雰囲気で1
分間酸化した後、この上にAl(0.3)を成膜し、さらにこ
のAlを200Torrの酸素雰囲気で1分間酸化した。こう
して、非磁性層としてAl酸化膜(アルミナ)を成膜し
た。
【0066】引き続き、Co90Fe10(3)/Ru(0.7)/Co90Fe10
(4)/PtMn(30)/Ta(3)をこの順に成膜した。Co90Fe10(3)
/Ru(0.7)/Co90Fe10(4)/PtMn(30)は固定層となる第2磁
性層である。
【0067】一軸異方性を付与するために、素子長手方
向にPtMnを280℃、5kOeの磁界で熱処理を行った
後、この磁化方向と直交させ、200℃、1kOeで熱
処理を行った。フォトリソグラフィー技術を用い、膜を
ヨーク形状に加工した。磁気抵抗素子を作製するため
に、矩形形状にレジストを形成した後、イオンミリング
を用いてAl酸化物の下のNiFeを10nmミリングした、
さらに磁気ギャップをFIBにより加工した。ギャップ
幅は50nmとした。引き続き、層間絶縁膜およびギャ
ップ絶縁膜(磁気ギャップを埋める絶縁膜)としてアル
ミナを成膜した。レジストをリフトオフした後、上部電
極としてCuを成膜した。
【0068】以上の工程により作製した磁気ヘッドにつ
いて、素子断面積を変えて、微少外部磁界を磁気ギャッ
プに与えた時のMR比(測定電圧50mV)を調べた。
結果を表1に示す。
【0069】 (表1) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 素子断面積/ヨーク面積(%) 素子抵抗(Ω) MR比(%) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 25 32 15 30 27 30 40 20 42 ――――――――――――――――――――――――――――――――
【0070】さらに、素子断面積を1μm2または0.
1μm2で一定に保ち、ヨーク面積(ヨーク高さ)を変
えてMR比を測定した。結果を表2、表3に示す。
【0071】 (表2) 素子断面積=1μm2 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 素子断面積/ヨーク面積(%) 素子抵抗(Ω) MR比(%) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 10 20 15 20 20 20 30 20 38 40 20 42 50 20 41 ――――――――――――――――――――――――――――――――
【0072】 (表3) 素子断面積=0.1μm2 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 素子断面積/ヨーク面積(%) 素子抵抗(Ω) MR比(%) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 10 2000 8 20 2000 12 30 2000 25 40 2000 23 50 2000 23 ――――――――――――――――――――――――――――――――
【0073】素子断面積に反比例して素子抵抗が上昇し
ているから、素子加工精度はほぼ同一レベルで、リーク
等の影響は見られない。素子断面積の減少により素子抵
抗が高くなることは予想できる。しかし、表1〜表3に
示したように、ヨーク面積に対する素子断面積の比率が
30%を下回ると、MR比が急激に減少した。下部電極
のCuのシート抵抗は十分に低いから、この減少は形状効
果によるものではない。
【0074】図3および図4に示したようなヨークが磁
気抵抗素子上に形成された磁気ヘッドにおいても、上記
と同様、ヨーク面積に対する素子断面積の比率が30%
以上のときに良好なMR比を得ることができた。この比
率を保つと、ヨークからの磁束が素子内に十分に伝搬す
ると考えられる。
【0075】また、いずれの場合も、表3に示すよう
に、磁気抵抗素子の素子断面積が0.1μm2以下程度
と狭いときに、上記比率が30%を下回ると、MR比の
低落が顕著となった。NiFeのドメインの乱れによる影響
が原因と考えられる。
【0076】(実施例2)実施例1と同様、図1および
図2と同様の構成を有する磁気ヘッドを作製した。ここ
では、ヨーク面積に対する素子断面積の比率を30%以
上で一定に保ちながら、ヨーク高さを変化させて、実施
例1と同様にしてMR比を調べた。
【0077】 (表4) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 素子断面積/ヨーク面積(%) ヨーク高さ(μm) MR比(%) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 30 20 5 30 15 10 30 10 30 30 5 40 30 3 45 30 1 42 ――――――――――――――――――――――――――――――――
【0078】表4に示したように、素子断面積/ヨーク
面積が30%以上であり、かつヨーク高さが10μm以
下のときに、さらに優れた再生特性が得られることを示
す測定値が得られた。
【0079】(実施例3)図9および図10と同様の構
造を有する磁気ヘッドを作製した。この磁気ヘッドで
は、磁気抵抗素子上にヨークが形成されている。以下、
図11を参照して作製方法を説明する。
【0080】まず、基板1とするAlTiC板上に、Ta(3)/C
u(500)/Ta(3)/PtMn(30)/CoFe(3)/Ru(0.7)/CoFe(3)/Al
(0.4;260Torr純酸素1分間酸化)/Al(0.3;260Torr純酸
素1分間酸化)/CoFe(3)/NiFe(30)/Ta(3)をこの順に成
膜し、260℃で2時間アニールした(図11
(a))。Cu層は下部電極であり、PtMn(30)/CoFe(3)/R
u(0.7)/CoFe(3)は固定層となる第1磁性層31であり、
Al酸化膜は非磁性層32であり、CoFe(3)/NiFe(30)は自
由層となる第2磁性層33である。
【0081】この層に3×3μm2の十字電極から電圧
を印加したところ、図26に示すMR曲線を得た。接合
抵抗は25Ω/μm2であった。
【0082】次いで、この膜を長さ2μm、幅(紙面法
線方向)0.6μmにイオンミリングした後、層間絶縁
膜6としてアルミナを形成した(図11(b))。さら
に素子上のレジストをリフトオフした後、厚さ1μmの
SiO2膜11を成膜した(図11(c))。引き続き、R
IEを用い、素子の両端からSiO2膜をそれぞれ500n
mずつ除去し、ミリングによってNiFeを表面に露出させ
た後(図11(d))、カルーセル型のスパッタリング
装置により基板面に対して±90°揺動成膜してSiO2
側面上に形成した厚さ3nmのTa膜上に、無電解メッキ
によりNiFeを3nm電着した。さらに、SiO2膜11を被
覆してヨーク用磁性体12とした(図11(e))。最
後に、この磁性体および下部電極(Cu)から電極を引き
出して定電流電源8および電圧計7に接続し、FIBに
より幅20nmの磁気ギャップ5を形成し、このギャッ
プにアルミナを成膜した(図11(f);アルミナは図
示省略)。
【0083】こうして作製した磁気ヘッドのギャップ近
傍に外部磁界を与えたところ、図26における±100
Oeの範囲でのヒステリシスと同様のヒステリシスとM
R値を得た。さらに、図10の紙面垂直方向に200℃
で1時間の直交化熱処理を行ったところ、ヒステリシス
はさらに小さくなり、微少外部磁界に対して優れた線形
応答を示した。このように、ヨークを構成する磁性体の
磁化方向をヨークの磁路方向に対して略直角に着磁して
制御すると、ヘッド特性のソフト性と線形性が向上す
る。
【0084】この優れたヘッド特性には、反強磁性材料
であるPtMnを下地のラフネスが比較的小さい段階で
成膜したことも寄与していると考えられる。また、磁気
抵抗素子上にヨークを形成してヨーク面積に対する磁気
抵抗素子の素子断面積の比率を100%としているた
め、素子にも十分に外部磁界が誘導されている。
【0085】ヨーク面を基板面と平行とした図5に示し
た構造を有する磁気ヘッドからも、上記と同様の優れた
ヘッド特性を得ることができた。なお、図5に示した磁
気ヘッドのPtMnの着磁には、図25に示したように、紙
面に垂直方向に流す電流14による発生磁界を用いた。
また、ヨークの磁化方向の制御は、ヨークの磁路に沿っ
た電流15による発生磁界を用いた。なお、この磁路方
向に形成された導電層16は、着磁に用いるだけでなく
SAL(ソフト・アジャセント・レイヤー)バイアスの
ために用いてもよい。
【0086】(実施例4)NiFe層を磁気シールドとして
追加した以外は、実施例3と同様にして、図12に示す
磁気ヘッドを作製した。
【0087】実施例3の微少磁界に代えて、FeP媒体を
用いたディスクに記録された磁気情報の再生を行った。
ここで、媒体上の記録ビットサイズは、トラック周方向
に30nm、トラック幅方向に0.21μmであり、線
記録密度およびトラック密度は、それぞれ約835kBPI
および120kTPIである。1本のトラック上でデータを
読み出したときのデータ誤り率は10-8以下であり、同
じギャップ幅を有する実施例3のヘッドの誤り率10-7
レベルと比較して格段の向上を得た。なお、データ転送
速度は200Mビット/秒、ヘッドの浮上量は10nm
とした。また、媒体とヨークとをいずれも接地すること
により、接触時のノイズを大幅に緩和することができ
た。
【0088】なお、本実施例では、トラック周方向に隣
接する記録ビットから漏れる磁束を遮蔽する磁気シール
ドについて説明したが、磁気ヘッドの紙面垂直方向から
挟み込むように磁気シールドを配置すれば、隣接トラッ
クからの漏洩磁界を遮蔽する効果が得られる。こうする
と、高密度記録のためにトラック間隔が狭くなっていて
も10-8以下程度のデータ誤り率を得ることができる。
【0089】(実施例5)熱酸化膜を形成したSi基板
に、Ta(3)/Cu(500)/Ta(3)/PtMn(30)/CoFe(3)/Ru(0.7)/C
oFe(3)/Al(0.4;200Torr純酸素1分間酸化)/Al(0.3;200T
orr純酸素1分間酸化)/CoFe(1)/NiFe(15)/Ru(X)/NiFe
(15)/Ta(3)をこの順に成膜した。Xは表5に示す膜厚で
ある。
【0090】こうして、Al酸化層を非磁性層とする1×
3μm2の通常の十字電極を作製した。この膜は図16
に示した構成を有し、第1磁性層31がCoFe/Ru/CoFe、
非磁性層32がAl酸化層、第2磁性層33がCoFe/NiFe/
Ru(X)/NiFeに相当する。十字電極を用いた素子の長手方
向に磁界をかけながら熱処理を行い、この方向をPtMnの
一軸異方性方向とした。
【0091】MRカーブを測定し、求めた抗磁力とMR
比とを表5に示す。
【0092】 (表5) ―――――――――――――――――――――――――――――――― Ru膜厚(nm) MR比(%) 抗磁力Hc(Oe) ―――――――――――――――――――――――――――――――― 0 4 38 0.3 5 32 0.6 4 35 0.9 5 42 1.2 10 15 2.0 15 1 5.0 13 0.7 10.0 11 1 20.0 9 1.5 50.0 9 2 ――――――――――――――――――――――――――――――――
【0093】Ru層の厚さが0.6〜0.9nmの範囲で
は、交換結合が支配的となるためにMRカーブのヒステ
リシスが大きくなった。Ru層の厚さが2〜10nmの範
囲では、Ru層を形成しない場合(厚み=0nm)より
もソフト性が高くなり、膜のヒステリシスは1Oe以下
となった。
【0094】素子上の磁化状態をローレンツ顕微鏡によ
り調べたところ、Ru層の膜厚が2〜10nmの範囲では
無磁界中で磁化が短軸方向に交互に配列していることが
確認できた。これは静磁結合が支配的となったためと考
えられる。また、詳細な断面観察の結果、Ru膜の下部磁
性膜の磁化方向は、大部分が上部磁性膜と反平行状態に
あり、一部が平行状態となっていることが確認できた。
【0095】次に、この膜を用いて、図5の形状の磁気
ヘッドを作製し、図25に示した、紙面垂直方向の電流
14による磁界によりPtMnを着磁した後、磁気ギャップ
近傍に微少磁界を印加して、MR比を測定した。この場
合も、Ru層の厚みが2〜10nmにおいて、最も高いM
R比を得ることができた。この値は、自由層であるCoFe
/NiFe/Ru/NiFeの磁化方向にバイアスをかけていないに
もかかわらず、図25のヨーク型電流による自由層への
バイアス磁界印加の際と同程度であった。このときのヨ
ークをローレンツ顕微鏡で観察したところ、磁化方向
は、ヨークの磁路方向に対してほぼ90度の角をなして
いることが確認できた。
【0096】さらに、熱酸化膜を形成したSi基板に、Ta
(3)/Cu(500)/Ta(3)/NiFe(15)/Ru(X)/NiFe(15)/CoFe(1)/
Al(0.4;200Torr純酸素1分間酸化)/Al(0.3;200Torr純
酸素1分間酸化)/CoFe(3)/Ru(0.7)/CoFe(3)/PtMn(30)/
Ta(3)の構成の膜を用い、図17および図18に示すよ
うな磁気抵抗素子がヨーク上にある磁気ヘッドを作製し
た。この磁気ヘッドの特性を微少磁界を用いて検討した
ところ、上記と同様に優れたMR比と線形性とを得た。
【0097】(実施例6)図1および図2に示した磁気
ヘッド、ならびに図6および図7に示した磁気ヘッド
で、磁気抵抗素子を図27(a)〜図27(e)に示し
た形状に加工したときのヘッド効率について調べた(図
1および図6の形態では素子形状が図27(b)に示し
た形状となっている場合に相当する)。ただし、ヨーク
面積に占める素子断面積はいずれも同じとした。
【0098】磁気ギャップ近傍に1MHzまたは500MHz
の交流微少磁界を付与し、同一電流を流した時のMR特
性および電圧出力の変化を測定した。結果を表6および
表7に示す。
【0099】 (表6) 図1/図2に示した磁気ヘッド ―――――――――――――――――――――――――――――――― 素子形状 MR比(%) 1MHz 500MHz ―――――――――――――――――――――――――――――――― 矩形(図27(a)) 1 0.1 略矩形(図27(b)) 6 2 楕円(図27(c)) 7 3 六角形(図27(d)) 6 2 八角形(図27(e)) 7 3 ――――――――――――――――――――――――――――――――
【0100】 (表7) 図6/図7に示した磁気ヘッド ―――――――――――――――――――――――――――――――― 素子形状 MR比(%) 1MHz 500MHz ―――――――――――――――――――――――――――――――― 矩形(図27(a)) 2 1 略矩形(図27(b)) 8 3 楕円(図27(c)) 8 4 六角形(図27(d)) 7 3 八角形(図27(e)) 8 3 ――――――――――――――――――――――――――――――――
【0101】高周波帯域において、図27(a)の矩形
形状よりも、図27(b)〜図27(e)の形状を用い
た磁気ヘッドにおいて、高い特性が得られることが確認
できた。これは、隅角部を鈍角ないし曲線により構成し
た場合のほうが、自由層の磁化応答性が高くなるためと
考えられる。なお、上記以外の磁気ヘッドにおいても、
同様の傾向が確認できた。
【0102】(実施例7)本発明の磁気ヘッドを、通常
のHDDに用いられる図28(a)に示すような同心円
状の記録方法を用いた記録媒体と、図28(b)に示す
ような螺旋状の記録方法を用いた記録媒体とで比較検討
した。その結果、螺旋状にトラックが形成された記録媒
体を用いることで、トラック間のヘッド移動待ち時間に
発生するシークタイムが著しく減少し、特に動画などの
連続再生を高速に行うことが可能となった。特に本発明
の優れた再生特性を持つヘッドを用いると、線記録密度
が向上するため、実質的に小型で、振動環境に強い、モ
バイル用途の動画再生装置が実現できることが確認でき
た。
【0103】(実施例8)図1および図2に示した構成
の磁気ヘッドを作製した。ヨークを厚さ5nmのNi60Fe
40とし、磁気抵抗素子を基板側から、Ta(3)/Cu(100)/Ta
(3)/Ni60Fe40(20)/Al(0.4;200Torr純酸素1分間酸化)/
Al(0.3;200Torr純酸素1分間酸化)/Co75Fe25(3)/Ru(0.
7)/Co75Fe25(3)/PtMn(30)/Ta(3)の構成とした。
【0104】自由層がNi60Fe40(10)に相当する上記磁気
抵抗素子を素子aとする。
【0105】一方、図22および図23に示した磁気抵
抗素子とヨークとを分離する磁気ギャップを形成した構
成の磁気ヘッドを作製した。ヨーク、磁気抵抗素子と
も、上記と同様の構成としたが、自由層は以下の多層膜
とした。
【0106】 素子b:Ni60Fe40(3)/Co70Fe30(1)/Ni60Fe40(3) 素子c:Ni60Fe40(5)/Co70Fe30(0.5)/Ru(0.7)/Co70Fe30
(0.5)/Ni60Fe40(3) 素子d:Ni60Fe40(5)/Co70Fe30(0.5)/Ru(1.0)/Co70Fe30
(0.5)/Ni60Fe40(3) 素子e:Ni60Fe40(5)/Co70Fe30(0.5)/Ru(1.2)/Co70Fe30
(0.5)/Ni60Fe40(3) 素子f:Ni60Fe40(3)/Co70Fe30(0.5)/Ru(1.0)/Co70Fe30
(0.5)/Ni60Fe40(3) 素子g:Ni60Fe40(5)/Co70Fe30(0.5)/Ir(0.2)/Co70Fe30
(0.5)/Ni60Fe40(3) 素子h:Ni60Fe40(3)/Co70Fe30(0.5)/Ir(0.2)/Co70Fe30
(0.5)/Ni60Fe40(3) 素子i:Ni60Fe40(5)/Co70Fe30(0.5)/Ir(0.1)/Co70Fe30
(0.5)/Ni60Fe40(3) 素子j:Ni60Fe40(10)/Co70Fe30(0.5)/Ru(0.7)/Co70Fe
30(0.5)/Ni60Fe40(3)
【0107】各磁気ヘッドについて、微少外部磁界によ
るMR比を測定した。結果を表8に示す。
【0108】 (表8) ――――――――――――――――――――――――――――― 磁気ヘッド 素子 MR比(%) ――――――――――――――――――――――――――――― ギャップなし a 7 ――――――――――――――――――――――――――――― ギャップあり b 2 ギャップあり c 15 ギャップあり d 14 ギャップあり e 3 ギャップあり f 0.1 ギャップあり g 12 ギャップあり h 0.2 ギャップあり i 3 ギャップあり j 6 ―――――――――――――――――――――――――――――
【0109】振動試料型磁力計(VSM)を用いてMH
カーブを測定したところ、素子c、素子d、素子f、素
子g、素子h、素子e、素子i、素子jでは、いずれも
反強磁性結合特有のスピンフロップが観測された。
【0110】一方、非磁性膜の膜厚が0.2nm未満ま
たは1.0nmを超える素子e、素子iでは、反強磁性
結合が弱く、素子bとほとんど同じMHカーブとなっ
た。これらの素子では、MR比も低くなっている。
【0111】反強磁性結合が観測されているにもかかわ
らず、素子f、素子hでは、MR比が低くなっている。
これらの素子では、スピンフロップが生じる数百Oe以
上の磁界まで、自由層の磁化が観測されなかった。非磁
性層を介して反強磁性結合する磁性層の磁気モーメント
がほぼ完全に相殺され、ヨークから誘導される磁界によ
る磁化回転が生じなかったためと考えられる。
【0112】素子jでは、ヨーク高さ(5nm)に比べ
て自由層を構成する最大膜厚の磁性層(基板側のNi60Fe
40膜)の膜厚(10nm)が大きいため、外部磁界に対
する自由層の応答性が十分ではなく、MR比も低くなっ
ている。
【0113】これらに対し、素子c、素子d、素子gで
は、磁気ギャップを設けたにもかかわらず、素子aより
も高いMR比を得ることができた。
【0114】(実施例9)本実施例では、ヨーク断面積
に対する素子断面積の比率が100%を超える磁気ヘッ
ドを作製した。具体的には、図9および図10に示した
磁気ヘッドのヨークを図29に示したような形状に変更
し、幅Dを変化させることにより、上記比率を調整し
た。ここでは、磁気抵抗素子として、Cu/Ta(3)/NiFeCr
(4)/PtMn(20)/CoFe(3)/Ru(0.8)/CoFe(3)/Al酸化膜/NiFe
(5)を形成し、NiFe(5)をヨークとした。
【0115】作製した各磁気ヘッドに微少磁界を近づけ
てMR変化を測定した。結果を表9に示す。
【0116】 (表9) ――――――――――――――――――――――――――――― 素子断面積/ヨーク断面積 MR比(%) ――――――――――――――――――――――――――――― 150 28 200 26 300 25 350 17 400 12 ―――――――――――――――――――――――――――――
【0117】表9に示したように、ヨーク断面積に対す
る素子断面積の比率が300%を超えると、MR変化が
著しく低下した。
【0118】(実施例10)本実施例では、3層の磁性
層と2層の非磁性層とを交互に積層した磁気抵抗素子と
追加の磁気ギャップを設けた磁気ヘッドを作製した。具
体的には、図30(図31)および図32に示した磁気
ヘッドにおいて、磁気抵抗素子を、それぞれ、基板側か
ら順に形成した、Ta(3)/Cu(50)/Ta(3)/NiFeCr(4)/PtMn
(20)/CoFe(3)/Ru(0.8)/CoFe(3)/Al酸化膜/NiFe(5)/Al酸
化膜/CoFe(3)/Ru(0.8)/CoFe(3)/PtMn(20)/Ta(3)により
構成した。また、比較のために、Ta(3)/Cu(50)/Ta(3)/N
iFeCr(4)/PtMn(20)/CoFe(3)/Ru(0.8)/CoFe(3)/Al酸化膜
/NiFe(5)/Ta(3)を積層した磁気抵抗素子を用いた磁気ヘ
ッドを作製した。ここでも、非磁性層としては、Al酸化
膜が用いられている。
【0119】作製した各磁気ヘッドに外部磁界を与えな
がら出力が最適となる条件を調査したところ、2層の非
磁性層を含む素子を用いた磁気ヘッドでは、いずれの場
合も200mV程度の出力(素子両端のTa間の電圧90
0mV)が得られたが、非磁性層を1層のみ含む磁気ヘ
ッドでは、60mV程度の出力(同電圧400mV)に
とどまった。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、TMR
素子など電流を膜面に垂直に流す磁気抵抗素子適した構
造を有する磁気ヘッドを提供できる。また、電流を膜面
に垂直に流す磁気抵抗素子自体の改善により特性が向上
した磁気ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気ヘッドの一形態におけるヨーク
と磁気抵抗素子との配置を示す平面図である。
【図2】 図1の磁気ヘッドのI−I断面図に相当する
断面図である。
【図3】 本発明の磁気ヘッドの別の一形態におけるヨ
ークと磁気抵抗素子との配置を示す平面図である。
【図4】 図3の磁気ヘッドのII−II断面図に相当する
断面図である。
【図5】 本発明の磁気ヘッドのまた別の一形態におけ
るヨークと磁気抵抗素子との配置を示す平面図である。
【図6】 本発明の磁気ヘッドのさらに別の一形態にお
けるヨークと磁気抵抗素子との配置を示す平面図であ
る。
【図7】 図6の磁気ヘッドのIII−III断面図に相当す
る断面図である。
【図8】 本発明の磁気ヘッドのまたさらに別の一形態
におけるヨークと磁気抵抗素子との配置を示す平面図で
ある。
【図9】 本発明の磁気ヘッドのまた別の一形態におけ
るヨークと磁気抵抗素子との配置を示す平面図である。
【図10】 図9の磁気ヘッドのIV−IV断面図に相当す
る断面図である。
【図11】 図9および図10に示した磁気ヘッドの作
製工程の一例を示すための断面図である。
【図12】 本発明の磁気ヘッドの別の一例を示す断面
図である。
【図13】 本発明の磁気ヘッドのまた別の一例を示す
断面図である。
【図14】 本発明の磁気ヘッドのさらに別の一例を示
す断面図である。
【図15】 本発明の磁気抵抗素子の膜構成の一例を示
す断面図である。
【図16】 磁気抵抗素子の膜構成の別の例を示す断面
図である。
【図17】 図15に示した磁気抵抗素子を用いた本発
明の磁気ヘッドの一形態におけるヨークと磁気抵抗素子
との配置を示す平面図である。
【図18】 図17の磁気ヘッドのV−V断面図に相当
する断面図である。
【図19】 反強磁性結合を含む磁気抵抗素子の膜構成
の一例を示す断面図である。
【図20】 反強磁性結合を含む磁気抵抗素子の膜構成
の別の例を示す断面図である。
【図21】 磁気モーメントが閉じている磁気抵抗素子
の膜構成の例を示す断面図である。
【図22】 図19に示した磁気抵抗素子を用いた本発
明の磁気ヘッドの一形態におけるヨークと磁気抵抗素子
との配置を示す平面図である。
【図23】 図22の磁気ヘッドVI−VI断面図に相当す
る断面図である。
【図24】 図19に示した磁気抵抗素子を用いた本発
明の磁気ヘッドの別の一形態を示す断面図である。
【図25】 磁気ヘッドの着磁方法の一例を示すための
図である。
【図26】 本発明の磁気ヘッドのMR曲線の一例を示
す図である。
【図27】 磁気抵抗素子の自由層の面形状を例示する
図である。
【図28】 記録媒体のトラックの配置を示す平面図で
ある。
【図29】 実施例9で作製した磁気ヘッドの平面図で
ある。
【図30】 本発明の磁気ヘッドのさらに別の一形態に
おけるヨークと磁気抵抗素子との配置を示す平面図であ
る。
【図31】 図30の磁気ヘッドのVII−VII断面図に相
当する断面図である。
【図32】 本発明の磁気ヘッドのまた別の一例を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 基板 3 磁気抵抗素子(TMR素子) 4 ヨーク 5 磁気ギャップ 6 層間絶縁膜 7 電圧計 8 定電流電源 9 磁気シールド 10 磁路 12 磁気ギャップ 31 第1磁性層 32 非磁性層 33 第2磁性層 40 ヨーク高さ 50 磁気ギャップ幅 51,53 磁性膜 52 非磁性膜 71,73,75 磁性膜 72,74 (反強磁性結合用)非磁性膜 81,83,85 磁性層 82,84 非磁性層
フロントページの続き (72)発明者 小田川 明弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 飯島 賢二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 榊間 博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G017 AC01 AC07 AD56 AD62 AD65 5D034 AA02 BA03 BA08 BA15 BA16 BA18 BA19 5E049 AA01 AA07 AC05 BA12 CB02 DB02

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1磁性層と第2磁性層との間に非磁性
    層が介在した積層構造を含む磁気抵抗素子と、磁気ギャ
    ップから前記磁気抵抗素子へと外部磁界を導くためのヨ
    ークと、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に前記
    非磁性層を介して電流を流すための電流導入部と、前記
    ヨークを介して誘導される外部磁界によって変化する前
    記第1磁性層と前記第2磁性層との間の磁化相対角に応
    じて前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に発生する
    抵抗の変化を検知する測定部と、前記磁気抵抗素子およ
    び前記ヨークを形成するための基板とを有し、 前記基板の表面に垂直な方向に沿って観察して、前記非
    磁性層の面積を素子断面積、前記ヨークの面積をヨーク
    面積とそれぞれ定義したときに、前記素子断面積が前記
    ヨーク面積の30%以上である磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 基板上に磁気抵抗素子が形成され、この
    磁気抵抗素子に含まれる非磁性層よりも上方にヨークが
    配置された請求項1に記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 第1磁性層と第2磁性層との間に非磁性
    層が介在した積層構造を含む磁気抵抗素子と、磁気ギャ
    ップから前記磁気抵抗素子へと外部磁界を導くためのヨ
    ークと、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に前記
    非磁性層を介して電流を流すための電流導入部と、前記
    ヨークを介して誘導される外部磁界によって変化する前
    記第1磁性層と前記第2磁性層との間の磁化相対角に応
    じて前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に発生する
    抵抗の変化を検知する測定部と、前記磁気抵抗素子およ
    び前記ヨークを形成するための基板とを有し、 前記基板上に前記磁気抵抗素子が形成され、前記非磁性
    層よりも上方に前記ヨークが配置された磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 ヨーク高さが10μm以下である請求項
    1〜3のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 素子断面積が0.1μm2以下である請
    求項1〜4のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 ヨーク面が基板の表面と実質的に平行で
    ある請求項1〜5のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 ヨーク面が基板の表面と実質的に垂直で
    ある請求項1〜6のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 磁気ギャップに隣接するヨークの記録媒
    体対向面上に磁性体が配置された請求項1〜7のいずれ
    かに記載の磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 第1磁性層および第2磁性層から選ばれ
    るいずれかの層であって、他方の磁性層よりも外部磁化
    によって容易に磁化回転する磁性層が、2以上の磁性膜
    と1以上の非磁性膜とが交互に積層されてなり、前記非
    磁性膜の厚さが2nm以上10nm以下である請求項1
    〜8のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】 第1磁性層と第2磁性層との間に非磁
    性層が介在した積層構造を含む磁気抵抗素子と、磁気ギ
    ャップから前記磁気抵抗素子へと外部磁界を導くための
    ヨークと、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に前
    記非磁性層を介して電流を流すための電流導入部と、前
    記ヨークを介して誘導される外部磁界によって変化する
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間の磁化相対角に
    応じて前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に発生す
    る抵抗の変化を検知する測定部と、前記磁気抵抗素子お
    よび前記ヨークを形成するための基板とを有し、 第1磁性層および第2磁性層から選ばれるいずれかの層
    であって、他方の磁性層よりも外部磁化によって容易に
    磁化回転する磁性層が、2以上の磁性膜と1以上の非磁
    性膜とが交互に積層されてなり、前記非磁性膜の厚さが
    2nm以上10nm以下である磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 非磁性膜を介して隣接する一対の磁性
    膜の磁化方向が、無磁界中において、実質的に平行また
    は実質的に反平行状態に配列している請求項10に記載
    の磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 ヨークの一部が、磁気抵抗素子に含ま
    れる磁性層の少なくとも一部を構成し、前記磁性層が、
    他方の磁性層よりも外部磁化によって容易に磁化回転す
    る層である請求項1〜11のいずれかに記載の磁気ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】 磁気抵抗素子に含まれる磁性層の少な
    くとも一部となるように配置されたヨークの一部とこの
    ヨークの残部との間に少なくとも一つの磁気ギャップが
    形成された請求項1〜12のいずれかに記載の磁気ヘッ
    ド。
  14. 【請求項14】 第1磁性層と第2磁性層との間に非磁
    性層が介在した積層構造を含む磁気抵抗素子と、磁気ギ
    ャップから前記磁気抵抗素子へと外部磁界を導くための
    ヨークと、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に前
    記非磁性層を介して電流を流すための電流導入部と、前
    記ヨークを介して誘導される外部磁界によって変化する
    前記第1磁性層と前記第2磁性層との間の磁化相対角に
    応じて前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に発生す
    る抵抗の変化を検知する測定部と、前記磁気抵抗素子お
    よび前記ヨークを形成するための基板とを有し、 前記第1磁性層および前記第2磁性層から選ばれるいず
    れか一方の層の少なくとも一部を構成するように配置さ
    れたヨークの一部とこのヨークの残部との間に少なくと
    も一つの磁気ギャップが形成され、前記一方の層が、他
    方の磁性層よりも外部磁化によって容易に磁化回転する
    磁性層であり、 前記一方の層が、2以上の磁性膜と1以上の非磁性膜と
    が交互に積層されてなり、前記非磁性膜を介して隣接す
    る一対の磁性膜が反強磁性結合し、かつ前記2以上の磁
    性膜において磁気モーメントが閉じていない磁気ヘッ
    ド。
  15. 【請求項15】 非磁性膜の膜厚が0.2nm以上1.
    0nm以下である請求項14に記載の磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】 ヨークの一部と残部とが対向する磁気
    ギャップに露出している面において、前記ヨークの残部
    の厚さが、最大の膜厚を有する磁性膜の当該膜厚よりも
    厚い請求項14または15に記載の磁気ヘッド。
  17. 【請求項17】 ヨークを構成する磁性体の磁化方向
    が、前記ヨークに導入される外部磁界により前記ヨーク
    内に生成する磁路の伸長方向と略垂直である請求項1〜
    16のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  18. 【請求項18】 非磁性層が、絶縁体または半導体から
    なる請求項1〜17のいずれかに記載の磁気ヘッド。
  19. 【請求項19】 第1磁性層および第2磁性層から選ば
    れるいずれかの層であって、他方の磁性層よりも外部磁
    化によって容易に磁化回転する磁性層が、基板の表面に
    垂直な方向に沿って観察して、鋭角または直角からなる
    隅角部を有しない形状を有する請求項1〜18のいずれ
    かに記載の磁気ヘッド。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19のいずれかに記載の磁
    気ヘッドを含む磁気情報記録再生装置。
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