JP2007086511A - 光学機能材料並びにその製造方法、光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

光学機能材料並びにその製造方法、光学補償シート、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】密着性及び良好な視野角特性を両立した光学機能材料(特に、光学補償シート)を提供すること。該光学補償シートを偏光膜の少なくとも一方に配置した偏光板、および該光学補償シートを具備した表示品位の高い液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】支持体上に配向膜を形成した後に、その上に液晶性化合物を含む液晶層塗布液を塗布して液晶層を形成してなる光学機能材料において、配向膜上に気相法による表面処理を施してから後に液晶層塗布液を塗布して形成されたことを特徴とする光学機能材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学機能材料、特に視野角補償能の大きな光学補償シートおよび該光学機能材料の製造方法に関する。さらに該光学補償シートを用いた偏光板、及び該偏光板を配置した液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、通常、液晶セル、偏光板および光学補償シート(位相差板)からなり、主として透過型液晶表示装置及び反射型液晶表示装置に大別される。
透過型液晶表示装置では、二枚の偏光板を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏光板との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の偏光板の順に配置する。
液晶セルは、通常、棒状液晶性分子、それを封入するための二枚の基盤および棒状液晶性部分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、棒状液晶性分子の配向状態の違いにより様々な表示モードが提案されており、透過型については、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferro electric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)等、反射型については、HAN(Hybrid Aligned Nematic)等が提案されている。
偏光板は、一般的に、偏光膜と透明保護膜とからなっている。該偏光膜は、一般的に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料の水溶液を含浸させ、さらにこのフィルムを一軸延伸することにより得られる。該偏光板はこの偏光膜の両側に二枚の透明保護膜を貼りつけた構成を有する。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、透明支持体上に液晶性分子(特にディスコティック液晶性分子)から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。光学異方性層は、液晶性分子を配向させ、その配向状態を固定化することにより形成する。一般に、重合性基を有する液晶性分子を用いて、重合反応によって配向状態を固定化する。液晶性分子は、大きな複屈折を有する。そして、液晶性分子には、多様な配向形態がある。液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折フィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記の表示モードの違いに応じて決定する。光学補償シートに液晶性分子、特にディスコティック液晶性分子を用いると液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。
ディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。
前記光学補償シートでは、液晶性分子の配向を制御することにより、適用する液晶セルに最適な光学的性質を制御することができる。具体的には、液晶性分子の固有複屈折率、膜厚、そして配向の態様(光学的に一軸的な配向、ハイブリッド配向、その場合の傾斜角分布、など)等により制御できる。
また、配向の制御には、液晶層の空気界面側と配向膜界面側の親疎水性の差が大きく影響し、これを自在に制御することができれば、光学補償シートの光学設計の幅を拡大することができる。従来、配向膜に用いられるポリマー、例えばポリビニルアルコール系の化合物を官能基で修飾した後に配向膜を塗布することにより、配向膜側の親疎水性を制御し、また、液晶層中に界面活性剤や配向制御剤、カイラル剤などを添加することにより、空気界面側の親疎水性を制御することがなされてきた。
透明支持体上に液晶性分子の配向を固定化した光学異方性層を設けた光学補償シートを製造する場合、透明支持体と光学異方性層の間に配向膜を設ける。この場合、透明支持体(通常は、セルロースアセテートフィルム)と配向膜との間の密着性が必要になる。又、配向膜の配向はラビング、電界印加、磁場印加、或は光照射等の処理により行われるが、配向膜上の微小なチリ等の付着が配向の均一性を損なってしまう。特に、ラビング処理では膜表面を擦るために静電気発生への対策が必要となる。こうしたことから、通常、配向膜は水溶性樹脂硬化膜が適用され、特にポリビニルアルコール系等の水酸基含有の樹脂と硬化剤からなる硬化膜が用いられる。
通常、透明支持体として用いられるセルロースアセテートフィルムは疎水性であるため、水溶性樹脂硬化膜とは親和性が悪く、これを解消するために、接着層としてゼラチン等の下塗り層を設ける(例えば、特許文献1参照)、或は透明支持体(特に、セルロースアセテートフィルム)表面をアルカリ鹸化処理して、支持体表面に密着性を付与して配向膜を設ける(例えば、特許文献2参照)等の方法が開示されている。然し、ゼラチン下塗り層を設ける場合には、支持体の膜厚を薄膜化すると下塗り層に含まれる塗布溶媒等の影響で均一な塗布が出来なくなる等の問題がある。
上記の様に塗設された水溶性樹脂硬化膜からなる配向膜は、迅速な硬化反応、製膜後の耐湿度依存性等が重要となる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂と2官能性アルデヒド化合物と共に酸化合物を併用した塗布液を塗布し硬化する方法(特許文献3参照)、変性ポリビニルアルコール及び硬化剤に酸を添加して酸性条件の塗布液を塗布し硬化する方法(特許文献4段落番号[0148]参照)等が提案されている。
特開平11−248940号公報 特開2002−302561号公報 特開平10−218938号公報 特開2000−155216号公報
然し、これらの技術を用いた場合、光学的な欠陥(例えば、白抜け現象等)が発生しやすく、特に長尺フィルムを製造すると実用に供しえる性能のものを得る得率が著しく低下するという課題があり、未だ充分とはいえない。
特に、近年、前記のような種々の液晶表示装置に対応できる光学補償シートとして、光学特性に優れ且つシート膜厚が薄膜のものが強く望まれている。
従って、本発明の目的は、密着性及び良好な視野角特性を両立した光学機能材料(特に、光学補償シート)を提供することである。
さらに本発明の他の目的は、該光学補償シートを偏光膜の少なくとも一方に配置した偏光板、および該光学補償シートを具備した表示品位の高い液晶表示装置を提供することである。
本発明の上記目的は、下記構成の光学機能材料並びにその製造方法、光学補償シート、該光学補償シートを用いた偏光板、更には該光学補償シートを配置した液晶表示装置により達成される。
(1)支持体上に配向膜を形成した後に、その上に液晶性化合物を含む液晶層塗布液を塗布して液晶層を形成してなる光学機能材料において、配向膜上に気相法による表面処理を施してから後に液晶層塗布液を塗布して形成されたことを特徴とする光学機能材料。
(2)前記配向膜が、ポリビニルアルコール及び/又は変性ポリビニルアルコールを主成分として含有する配向膜形成用組成物を塗布、乾燥してなる硬化膜であることを特徴とする上記(1)記載の光学機能材料。
(3)前記配向膜が、ポリイミドを主成分とすることを特徴とする上記(1)記載の光学機能材料。
(4)前記気相法による表面処理がプラズマ処理であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学機能材料。
(5)前記プラズマ処理における反応ガスが、ハロゲンを含む物質であることを特徴とする上記(4)記載の光学機能材料。
(6)前記気相法による表面処理が、グロー放電プラズマのアフターグロー領域において施されたことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光学機能材料。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光学機能材料であって、複屈折性を補償することを特徴とする光学補償シート。
(8)透明保護膜、偏光膜、上記(7)に記載の光学補償シートがこの順に積層されていることを特徴とする偏光板。
(9)偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板を、液晶セルの両側に配置したことからなる液晶表示装置において、液晶セルと偏光膜との間に配置される二枚の透明保護膜の少なくとも一方が、上記(7)に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
(10)支持体上に配向膜を形成した後に、その上に液晶性化合物を含む液晶層塗布液を塗布して光学異方性層を形成してなる光学機能材料の製造方法であって、支持体上に配向膜を形成した後に、該配向膜上に気相法による表面処理を施す工程を有することを特徴とする光学機能材料の製造方法。
(11)上記(10)に記載の光学機能材料の製造方法において、前記気相法による表面処理工程が、配向膜を施した支持体のラビング処理工程後に行われることを特徴とする光学機能材料の製造方法。
(12)前記支持体がフィルムであって、長尺方向に対して連続的に前記気相法による表面処理が施されることを特徴とする上記(10)または(11)に記載の光学機能材料の製造方法。
本発明の光学機能材料は、支持体、配向膜、及び液晶層がこの順に積層された層構成を有する。特に、該光学機能材料を光学補償シートとして用いる場合には、液晶層が光学異方性層として機能し、予め密着性を付与処理した透明支持体、配向膜、及び光学異方性層がこの順に積層された層構成を有することを特徴とする。
本発明の光学機能材料および光学補償シートは、配向膜上に非接触(気相)の表面処理を施したことを特徴とし、これにより上層である液晶層の液晶の配向性を制御する範囲を拡大することができる。
支持体上に塗設される配向膜に非接触の表面処理を施し、例えばフッ素により修飾することにより配向膜表面の疎水性を向上させることができ、液晶層の配向膜側のチルト角を上昇させることができる。配向膜塗設後の処理であるため、配向膜を塗布法で作成する場合には、塗布性の良い配向膜組成物で塗布し、その後の表面処理で物性を変化できるため、設計の自由度を挙げることが可能である。
本発明の光学補償シートは、偏光板、液晶ディスプレイに好適に用いられ、より広い視野角特性を得られる。また本発明の製造方法により、液晶層のチルト角をより広く制御することが可能となり、新規な光学機能材料を作成することが可能となる。
以下、本発明の光学機能材料並びにその製造方法、光学補償シート、該光学補償シートを用いた偏光板及び該偏光板を配置した液晶表示装置について詳しく説明する。
まず、光学機能材料及びその製造方法について説明する。本発明の光学機能材料は、前記した通り、支持体、配向膜、及び液晶層層がこの順に積層された層構成を有する。光学補償シートは、透明支持体を用い、透明支持体が有するレターデーション特性および液晶層の配向の制御によって得られる、光学機能材料の一態様である。
[支持体]
本発明の支持体は、平滑な塗布面を有する支持体であれば、ガラス、ポリマーフィルム、金属バンド、金属ドラム、金属の酸化物体など、いかなるものであっても構わない。塗布後に塗布層と支持体を剥がさずに用いる場合は、透明支持体であることが好ましく、その場合は、ガラス、もしくはポリマーフィルムのような透明なものであることが好ましく、その光透過率が70%以上、更に好ましくは80%以上であることが好ましい。光学補償シートとして用いる場合には、光透過率は80%以上、好ましくは90%以上であることが好ましい。
ポリマーフィルムを構成するポリマーの例としては、セルロースエステル(例、セルロースのモノ乃至トリアシレート体)、ノルボルネン系ポリマーでは、アートン及びゼオネックス(いずれも商品名))が挙げられる。又、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開第00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明の光学機能性材料の支持体として用いることができる。
本発明のポリマーフィルムとしては、セルロースエステルフィルムが好ましく、さらにはセルロースアセテートフィルムが好ましい。
支持体の厚さは、20乃至500μmであることが好ましく、30乃至200μmであることがさらに好ましく、40乃至90μmが最も好ましい。
ポリマーフィルムを光学補償シートにおける支持体に用いる場合、ポリマーフィルムは、所望のレターデーション値を有することが好ましい。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
ポリマーフィルムのレターデーション値は光学補償シートが用いられる液晶表示装置やその使用の方法に応じて好ましい範囲が異なり、通常、Reレターデーション値は0〜200nmであり、かつRthレターデーション値は70〜400nm範囲に調節することが好ましい。
液晶表示装置に二枚の光学補償シートを使用する場合、ポリマーフィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmの範囲にあることが好ましい。液晶表示装置に一枚の光学補償シートを使用する場合、ポリマーフィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmの範囲にあることが好ましい。
尚、ポリマーフィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00028乃至0.020の範囲にあることが好ましい。また、ポリマーフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.001乃至0.04の範囲にあることが好ましい。
ポリマーフィルムのレターデーション値を調整するためには延伸のような外力を与える方法が一般的であり、他の方法として、光学異方性を調節するためのレターデーション上昇剤が、場合により添加される。
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルを用いることが好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数が2乃至4のセルロースアシレートが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。又、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0乃至4.0であることが好ましい。
本発明では、酢化度が55.0乃至62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0乃至62.0%であることがさらに好ましく、59.0乃至61.5%が特に好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算によって求められる。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。本発明に用いるセルロースアセテートでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度または多い方が好ましい。
2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30乃至40%であることが好ましく、31乃至40%であることがさらに好ましく、32乃至40%であることが最も好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
前記したようにレターデーション上昇剤を用いて、透明支持体の厚み方向のレターデーションを高い値とすることもできる。レターデーション上昇剤としては、芳香族環を少なくとも二つ有し、二つの芳香族環の立体配座を立体障害しない分子構造を有する化合物を使用できる。該芳香族化合物は、セルロースエステル100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースエステル100質量部に対して、0.05乃至15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1乃至10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
レターデーション上昇剤としては例えば、欧州特許0911656A2号明細書、特開2000−111914号、同2000−275434号公報等記載の化合物等が挙げられる。
セルロースエステルフィルムには、耐傷性やフィルムの搬送性を良好に保持するために微粒子を添加するのが好ましい。
それらは、マット剤、ブロッキング防止剤あるいはキシミ防止剤と称されて従来から利用されている。それらは、前述の機能を呈する素材であれば特に限定されないが、これらのマット剤の好ましい具体例は、無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースエステルフィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましい。
又、表面処理された無機微粒子もセルロースエステル中への分散性が良好となり好ましい。処理法としては、例えば、特開昭54−57562号公報に記載の方法が挙げられる。粒子としては、例えば、特開2001−151936号公報に記載のものが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、なかでも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂のなかでも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。具体的には、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行 発明協会)の16頁に詳細に記載されている内容のものが好ましく用いられる。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1乃至25質量%であることが好ましく、1乃至20質量%であることがさらに好ましく、3乃至15質量%であることが最も好ましい。
セルロースエステルフィルムには、更に、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載されている化合物が挙げられる。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.01乃至0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11055号公報及び同平7−11056号公報に記載されている化合物が挙げられる。
更に、これらの詳細は、上記の公技番号2001−1745の17頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
更には、本発明の光学補償シートに用いるセルロースエステルフィルムの吸湿膨張係数を30×10-5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10-5/%RH以下とすることが好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。
この吸湿膨張係数を調節することで、光学補償シートの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
吸湿膨張係数の測定方法について以下に示す。作製したセルロースエステルフイルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し長さ(L0 )を測定した。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定した。吸湿膨張係数は下式により算出した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0)
作製したセルロースエステルフイルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水基を有する化合物或は微粒子等を添加することが好ましい。疎水基を有する化合物としては、分子中に脂肪族基や芳香族基のような疎水基を有する可塑剤や劣化防止剤の中で該当する素材が特に好ましく用いられる。これらの化合物の添加量は、調整する溶液(ドープ)に対して0.01乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。又、セルロースエステルフイルム中の自由体積を小さくすればよく、具体的には、後述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少ない方が自由堆積が小さくなる。セルロースエステルフイルムに対する残留溶剤量が、0.01乃至1.00質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。
[透明支持体の製造方法]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。
用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
具体的には、例えば前記の公技番号2001−1745の12頁〜16頁に詳細の化合物が挙げられる。
特に、本発明では、溶媒は2種類以上の有機溶媒を混合して用いることが好ましく、特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子数が3〜4のケトンおよび炭素原子数が3〜4のエステル或いはその混合液であり、第2の溶媒が炭素原子数が5〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として沸点が30〜170℃のアルコールまたは沸点が30〜170℃の炭化水素から選ばれることが好ましい。
とくに、酢酸エステルを20〜90質量%、ケトン類を5〜60質量%、アルコール類を5〜30質量%の混合比で用いることがセルロースアセテートの溶解性の点から好ましい。
また、ハロゲン化炭化水素を含まない非ハロゲン系有機溶媒系が特に好ましい。
技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアセテートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。
本発明に使用する有機溶媒は具体的には、例えば特開2002−146043号明細書の段落番号〔0021〕〜〔0025〕、特開2002−146045号明細書の段落番号〔0016〕〜〔0021〕等に記載の溶媒系の例が挙げられる。
一方、本発明に用いるドープには、上記本発明の有機溶媒以外に、フルオロアルコールやメチレンクロライドを本発明の全有機溶媒量の10質量%以下、より好ましくは5質量%以下含有させることもフィルムの透明性を向上させたり、溶解性を早めたりする上で好ましい。フルオロアルコールとしては沸点が165℃以下のものがよく、好ましくは111℃以下がよく、更に80℃以下が好ましい。フルオロアルコールは炭素原子数が2から10程度、好ましくは2から8程度のものがよい。また、フルオロアルコールはフッ素原子含有脂肪族アルコールで、置換基があってもなくてもよい。置換基としてはフッ素原子含有或いはなしの脂肪族置換基、芳香族置換基などがよい。
該フルオロアルコールとしては例えば、特開平8−143709号公報明細書中の段落番号[0020]、同11−60807号公報明細書中の段落番号[0037]等に記載の化合物が挙げられる。これらのフルオロアルコールは一種又は二種以上使用してもよい。
セルロースアセテート溶液を調製する際に、容器内に窒素ガスなどの不活性ガスを充満させてもよい。セルローストリアセテート溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際、流延可能な範囲であればよく、通常10ps・s〜2000ps・sの範囲に調製されることが好ましく、特に30ps・s〜400ps・sが好ましい。
本発明に係るセルロースアセテート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解法でもよく、冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301、特開昭61−106628、特開昭58−127737、特開平9−95544、特開平10−95854、特開平10−45950、特開2000−53784、特開平11−322946、さらに特開平11−322947、特開平2−276830、特開2000−273239、特開平11−71463、特開平04−259511、特開2000−273184、特開平11−323017、特開平11−302388などに記載のセルロースアシレート溶液の調製法が挙げられる。以上記載したこれらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。さらにセルロースアセテートのドープ溶液は、溶液の濃縮とろ過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
次に、本発明において、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、セルローストリアセテートフィルム製造に供するドラム方法若しくはバンド方法と称される、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。バンド法を例として製膜の工程を説明すると、溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜に一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。調製したドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。これらの各製造工程(流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類)については、前記の公技番号 2001−1745の25頁〜30頁に詳細に記載された内容が挙げられる。流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延しても良い。
さらに本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
[透明支持体の密着性付与の方法]
本発明の透明支持体は、配向膜を塗布方式で設ける場合には、該透明支持体表面に密着性を付与し、配向膜用塗布液が均一に塗工されるように表面処理を施すことが好ましい。
表面処理の方法としては、配向膜の下塗り層を設ける方法が挙げられる。特開平7−333433号公報記載の下塗り層、或いは疎水性基と親水性基との両方を含有するゼラチン等の樹脂層を一層のみ塗布する単層法第1層として高分子フィルムによく密着する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として配向膜とよく密着するゼラチン等の親水性の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重層法(例えば、特開平11−248940号公報記載)の内容が挙げられる。
他の表面処理として、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等で該フィルム表面を改質する方法が挙げられる。これらについては、詳細が前記の公技番号2001−1745の30頁〜32頁に詳細に記載されている。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアセテートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
[アルカリ鹸化処理]
アルカリ鹸化処理は、アルカリ溶液を透明支持体に浸漬、噴射若しくは塗布することで行う。好ましくは、塗布で鹸化処理することが好ましく、塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。
[アルカリ溶液]
本発明のアルカリ溶液はpH11以上のアルカリ溶液が好ましい。より好ましくはpH12〜14である。
アルカリ溶液に用いられるアルカリ剤の例として、水酸化ナトリウム、同カリウム、同リチウム等の無機アルカリ剤、又、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルブチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて併用することもでき、一部を例えばハロゲン化したような塩の形で添加してもよい。
これらのアルカリ剤の中でも、水酸化ナトリウム或は水酸化カリウムが、これらの量を調整することにより広いpH領域でのpH調整が可能となるため好ましい。
アルカリ溶液の濃度は、使用するアルカリ剤の種類、反応温度および反応時間に応じて決定されるが、アルカリ剤の含有量は、アルカリ溶液中の0.1〜5mol/Kgが好ましく、0.5〜3mol/Kgがより好ましい。
本発明のアルカリ溶液の溶媒は、水及び水溶性有機溶媒の混合溶液を含有することからなることが好ましい。有機溶媒としては、水と混和可能な有機溶媒であればいずれも用いることができるが沸点120℃以下、より好ましくは100℃以下のものが好ましい。
その中でも好ましい有機溶媒は、無機性/有機性値(I/O値)が0.5以上、且つ溶解度パラメーターが16〜40[mJ/m31/2の範囲のものが好ましい。より好ましくは、I/O値が0.6〜10、且つ溶解度パラメーターが18〜31[mJ/m31/2である。I/O値がこの範囲よりも無機性が強いか、又は溶解度パラメーターが低いと、アルカリ鹸化速度が低下し、また鹸化度の全面均一性も不満足となる。一方、I/O値が上記範囲よりも有機性の側であるか、又は溶解度パラメーターが高溶解性の側では、鹸化速度は速いが、ヘイズを生じ易く、したがって全面均一性の点では同様に不満足となる。
また、有機溶媒、とりわけ上記有機性と溶解性の各範囲の有機溶媒を後述する界面活性剤、相溶化剤等と組み合わせて用いると高い鹸化速度が維持されて、かつ全面に亘る鹸化度の均一性が向上する。
好ましい特性値を有する有機溶媒は、例えば、有機合成化学協会編、「新版溶剤ポケットブック」((株)オーム社、1994年刊)等に記載のものが挙げられている。(また、有機溶媒の無機性/有機性値(I/O値)については、例えば、田中善生著有機概念図)三共出版社1983年刊、1〜31頁に解説されている)。
具体的には、一価脂肪族アルコール類(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等)、脂環式アルカノール(例、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、メトキシシクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘキシルエタノール、シクロヘキシルプロパノール等)、フェニルアルカノール(例、べンジルアルコール、フェニルエタノール、フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、メトキシベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等)、複素環式アルカノール類(フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等)、グリコール化合物のモノエーテル類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、メトキシメトキシエタノール、ブチルセルソルブ、ヘキシルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等)ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3ジメチルイミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド)およびエーテル類(例、テトラヒドロフラン、ピラン、ジオキサン、トリオキサン、ジメチルセルソルブ、ジエチルセルソルブ、ジプロピルセルソルブ、メチルエチルセルソルブ、ジメチルカルビトール、ジメチルカルビトール、メチルエチルカルビトール等)等が挙げられる。用いる有機溶媒は、単独若しくは2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒を単独或いは2種以上を混合する場合の少なくとも一種の有機溶媒は、水への溶解性が大きなものが好ましい。有機溶媒の水の溶解度は、50質量%以上が好ましく、水と自由に混合するものがより好ましい。これによりアルカリ剤、鹸化処理で副生する脂肪酸の塩、空気中の二酸化炭素を吸収して生じた炭酸の塩等への溶解性が充分なアルカリ溶液を調製できる。
有機溶媒の溶媒中の使用割合は、溶媒の種類、水との混和性(溶解性)、反応温度および反応時間に応じて決定する。
水と有機溶媒の混合比は、3/97〜85/15質量比が好ましい。より好ましくは5/95〜60/40質量比であり、更に好ましくは15/85〜40/60質量比である。この範囲において、アシレートフィルムの光学特性を損なうことなく容易にフィルム全面が均一に鹸化処理される。
本発明に用いるアルカリ溶液が含有する有機溶媒として、上記した好ましいI/O値を有する有機溶媒とは異なる有機溶媒(例えばフッ化アルコール等)を、後述の界面活性剤、相溶化剤の溶解助剤として併用してもよい。その含有量は使用液の総重量に対して0.1〜5質量%が好ましい。
本発明に用いるアルカリ溶液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を添加することによって表面張力を下げて塗布を容易にしたり、塗膜の均一性を上げてハジキ故障を防止し、かつ有機溶媒が存在すると起こり易いヘイズを抑止し、さらに鹸化反応が均一に進行する。その効果は、後述する相溶化剤の共存によって特に顕著となる。用いられる界面活性剤には特に制限はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のいずれであってもよい。
具体的には、例えば、吉田時行著「界面活性剤ハンドブック(新版)」(工学図書、1987年刊行)、「界面活性剤の機能創製・素材開発・応用技術」第1編(技術教育出版、2000年刊行)等記載の公知の化合物が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、カチオン性界面活性剤としての4級アンモニウム塩類、ノニオン性界面活性剤としての各種のポリアルキレンレングリコール誘導体類、各種のポリエチレンオキサイド付加物類等のポリエチレンオキサイド誘導体類、両性界面活性剤としてのベタイン型化合物類が好ましい。
アルカリ溶液には、ノニオン活性剤とアニオン活性剤又はノニオン活性剤とカチオン活性剤を共存させて用いることも本発明の効果が高められて好ましい。
これらの界面活性剤のアルカリ溶液に対する添加量は、好ましくは、0.001〜10質量%であり、より好ましくは、0.01〜5質量%である。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、相溶化剤を含有させることも好ましい。本発明において、「相溶化剤」とは、温度25℃において、相溶化剤100gに対して水の溶解度が50g以上となる親水性化合物をいう。相溶化剤の水の溶解度は、相溶化剤100gに対して、80g以上であるのが好ましく、100g以上であるのがより好ましい。また、相溶化剤が液状化合物である場合は、沸点が100℃以上であるのが好ましく、120℃以上であるのがより好ましい。
相溶化剤は、アルカリ溶液を貯留する浴等の壁面に付着したアルカリ溶液の乾燥を防止し、固着を抑制し、アルカリ溶液を安定に保持させる作用を有する。また、透明支持体の表面にアルカリ溶液を塗布して一定時間保持した後、鹸化処理を停止するまでの間に、塗布されたアルカリ溶液の薄膜が乾燥し、固形物の析出を生じ、水洗工程での固形物の洗い出しを困難にすることを防止する作用を有する。さらには、溶媒となる水と有機溶剤との相分離を防止する。特に、界面活性剤と有機溶剤と上述した相溶化剤との共存によって、処理された透明支持体は、ヘイズが少なく、かつ、長尺の連続鹸化処理の場合であっても安定して全面均一な鹸化度となる。
相溶化剤は、上記の条件を満たす材料であれば、特に限定されないが、例えば、ポリオール化合物、糖類等のヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を含む水溶性重合体が好適に挙げられる。
ポリオール化合物は、低分子化合物、オリゴマー化合物および高分子化合物のいずれも用いることができる。
脂肪族ポリオール類としては、例えば、炭素数2〜8のアルカンジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリンモノメチルエーテル、グリセリンモノエチルエーテル、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ヒドロキシル基を3個以上含有する炭素数3〜18のアルカン類(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、イノシットール等)が挙げられる。
ポリアルキレンオキシポリオール類としては、上記のような同じアルキレンジオール同士が結合していてもよく、異なるアルキレンジオールが互いに結合していてもよいが、同じアルキレンジオール同士が結合したポリアルキレンポリオールがより好ましい。いずれの場合もの結合数は3〜100であるのが好ましく、3〜50であるのがより好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)が挙げられる。
糖類としては、例えば、高分子学会高分子実験学編集委員会編「天然高分子」第二章(共立出版(株)、1984年刊)、小田良平等編「近代工業化学22、天然物工業化学II」((株)朝倉書店、1967年刊)等に記載されている水溶性化合物が挙げられる。中でも、遊離のアルデヒド基およびケトン基を持たない、還元性を示さない糖類が好ましい。
糖類は、一般に、グルコース、スクロース、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類されるが、いずれも本発明に好適に用いられる。
例えば、サッカロース、トレハロース、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット、還元水あめが挙げられる。これらの糖類は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基および/またはアミド基を有する繰り返し単位を有する水溶性重合体としては、例えば、天然ガム類(例えば、アラビアガム、グアーガム、トラガンドガム等)、ポリビニルピロリドン、ジヒドキシプロピルアクリレート重合体、セルロース類またはキトサン類とエポキシ化合物(エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド)との付加反応体が挙げられる。
中でも、アルキレンポリオール、ポリアルキレンオキシポリオール、糖アルコール等のポリオール化合物が好ましい。
相溶化剤の含有量は、アルカリ溶液に対して、0.5〜25質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。
本発明に用いられるアルカリ溶液は、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、消泡剤、アルカリ溶液安定化剤、pH緩衝剤、防腐剤、防菌剤等の公知のものが挙げられる。
[アルカリ鹸化方法]
上記のアルカリ溶液を用いたセルロースアセテートフィルムの表面処理方法は従来公知のいずれの方法でもよいが、特に、フィルムの片面のみをムラ無く均一に鹸化処理する場合は、塗布方式が好ましい。塗布の方法としては、従来公知の塗布方法[例えば、ダイコーター(エクストルージョンコーター、スライドコーター)、ロールコーター(順転ロールコーター、逆転ロールコーター、グラビアコーター)、ロッドコーター、ブレードコーター等]が好ましく利用できる。
鹸化処理は、処理するフィルムの変形、処理液の変質等が生じない温度120℃を越えない範囲の処理温度で行うことが好ましい。更に温度10℃以上であり100℃以下の範囲が好ましい。特に、温度20〜80度が好ましい。
又、鹸化処理の時間は、アルカリ溶液、処理温度により適宜調整して決定するが、1秒から60秒の範囲で行われるのが好ましい。
更に、セルロースアセテートフイルムをその表面が少なくとも10℃以上の温度でアルカリ溶液で鹸化処理する工程、セルロースアセテートフイルムの温度を少なくとも10℃以上に維持する工程、そして、アルカリ溶液をセルロースアセテートフイルムから洗い落とす工程によりアルカリ鹸化処理を実施することが好ましい。
セルロースアセテートフイルムをその表面が所定の温度でアルカリ溶液で鹸化処理には、塗布する前に予め所定の温度に調整する工程、アルカリ液を予め所定の温度に調整しておく工程、或いはこれらを組み合わせた工程等が挙げられる。塗布する前に予め所定の温度に調整する工程と組み合わせることが好ましい。
鹸化反応後は、水洗、中和し水洗等でフィルム表面からアルカリ溶液及び鹸化処理反応物とを洗浄し除去することが好ましい。
具体的には、例えば国際公開第02/46809号パンフレット等に記載の内容が挙げられる。
[配向膜]
本発明の配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)塗布液を塗布して形成される配向膜が好ましい。配向膜の膜自身の強度、下層或は上層となる光学異方性層との密着性の観点から硬化されたポリマー膜であることが好ましい。配向膜は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するために設けられる。配向規定の方法としては、従来公知のラビング、磁場或は電場の付与、光照射等が挙げられる。
本発明に供される配向膜は、液晶セルの表示モードの種類に応じることが出来る。
液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向している表示モード(例、VA、OCB、HAN)では、光学的異方性層の液晶性分子を実質的に水平に配向させる機能を有する。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に水平に配向している表示モード(例、STN)では、光学的異方性層の液晶性分子を実質的に垂直に配向させる機能を有する。液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配向している表示モード(例、TN)では、光学的異方性層の液晶性分子を実質的に斜めに配向させる機能を有する。
本発明の配向膜に使用される具体的なポリマーの種類については、前述した様々な表示モードに対応するディスコティック液晶性分子を用いた光学補償シートについての文献に記載がある。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができ、これらの組み合わせを複数使用することができる。ポリマーの例として、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載の化合物が挙げられる。好ましくは水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が挙げられ、この中でもゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
配向膜に使用されるポリマーには、ポリビニルアルコールおよび/または変性ポリビニルアルコールを主成分として、好ましくは配向膜形成ポリマー成分の40質量%以上、より好ましくは75質量%以上含むことが好ましい。
また、配向膜に使用されるポリマーとしては、ポリイミドを主成分(好ましくは配向膜形成ポリマー成分の40質量%以上、より好ましくは75質量%以上)として用いることも可能である。
ポリビニルアルコールの鹸化度は、70乃至100%が好ましく、80乃至100%がさらに好ましく、85乃至95%が最も好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100乃至3000であることが好ましい。
変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性またはブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開2000−56310号公報明細書中の段落番号[0074]、同2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[022]に記載のもの等が挙げられる。
又、配向を光照射で行う場合には、光配向機能を発現する光配向性基を分子内に有する。これらの光配向性基としては、例えば、長谷川雅樹著書の「液晶、第3巻(1)3〜16頁(1999)」記載のもの、C=C結合を有する光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基(例えば、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、ヘミチオインジゴ基、カルコン基等)、C=O結合を有する光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基(例えば、ベンゾフェノン基、クマリン基等の構造を有する基等)が挙げられる。具体的には、例えば特開2000−122069号公報、同2002−317013号公報明細書段落番号[0021]等記載のものが挙げられる。
前記配向膜に使用するポリマー(好ましくは水溶性ポリマー、さらに好ましくはポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコール)の架橋剤の例には、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾールおよびジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[0024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1乃至20質量%が好ましく、0.5乃至15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。配向膜中に1.0質量%を超える量で架橋剤が残存していると、充分な耐久性が得られない。そのような配向膜を液晶表示装置に使用すると、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合にレチキュレーションが発生することがある。
配向膜は、基本的に、配向膜形成用組成物である前記ポリマー、架橋剤を含む塗布液を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥し(架橋させ)、配向処理することにより形成することができる硬化膜である。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なって良い。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成用組成物として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には光学異方層の層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜の塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法またはロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1乃至10μmが好ましく、0.3乃至5μmが更に好ましく、0.4乃至2μmが特に好ましい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成用組成物として用いた場合には、加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。また、ポリイミドやポリアミド、ポリアミック酸のようなポリマーの場合には、一般により高い温度が用いられ、公知のいずれの方法を用いても良い。但し、支持体の耐熱性を勘案し、支持体の耐熱温度以下でじゅうぶん乾燥させることが好ましい。
更に、本発明の配向膜形成用組成物を含有する塗布液を支持体に塗布、乾燥し、配向手段で配向させたのちに光学異方性層用塗布液が塗布されるときに、該配向膜の表面がpH2.0〜6.9の範囲に保持されることがこの好ましい。更にはpH2.5〜5.0がより好ましい。
又、該光学異方性層用塗布液を塗布する際に、塗布の幅方向での配向膜表面のpHの変動幅△pHが±0.30の範囲で行われることが好ましい。より好ましくは、△pHが±0.15の範囲である。
この範囲において光学異方性層を塗設された光学補償シートは、光学的欠陥が著しく軽減され、好ましい。
配向膜表面のpH値の測定方法は、配向膜を塗設した試料を(温度25℃/湿度65%RH)の環境下に1日静置した後、窒素雰囲気下で純水を10ml乗せて速やかにpHメーターでpH値を読み取る。
本発明の配向膜表面のpH値を特定とし、且つ塗布幅方向での△pHを制御するには、上記のロッドコーティング方式による塗布により達成される。更には、膜表面の乾燥温度、乾燥風を用いる場合のその風量、風向等を調節することも有効である。
配向膜は、透明支持体上又は上記下塗層上に設けられる。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋したのち、表面をラビング処理することにより得ることができる。
[配向膜の表面処理]
本発明の、配向膜の気相法による表面処理は、支持体上に配向膜を形成した後に行なわれ、配向膜表面のラビング処理の前でも構わないしラビング処理の後であっても構わないが、ラビング処理後に気相法による表面処理を行うことが好ましい。従来の方法では、ラビングにより表層付近の分子構造が乱れてしまうため、前記の官能基が有効に影響できなかったが、本発明の気相法による表面処理は、ラビング後に施した場合にもあらたに官能基を配向膜表面に修飾できるためである。
本発明の、配向膜の気相法による表面処理は、配向膜表面付近の主鎖および/または側鎖の化学構造を修飾することができる方法であれば、いかなる方法を用いても構わない。例えば、コロナ放電処理、真空グロー放電処理、大気圧グロー放電処理に例示されるプラズマ処理のほか、紫外線照射処理、電子線照射処理、火炎処理、オゾン処理もしくは酸ミスト処理、アルカリミスト処理等で該フィルム表面を改質する方法など、液晶表示装置に用いられる液晶パネルの基板配向膜の配向処理に用いられる方法が好ましく、特にプラズマ処理が好ましく、最も好ましいのは真空または大気圧グロー放電処理である。プラズマに関しては、例えば長田義仁著「低温プラズマ材料化学」(産業図書、1994)等に詳細に記載されている。
[プラズマによる配向膜表面処理]
配向膜表面の親疎水性を制御するためには、極性の官能基で配向膜表面を修飾することが好ましい。このため、プラズマ処理時は反応ガスとして、配向膜を修飾できるようなラジカルを発生するようなガスを用いることが好ましい。表面を疎水的にしたい場合には、フッ素ラジカルを発生するようなガスが好ましく用いられ、例えばNF3、CF4、SF6、C2F4などが挙げられるが、室温でもグロー放電により容易にフッ素ラジカルを発生するNF3が好ましく用いられる。また、配向膜表面を親水的にしたい場合には、親水基もしくは酸素を含有するガスを用いることが好ましい。特に、酸素もしくは水を用いることは、配向膜を汚染するおそれが無く好ましく用いられる。
グロー放電プラズマを誘起するためには、設備としてはバッチ式でも連続搬送式でも構わないが、連続搬送式であることが生産性の観点で特に好ましい。公知のいかなる装置を用いて行っても構わないが、プラズマを均一に発生する条件は試行錯誤が伴い得る。例えば、特開2000−82223公開特許公報に例示されているような装置を用いる方法がある。
プラズマ放電とは、放電によりプラズマ状態を発生させることである。プラズマの種類にはいくつかあるが、グロー放電プラズマは、非平衡プラズマの一種であり、系内に高い運動エネルギーの電子と低い運動エネルギーの化学種(分子、原子、ラジカル、イオン)が存在することが特徴である。グロー放電を誘起してプラズマ状態とするためには、少なくとも2つの対向する電極に高周波の交流電圧を印加することにより容量結合型プラズマを誘起する方法があり、別の方法としてはコイルに高周波の交流電流を流して誘導結合型プラズマを誘起する方法がある。
以下、少なくとも2つの対向する電極に高周波の交流電圧を印加することにより容量結合型プラズマを誘起する方法について、図面を基に説明する。
図1は、プラズマ反応設備の模式図の一例である。
プラズマを誘起するためには、不活性ガスをベースガスとして用いられ、特に真空グロー放電の場合には好ましい。例えば、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトン等が用いられ、特にアルゴンガスが好ましく用いられる。前記反応性ガスは、誘起されたプラズマ中に順次添加するか、もしくは例示された不活性ベースガスとあらかじめ混ぜた上で、反応室に導入される。
装置の電極配置にもよるが、印加する電圧は高いほうが処理速度をあげることができ好ましいが、一方で配向膜表面をプラズマに強く晒すことになり、配向膜組成物の重合や解離等が起こるなど、ダメージを与えてしまうことがあり、好ましい条件は実験によって決定する必要がある。
配向膜にダメージを極力与えない方法として、活性化学種(フッ素ラジカル、酸素ラジカル等)をプラズマ中で作るものの、非処理体である配向膜はプラズマから離したところに配置する方法があり、本発明においては好ましく用いられる。いわゆるアフターグロー領域に配向膜を配置するということである。この方法は、ガスのフローを、電圧印加電極⇒設置電極⇒配向膜表面の向きにすることにより、発生した活性化学種を配向膜表面に効率よく攻撃させることができ、効率よく表面が修飾される。また、この方法は、配向膜の片面のみを処理することができるため、支持体の物性を変化させずに済み、例えば光学補償シートとして用いた場合の粘着剤との貼合などに影響を及ぼさず好ましい。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
又、光照射で光配向する場合には、光照射装置としての光源は、超高圧水銀灯、キセノン灯、蛍光灯、レーザ等を用いることが出来、光二量化化合物を光配向をするには上記光源と偏光膜を組み合わせて(偏光膜を通して)紫外線を直線偏光とし、光配向膜に照射する。偏光膜としては、主に使用されているものとして延伸染色PVAがある。この直線偏光紫外線照射装置としては、例えば、特開平10−90684号公報に開示されているものを用いることが出来る。
[液晶層]
本発明の液晶層は液晶性分子を主たる組成物として形成される。光学補償シートを作成するためには、この層が光学異方性層として機能するように設計する。
液晶性分子としては、棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子が好ましく、ディスコティック液晶性分子が特に好ましい。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。これら低分子液晶化合物は重合性基を分子内に有することが好ましい(例えば、特開2000−304932号公報明細書段落番号[0016]等記載)。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。高分子液晶性分子は、以上のような低分子液晶性分子に相当する側鎖を有するポリマーである。高分子液晶性分子を用いた光学補償シートについては、特開平5−53016号公報に記載の化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子としては、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている化合物が挙げられる。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報の記載が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。円盤状コアと重合性基は、連結基を介して結合する化合物が好ましく、これにより重合反応においても配向状態を保つことが出来る。例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0151]〜[0168]記載の化合物等が挙げられる。
なお、STNモードのような棒状液晶性分子がねじれ配向している液晶セルを、光学的に補償するためには、ディスコティック液晶性分子もねじれ配向させることが好ましい。上記連結基に、不斉炭素原子を導入すると、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。また、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化合物(カイラル剤)を光学的異方性層に添加しても、ディスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させることができる。
二種類以上のディスコティック液晶性分子を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性ディスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック液晶性分子とを併用することができる。
非重合性ディスコティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティック液晶性分子の重合性基を、水素原子またはアルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すなわち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、例えば特許第2640083号公報記載の化合物等が挙げられる。
[光学異方性層の他の組成物]
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性若しくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、ディスコティック液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性分子とともに使用するポリマーは、ディスコティック液晶性分子に傾斜角の変化を与えられることが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性分子の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲にあることがより好ましい。
ディスコティック液晶性分子のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がさらに好ましい。
光学異方性層は、液晶性分子、あるいは下記の重合性開始剤や任意の添加剤(例、可塑剤、重合性モノマー、界面活性剤、セルロースエステル、1,3,5−トリアジン化合物、カイラル剤)を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成される。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。このうち、アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[液晶性分子の配向状態の固定]
液晶性分子は、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性分子が固定されていることが最も好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.5乃至5重量%であることがさらに好ましい。
ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、100乃至800mJ/cm2 であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、重合反応を促進するため、窒素雰囲気下など酸素分圧を下げて光照射を実施してもよい。
光学的異方性層の厚さは、0.1乃至10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであることがさらに好ましく、0.7乃至5μmであることが最も好ましい。ただし、液晶セルのモードによっては、高い光学的異方性を得るために、光学的異方性層を厚く(3乃至10μm)する場合がある。
光学的異方性層内での液晶性分子の配向状態は、前述したように、液晶セルの表示モードの種類に応じて決定される。液晶性分子の配向状態は、具体的には、液晶性分子の種類、配向膜の種類および光学異方性層内の添加剤(例、可塑剤、ポリマー、界面活性剤)の使用によって制御される。
円盤状化合物や棒状化合物を配向させた光学異方性層において、光学異方性層の一方の面におけるチルト角(円盤状化合物または棒状化合物における物理的な対象軸が光学異方性層の界面となす角度をチルト角とする)θ1および他方の面のチルト角θ2を、直接的にかつ正確に測定することは困難である。そこで本明細書においては、θ1及びθ2は、以下の手法で算出する。本手法は本発明の実際の配向状態を正確に表現していないが、光学フィルムのもつ一部の光学特性の相対関係を表す手段として有効である。
本手法では算出を容易にすべく、下記の2点を仮定し、光学異方性層の2つの界面におけるチルト角とする。
1.光学異方性層は円盤状化合物や棒状化合物を含む層で構成された多層体と仮定する。さらに、それを構成する最小単位の層(円盤状化合物または棒状化合物のチルト角は該層内において一様と仮定)は光学的に一軸と仮定する。
2.各層のチルト角は光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化すると仮定する。
具体的な算出法は下記のとおりである。
(1)各層のチルト角が光学異方性層の厚み方向に沿って一次関数で単調に変化する面内で、光学異方性層への測定光の入射角を変化させ、3つ以上の測定角でレターデーション値を測定する。測定および計算を簡便にするためには、光学異方性層に対する法線方向を0°とし、−40°、0°、+40°の3つの測定角でレターデーション値を測定することが好ましい。このような測定は、KOBRA-21ADHおよびKOBRA-WR(王子計測器(株)製)、透過型のエリプソメーターAEP-100((株)島津製作所製)、M150およびM520(日本分光(株)製)、ABR10A(ユニオプト(株)製)で行うことができる。
(2)上記のモデルにおいて、各層の常光の屈折率をno、異常光の屈折率をne(neは各々すべての層において同じ値、noも同様とする)、及び多層体全体の厚みをdとする。さらに各層におけるチルト方向とその層の一軸の光軸方向とは一致するとの仮定の元に、光学異方性層のレターデーション値の角度依存性の計算が測定値に一致するように、光学異方性層の一方の面におけるチルト角θ1および他方の面のチルト角θ2を変数としてフィッティングを行い、θ1およびθ2を算出する。
ここで、noおよびneは文献値、カタログ値等の既知の値を用いることができる。値が未知の場合はアッベ屈折計を用いて測定することもできる。光学異方性層の厚みは、光学干渉膜厚計、走査型電子顕微鏡の断面写真等により測定数することができる。
上記のようにして、本発明の光学機能材料が製造される。前述のとおり、透明支持体を用いたうえで、本発明の範囲で適切に処方を選択することにより、複屈折性を補償する本発明の光学補償シートを製造することもでき、本発明の光学補償シートは、前記した通り、透明支持体、配向膜、及び光学異方性層がこの順に積層された層構成を有する。
本発明の光学補償シートは、偏光板と貼り合せるか、偏光板の保護フィルムとして使用することで、その機能を著しく発揮し、液晶表示装置に好ましく用いられる。
以下、偏光板及びその製造について詳しく説明する。
<偏光板>
偏光板は通常、偏光膜とその両面に透明保護膜を含有することからなる。保護膜が透明であるとは、光透過率が80%以上であることを意味する。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、前記の透明支持体に記載のソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜200μmであることが好ましく、30〜100μmであることがさらに好ましい。特に好ましくは30〜80μmである。
本発明では、偏光板の片面に透明保護膜の代わりに本発明の光学補償シートを用いる。すなわち、本発明の偏光板は、透明保護膜、偏光膜、前記光学補償シートがこの順に積層されている。本発明による偏光板を液晶表示装置に取り付けると、光学特性に優れた表示品位の高い液晶表示装置が得られる。
[光学補償シートの表面処理]
光学補償シートを偏光板の透明保護膜の代わりに使用する場合、光学補償シートと偏光膜との接着が問題となることがある。本発明では、光学補償シートの偏光膜側の面(即ち、支持体面)を表面処理することにより、光学補償シートと偏光膜との接着を改善することが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理又はアルカリ処理が挙げられる。
コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等の処理方法は、例えば、前記の公技番号2001−1745の30頁〜31頁に記載の内容が挙げられる。本発明は、アルカリ処理することが好ましく、前記したフィルムの鹸化処理で記載と同様の内容のものが挙げられる。
[偏光膜]
本発明に用いられる偏光膜は、通常、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光膜が好ましい。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在、市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。
架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。
架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行なうことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できれば良いため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なっても良い。
偏光膜のバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、前記の配向膜で記載のポリマーと同様のものが挙げられる。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。
変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1乃至20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光膜の耐湿熱性が良好となる。
配向膜は、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、配向膜中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書の記載が挙げられる。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、発明協会公開技報、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましく、40乃至50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
偏光膜と光学補償シートを接着剤を介して配置する場合、接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01乃至10μmの範囲にあることが好ましく、0.05乃至5μmの範囲にあることが特に好ましい。
[偏光板の製造]
偏光膜は、歩留まりの観点から、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に対して、10乃至80度傾斜して延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。傾斜角度は、LCDを構成する液晶セルの両側に貼り合わされる2枚の偏光板の透過軸と液晶セルの縦または横方向のなす角度にあわせるように延伸することが好ましい。
通常の傾斜角度は45゜である。しかし、最近は、透過型、反射型および半透過型LCDにおいて必ずしも45゜でない装置が開発されており、延伸方向はLCDの設計にあわせて任意に調整できることが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は2.5乃至30.0倍が好ましく、3.0乃至10.0倍がさらに好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5乃至5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0乃至10.0倍が好ましい。延伸工程は、斜め延伸を含め数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。斜め延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。
延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフイルム製膜において行われている延伸方法と同様である。二軸延伸では、左右異なる速度によって延伸されるため、延伸前のバインダーフイルムの厚みが左右で異なるようにする必要がある。流延製膜では、ダイにテーパーを付けることにより、バインダー溶液の流量に左右の差をつけることができる。
以上のように、偏光膜のMD方向に対して10乃至80度斜め延伸されたバインダーフイルムが製造される。
ラビング法では、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
ロール自身の真円度、円筒度、振れ(偏芯)がいずれも30μm以下であるラビングロールを用いて実施することが好ましい。ラビングロールへのフィルムのラップ角度は、0.1乃至90゜が好ましい。ただし、特開平8−160430号公報に記載されているように、360゜以上巻き付けることで、安定なラビング処理を得ることもできる。
長尺フィルムをラビング処理する場合は、フィルムを搬送装置により一定張力の状態で1〜100m/minの速度で搬送することが好ましい。ラビングロールは、任意のラビング角度設定のためフィルム進行方向に対し水平方向に回転自在とされることが好ましい。0〜60゜の範囲で適切なラビング角度を選択することが好ましい。液晶表示装置に使用する場合は、40乃至50゜が好ましい。45゜が特に好ましい。
偏光膜の光学補償シートとは反対側の表面には、前記透明保護膜を配置する(光学補償シート/偏光膜/透明保護膜の配置とする)ことが好ましい。
透明保護膜は、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることができる。
上記のようにして、本発明の偏光板が製造される。
本発明の光学補償シート又は該光学補償シートを用いた偏光板は、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置に有利に用いられる。
以下、液晶表示装置、特に透過型液晶表示装置及びその製造について詳しく説明する。
「液晶表示装置」
本発明の透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板を含有することからなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
光学補償シートは、液晶セルと一方の偏光膜との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光膜との間に二枚配置する。
各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態について、以下で説明する。
各液晶モードにおける光学異方性層の好ましい形態において、本発明の光学補償シート又は該光学補償シートを用いた偏光板は、有利に光学的に補償することができる。
(TNモード液晶表示装置)
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献の記載が挙げられる。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(OCBモード液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている装置が挙げられる。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
OCBモードの液晶セルもTNモード同様、黒表示においては、液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
(VAモード液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が挙げられる。
(その他液晶表示装置)
IPSモード、ECBモードおよびSTNモードの液晶表示装置に対しては、上記と同様の考え方で光学的に補償することが出来る。
以下に本発明の光学機能材料、光学補償シート、偏光板、液晶表示装置についての具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(光学補償シート1の作製)(本発明)
(セルロースアシレートフィルムの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0 0.8
下記レターデーション上昇剤 1.5 0
レターデーション上昇剤
Figure 2007086511
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアシレートフィルム1(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を作製した。得られたセルロースアシレートフィルムの幅は180mmであり、厚さは80μmであった。
得られたセルロースアシレートフィルムのRe(630)は8nm(流延方向に遅相軸)、Rth(630)は80nmだった。
(鹸化処理)
上記ロールフィルムの片面に温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液をバーコータを用いて、14ml/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
(アルカリ溶液組成)
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
その後さらに、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
(配向膜塗布液組成)
下記変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
変性ポリビニルアルコール(平均重合度:4000)
Figure 2007086511
(配向膜の表面処理)
次に、形成した膜に、プラズマ処理を施した。これは、フィルムを搬送しながら図1に概略を示す装置において長手方向に連続におこなった。差動排気によりベースプレッシャーが10Paのプラズマ反応室にて、上から、40cm幅×1m長の平板パンチメタル状の印加電極(細孔が10mmステップであけてあり、そこから原料ガス(反応ガス+不活性ガス)が吹き出るようになっている)、40cm幅×1m長の平板メッシュ状の接地電極、搬送されている配向膜が塗設された透明支持体、の順に互いに平行に約25cm間隔で配置されている(すなわち、アフターグロー領域に配向膜がある)。
アルゴンガスとNF3ガスを9:1になるように反応室の印加電極側から導入し、真空度を50Paに保ち、13.56MHzの高周波交流電圧を両電極間に印加したところ、グロー放電が生じ、赤紫色の発光が生じた。このときの印加電力は250Wであった。
処理が完了した配向膜表面は、無色透明であった。
次に、形成した膜に、セルロースアシレートフィルムの流延方向と平行な方向に配向するようにラビング処理を実施した(即ち、ラビング軸はセルロースアシレートフィルムの流延方向と平行であった)。
(光学異方性層の形成)
セルロースアシレートフィルムを用いた配向膜上に、下記塗布液を、#4のワイヤーバーを764回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、24m/分で搬送されている上記ロールフィルムの配向膜面に連続的に塗布した。室温から100℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、130℃に給気された乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.0m/secとなるようにし、約120秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃に給気された乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約95℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。以上により光学補償シート1を作製した。
(光学異方性層の塗布液組成)
下記の組成物を、107質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
下記ディスコティック液晶性化合物(1) 41.01質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 4.06質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製) 0.9質量部
セルロースアセテートブチレート
(CAB531−1、イーストマンケミカル社製) 0.21質量部
フルオロ脂肪族基含有ポリマー
(メガファックF780 大日本インキ(株)製) 0.14質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.45質量部
ディスコティック液晶性化合物(1)
Figure 2007086511
(光学補償シート2の作製)(本発明)
配向膜上へのプラズマ処理を、ラビング後に施した以外は、光学補償シート1と同様にして光学補償シート2を作製した。
(光学補償シート3の作製)(本発明)
配向膜上へのプラズマ処理をバッチ処理で行ったこと以外は、光学補償シート2と同様にして光学補償シート3を作製した。バッチ処理であったため、プラズマ反応室の真空度は補償シート2を作製したときよりも向上させることができ、ベースプレッシャーは1Paであった。
(光学補償シート4の作製)(本発明)
配向膜上へのプラズマ処理において、真空グロー放電のかわりに大気圧グロー放電を用いたこと以外は光学補償シート2と同様にして光学補償シート4を作製した。
本シートの作成にあたっては、プラズマ処理工程において、図1に示す装置模式図のうち、反応外室8は除去した。また印加電力はパルス状とし、パルス電界の立ち上がり時間および立下り時間は共に80nsであり、かつそのパルス電界の強さは30kV/cmであった。またパルス電界の形成時間は平均50msであった。電極は焼結セラミックスを用いた固体誘電体を対抗面側に設けてあり、固有抵抗は109Ω・cmであった。
(光学補償シート5の作製)(本発明)
配向膜上へのプラズマ処理において、反応ガスとしてCF4を用いたことと印加電力を300Wとしたこと以外は、光学補償シート2と同様にして光学補償シート5を作製した。
(光学補償シート6の作製)(比較例)
配向膜上にプラズマ処理を施さなかった以外は、光学補償シート1と同様にして光学補償シート6を作製した。
(光学補償シート7の作製)(比較例)
配向膜の組成物として、光学補償シート1に用いた組成物に対して、下記フルオロ脂肪族基含有ポリマー1(界面活性剤)を1.5質量部添加した後、配向膜を光学補償シート1と同様に塗設した。また、プラズマ処理を施さずに光学補償シート7を作製した。
しかしながら、配向膜の塗布後、乾燥した配向面を観察したところ、はじき故障が多発しており、液晶層を塗布すると、全面にムラとはじきが生じて、さらにはじいていない部分も液晶の配向が不良であった。
Figure 2007086511
(光学補償シート8の作成)(本発明)
光学補償シート8は光学補償シート2の作成方法のうち次の点を変更して作成した。1)配向膜塗布液を、ポリイミド系低温処理型配向膜 オプトマーAL3046(JSR株式会社製) 4.8質量部とγ―ブチルラクトン 8.0質量部の混合液とした。2)塗布後の乾燥を60℃の温風で90秒、90℃の温風で150秒、更に130℃の温風で10分間乾燥し,以後,25℃まで10℃/分で降温しながら合計40分間乾燥させることによりおこなった。以後の工程は光学補償シート2の作成方法と同様である。
光学異方性層のディスコティック液晶性化合物は、支持体から距離が増すにつれて、その円盤面と支持体面のなす角度が増加するようにハイブリッド配向していた。
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償シート1〜8のムラを観察したところ、光学補償シート1〜6および8にあっては正面、および法線から60度まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。比較例の光学補償シート7は前記のとおり全面にムラ・ハジキおよび配向不良が生じていた。
(光学補償シートの光学異方性層のチルト角測定)
各光学補償シートのディスコティック液晶性化合物からなる光学異方性層において、本明細書に記載の光学的方法で液晶化合物のチルト角(θ1およびθ2)を算出した。ディスコティック液晶性分子は円盤面と配向膜平面のなす角度(チルト角)が、膜面から光学空気界面に向かってハイブリッド配向していた。結果を表1に示す。なお、いずれの試料においても深さ方向に均一なチルト角を有しているわけではなく、熱的・物理的ゆらぎが起因と想定されるようなばらつきを有していた。表1の結果は、平均的な結果を示している。
Figure 2007086511
(偏光板の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
光学補償シート1〜8を1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
なお、この際光学補償シート7は膜面がはがれてしまい、偏光板の作成が不能であった。
前記のように鹸化処理を行った光学補償シート1〜6および8を、同じく鹸化処理を行った市販のセルロースアシレートフィルムと組合せて前記の偏光膜を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板1〜6および8を得た。ここで市販のセルロースアシレートフィルムとしてはフジタックTF80UL(富士写真フイルム(株)製)を用いた。このとき、偏光膜および偏光膜両側の保護膜はロール形態で作製されてるため各ロールフィルムの長手方向が平行となっており連続的に貼り合わされる。従って光学補償シートロール長手方向と偏光子吸収軸と平行な方向となった。
(TN液晶セルでの評価)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(Syncmaster172X、三星電子(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記の作製した偏光板を、光学補償シートが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とは、Oモードとなるように配置した。
作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までで視野角を測定した。左右で、コントラスト比(白透過率/黒透過率)が10以上の領域を視野角として求めた。測定結果を表2に示す。
Figure 2007086511
本発明において好ましく用いられるプラズマ反応設備の模式図である。
符号の説明
1:RF電源
2:配向膜を付与したフィルム状支持体
3:RF電極
4:原料ガス(反応ガス+不活性ガスの混合体)
5:メッシュ状接地電極
6:グロー放電プラズマ
7:プラズマ反応室
8:プラズマ反応外室
9:アース
10:搬送ローラー

Claims (12)

  1. 支持体上に配向膜を形成した後に、その上に液晶性化合物を含む液晶層塗布液を塗布して液晶層を形成してなる光学機能材料において、配向膜上に気相法による表面処理を施してから後に液晶層塗布液を塗布して形成されたことを特徴とする光学機能材料。
  2. 前記配向膜が、ポリビニルアルコール及び/又は変性ポリビニルアルコールを主成分として含有する配向膜形成用組成物を塗布、乾燥してなる硬化膜であることを特徴とする請求項1記載の光学機能材料。
  3. 前記配向膜が、ポリイミドを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の光学機能材料。
  4. 前記気相法による表面処理がプラズマ処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学機能材料。
  5. 前記プラズマ処理における反応ガスが、ハロゲンを含む物質であることを特徴とする請求項4記載の光学機能材料。
  6. 前記気相法による表面処理が、グロー放電プラズマのアフターグロー領域において施されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学機能材料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学機能材料であって、複屈折性を補償することを特徴とする光学補償シート。
  8. 透明保護膜、偏光膜、請求項7に記載の光学補償シートがこの順に積層されていることを特徴とする偏光板。
  9. 偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板を、液晶セルの両側に配置したことからなる液晶表示装置において、液晶セルと偏光膜との間に配置される二枚の透明保護膜の少なくとも一方が、請求項7に記載の光学補償シートであることを特徴とする液晶表示装置。
  10. 支持体上に配向膜を形成した後に、その上に液晶性化合物を含む液晶層塗布液を塗布して光学異方性層を形成してなる光学機能材料の製造方法であって、支持体上に配向膜を形成した後に、該配向膜上に気相法による表面処理を施す工程を有することを特徴とする光学機能材料の製造方法。
  11. 請求項10に記載の光学機能材料の製造方法において、前記気相法による表面処理工程が、配向膜を施した支持体のラビング処理工程後に行われることを特徴とする光学機能材料の製造方法。
  12. 前記支持体がフィルムであって、長尺方向に対して連続的に前記気相法による表面処理が施されることを特徴とする請求項10または11に記載の光学機能材料の製造方法。
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