JP2007092219A - 不透明性繊維製品の製造方法及び不透明性繊維製品 - Google Patents

不透明性繊維製品の製造方法及び不透明性繊維製品 Download PDF

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Koji Midori
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Abstract

【課題】 洗濯耐久性に優れた不透明性を繊維材料に付与することができ、白色から淡色の繊維製品の裏打や下着等の透けを防止することが可能な、さらには金属痕の発生を抑制することができる不透明性繊維製品の製造方法及びそれにより得られる不透明性繊維製品を提供する。
【解決手段】 酸化チタンと、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂とを含有する水分散液を繊維材料に付与する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、不透明性繊維製品の製造方法及び不透明繊維製品に関する。
白色の繊維製品は、白色が持つ清潔感や清涼感等のイメージから、いろいろな分野で需要があり、例えば、リネン類や衣料等に多く利用されている。しかしながら、白色の衣料を着用した場合には、衣料の裏打や、衣料の下に着用した下着等の色が透けるといった問題があって、特に婦人衣料分野において解決が望まれている。
ところで、従来、ポリエステル繊維等においては、光遮蔽性に優れている酸化チタンをポリエステル樹脂中に混練した後に紡糸することによって、繊維材料の不透明化が行われてきた。しかしながら、この方法は溶融紡糸工程を経て得られる合成繊維を不透明化するには有効な方法であるが、綿等のような、溶融紡糸工程を経ない天然繊維に対しては応用が困難である。そこで、繊維材料の種類に拘わらず、すなわち溶融紡糸工程を経るか経ないかに拘わらず、紡糸後に繊維材料を不透明化できる方法が要望されてきた。
このような方法としては、例えば、酸化チタンを分散させた処理浴にブチロラクトンを添加し、加熱によって酸を発生させて処理浴のpHを徐々に低下させる方法により、ポリエステル糸含有織物に酸化チタンを良好に付着させる方法が知られている。
また、特許文献1(特開昭60−167971号公報)には、洗濯耐久性のある不透明性ポリエステル系繊維の編織物を得る方法として、酸化チタンで被覆したポリエステル系繊維の編織物上に、ウレタン系樹脂、具体的にはイソシアネート基をブロック剤でブロック化したウレタンプレポリマーによりエラストマーを形成させる方法が記載されている。
しかし、これらの方法により加工された編織物には、洗濯耐久性が不十分であって、不透明性が長期間維持されないという問題がある。さらには、酸化チタンのモース硬度が非常に高いために、加工された編織物と金属等とが接触した際に、編織物に付着している酸化チタンによって接触した金属の一部が削られて、編織物表面に擦れ跡が残るという新たな問題が顕在化してきた。このことは、例えば、縫製において使用する縫製機等の金属部品との接触において擦れ跡(金属痕)が生じる等、編織物を意匠加工する際に深刻な欠点となることが指摘されており、改善が望まれている。
特開昭60−167971号公報、第1頁、第3頁
本発明は、洗濯耐久性に優れた不透明性を繊維材料に付与することができ、白色から淡色の繊維製品の裏打や下着等の透けを防止することが可能な、さらには金属痕の発生を抑制することができる不透明性繊維製品の製造方法と、その製造方法により得られる不透明性繊維製品を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸化チタンとアニオン性基を有するポリウレタン樹脂とを併用して繊維材料に付与することにより、洗濯耐久性に優れた不透明性が付与され、かつ、金属類と接触した場合に擦れ跡が発生しない不透明性繊維製品を得ることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
よって、本発明は、以下の(1)〜(7)に記載の事項からなる。
(1)酸化チタンと、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂とを含有する水分散液を繊維材料に付与することを含む不透明性繊維製品の製造方法。
(2)アニオン性基を有するポリウレタン樹脂が、(a)ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを中和し、水に乳化分散させた後、(d)アミノ基及び/又はイミノ基を2個以上有するポリアミン化合物により鎖伸長反応させて得られるポリウレタン樹脂である(1)に記載の不透明性繊維製品の製造方法。
(3)アニオン性基が、カルボキシル基及び/又はその塩である(1)又は(2)に記載の不透明性繊維製品の製造方法。
(4)アニオン性基を有するポリウレタン樹脂の100%モジュラスの値が、0.1〜5MPaである(1)〜(3)のいずれかに記載の不透明性繊維製品の製造方法。
(5)前記水分散液において、酸化チタンがアニオン界面活性剤を用いて分散されている(1)〜(4)のいずれかに記載の不透明性繊維製品の製造方法。
(6)繊維材料の質量に対して、酸化チタンの付着量が0.1〜10質量%となり、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂の付着量が0.1〜10質量%となるように前記水分散液を付与する(1)〜(5)のいずれかに記載の不透明性繊維製品の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載した製造方法により得られる不透明性繊維製品。
本発明によれば、不透明性に優れ、金属痕の発生を防止することができる繊維製品を得ることができる。また、この繊維製品は、洗濯耐久性にも優れており、洗濯後も良好な不透明性と金属痕の防止効果を維持することができる。
また、本発明で用いるアニオン性基含有ポリウレタン樹脂は、自己乳化性を有するため、水へ乳化分散させる際に乳化剤を使用しなくてもよいか、あるいは使用しても量を減らすことができるために、得られる繊維製品の洗濯耐久性をさらに向上させることができ、さらには耐光堅牢度、摩擦堅牢度の維持が期待できる。
本発明の製造方法は、紡糸後の加工により繊維材料の不透明化を可能にするので、溶融紡糸を経ない繊維素材に対しても適用ができる。また、金属痕の発生の十分な抑制を可能にするので、例えば、縫製等をはじめとする様々な後工程においても不良品が減少し、かつ、繊維製品の品位を向上させることが可能となり、従来の技術と比較して極めて有効な産業技術となり得る。
以下に本発明の好ましい態様について説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではなく、本発明の精神と思想の範囲内において多くの変形が可能であることを理解されたい。
本発明の不透明性繊維製品の製造方法は、酸化チタンと、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂とを含有する水分散液を繊維材料に付与することを含む。
酸化チタンは、白色顔料として知られる亜鉛華や鉛白等の金属化合物と比較して屈折率が大きく、光遮断性に優れており、繊維材料に優れた不透明性を付与することができる。酸化チタンの結晶構造は、アナターゼ型やルチル型がよく知られているが、アナターゼ型の酸化チタンは、ルチル型酸化チタンよりも高い光触媒効果を有しているため、光触媒効果によって繊維製品が経時で脆化するおそれがあるため、本発明においてはルチル型の酸化チタンを用いる方が好ましい。
なお、ルチル型の酸化チタンであっても、わずかな光触媒効果を有しているので、酸化チタン表面を適当な金属酸化物や有機化合物で処理することによって光触媒効果を低下させておくことが好ましい。かかる表面処理に使用することのできる金属酸化物としては、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ジルコニウムの酸化物等を挙げることができる。また、有機化合物の例としては、分子内に1つ以上の水酸基を有する化合物等を挙げることができ、これらの化合物は、酸化チタン表面、又は金属酸化物により処理された酸化チタン表面と水素結合を形成することによって、光触媒効果を低下させる。
本発明においては、水分散液中の酸化チタンの平均粒径は0.2〜0.7μmであることが好ましい。平均粒径がこの範囲内であると光遮蔽性がより良好であり、得られる繊維製品の不透明性が良好なものとなる。酸化チタンの平均粒径が0.2μmより小さい場合は、可視光領域の光遮断性が低下し、不透明性が十分に付与されないおそれがある。一方、平均粒径が0.7μmを超えると、水分散液中の酸化チタンの沈降が速く、水分散液の安定性等に問題が生じるおそれがあるばかりでなく、この水分散液を用いて得られた繊維製品の表面が白化したり、風合が粗硬になる等の問題が発生するおそれがある。
本発明に用いられるアニオン性基を有するポリウレタン樹脂としては、アニオン性基として、例えば、カルボキシル基、スルホ基及び/又はそれらの塩を有するポリウレタン樹脂を挙げることができる。このようなポリウレタン樹脂は、優れた自己乳化性を発揮するため、乳化剤を使用しなくても水中に良好に分散させることができ、あるいは乳化剤の使用量を減らすことができることから、得られる不透明性繊維製品の洗濯耐久性がより良好となるので好ましい。
本発明において、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂は、(a)ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを中和し、水に乳化分散させた後、(d)アミノ基及び/又はイミノ基を2個以上有するポリアミン化合物で鎖伸長反応させて得られるポリウレタン樹脂であることが好ましい。
前記(a)ポリイソシアネートとしては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に繊維製品が白色や淡色である場合に不透明性が要求されることから、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂は無黄変性であることが好ましい。前記ポリイソシアネートの中でも、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネート化合物を用いると無黄変性のポリウレタン樹脂を得ることができ、繊維製品の色合いが維持されるので好適である。
前記(b)ポリオールとしては、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有するものであれば特に制限はないが、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルエステルポリオール等を使用することができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンイソフタレートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)アジペート、1,6−ヘキサンジオールとダイマー酸の重合物、ノナンジオールとダイマー酸の重縮合物、エチレングリコールとアジピン酸とダイマー酸の共重縮合物等を挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコールの単独重合体、ブロック共重合体もしくはランダム共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドもしくはエチレンオキサイドとブチレンオキサイドのブロック共重合体もしくはランダム共重合体等を挙げることができる。
このような(b)ポリオールは、1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。さらに、このような(b)ポリオールの重量平均分子量としては、500〜5,000であることが好ましく、1,000〜4,000であることがより好ましい。
本発明に用いる(c)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物としては、アニオン性基がカルボキシル基、スルホ基及びそれらの塩であるものが好ましく、カルボキシル基及び/又はその塩であるものが特に好ましい。このような化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸及びそれらの塩等を挙げることができる。また、カルボキシル基と2個以上の活性水素とを有する化合物として、カルボキシル基を有するジオールと、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などとから得られる、ペンダント型カルボキシル基を有するポリエステルポリオールを用いることもできる。この時、ジオール成分として、カルボキシル基を有さないジオールを混合して反応させてもよい。これらの(c)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物は、1種を単独で用いることができ、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において、前記(a)ポイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物を反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを製造する際には、必要に応じて2個以上の活性水素原子を有する低分子量鎖延長剤を使用することができる。
2個以上の活性水素原子を有する低分子量鎖延長剤は、分子量が400以下であることが好ましく、特に300以下が好ましい。このような低分子量鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの低分子量多価アルコール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの低分子量ポリアミンなどを挙げることができる。これらの2個以上の活性水素原子を有する低分子量鎖延長剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、イソシアネート基末端プレポリマーの製造方法は特に制限は無く、例えば、従来公知の一段式のいわゆるワンショット法、多段式のイソシアネート重付加反応法などを採用することができ、反応温度は40〜150℃であることが好ましい。反応の際には、必要に応じて、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルヘキサノエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどの反応触媒を添加することができる。さらに、反応段階で、あるいは反応終了後に、イソシアネート基と反応しない有機溶剤を添加することができる。このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン等を挙げることができる。それらの中では、メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルを特に好適に使用することができる。これらの有機溶剤は、プレポリマーの乳化分散及び鎖伸長後に、加熱減圧等により除去することができる。
イソシアネート基末端プレポリマーを製造する際には、(a)ポリイソシアネート由来のイソシアネート基(NCO)が(b)ポリオール由来のヒドロキシル基(OH)に対して過剰となる状態で反応させればよく、特にイソシアネート基とヒドロキシル基のモル比(NCO/OH)が100/80〜100/60となる範囲が好ましく、100/75〜100/65となる範囲がより好ましい。
また、得られるプレポリマーにおける遊離イソシアネート基の含有量は1.5〜4.0質量%であること好ましく、1.8〜3.5質量%であることがより好ましい。遊離イソシアネート基の含有量が1.5質量%未満であると、プレポリマーの粘度が著しく上昇するために乳化が困難となり、乳化の際に多量の有機溶剤を添加する必要が生じ、コストの観点から不利になるばかりでなく、乳化分散後の鎖伸長反応が不十分となる傾向にあって、繊維製品に付与しても不透明性の洗濯耐久性が不十分となるおそれがある。プレポリマーにおける遊離イソシアネート基の含有量が4.0質量%を超えると、ポリウレタン樹脂を含有する水分散液の安定性と加工安定性が低下するおそれがあるばかりでなく、繊維材料に付与した際に耐光堅牢度の低下や処理黄変色が生じる等、不透明性繊維製品の品位が低下するおそれがある。
本発明において、イソシアネート基末端プレポリマーを中和するには、プレポリマーの製造前又は製造後に(c)成分に由来するアニオン性基を中和すればよい。中和に用いる化合物に特に制限は無く、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン、N,N−ジエチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアなどを挙げることができる。それらの中でも、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミンなどのヒドロキシル基を有さない第3級アミン類が特に好ましい。
本発明において、イソシアネート基末端プレポリマーの中和物を水に乳化分散させる際には、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、ディスパー等の乳化機器を用いることができる。乳化分散の際には、室温ないし40℃の温度範囲とし、イソシアネート基と水との反応を極力抑えることが好ましい。さらに、必要に応じてリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、パラトルエンスルホン酸、アジピン酸、塩化ベンゾイルなどの反応抑制剤を添加することができる。
また、乳化分散の際には、従来公知の乳化剤を性能に影響がない程度に適宜使用してもよい。乳化剤としては、HLB7〜16の非イオン界面活性剤が好ましく、例えば、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンプロピレンジスチリルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンプロピレントリスチリルフェニルエーテル型非イオン界面活性剤、プルロニック型非イオン界面活性剤等を挙げることができる。
本発明において、イソシアネート基末端プレポリマーを中和し、水に乳化分散させた後、(d)アミノ基及び/又はイミノ基を2個以上有するポリアミン化合物を用いて鎖伸長反応させ、目的とするアニオン性基を有するポリウレタン樹脂の水分散物を得ることができる。
(d)アミノ基及び/又はイミノ基を2個以上有するポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、トリレンジアミン、キシリレンジアミンなどのジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、トリス(2−アミノエチル)アミンなどのポリアミン;ジ第1級アミン及びモノカルボン酸から誘導されるアミドアミン;ジ第1級アミンのモノケチミンなどの水溶性アミン誘導体;蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、琥珀酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、1,1’−エチレンヒドラジン、1,1’−トリメチレンヒドラジン、1,1’−(1,4−ブチレン)ジヒドラジンなどのヒドラジン誘導体を挙げることができる。これらの(d)アミノ基及び/又はイミノ基を2個以上有するポリアミン化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
鎖伸長反応は、前記したイソシアネート基末端プレポリマーの中和物の乳化分散物に(d)成分を添加して行うことができ、あるいは(d)成分にイソシアネート基末端プレポリマーの中和物の乳化分散物を添加して行うこともできる。鎖伸長反応は、反応温度20〜40℃で行うことが好ましく、通常は30〜120分間で完結する。イソシアネート基末端プレポリマーを製造する際に有機溶剤を使用した場合には、例えば、鎖伸長反応を終えたのち、減圧蒸留等により有機溶剤を除去することが好ましい。
本発明において、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂中のアニオン性基の含有量は0.5〜4.0質量%であることが好ましく、1.0〜2.0質量%であることがより好ましい。アニオン性基の含有量が0.5質量%未満である場合には、得られるアニオン性基を有するポリウレタン樹脂の貯蔵安定性が不良となるおそれがあり、4.0質量%を超えると、水への乳化性が向上するために、得られる不透明性繊維製品の不透明性の洗濯耐久性が悪くなるおそれがある。
また、本発明においては、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂の100%モジュラスは0.1〜5MPaであることが好ましく、0.5〜3MPaであることがより好ましい。100%モジュラスが0.1MPa未満の場合には、得られる不透明性繊維製品の表面を金属で擦った際に跡が残る現象(金属痕の発生)が生じやすくなったり、この金属痕の発生防止効果の洗濯耐久性が不十分となるおそれがある。また、100%モジュラスが5MPaを超えると、不透明性繊維製品の風合が粗硬となるおそれがあり、場合によっては金属痕発生防止効果の洗濯耐久性が低下するおそれもある。
なお、本発明において、水性ウレタン樹脂の100%モジュラスの値は、JIS K 6251(1993)に準じて測定し、ダンベル状3号形の試験片を用いて、標線間距離が100%伸びたとき(すなわち2倍に伸びたとき)における所定伸び引張応力(MPa)の値である。
本発明においては、不透明性繊維製品を製造するにあたり、酸化チタンとアニオン性基を有するポリウレタン樹脂を含有する水分散液を調製する。水分散液の調製方法に特に制限はなく、例えば、酸化チタンと、前述の方法で得られたアニオン性基を有する水性ポリウレタン樹脂の水分散物とを分散媒に分散させてもよいし、あるいは予め酸化チタン水分散液を作製し、これとアニオン性基を有するポリウレタン樹脂の水分散物とを混合あるいは分散媒に分散させてもよい。
なお、酸化チタンを微分散させ、また微分散後の再凝集を防いで良好な分散状態を得るために乳化剤を用いることが好ましい。乳化剤としては、スルホン酸塩型、硫酸エステル型、リン酸塩型、リン酸エステル型、ポリカルボン酸及びその塩等のアニオン界面活性剤を用いることが好ましい。
それらのなかでも、ポリカルボン酸及び/又はその塩を使用するときに、微分散性がより良好となる。ポリカルボン酸としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシアクリル酸、ポリマレイン酸、及びそれらの一部が他の単量体成分により共重合されたポリカルボン酸を挙げることができる。ポリカルボン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、第四級アンモニウム塩等を挙げることができる。特に、ポリアクリル酸及びその塩を用いると、各種悪臭成分に対する効果がより良好であるので好ましい。なお、ポリカルボン酸の重量平均分子量は1,000〜30,000であることが好ましく、2,000〜20,000であることがより好ましい。
これらの乳化剤の使用量は、特に制限はないが、酸化チタン100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜8質量部であることがより好ましい。
また、水分散液中の酸化チタンの沈降防止や粘度調整のために、例えば、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム等の天然多糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤、ポバール系増粘剤、アクリル系増粘剤、ポリアマイド系増粘剤等を適宜用いてもよい。
分散媒は主として水であるが、適宜水溶性溶媒を混合してもよい。水溶性溶媒は、繊維材料を処理する乾燥工程において揮発し得る溶媒であることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のプロピレングリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等を挙げることができる。
分散させる方法に特に制限はなく、例えば、湿式ボールミル、サンドグラインダー、アトライター、パールミル、超音波ホモジナイザー、圧力ホモジナイザー、アルティマイザー、ダイノーミル、バスケットミル、ロールミル等を用いて微分散させることができる。
本発明において、このようにして調製した水分散液を繊維材料に付与するには、dip−nip方式からなる含浸、浸漬、噴霧、塗布等の従来公知の方法を特に制限なく採用することができる。
また、前記水分散液の濃度及び処理条件等も適宜選択することができるが、本発明においては、繊維材料の質量に対して酸化チタンの付着量が0.1〜10質量%となり、ポリウレタン樹脂の付着量が0.1〜10質量%となるように、繊維材料に付与することが好ましい。酸化チタンの付着量が0.1質量%未満である場合は、得られる繊維製品の不透明性が不十分となるおそれがあり、10質量%を超えると、付着量に見合うだけの不透明性が得られないばかりでなく、風合が粗硬になるおそれがある。また、ポリウレタン樹脂の付着量が0.1質量%未満である場合には、金属痕の発生が十分に抑制されないおそれがあるばかりでなく、得られる不透明性繊維製品の不透明性の洗濯耐久性が低下するおそれがある。ポリウレタン樹脂の付着量が10質量%を超えると、付着量に見合うだけの効果(不透明性、金属痕発生の抑制効果や、それらの特性の洗濯耐久性)が得られないばかりでなく、風合が粗硬になるおそれがある。
前記酸化チタンとポリウレタン樹脂を含有する水分散液を繊維材料に付与した後には、乾燥することが好ましい。乾燥方法には特に制限は無く、例えば、乾式乾燥、ハイテンパレーチャースチーマー(H.T.S.)やハイプレッシャースチーマー(H.P.S.)等を用いた湿式乾燥、マイクロ波照射式乾燥等を用いることができ、連続加工性の点で熱風を用いた乾式乾燥を好適に用いることができる。これらの乾燥方法は、1種を単独で用いることができ、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、前記熱風を用いた乾式乾燥の方法を採用する場合には、その処理温度を60〜190℃とし、処理時間を1〜20分とすることが好ましく、特に処理温度を100〜170℃、処理時間を2〜5分とすることがより好ましい。
さらに、本発明においては、不透明性繊維製品を製造する際に、前記酸化チタンとポリウレタン樹脂とに加えて、第三の成分として、多価アルコール脂肪酸エステル、スルホコハク酸ジエステル、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエチレンワックス、イミダゾリン型カチオン界面活性剤、脂肪酸とトリアミンと尿素とから得られる脱水縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の柔軟剤成分を併用することによって、得られる不透明性繊維製品の不透明性をさらに向上させることができる。なお、アミノ変性シリコーンとしては、そのアミノ基及び/又はイミノ基の一部をアシル化させたものも含む。本発明においては、第三成分として、特に、特開昭57−101076号公報、特開昭62−41378号公報、特開昭62−41379号公報等に記載されているような、アミノ変性シリコーン又はエポキシ変性シリコーンの柔軟剤成分を併用したときに、不透明性及び風合がより良好となる。
このような第三成分を併用する方法としては、前記酸化チタンとポリウレタン樹脂とを含有する水分散液に添加して1浴で処理してもよいし、あるいは酸化チタンとポリウレタン樹脂とを含有する水分散液で処理した後に、これらの第三成分を含有する処理液で繊維材料を処理してもよい。
なお、本発明の製造方法を適用できる繊維材料の素材としては、綿、麻、ウール等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、及びこれらの繊維の複合繊維や混紡繊維等を挙げることができ、本発明の方法は、それらのなかでも、綿、麻等に代表されるセルロース系繊維に対してより顕著な不透明性を発揮する。また、繊維材料の形態にも特に制限はなく、織物、編物、不織布等を挙げることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、評価は下記の方法により行った。
(1)酸化チタンの平均粒子径
調製例で得られた酸化チタン水分散液中の酸化チタンの平均粒子径を、レーザー回析式粒度分布測定装置[(株)島津製作所、SALD−1100]を用いて測定した。
(2)ポリウレタン樹脂の100%モジュラス
ステンレス箱中に、調製例及び比較調製例で得られたポリウレタン樹脂分散物を流し込み、気温20℃及び湿度65%RHの条件で48時間放置した後、130℃で20分間熱処理して、厚さ0.3mmのフィルムを作製した。
得られたポリウレタンフィルムをダンベル状3号形に切り出し、オートグラフ[(株)島津製作所、オートグラフAG−IS]を用い、JIS K 6251(1993)に準じて、引張速度300mm/分で引張試験を行い、100%モジュラスを測定した。
(3)不透明性
実施例及び比較例で得られた試験布について、分光光度計[日立株式会社、U−3000]を用い、280〜800nmの光の透過率(%)を測定した。光の透過率が低いほど不透明性が良好である。
(4)金属痕の防止効果
JIS K 5400(1990)の8.4.2(手かき法)に準じて、実施例及び比較例にて得られた試験布の表面を5円玉で擦り、金属痕の発生を目視にて判定した。
◎:跡が残らない
○:強く擦ると跡が残る
△:跡が残る
×:はっきりと跡が残り、かつ、弱く擦っても跡が残る
なお、本実施例における不揮発分とは、試料5gを105℃で3時間乾燥させた後の残分(質量%)をいう。
調製例1(酸化チタン水分散液)
水59gに、ポリアクリル酸ナトリウム(不揮発分40%、重量平均分子量15,000)1gを使って、ルチル型酸化チタン30gを水中に分散させた後、キサンタンガム2質量%水溶液10gを添加して、酸化チタン水分散液を調製した。この水分散液中の酸化チタンの平均粒子径は0.27μmであった。
調製例2(酸化チタン水分散液)
水59gに、ポリオキシエチレン(10モル)トリスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(不揮発分50%)1gを使って、ルチル型酸化チタン30gを水中に分散させた後、キサンタンガム2質量%水溶液10gを添加して、酸化チタン水分散液を調製した。この水分散液中の酸化チタンの平均粒子径は0.27μmであった。
調製例3(カルボキシル基及びその塩を有するポリウレタン樹脂の水分散物)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール(重量平均分子量2,000)175.0g、トリメチロールプロパン0.9g、ジメチロールプロピオン酸9.7g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン105gを仕込み、均一に混合した後、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート59.5gを加え、80℃で480分間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量が1.95質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
この溶液を50℃以下に冷却した後、トリエチルアミン7.0gを加え、40℃で30分間中和反応を行い、次いで30℃以下に冷却し、ディスパー羽根を用いて水440.0gを徐々に加え、乳化分散を行った。これに、水加ヒドラジン60質量%水溶液3.8gと、ジエチレントリアミン0.8gを水20gに溶解したポリアミン水溶液を添加し、90分間鎖伸長反応させた後、減圧下に35℃で脱溶剤を行い、不揮発分35.0質量%、粘度50.0mPa・s(BM粘度計、1号ローター、60rpm)、pH7.9の安定な、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物を得た。
このポリウレタン樹脂中のカルボキシル基含有量は1.3質量%であり、100%モジュラスは4MPaであった。
調製例4(カルボキシル基及びその塩を有するポリウレタン樹脂の水分散物)
調製例3で用いたものと同様な反応装置に、ポリテトラメチレングリコール(重量平均分子量2,000)181.0g、トリメチロールプロパン1.0g、ジメチロールプロピオン酸10.0g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン105gを仕込み、均一に混合した後、イソホロンジイソシアネート52.5gを加え、80℃で480分間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量が2.02質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。
この溶液を50℃以下に冷却した後、トリエチルアミン7.2gを加え、40℃で30分間中和反応を行い、次いで30℃以下に冷却し、ディスパー羽根を用いて水440.0gを徐々に加え、乳化分散を行った。これに、水加ヒドラジン60質量%水溶液3.9gと、ジエチレントリアミン0.8gを水20gに溶解したポリアミン水溶液を添加し、90分間鎖伸長反応した後、減圧下に35℃で脱溶剤を行い、不揮発分35.0質量%、粘度50.0mPa・s(BM粘度計、1号ローター、60rpm)、pH7.9の安定な、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物を得た。
このカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基含有量は1.4質量%であり、100%モジュラスは1.5MPaであった。
比較調製例1 (ブロック化ウレタンプレポリマーの水分散物)
調製例3で用いたものと同様な反応装置に、ポリテトラメチレングリコール(重量平均分子量2,000)72.8g、ポリオキシエチレングリコール(重量平均分子量2,000)72.8g、グリセロールポリプロピレングリコールエーテル18.2gを加えて混合した。これに、ヘキサメチレンジイソシアネート40.8gを加えて、130℃で5時間反応し、不揮発分に対する遊離イソシアネート基の含有量が6.6質量%であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー得た。
このウレタンプレポリマーを40℃以下に冷却した後、重亜硫酸ナトリウム55.4g及び温水102.8gを添加し、均一に混合して1時間反応させた。さらに、水587.2gを加えて均一になるまで混合し、不揮発分26.0質量%、粘度30mPa・s(BM型粘度計、1号ローター、30rpm、測定温度20℃)の安定な、ブロック化ウレタンプレポリマー水分散物を得た。
このブロック化ウレタンプレポリマー水分散物を乾燥させても粘稠物にしかならず、フィルムが形成されなかったため、100%モジュラスを測定することができなかった。
実施例1
水90g、調製例1で得られた酸化チタン水分散液5g及び調製例3で得られたカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物(不揮発分35.0質量%)5gを混合し、均一になるまで撹拌して、水分散液を調製した。この水分散液を用いて、目付が150g/mである綿100%織物をパディング処理(ピックアップ60%)し、120℃で2分間乾燥後、さらに150℃で2分間熱処理した。この処理で得られた試験布について、不透明性及び金属痕の防止効果を評価した。
さらに、JAFET(社団法人繊維評価技術協議会)標準洗剤を用い、JIS L 0217(1995)の103法に準じて洗濯を10回施した後の試験布の、不透明性及び金属痕の防止効果を評価した。また、蛍光X線分析にて洗濯前及び洗濯後の試験布における酸化チタンの濃度を測定し、下式に従って、洗濯後の酸化チタン残存率を算出した。
チタン残存率(%)=洗濯後の試験布の酸化チタン濃度/洗濯前の試験布の酸化チタン濃度×100
実施例2
調製例1で得られた酸化チタン水分散液の代わりに、調製例2で得られた酸化チタン水分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして試験布を作製し、各性能を評価した。
実施例3
調製例3で得られたカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物(不揮発分35.0質量%)の代わりに、調製例4で得られたカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物(不揮発分35.0質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして試験布を作製し、各性能を評価した。
比較例1
調製例3で得られたカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂の水分散物(不揮発分35.0質量%)の代わりに、比較調製例1で得られたブロック化ウレタンプレポリマー水分散物(不揮発分26.0質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして試験布を作製し、各性能を評価した。
比較例2
水のみで綿100%織物をパディング処理し、120℃で2分間乾燥後、引き続き150℃で2分間熱処理を実施した。この処理で得られた試験布をブランクとして、光透過性を評価した。なお、この試験布は酸化チタンで処理されていないため、酸化チタンによる金属痕(金属の擦れ跡)の発生はない。
実施例4及び5
目付が150g/mである綿100%織物の代わりに、それぞれ目付が150g/mであるポリエステル100%織物(実施例4)、目付が150g/mであるポリエステル/綿=65/35織物(実施例5)を用いた以外は実施例1と同様にして試験布を作製し、評価した。
表1に、実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた洗濯前及び洗濯後の試験布について、500nmにおける光透過率及び金属痕の様子の評価をまとめて示す。また、洗濯後の試験布の酸化チタン残存率を併せて示す。
表2には、実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた試験布について、洗濯前の各波長における光透過率をまとめて示し、これを図1にグラフで示す。
Figure 2007092219
Figure 2007092219
本発明の酸化チタンとカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂を含有する水分散液を用いて得られた実施例1〜3の試験布は、いずれも不透明性及び金属跡の防止効果が良好である。また、洗濯を繰り返し行った後でも酸化チタンの残存率が高く、不透明性が良好であり、さらに金属痕の防止効果も洗濯前と同程度に維持されており、洗濯耐久性に優れていた。
しかし、末端イソシアネート基をブロック化したウレタンプレポリマーの水分散物(比較調製例1)を用いた比較例1においては、洗濯前の試験布については、不透明性は良好であったが、金属痕がはっきりと見られ、防止効果が認められなかった。また、洗濯後は、不透明性及び洗濯耐久性がともに不十分であった。洗濯後の試験布については、金属痕はほとんど見られなかったが、試験布の酸化チタンの残存率が15%と非常に低下していることから、そもそも金属痕が発生しうる量の酸化チタンが残存しておらず、金属痕の防止効果が評価不可能であったものと思われる。
本発明によれば、良好な不透明性及び金属痕の防止効果を有する繊維製品を得ることができる。また、この製品は、洗濯耐久性にも優れており、洗濯後も良好な不透明性と金属痕の防止効果を維持することができる。よって、本発明は産業上有用である。
実施例及び比較例で得られた試験布の洗濯前の各波長における光透過率を示すグラフ。

Claims (7)

  1. 酸化チタンと、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂とを含有する水分散液を繊維材料に付与することを含む不透明性繊維製品の製造方法。
  2. アニオン性基を有するポリウレタン樹脂が、(a)ポリイソシアネート、(b)ポリオール及び(c)アニオン性基と2個以上の活性水素とを有する化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを中和し、水に乳化分散させた後、(d)アミノ基及び/又はイミノ基を2個以上有するポリアミン化合物により鎖伸長反応させて得られるポリウレタン樹脂である請求項1に記載の不透明性繊維製品の製造方法。
  3. アニオン性基が、カルボキシル基及び/又はその塩である請求項1又は2に記載の不透明性繊維製品の製造方法。
  4. アニオン性基を有するポリウレタン樹脂の100%モジュラスの値が、0.1〜5MPaである請求項1〜3のいずれかに記載の不透明性繊維製品の製造方法。
  5. 前記水分散液において、酸化チタンがアニオン界面活性剤を用いて分散されている請求項1〜4のいずれかに記載の不透明性繊維製品の製造方法。
  6. 繊維材料の質量に対して、酸化チタンの付着量が0.1〜10質量%となり、アニオン性基を有するポリウレタン樹脂の付着量が0.1〜10質量%となるように前記水分散液を付与する請求項1〜5のいずれかに記載の不透明性繊維製品の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載した製造方法により得られる不透明性繊維製品。
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