以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図1及び図2は本発明に係る球戻り防止装置が適用された弾球遊技機としてのパチンコ機1を示す図であり、図3は本発明に係る球戻り防止装置30,130をパチンコ機1の遊技盤6上に取付けた状態を示す図である。そして、図4〜図11はこのパチンコ機1に取付けられた第1形態に係る球戻り防止装置30の構成を示す図、図12〜図18はパチンコ機1に取付けられた第2形態に係る球戻り防止装置130の構成を示す図である。詳細には、図4は球戻り防止装置30の全体を示す正面斜視図、図5は球戻り防止装置30からカバー部材60を取り外した状態を示す正面斜視図、図6は球戻り防止装置30の一部分解正面斜視図、図7はカバー部材60単体の背面斜視図、図8は揺動部材70単体の背面図、図9は球戻り防止装置30を図3における矢視IX−IXより見た断面図、図10は揺動部材70を図9における矢視X−Xから見た断面図、図11(A)は揺動部材70が閉止状態にあるときの図10に相当する図、図11(B)は揺動部材70が遊技球に押圧されて時計回り方向に揺動した状態を示す図10に相当する図である。また、図12は第2形態に係る球戻り防止装置130の全体を示す正面斜視図、図13は球戻り防止装置130からカバー部材60を取り外した状態を示す正面斜視図、図14は球戻り防止装置130の一部分解正面視斜視図、図15は揺動部材170単体の背面図、図16は球戻り防止装置130を図3における矢視IX−IX相当から見た断面図、図17は球戻り防止装置130を図16における矢視XVII−XVIIから見た断面図、図18は球戻り防止装置130を図16における矢視XVIII−XVIIIから見た断面図である。
図1及び図2に示すようにパチンコ機1は正面視において縦長の矩形形状を有しており、奥行き寸法は正面視寸法に比して小さく、図示しない遊技島と呼ばれる室内設置枠に立設姿勢に保持された状態で遊技に供される。このパチンコ機1は外郭を形作る方形枠状の外枠2の前側開口域に前枠3が取付けられており、正面視左側に設けられた上下のヒンジ4a,4bによって開閉自在となっている。前枠3内には遊技盤6を収容した方形枠状の収納枠5が取付けられており、遊技盤6はゲームの内容に併せて交換できるように、収容枠5に対して着脱自在となっている。
前枠3の前面には中央の矩形開口部8aを覆うように嵌め込まれたガラス7を有したガラス扉8が取付けられており、正面視左側に設けられた図示しないヒンジによって開閉自在となっている。前枠3の下方には上球皿9、更にその下方には下球皿10が取付けられており、それぞれ正面視左側に設けられた図示しないヒンジによって開閉自在となっている。前枠3の外枠2に対する固定及びガラス扉8の前枠3に対する固定は、ガラス扉8の正面右側に鍵差込口を有する施錠装置11の施錠動作により行うことができ、上球皿9及び下球皿10はガラス扉8を前枠3に対して固定したときに、ガラス扉8と前枠3との間に挟持されて固定されるようになっている。収納枠5の裏側には裏セット盤12が設置されており、ここには賞球貯留タンク13や図示しない遊技球払い出し機構、制御装置等その他の構成部品が取付けられている。
下球皿10の右側には操作ハンドル14が前方(遊技者側)に延びて設けられている。遊技者がこの操作ハンドル14に触れると、パチンコ機1内に内蔵された図示しない打球発射機構によって遊技球が次々と打球発射される。打球発射機構によって打球発射された遊技球は遊技盤6の下方から正面視左方を通って上方に円弧状に延びて設けられた外レール15a及び外レール15aの内周側領域を外レール15aに沿って遊技盤6の下方から正面視左上方にかけて延びるように設けられた内レール15bからなる発射レール15にガイドされ、発射レール15における遊技球の出口開口16(内レール15bの上端部付近がこれに相当する)から遊技盤6上に形成された遊技領域18(図1参照)内に放出される。
遊技領域18内に発射された遊技球が入賞口に落入して入賞すると、その入賞状況に応じた所定数の遊技球が賞球として図示しない遊技球払出機構により上球皿9内に払い出されることになるが、発射レール15を通って出口開口16から放出された遊技球を遊技領域18のどの位置に落下させるかは操作ハンドル14の捻り操作量(捻り角度)によって調節する。すなわち、遊技領域18の正面視右方領域まで到達させるようにするためには操作ハンドル14の捻り操作量を大きくして大きな叩打力で遊技球を打ち出せばよく、遊技領域18の正面視左方領域に落下させるようにするためには操作ハンドル14の捻り操作量を小さくして小さな叩打力で遊技球を打ち出せばよい。但し、操作ハンドル14の捻り操作量が小さ過ぎる(叩打力が小さ過ぎる)場合には遊技球が出口開口16より飛び出すことができずに発射レール15内を下方に逆戻りすることがあり、操作ハンドル14の捻り操作量が大き過ぎる(叩打力が大き過ぎる)場合には遊技盤6の右方上部に設けられたゴムクッション19に衝突して発射レール15側に跳ね返されることがある。
図3に示すように、発射レール15における遊技球の出口開口16の近傍位置には球戻り防止装置30(130)が備えられている。この球戻り防止装置30(130)は、発射レール15内を通って出口開口16から遊技領域18内に放出された遊技球が、遊技盤6上に設置された上記ゴムクッション19等において跳ね返って出口開口16から発射レール15内に戻ってしまい、その戻り球が新たに打ち出した遊技球と衝突してしまうようなことがないようにするために設けられている。以下、この球戻り防止装置30(130)の構成について説明する。
先ず、第1形態に係る球戻り防止装置30について説明する。この第1形態に係る球戻り防止装置30は、図3及び図4に示すように、遊技盤6上における内レール15bの上端部下方に固定された揺動部材支持体40と、この揺動部材支持体40に支持されて遊技盤6と平行な面内で揺動可能な揺動部材70とを有して構成される。また、揺動部材支持体40は遊技盤6上に固定されたベース部材50と、ベース部材50に取付けられたカバー部材60とから構成される。
ベース部材50は、図3〜図6に示すように、全体として細長く、かつ遊技盤6の左上方に凸となるようにカーブした形状をしており、両端部にはベース部材50を遊技盤6上に固定するための固定螺子B1(図3参照)が挿入される固定螺子挿入穴51が設けられており、中央部にはカバー部材60側に突出して延びたベース部材側突起52が設けられている。また、ベース部材側突起52を挟む位置それぞれにはカバー部材60を取付けるためのカバー部材取付け螺子B2が挿入されるカバー部材取付け螺子挿入穴53と、カバー部材60をベース部材50に取付ける際に、カバー部材60に設けられた後述の位置決め突起64が挿入される位置決め突起挿入穴54とが設けられている。
カバー部材60は、図3、図4、図6及び図7に示すように、ベース部材50の中間部に沿った細長い形状をしており、外周縁の一部からはベース部材50側に向かって側壁61が延出し、中央部にはベース部材50側に向けて突出して延びたカバー部材側突起62が設けられている。また、このカバー部材側突起62を挟む位置それぞれにはベース部材50のカバー部材取付け螺子穴53に挿通されたカバー部材取付け螺子B2の凸条と螺合する凹条を内周面に有した円筒状の螺子受部63と、カバー部材60をベース部材50に取付ける際に、ベース部材50に設けられた上記位置決め突起挿入穴54に先端部が挿入される円筒状の位置決め突起64がベース部材50側に突出して延びて設けられている。
揺動部材70は、図5、図6、図8及び図9に示すように、内部に揺動軸挿通穴72が形成された内筒部71a及びこの内筒部71aの外周を取り囲むように形成された外筒部71bを有した基部71(内筒部71aと外筒部71bとの間には円筒状空間71cが形成されている。図8参照)と、この基部71より外筒部71bの半径方向外方(上方)に直線状に延びて設けられた細長形状の開閉部75と、基部71より開閉部75とはほぼ反対の方向(下方)に(但し、やや正面視左方に屈曲して)延びて設けられた延設部76と、この延設部76に着脱自在に取付けられた金属製の錘78とを有して構成される。延設部76の中央部には、カバー部材60側に開口する錘取付け穴77aを有した円筒部77(図8及び図9参照)が形成されており、錘取付け穴77aの内周面に設けられた凹条に、錘78の外周面に設けられた凸条が螺合されることによって、錘78が錘取付け穴77aに(すなわち延設部76に)取付けられている。
球戻り防止装置30を組み立てるには、先ず、ベース部材50に設けられたベース部材側突起52を揺動部材70の揺動軸挿通穴72に挿入する。これによりベース部材側突起52の先端部は揺動軸挿通穴72の深さの半分程度にまで至る(図9参照)。続いてカバー部材60をベース部材50に取付けるが、このときカバー部材60に設けられたカバー部材側突起62が揺動部材70の揺動軸挿通穴72内にベース部材側突起52とは反対の側から挿入されるようにするとともに、2つの位置決め突起64の先端部がベース部材50に設けられた位置決め突起挿入穴54内に挿入されるようにする。また、揺動部材70の延設部76はカバー部材60の側壁61により囲まれる空間65内に収まるようにし(図10参照)、開閉部75がカバー部材60の外部に突出して延びるようにする(図4参照)。
上記工程により、揺動部材70の揺動軸挿通穴72内に挿入されたベース部材側突起52とカバー部材側突起62とは揺動軸挿通穴72の内部で互いに離間した状態で先端部同士を対向させた状態となる。そして、これら両突起52,62によって、遊技盤6の表面に対して垂直方向に延びた揺動軸41が形成され、この揺動軸41によって揺動部材70が揺動自在に支持される(図9参照)。なお、揺動軸挿通穴72内には予め金属製のブシュ73が嵌挿されており(図6及び図9参照)、揺動部材70が揺動軸41まわりに揺動することによって生じる揺動軸41の(ベース部材側突起52及びカバー部材側突起62の)の表面の磨耗が低減されるようになっている。
ここまでの工程が終了したら、カバー部材取付け螺子B2をベース部材50の裏面側からカバー部材取付け螺子挿入穴53に挿通し、カバー部材60側の螺子受部63内に捻じ込む。これによりベース部材50とカバー部材60とは結合され、揺動部材70は揺動軸41を中心に、延設部76がカバー部材60の側壁61により囲まれる空間65内において動き得る範囲で揺動自在な状態となる(図4及び図9参照)。ここで、ベース部材側突起52の基部には突起52よりも若干外径が大きい円形の台座52a(図6参照)が設けられるとともに、カバー部材側突起62の基部には突起62よりも若干外径が大きい円形の台座62a(図7参照)が設けられており、揺動部材70は両突起52,62により支持された状態では両台座52a,62aとのみ接触し、ベース部材50及びカバー部材60からわずかに浮いた状態となるので(図9参照)、摩擦の小さい状態で滑らかに揺動することが可能となる。
揺動部材70は上記のように揺動部材支持体40に形成された揺動軸41まわりに揺動可能であり、延設部76がカバー部材60の側壁61により囲まれる空間65内において動き得る範囲で揺動自在であるが、反時計回り方向への揺動は、延設部76の右側面に設けられた右側平坦部76aがカバー部材60の側壁61の右部(右側壁61a)に左方から当接したところで制限され、時計回り方向への揺動は、延設部76の左側面に設けられた左側平坦部76bがカバー部材60の側壁61の左部(左側壁61b)に右方から当接したところで制限される。すなわち揺動部材70は、延設部76の右側平坦部76aをカバー部材60の右側壁61aに左方から当接させる位置(これを非揺動位置とする)と、延設部76の左側平坦部76bをカバー部材60の左側壁61bに右方から当接させる位置(これを最大揺動位置とする)との間で揺動することが可能である。
このようにして組み立てられた球戻り防止装置30は、図3に示すように、揺動部材70が非揺動位置に位置して開閉部75が内レール15bの上端部の右方をほぼ鉛直方向に延び、かつ開閉部75の上端部が外レール15aと内レール15bとの間のほぼ中間の高さに位置するように遊技盤6上に取付けられる。球戻り防止装置30が遊技盤6の上記所定位置に取付けられた状態では、揺動部材70の開閉部75は発射レール15における遊技球の出口開口16を閉止した状態となる。なお、球戻り防止装置30の遊技盤6上への取付けは、ベース部材50に設けられた2つの固定螺子挿入穴51から固定螺子B1を遊技盤6に捻じ込むことによってなされる。
球戻り防止装置30が遊技盤6上の所定位置に取付けられた状態では、延設部76の右側面に設けられた右側平坦部76aをカバー部材60の右側壁61aに左方から当接させた非揺動位置に位置しているので(図11(A)参照)、この位置から反時計回り方向へは揺動することができず、時計回り方向への揺動のみが許容される。そして、その時計回り方向への揺動限界は、延設部76の左側面に設けられた左側平坦部76bをカバー部材60の左側壁61bに右方から当接させるまで(最大揺動位置に至るまで)となる(図11(B)参照)。
図10に示すように、揺動部材70には、自重により生ずる揺動軸41まわりのモーメントMが作用するが、この揺動部材70に作用する揺動軸41まわりのモーメントMは、揺動部材70全体の重量をm、揺動部材70の重心Gと揺動軸41の中心とを結ぶ直線L1と揺動軸41の中心を通る鉛直軸VLとのなす角をφ、揺動部材70の重心Gと揺動軸41の中心との間の距離をsとしたとき、式M=mssinφにより表すことができる。ここで、球戻り防止装置30は上記のように、揺動部材70が延設部76の右側平坦部76aをカバー部材60の右側壁61に左方から当接させた非揺動位置に位置した状態で遊技盤6上に取付けられるので、揺動部材70の重心Gは揺動部材70の姿勢によらず、常に、揺動軸41よりも下方、かつ揺動軸41の中心を通る鉛直軸VLよりも左方に位置するようになる。このため、揺動部材70には常に、自重により生ずる反時計回り方向のモーメントMが作用し、揺動部材70はこのモーメントMによって常に非揺動位置に向く方向の(すなわち発射レール15における遊技球の出口開口16が閉止される方向の)付勢力を受けることになる。なお、揺動部材70が非揺動位置から時計回り方向に揺動すると揺動部材70の重心Gは上昇するので、揺動部材70に作用する反時計回り方向のモーメントMは増大し、従って揺動部材70を非揺動位置側へ付勢する付勢力も増大することになる。
球戻り防止装置30が遊技盤6上の所定位置に取付けられた状態では、上記のように揺動部材70は非揺動位置に位置し、この姿勢(鉛直姿勢)から反時計回り方向に揺動することはできないので、遊技領域18内の遊技球がゴムクッション19等において跳ね返り、揺動部材70の開閉部75に右方から衝突してこれを左方向(反時計回り方向)に押圧したとしても揺動部材70はその方向へは揺動できず、非揺動位置の姿勢が保持されるので、遊技領域18からの戻り球(遊技球)は揺動部材70の開閉部75によって遊技領域18内に弾き出される。その一方で、揺動部材70は、発射レール15内を通ってきた遊技球Bにより開閉部75が右方向(時計回り方向)に押圧されたときには、その押圧力によって右方向へ揺動することになるので、出口開口16は開放され、遊技球Bは遊技領域18内へ放出される(図11(B)参照)。なお、図11(B)では揺動部材70は延設部76の左側平坦部76bをカバー部材60の左側壁61bに当接させた最大揺動位置をとっている様子を示しているが、これは遊技球の打球力が比較的大きいときの一例であって、遊技球により押圧された揺動部材70が常時このような最大揺動姿勢になるわけではない。
ここで、前述のように、揺動部材70に作用する揺動軸41まわりのモーメントMは、揺動部材70全体の重量m、揺動部材70の重心Gと揺動軸41の中心とを結ぶ直線L1と揺動軸41の中心を通る鉛直軸VLとのなす角をφ、揺動部材70の重心Gと揺動軸41の中心との間の距離をsとしてM=mssinφにより表すことができるので、錘78を含む揺動部材70全体の重量m或いは錘78を含む揺動部材70の重心Gの揺動軸41に対する位置を変えることによって、揺動部材70を出口開口70の閉止方向に付勢する付勢力の調整を行うことができる。揺動部材70全体の重量mの変更或いは揺動部材70の重心Gの揺動軸41に対する位置の変更は、具体的には錘78の重さを変更することによって行う(錘78を使用しない場合も含む)。この球戻り防止装置30では、錘78が揺動部材70の延設部76に対して着脱自在になっているので、錘78の重量の変更が容易であり、従って、揺動部材70を出口開口16の閉止方向に付勢する付勢力、すなわち揺動部材70の押しのけ力の調整を非常に容易に行うことが可能である。ここに示す戻り防止装置30では、1つの錘78のみが揺動部材70(の延設部76)に着脱自在に取付け得るようになっているが、複数の錘が揺動部材70の複数箇所に選択的に取付け可能になっているのであれば、揺動部材70全体の重量m及び揺動部材70の重心G位置の変更、すなわち揺動部材70の上記付勢力の調整が更に容易になる。なお、揺動部材70の上記付勢力が同じであっても、開閉部75の軸方向長さを変えることにより、打球発射時における揺動部材70の押しのけ力を変化させることは可能である(具体的には、開閉部75の軸方向長さを長くすれば、誘導部材70の押しのけ力は小さくなる)。
このように第1形態(本発明の第1の実施形態)に係る球戻り防止装置30は、遊技盤6上に固定された揺動部材支持体40と、この揺動部材支持体40に支持されて遊技球の出口開口16を閉止する位置と出口開口16を開放する位置との間で揺動自在な揺動部材70とからなっており、揺動部材70は、自重により生ずる揺動軸41まわりのモーメントMによって常時出口開口16の閉止方向に付勢され、発射レール15内を通ってきた遊技球により押圧されたときにその押圧力によって出口開口16の開放方向に揺動するようになっている。すなわちこの実施形態では、揺動部材を常時出口開口の閉止方向に付勢する付勢力は、揺動部材の自重により生ずる揺動軸まわりのモーメントによって得られるようになっており、このため、揺動部材70の重量及び揺動部材70の重心と揺動中心(揺動軸41)との位置関係を調節することによって、揺動部材70を出口開口16の閉止方向に付勢する付勢力、ひいては遊技球の打ち出し時に抵抗力となる揺動部材70の押しのけ力を極めて小さい値に設定することが可能であり、比較的弱い打球力で遊技球を打ち出す必要があるときであっても揺動部材70の押しのけ力を考慮する必要がなくなり、打球コントロールを従来に比べて容易なものとすることができる。また、従来の金属製の舌片部材を用いた構成と異なり、遊技球の打ち出し時における抵抗力を小さくしたために球戻り防止装置としての本来の機能が損なわれてしまうということがない。また、揺動部材70は着脱自在に取付け可能な錘78を有しており、錘78の重量又はその取付け位置を変えることによって揺動部材70の揺動軸41まわりのモーメントMを変化させることができるようになっているので、揺動部材70を出口開口16の閉止方向に付勢する付勢力の調整を容易に行うことが可能である。
次に、第2形態に係る球戻り防止装置130について説明する。この第2形態に係る球戻り防止装置130は、第1形態に係る球戻り防止装置30と同様に、遊技盤6上における内レール15bの上端部下方に固定された揺動部材支持体140と、この揺動部材支持体140に支持されて遊技盤6と平行な面内で揺動可能な揺動部材170とを有し、また揺動部材支持体140は遊技盤6上に固定されたベース部材150と、ベース部材150に取付けられたカバー部材60とから構成されるが(図12参照)、ベース部材150の一部の構成と揺動部材170の一部の構成とが、第1形態の球戻り防止装置30の場合と異なっている(図13及び図14参照)。以下の説明では、第1形態に係る球戻り防止装置30と同じ構成部品(或いは構成部分)については第1形態の場合と同じ符号を付してその機能等の説明は省略することにする。
第2形態に係る球戻り防止装置130のベース部材150は第1形態に係る球戻り防止装置30のベース部材50とほとんど同じであるが、図14に示すように、ベース部材側突起52の近傍位置に、ベース部材側突起52とほぼ平行に延びて設けられたベース部材側係止突起157を備えている点が、第1形態に係る球戻り防止装置30のベース部材50と異なる。
第2形態に係る球戻り防止装置130の揺動部材170は第1形態に係る球戻り防止装置30の揺動部材70と共通する部分が多いが、図13〜図15に示すように、第1形態に係る揺動部材70が備えていた錘78は有しておらず、従って延設部76には第1形態に係る揺動部材70が備えていた円筒部77(及び錘取付け穴77a)は設けられていない。
図15に示すように、揺動部材170の円筒状空間71c内には基部71からベース部材150側に突出して延びた4つの揺動部材側係止突起174(正面視時計回りの順に174a,174b,174c,174dとする)が設けられており、この円筒状空間71c内には、内筒部71aの外周を取り囲むようにコイルばね180(図14参照)が取付けられている(図16参照)。上記揺動部材側係止突起174の隣接するもの同士の間隔は、コイルばね180を構成する鋼棒の直径よりも若干大きくなっており、内筒部71aに挿設されたコイルばね180の一端部(揺動部材170側の端部)181はこれら4つの揺動部材側係止突起174の隣接するもの同士が形成する3つの突起間スペース(正面視時計回りの順に175a,175b,175cとする。図18参照)のいずれかに選択的に挿入(係止)可能となっている。また、コイルばね180の他端部(ベース部材150側の端部)182はベース部材150に形成された前述のベース部材側係止突起157に右方から当接(係止)されている(図16及び図18参照)。
球戻り防止装置130を組み立てるには、先ず揺動部材170の円筒状空間71c内にコイルばね180を挿入し、コイルばね180の一端部181を4つの揺動部材側係止突起174が形成する3つの突起間スペース175a,175b,175cのいずれかに挿入し、そのうえで、ベース部材150に設けられたベース部材側突起52を揺動部材170の揺動軸挿通穴72に挿入する。そして、揺動部材170を時計回り方向に回転させて、コイルばね180の他端部182がベース部材150に設けられたベース部材側係止突起157に当接するようにする。なお、上記のようにベース部材側突起52を揺動部材170の揺動軸挿通穴72に挿入することにより、ベース部材側突起52の先端部は揺動軸挿通穴72の深さの半分程度にまで至る(図16参照)。
続いてカバー部材60をベース部材150に取付けるが、このときカバー部材60に設けられたカバー部材側突起62が揺動部材170の揺動軸挿通穴72内にベース部材側突起52とは反対の側から挿入するようにするとともに、2つの位置決め突起64の先端部がベース部材150に設けられた位置決め突起挿入穴54に挿入されるようにする。また、揺動部材170の延設部76はカバー部材60の側壁61により囲まれる空間65内に収まるようにし(図17参照)、開閉部75がカバー部材60の外部に突出して延びるようにする。なお、上記のように揺動部材170を時計回り方向に回転させてコイルばね180の他端部182をベース部材側係止突起157に当接させた(このときコイルばね180はまだ捻り変形をしていない)状態では、揺動部材170の延設部76は上記空間65の外側に位置するようになっているので、揺動部材170の延設部76を上記空間65内に収まるようにするためには、コイルばね180のばね力に抗して揺動部材170を時計回り方向に回転させた状態にしておく必要がある。なお、これによりコイルばね180には揺動部材170を反時計回り方向に付勢する初期捻り変形が与えられる。
上記工程により、揺動部材170の揺動軸挿通穴72内に挿入されたベース部材側突起52とカバー部材側突起62は揺動軸挿通穴72の内部で先端部同士を対向させた状態となる。そして、これら両突起52,62によって、遊技盤6の表面に対して垂直方向に延びた揺動軸41が形成され、この揺動軸41によって揺動部材170が揺動自在に支持される(図16参照)。なお、第1形態の場合と同様、揺動軸41の外表面の磨耗を低減するため、揺動軸挿通穴72内には予め金属製のブシュ73が嵌挿される。
ここまでの工程が終了したら、カバー部材取付け螺子B2をベース部材150の裏面側からカバー部材取付け螺子挿入穴53に挿通し、カバー部材60の螺子受部63内に捻じ込む。これによりベース部材150とカバー部材60とは結合され、揺動部材170は揺動軸14を中心に、延設部76がカバー部材60の側壁61により囲まれる空間65内において動き得る範囲で揺動自在な状態となる(図12及び図16参照)。ここで揺動部材170は両突起52,62により支持された状態では両台座52a,62aとのみ接触し、ベース部材150及びカバー部材60からわずかに浮いた状態となるので(図16参照)、第1形態の場合と同様に、摩擦の小さい状態で滑らかに揺動することが可能となる。
揺動部材170は上記のように揺動部材支持体140に形成された揺動軸41まわりに揺動可能であり、延設部76がカバー部材60の側壁61により囲まれる空間65内において動き得る範囲で揺動自在であるが、反時計回り方向への揺動は、延設部76の右側面に設けられた右側平坦部76aがカバー部材60の右側壁61aに左方から当接したところで制限され、時計回り方向への揺動は、延設部76の左側面に設けられた左側平坦部76bがカバー部材60の左側壁61bに右方から当接したところで制限される。すなわち揺動部材170は、延設部76の右側平坦部76aをカバー部材60の右側壁61aに左方から当接させる位置(非揺動位置)と、延設部76の左側平坦部76bをカバー部材60の左側壁61bに右方から当接させる位置(最大揺動位置)との間で揺動することが可能である。
このようにして組み立てられた球戻り防止装置130は、第1形態における球戻り防止装置30の場合と同様、図3に示すように、揺動部材170が非揺動位置に位置して開閉部75が内レール15bの上端部の右側領域をほぼ鉛直方向に延び、かつ開閉部75の上端部が外レール15aと内レール15bとのほぼ中間の高さに位置するように遊技盤6上に取付けられる。球戻り防止装置130が遊技盤6の上記所定位置に取付けられた状態では、揺動部材170の開閉部75は発射レール15における遊技球の出口開口16を閉止した状態となる。
球戻り防止装置130が遊技盤6上の所定位置に取付けられた状態では、延設部76の右側面に設けられた右側平坦部76aをカバー部材60の右側壁61aに左方から当接させた非揺動位置に位置しているので(図11(A)参照)、この位置から反時計回り方向へは揺動することができず、時計回り方向への揺動のみが許容される。そして、その時計回り方向への揺動限界は、延設部76の左側面に設けられた左側平坦部76bをカバー部材60の左側壁61bに右方から当接させるまで(最大揺動位置に至るまで)となる(図11(B)参照)。
前述のように、コイルばね180には球戻り防止装置130の組み立て工程において、揺動部材170を反時計回り方向へ付勢する初期捻り変形が与えられるので、揺動部材170は常時コイルばね180から反時計回り方向の(すなわち発射レール15における遊技球の出口開口16が閉止される方向の)付勢力を受けることになり、このコイルばね180から受ける付勢力によって揺動部材170は常に非揺動位置を保持しようとする。そして、開閉部75に時計回り方向への外力が与えられたときには、コイルばね180の付勢力に抗して、揺動部材170が時計回り方向に揺動することになる。なお、揺動部材170が時計回り方向に揺動すると、コイルばね180の捻り変形量は大きくなるので、揺動部材170がコイルばね180から受ける反時計回り方向のモーメントMは増大することになる。
球戻り防止装置130が遊技盤6上の所定位置に取付けられた状態では、揺動部材170は非揺動位置に位置し、この姿勢(鉛直姿勢)から反時計回り方向に揺動することはできないので、遊技領域18内の遊技球がゴムクッション19等において跳ね返り、揺動部材170の開閉部75に右方から衝突してこれを左方向(反時計回り方向)に押圧したとしても揺動部材170はその方向へは揺動できず、非揺動位置の姿勢が保持されるので、遊技領域18からの戻り球(遊技球)は揺動部材170の開閉部75によって遊技領域18内に弾き出される。その一方で、揺動部材170は、発射レール15内を通ってきた遊技球により開閉部75が右方向(時計回り方向)に押圧されたときには、その押圧力によって(コイルばね180の付勢力に抗して)右方向へ揺動することになるので、出口開口16は開放され、遊技球は遊技領域18内へ放出される(図11(B)参照)。なお、時計回り方向に揺動した揺動部材170が常に最大揺動姿勢になるとは限らないのは、第1形態に係る球戻り防止装置30の場合と同様である。
ここで、前述のように、コイルばね180の一端部(揺動部材170側の端部)181は3つの突起間スペース175a,175b,175cのいずれかに選択的に取付けることができ、コイルばね180の一端部181を取付ける突起間スペースを変えることができるが、これによってコイルばね180の初期捻り変形量を変えることができるので、揺動部材170を反時計回りに(出口開口16の閉止方向に)付勢する付勢力を変化させることができる。具体的には、コイルばね180の一端部を突起間スペース175aに取付けるよりも突起間スペース175bに取付ける方が、また突起間スペース175bに取付けるよりも突起間スペース175cに取付ける方が初期捻り変形量は大きくなるので、揺動部材170を出口開口16の閉止方向に付勢する付勢力を大きくすることができる。また、ばね定数の異なるたのコイルばねに取り替えることによっても、揺動部材70を出口開口16の閉止方向に付勢する付勢力を変化させることが可能である。なお、付勢力が同じであっても、開閉部75の軸方向長さを変えることによって、打球発射時における揺動部材170の押しのけ力を変化させることが可能であるのは第1形態に係る球戻り防止装置30の場合と同様である。
このように第2形態(本発明の第2の実施形態)に係る球戻り防止装置130は、遊技盤6上に固定された揺動部材支持体140と、この揺動部材支持体140に支持されて出口開口16を閉止する位置と出口開口16を開放する位置との間で揺動自在な揺動部材170と、揺動部材170を出口開口16の閉止方向に付勢するばね部材(コイルばね180)とからなっており、揺動部材170はばね部材により常時出口開口16の閉止方向に付勢され、発射レール15内を通ってきた遊技球により押圧されたときにその押圧力によって出口開口16の開放方向に揺動するようになっている。すなわち本実施形態では、揺動部材170を常時出口開口16の閉止方向に付勢する付勢力は、ばね部材の弾性力(復元力)によって得られるようになっており、このため、ばね部材の特性(ばね定数など)やばね部材の取付け位置を調節することによって、揺動部材170を出口開口16の閉止方向に付勢する付勢力、すなわち遊技球の打ち出し時に抵抗力となる揺動部材170の押しのけ力を極めて小さい値に設定することが可能であり、比較的弱い打球力で遊技球を打ち出す必要があるときであっても揺動部材170の押しのけ力を考慮する必要がなくなり、打球コントロールを従来に比べて容易なものとすることができる。また、従来の金属製の舌片部材を用いた構成と異なり、遊技球の打ち出し時における抵抗力を小さくしたために球戻り防止装置としての本来の機能が損なわれてしまうということがない。
なお、この第2形態に係る球戻り防止装置130が備えるコイルばね180は、揺動部材170を常時出口開口16が閉止される方向に付勢する機能を有するものであるが、これは、上記機能を有するばね部材であれば、必ずしもコイルばねでなくてもよく、例えば板ばねや引っ張りばね等であってもよい。しかし、上記実施形態に示したように、このばね部材が揺動軸41と同心となるように設けられ、一端部(揺動部材側の端部181)が揺動部材170に係止され、他端部(ベース部材側の端部182)が揺動部材支持体140に(ベース部材側係止突起157に)係止されたコイルばねからなるのであれば、ばね部材の取付けが非常に簡単になり、また揺動部材170の付勢力調整も容易となる。
また、第1形態に係る球戻り防止装置30と第2形態に係る球戻り防止装置130の双方とも、揺動部材支持体40,140は、遊技盤6上に固定されたベース部材50,150とこのベース部材50,150に取付けられたカバー部材60とからなり、揺動部材70,170を揺動自在に支持する揺動軸41は、ベース部材50,150からカバー部材60側に突出して設けられたベース部材側突起52とカバー部材60からベース部材50,150側に突出して設けられたカバー部材側突起62とが先端部同士を対向させて形成されているので、揺動部材70,170の揺動を支持する機能を保持したまま揺動軸41の中間部を省くことができ、その分、材料の節約をすることが可能である。なお、上述の2つの実施形態では、ベース部材側突起52とカバー部材側突起62とはその先端部同士が離間した状態で対向する構成となっていたが、これは両突起52,62がその先端部同士を結合(嵌合)させた状態で対向する構成となっていてもよい。また、ベース部材側突起52とカバー部材側突起62をともに中空円筒状に形成し、これら両突起52,62を貫通するように設けたボルトがベース部材50(150)とカバー部材60との結合部品を兼ねる構成としてもよい。また、両突起52,62の基部に台座52a,62aを設けており、揺動部材70,170は両突起52,62により支持された状態では両台座52a,62aとのみ接触し、ベース部材50,150及びカバー部材60からわずかに浮いた状態となるので、摩擦の小さい状態で滑らかに揺動することが可能になっている。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、揺動部材70(又は170)の延設部76が揺動部材支持体40(又は140)側と当接することによってその揺動範囲が制限される構成であったが、これは延設部76以外の他の部分(例えば開閉部75の付け根)が揺動部材支持体40(140)に別途設けた突起等と当接することによって揺動範囲が制限される構成であってもよい。このような構成を採るのであれば、第2形態に係る球戻り防止装置130では、必ずしも延設部76を設ける必要はなくなる。
また、上述の実施形態では、本発明に係る球戻り防止装置が適用される対象はパチンコ機1であるとして説明したが、本発明の適用対象は打球発射機構より打球発射された遊技球を遊技盤上に設けられた発射レールによりガイドして遊技盤上の遊技領域内に放出する構成の弾球遊技機であればよく、アレンジボールや雀球等であってもよい。