JP2007090153A - 固形リン除去剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法、
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩に、(a)にて得た樹脂溶液を加熱雰囲気でスプレーコーティングし、乾燥物とする工程、
(c)(b)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。
【選択図】 図1
Description
一方、リンの除去には直接関係しないがポリビニルアルコールに活性汚泥等を固定する例がある。すなわち、活性汚泥等に水溶性樹脂のポリビニルアルコール水溶液を添加した後、この混合液に無機塩類(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等)を加えると、ポリビニルアルコールの溶解度が低下して析出(塩析)し、さらに収縮する。この塩析の際、ポリビニルアルコール殻に活性汚泥が包括固定されるというものである(特許文献3参照)。
そこで、本発明者らは、ポリビニルアルコールに活性汚泥等を固定する例から、多価金属塩に徐放性を持たせるために、多価金属塩をポリビニルアルコールでコーティングするという技術思想に至った。しかしながら、特許文献3のごとくポリビニルアルコール水溶液と無機塩類とを混合するとポリビニルアルコール自体が塩析してしまうため、多価金属塩をコーティングするという目的が達成できない。
本発明は、上記課題を解決し、多価金属塩のうち特にリン酸イオンとの反応性に富み、リン分を固体化できる鉄塩又はアルミニウム塩に徐放性を持たせることのできる、鉄塩又はアルミニウム塩と水溶性樹脂とを含む固形リン除去剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、(1)次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法である。
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩に、(a)にて得た樹脂溶液を加熱雰囲気でスプレーコーティングし、乾燥物とする工程、
(c)(b)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。
また、本発明は、(2)次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法である。
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩と、多糖類とを混合する工程、
(c)(b)にて得た鉄塩又はアルミニウム塩、及び多糖類の混合物に、(a)にて得た樹脂溶液を加熱雰囲気でスプレーコーティングし、乾燥物とする工程、
(d)(c)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。
さらに、本発明は、(3)水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂である上記(1)又は(2)に記載の固形リン除去剤の製造方法である。
また、本発明は、(4)溶媒が水及びアルコール系溶媒、又は水、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒である上記(3)に記載の固形リン除去剤の製造方法である。
また、本発明は、(5)次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法である。
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩と、(a)にて得た樹脂溶液とを混ぜて混合液(または懸濁液)とする工程、
(c)(b)にて得た混合液を加熱雰囲気部位にスプレードライングし、乾燥物とする工程、
(d)(c)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。
また、本発明は、(6)次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法である。
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩と、多糖類とを混合する工程、
(c)(b)にて得た鉄塩又はアルミニウム塩、及び多糖類との混合物と、(a)にて得た樹脂溶液とを混ぜて混合液(または懸濁液)とする工程、
(d)(c)にて得た混合液を加熱雰囲気部位にスプレードライングし、乾燥物とする工程、
(e)(d)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。
さらに、本発明は、(7)水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂である上記(5)又は(6)に記載の固形リン除去剤の製造方法である。
また、本発明は、(8)溶媒が水及びアルコール系溶媒、又は水、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒である上記(7)に記載の固形リン除去剤の製造方法である。
なお、ポリビニルアルコール系樹脂とは、水酸基、水酸基及びアセチル基、又は水酸基、アセチル基及びアセタール基を有するポリビニルアルコール樹脂を指す。
本発明の固形リン除去剤の別法による製造方法は、水溶性樹脂を溶媒に溶解して樹脂溶液とし、この樹脂溶液と鉄塩又はアルミニウム塩とを混ぜて混合液とした後、この混合液を加熱雰囲気部位にスプレーし乾燥物とし、その乾燥物を圧縮成形し固形リン除去剤とするものであり、この方法によっても徐放性を有する固形リン除去剤を容易に得ることができる。また、鉄塩又はアルミニウム塩の他に多糖類を加えることによって、さらに徐放性を高めることができる。
固形リン除去剤の製造方法を説明する前に、本発明の製造方法によって得られる固形リン除去剤について説明する。固形リン除去剤の最大の特徴は、排水中のリン酸イオンと反応して不溶性又は難溶性の塩を形成する多価金属塩に対して溶解速度を遅らせる、すなわち徐放性を付与したことである。そして、その固形リン除去剤の主成分は、多価金属塩である鉄塩又はアルミニウム塩と、これら多価金属塩をコーテイングしている水溶性樹脂からなっている。また、上記の主成分の他にさらに結合剤として多糖類を加えたものからもなっている。
先ず、水溶性樹脂を水と有機溶媒との混合溶媒に溶解して樹脂溶液を作製する。溶解の際、混合溶媒に水溶性樹脂を分散させてから、80〜90℃に加熱しながら溶解させることが好ましい。一方、別に準備する鉄塩又はアルミニウム塩は粉状に粉砕化したものを用いることが好ましい。
先ず、水溶性樹脂を水と有機溶媒との混合溶媒に溶解して樹脂溶液を作製する。溶解の際、混合溶媒に水溶性樹脂を分散させてから、80〜90℃に加熱しながら溶解させることが好ましい。
図1に示した製造方法に従って固形リン除去剤を製造した。鉄塩には硫酸第一鉄七水和物(関東化学株式会社、試薬1級)を、水溶性樹脂には完全ケン化型のポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学工業株式会社、ゴーセノールNLタイプ)を用いた。また、前記硫酸第一鉄七水和物の粉体に対して樹脂溶液を加熱雰囲気でスプレーコーティングする装置には、回転動する加熱パン型造粒装置(アズワン株式会社、DPZ−01型)を用いた。スプレーコーティングした後の乾燥物は、最終的に硫酸第一鉄七水和物として100重量部、ゴーセノールNLタイプ6重量部となるように配合した。
ゴーセノールNLタイプを水(60)/IPA(イソプロピルアルコール、40)(容量比)の混合溶媒に加えて分散させ、80〜90℃に加熱しながら溶解した後、この樹脂溶液をハンド式のスプレー容器に充填した。なお、樹脂溶液中のゴーセノールNLタイプは2重量部にした。
(スプレーコーティング)
加熱パン型造粒装置の皿は適度に傾斜させ、この皿に粉体を入れて回転させた。そして、この粉体に向けて樹脂溶液の全量を間欠的にスプレーした。この際、皿温度は約95℃に設定した。これによって、スプレーした樹脂溶液中の溶媒を蒸発させ、ゴーセノールNLタイプでコーティングされた硫酸第一鉄塩の乾燥物を得た。
(圧縮成形)
得られた乾燥物5gを用いて、ハンドプレス型錠剤成形器により成形圧40MP(製品圧)aで圧縮成形し、直径20mm、高さ約10.5mmの円柱状のタブレット、すなわち固形リン除去剤を得た。
図2に示した製造方法に従って固形リン除去剤を製造した。鉄塩および水溶性樹脂は実施例1と同じ硫酸第一鉄七水和物、ゴーセノールNLタイプを用いた。硫酸第一鉄七水和物と混合する多糖類には、デキストリン(関東化学株式会社、試薬1級)を用い、両者を粉砕、混合した。スプレーコーティングした乾燥物は、最終的に硫酸第一鉄七水和物として100重量部、デキストリン9重量部、ゴーセノールNLタイプ6重量部となるように配合した。そして、上記(樹脂溶液)、(スプレーコーティング)、(圧縮成形)は、実施例1と同様に行い、直径20mm、高さ約10.5mmの円柱状のタブレット、すなわち固形リン除去剤を得た。
図3に示した製造方法に従って固形リン除去剤を製造した。鉄塩および水溶性樹脂は実施例1と同じ硫酸第一鉄七水和物、ゴーセノールNLタイプを用いた。また、加熱雰囲気部位には、スプレードライング装置(ヤマト科学株式会社、GS310型)を用いた。スプレードライングした後のゴーセノールNLタイプでコーティングされた乾燥物は、最終的に硫酸第一鉄七水和物として100重量部、ゴーセノールNLタイプ6重量部となるように配合した。
ゴーセノールNLタイプを水(60)/IPA(イソプロピルアルコール、40)(容量比)の混合溶媒に加えて分散させ、80〜90℃に加熱しながら溶解した。なお、樹脂溶液中のゴーセノールNLタイプは0.9重量部にした。
(混合液)
上記樹脂溶液に硫酸第一鉄七水和物を15重量部になるように分散させ、混合液(または懸濁液)とした。
(スプレードライング)
スプレードライング装置では、乾燥チャンバに取り付けた2流体ノズルの一方に定量ポンプを用いて上記混合液を供給し、もう一方のノズルに窒素ガスを供給して、この窒素ガスの噴出力で混合液を霧状にスプレーした。乾燥チャンバの入口温度は140℃、出口温度を80℃になるように温度調整をした。スプレーされた霧滴中の溶媒は蒸発するため、ゴーセノールNLタイプでコーティングされた粒子が残り、この粒子を乾燥チャンバと連結されているサイクロンで回収して乾燥物を得た。
得られた乾燥物5gを用いて、ハンドプレス型錠剤成形器により成形圧40MPa(製品圧)で圧縮成形し、直径20mm、高さ約10.5mmの円柱状のタブレット、すなわち固形リン除去剤を得た。
図4に示した製造方法に従って固形リン除去剤を製造した。鉄塩および水溶性樹脂は実施例1と同じ硫酸第一鉄七水和物、ゴーセノールNLタイプを用いた。硫酸第一鉄七水和物と混合する多糖類には、実施例2と同じデキストリンを用いた。スプレードライングした後の乾燥物は、最終的に硫酸第一鉄七水和物として100重量部、デキストリン9重量部、ゴーセノールNLタイプ6重量部となるように配合した。そして、上記(樹脂溶液)は実施例3と同様にした。また、上記(混合液)は、上記樹脂溶液に硫酸第一鉄七水和物15重量部、デキストリン1.4重量部となるように分散させた。そして、上記(スプレードライング)、(圧縮成形)は、実施例3と同様に行い、直径20mm、高さ約10.5mmの円柱状のタブレット、すなわち固形リン除去剤を得た。
実施例1と同じ硫酸第一鉄七水和物よび実施例2と同じデキストリンを合せ、乳鉢で粉砕、混合した。配合割合は、硫酸第一鉄七水和物として100重量部、デキストリン9重量部とした。この混合粉体5gをハンドプレス型錠剤成形器により、圧力40MPa(製品圧)で圧縮成形して、直径20mm、高さ約10.5mmの円柱状のタブレットを得た。
幅23mm、長さ60mmの塩化ビニル製トレイに、上記実施例1、2、3、4及び
比較例1で作製したタブレットを各試験ごとに置き、トレイの上流側から水道水10ml/minを定量ポンプにより10分間連続供給した。このとき、タブレットの下端部から2mm程度の高さまでが水道水と接触した。タブレットと接触した後、トレイから流れ出る流出水全量を容器で受けた。そして、流出水中に溶解した鉄イオン濃度を測定し、タブレット中の鉄分の含有率からタブレットの溶解重量を算出した。タブレットの溶解試験結果を表1に示した。なお、鉄イオン濃度の測定には、デジタル簡易水質計(株式会社共立理化学研究所、Λ−8000型)を用いた。
Claims (8)
- 次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法、
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩に、(a)にて得た樹脂溶液を加熱雰囲気でスプレーコーティングし、乾燥物とする工程、
(c)(b)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。 - 次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法、
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩と、多糖類とを混合する工程、
(c)(b)にて得た鉄塩又はアルミニウム塩、及び多糖類の混合物に、(a)にて得た樹脂溶液を加熱雰囲気でスプレーコーティングし、乾燥物とする工程、
(d)(c)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。 - 水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂である請求項1又は請求項2に記載の固形リン除去剤の製造方法。
- 溶媒が水及びアルコール系溶媒、又は、水、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒である請求項3に記載の固形リン除去剤の製造方法。
- 次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法、
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩と、(a)にて得た樹脂溶液とを混ぜて混合液とする工程、
(c)(b)にて得た混合液を加熱雰囲気部位にスプレードライングし、乾燥物とする工程、
(d)(c)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程、 - 次ぎの製造工程を経て作製される固形リン除去剤の製造方法、
(a)水溶性樹脂を溶媒に溶解し、樹脂溶液とする工程、
(b)鉄塩又はアルミニウム塩と、多糖類とを混合する工程、
(c)(b)にて得た鉄塩又はアルミニウム塩、及び多糖類との混合物と、(a)にて得た樹脂溶液とを混ぜて混合液とする工程、
(d)(c)にて得た混合液を加熱雰囲気部位にスプレードライングし、乾燥物とする工程、
(e)(d)にて得た乾燥物を圧縮成形し、固形リン除去剤とする工程。 - 水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂である請求項5又は請求項6に記載の固形リン除去剤の製造方法。
- 溶媒が水及びアルコール系溶媒、又は、水、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒である請求項7に記載の固形リン除去剤の製造方法。
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