JP2007091794A - 接着剤組成物及び半導体装置用接着シート - Google Patents

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正治 小林
Kazuhiro Takayanagi
一博 高柳
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康弘 吉井
Yosuke Momouchi
洋輔 桃内
Tomoaki Kamiya
友章 神谷
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Abstract

【課題】フィルム形成能を有する接着剤組成物であって、低誘電率であり、接着剤組成物のはみ出し性、埋め込み性や接着性等の加工性に優れた接着剤組成物及び半導体装置用接着シートを提供する。
【解決手段】以下に示す(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有し、かつ硬化前の動的粘弾性測定に於ける最低溶融粘度が800Pa.s〜50000 Pa.sである接着剤組成物およびこれを用いた半導体装置用接着シート。(A):(A−I)スチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン単独重合体、並びにスチレン、ブタジエン、及びイソプレンから選択される2成分以上の共重合体からなる群から選ばれる1種以上の重合体を含有する樹脂成分;(B):アリル基及び/又はメチルアリル基を有する化合物;(C):硬化性成分。
【選択図】 なし

Description

本発明は接着剤組成物及び半導体装置用接着シートに関する。
電子機器等に使用されている多層プリント配線板は、あらかじめ回路を形成した内層回路板と外層回路用銅箔とを、プリプレグ(接着剤層)を間に挟んで熱圧成形することにより得た内層回路入り多層銅張り積層板(回路積層材)の外層に、回路形成して得られる。
従来、前記プリプレグには、ガラスクロス基材エポキシ樹脂プリプレグが使用されていた。
そして近年、電子機器の信号スピードおよび作動周波数が飛躍的に増加してきているので、高周波領域で使用される電子機器、特に小型軽量化を要求される電子機器には、微細配線形成のために、耐熱性に優れ、低比誘電率、低誘電正接の薄型の回路積層材が望まれている。
接着剤層に低誘電材料を使用した薄型の回路積層材は電気信号の伝搬速度を速くすることができるため、より速いスピードでの信号処理を行うことができるようになる。
現在、薄型の多層プリント配線板においては、30〜100μm厚の薄型ガラスクロス基材エポキシ樹脂プリプレグが使用されている。
しかしながら、薄型ガラスクロス基材エポキシ樹脂プリプレグは、クロス目が浮き出しやすく、さらに内層回路基板の凹凸がプリプレグ内部で吸収できず、外層表面に凹凸が現れやすいため、表面の平滑性が損なわれ、微細配線形成の障害になっている。
そこで、従来のガラスクロス基材エポキシ樹脂プリプレグを使用する代わりに、
(1)ガラスクロスを含まない接着剤層を有する半導体装置用接着シートをプリプレグとして使用する方法、あるいは、
(2)予め外層回路用銅箔の片面に接着剤層を積層した樹脂付き銅箔を外層回路用銅箔付きプリプレグ(半導体装置用接着シート)として使用する方法が提案されている。
これらの(1)、(2)の半導体装置用接着シートにおいて、接着剤層を形成する接着剤組成物として使用できる樹脂はフィルム形成能を有する樹脂に限られる。
フィルム形成能を有さなければ、半導体装置用接着シートの運送、切断および積層などの工程において接着剤層の割れや欠落等のトラブルが生じやすく、接着剤層を多層板の層間接続用絶縁材料として用いる際の熱圧形成時に、層間絶縁層(接着剤層)が内層回路存在部分で異常に薄くなることもある。また、層間絶縁抵抗の低下や、ショート等のトラブルを生じ易くなる。
この様な半導体装置用接着シート用途において用いられる、フィルム形成能を有する樹脂としては、高分子量エポキシ樹脂[特許文献1(特開平4−120135号公報)]、アクリロニトリルブタジエン共重合体/フェノール樹脂[特許文献2(特開平4−29393号公報)]、フェノール樹脂/ブチラール樹脂[特許文献3(特開平4−36366号公報)]、アクリロニトリルブタジエン共重合体/エポキシ樹脂[特許文献4(特開平4−41581号公報)]などが提案されている。
しかし、これら特許文献1〜4に記載の樹脂は、半導体装置用接着シートとして用いたときに、加工時の接着剤層のはみ出し性や埋め込み性、接着性(ボンディング性)については充分な検討がなされておらず、また効果も不充分である。なお、接着性には、接着強度の他、接着層と、接着する対象物との界面において、ボイド(空気)が入ることによって生じるショート(電気特性)の問題も含まれる。
また、誘電率が高く、より速いスピードでの信号の処理を行うことができない。
一方、低誘電樹脂としては、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性の1,2−ポリブタジエンを主成分とするポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対しポリブタジエン樹脂5〜20質量部、架橋性モノマー5〜10質量部およびラジカル架橋剤を配合した組成物[特許文献5(特開昭61−83224号公報)]などが提案されている。
また、特許文献6(特開2001−81429号公報)には、(A−1):スチレン、ブタジエン、イソプレンのモノマー群から選択される2成分以上からなるエポキシ化共重合体と、(B):アリル基またはメチルアリル基を有する化合物と、(C):硬化性成分を含有する接着剤組成物が開示されている。
特開平4−120135号公報 特開平4−29393号公報 特開平4−36366号公報 特開平4−41581号公報 特開昭61−83224号公報 特開2001−81429号公報
しかし、特許文献5に記載の組成物は、耐熱性、はみ出し性や埋め込み性等の作業性(加工性)、フィルム形成能に劣り、実用上問題がある。
また、特許文献6に記載の接着剤組成物は、加工時の接着剤組成物の埋め込み性やはみ出し性や接着性については検討がなされておらず、効果も十分ではない。
この様に、接着剤組成物及びこれを適用した半導体装置用接着シートとしては、未だフィルム形成能を有し、低誘電率であり、接着剤組成物のはみ出し、埋め込み性、接着性等の加工性に優れたものは、提案されていない。
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、フィルム形成能を有する接着剤組成物であって、低誘電率であり、接着剤組成物のはみ出し性、埋め込み性や接着性等の加工性に優れた接着剤組成物及び半導体装置用接着シートを提供することを課題とする。
そして、これにより、好ましくは層間の絶縁性に優れた接着剤組成物及び半導体装置用接着シートを提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明においては以下の手段を提案する。
第1の態様は、以下に示す(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有し、かつ硬化前の動的粘弾性測定に於ける最低溶融粘度が800Pa.s〜50000 Pa.sである接着剤組成物である。
(A):(A−I)スチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン単独重合体、並びにスチレン、ブタジエン、及びイソプレンから選択される2成分以上の共重合体からなる群から選ばれる1種以上の重合体を含有する樹脂成分;
(B):アリル基及び/又はメチルアリル基を有する化合物;
(C):硬化性成分。
第2の態様は、(A)成分は、さらに、(A−II)以下のグループ1〜グループ3のうち、少なくとも2つのグループから選ばれるモノマーを含む原料モノマーを重合させてなり、かつ反応性基を有する共重合体を含有する第1の態様の接着剤組成物である。
グループ1:スチレン
グループ2:ブタジエン及び/又は反応性基が導入されたブタジエン
グループ3:イソプレン及び/又は反応性基が導入されたイソプレン
第3の態様は、前記(A−II)成分は、少なくともスチレンを含む原料モノマーを共重合させてなる共重合体であって、そのスチレンの共重合比が5〜90モル%である第2態様の接着剤組成物である。
第4の態様は、前記(B)成分は、下記一般式(b−1)で示される化合物、及び下記一般式(b−2)で示される化合物からなる群から選ばれる1種以上である第1〜3のいずれかの態様の接着剤組成物である。
Figure 2007091794
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
第5の態様は、前記(C)成分は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びマレイミド基を有する化合物からなる群から選ばれる1種以上である第1〜4のいずれかの態様の接着剤組成物である。
第6の態様は、さらに(D)反応促進剤を含有する第1〜5のいずれかの態様の接着剤組成物である。
第7の態様は、さらに(E)カップリング剤を含有する第1〜6のいずれかの態様の接着剤組成物である。
第8の態様は、さらに(F)平均粒径20μm以下のフィラーを含有する第1〜7のいずれかの態様の接着剤組成物である。
第9の態様は、硬化後の比誘電率が3.4以下である第1〜8のいずれかの態様の接着剤組成物である。
第10の態様は、第1〜9のいずれかの態様の接着剤組成物を含有する接着剤層と、剥離性フィルムとを積層してなることを特徴とする半導体装置用接着シートである。
第11の態様は、第1〜9のいずれかの態様の接着剤組成物を含有する接着剤層と、金属層とを積層してなることを特徴とする半導体装置用接着シートである。
第12の態様は、前記接着剤層の硬化後の比誘電率が3.4以下である第10または11の態様の半導体装置用接着シートである。
本発明においては、フィルム形成能を有する接着剤組成物であって、低誘電率であり、接着剤組成物のはみ出し性、埋め込み性や接着性等の加工性に優れた接着剤組成物及び半導体装置用接着シートを提供することができる。
そのため、好ましくは層間の絶縁性に優れた接着剤組成物及び半導体装置用接着シートを提供することができる。
[接着剤組成物]
本発明の接着剤組成物は、(A):(A−I)スチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン単独重合体、並びにスチレン、ブタジエン、及びイソプレンから選択される2成分以上の共重合体からなる群から選ばれる1種以上の共重合体を含有する樹脂成分;
(B):アリル基及び/又はメチルアリル基を有する化合物;
(C):硬化性成分;
を含有し、
硬化前の動的粘弾性測定に於ける最低溶融粘度が800Pa.s〜50000 Pa.sである接着剤組成物である。
(A)成分
(A)成分は、(A−I)成分を含有する。
(A−I)成分は、スチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン単独重合体、並びにスチレン、ブタジエン、及びイソプレンから選択される2成分以上の共重合体からなる群から選ばれる1種以上である。
(A−I)成分を含有することにより、本発明の効果が向上する。
具体的には、スチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン単独重合体、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体(SBIR)等が挙げられる。
中でも、単独重合体では、スチレン単独重合体が好ましい。
共重合体ではスチレンを共重合体成分として含有することが好ましい。共重合体においては好ましいスチレンモノマー単位の含有量は他の樹脂との相溶性の点から共重合体を構成する全モノマー単位に対して20〜99モル%、さらに好ましくは50〜95モル%である。
(A−I)成分としては、中でも、接着剤組成物のはみ出し性制御の点からスチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体(SBIR)が望ましい。
これらの重合体は、例えばモノマーから公知のラジカル重合によって合成することができる。また、ゴム状体の場合は水系のラジカル重合で合成することが好ましい。
(A−I)成分の質量平均分子量(以下「Mw」と記す)は5000〜1000000であることが好ましく、さらに好ましくは1〜500000であり、より好ましくは20000〜300000である。
(A−I)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分は、(A−I)成分を必須とするが、さらに下記(A−II)成分を含有することが望ましい。
(A−II)成分を用いることにより、配合成分同士の相溶性が良好となり、フィルム化の際に均一な膜ができやすくなるという効果が得られる。そのため、プリプレグを多層化する作業時の取り扱い性が良く、高密度多層配線板を製造する際の歩留まりが向上する。
(A−II)成分は、以下のグループ1〜グループ3のうち、少なくとも2つのグループから選ばれるモノマーを含む原料モノマーを重合させてなり、かつ反応性基を有する共重合体である。
グループ1:スチレン
グループ2:ブタジエン及び/又は反応性基が導入されたブタジエン
グループ3:イソプレン及び/又は反応性基が導入されたイソプレン
グループ1〜3の組み合わせとしては、具体的には、好適なものとして以下のものが挙げられる。
グループ1(スチレン単位)とグループ2(ブタジエン系単位)とを含むモノマー群を共重合させてなるスチレン−ブタジエン系共重合体(SBS系共重合体);
グループ1(スチレン単位)とグループ3(イソプレン系単位)とを含むモノマー群を共重合させてなるスチレン−イソプレン系共重合体(SIS系共重合体);
グループ1(スチレン単位)とグループ2(ブタジエン系単位)とグループ3(イソプレン系単位)とを含むモノマー群を共重合させてなるスチレン−ブタジエン−イソプレン系共重合体(SBIR系共重合体);
前記(A−II)成分は、少なくともスチレンを含む原料モノマーを共重合させてなる共重合体であることが望ましい。そして、そのスチレンの共重合比が5〜90モル%、特に20〜60モル%であると好ましい。
共重合体比率が5モル%以上であることにより、接着剤層にタックが生じにくくなる。90モル%以下にすることにより、乾燥時に接着剤層が脆くなる現象を抑制できる。
(A−II)成分において、反応性基は、例えば、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基(特にグリシジル基が望ましい)、カルボキシ基(無水物基を含む)、シラノール基、水酸基、ビニル基、メチロール基、メルカプト基、エステル基等があげられ、中でもアミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、水酸基は、反応性に富むため好ましい。特に好ましい官能基はエポキシ基及びカルボキシ基である。
(A−II)成分において、反応性基の割合は、質量平均分子量/1分子中の反応性基の数が300〜4000であることが望ましく、400〜2500であることが望ましい。
(A−II)成分には、以下の2つの共重合体を1、2が含まれるものとする。
共重合体1:スチレン、ブタジエン、及びイソプレンからなるモノマー群から2成分以上(ただし、ブタジエン及び/又はイソプレンを含む)を共重合させてなる共重合体において、共重合の前と後の一方あるいは両方において、ブタジエン及び/又はイソプレンが有する不飽和結合に反応性基を導入した共重合体。
共重合体2:スチレン、ブタジエン、及びイソプレンからなるモノマー群から選ばれる2成分以上と、これらのモノマーに該当しない他の反応性基を有するモノマーとを共重合してなる共重合体。ただし、この反応性基は、重合時に変化せず、共重合体2にそのままの形態で含まれるものとする。
共重合体1は、以下の製造方法1、2のいずれかの方法によって製造することができる。
製造方法1:
スチレン、ブタジエン、及びイソプレンからなるモノマー群から選択される2成分以上(ただし、ブタジエン及び/又はイソプレンを含む)を含む原料モノマー群を共重合させて共重合体を製造し、ブタジエン及び/又はイソプレンモノマーに由来する不飽和結合の少なくとも1部を反応させることによってエポキシ基等の反応性基を導入して共重合体1を得る。
なお、原料モノマーの一部または全部を共重合させてオリゴマーを製造し、反応性基を導入し、さらに重合させることによって共重合体1を得ることもできる。
製造方法2:
スチレン、ブタジエン、及びイソプレンからなるモノマー群から少なくとも2成分以上(ただし、ブタジエン及び/又はイソプレンを含む)を選択する。
そして、これらブタジエン及び/又はイソプレンの不飽和結合の少なくとも1部を反応させることによってエポキシ基等の反応性基を導入して、反応性基を有するモノマーを含む原料モノマー群とする。
そして、この反応性基を導入したモノマーを含む原料モノマー群を共重合させることによって共重合体1を得る。
ブタジエン及び/又はイソプレンあるいはこれらのモノマー単位に導入する反応性基としては、エポキシ基が望ましく、エポキシ基は酸化反応によって導入することができる。
酸化剤としては、例えば過酢酸、過蟻酸、過プロピオン酸、過安息香酸等の有機過酸、t−ブチルハイドロパーオキシド、クミルハイドロパーオキシド、テトラリルハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド類、過酸化水素等を挙げることができる。
また、この反応時には、必要に応じて触媒を用いることができる。例えば過酸の場合、炭酸ソーダなどのアルカリや硫酸などの酸を触媒として用いることができる。
ハイドロパーオキシド類の場合、タングステン酸と苛性ソーダとの混合物を過酸化水素と、あるいは有機酸を過酸化水素と、あるいはモリブデンヘキサカルボニルをt−ブチルハイドロパーオキシドと併用して触媒効果を得ることができる。
酸化剤の使用量、反応時間を制御することで導入するエポキシ基等の反応性基の量を制御することができる。
反応温度は酸化剤の分解反応温度に依存する。例えば、過酢酸では上限70℃、t−ブチルハイドロパーオキシドでは上限150℃が好ましい。
反応には必ずしも溶剤を使用しなくてもよいが酸化剤の希釈による安定化などのためベンゼン、トルエン等の芳香族系、ハロゲン化物系、エステル系、ケトン系、エーテル系などの溶剤を用い、窒素雰囲気下で反応させることが好ましい。
共重合体2は、以下の製造方法によって得ることができる。
スチレン、ブタジエン、及びイソプレンからなるモノマー群から少なくとも2種以上を選択する。
さらに、これらのモノマーに該当しないモノマーであって、反応性基を有するモノマーを用意する。そして、この反応性基を有するモノマーを前記選択したモノマー群に配合する。
ついで、この少なくとも3種のモノマーを含む原料モノマー群を共重合して共重合体2を得る。
共重合体2は、その仕込みや製造時に重合度や反応性基の割合を容易に制御することができ、好ましい。
共重合体2において、反応性基を有するモノマーとしては、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基(特にグリシジル基が望ましい)、カルボキシ基(無水物基を含む)、シラノール基、水酸基、ビニル基(ただし重合時に変化しない基)、メチロール基、メルカプト基、エステル基等から選ばれる反応性基を有するモノマーが用いられる。中でもアミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、水酸基を有するモノマーは、反応性に富むため好ましい。特に好ましいのはエポキシ基、カルボキシ基を有するモノマーであり、特に共重合体2に適しているのはカルボキシ基を有するモノマーである。
反応性基を有するモノマーは、上記の様な反応性基を有し、かつスチレン、ブタジエン、及びイソプレンと共重合可能なものであれば特に限定するものではない。
例えば、アクリル酸、メタクリ酸、過酢酸等を挙げることができる。
原料モノマー群中のこの反応性基を有するモノマーの割合は、(A−II)成分中の反応性基の割合に応じて調整される。
(A−II)成分のMwは好ましくは5000〜1000000、特に好ましくは50000〜500000とされる。下限値以上とすることにより、熱安定性が向上し、良好な耐熱性が得られる。上限以下にすることにより、溶融粘度が適度な値に低下し、接着剤組成物として使用した場合、作業性、接着性などが良好となる。
また、(A−II)成分は、硬化後の比誘電率が4.0以下、好ましくは3.8以下、さらには3.5以下であることが望ましい。
比誘電率が4.0以下であることにより、樹脂基材層の低誘電化を達成することが容易となる。そのため、高速信号処理に好適なものとなる。
比誘電率は以下の様にして測定する。
(A−II)成分をトルエン等で希釈した後、フィルム等に塗布、乾燥させ、さらに硬化させてシート状のサンプルを作製する。そして、フィルム等から剥離したサンプルに対してJISC6481(比誘電率および誘電正接)に準じて、周波数1MHzで比誘電率を測定する。(A−II)成分の比誘電率を4.0以下にするためには、例えば質量平均分子量/1分子中の反応性基の数を300〜4000とすることにより、実現することができる。
(A−II)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
本発明においては、(A−I)成分を2種以上用いることが特性制御の点から望ましい。
また、(A−II)成分を2種以上用いることが特性制御の点から望ましい。そして、特に(A−I)成分2種以上と、(A−I)成分2種以上とを混合して用いることは、比誘電率等の特性制御の点から好ましい。
接着剤組成物中の(A)成分は20〜40質量%、好ましくは25〜36質量%とされる。(A)成分が20質量%以上であることによりはみ出し性の制御が向上し、40質量%以下であることにより、埋め込み性が向上する。
(A)成分中の(A−I)成分の割合は、例えば1質量%以上であり、より好ましくは 5質量%以下である。1質量%以上であることにより相溶性が向上し、5質量%以下であることによりタック性が向上する。
また、(A)成分中の(A−I)成分を1〜7質量%、好ましくは1〜6質量%として、(A−II)成分と併用することが望ましい。
(A)成分中の(A−II)成分の割合は13〜39質量%、より望ましくは26〜30質量%とされる。13質量%以上であることにより膜性が向上し、39質量%以下であることにより埋め込み性が向上する。
(B)成分
(B)はアリル基(allyl基)及び/又はメチルアリル基(methyl allyl基)を有する化合物である。ここで、メチルアリル基は、「CH=C(CH)CH−」で示されるものを意味する。
(B)成分のアリル基及び/又はメチルアリル基の作用により、接着剤組成物を低誘電化できる。また、接着剤組成物の硬化後の耐熱性を向上させることができる。
アリル基及び/又はメチルアリル基は、化合物中1〜4個存在することが望ましく、特に望ましくは2〜3個である。
(B)成分としては、中でも、上記一般式(b−1)で示される化合物及び上記一般式(b−2)に示される化合物からなる群から選ばれる1種以上を用いることが望ましい。
上記一般式(b−1)で示される化合物や上記一般式(b−2)で示される化合物は一般に市販されており容易に入手することができる。
(B)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分は、接着剤組成物中10〜40質量%、より好ましくは15〜31質量%とされる。10質量%以上であることにより硬化後の耐熱性が向上し、40質量%以下であることにより、膜性が向上する。
(C)成分
(C)成分は、硬化性成分である。
(C)成分は熱硬化性、紫外線硬化性等の硬化性を有する樹脂あるいは化合物であれば使用できる。
中でも、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び/又はマレイミド基を有する化合物が好ましい。
さらに好ましくはマレイミド基を2以上含有する化合物が耐熱性に優れるので好ましい。
なかでも、下記化学式(c−1)乃至化学式(c−5)に示されるビスマレイミド化合物が電気的信頼性、溶剤溶解性に優れるので特に好ましい。
Figure 2007091794
(式(c−4)中、pは1〜8の整数である。)
これらの化合物は一般に市販されており、容易に入手することができる。また、従来公知の方法により合成することもできる。
(C)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(C)成分は接着剤組成物中30〜65質量%、より好ましくは36〜60質量%とされる。30質量%以上であることにより耐熱性が向上し、65質量%以下であることにより膜性が向上する。
また、(A)成分/((B)成分+(C)成分)の質量比率を好ましくは1/9〜4/6、特に1.5/8.5〜3/7に設定することが望ましい。4/6以下とし、(B)成分+(C)成分の量を確保することにより、熱硬化した後に樹脂組成物の耐熱性、特にTg(ガラス転移点)、ヤング率の低下を防ぎ、接着等の目的の用途において、接着剤組成物が流れたりしてハンドリングがしにくくなる傾向を抑制できる。1/9以上とし、(A)成分の量を確保することにより、加工時の接着剤組成物のはみ出し量が低下し、さらに接着剤組成物をBステージ(半硬化状態)まで硬化させた際に、接着剤組成物自体が脆くなる傾向を抑制できる。
(D)成分
本発明の接着剤組成物には、乾燥時または加熱硬化時における反応を促進させるために、(D)反応促進剤を含有させることが好ましい。
(D)成分としては具体的に、ジアザビシクロオクタン、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−ミリスティルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等の有機過酸化物;
1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール・トリメリット酸塩、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチル−5−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル−(1')]−エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌール酸付加物、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌール酸付加物、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−s−トリアジン−イソシアヌール酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシルメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシルメチルイミダゾール、4,4'−メチレン−ビス(2−エチル−5−メチルイミダゾール)、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾール・ベンゾトリアゾール付加物、1−アミノエチル−2−エチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、N,N'−[2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル]−アジポイルジアミド、N,N'−ビス−[2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル]尿素、N−[2−メチルイミダゾリル−1−エチル]尿素、N,N'−[2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル]ドデカンジオイルジアミド、N,N'−[2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル]エイコサンジオイルジアミド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール・塩化水素酸塩等のイミダゾール類;
トリフェニルフォスフィン等の反応促進剤が挙げられる。
中でも、有機過酸化物が反応性に優れるのでより好ましい。
(D)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(D)成分の配合量は接着剤組成物中0.5〜7質量%、好ましくは2〜5質量%とされる。
(E)成分
本発明の接着剤組成物には、金属との接着強度を高めるために(E)カップリング剤を加えることが好ましい。
(E)成分としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系のカップリング剤が好ましく使用できる。
シラン系カップリング剤としてはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、N,N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、等が好ましく使用される。
チタン系カップリング剤としてはイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート、等が好ましく使用される。
アルミニウム系カップリング剤としてはアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が使用される。
中でも、シラン系カップリング剤が接着性に有効に作用するのでより好ましい。
(E)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(E)成分の配合量は接着剤組成物中0.5〜6質量%、好ましくは2〜4質量%とされる。
(F)成分
本発明の接着剤組成物には、(F)平均粒径20μm以下のフィラーを加えることが好ましい。「平均粒径」はコールターカウンターによって測定する値である。
(F)成分を用いることで、接着剤組成物層の流動性をおさえ、熱寸法安定性を高めることができる。そのため、寸法安定性が要求される用途では、(F)成分を用いることが好ましい。
平均粒径が20μm以下であることにより、接着剤組成物中の分散性と製膜性が向上する。さらに好ましくは、平均粒径が5μm以下のフィラーを用いることである。これにより流動性安定化の効果を向上させることができる。平均粒径の下限値は特に限定するものではないが実質的には5nm以上とされる。
(F)成分としては、フィラーは無機または有機フィラーのいずれでも使用できる。
具体的には、例えば、シリカ、石英粉、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド粉、マイカ、フッ素樹脂、ジルコン等の無機フィラーが好ましく使用される。
(F)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(F)成分の配合量は接着剤組成物中5〜60質量%、好ましくは10〜30質量%とされる。
最低溶融粘度
本発明の接着剤組成物は、その硬化前の状態において、動的粘弾性測定に於ける最低溶融粘度が好ましくは800Pa.s〜50000 Pa.s、より望ましくは1000Pa.s〜30000Pa.sである。
最低溶融粘度を800Pa.s以上にすることにより、加工時の接着剤組成物の流れが大きくなりすぎず、適度になり加工性が向上する。また50000Pa.s以下にすることにより、配線パターンが埋まり込みやすくなり、半導体装置用接着シートを貼り合わせる対象面の凹凸があっても貼り合わせが容易になり、加工性が向上する。
本発明の接着剤組成物は、回路積層材の配線を接着することを目的とする。そのため、各配線間の絶縁性を保持させる役割を果たし、かつ配線間に空気(ボイド)が入らない様にする必要がある。空気(ボイド)が配線間に存在すると、配線のはんだ時に空気が膨張して発泡したり、配線のショートの原因となる。
本発明者は、このような配線間に、上記の様な問題を生じない様に接着剤組成物を充填するためには、粘度が重要であることを見出した。そして、粘度が低すぎた場合には、回路積層材から接着剤がはみ出して問題となり、一方粘度が高い場合には埋め込み性等の不良によって空気が入りやすくなる。
また、本発明の接着剤組成物は、熱硬化性の樹脂である。そのため、接着剤組成物の粘度は、常温から徐々に温度が高くなるにしたがって低くなっていくが、ある温度を境にして接着剤組成物が硬化しはじめ、粘度が再び上昇するという挙動を示す。
そこで、本発明者は接着剤組成物が硬化しはじめることによって、接着剤組成物の粘度が上昇しはじめる直前の温度のときの粘度:「最低溶融粘度」に着目し、この温度時に適度な粘度が確保できれば、上述の問題を解決できることを見出した。
最低溶融粘度は次の条件にて測定した際の粘度変化の最低値である。
最低溶融粘度の測定条件:装置:剪断弾性率測定装置(HAAKE社製Rheo Stress RS75)
測定温度範囲:−10℃〜300℃ 昇温速度:3℃/min、測定周波数:1Hz 加重:15N 歪み率:0.01%±0.0025%
なお、徐々に昇温すると、試料の粘度が低下していき、最も低い溶融粘度(最低溶融粘度)に至った後、熱硬化するために粘度が上昇する。測定においては、この最低溶融粘度を求める。
−10〜300℃という温度範囲にしたのは、この範囲で測定すれば、一般に上記の様な粘度の低下と上昇が充分に観察できるからである。
測定試料は以下の様にして製造する。
まず、剥離処理を施した厚さ38μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(剥離性フィルム)等の適当な支持体の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが50μmになるように、接着剤組成物を固形分40質量%濃度となる様にテトラヒドロフランに溶解した溶液を塗布する。
ついで、熱風循環型乾燥機中にて140℃で5分間乾燥し、半導体装置用接着シートを得る。
半導体装置用接着シートから、支持体を引きはがし、測定試料とする。
好ましい最低溶融粘度に調整するためには、例えば樹脂成分(A)成分のMwにて調整することができる。
また、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の配合比率にて調整することができる。配合比率を調整する際には、例えば(B)成分の量を少なくすると最低溶融粘度が向上し、(B)成分の量を多くすると最低溶融粘度が低下する。(C)成分の量を少なくすると最低溶融粘度が向上し、(C)成分の量を多くすると最低溶融粘度が低下する。
(A)成分においては、例えば(A−I)成分の量を多くすると最低溶融粘度が向上し、(A−I)成分の量を少なくすると最低溶融粘度が低下する。(A−II)成分の量を多くすると最低溶融粘度が向上し、(A−II)成分の量を少なくすると最低溶融粘度が低下する。
比誘電率
接着剤組成物は、硬化後の比誘電率は3.4以下であることが好ましく、3.2以下であればより好ましい。比誘電率が3.4以下であれば接着剤として回路配線の微細化、半導体装置の高速化に充分に対応できる。下限値は特に限定するものではないが実質的には2以上である。
比誘電率は接着剤組成物を硬化させて得られた接着剤層の静電容量測定をJISC6481(比誘電率および誘電正接)に準じて行い、周波数1MHzで測定する。
なお、測定試料は、以下の様にして製造する。
剥離処理を施した厚さ38μmのPETフィルム(剥離性フィルム)等の適当な支持体の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが50μmになるように、接着剤組成物を固形分40質量%濃度となる様にテトラヒドロフランに溶解した溶液を塗布する。
ついで、熱風循環型乾燥機中にて140℃で5分間乾燥し、半導体装置用接着シートを得る。
ついで、銅箔等の金属箔上に半導体装置用接着シートの接着剤層側を積層し、さらに剥離フィルムを剥がし、その上にさらに金属箔を積層する。
そして、この様にして2つの金属箔とこれらに挟まれた接着剤層からなる積層体を、200℃、2時間、20kg/cmの条件で圧力をかけて成形する。
この成形体から、金属箔を取り除いて、測定試料とする。
この様な好ましい範囲の比誘電率は、本発明の接着剤組成物を用いることにより達成できる。特に比誘電率を低い値にするためには、加熱硬化条件を調整すると望ましい。
本発明の接着剤組成物は、溶媒中に(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を溶解するとともに、必要に応じて加えられるその他の成分を溶解及び/又は分散した接着剤組成物溶液として用いると、接着剤組成物によって構成する接着剤層中の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の均一性の点から望ましい。また加工性の点から望ましい。
溶媒としては、有機溶剤が用いられる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、等が挙げられる。
溶媒は1種または2種以上混合して用いることができる。
また、これらの中から各成分が溶解あるいは分散するように、いくつかの種類と量を適宜選択して使用することが望ましい。
また、溶媒は接着剤組成物溶液の固形分濃度が10〜90質量%、望ましくは25〜60質量%程度になる様に用いることが好適である。
[半導体装置用接着シート]
・第1の態様
本発明の半導体装置用接着シートの第1の態様は、本発明の接着剤組成物を含有する接着剤層と、剥離性フィルム(支持体)とを積層してなることを特徴とする。
この半導体装置用接着シートは、例えば上述の様な接着剤組成物を含む接着剤組成物溶液を、剥離性フィルム上に塗工し、乾燥して溶媒を除去することで得ることができる。
接着剤層は、剥離性フィルムの2つの面のうち、一方に積層して設けることもできるし、両方に積層して設けることもできる。
接着剤層の厚さは5〜400μmであることが望ましく、特に10〜200μmの範囲にあることが好ましい。
5μm以上とすることにより、半導体装置の回路のZ軸方向(回路間)の絶縁を充分なものとすることができ、半導体装置用接着シートとして好適なものとなる。400μm以下にすることにより、加工性を向上させることができ、レーザー加工等の内回路の微細化に対応しやすくなる。
剥離性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンフィルム、フッ素樹脂系フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリアセチルセルロース、紙、等がある。これらのフィルムにシリコーン樹脂等で剥離性を付与したものが好ましく使用される。該フィルムは厚さ1〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。剥離性のフィルムは仮の支持体として使われ、実際の使用時には剥がされる。
・第2の態様
本発明の半導体装置用接着シートの第2の態様は、本発明の接着剤組成物を含有する接着剤層と、金属層(支持体)とを積層してなることを特徴とする。
この半導体装置用接着シートは、第1の態様と同様に、例えば上述の様な接着剤組成物を含む接着剤組成物溶液を、金属層上に塗工し、乾燥して溶媒を除去することで得ることができる。
接着剤層は、金属層の2つの面のうち、一方に積層して設けることもできるし、両方に積層して設けることもできる。
接着剤層の厚さは第1の態様と同様とされる。
金属層としては、銅、白銅、銀、鉄、42合金、ステンレス、アルミニウム等を使用することが望ましい。また、金属箔を使用することが好ましい。
金属層の厚さは、微細配線形成の観点から、薄い方がより望ましく、好ましくは300μm以下、特に好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは36μm以下とされる。また、金属層の厚さの下限値は、機械的強度等の点から5μm以上とすることが望ましい。
・第3の態様
本発明の第3の態様の半導体装置用接着シートは、本発明の接着剤組成物を含有する接着剤層と、絶縁層(支持体)とを積層してなることを特徴とする。
この半導体装置用接着シートは、第1の態様と同様に、例えば上述の様な接着剤組成物を含む接着剤組成物溶液を、絶縁層上に塗工し、乾燥して溶媒を除去することで得ることができる。
接着剤層は、絶縁層の2つの面のうち、一方に積層して設けることもできるし、両方に積層して設けることもできる。
接着剤層の厚さは第1の態様と同様とされる。
絶縁層としては、ポリイミド、液晶ポリマー等の有機フィルムや、セラミックシートやフレキシブルプリント基板等が使用できる。
絶縁層の厚さは、微細配線形成の観点から、薄い方がより望ましく、好ましくは300μm以下、特に好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは36μm以下とされる。また、金属層の厚さの下限値は、機械的強度等の点から5μm以上とすることが望ましい。
また、本発明の半導体装置用接着シートにおいて、接着剤層の上に、必要に応じて保護フィルムを設けることができる。
保護フィルムは、使用時には剥がして用いる。
保護フィルムには前記した剥離性のフィルムなどが用いられる。
第1の態様の半導体装置用接着シートは、以下の様にして多層プリント基板の製造に用いることができる。
すなわち、必要に応じて半導体装置用接着シートの保護フィルムを剥がし、この半導体装置用接着シートを予め回路を形成した内層回路板と、外装回路用の金属層との間に、剥離性フィルムをはがした接着剤層を挟む。
そして、この積層体を熱圧形成して「内層回路入り多層金属張り積層板」を製造する。
そして、この積層板の外層にエッチング処理などの一般的な回路形成加工を施す。あるいは、内層回路板表面に剥離性フィルムを剥がした半導体装置用接着シートを積層し、さらにその上に金属箔等を積層し、熱圧形成した後に、メッキなどで回路を形成する。
この様にして多層プリント配線板が得られる。
第2の態様の半導体装置用接着シートは、以下の様にして多層プリント基板の製造に用いることができる。
すなわち、必要に応じて半導体装置用接着シートの保護フィルムを剥がし、この半導体装置用接着シートと、回路を形成した内層回路板とを貼り合わせて、熱圧成形し、半導体装置用接着シートの金属層に回路形成加工を施すと、多層プリント配線板が得られる。
第3の態様の半導体装置用接着シートは、以下の様にして多層プリント基板の製造に用いることができる。
すなわち、必要に応じて半導体装置用接着シートの保護フィルムを剥がし、この半導体装置用接着シートと、回路を形成した内層回路板とを貼り合わせ、熱圧成形する。
そして、半導体装置用接着シートの絶縁層上に回路を加工すると多層プリント基板が得られる。もしくは半導体装置用接着シートの絶縁層上(接着剤層と反対側)に金属層を設け、この金属層に回路形成加工を施すと、多層プリント配線板が得られる。
また、上記の様にして得られた多層プリント基板を、内層回路として、さらに多層化することもできる。
本発明の半導体装置用接着シートにおいては、本発明の接着剤組成物を用いるため、接着剤層の硬化後の比誘電率は3.4以下とすることができ、より好ましくは3.2以下とすることができる。下限値は特に限定するものではないが実質的には2以上である。
比誘電率の測定方法は接着剤組成物の説明と同様である。
本発明においては、フィルム形成能を有する接着剤組成物であって、低誘電率であり、接着剤組成物のはみ出し性、埋め込み性や接着性等の加工性に優れた接着剤組成物及び半導体装置用接着シートを提供することができる。
そのため、好ましくは層間の絶縁性に優れた接着剤組成物及び半導体装置用接着シートを提供することができる。
すなわち、発明の接着剤組成物及び半導体装置用接着シートは、未硬化での膜性が良く、埋め込み性、はみ出し性が良い。
また、比誘電率が低く、十分なピール強度を有し、耐熱性及び電気的信頼性に優れるので、多層プリント配線板等の回路積層に好適なものである。
特に、接着剤層の硬化後の比誘電率を3.4以下と低くできるので、内回路の微細化に対応でき、高密度な多層積層板にも好適に用いることができる。
また、本発明の半導体装置用接着シートを用いた多層プリント配線板においては、従来技術の問題点であるクロス目が表面に浮き出ることが無く、内層回路の凹凸を吸収できる。
そのため、表面の平滑性が高い微細回路を形成することができる。
さらに、本発明の接着剤組成物及び半導体装置用接着シートは、接着剤組成物がフィルム形成能を有する。そのため、搬送、切断、積層等の加工工程において接着剤層の割れや欠落などのトラブルが少なくなる。
また、フィルム形成能が高いことにより、半導体装置用接着シートを多層配線板の層間絶縁材料として使用した場合において、加工工程中の熱圧形成時に、層間絶縁層(接着剤層)が、内層回路が存在する部分で薄くなってしまったり、層間絶縁抵抗の低下やショート等の発生を回避することができる。
また、本発明の接着剤組成物及び半導体装置用接着シートは、耐熱性が高い。また、金属への接着性に優れる。そのため、信頼性が高い。また、低比誘電率である。また、薄くても絶縁性を発揮する。そのため、本発明の接着剤組成物及び半導体装置用接着シートは、高速信号処理用の回路基板での使用に適している。
この様な効果を有するため、本発明の接着剤組成物及び半導体装置用接着シートは、各種の半導体を用いてなる半導体装置、特に、IC(集積回路)絶縁体層および導体回路から構成されるIC用基板にICチップを積層した構造を有する半導体装置、面実装型の半導体装置および多ICチップ型半導体装置、ビルトアップ基板に好適である。
そして、中でもICチップを接着するため、または放熱板を接着するため、もしくはIC用基板(有機層または無機層を有するもののどちらにも対応可能である)をより高密度に積層するため、具体的にはICチップと回路基板、回路基板をより高密度に積層するための絶縁層同士、回路形成済みのフレキシブルプリント基板同士、フレキシブルプリント基板と回路基板、回路基板と保護フィルム、ICチップと放熱板、放熱板と回路基板および/またはICチップとICチップ等を接着するための接着剤組成物及び半導体装置用接着シートとして好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
また、本実施例において、最低溶融粘度等の測定試料は、実際の回路基板等を使用して製造しているが、上述した金属板を使用した方法と同様のものを製造することができる。
[実施例、比較例で用いた材料]
実施例、比較例で用いた材料を表1、表2にまとめて示す。
なお、表1、2中、(A−I)成分、(A−II)成分に示した重合体1〜9は以下の通りである。
<(A−I)成分>
(重合体1)ポリスチレン(Mw=20万)
(重合体2)スチレン−ブタジエン共重合体(Mw=12万、スチレン:ブタジエン=1:3(モル比))
(重合体3)スチレン−イソプレン共重合体(Mw=12万、スチレン:イソプレン=1:3(モル比))
(重合体4)スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体(Mw=12万、スチレン:ブタジエン:イソプレン=1:2:1(モル比))
<(A−II)成分>
(重合体5)スチレン−ブタジエン共重合体をエポキシ化した重合体(Mw=12万、スチレン:ブタジエン=1:3(モル比)、エポキシ当量1800)
(重合体6)スチレン−ブタジエン共重合体をエポキシ化した重合体(Mw=12万、スチレン:ブタジエン=1:3(モル比)、エポキシ当量1000)
(重合体7)スチレン−ブタジエン共重合体をエポキシ化した重合体(Mw=12万、スチレン:ブタジエン=1:3(モル比)、エポキシ当量500)
(重合体8)スチレン−イソプレン共重合体をエポキシ化した重合体(Mw=12万、スチレン:イソプレン=1:3(モル比)、エポキシ当量1900)
(重合体9)スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体をエポキシ化した重合体(Mw=12万、スチレン:ブタジエン:イソプレン=1:2:1(モル比)、エポキシ当量2000)
なお、重合体5〜7は、重合体2を出発原料とし、過酢酸を用いてエポキシ化して、反応性基を導入したものである。
重合体8は、重合体3を出発原料とし、過酢酸を用いてエポキシ化して、反応性基を導入したものである。
重合体9は、重合体4を出発原料とし、過酢酸を用いてエポキシ化して、反応性基を導入したものである。
また、上記エポキシ当量とは質量平均分子量に対するエポキシ基数を意味し、「質量平均分子量/1分子中のエポキシ基数」によって算出することができる。
Figure 2007091794
Figure 2007091794
[接着剤組成物溶液の調製]
表3、4、5に示す割合で、テトラヒドロフラン中で十分に混合溶解し、固形分率40質量%の接着剤組成物溶液1〜23と、比較接着剤溶液1〜7を得た。
Figure 2007091794
Figure 2007091794
Figure 2007091794
[実施例1〜23]
接着剤組成物溶液1〜23を用いて、以下の様にして「内層回路入り多層銅張り積層板」を製造した。
なお、実施例1〜23において用いた接着剤組成物溶液は、それぞれ接着剤組成物溶液1〜23である。
まず、剥離処理を施した厚さ38μmのPETフィルム(剥離性フィルム)(支持体)の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが50μmになるように塗布した。
ついで、熱風循環型乾燥機中にて140℃で5分間乾燥し、半導体装置用接着シートを得た。
そして、所定の回路を形成した絶縁層(厚さ0.1mm)の両面に、銅箔(厚さ18μm)を積層してなる両面銅張り内層回路板の両面に、半導体装置用接着シートの接着剤層側が、内層回路板の内層回路の上になる様に、それぞれ積層した。
そして、半導体装置用接着シートの剥離性フィルムを剥がし、剥離性フィルム側の接着剤層の面を露出させた。
ついで、この露出させた接着剤層の面に、それぞれ厚さ18μmの銅箔を重ねた。そして、この積層体を、200℃で2時間、20kg/cm2の圧力で成形して、接着剤層を硬化させて「内層回路入り多層銅張り積層板」を作成した。
なお、この製造工程で得られる半導体装置用接着シートを、別途用意した。
[実施例24]
以下の様にして、「内層回路入り多層銅張り積層板」を製造した。
接着剤組成物溶液1を、厚さ18μmの銅箔(支持体)の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが50μmになるように塗布した。
ついで、熱風循環型乾燥機中にて140℃で5分間乾燥し、半導体装置用接着シートを得た。
ついで、所定の回路を形成した絶縁層(厚さ0.1mm)の両面に、銅箔(厚さ18μm)を積層してなる両面銅張り内層回路板の両面に、それぞれ半導体装置用接着シートの接着剤層が内層回路に向き合うように重ねた。
そして、得られた積層体について、200℃で2時間、20kg/cm2の圧力で成形して「内層回路入り多層銅張り積層板」を製造した。
なお、この製造工程で得られる半導体装置用接着シートを、別途用意した。
[実施例25]
以下の様にして、「内層回路入り多層銅張り積層板」を製造した。
接着剤組成物溶液14を、厚さ18μmの銅箔(支持体)の片面に乾燥後の接着剤層の厚さが50μmになるように塗布した。
ついで、熱風循環型乾燥機中にて140℃で5分間乾燥し、半導体装置用接着シートを得た。
さらに、所定の回路を形成した絶縁層(厚さ0.1mm)の両面に、銅箔(厚さ18μm)を積層してなる両面銅張り内層回路板の両面に、半導体装置用接着シートの接着剤層が内層回路に向き合うように重ねた。
そして、この積層体を、200℃で2時間、20kg/cm2の圧力で成形して「内層回路入り多層銅張り積層板」を製造した。
なお、この製造工程で得られる半導体装置用接着シートを、別途用意した。
[実施例26]
以下の様にして、「内層回路入り多層42合金張り積層板」を製造した。
接着剤組成物溶液14を、厚さ18μmの42合金箔(支持体)の片面に、乾燥後の接着剤層の厚さが50μmになるように塗布した。
ついで、熱風循環型乾燥機中にて140℃で5分間乾燥し、半導体装置用接着シートを得た。
さらに、所定の回路を形成した絶縁層(厚さ0.1mm)の両面に、銅箔(厚さ18μm)を積層してなる両面銅張り内層回路板の両面に半導体装置用接着シートの接着剤層が内層回路に向き合うように重ねた。
この積層体について、200℃で2時間、20kg/cm2の圧力で成形して、「内層回路入り多層42合金張り積層板」を製造した。
なお、この製造工程で得られる半導体装置用接着シートを、別途用意した。
[比較例1〜7]
比較接着剤組成物溶液1〜7を用いて、それぞれ実施例1と同様の処理を行って、「内層回路入り多層銅張り積層板」をそれぞれを得た。
比較例1〜7において用いた接着剤組成物溶液は、それぞれ比較接着剤組成物溶液1〜7である。
なお、この製造工程で得られる半導体装置用接着シートを、別途用意した。
[評価]
以下の様にして評価を行った。結果を表6、表7、表8に示した。
<最低溶融粘度>
半導体装置用接着シートについて、支持体をはがして接着剤層だけを取り出して測定試料とし、上述のようにして最低溶融粘度を測定した。
<貼り合わせパターンの埋まり込み性、はみ出し性>
各実施例、及び比較例で得られた多層銅(または多層42合金)張積層板の外装銅箔(または42合金箔)にエッチングで線幅100μmのパターンを形成した。
そして、上記銅箔(または42合金箔)のパターンに各実施例、及び比較例で得られた半導体装置用接着シートの接着剤層面を積層し、実施例1〜23、比較例1〜7においては、剥離フィルムを剥がし、さらに銅箔を積層した後、200℃、2時間、20kg/cmで加熱加圧して、接着剤層を硬化させた。
そして、接着剤層へのパターンへの接着剤層の埋まり込み状態と、接着剤層の積層体からのはみ出し量をルーペにて拡大して目視観察し、以下の基準で評価した。
埋め込み性:パターン間に泡があった場合×とした。
はみ出し性:基材よりはみ出し量が1cm以上が×とした。
<接着剤層の膜性>
最低溶融粘度の測定試料と同様のものについて、手で持ち上げて、待ち上げて割れるようであれば×とした。
<接着剤層の均一性>
最低溶融粘度の測定試料と同様のものについて、接着剤層表面をルーペにて拡大して目視観察した。
<比誘電率>
各実施例、及び比較例で得られた多層銅(または多層42合金)張積層板の外装銅箔(または42合金箔)について、接着剤層だけを取り出して測定試料とし、上述の様にして測定した。
<ピール強度(接着強度)>
各実施例、及び比較例で得られた多層銅(または多層42合金)張積層板の外装銅箔(または42合金箔)と接着剤層との間の接着強度をJIS C6481(引き剥がし強さ)に準じて測定した。
<はんだ耐熱性>
各実施例、及び比較例で得られた多層銅(または多層42合金)張積層板をJIS C6481(はんだ耐熱性)に準じて測定し、260℃での外観異常の有無を調べた。そして、発泡及び剥がれがある場合に×とした。
<PCBT(Pressure Cooker Biased Test)(電気特性)>
各実施例、及び比較例で得られた多層銅(または多層42合金)張積層板の外装銅箔(または42合金箔)にエッチングで線幅100μmのパターンを形成した。
そして、上記銅箔(または42合金箔)のパターンに実施例、及び比較例で得られた半導体装置用接着シートの接着剤層面を積層し、、実施例1〜23、比較例1〜7においては、剥離フィルムを剥がし、さらに銅箔を積層した後、200℃、2時間、20kg/cmで加熱加圧して、接着剤層を硬化させた。
そして、5V印加、130℃、湿度85%、336時間の条件で、PCBTを測定し、パターン間のショート有無を調べ、ショートしたものは×とした。
Figure 2007091794
Figure 2007091794
Figure 2007091794
本発明に係る実施例においては、未硬化状態でも膜性に優れ、埋め込み性、はみ出し性に優れ、硬化後は比誘電率が低く、はんだ耐熱性でも銅箔の膨れが発生せず、接着強度も十分あり、電気的信頼性の高いものであることがわかる。更に接着剤層も均一で層形成性に優れていた。
対して、比較例1は、膜性が脆く、はみ出し性も悪かった、はんだ耐熱性でも銅箔の膨れが発生し、接着強度が低かった。
比較例2は埋め込み性が悪く、比誘電率が比較例1よりも大きく半田耐熱も悪い。
比較例3も同様で比誘電率が比較例2よりも大きかった。
比較例4は比較例1と同様であった。
比較例5は膜性が悪く、接着剤層表面が不均一で、半田耐熱も悪く、電気特性も悪かった。
比較例6は膜性が悪かった。埋め込み性、はみ出し性は良かったが半田耐熱性、電気特性が悪かった。
比較例7は膜性、はみ出し性が悪く、接着力、半田耐熱性、電気特性もわるかった。

Claims (12)

  1. 以下に示す(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有し、かつ硬化前の動的粘弾性測定に於ける最低溶融粘度が800Pa.s〜50000 Pa.sである接着剤組成物。
    (A):(A−I)スチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン単独重合体、並びにスチレン、ブタジエン、及びイソプレンから選択される2成分以上の共重合体からなる群から選ばれる1種以上の重合体を含有する樹脂成分;
    (B):アリル基及び/又はメチルアリル基を有する化合物;
    (C):硬化性成分。
  2. (A)成分は、さらに、(A−II)以下のグループ1〜グループ3のうち、少なくとも2つのグループから選ばれるモノマーを含む原料モノマーを重合させてなり、かつ反応性基を有する共重合体を含有する請求項1記載の接着剤組成物。
    グループ1:スチレン
    グループ2:ブタジエン及び/又は反応性基が導入されたブタジエン
    グループ3:イソプレン及び/又は反応性基が導入されたイソプレン
  3. 前記(A−II)成分は、少なくともスチレンを含む原料モノマーを共重合させてなる共重合体であって、そのスチレンの共重合比が5〜90モル%である請求項2記載の接着剤組成物。
  4. 前記(B)成分は、下記一般式(b−1)で示される化合物、及び下記一般式(b−2)で示される化合物からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
    Figure 2007091794
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
  5. 前記(C)成分は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びマレイミド基を有する化合物からなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  6. さらに(D)反応促進剤を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  7. さらに(E)カップリング剤を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  8. さらに(F)平均粒径20μm以下のフィラーを含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  9. 硬化後の比誘電率が3.4以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤組成物を含有する接着剤層と、剥離性フィルムとを積層してなることを特徴とする半導体装置用接着シート。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の接着剤組成物を含有する接着剤層と、金属層とを積層してなることを特徴とする半導体装置用接着シート。
  12. 前記接着剤層の硬化後の比誘電率が3.4以下である請求項10または11に記載の半導体装置用接着シート。

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