JP2007096049A - 光学フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 反射防止性・電磁波遮蔽性・近赤外線遮蔽性・耐久性・視認鮮明性に優れ、軽量性及び生産効率の高い光学フィルター及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 透明基体の一面上に反射防止層を形成し、他の面上に近赤外線遮蔽層を形成し、その上に、電磁波遮蔽層14を形成し、その上に585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着層15を形成して一体のフィルム状積層体とし、好ましくは、電磁波遮蔽層の一部を露出するように残してアース電極取出部として用いる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、光学フィルター及びその製造方法に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、例えばプラズマディスプレイ等の光学的画像表示装置の表示面に用いられる光学フィルター及びその製造方法に関するものである。
プラズマディスプレイ装置(以下、PDPと略記することがある。)は、表示電極、バス電極、誘電体層および保護層を有する前面ガラス基板と、データ電極、誘電体層およびストライプバリヤリブに蛍光体層を有する背面ガラス基板とを、電極が直交するように貼り合せる事によりセルを形成し、このセルの中に、キセノン等の放電ガスを封入して構成されている。プラズマディスプレイ装置の発光は、データ電極と表示電極との間に電圧が印加されることによりキセノンの放電が起こり、プラズマ状態となったキセノンイオンが基底状態に戻る際に紫外線を発生し、この紫外線が蛍光体層を励起して、赤(R)、緑(G)、及び青(B)色光を発光させる。これら可視光の発光の過程で、これらの可視光に加え、近赤外線および電磁波も発生する。そのため、プラズマディスプレイ装置には、一般にガラス基材のプラズマディスプレイ発光部の前面に、反射防止膜、近赤外線吸収膜、および電磁波カット機能が付与されたフィルターが、設置されている。
プラズマディスプレイ装置は、薄型ディスプレイ装置として、設置スペースが小さく、壁掛け表示装置などとして有用であると考えられている。しかし、上述のプラズマディスプレイ装置においては、例えば、特開平10−319859号公報(特許文献1)に記載されているように発光手段を含むPDP装置上に、それから、一定の空間を隔てて、ガラス上に、何層かのフィルムを積層したフィルム積層体を貼り合わせて構成された光学フィルター手段が設置されているため、十分な軽量化が達成されているとはいえず、実際、一般の家庭用家屋内の壁に掛けるためには、壁が十分に強固であることが必要であり、予め壁自体に補強工事を施すことが必要となる場合もある。また、PDPの前面ガラス部、光学フィルターの表面および裏面の反射により、外光が表示面に二重映りする等の欠点がある。一般に光学フィルターに用いられる電磁波遮蔽フィルムの主なものは、エッチング処理された金属(銅)メッシュであるか、そのエッチングされた端面に金属(銅)が露出しているため、金属(銅)特有の反射色が表示画像の色調に不具合を与えている。
特開平10−319859号公報
本発明は、優れた反射防止性、近赤外線遮蔽性、及び電磁波遮蔽性を併せ具備し、耐久性及び視認性にも優れ、軽量であって、製造面では近赤外遮蔽層と585nmから600nmの選択吸収層が別の層に分離されていることから構成部材の取扱いが容易であり、例えばプラズマディスプレイ装置等の表示装置の表示面に用いることができる光学フィルター及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の光学フィルターは、透明な基材と、前記透明基材の一面上に形成された反射防止層と、前記透明基材の他面上に形成された近赤外線遮蔽層と、前記近赤外線遮蔽層上に形成された電磁波遮蔽層と、前記電磁波遮蔽層上に形成された585nmから600nmに極大吸収ピークを有する接着剤層とを含み、これらが、一体のフィルム状に積層されていることを特徴とするものである。
本発明の光学フィルターにおいて、前記電磁波遮蔽層が、金属メッシュにより構成されていることが好ましい。
本発明の光学フィルターにおいて、前記電磁波遮蔽層が、前記近赤外線遮蔽層上に、触媒インクをメッシュ状に印刷し、その上に金属メッキを施すことによって形成されたメッシュ状金属層からなることが好ましい。
本発明の光学フィルターにおいて、前記電磁波遮蔽層に2個以上のアース電極取り出し部が形成されていて、前記アース電極取り出し部が前記電磁波遮蔽層の周縁部分の互に離間している少なくとも2箇所に設けられていることが好ましい。
本発明の光学フィルターにおいて、前記透明基材が紫外線吸収性能を有していることが好ましい。
本発明の光学フィルターの製造方法は、透明な基材の1面上に反射防止層を形成し、その後に、前記透明基材の他面上に近赤外線遮蔽層を形成し、前記近赤外線遮蔽層上に、電磁波遮蔽層を形成し、さらに、前記電磁波遮蔽層上に、585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着剤層を形成して一体のフィルム状積層体を構成することを特徴とするものである。
本発明の光学フィルターの製造方法において、前記電磁波遮蔽層上に、前記接着剤層を形成する際に、前記電磁波遮蔽層の、互に離間している少なくとも2箇所の縁端部分を、アース電極取り出し部として、被覆することなく残置することが好ましい。
本発明の光学フィルターは、反射防止性、近赤外線遮蔽性、電磁波遮蔽性、使用耐久性及び画像の肉眼観察の容易性に優れ、かつ軽量であり、また、その製造工程においては、近赤外遮蔽層と、585nmから600nmまでの波長域内に極大ピークを有する接着層とが、別の層として配置されていることにより、構成部材の取扱いが容易であり、各種表示装置、例えばプラズマディスプレイ装置などの表示面の光学フィルターとして用いられるとき、その製造の容易性及び実用上の高性能及び取扱いの容易性において有用性の高いものである。
図1には本発明の光学フィルターの例の縦断面説明図(図1−(a))及び、このフィルターを方向Aにおいて見たときの正面図(図1−(b))が示されている。図1−(a),(b)において、光学フィルター1は、透明基材11と、その1面上に形成された反射防止層12と、透明基材11の他の面上に形成された近赤外線遮蔽層13と、この近赤外線遮蔽層13上に形成された電磁波遮蔽層14と、この電磁波遮蔽層14上に形成され、かつ585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着剤層15とから構成されている。図1−(a),(b)に示されているように、電磁波遮蔽層14の周縁部に、アース電極取り出し部分を構成する露出部分14aが設けられていることが好ましい。
従来の光学フィルター用透明積層体においては、前記の各機能層をそれぞれ別々の透明基材上に形成し、これらの機能層を担持する透明基材を接着層を介してガラスパネルと積層することにより形成されていた。また、ガラスを用いないフィルムタイプの光学フィルター用透明積層体においても、複数枚の機能層付フィルムを積層してフィルターを構成していた。特に近赤外線遮蔽層には585nmから600nmまでの波長を有する光を選択的に吸収する色素が配合された、所謂ネオンカット機能を付帯させている場合が多い。このネオンカット機能については、フィルターが用いられるPDPパネルによって求められる仕様が異なり、近赤外線遮蔽層にネオンカット機能を付帯させると、近赤外線遮蔽層そのものの仕様が固定されてしまうことになり、このため、近赤外線遮蔽層が汎用性を欠くフィルター部材となっていた。
本発明の光学フィルターにおいては、透明基材の一面上に反射防止層が形成され、他の面上に近赤外線遮蔽層が形成され、この近赤外線遮蔽層上に、電磁波遮蔽層(金属メッシュ層)及び585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着剤層が形成することにより、これらの機能層を1体のフィルム状積層体の形状に積層することができ、それによって、構成積層枚数を減らし、材料コストを低減し、製造工程を削減し、かつ、構成部材に汎用性を持たせ、光学的性能においては高透過率及び低ヘーズを実現することができ、それによって、改良された光学特性を有する光学フィルターを提供することが可能になった。
本発明の光学フィルターは、上記のような構成を有しているため、各機能に寄与せず、場合によっては悪影響を与えることのある透明基材の数、及び粘着剤層の数などを減少させ、しかも、各種の機能を複合して具備している一体の光学フィルターを構成している。また、その製造において貼合工程がないため、製造工程数が少なくなり、製造歩留りが向上し、製品の性能が安定し、かつ信頼性も向上する。また、反射防止層が、光学フィルターの最外層を形成しているため、優れた反射防止効果が得られる。
また、本発明の光学フィルターは、実質的に1枚のフィルム状積層体の形状を有するものである。つまり、透明基材の一面上に反射防止層が形成され、他の面上に近赤外線遮蔽層が形成され、この近赤外線遮蔽層上に、電磁波遮蔽層(金属メッシュ層)が形成され、その上に接着剤層が形成されている。この場合、近赤外線遮蔽層は、近赤外線遮蔽性能を有する物質と、樹脂マトリックスより形成されることが好ましく、また透明基材としては、紫外線吸収性能を有するもの、例えば紫外線吸収剤を含む透明樹脂から形成されたものであることが好ましい。このようにすることによって、本発明の光学フィルターにおいて、近赤外線遮蔽層は、紫外線吸収剤含有透明基材によって、外光から保護されているため、その性能の耐久性、耐候性に優れ、信頼性に優れたものとなる。また、電磁波遮蔽層として金属メッシュ層を用いる場合、接着剤層が金属メッシュ層の金属メッシュの空隙部分を充填し、空隙部のない透明積層体が得られる。
さらに、一般にネオンカットと呼ばれる機能、すなわち585nmから600nmまでの波長を有する光を吸収する機能を、近赤外遮蔽層とは独立した粘着層に持たせているため、透明基材の一面上に反射防止層が形成され、他の面上に近赤外線遮蔽層が形成され、さらに近赤外線遮蔽層部上に電磁波遮蔽層(金属メッシュ層)が形成されている複合層は、共用部材として利用する事が可能である。
(透明基材)
本発明に用いられる透明基材は、それが透明材料である限り、その種類、組成などに限定はない。透明基材を構成する材料は、一般に透明プラスチック材料から選ばれることが好ましく、例えば、プレート状又はシート状、又はフィルム状のポリエステル系基材、トリアセチルセルロース基材、ポリカーボネート基材、ポリエーテルサルフォン基材、ポリアクリレート基材、ノルボンネン系基材、及び非晶質ポリオレフィン系基材等から適宜選択することができ、また、その厚さにも特段の限定はなく、通常50μm〜10mm程度のフィルム状またはプレート状のものを用いることができる。ポリエステル系基材としては、なかでもポリエチレンテレフタレート(以下PETとも称する)基材は、耐久性、耐溶剤性、生産性等の点においてすぐれているため好ましく用いられている。また、色調や透過率を調整するため、着色されたものを用いてもよい。
本発明の光学フィルターは、プラズマディスプレイに必要とされる反射防止効果、近赤外線遮蔽効果および電磁波遮蔽効果においてすぐれている。このため、本光学フィルターを、プラズマディスプレイの画像表示面に直接貼り付けることによりプラズマディスプレイの表示面に表示される画像を、鮮明な画像として、観察することができる。
(透明基材の紫外線遮蔽性について)
本発明の光学フィルターにおいては、紫外線遮蔽性を有する材料を透明基材に用いることが好ましい。これは、近赤外線遮蔽層に含まれる近赤外線吸収色素は、通常紫外線に対する耐性が低いので、透明基材として紫外線遮蔽性を有する材料を用いることにより、近赤外線吸収色素の劣化を抑制することができるからである。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、パラアミノ安息香酸系、及びサリチル酸系等の紫外線吸収性化合物を用いることができる。通常、紫外線吸収剤は、ある特定量以上の添加量で使用しないと十分な効果は得られない。一般に、膜厚の薄いコーティング層に紫外線吸収剤を添加するときは、コーティング層が含有し得る紫外線吸収剤の量に制限があり、必要とする紫外線遮蔽効果を得ることが難しいことがある。しかし、本発明の光学フィルターでは、透明基材の内側に近赤外線遮蔽層が位置するため、肉薄のコーティング層に比べると大きな厚さを有する透明基材自身に、紫外線吸収剤を含有させることにより、十分な量の紫外線吸収剤を含有する光学フィルターを構成することができ、それによって、近赤外線吸収色素の劣化を抑制し、優れた近赤外線吸収性能を維持することができる。光学フィルターの紫外線遮蔽性能としては、380nm以下の紫外線領域において、紫外線透過率が2%以下であることが好ましい。
(反射防止層)
本発明の光学フィルターにおいて、透明基材の一面上に形成される反射防止層の構成、組成などには、それが所望の反射防止効果を有する限り、格別の限定はなく、単層構造を有していてもよく、あるいは複数構造を有してもよい。また、反射防止層上に、帯電防止層等の導電層及び/又は、防眩等の機能を有する薄膜層をさらに形成してもよい。
反射防止層は、ハードコート層と、このハードコート層上に積層された導電性中屈折率層と、この導電性中屈折率層上に積層された高屈折率層と、この高屈折率層上に積層された低屈折率層とからなるものであることが好ましい。
このような構成の反射防止層は導電性を有する反射防止層であって、静電気によるほこりの付着等を防止できる。また、この導電性中屈折層が、中屈折率層の機能を併有することにより、中屈折、高屈折、低屈折の3層による反射防止膜を形成することができ、それによって優れた反射防止効果が得られる。
前記ハードコート層は、樹脂成分により形成されるが、酸化物微粒子を含有することが好ましい。酸化物微粒子を含有することにより、透明基材との密着性が向上する。
ハードコート層における酸化物微粒子の含有量は30質量%〜80質量%であることが好ましい。酸化物微粉末の含有量が30質量%未満の場合、第1の透明基材や中屈折率層との密着性が低下し、目的とする鉛筆硬度や、スチールウール強度等の膜硬度が得られなくなる。また、酸化物微粉末の含有量が80質量%より多い場合、酸化物微粉末の含有量が過度となり、得られるハードコート層の膜強度が低下する、得られるハードコート層に白化現象が認められる、硬化後の膜の屈曲性が低下しクラックが発生しやすくなる、等の問題が発生する。
また、ハードコート層の屈折率は、透明基材の表面平均屈折率と同値になるように設計することが好ましい。これは、透明基材の表面平均屈折率とハードコート層の屈折率差により発生する反射率の振幅の差を小さくすることにより、いわゆる「表面の虹色の色むら」を目立たなくすることができるためである。ただし、透明基材として易接着層付きPETフィルムを用いた場合は、ハードコート層の屈折率を、下記式にて算出される屈折率と同じか、またはこれに近づけることが好ましい。
N=Np−(Ns−Np)/2
N:透明ハードコート層の屈折率
Np:PET易接着層の屈折率
Ns:PET基材の表面平均屈折率
また、ハードコート層中に用いられる酸化物微粒子としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化セリウム、酸化チタン等が、該ハードコート層を着色することなく、透明性に優れたハードコート層を形成し得る等の理由により適宜用いられる、この酸化物微粒子の粒子径としては、100nm以下のものが好ましい。100nmを超える粒子系の酸化物微粉末では、得られるハードコート層がレイリー散乱により、光を著しく散乱させ、白く見えるようになって透明度が低下するためである。
前記樹脂成分については、たとえば紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、カチオン重合系樹脂等が挙げられるが、中でも紫外線硬化樹脂のものは安価で、透明プラスチックフィルムとの密着性に優れることから好適に用いられる。紫外線硬化型樹脂には、塗工法(ウエットコーティング法)に用いられる感光性の樹脂であればよく、たとえば、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、及び/又はエポキシ系樹脂等が前記酸化物微粉末の分散性を損なうことがない等の理由から好適に用いられる。
本発明において、反射防止層中のハードコート層は、たとえば、有機樹脂成分と、酸化物微粒子と、有機溶剤を少なくとも含有するハードコート層形成用塗料を、透明基材上に塗布、乾燥、紫外線照射することにより形成される。
前記透明ハードコート層形成用塗料は、たとえば、前記酸化物微粒子と、樹脂成分とを分散剤を使用して、超音波分散、ホモジナイザー、サンドミル等を用いた通常の方法で、有機溶剤中に混合分散させた、有機溶剤系塗料として得ることができる。前記の有機溶剤は、アルコール系、グリコール系、酢酸エステル系、ケトン系などから選ぶことができ、これらは、単一種で用いてもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
そして、透明基材の片面に、前記ハードコート層形成塗料を、塗布し、紫外線照射等により架橋硬化させ、ハードコート層を形成する。このハードコート層の膜厚は、0.5μm〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜2μmである。膜厚が0.5μm以下では充分な膜硬度の発現を図ることはできないことがあり、またそれが20μm以上では、透明基材のカーリングが大きくなることがある。
なお、塗工法としては、各種の塗工方法が可能であり、たとえば、バーコート法、グラビアコート法、スリットコーター法、ロールコーター法、ディップコート法などから適宜選択することができる。
ハードコート層上に形成される導電性中屈折率層は、好ましくは、導電性を有し、かつ中屈折率の微粒子とバインダー成分とを含む。
導電性中屈折率層における前記導電性中屈折率微粒子の含有量は50質量%以上であることが好ましく、特に70〜95%の範囲にあることがより好ましい。前記導電性中屈折率微粒子の含有量が50質量%未満では、導電性中屈折率層の表面抵抗値が増大し、導電性が悪化するとともに、フィラー成分が減少することがあり、このため、ハードコート層との密着性が不十分になることがある。一方、前記導電性中屈折率微粒子の含有量が95質量%を超えると、相対的にバインダー成分の含有量が低下するため、バインダーマトリックス中に十分な量の前記導電性中屈折率微粒子を保持することができず、また、導電性中屈折率層上に他層を塗布する際に、膜に傷が付きやすくなり外観不良を引き起こすことがある。
前記導電性中屈折率微粒子としては、アンチモン含有酸化錫(以下ATOと称す)、錫含有酸化インジウム(以下ITOと称す)、アルミニウム含有酸化亜鉛、金、銀、パラジウム等の金属微粒子などが、透明性および導電性に優れた導電性中屈折率層を形成し得る等の理由により好適に使用される。
また、前記導電性中屈折率微粒子の粒子径は、平均粒径が、1〜100nmであることが好ましい。平均粒径が1nm未満では、塗料化時に凝集を起こしやすく、塗料化するための均一な分散が困難になり、さらに塗料の粘度が増大し、分散不良が生じたりすることがある。また、導電性中屈折率微粒子の平均粒径が100nmを超えると、得られる導電性中屈折率層が、レイリー散乱によって著しく光を乱反射させるため、白く見えるようになってしまい、透明性が低下することがある。
バインダー成分としては、シリコンアルコキシド及び/又は加水分解生成物から生成される物質が好ましい。
本発明の光学フィルターにおいて導電性中屈折率層は、導電性中屈折率微粒子とシリコンアルコキシド及び/又はその加水分解生成物と、有機溶剤とを少なくとも含む導電性中屈折率層形成用塗料を用いて、ハードコート層上に塗布、乾燥させることにより形成することができる。
前記導電性中屈折率層形成用塗料は、前記の導電性中屈折率酸化物微粒子と、シリコンアルコキシド及び/またはその加水分解生成物と場合により添加される他の粒子とを分散剤を用いて、超音波分散機、ホモジナイザー、サンドミル等を用いた通常の方法で有機溶剤中に分散させ、有機溶剤系塗料として得ることができる。
前記シリコンアルコキシドとしては、たとえばテトラアルコキシシラン系化合物、アルキルトリアルコキシシラン系化合物等から選ぶことができ、また、前記の有機溶剤としては、アルコール系、グリコール系、酢酸エステル系、ケトン系などから選ぶことができ、これらは単一種でもよく、2種類以上の混合物として使用してもよい。
そして、透明ハードコート層上に前記透電性中屈折率層形成用塗料を塗布し、たとえば70〜130℃で1分以上乾燥して、光学膜厚を、140±30nmの範囲に調整することが好ましい。
乾燥温度については130℃を超えると使用する透明プラスチックフィルムによっては熱変形を引き起こすために好ましくない。また、70℃未満では硬化速度が遅くなり強度が発現しない。また、硬化時間が1分未満では膜強度が不足するために好ましくない。
なお、塗工方法としては、たとえばバーコート法、グラビアコート法、スリットコーター法、ロールコーター法、ディップコート法等などから適宜選択することができる。
導電性中屈折率層上に形成される、高屈折率層は、例えば高屈折率の酸化物微粒子とバインダー成分とを含むものである。
高屈折率層における高屈折率酸化物微粒子の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、特に60〜95質量%であることがより好ましい。前記高屈折率酸化物微粒子の含有量が50%未満では、相対的にバインダー成分の含有量が増加し屈折率の低下を起こし、充分な高屈折率化が得られず、反射率が過度に増大することがある。また、前記高屈折率酸化物微粒子の含有量が95%を超えると、バインダー成分により高屈折率酸化物微粒子を十分に固定化することができず、また、この透明高屈折率層上に他層を塗布する際に傷が入りやすくなり、さらに外観不良を起こすことがある。
前記高屈折率酸化物微粒子としては、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル等が、透明性に優れた高屈折率層を形成しうる理由により好適に使用される。
また、高屈折率酸化物微粉末の粒子径は、平均粒径が、1〜100nmであることが好ましい。平均粒径が1nm未満では、塗料化時に凝集を起こしやすく、塗料化するための均一な分散が困難になり、さらに塗料の粘度が増大し、分散不良が生じたりすることがある。また、高屈折率酸化物微粉末の平均粒径が100nmを超えると、得られる高屈折率層が、レイリー散乱によって著しく光を乱反射させるため、白く見えるようになってしまい、透明性が不十分になることがある。
バインダー成分としては、シリコンアルコキシド及び/またはその加水分解生成物由来のシリカが好ましい。
前記高屈折率層は、高屈折率酸化物微粒子と、バインダー成分と有機溶剤とを少なくとも含有する、透明高屈折率形成塗料を用いて、導電性中屈折率層上に塗布、乾燥することにより形成される。
前記高屈折率層形成用塗料は、前記の高屈折率酸化物微粉末と、シリコンアルコキシド及び/またはその加水分解生成物と場合により添加される粒子とを分散剤を用いて、超音波分散機、ホモジナイザー、サンドミル等を用いた通常の方法で有機溶剤中に分散させ、有機溶剤系塗料として得ることができる。
前記シリコンアルコキシドとしては、たとえばテトラアルコキシシラン系化合物、アルキルトリアルコキシシラン系化合物等から選ぶことができ、また、前記の有機溶剤としては、アルコール系、グリコール系、酢酸エステル系、ケトン系などから選ぶことができ、これらは単一種でもよく、2種類以上の混合物として使用してもよい。
そして、導電性中屈折率層上に前記高屈折率層形成用塗料を塗布し、たとえば70〜130℃で1分以上乾燥して高屈折率層を形成する。その膜厚は低屈折率層の光学膜厚の1.2〜2.5倍に設定することが好ましい。これまで反射防止に係わる膜厚設計は、高屈折率層、低屈折率層の膜厚を、目標とする最低反射率を示す波長(以下ボトム波長と呼ぶ)の1/4に設定することが一般的に知られているが、この手法で反射防止膜を作製した場合、ボトム波長における反射率は最も低くなるけれども、それよりも長波長側、及び低波長側での反射率が増大し、その部分の反射色が強くなり、きつい青紫から赤紫の反射色を呈する。更には、目視での反射率の指標である視感度反射率の増大にもつながる。これら長波長側、及び低波長側の反射率の増大を抑えるべく検討を行った結果、前記のとおり、低屈折率層の光学膜厚を1.2〜2.5倍と、これまでの設計方法より厚めに設計することで解決することを見出した。
乾燥温度については、それが130℃を超えると使用する透明プラスチックフィルムによっては熱変形を引き起こすことがある。また、それが70℃未満では硬化速度が遅くなり十分な強度が発現しないことがある。また、硬化時間が1分未満では膜強度が不足することがある。
なお、塗工方法としては、たとえばバーコート法、グラビアコート法、スリットコーター法、ロールコーター法、ディップコート法等などから適宜選択することができる。
高屈折率層上に積層される低屈折率層は、例えば、シリコンアルコキシド及び/又は、その加水分解生成物と、シリコーンオイルと、有機溶剤と、を含む低屈折率層形成用塗料を高屈折率層上に塗布し乾燥することによって形成される。
この低屈折率層の屈折率は、高屈折率層の屈折率よりも0.1以上小さいことが好ましい。このような透明低屈折率層を設けることにより、得られる反射防止層は極めて優れた反射防止性を示すものとなる。この低屈折率層形成用塗料として用いられるシリコンアルコキシドとしては、テトラアルコキシシラン系化合物、アルキルトリアルコキシシラン系化合物等から適宜選択し使用することができる。
また、前記シリコーンオイルとしては、ジアルキルアルコキシシラン化合物から適宜使用することができる。さらに前記の有機溶剤としては、アルコール系、グリコール系、酢酸エステル系、ケトン系から適宜選択することができ、これらは単一種で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。
透明屈折率層形成用塗料中にシリコーンオイル0.01〜5.0質量%を含有させると、塗膜の水に対する接触角が、90°以上となって、撥水性を発現し、滑りやすくなり、帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの膜強度(特にスチールウール強度)が向上し、防汚性も付与することができる。
前記シリコーンオイルの含有量が0.01質量%未満では、シリコーンオイルが透明低屈折率層の表面に十分にじみでずに、水に対する接触角が90°未満となり、十分な撥水性が得られず、帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの膜強度向上及び防汚性が得られないことがある。また、含有量が5.0質量%を超えると、シリコーンオイルが透明低屈折率層の表面で過度となるために、水に対する接触角が90°を超え、十分な撥水性が得られるけれども、シリコンアルコキシド及び/又は、その加水分解生成物の重合硬化反応を阻害するために、帯電防止・反射防止膜付き透明フィルムの膜強度低下を引き起こすことがある。
低屈折率層は、透明高屈折率層上に、前記透明低屈折率層形成用塗料を塗布し、例えば70〜130℃で1分以上乾燥して、光学膜厚を140nmに調整することにより形成され、それによって、ボトム波長600nm付近の、帯電防止・反射防止膜を作製することができる。
乾燥温度については130℃を超えると使用する透明プラスチックフィルムによっては熱変形を引き起こすことがある。また、70℃未満では硬化速度が遅くなり強度が発現しないことがある。また、硬化時間が1分未満では膜強度が不足することがある。
なお、塗工方法としては、たとえばバーコート法、グラビアコート法、スリットコーター法、ロールコーター法、ディップコート法等などから適宜選択することができる。
上記方法により作成された、帯電防止・反射防止膜は、良好な帯電防止効果、反射防止性を有し、膜硬度が強く、防汚性を有する等の特徴を有する。その理由は、以下のように考えられる。
透明ハードコート層、透明導電性中屈折率層及び、透明高屈折率層に多量の無機化合物フィラーを存在させることにより、層の表面エネルギーを増大させて各層表面上への各塗料の濡れ性を著しく向上させることができ、この濡れ性改善効果により層間の密着性が向上し、これにより従来よりも強い膜強度を得ることができる。
さらに、最外層ある透明低屈折率層には、シリコーンオイルが含有されており、水に対する接触角が90°を超え、撥水性を付与することができる。そしてこの撥水効果は、綿布等で擦っても効果は十分に維持され、従来よりも高い防汚性を得ることができる。防汚性が持続する理由については、シリコーンオイルが、シリカマトリックス中に取り込まれており、簡単に滲み出すことがないためと考えられる。
(近赤外線遮蔽層)
本発明の光学フィルターにおいて、近赤外線遮蔽層の近赤外線遮蔽性能は、波長:800〜1100nm領域の近赤外線に対して、遮蔽性を有することが好ましく、例えば、樹脂マトリックス中に近赤外線吸収色素が含有されているものであることが好ましい。近赤外線遮蔽層は、バインダーを含有していてもよく、このバインダーとしては、メタアクリレート系の樹脂を用いることができる。
近赤外線吸収色素としては、波長800〜1100nm領域の近赤外線に対して遮蔽性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ジイモニウム系化合物、アルミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、有機金属錯体系化合物、シアニン系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、メルカプトナフトール系化合物等を用いることができ、またこれらは、単一種で用いられてもよく、又、無機物と複合化したものを用いてもよく或は、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ジイモニウム系化合物は、波長850〜1100nmの近赤外線領域に、モル吸光係数が10万程度の強い吸収性を有し、従って近赤外線遮蔽性に優れている。ジイモニウム系化合物は、波長400〜500nmの可視光領域に若干の吸収を有し黄褐色の透過色を呈するが、しかし、可視光透過性が他の近赤外線吸収色素よりも優れているため、本発明の光学フィルターに用いられる近赤外線吸収色素中に、少なくとも1種ジイモニウム系化合物が含まれていることが好ましい。
近赤外線遮蔽層が、実用上十分な近赤外線遮蔽性を発現するためには、波長900〜1000nmの近赤外線の透過率が20%以下であることが好ましい。近赤外線遮蔽層中の近赤外線吸収色素の好ましい配合量は、接着剤層の厚さに依存して変動する。ジイモニウム系化合物を使用し、かつ、近赤外線遮蔽層の厚さを5〜50μm程度に設計する場合、マトリックス(バインダー)として使用される透明樹脂100質量部に対し、近赤外線吸収性色素化合物の配合量は、0.5〜5.0質量部程度とすることが好ましい。透明マトリックス樹脂100質量部に対する近赤外線吸収色素化合物の配合量が、5質量部をこえると、得られる近赤外線遮蔽層中において、色素の偏析を生じたり、また可視光透明性の低下などを生ずることがある。
また、ジイモニウム系化合物を使用する場合、得られる近赤外線遮蔽層に実用的に十分な耐久性を付与するには、前記ジイモニウム系化合物として190℃以上の融点を有するものを使用することが好ましい。融点が190℃より低いものは、高温高湿度下において変質し易いが、190℃以上の融点を有するものは、後述の好適なマトリックス樹脂種を選択することと併せて、実用上良好な耐久性を有する近赤外線遮蔽性能を有することができる。
さらに、近赤外線遮蔽層に実用上十分な近赤外線遮蔽性を発現させるためには、波長850〜900nmの近赤外線透過率か20%以下の近赤外線吸収性色素を用いることが好ましい。
例えば、近赤外線遮蔽層にジイモニウム系化合物を用いた場合、さらに、第2の近赤外線吸収色素として、750〜900nmに吸収極大を有し、可視光領域に実質的に吸収がない1種以上の色素、例えば、その吸収極大波長における吸収係数と、波長450nm(青色光の中心波長)、525nm(緑色光の中心波長)及び620nm(赤色光の中心波長)におけるそれぞれの吸光係数との比が、いずれも5.0以上である1種又は2種以上の近赤外線吸収色素を併用することが好ましく、前記第2の近赤外線吸収色素の前記吸光係数の比が8.0以上であることがより好ましい。前記吸光係数の比のいずれかが5.0未満であるときは、実用上必要とされる850〜900nmの平均透過率が20%以下である場合、波長450nm(青色光の中心波長)、525nm(緑色光の中心波長)、および620nm(赤色光の中心波長)における可視光線透過率のいずれかが60%未満となり、可視光領域の透過率が実用上不十分になることがある。
前記の特性を有する前記第2の近赤外線吸収色素用化合物としては、例えば、ジチオールニッケル錯体系化合物、インドリウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物等を用いることができる。特に、フタロシアニン系化合物及びナフタロシアニン系化合物は、一般的に耐久性に優れており、好適に用いることができるが、ナフタロシアニン系化合物はより高価であるため、フタロシアニン系化合物が、実用上より好適に用いられる。
(電磁波遮蔽層)
本発明の光学フィルターにおいて、近赤外線遮蔽層上に形成される電磁波遮蔽層の構成・組成などに格別の制限はなく、電磁波遮蔽性と画像の透過性を有するように形成されたものであればよく、例えば、金属メッシュ層、導電性物質を含む透明導電膜などを用いることができる。
例えば、金属メッシュ層は、金属メッシュを近赤外線遮蔽層上にラミネートし、或は銅等の金属をメッキして形成された金属層にエッチングを施してメッシュパターンの形状に形成したもの、及び近赤外線遮蔽層上に、パラジウムなどの触媒を含有するペースト(インク)をメッシュパターンの形状に印刷し、それに金属メッキを施したもの等を用いることができる。また、例えば、透明導電膜層としては、銀等の導電性物質を蒸着、スパッタ等により形成したものが用いられる。
さらに、電磁波遮蔽層の厚さは、1〜10μmであることが好ましい。電磁波遮蔽層として金属メッシュ層を用いる場合、金属メッシュ層の厚さが10μmより厚いと視野角が狭くなり視認性が低下する。さらに表面を黒色化しても、斜め方向から視認した場合、金属メッシュの深さ方向は黒色化され難く、金属の色調がむき出しになっており、画面の色調に不具合を与える。
また、金属メッシュ層の互に対向する2辺の縁端部をベタ金属膜としてもよい。
(接着剤層)
本発明の光学フィルターにおいて、近赤外線遮蔽層上に形成される接着剤層は585nmから600nmに極大吸収ピークを有する接着剤(粘着剤を包含する)により形成され、このような接着剤としては、アクリル系樹脂を用いることができる。接着剤層が粘着剤から形成されている場合、これと近赤外線遮蔽層との間の粘着強度は、初期において、1〜10N/25mmであることが好ましく、より好ましくは4〜8N/25mmである。粘着強度が1〜10N/25mmの範囲内にあるとき、光学フィルターを表示器の表示表面に粘着したとき、実用上十分に粘着保持することができ、しかも、光学フィルターを剥離することが必要になったとき、実用上格段の困難なしに剥離することが可能であり、高価な表示器本体を継続して使用することができ、かつ、剥離した光学フィルターを再使用することができる。さらに前記粘着強度は経時的に上昇し、平衡に達した時点における粘着強度は10〜15N/25mmであることがさらに好ましい。
更に、本発明の光学フィルターにおいて、接着層は585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有するものであり、585nmから600nmまでの波長を有する可視光の透過率が、波長450nm、525nm、620nmの各々における可視光の透過率よりも10%以上低いことが好ましい。このようにすると、本発明の光学フィルターを用いた場合、所謂ネオンカット機能が付与され、プラズマディスプレイ等のディスプレイのコントラスト性を向上させ、色調補正機能が高くなる。本発明の光学フィルターの、波長585nmから600nmまでの波長を有する可視光の透過率を、波長450nm、525nm、620nmの各々における可視光の透過率よりも10%以上低くするためには、近赤外線遮蔽層中に選択吸収性色材を含有させることが好ましい。波長590nmの可視光を選択的に吸収する色材には、前記ジイモニウム化合物の組成上の変質に悪影響を与えるものでない限り、特に制限はないが、例えばキナクリドン顔料、アゾメチン系化合物、シアニン系化合物、及びポルフィリン化合物等を用いることが好ましい。
(光学フィルターの製造方法)
本発明の光学フィルターは、紫外線吸収性能を有する透明基材の一表面上に反射防止層を形成した後、その裏面に近赤外線遮蔽層を形成する。更に近赤外線遮蔽層上に電磁波遮蔽層をスクリーン印刷法などの印刷法により形成し、電磁波遮蔽層上に585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着剤層を形成する。この際、アース電極取り出し部を形成する部分上には、接着剤層を被覆形成せずに露出させておくことが好ましい。
本発明の光学フィルターを用いれば、これを直接PDPモジュールの画像表示面ガラスに貼り付けることにより、従来のガラス付きフィルターを用いた場合と比較して42インチサイズで約4kg、50インチサイズのPDPにおいて、約5kgの軽量化を達成することができる。また、光学フィルター自体も、実質的に1枚のフィルム状積層体からなるため、これまでの2枚のフィルムからなるフィルターに比べ、約30%の軽量化と、光学フィルターの厚さを約40%薄くすることが可能となる。
また、透明基材となるフィルムの使用枚数が最小限の1枚となり、かつ貼合に用いる接着剤の使用量が削減され、コストの大幅な削減が可能となる。
さらに、本フィルターの生産においては、一般にネオンカットと呼ばれる585nmから600nmまでの波長を有する光を吸収する機能が、近赤外遮蔽層とは独立して得られた粘着層に付与されているため、透明基材の一面上に反射防止層が形成され、他の面上に近赤外線遮蔽層が形成され、さらに近赤外線遮蔽層部に電磁波遮蔽層(金属メッシュ層)が形成された複合層は、種々の仕様の光学フィルターの共用部材として用いる事が可能である。
図1−(a),(b)に示されているように本発明の光学フィルター1において、用いる場合、電磁波遮蔽層14の周縁端部の一部分、例えば光学フィルターが四辺形、特に矩形をなしている場合、その4辺のうちの少なくとも対向する2辺(すなわち図1−(b)に示されているように上・下2辺14a、又は図2に示されているように左・右2辺14b)の縁端部にアース電極取り出し部14cが露出するように、585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着層15を、グラビア法等のダイレクト塗工又はノンキャリアフィルムをラミネートすることによって、形成することが好ましい。
アース電極取り出し部は、プラズマパネルなどの表示器から漏洩した電磁波を電気に変換し、これを筐体に逃がすために有効なものである。
図2に示されている本発明の光学フィルターの態様において、電磁波遮蔽層14の左・右2辺縁端部14bは、電気めっき、又は導電テープなどの処置により帯状にベタ金属膜化されていてもよい。このベタ金属膜化された左・右帯状縁端部14bを有する電磁波遮蔽層14上には、その上・下2辺縁端部14aを露出されるように残置して、近赤外線遮蔽層13が被覆形成されていてもよい(図示されていない)。この場合、ベタ金属膜化された左・右帯状縁端部14bのそれぞれ上・下4隅に露出しているベタ金属膜部14cを、アース電極取り出し部として利用することができる。
本発明の光学フィルターを、画像表示装置の表示面、例えばPDPモジュールの画像表示面に装着する状態の一例を図3に示す。図3において、画像表示面、例えば、PDPモジュール21の画像表示ガラス23の表面に直接に貼着され、その周縁部をモジュール21の筐体22に接合して保持される。電磁波遮蔽層14の上・下縁端部には、アース電極取り出し部が形成されていて、アース24が取り付けられていて、アース24は、図3に示されているように筐体22に直接接続されていてもよく、或はクリップ、クランプ又はガスケット(図示されていない)を介してアース手段に導通されていてもよい。
本発明の光学フィルターを下記実施例によりさらに説明する。
実施例1
透明基材として、紫外線吸収剤を含有する厚さ100μmのPETフィルムを用い、その片面にハードコート層、導電性中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層からなる反射防止層を形成し、表面にPET製保護フィルムをラミネートした。次に、その反対面に化学式:(CH3SO22-で表されるカウンターアニオンを有するジイモニウム系化合物であるジイモニウム系色素とフタロシアニン系色素((株)日本触媒製、商標:イーエクスカラーIR−10A)と透明樹脂(メタアクリレート系、セルロース系等)、溶剤(トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)を含むインクを塗工し近赤外線遮蔽層を形成した。この近赤外線遮蔽層上にパラジウムコロイド含有ペーストを、L/S=30/270(μm)の格子状(メッシュ状)のパターンを有するスクリーンマスクを用いて印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して、無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して黒色の電磁波遮蔽層を形成した。この電磁波遮蔽層上にポルフィリン化合物染料を0.1%含有するアクリル樹脂を塗布して粘着剤を形成し、光学フィルターを作製した。
得られた光学フィルターの「全光線透過率」、「ヘイズ値」、「視感反射率」、「鉛筆硬度」、「スチールウール硬度」、「密着性」、「分光透過率(近赤外部)」、「信頼性試験(高温・高湿での1000時間後の近赤外部の透過率変化)」、「電磁波遮蔽性」を下記方法により評価した。評価結果を表1に示す。
(評価方法)
(1)全光線透過率:ヘイズメータ(日本電色社製)を用いて測定した。
(2)ヘイズ値:ヘイズメータ(日本電色社製)を用いて測定した。
(3)視感反射率:分光光度計(日本分光社製V−570)を用いて測定した。
(4)鉛筆硬度:反射防止層面を上にし、1kg荷重下で傷がつかない最小鉛筆硬度を測定 した。
(5)スチールウール強度:反射防止層面を上にし、#0000スチールウールに250 g/cm2の荷重を負荷しながら10回往復させたあとに発生 した傷の本数を測定した。
(6)密着性:反射防止層面を上にし、膜表面の1cm角の各辺を1mm間隔で切り込みをい れ、その表面を粘着テープで3回剥離試験をした後の残存する升目の数を 測定した。
(7)分光透過率:分光光度計(日本分光(株)製V−570)を用い、各試料の波長8 50nm、950nm、1000nmにおける透過率を測定した。
(8)信頼性:
(i)80℃に設定した恒温器に、各試料を入れ1000時間後の分光透過率を測定し た。
(ii)60℃−相対湿度90%に設定した恒温恒湿試験器に、各試料を入れ1000時 間後の分光透過率を測定した。
(9)電磁波遮蔽性:KEC法(社団法人関西電子工業振興センター法)に準拠して測定 した。
Figure 2007096049
表1から明らかなように、本発明の光学フィルターは、優れた光透過率、低ヘイズ値、低反射性、優れた電磁波遮蔽性及び近赤外線遮蔽性を有し、しかも実用上十分な強度及び耐久性を有していることが確認された。
本発明の光学フィルター及びその製造方法は反射防止性、近赤外線遮蔽性、電磁波遮蔽性に優れ、使用耐久性、可視画像の視認性、にも優れ、軽量であって、また、製造方法においては、近赤外遮蔽層と、585nmから600nmまでの波長を有する光に対する選択吸収層、すなわち接着層とが別々の層とに配置されていることによって、構成部材の取扱いが容易となり、例えばプラズマディスプレイ装置などの表示装置の光学フィルターとして高い実用性を有するものである。
図1−(a)は、本発明の光学フィルターの一例の積層構成を示す縦断面説明図。図1−(b)は、図1−(a)の光学フィルターを矢印Aの方向から見たときの平面説明図。 本発明の光学フィルターの他の例の平面説明図。 本発明の光学フィルターを画像表示装置の表示面部に装着したときの一部断面説明図。
符号の説明
1 光学フィルター
11 透明基体
12 反射防止層
13 近赤外線遮蔽層
14 電磁波遮蔽層
14a 電磁波遮蔽層の上・下縁端露出部分(アース電極取り出し部用)の一例
14b 電磁波遮蔽層のベタ金属膜化された帯状部
14c ベタ金属膜化帯状部の露出部分(アース電極取り出し部用)
15 585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着層(粘着剤層を含む)
21 画像表示装置
22 筐体
23 表示面
24 アース

Claims (7)

  1. 透明な基材と、前記透明基材の一面上に形成された反射防止層と、前記透明基材の他面上に形成された近赤外線遮蔽層と、前記近赤外線遮蔽層上に形成された電磁波遮蔽層と、前記電磁波遮蔽層上に形成され、かつ585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着剤層とを含み、これらが一体のフィルム状に積層されていることを特徴とする光学フィルター。
  2. 前記電磁波遮蔽層が、金属メッシュにより構成されている、請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記電磁波遮蔽層が、前記近赤外線遮蔽層上に、触媒インクをメッシュ形状に印刷しその上に金属メッキ処理を施すことによって形成されたメッシュ状金属層からなる、請求項1又は2に記載の光学フィルター。
  4. 前記電磁波遮蔽層に2個以上のアース電極取り出し部が形成されていて、前記アース電極取り出し部が、前記電磁波遮蔽層の周縁部分の互に離間している少なくとも2箇所に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 前記透明基材が紫外線吸収性能を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  6. 透明な基材の1面上に反射防止層を形成し、その後に、前記透明基材の他面上に近赤外線遮蔽層を形成し、前記近赤外線遮蔽層上に、電磁波遮蔽層を形成し、さらに、前記電磁波遮蔽層上に、585nmから600nmまでの波長域内に極大吸収ピークを有する接着剤層を形成して、一体のフィルム状積層体を構成することを特徴とする光学フィルターの製造方法。
  7. 前記電磁波遮蔽層上に、前記接着剤層を形成する際に、前記電磁波遮蔽層の縁端部の、互に離間している少なくとも2箇所の縁端部分を、アース電極取り出し部として、被覆することなく残置する、請求項6に記載の光学フィルターの製造方法。
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