JP2007092236A - 臭いを吸着可能な布帛およびその製造方法および繊維製品 - Google Patents

臭いを吸着可能な布帛およびその製造方法および繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた臭気吸着性を有し、フレキシブルで形態安定性に優れた酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛およびその製造方法および繊維製品を提供する。
【解決手段】島成分がポリエステルからなり、かつ島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維を用いて、目付が30〜300g/mであるポリエステル布帛を作製した後、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去し、必要に応じて繊維製品とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、単繊維径が10〜1000nmのポリエステルマルチフィラメント糸を含み、アンモニア等のアルカリ性ガス、硫化水素、酢酸等の酸性ガスの成分を含む臭気に対して優れた吸着性を有し、フレキシブルで形態安定性に優れた酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛およびその製造方法および繊維製品に関する。
快適生活を目指した生活環境の多様化に伴い、臭いに対する人間の関心が非常に高まっている。このような状況の下、悪臭を繊維構造体で取り除くために、繊維形成能を有する熱可塑性高分子化合物と臭気を吸着する吸着剤を主成分とする繊維原料を溶融紡糸するもの(例えば、特許文献1参照)や、後加工によって消臭剤を繊維構造体に付与したもの(例えば、特許文献2)、多孔性の活性炭繊維を使用したもの(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、前記の繊維形成能を有する熱可塑性高分子と臭気を吸着する吸着剤を主成分とする繊維原料を溶融紡糸する方法にあっては、ソフトな風合いを損なうことなく、耐久性に優れた消臭性が得られるものの、紡糸工程において臭気を吸着する吸着剤の熱安定性等の問題があった。後加工による消臭加工においては、消臭剤を繊維構造体に付着させる際、通常バインダー樹脂を用いるため、かかるバインダー樹脂によって繊維構造体の風合いが硬くなるという問題があった。また、多孔性の活性炭繊維を使用したものにおいては、高い比表面積により臭気の吸着性には優れているが、使用形態に制限があり、使用中に形状が崩れやすいという問題があった。
ところで、繊維を極細化する方法としては、海島型複合紡糸法、エレクトロスピニングなどによる極細繊維の製造技術が数多く提案されている。海島型複合紡糸法としては、海島ポリマーをチップ状態でブレンドした繊維から極細繊維を得る方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この方法で得られた海島型複合繊維からできる極細繊維は繊維径のばらつきが大きく、品質安定性に問題があった。またこの方法で得られる極細繊維の単繊維繊度は0.04dtex(約2μm)が限界であり、目的の臭気ガスの吸着性を得るには不十分であった。
一方、エレクトロスピニング技術は最近注目されている技術であり、数十nmレベルの繊維径を持つ不織布を製造できる技術である。これは、高分子溶液の入ったノズルの先端と基板上の間に高電圧を加え、荷電した高分子溶液を噴射し、基板上に集積させるものである(例えば、特許文献5参照)。しかし、エレクトロスピニング技術で得られる繊維および繊維製品の形状は不織布に限定されるとともに、作製した不織布の繊維径はかなりばらつきがある。また、タフネスも通常の繊維に比べて非常に弱く、実用には制約があった。
なお、本発明者らは、特願2004−98392号において、数十nmレベルの繊維径を有する海島型複合繊維およびその製造方法を提案した。
特開平5−222614号公報 特開平10−102379号公報 特開平10−76250号公報 特開平4−126815号公報 特開2004−68161号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた臭気吸着性を有し、フレキシブルで形態安定性に優れた酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛およびその製造方法および繊維製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、単繊維径が10〜1000nmでであるポリエステルマルチフィラメント糸を用いて、所定の目付を有する布帛となすことにより、優れた臭気吸着性を有し、フレキシブルで形態安定性に優れた酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「単繊維径が10〜1000nmのポリエステルマルチフィラメント糸を含み、かつその目付けが30〜300g/mの範囲内であることを特徴とする臭いを吸着可能な布帛。」が提供される。
その際、前記ポリエステルマルチフィラメント糸のフィラメント数が500以上であることが好ましい。また、前記ポリエステルマルチフィラメント糸のタフネスが20以上であることが好ましい。また、布帛に親水処理が施されていることが好ましい。
また、本発明によれば、島成分がポリエステルからなり、かつ島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維を用いて布帛を得た後、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、目付けを30〜300g/mの範囲内とする、前記の臭いを吸着可能な布帛の製造方法が提供される。
その際、前記の島数が100以上であることが好ましい。また、前記の海島型複合繊維において、海成分が、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングリコール系化合物共重合ポリエステル、およびポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルから選択される少なくとも1種のアルカリ水溶液易溶解性ポリマーであることが好ましい。特に、海成分が、5-ナトリウムスルホン酸を6〜12モル%および分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合したポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また、易溶解成分と易溶解成分よりも溶融粘度が低い難溶解成分とを、前者を海成分とし後者を島成分として溶融・押し出し、紡糸速度400〜6000m/分で海島型複合未延伸糸として引取り、該海島型複合未延伸糸を温度60〜220℃で配向結晶化延伸した後に、該延伸糸を用いて布帛を作製することが好ましい。また、溶融紡糸温度における海成分と島成分との溶融粘度比(海/島)が1.1〜2.0であることが好ましい。また、海成分および島成分としてガラス転移温度が100℃以下のポリマーを用いると共に、海島型複合未延伸糸の配向結晶化延伸に先立って、該海島型複合未延伸糸を60〜100℃の液体浴中に浸漬しながら、流動状態で延伸倍率10〜30倍、延伸速度300m/分以下で延伸する工程を含むことが好ましい。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、紳士衣服、婦人衣服、スポーツウェア、アウトドアウェア、レインコート、作業衣、防護服、人工皮革、カーテン、カーシートの群より選ばれる繊維製品が提供される。
本発明によれば、優れた臭気吸着性を有し、フレキシブルで形態安定性に優れた酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛およびその製造方法および繊維製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の布帛には、単繊維径(単繊維の直径)が10〜1000nm(好ましくは100〜800nm)のポリエステルマルチフィラメント糸が含まれることが肝要である。かかる単繊維径を単糸繊度に換算すると、0.000001〜0.01dtexに相当する。一般的に臭気の吸着性を高めるには、比表面積をできるだけ大きくすることが有効であり、かかる単繊維径を有するポリエステルマルチフィラメント糸が布帛に含まれることにより、比表面積が飛躍的に増大し臭気ガスに対して飛躍的に吸着性が向上する。ここで、単繊維径が10nm未満の場合には繊維強度が低くなるため実用上好ましくない。逆に、単繊維径が1000nmを超える場合には、布帛の比表面積が低下して臭気吸着性が不十分となり好ましくない。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、丸断面に換算した直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。
かかるポリエステルマルチフィラメント糸において、フィラメント数は特に限定されないが、布帛の臭気吸着性の点で500以上(より好ましくは2000〜8000)であることが好ましい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸の総繊度(単繊維繊度とフィラメント数との積)としては、5〜150dtexの範囲内であることが好ましい。
かかるポリエステルマルチフィラメント糸を形成するポリマーの種類としては、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどが好ましく例示される。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
前記ポリエステルマルチフィラメント糸の繊維形態は特に限定されず、通常の空気加工、仮撚捲縮加工が施されていてもさしつかえない。
また、前記ポリエステルマルチフィラメント糸のタフネスが20以上(より好ましくは25〜40)であることが好ましい。ただし、タフネスは以下の式から算出する。
タフネス=強度(g/dtex)×(伸度(%))1/2
本発明の布帛において、目付が30〜300g/mであることが重要である。該目付が30g/mよりも小さいと、十分な臭気吸着性が得られず、300g/mよりも大きいとがフレキシブル性が損なわれるため好ましくない。
本発明の布帛において、構造体の形態は特に限定されず、織物であっても編物であってもよい。
織物の場合、組織は特に限定されず、通常の方法で製織されたものでよい。例えば、織組織としては、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
編物の場合は、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。
本発明の布帛は、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、島成分がポリエステルからなり、かつ島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維を用いて、目付が30〜300g/mであるポリエステル布帛を作製した後、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、前記の酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛を製造することができる。
ここで、前記の海島型複合繊維において、該繊維を構成するポリマーは、海成分ポリマーが島成分ポリマーよりも溶解性が高い組合せであれば任意であるが、特に溶解速度比(海/島)が200以上であることが好ましい。かかる溶解速度比が200未満の場合には、繊維断面中央部の海成分を溶解させている間に繊維断面表層部の島成分の一部も溶解されるため、海成分を完全に溶解除去するためには、島成分の何割かも減量されてしまうことになり、島成分の太さ斑や溶剤浸食による強度劣化が発生して、毛羽やピリングなどの品位に問題が生じやすくなる。
海成分ポリマーは、好ましくは島成分との溶解速度比が200以上であればいかなるポリマーであってもよいが、特に繊維形成性の良好なポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレンなどが好ましい。例えば、アルカリ水溶液易溶解性ポリマーとしては、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングルコール系化合物共重合ポリエステル、ポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホン酸イソフタル酸の共重合ポリエステルが好適である。また、ナイロン6は、ギ酸溶解性があり、ポリスチレン・ポリエチレンはトルエンなど有機溶剤に非常によく溶ける。なかでも、アルカリ易溶解性と海島断面形成性とを両立させるため、ポリエステル系のポリマーとしては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸6〜12モル%と分子量4000〜12000のポリエチレングルコールを3〜10重量%共重合させた固有粘度が0.4〜0.6のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルが好ましい。ここで、5−ナトリウムイソフタル酸は親水性と溶融粘度向上に寄与し、ポリエチレングリコール(PEG)は親水性を向上させる。なお、PEGは分子量が大きいほど、その高次構造に起因すると考えられる親水性増加効果が大きくなるが、反応性が悪くなってブレンド系になるため、耐熱性・紡糸安定性などの点から好ましくなくなる。また、共重合量が10重量%以上になると、本来溶融粘度低下作用があるので、本発明の目的を達成することが困難になる。したがって、上記の範囲で、両成分を共重合することが好ましい。
一方、島成分ポリマーは、海成分との溶解速度差があればいかなるポリエステルポリマーであってもよいが、前記のように繊維形成性のポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、第3成分を共重合させたポリエステルなどのポリエステルが好ましい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
上記の海成分ポリマーと島成分ポリマーからなる本発明の海島型複合繊維は、溶融紡糸時における海成分の溶融粘度が島成分ポリマーの溶融粘度よりも大きいことが好ましい。かかる関係にある場合には、海成分の複合重量比率が40%未満と少なくなっても、島同士が接合したり、島成分の大部分が接合して海島型複合繊維とは異なるものになり難い。
好ましい溶融粘度比(海/島)は、1.1〜2.0、特に1.3〜1.5の範囲である。この比が1.1倍未満の場合には溶融紡糸時に島成分が接合しやすくなり、一方2.0倍を越える場合には、粘度差が大きすぎるために紡糸調子が低下しやすい。
次に島数は、多いほど海成分を溶解除去して極細繊維を製造する場合の生産性が高くなり、しかも得られる極細繊維の細さも顕著となって超極細繊維特有の柔らかさ、滑らかさを表現することができ、かつ布帛にした際の臭気吸着性の点から100以上(より好ましくは300〜1000)であることが好ましい。ここで、島数が100未満の場合には、海成分を溶解除去しても極細繊度の単糸からなるハイマルチフィラメント糸を得ることができず本発明の目的を達成することができない。なお、島数があまりに多くなりすぎると紡糸口金の製造コストが高くなるだけでなく、加工精度自体も低下しやすくなるので10000以下とするのが好ましい。
次に、島成分の径は、10〜1000nmの範囲とする必要がある。該径が10nm未満の場合には繊維構造自身が不安定で物性や繊維形態が不安定で好ましくなく、一方、1000nmを越える場合には超極細繊維特有の柔らかさや風合いが得られず、布帛にした際の臭気吸着性が不十分となり好ましくない。また、海島複合繊維断面内の各島は、その径が均一であるほど海成分を除去して得られる極細マルチフィラメント糸からなる布帛の品位や耐久性が向上するので好ましい。
前記の海島型複合繊維において、その海島複合重量比率(海:島)は、40:60〜5:95の範囲が好ましく、特に30:70〜10:90の範囲が好ましい。かかる範囲であれば、島間の海成分の厚みを薄くすることができ、海成分の溶解除去が容易となり、島成分の極細繊維への転換が容易になるので好ましい。ここで海成分の割合が40%を越える場合には海成分の厚みが厚くなりすぎ、一方5%未満の場合には海成分の量が少なくなりすぎて、島間に接合が発生しやすくなる。
前記の海島型複合繊維において、その島間の海成分厚みが500nm以下、特に20〜200nmの範囲が適当であり、該厚みが500nmを越える場合には、該厚い海成分を溶解除去する間に島成分の溶解が進むため、島成分間の均質性が低下するだけでなく、毛羽やピリングなど着用時の欠陥や染め斑も発生しやすくなる。
さらに、前記の海島型複合繊維において、島径(r)と島間の海の厚み(S)、繊維径(R)と海部の最大厚み(Sm)が以下の関係式を満たすと、前記のようなタフネスが容易に得られ好ましい。
0.001 ≦ S/r ≦ 0.5
Sm/R ≦ 0.15
ここでrは島径、Sは島と島の間にある海部の厚みとする。また、Smは繊維中心部に存在する海部を除いた、最も厚みのある海部の厚みのことである。高強度とするためにより好ましくは0.01≦S/r≦0.3、Sm/R≦0.08である。ここでS/r値が0.5以上、もしくはSm/R値が0.15以上である場合には、高速紡糸性が悪くなる、また延伸倍率を上げることができないので、海島繊維の延伸糸物性そして海溶解後の極細繊維強度が低くなる。S/r値が0.001以下である場合には島同士が膠着する可能性がある。
前記の海島型複合繊維は、例えば以下の方法により容易に製造することができる。すなわち、まず溶融粘度が高く且つ易溶解性であるポリマーと溶融粘度が低く且つ難溶解性のポリマーとを、前者が海成分で後者が島成分となるように溶融紡糸する。ここで、海成分と島成分の溶融粘度の関係は重要で、海成分の比率が小さくなって島間の厚みが小さくなると、海成分の溶融粘度が小さい場合には島間の一部の流路を海成分が高速流動するようになり、島間に接合が起こりやすくなるので好ましくない。
溶融紡糸に用いられる紡糸口金としては、島成分を形成するための中空ピン群や微細孔群を有するものなど任意のものを用いることができる。例えば中空ピンや微細孔より押し出された島成分とその間を埋める形で流路を設計されている海成分流とを合流し、これを圧縮することにより海島断面形成がなされるいかなる紡糸口金でもよい。好ましく用いられる紡糸口金例を図1および2に示すが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお図1は、中空ピンを海成分樹脂貯め部分に吐出してそれを合流圧縮する方式であり、図2は、中空ピンのかわりに微細孔方式で島を形成する方法である。
吐出された海島型断面複合繊維は、冷却風によって固化され、好ましくは400〜6000m/分で溶融紡糸された後に巻き取られる。得られた未延伸糸は、別途延伸工程をとおして所望の強度・伸度・熱収縮特性を有する複合繊維とするか、あるいは、一旦巻き取ることなく一定速度でローラーに引き取り、引き続いて延伸工程をとおした後に巻き取る方法のいずれでも構わない。
ここで、特に微細な島径を有する海島型複合繊維を高効率で製造するために、通常のいわゆる配向結晶化を伴うネック延伸(配向結晶化延伸)に先立って、繊維構造は変化させないで繊維径のみを極細化する流動延伸工程を採用することが好ましい。流動延伸を容易とするため、熱容量の大きい水媒体を用いて繊維を均一に予熱し、低速で延伸することが好ましい。このようにすることにより延伸時に流動状態を形成しやすくなり、繊維の微細構造の発達を伴わずに容易に延伸することができる。このプロセスでは、特に海成分および島成分が共にガラス転移温度100℃以下のポリマーであることが好ましく、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルに好適である。具体的には60〜100℃、好ましくは60〜80℃の範囲の温水バスに浸漬して均一加熱を施し、延伸倍率は10〜30倍、供給速度は1〜10m/分、巻取り速度は300m/分以下、特に10〜300m/分の範囲で実施することが好ましい。予熱温度不足および延伸速度が速すぎる場合には、目的とする高倍率延伸を達成することができなくなる。
得られた流動状態で延伸された延伸糸は、その強伸度などの機械的特性を向上させるため、定法にしたがって60〜220℃の温度で配向結晶化延伸する。該延伸条件がこの範囲外の温度では、得られる繊維の物性が不十分なものとなる。なお、この延伸倍率は、溶融紡糸条件、流動延伸条件、配向結晶化延伸条件などによって変わってくるが、該配向結晶化延伸条件で延伸可能な最大延伸倍率の0.6〜0.95倍で延伸すればよい。
以上に説明した海島型複合繊維を、無撚あるいは必要に応じて追撚した上で、経糸全量および/または緯糸全量あるいは経糸および/または緯糸に他糸条と1本交互または複数本交互に配して織編成した後、前記の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去し、次いで必要に応じて該織編物の表面に親水加工を施すことにより、本発明の酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛が得られる。
ここで、該布帛から海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することが重要である。除去方法は特に限定されず、海成分が完全に溶解除去し得る方法であればいずれの方法で行ってもよい。
さらに、該布帛に親水加工を施すとより高い臭気吸着性を得ることができ好ましい。親水剤としては、構成繊維と親和性のある親水剤であればいずれもが使用でき、特にポリエステル系繊維と親和性のある親水性重合体が好ましく用いられる。例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートやその誘導体、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)と、テレフタル酸および/またはイソフタル酸および低級アルキレングリコール(エチレングリコールなど)をブロック共重合してなるブロック共重合体などを例示することができる。その際、1種類の親水剤のみを使用しても、または2種類以上の親水剤を併用してもよい。親水剤の付与方法は特に限定されず、例えば、染色と同浴加工、パディング法、フラットスクリーンプリント法、ロータリースクリーンプリント法、ローラープリント法、グラビアロール法、キスロール法、泡加工機による方法などが例示される。かかる親水化剤の付着量は、布帛の重量に対して0.20〜0.50重量%の範囲であることが好ましい。
また、前記のアルカリ水溶液による海成分の溶解除去処理の前および/または後に染色加工を施してもよい。さらに、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは制電剤、さらには、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
かくして得られた布帛には、単繊維径が極めて小さいポリエステルマルチフィラメント糸が含まれるので、繊維の表面積が大きくなり優れた臭気吸着性が得られる。しかも、活性炭繊維で構成された布帛に比べ形態安定性に優れる。さらに、かかる布帛は特定の目付けを有するので、フレキシブルでもある。
次に、本発明の繊維製品は、前記の酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛を用いてなる、紳士衣服、婦人衣服、スポーツウェア、アウトドアウェア、レインコート、作業衣、防護服、人工皮革、カーテン、カーシートの群より選ばれる繊維製品である。かかる繊維製品には、前記の布帛が含まれているので、優れた臭気吸着性を有し、しかもフレキシブルで形態安定性をも有する。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<溶融粘度>乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットする。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見る。
<溶解速度>海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から、減量速度を算出した。
<荷重―伸長曲線>海島型複合繊維9000mの重量をn=3回測定して平均値から繊度を求めた。そして、室温で初期試料長=100mm、引っ張り速度200m/分として荷重−伸長曲線を求めた。
<タフネス>タフネスは以下の式から算出した。
タフネス= 強度 × √伸度
先に求めた海島型複合繊維の繊度(D)と溶解除去率(R)から極細繊維の繊度を算出した。式は以下の通りである。
極細繊維の繊度 =D×(1−R)
布帛から極細繊維を抜き取り、前記の荷重−伸長曲線を求めた。強度は破断時の荷重値を算出した繊度で割った値、伸度は破断時の伸長値から求めた。
<目付>JIS L1096 6.4.2に従って測定した。
<臭気吸着率>下記表1に示した濃度の悪臭成分を含む空気3Lがそれぞれ入ったテドラーバッグに、繊維構造体2gを入れ、2時間後のテドラーバッグ内の悪臭成分濃度をガステックス社製検知管にて測定し、減少量から臭気吸着率を求めた。
・悪臭成分:アンモニア 初期濃度40ppm
・悪臭成分:硫化水素 初期濃度15ppm
・悪臭成分:酢酸 初期濃度50ppm
[実施例1]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=40:60、島数=500の海島型複合未延伸繊維を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。
得られた未延伸糸を、延伸温度80℃、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットして巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は50dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は520nmであった。また、島径(r)と島間の海の厚み(S)、繊維径(R)と海部の最大厚み(Sm)の関係を調べたところ、S/r=0.1、Sm/R=0.05であった。
次いで、該延伸糸を無撚にて経糸および緯糸に全量配し、経密度225本/2.54cm、緯密度200本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
そして、該織物を60℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、3.5%NaOH水溶液で、60℃にて40%減量(アルカリ減量)した。その後、常法の染色加工と親水加工とを同浴処理を行うことにより、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)を織物重量に対して0.30重量%付着させた。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および経糸および緯糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、織物の経糸および緯糸全量が均一性に優れた極細繊維(単繊維径520nm)により構成されていることを確認した。
得られた織物において、目付は62g/mであり、臭気吸着率は、アンモニアに対しては91%、硫化水素に対しては83%、酢酸に対しては95%と優れた吸着性を有していた。また、織物に含まれるポリエステルマルチフィラメント糸のタフネスは31であった。
[実施例2]
実施例1と同様に海島型複合延伸糸50dtex/10filを得た。次いで、通常のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント仮撚加工糸(56デシテックス/144フィラメント、単糸繊度0.39dtex)を150回/m(S方向)にて撚糸した糸条を経糸に全量配し、前述の海島型複合延伸糸2本を150回/m(S方向)にて合撚した糸条を緯糸に全量配し、経密度216本/2.54cm、緯密度180本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、染色加工、親水加工を行った。この際のアルカリ減量率は12.4%であり、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)の付着量は織物重量に対して0.24重量%であった。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および緯糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、織物の緯糸全量が均一性に優れた極細繊維により構成されていることを確認した。
得られた織物において、目付は71g/mであり、臭気吸着率は、アンモニアに対しては81%、硫化水素に対しては80%、酢酸に対しては87%と優れた吸着性を有していた。また、織物に含まれるポリエステルマルチフィラメント糸のタフネスは31であった。
[実施例3]
実施例1と同じ海/島ポリマーを使用し、海:島=30:70、島数=836で実施例1と同様に紡糸・延伸を行い、56dtex/10filの海島型複合延伸糸を得た。該延伸糸において、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面観察より島の径は600nmであった。
該延伸糸を無撚にて経糸および緯糸に全量配し、経密度204本/2.54cm、緯密度180本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、染色加工、親水加工を行った。この際のアルカリ減量率は30%であり、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)の付着量は織物重量に対して0.28重量%であった。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および経糸および緯糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、織物の経糸および緯糸全量が均一性に優れた極細繊維により構成されていることを確認した。
得られた織物において、目付は53g/mであり、臭気吸着率は、アンモニアに対しては87%、硫化水素に対しては81%、酢酸に対しては91%と優れた吸着性を有していた。
[実施例4]
実施例1において、親水加工を施さない以外は実施例1と同様に織物を得た。
得られた織物において、目付は61g/mであり、臭気吸着率は、アンモニアに対しては77%、硫化水素に対しては71%、酢酸に対しては81%と十分な吸着性を有していた。
[比較例1]
実施例1と同じ海/島ポリマーを使用し、海:島=50:50、島数100で紡糸・延伸し、50dtex/10filの海島型複合延伸糸を得た。該延伸糸において、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面観察より島の径は1080nmであった。
該延伸糸を無撚にて経糸および緯糸に全量配し、経密度240本/2.54cm、緯密度161本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、染色加工、親水加工を行った。この際のアルカリ減量率は50%であり、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)の付着量は織物重量に対して0.33重量%であった。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および経糸および緯糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されていたが、島成分の均一性が不十分であった。これは、海成分量が多いために島間の海成分厚みが厚くなり、繊維断面中央の海成分を減量している間に、先に海成分を除去された繊維表面部分の島成分が減量にさらされてしまうことにより発生した不均一性である。
得られた織物において、目付は122g/mであり、臭気吸着率は、アンモニアに対しては30%、硫化水素に対しては40%、酢酸に対しては40%と不十分であった。
[比較例2]
実施例1と同様に海島型複合延伸糸50dtex/10filを得た。次いで、該延伸糸を無撚にて経糸および緯糸に全量配し、経密度156本/2.54cm、緯密度140本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、染色加工、親水加工を行った。この際のアルカリ減量率は40%であり、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)の付着量は織物重量に対して0.30重量%であった。
得られた織物において、目付は25g/mであり、臭気吸着率は、アンモニアに対しては30%、硫化水素に対しては40%、酢酸に対しては40%と不十分であった。
[比較例3]
島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分としてポリエチレングリコール3重量%を共重合したポリエチレンテレフタレートを用い(溶解速度比(海/島)=8)、海:島=20:80、島数=500で紡糸・延伸を行い、50dtex/10filの海島型複合延伸糸を得た。該延伸糸において、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面観察より島の径は1080nmであった。
該延伸糸を無撚にて経糸および緯糸に全量配し、経密度390本/2.54cm、緯密度210本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により朱子組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、染色加工、親水加工を行った。この際のアルカリ減量率は20%であり、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレングリコール共重合体)の付着量は織物重量に対して0.36重量%であった。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および経糸および緯糸断面を観察したところ、海相当分が減量されているにもかかわらず、大部分の海成分が溶解除去されずに残存していた。これは、海成分のアルカリ溶解速度が島成分のそれと比較して不十分なために、繊維表面の島のかなりの量が減量されてしまうことにより発生したと考えられる。
得られた織物において、目付は280g/mであり、臭気吸着率は、アンモニアに対しては24%、硫化水素に対しては20%、酢酸に対しては30%と不十分であり、また、極細繊維特有のソフトな風合いが得られなかった。
本発明によれば、優れた臭気吸着性を有し、フレキシブルで形態安定性に優れた酸性およびアルカリ性臭いを吸着可能な布帛およびその製造方法および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
本発明において、用いることのできる海島型複合繊維を紡糸するために用いられる紡糸口金の一例を示す概略図である。 本発明において、用いることのできる海島型複合繊維を紡糸するために用いられる紡糸口金の他の例を示す概略図である。
符号の説明
1:分配前島成分ポリマー溜め部分
2:島成分分配用導入孔
3:海成分導入孔
4:分配前海成分ポリマー溜め部分
5:個別海/島=鞘/芯構造形成部
6:海島全体合流絞り部

Claims (12)

  1. 単繊維径が10〜1000nmのポリエステルマルチフィラメント糸を含み、かつその目付けが30〜300g/mの範囲内であることを特徴とする臭いを吸着可能な布帛。
  2. 前記ポリエステルマルチフィラメント糸のフィラメント数が500以上である、請求項1に記載の臭いを吸着可能な布帛。
  3. 前記ポリエステルマルチフィラメント糸のタフネスが20以上である、請求項1または請求項2に記載の臭いを吸着可能な布帛。
  4. 親水処理が施されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の臭いを吸着可能な布帛。
  5. 島成分がポリエステルからなり、かつ島成分の径が10〜1000nmである海島型複合繊維を用いて布帛を得た後、前記海島型複合繊維の海成分をアルカリ水溶液で溶解除去することにより、目付けを30〜300g/mの範囲内とする、請求項1に記載の臭いを吸着可能な布帛の製造方法。
  6. 前記の島数が100以上である、請求項5に記載の臭いを吸着可能な布帛の製造方法。
  7. 前記の海島型複合繊維において、海成分が、ポリ乳酸、超高分子量ポリアルキレンオキサイド縮合系ポリマー、ポリエチレングリコール系化合物共重合ポリエステル、およびポリエチレングリコール系化合物と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合ポリエステルから選択される少なくとも1種のアルカリ水溶液易溶解性ポリマーである、請求項5または請求項6に記載の臭いを吸着可能な布帛の製造方法。
  8. 海成分が、5-ナトリウムスルホン酸を6〜12モル%および分子量4000〜12000のポリエチレングリコールを3〜10重量%共重合したポリエチレンテレフタレートである、請求項7に記載の臭いを吸着可能な布帛の製造方法。
  9. 易溶解成分と易溶解成分よりも溶融粘度が低い難溶解成分とを、前者を海成分とし後者を島成分として溶融・押し出し、紡糸速度400〜6000m/分で海島型複合未延伸糸として引取り、該海島型複合未延伸糸を温度60〜220℃で配向結晶化延伸した後に、該延伸糸を用いて布帛を作製する、請求項5〜8のいずれかに記載の臭いを吸着可能な布帛の製造方法。
  10. 溶融紡糸温度における海成分と島成分との溶融粘度比(海/島)が1.1〜2.0である、請求項5〜9のいずれかに記載の臭いを吸着可能な布帛の製造方法。
  11. 海成分および島成分としてガラス転移温度が100℃以下のポリマーを用いると共に、海島型複合未延伸糸の配向結晶化延伸に先立って、該海島型複合未延伸糸を60〜100℃の液体浴中に浸漬しながら、流動状態で延伸倍率10〜30倍、延伸速度300m/分以下で延伸する工程を含む、請求項5〜10のいずれかに記載の臭いを吸着可能な布帛の製造方法。
  12. 請求項1〜4のいずれかに記載の布帛を用いてなる、紳士衣服、婦人衣服、スポーツウェア、アウトドアウェア、レインコート、作業衣、防護服、人工皮革、カーテン、カーシートの群より選ばれる繊維製品。
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