JP2007085378A - バネ力調整構造 - Google Patents

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【課題】 油圧緩衝器における緩衝器本体の伸縮作動とカム構造の作動を恒久的に保障しながらいたずらな製品コストの上昇化を招来しない。
【解決手段】 筒型の油圧緩衝器にあって伸縮作動する緩衝器本体1に介装の懸架バネ2におけるバネ力をカム構造3の利用下に高低調整可能にするバネ力調整構造において、緩衝器本体1がシリンダ体11とこのシリンダ体11に出没可能に連繋するロッド体12とを有しながらシリンダ体11から突出するロッド体12における突出部を覆う筒状に形成のカバー体13を有してなり、このカバー体13が外側に位置決められる懸架バネ2の一端を係止しながら作動時に懸架バネ2の一端を上下動させるカム構造3を配在させてなると共にこのカム構造3を構成するストッパ部材31を介して連繋部材4に相対回動阻止状態下に連結されてなり、この連繋部材4がロッド体12の突出端部に連設のトップキャップ5に相対回動阻止状態下に連結されてなる。
【選択図】 図3

Description

この発明は、バネ力調整構造に関し、特に、筒型の油圧緩衝器にあって伸縮作動する緩衝器本体に介装の懸架バネにおけるバネ力をカム構造の利用下に高低調整可能にするバネ力調整構造の改良に関する。
筒型の油圧緩衝器にあって伸縮作動する緩衝器本体に介装の懸架バネにおけるバネ力をカム構造の利用下に高低調整可能にするバネ力調整構造としては、従来から種々の提案があるが、その中に、たとえば、特許文献1および特許文献2には、油圧緩衝器にあって、緩衝器本体を構成するシリンダ体の外周に上記のカム構造が配在されてなるとする提案が開示されている。
それゆえ、この特許文献1および特許文献2に開示のバネ力調整構造にあっては、シリンダ体が車体側あるいは車輪側に連結されるとき、このシリンダ体が固定部になり、この固定部に配在されたカム構造によって懸架バネの一端たる可動端の位置をいわゆる上下方向に移動することが可能になる。
このとき、特許文献1に開示のバネ力調整構造にあっては、緩衝器本体において、シリンダ体に対して出没可能に連繋されるロッド体が下端側部材とされて車輪側に連結されるから、この油圧緩衝器が車両に搭載されて利用される状況を鑑みると、ロッド体の外周に付着した泥などがシリンダ体内に侵入し易くなることが危惧されることになる。
それに対して、特許文献2に開示のバネ力調整構造にあっては、緩衝器本体がロッド体を上端側部材にして車体側に連結される場合には、ロッド体の外周に泥などが付着する機会が減るので、ロッド体の外周に付着した泥などがシリンダ体内に侵入することを危惧しなくても済むことになるが、シリンダ体が下端側部材とされるので、カム構造に泥などが付着する機会が増え、カム構造の正常な作動を保障し得なくなる危惧がある。
そこで、特許文献3に開示のバネ力調整構造にあっては、緩衝器本体を構成するロッド体が上端側部材とされた状態で油圧緩衝器が車両に搭載されるとき、ロッド体の外周への泥の付着機会が減る一方で、カム構造がロッド体における突出端部、すなわち、ロッド体を車体側に連結する際に利用するブラケットを連設する端部の外周に配在されてなるとするから、カム構造への泥の付着機会が減ることになり、緩衝器本体の作動およびカム構造の作動を保障し得ることになる。
しかし、この特許文献3に開示のバネ力調整構造にあっても、緩衝器本体においてシリンダ体から突出するロッド体における突出部は、言わば露出されたままだから、ロッド体の外周に泥などが付着する可能性は残存されており、したがって、ロッド体の外周に付着した泥などがシリンダ体内に侵入しないとは言い得ないことになる。
このような背景からすれば、特許文献4に開示のバネ力調整構造にあっては、緩衝器本体を構成するロッド体における突出部がカバー体で覆われるとして言わば絶対的に泥などがロッド体の外周に付着し得ない態勢におかれ、しかも、カム構造がカバー体の内側に配在されてなるとしているから、緩衝器本体の伸縮作動とカム構造の作動を恒久的に保障し得ることになる。
特開平8‐210417号公報(図1) 特開平8‐210414号公報(図1) 特開平8‐270712号公報(図1) 特開平10‐281207号公報(図1)
しかしながら、上記した特許文献4に開示のバネ力調整構造にあっては、緩衝器本体の伸縮作動とカム構造の作動を恒久的に保障し得る点では問題ないが、油圧緩衝器における構成を複雑にすると指摘される可能性がある。
すなわち、上記した特許文献4に開示のバネ力調整構造では、カム構造がカバー体の内側に配在されるとするから、このカム構造を、たとえば、車両を操縦する者などが直接手動操作することができず、したがって、機械構造による遠隔操縦によらざるを得ず、それゆえ、結果的に、油圧緩衝器における構造を複雑にすることになり、その分油圧緩衝器における製品コストの低減化を図り難くすることになる。
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、油圧緩衝器における緩衝器本体の伸縮作動とカム構造の作動を恒久的に保障し得るのはもちろんのこと、その際に油圧緩衝器におけるいたずらな製品コストの上昇化を招来せずして、その油圧緩衝器の汎用性の向上を期待するのに最適となるバネ力調整構造を提供することである。
上記した目的を達成するために、この発明によるバネ力調整構造の構成を、基本的には、筒型の油圧緩衝器にあって伸縮作動する緩衝器本体に介装の懸架バネにおけるバネ力をカム構造の利用下に高低調整可能にするバネ力調整構造において、緩衝器本体がシリンダ体とこのシリンダ体に出没可能に連繋するロッド体とを有しながらシリンダ体から突出するロッド体における突出部を覆う筒状に形成のカバー体を有してなり、このカバー体が外側に位置決められる懸架バネの一端を係止しながら作動時に懸架バネの一端を上下動させるカム構造を配在させてなると共にこのカム構造を構成するストッパ部材を介して連繋部材に相対回動阻止状態下に連結されてなり、この連繋部材がロッド体の突出端部に連設のトップキャップに相対回動阻止状態下に連結されてなるとする。
それゆえ、この発明にあっては、油圧緩衝器における緩衝器本体を構成するロッド体の突出部がカバー体で覆われるから、このロッド体の外周に泥などが付着し得ない態勢におかれ、その分緩衝器本体における作動が恒久的に保障されることになる。
そして、この発明にあっては、カム構造がカバー体の外周に配在されるから、このカム構造を、たとえば、車両を操縦する者などが直接手動で操作することが可能になり、したがって、機械構造を利用しての操作による場合に比較して、油圧緩衝器における構造を複雑にしなくて済むことになる。
そしてまた、この発明にあっては、カム構造がカバー体の外周に配在されるとされるとしても、カバー体が緩衝器本体にあってシリンダ体体から突出するロッド体の突出部を覆うように配在される、すなわち、カム構造が車両における車体側に近くなるように配在されることで、このカム構造が車両における車輪側に近くなるように配在される場合に比較して、泥などが付着し難くなり、カム構造の作動を恒久的に保障し得ることになる。
その結果、この発明によれば、油圧緩衝器における緩衝器本体の伸縮作動とカム構造の作動を恒久的に保障しながら油圧緩衝器におけるいたずらな製品コストの上昇化を招来せずして、その油圧緩衝器の汎用性の向上を期待するのに最適となる。
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるバネ力調整構造は、図示するとことでは、たとえば、車両たる自動二輪車の後輪側に搭載される筒型の油圧緩衝器に具現化されるとしている。
このとき、この油圧緩衝器にあっては、図1に示すように、伸縮作動する緩衝器本体1の外周に懸架バネ2を介装してなり、この発明によるバネ力調整構造は、この懸架バネ2におけるバネ力をカム構造3の利用下に高低調整可能にするとしている。
少し説明すると、まず、緩衝器本体1は、図示するところでは、シリンダ体11を下端側部材にすると共にこのシリンダ体11に出没可能に連繋するロッド体12を上端側部材にしながらシリンダ体11から突出するロッド体12における突出部(符示せず)を覆う筒状に形成のカバー体13を有してなるとしている。
そして、この緩衝器本体1にあっては、カバー体13が外側に位置決められる懸架バネ2の一端たる上端を係止しながら作動時に懸架バネ2の上端を上下動させる上記のカム構造3を外周に配在させてなるとしている。
そしてまた、この緩衝器本体1にあっては、図2および図3に示すように、カバー体13がカム構造3を構成するスットパ部材31を介して連繋部材4に相対回動阻止状態下に連結されると共に、この連繋部材4がロッド体12の突出端部に連設のトップキャップ5に相対回動阻止状態下に連結されてなるとしている。
ところで、カム構造3について少し説明するが、この発明にあって、カム構造3は、図2および図3に示すように、懸架バネ2の一端たる上端を係止しながらカバー体13の外周に回動可能に介装される筒体32と、上記したストッパ部材31とを有してなる。
そして、このカム構造3にあっては、筒体32が一端たる上端にカム面32a(図2参照)を、すなわち、いわゆる高さが異なる三段構成のカム面32aを有してなるとするもので、このカム面32aにストッパ部材31の尖端状に形成された他端たる下端が当接される(図2参照)とし、また、筒体32は、他端部たる下端部にフランジ状に形成されたバネ受部32bを有してなり、このバネ受部32bに懸架バネ2の上端を係止させるとしている。
ちなみに、このカム構造3にあって、筒体32は、外周に連設されて保持されている工具挿し込み部32c(図2参照)を有していて、それゆえ、このカム構造3にあっては、工具挿し込み部32cを工具の連繋下の外力操作で移動させることで、筒体32をカバー体13の外周で回動させることが可能になる。
そして、ストッパ部材31が任意の高さのカム面32aに当接されることで、懸架バネ2の上端が上下動されることになり、その限りにおいて、懸架バネ2のバネ力が高低調整されることになり、結果的に、車両における車高が高低調整されることになる。
つぎに、この発明において、カバー体13がスットパ部材31を介して連繋部材4に相対回動阻止状態下に連結されると共に、この連繋部材4がトップキャップ5に相対回動阻止状態下に連結されてなる態様について少し説明する。
すなわち、図4に示すところは、トップキャップ5,連繋部材4およびカバー体13を分離した状態で示すものであるが、まず、カバー体13の一端部たる上端部の外周にはカム構造3を構成するストッパ部材31を溶接などの任意の方策で固定状態に連設させてなるとしている。
このとき、このストッパ部材31の図中で上端部となる後端部は、カバー体13の端部から上方に突出する、すなわち、カバー体13の軸線方向に延在されていて、連繋部材4に形成の外周側切欠部4aへの連繋部31aとされている。
一方、トップキャップ5は、図2に示すように、ロッド体12の突出端部に溶接などで固定状態に連設されながら他端たる下端に突出形成された係止部51を連繋部材4に形成の内周側切欠部4bに嵌挿させてトップキャップ5の連繋部材4に対する相対回動阻止状態下の連結を具現化してなる。
そして、連繋部材4は、図5に示すように、軸芯部にロッド体12と、図示するところでは、クッションラバー6を臨在させる環状に形成されながら外周側をカバー体13の一端たる上端を裏面たる下面に係止させる(図3参照)フランジ部41としてなると共に、このフランジ部41を含めて径方向に切欠されてロッド体12の通過を許容する(図4中の仮想線図参照)割り部42を有してなり、この割り部42がストッパ部材31を嵌挿させる外周側切欠部4aとトップキャップ5の下端に形成の係止部51を嵌挿させる内周側切欠部4bとされてなるとしている。
それゆえ、この連繋部材4にあっては、懸架バネ2からの附勢力に抗するようにしてカバー体13を移動させた、すなわち、図示するところでは、押し下げた状態から割り部42でロッド体12をいわゆる交わすようにすることで、この連繋部材4をトップキャップ5に連繋させると共に懸架バネ2の附勢力で上昇してくるカバー体13に保持されているカム構造3におけるストッパ部材31の連繋を可能にし得ることになる。
このとき、図示するところでは、ロッド体12の外周に適宜の長さを有するクッションラバー6が介装されている(図3参照)から、上記の連繋部材4を所定の配在状態にするには、このクッションラバー6を交わすことになるまで、カバー体13を押し下げる必要があり、その意味では、この連繋部材4の配在が不便になると言い得る。
そこで、この連繋部材4については、上記した言わば一体に形成されることに代えて、図6に示すように、いわゆる分割態様に形成されてなるとしても良い。
すなわち、この図6に示すところにあっては、連繋部材4が軸芯部にロッド体12およびクッションラバー6を挿通させながら外周側をカバー体13の上端を下面に係止させるフランジ部41とし、トップキャップ5の下端に突出形成された係止部51を嵌挿させる内周側切欠部4bとストッパ部材31を嵌挿させる外周側切欠部4aとを有してなるのはもちろんのこと、この連繋部材4が軸芯を通る直径方向の切断線aで二分割されてなるとしている。
それゆえ、この分割態様に形成された連繋部材4にあっては、これを所定位置に配在するにあってカバー体13を押し下げるとき、クッションラバー6を交わすほどのストロークを要しないことになり、したがって、図5に示す言わば一体構造に形成された連繋部材4に比較して、その配在作業が容易になる利点がある。
以上のように形成されたバネ力調整構造をにあっては、油圧緩衝器における緩衝器本体1を構成するロッド体12の突出部がカバー体13で覆われることになるから、ロッド体12の外周に泥などが付着し得ない態勢になり、したがって、ロッド体12に附着した泥などが緩衝器本体1を構成するシリンダ体11内に侵入しなくなり、その分緩衝器本体1における作動が恒久的に保障されることになる。
そして、カム構造3は、カバー体13の外周に配在されるから、このカム構造3を、たとえば、車両を操縦する者などが直接手動で操作することが可能になり、したがって、機械構造を利用しての操作による場合に比較して、油圧緩衝器における構造を複雑にしないことになる。
そしてまた、カム構造3は、カバー体13の外周に配在されるとされるとしても、カバー体13が緩衝器本体1にあって上端側部材とされるロッド体12の突出部を覆うように配在される、すなわち、カム構造3が車両における車体側に近くなる緩衝器本体1における上端側部材側に配在されるから、このカム構造3が緩衝器本体1における下端側部材側に配在される場合に比較して、泥などが付着し難くなり、カム構造3の作動を恒久的に保障することが可能になる。
その結果、この発明によれば、油圧緩衝器における緩衝器本体1の伸縮作動とカム構造3の作動を恒久的に保障しながら油圧緩衝器におけるいたずらな製品コストの上昇化を招来せずして、その油圧緩衝器の汎用性の向上を期待するのに最適となる。
前記したところは、油圧緩衝器における緩衝器本体1がシリンダ体11を下端側部材にすると共にロッド体12を上端側部材にする正立型に設定されてなるとしたが、この発明が意図するところ、すなわち、いたずらな製品コストの上昇化を招来しないことからすれば、上記したところに代えて、図示しないが、緩衝器本体1がシリンダ体11を上端側部材にすると共にロッド体12を下端側部材にする倒立型に設定されてなるとしても良いことはもちろんである。
この発明によるバネ力調整構造を具現化した油圧緩衝器を示す正面図である。 図1の油圧緩衝器における上端部を拡大して示す部分正面図である。 図2中のY‐Y線位置で示す半截部分縦断面図である。 油圧緩衝器における上端部を構成するトップキャップ,連繋部材およびカバー体を分解状態で示す図である。 連繋部材の一実施形態を示す平面図である。 連繋部材の他の実施形態を図5と同様に示す図である。
符号の説明
1 緩衝器本体
2 懸架バネ
3 カム構造
4 連繋部材
4a 外周側切欠部
4b 内周側切欠部
5 トップキャップ
11 シリンダ体
12 ロッド体
13 カバー体
31 ストッパ部材
32 筒体
32a カム面
41 フランジ部
42 割り部
51 係止部

Claims (5)

  1. 筒型の油圧緩衝器にあって伸縮作動する緩衝器本体に介装の懸架バネにおけるバネ力をカム構造の利用下に高低調整可能にするバネ力調整構造において、緩衝器本体がシリンダ体とこのシリンダ体に出没可能に連繋するロッド体とを有しながらシリンダ体から突出するロッド体における突出部を覆う筒状に形成のカバー体を有してなり、このカバー体が外側に位置決められる懸架バネの一端を係止しながら作動時に懸架バネの一端を上下動させるカム構造を配在させてなると共にこのカム構造を構成するストッパ部材を介して連繋部材に相対回動阻止状態下に連結されてなり、この連繋部材がロッド体の突出端部に連設のトップキャップに相対回動阻止状態下に連結されてなることを特徴とするバネ力調整構造
  2. カム構造が懸架バネの一端を係止しながらカバー体の外周に回動可能に介装されると共に一端にカム面を有する筒体と、この筒体のカム面に先端を当接させながらカバー体に一体的に保持されるストッパ部材とを有してなり、このストッパ部材が連繋部材に形成の外周側切欠部に嵌挿されてカバー体が連繋部材に相対回動阻止状態下に連結されてなる請求項1に記載のバネ力調整構造
  3. トップキャップがロッド体の突出端部に固定状態に連設されながら他端に形成の係止部を連繋部材に形成の内周側切欠部に嵌挿させてトップキャップの連繋部材に対する相対回動阻止状態下の連結を具現化してなる請求項1に記載のバネ力調整構造
  4. 連繋部材が軸芯部にロッド体を挿通させながら外周側をカバー体の一端を裏面に係止させるフランジ部としてなると共に、このフランジ部を含めて径方向に切欠されてロッド体の通過を許容する割り部を有してなり、この割り部がストッパ部材を嵌挿させる外周側切欠部とトップキャップの他端に形成の係止部を嵌挿させる内周側切欠部とされてなる請求項1に記載のバネ力調整構造
  5. 連繋部材が軸芯部にロッド体を挿通させながら外周側をカバー体の一端を裏面に係止させるフランジ部としてなると共にトップキャップの他端に形成の係止部を嵌挿させる内周側切欠部とストッパ部材を嵌挿させる外周側切欠部とを有してなり、かつ、連繋部材が軸芯を通る直径方向の切断線で二分割されてなる請求項1に記載のバネ力調整構造
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