JP2007098800A - ゴム成型体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン導電系ゴムを弾性体層として形成し、研磨によってローラ表面を調整した物に表面層材料を塗布して表面被覆層を形成した場合でも、塗工不良が発生せず、画像不良の無い、電子写真用半導電性ゴムローラに好適なゴム成形体を得る。
【解決手段】未加硫ゴムをベント式押出機によって連続的に押出し、その後加熱処理による加硫成形を行うゴム成形体の製造方法において、該未加硫ゴムを押出す、押出条件が、ベント式押出機のゴム非充填領域の体積(Vcm3)と未加硫ゴムの1分間当たりの押出量(W)が以下の式(1)を満足する条件で押出成形する。
V / W ≧ 0.9min ・・・・ (1)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真装置に使用される、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ等のゴム成形体の製造方法に関する。
尚、以下、ゴム成形体の一例として、帯電ローラについてその詳細を記載するが、本発明は、その用途を帯電ローラのみに限定する物ではない。
複写機や光プリンタ等の電子写真装置、静電記録装置等の画像形成装置において、感光体や誘電体等の像担持体面を帯電処理する手段として、近年では接触帯電方式が採用されている。接触帯電方式においては、電圧を印加した帯電する部材(帯電部材とも記載する)を、被帯電体面に近接または接触させて、被帯電体面を帯電処理するもので、一般的には、金属製芯金の軸上に半導電性の弾性体層が形成されたゴムローラ型の帯電ローラが使用される。
接触帯電方式で用いられる帯電ローラの弾性体層には、感光体等の被帯電体表面のピンホールや傷などにより生じるリークを防止するために、適度な半導電性が必要である。また、被帯電体を均一に帯電させるためには、帯電部材の電気抵抗値が体積固有抵抗率で1×103〜1×109Ω・cm程度の均一な半導電性であることが重要である。そして、この様な電気特性を実現するために、従来、カーボンブラック等の導電粒子が配合され半導電化された電子導電系の半導電性ゴム組成物を用いて、弾性体層を作製してきた。
しかしながら、この様な電子導電系ゴム組成物は原料ゴムに配合するカーボンブラック等の導電粒子の添加量によって、電気抵抗を調整することができるものの、体積固有抵抗率が1×103〜1×109Ω・cmの半導電領域においては、導電粒子の配合量の僅かな変化により、電気抵抗が大きく変化する場合があり、半導電領域において均質な所望の電気抵抗値を示す弾性体層を作製することが困難で、帯電部材内および帯電部材間で電気抵抗のバラツキが生じやすいといった問題がある。
電気抵抗が均一なゴム組成物を得る手法としては、エピクロルヒドリンゴムやNBR等のそれ自身が半導電性を有する極性ゴムを使用する、或いは原料ゴムにイオン導電剤を添加して半導電性を付与する等のイオン導電系ゴムにより、弾性体層を構成することが知られている。
イオン導電系ゴムを弾性体層に使用したゴムローラの成形方法としては未加硫の半導電性ゴム組成物を押出機によりチューブ状に押出成形し、これを加硫成形したものに芯金を圧入後、表面を研磨して所望の外径とする方法;未加硫の半導電性ゴム組成物をクロスヘッドを装着した押出機により、芯金を中心に円筒形に共押出し、これを加硫成形後に表面を研磨して所望の外径とする方法等がある。
未加硫ゴム成形体の加硫方法としては、従来、プレス加硫や加硫缶による蒸気加硫が用いられてきた。これは、未加硫ゴム中の水分が加硫時の熱で気化することにより発生する気泡(ボイド)を防ぐ為に加圧条件下で加硫させる必要がある為である。しかしながら、プレス加硫や加硫缶による加硫はバッチ方式であり、省エネルギー化あるいは省人化が困難であるという問題がある。バッチ加硫から連続加硫方式へ変更する事によって省人化を達成する例としては、エピクロルヒドリン系ゴム100重量部に対して、カルシウム及びマグネシウムの酸化物あるいは水酸化物からなる吸水剤を0.5〜10重量部配合し、マイクロ波で加硫する方法(例えば、特許文献1参照。)、あるいは、特定の範囲の未加硫物性を持つゴム組成物を使用して連続加硫成形を行う方法(例えば、特許文献2参照。)等がある。
特開平9−297454号報 特開2002−221859号報
ところが、カルシウム及びマグネシウムの酸化物あるいは水酸化物からなる吸水剤をゴムに配合した場合ではゴム硬度が上昇する、あるいは圧縮永久ひずみが大きくなる等の問題がある。また、未加硫ゴムの物性を最適化しても加硫時のローラの変形は抑制できても、気泡の発生は防止できない。
また、イオン導電系ゴムはゴム自身が分子内に存在する極性基の存在により吸水性が高く、ボイドが発生しやすい。また、イオン導電系ゴムを弾性体層として形成し、研磨によってローラ表面を調整した物に表面層材料を塗布して表面被覆層を形成した場合、弾性層に微小でもボイドが存在すると、このボイドが核となり、表面被覆層に図1、図2(比較例1に相当)に示すような、クレーター状の欠陥が発生する。そして、この欠陥部分が帯電不良を引き起こし、画像不良が発生するという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するもので、本発明の目的は、イオン導電系ゴムを弾性体層として形成し、加硫のあと研磨によってローラ表面を調整した物に表面層材料を塗布して表面被覆層を形成した場合でも、塗工不良が発生せず、画像不良の無い、電子写真用半導電性ゴムローラに好適なゴム成形体を提供することである。
本願発明者は上記課題について鋭意検討した結果、イオン導電系ゴムの押出成形において、ベント式の押出機を使用し、押出機内で未加硫ゴム材料が真空引きされるゴム非充填領域の体積を大きくし、押出時に未加硫ゴム材料が真空引きされる時間を長くする事で、材料中の水分等の揮発成分を充分に除去する事が可能となり、常圧下での加硫においても、揮発成分が加硫反応時に気化膨張してボイドが発生することがなく、連続加硫が可能となる事を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、未加硫ゴムをベント式押出機によって連続的に押出し、その後加熱処理による加硫成形を行うゴム成形体の製造方法において、該未加硫ゴムを押出す、押出条件が、ベント式押出機のゴム非充填領域の体積(Vcm3)と1分間当たりの未加硫ゴムの押出量(Wcm3/min)が以下の式(1)を満足する条件で押出成形することを特徴とする、ゴム成形体製造方法である。
V / W ≧ 0.9min ・・・・ (1)
本発明によれば、ボイドの発生が無く、電気特性が均一な半導電性ゴムローラに好適なゴム成形体を得ることが出来る。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図3には、本発明におけるゴム成形体の例として、帯電ローラ30の構成を示しており、金属製の芯金31の外周に、弾性体層32及び表面被覆層33が積層されている。弾性体層には、イオン導電系ゴム組成物が使用される。この様なゴム組成物としては、体積抵抗率が1×1013〜1×107Ω・cmのゴムを原料ゴムとして使用した物であり、具体的にはエピクロルヒドリンホモポリマー(CHC)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(CHR)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(CHR−AGE)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体の水添物(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ウレタンゴム(U)等のゴムの単独、または、これらのゴムの2種以上のブレンド物を挙げることができる。これらのゴム単体、または、2種類以上のブレンド物は導電剤無配合でも、体積固有抵抗率が1×1013〜1×107Ω・cmのイオン導電性を示すものある。
弾性体層のゴム組成物は、押出時の成形性を良好とする為に、一般的に無機充填剤が配合される。無機充填剤としては、シリカ(ホワイトカーボン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。特に、使用される充填剤は吸水率が小さい物が好ましく、吸水率が小さい好ましい充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、硫酸バリウムが挙げられる。
また、カーボンブラックも原料ゴムのイオン導電による利点を大きく損なわない程度に配合することも出来る。ここで使用するカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF等のファーネスブラックや、FTカーボン、MTカーボン等のサーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を挙げることが出来る。カーボンブラックとしては導電性が低く、電気抵抗への影響が小さいサーマルブラックが好ましい。
これらの充填剤は単独、或いは複数種をブレンドして原料ゴム100質量部に対して10〜150質量部配合されることが好ましい。10質量部以上では、加工性の改善効果を付与することができ、また、150質量部未満では弾性体層の硬度が適当で、好ましい。
なお、帯電部材の弾性体層は、被帯電体を均一に帯電させるために、均一な半導電性を有することに加え、感光体への均一な接触を確保するために、低硬度であることが望ましい。よって、弾性体層を低硬度化する手段として可塑剤を配合することも出来る。可塑剤は、弾性体層の表面にブルームすることによって感光体を汚染することが無い様、イオン導電系の原料ゴムに対して相溶性が良好なエステル系可塑剤が好ましく、また、重量平均分子量7000以上の高分子量タイプの物が好ましい。エステル系可塑剤としては特に限定される物ではないが、アジピン酸ポリエステル可塑剤やセバシン酸ポリエステル可塑剤が使用される。
弾性体層のゴム組成物には電気抵抗を調整することを目的としてイオン導電剤を添加することも出来る。添加されるイオン導電剤としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート等の陽イオン性界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルべタイン、ジメチルアルキルラウリルベタイン等の両性イオン界面活性剤;過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩;トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩を例示することができる。特に、少量配合で電気抵抗の低減効果が大きいことから、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウム等の第四級アンモニウムの過塩素酸塩が好ましい。これらのイオン導電剤は弾性体層の表面にブルームすることによって感光体を汚染することが無い様、原料ゴム100質量部に対して3質量部を超えない範囲で配合されることが好ましい。
加えて、弾性体層には、必要に応じてゴムの配合剤として一般に用いられている充填剤、加工助剤、架橋助剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、粘着付与剤、分散剤等を添加することもできる。
これらの原料の混合方法としては、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用した混合方法や、オープンロールのような開放型の混合機を使用した混合方法などを例示することができる。
混合された未加硫ゴム材料はベント式押出機によってチューブ状に成形される。
図5にベント式押出機の概要を、図6にベント押出機の各ゾーンの作用を、図7にスクリューの拡大図を模式的に示す。押出機5はシリンダー51内に押出スクリュー52を回転自在に内挿している。スクリュー52の先端側のシリンダー51端部にはクロスヘッド53が取り付けられている。シリンダー51にはベント口55が設けられており、ベント口55は不図示の真空ポンプへ接続されており、該真空ポンプによりシリンダー51内が真空引きされる。材料投入口54より投入された未加硫ゴムは、押出スクリュー52の回転により、クロスヘッド53側へと搬送される。スクリュー52は図7に示すように溝のピッチ521と溝の深さ522が連続的に変化しており、材料投入口54からダム部57へかけてピッチ521と溝深さ522が小さくなっている。これによりスクリュー1回転あたりに搬送されるゴム量は材料投入側で大きくダム部側で小さくなり、スクリュー溝の断面投影面積の比(圧縮比)の分、ダム部にかけてゴムを圧縮する作用が働く(圧縮ゾーン1)。スクリューのダム部57はシリンダー51との隙間(クリアランス)が1mm以下程度に設定されている。圧縮ゾーン1で加圧される作用により、未加硫ゴムはダム部の狭いクリアランスを通過し、フィルム上に押出され、非ゴム充填部(真空ゾーン)へ供給される。真空ゾーンのスクリューはピッチと溝深さが大きく設定されており、ゴムが細密充填されず、空間が発生する。ベント口55に接続された真空ポンプにより真空引きされることにより、ダム部57によってフィルム上に押出された未加硫ゴムの揮発分が除去される。さらにスクリュー先端側でも溝ピッチ521と溝深さ522が小さくなっており、未加硫ゴムは圧縮されながら(圧縮ゾーン2)クロスヘッド部へ供給される。クロスヘッドへと搬送された未加硫ゴムは、不図示の芯金供給装置より供給された芯金31の外周に積層され、クロスヘッド先端のダイス56を通り、芯金31と共に共押出される。クロスヘッド部のゴム流路は押出機シリンダーからダイス部に向けて狭くなるように設定されており、ダイス部を通過する未加硫ゴムに圧力がかかるようになっている。この圧力(ヘッド圧)により、未加硫ゴムは芯金に充分に密着し、鬆の発生の無い成形体が得られる。圧縮ゾーン2はこのヘッド圧に打ち勝つだけの圧縮比を得られる様にゴムが充填される為、ヘッド圧が高いと圧縮ゾーンは長く必要となり、その分、真空ゾーンが小さくなる。
押出機5のシリンダー51、スクリュー52、クロスヘッド53は各々、不図示の温調機によって指定された温度に保たれている。
本発明においては、上記の押出においてゴム材料が真空ゾーンの部分を通過する時間が長くなければならない。その為には押出時のスクリュー回転数を小さくし、単位時間での押出量(ゴム吐出量)を小さくすることが有効であるが、ゴム吐出量を小さくする事は成形体の生産スピードが遅くなり好ましくない。よって真空ゾーンの領域を大きくする必要がる。真空ゾーンの領域を大きくする方法としては、押出機のL/D(シリンダー長さ/シリンダー径)大きくする、またはヘッド圧を小さくする事が考えられる。しかし、あまりL/Dを長くすると、ゴムが押出機に滞留する時間が長くなり、ヤケ等の問題が生じる。押出機のL/Dは15〜22の範囲にすることが好ましい。ヘッド圧を小さくするにはヘッドの温度を高くする、あるいはヘッドの流路の絞込みを小さくすることが考えられる。
しかし、ヘッド温度をあまりに高くすると、やはり、ヤケ等の問題が生じる。ヘッド温度は60℃〜90℃の範囲が好ましい。また、ヘッド流路の絞込みを小さくした場合は、芯金とゴムとの密着性が低下したり、押出時のゴム吐出量が不安定となる為、好ましくない。真空ゾーンの領域を領域を大きくする手段としては、圧縮ゾーン2のスクリュー圧縮比を大きくする事が好ましい。
また、スクリューダム部のクリアランスは0.2mm以下が好ましく、更に好ましくは0.05〜0.1mmである。イオン導電系ゴムの中で好適に使用されるエピクロルヒドリンゴムは分子中に存在する塩素原子の影響で気体透過性が低く、真空引きによる揮発成分の除去が行なわれ難い特徴がある。その為、ダム部のクリアランスを狭くして、フィルム上に押出すゴムの厚みを小さくする事によってゴムの単位重量あたりの表面積を大きくし、真空ゾーンでのベント効果を上げる必要がある。ダム部のクリアランスを狭くする事で、スクリュー1回転あたりにダム部を通過するゴム量が減少する。その為、同一吐出量のゴムを押出すためのスクリュー回転数が早くなり、圧縮ゾーン2の長さが短くなることから、真空ゾーンが広くなり、その結果、ゴムのベント効果は一層向上する。
この様な押出機の構造と押出条件の設定により、ベント式押出機のゴム非充填領域(真空ゾーン)の体積V(cm3)と未加硫ゴムの1分間当たりの押出量(吐出量)W(cm3/min)を、以下の式(1)を満足する条件でゴム成形体を製造する。
V / W ≧ 0.9min ・・・・ (1)
V/Wが0.9min未満ではベント効果が小さく、ボイドが発生しやすい。また、あまりにV/Wを大きくしようとすると、押出機のL/Dを大きくしたり、押出機のサイズを必要以上に大きくしなければならない。よって好ましいV/Wの範囲としては 1.0〜3.0minである。
さらに、押出時のシリンダーとスクリュー温度は高いほうがベント効果は良好である。これはゴムの気体透過性が高温であるほど大きくなる為であるが、あまりに温度を上げすぎるとヤケ等の問題が生じる。よって好ましいシリンダーとスクリューの温度は60〜100℃である。
表面被覆層は、感光体上にピンホール等の欠陥が生じた場合に、ここに帯電電流が集中して、帯電部材、感光体が破損することを防止するためのものであり、電気抵抗値としては1×106〜1×1010Ω程度が要求され、一般的には公知の被覆層が用いられ、例えばアクリル系ポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、シリコーン等のバインダー高分子に、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属、酸化物や金属を粒子表面に被覆して導電化した導電粒子;LiClO4、KSCN、NaSCN、LiCF3SO3等のイオン性電解質等を適宜量分散させることにより、所望の電気抵抗値としたものが用いられる。
表面被覆層の形成方法としては、上記の様なバインダー高分子を溶剤に溶解または分散し、これに導電フィラーを分散させた液を、ディッピング、ビーム塗工、ロールコーター、スプレー等の塗工法によって、弾性体層表面にコーティングする方法等を挙げることができる。
なお、本発明における帯電ローラには、必要に応じて、弾性体層や表面被覆層以外に、接着層、拡散防止層、下地層、プライマー層等の機能層を設けることもできる。
図4に本発明の帯電ローラを有する電子写真装置の概略構成を示した。41は被帯電体としての像担持体であり、本例のものはアルミニウム等の導電性支持体41bとその外周面に形成した感光層41aを基本構成層とするドラム型の電子写真感光体である。支軸41cを中心に図面上時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
30はこの感光体51面に接して感光体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電処理する帯電ローラである。帯電ローラ30は中心芯金31と、その外周に形成した下層の弾性体層32と、更にその外周に形成した上層の表面被覆層33から成り、芯金31の両端部を不図示の押圧手段で感光体41の回転駆動に伴い従動回転する。
而して、電源43で摺擦電源43aにより、芯金31の所定の直流(DC)バイアス、あるいは直流+交流(DC+AC)バイアスが印加されることで回転感光体41の周面が所定の極性・電位に接触帯電される。帯電ローラ30で均一に帯電処理を受けた感光体41面は次いで露光手段44により目的画像情報の露光(レーザービーム走査露光、原稿画像のスリット露光等)を受けることで、その周面に目的の画像情報に対した静電潜像が形成される。
その潜像は次いで現像手段45によりトナー画像として順次に可視像化されていく。このトナー画像は次いで転写手段46により不図示の給紙手段部から感光体41の回転と同期取りされて適正なタイミングをもって感光体41と転写手段46との間の転写部へ搬送された転写材47面に順次転写されていく。本例の転写手段46は転写ローラであり、転写材47の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで感光体41面側のトナー画像が転写材47の表面側に転写されていく。
トナー画像の転写を受けた転写材47は感光体41面から分離されて不図示の像定着手段へ搬送されて像定着を受け、画像形成物として出力される。あるいは、裏面にも像形成するものでは転写部への再搬送手段へ搬送される。
像転写後の感光体41面はクリーニング手段48で転写残りトナー等の付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて繰り返して作像に供される。
帯電ローラ30は面移動駆動される被帯電体41に従動駆動させてもよいし、非回転のものとさせてもよいし、被帯電体41の面移動方向に順方向または逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。
また、光像露光は、電子写真装置を複写機プリンタとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したり、または液晶シャッターアレイを駆動したりすること等により行われる。
本発明のゴム成形体である半導電性ローラを使用しうる電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ、あるいは、電子写真製版システムなどの電子写真応用装置などが挙げられる。
本発明のゴム成形体は帯電ローラ以外に、現像用、転写用、1次帯電用、除電用の他、給紙用ローラなどの搬送用として用いることができる。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味しており、試薬等は特に指定のないものは市販の高純度品を用いた。
(弾性体ゴム材料の調整)
原料ゴムとして、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(商品名:エピクロマーCG102 ダイソー(株)社製)100部、加工助剤としてステアリン酸1部、加硫促進助剤として酸化亜鉛5部、充填剤として炭酸カルシウム(商品名:シルバーW 白石工業(株)社製)40部、セバシン酸ポリエステル可塑剤(分子量 8000) 5部、イオン導電剤としてトリメチルアンモニウムパークロレート 1部、架橋剤として硫黄0.5部、加硫促進剤としてジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT) 2部をオープンロールにて混合し、未加硫ゴム組成物を得た。
(芯金の調整)
直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部231mmに金属とゴムとの熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、東洋化学研究所製)を塗布し、80℃で30分間乾燥した後、120℃で1時間乾燥した。
実施例1
前述の未加硫ゴム材料をクロスヘッド押出機にて芯金上に押出成形を行った。押出機はシリンダー径50mm(Φ50)、L/D=16の押出機を使用し、ダム部とシリンダーとのクリアランスが0.1mmのスクリューを使用した。押出時の温調はヘッド90℃、シリンダー90℃、スクリュー90℃とした。押出時のスクリュー回転数は20rpmとした。
上記の条件での押出時のヘッド圧は11.1MPaであった。また、芯金を通さずに30秒間ゴムを押出し、その重量を測定し、未加硫ゴム比重で除して、ゴム吐出量を測定した。測定は3回実施し、その平均から単位時間あたりのゴム押出し量(W)を計算した。その結果、Wは72cm3/minであった。
(ゴム非充填領域の体積の測定)
スクリューの体積測定を実施し、シリンダー容量との差から、押出機のゴム経路の体積(T)を算出した。スクリューの体積(S)は、水を入れたメスシリンダーにスクリューを浸漬し、水面高さの変化量からスクリュー体積を算出した。シリンダー容量(C)はシリンダー径とシリンダー長さより算出した。押出機のゴム経路の体積(T)は以下の式(2)で計算される。
T = C − S ・・・・・・(2)
また、押出終了後に押出機シリンダー内に充填されているゴムの重量を測定し、未加硫ゴムの比重から、シリンダー内のゴム体積(G)を測定した。
ゴム非充填領域の体積(V)は式(3)に示すように、押出機のゴム経路の体積(T)とシリンダー内のゴム体積(G)との差によって計算した。
V = T − G ・・・・・・(3)
上記の測定の結果、本例でのゴム非充填領域の体積(V)は162.1cm3であり、V/Wは2.26minであった。
図6には押出機から押出されたローラの連続加硫装置の概要を模式的に示した。押出機5により、芯金31の外周に未加硫ゴムが積層された未加硫ゴムローラは、不図示の搬送コンベアーによって、加硫炉6へ連続的に搬送される。加硫炉6は予め所定の温度に保たれており、搬送されるスピードと加硫炉6の長さにより、所定の時間加硫される。
本例では加硫炉温度は170℃であり、加硫時間(加硫炉通過時間)は60分であった。
この加硫後のローラのゴム両端部を突っ切り、ゴム部分の長さを231mmとした後、ゴム部分を回転砥石で研磨し、端部直径8.40mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状の半導電性弾性体層を有するゴムローラを得た。
実施例2
スクリュー回転数を30rpmとした以外は、実施例1と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は12.3MPa、ゴム押出し量Wは108cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは152.0cm3であり、V/Wは1.40minであった。
比較例1
ダム部とシリンダーとのクリアランスが0.25mmのスクリューを使用し、押出時のスクリュー回転数を10rpmとした以外は、実施例1と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は11.8MPa、ゴム押出し量Wは62cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは45.1cm3であり、V/Wは0.73minであった。
比較例2
スクリュー回転数を20rpmとした以外は、比較例1と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は13.7MPa、ゴム押出し量Wは129cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは39.2cm3であり、V/Wは0.30minであった。
比較例3
スクリュー回転数を30rpmとした以外は、比較例1と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は14.2MPa、ゴム押出し量Wは193cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは46.2cm3であり、V/Wは0.24minであった。
実施例3
押出機をシリンダー径45mm(Φ45)、L/D=20の押出機とし、ダム部とシリンダーとのクリアランスが0.15mmのスクリューを使用し、スクリュー回転数を20rpmとした以外は実施例1と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は8.6MPa、ゴム押出し量Wは61cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは109.9cm3であり、V/Wは1.82minであった。
実施例4
スクリュー回転数を30rpmとした以外は、実施例3と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は8.9MPa、ゴム押出し量Wは89cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは116.6cm3であり、V/Wは1.31minであった。
実施例5
スクリュー回転数を40rpmとした以外は、実施例3と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は9.3MPa、ゴム押出し量Wは117cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは115.3cm3であり、V/Wは0.98minであった。
比較例4
ダム部とシリンダーとのクリアランスが0.22mmのスクリューを使用し、押出時のスクリュー回転数を30rpmとした以外は、実施例3と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は9.6MPa、ゴム押出し量Wは103cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは86.4cm3であり、V/Wは0.84minであった。
比較例5
スクリュー回転数を40rpmとした以外は、比較例4と同様に押出成形を行った。この時の押出時のヘッド圧は10.1MPa、ゴム押出し量Wは137cm3/min、ゴム非充填領域の体積Vは94.4cm3であり、V/Wは0.69minであった。
(帯電ローラの作成)
上記弾性体層の上に以下に示す表面層を被覆形成し、帯電ローラを作成した。
導電性酸化スズ粉体(商品名:SN−100P、石原産業(株)製)50質量部に、トリフルオロプロピルトリメトキシシランの1%イソプロピルアルコール溶液を500質量部と平均粒径0.8mmのガラスビーズ300質量部を加え、ペイントシェーカで70時間分散後、分散液を500メッシュの網で濾過し、次にこの溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で暖めてアルコールを飛ばして乾燥させ、表面にシランカップリング剤を付与し表面処理導電性酸化スズ粉体を得た。
ラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200質量部を、500質量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、ポリオール濃度20質量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200質量部に対して前記表面処理導電性酸化スズ粉体を50質量部、シリコーンオイル(商品名:SH−28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)を0.01質量部、ヘキサメチレンジシラザンで表面処理した微粒子シリカ(一次粒径0.02μm)を1.2質量部配合し、これに直径0.8mmのガラスビーズ200質量部を加えて、450mlのビンに入れてペイントシェーカを使い10時間分散した。
この分散液370質量部にイソホロンジイソシアネートのブロックタイプのイソシアヌレート型3量体(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)を33.5質量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)を21.5質量部混合し、ボールミルで1時間攪拌し、最後に500メッシュの網で溶液を濾過して表層塗料を得た。
前記表層塗料をディッピンク法により前記導電性弾性体基層を有するゴムローラの表面に塗工した。引き上げ速度320mm/minで塗工し、30分間風乾した後、ローラの塗工時の軸方向を反転してもう一度引き上げ速度320mm/minで塗工し、もう一度30分間風乾した後、160℃で100分間乾燥して、帯電ローラを得た。
(ローラ表面のボイドレベルの評価)
以上の様にして得られた帯電ローラの表面について、目視による欠陥観察を行った。ローラ表面のボイド起因の欠陥をボイドレベルとし、以下のレベル分けを行った。
ボイドレベル5;ローラ表面にボイド起因の欠陥は見られない。
ボイドレベル4;ローラ表面のボイド起因の欠陥は直径0.3mm未満で、5個以内である。
ボイドレベル3;ローラ表面に直径0.3mm以上のボイド起因の欠陥が3個以上見られるが、直径0.5mm以上の欠陥は見られない。
ボイドレベル2;ローラ表面の直径0.5mm以上のボイド起因の欠陥が3個以内である。
ボイドレベル1;ローラ表面に直径0.5mm以上のボイド起因の欠陥が多数見られる。
(帯電ローラの画像評価)
この帯電ローラを図4に示した電子写真装置(Color LaserJet 3700 ヒューレット・パッカード製)に組込み画像評価を行った。画像評価はハーフトーン画像を形成させて行い、帯電ローラの表面欠陥起因の黒ポチ画像不良が見られるものを×、画像不良の発生の無い物は○とした。
以上に述べた評価結果を表1、にまとめた。
比較例1〜5はV/Wが0.9未満でボイドレベル3以下であり、画像不良が見られる。これに対し実施例1〜5はV/Wが0.9以上でボイドレベル4以上であり、帯電ローラ表面の欠陥による画像不良は見られない。
実施例、比較例のV/Wとボイドレベル関係を図8にグラフで示す。グラフから明らかなように、V/W値が0.9min以上ではボイドレベル4以上を示している。
従来例(比較例1)の塗工欠陥の拡大写真である。 従来例(比較例1)の塗工欠陥部分の断面拡大写真である。 本発明における帯電ローラの例を説明するための模式的断面図である。 本発明における電子写真装置の例を説明するための模式的断面図である。 本発明におけるベント式押出機の例を説明するための模式的断面図である。 本発明におけるベント式押出機の機構を説明するための模式的断面図である。 本発明におけるベント式押出機のスクリューの拡大模式断面図である。 本発明における連続加硫装置の例を説明するための模式的断面図である。 実施例、比較例のV/Wとボイドレベルを表すグラフである。
符号の説明
1 ゴムローラ
1a 芯金
30 帯電ローラ
31 芯金
32 弾性体層
33 表面被覆層
41 像担持体
41a 感光層
41b 導電性支持体
41c 支軸
43 電源
43a 摺擦電源
44 露光手段
45 現像手段
46 転写ローラ
47 転写材
48 クリーニング手段
5 押出機
51 シリンダー
52 スクリュー
53 クロスヘッド
54 材料投入口
55 ベント口
56 ダイス
57 スクリューダム部
521 スクリュー溝ピッチ
522 スクリュー溝深さ
8 加硫炉

Claims (7)

  1. 未加硫ゴムをベント式押出機によって連続的に押出し、その後加熱処理による加硫成形を行うゴム成形体の製造方法において、
    該未加硫ゴムを押出す押出条件が、ベント式押出機のゴム非充填領域の体積(Vcm3)と1分間当たりの未加硫ゴム押出量(Wcm3/min)が以下の式(1)を満足する条件で押出成形すること含むこと特徴とする、ゴム成形体の製造方法。
    V / W ≧ 0.9min ・・・・ (1)
  2. 押出機のスクリューダム部とシリンダーとのクリアランスが、0.2mm以下であることを特徴とする、請求項1記載のゴム成形体製造方法。
  3. 押出機のシリンダー温度が60℃以上に調整されている請求項1または2に記載のゴム成形体の製造方法。
  4. 加熱処理による加硫成形を、常圧下で実施することを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のゴム成形体製造方法。
  5. 請求項1記載の方法で良導電性の基材を用いて製造され、さらにその外側に設けられた少なくとも1層以上からなる半導電性ゴム弾性体層を設けることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のゴム成形体製造方法。
  6. 該半導電性ゴム弾性体層がエピクロルヒドリンゴム、NBR、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムからえらばれた少なくとも1種の極性ゴムを含有することを特徴とする、請求項5に記載のゴム成形体製造方法。
  7. 請求項1乃至6の方法で作られた帯電ローラ。
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