JP2007085202A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイル溜めにオイルカップを備えた圧縮機において、オイル溜めの油面が低下しても、オイルポンプの回転に伴って油面が断面略放物線状に凹むのを抑制し、オイルポンプによりオイルを確実に吸い上げられるようにする。
【解決手段】容器本体1の底部にオイル溜め16が設けられ、このオイル溜め16に連通するオイルカップ17が固定され、駆動軸7の下端部に取り付けられたオイルポンプ18がオイルカップ17内に挿入された圧縮機において、オイルカップ17の内壁に一端が固定され、他端がオイルカップ17の中心軸に向くようにしてほぼ鉛直に配設された複数の板材19aから構成した回転抑制手段19を設ける。板材19aの上端はオイルカップ17の上縁近傍に、下端はオイルカップ17の底部近傍に、側端はオイルポンプ18の外側壁近傍にそれぞれ位置させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、圧縮機に係るもので、特に潤滑用オイルの供給機構において、オイルカップ内のオイルが回転摩擦力により回転するのを抑制し得る回転抑制手段を設けた圧縮機に関する。
一般に、気体を圧縮する圧縮機としては、レシプロ式、回転式、スクロール式等の圧縮機が知られている。これらの圧縮機は、電動機からなる電動要素と、この電動要素により駆動される圧縮要素とを備え、圧縮要素に導入される冷媒ガス等の気体を圧縮して吐出させ、この圧縮気体を例えば空調機、冷蔵庫、冷凍・冷蔵庫等の冷凍サイクルに供給するようにしている。
この種の圧縮機は、通常圧縮機本体を構成する容器の底部に潤滑用オイルを溜めるオイル溜めが設けられ、電動要素のロータに軸着された駆動軸の端部にオイルポンプが取り付けられ、このオイルポンプによりオイル溜めのオイルを吸い上げると共に、駆動軸の内部に軸線方向に沿って設けられた油通路を介して圧縮要素の摺動部や駆動軸の軸受部にオイルを供給して潤滑する。そして、潤滑後のオイルはオイル溜めに戻して繰り返し使用する構造になっている。
前記オイルポンプは駆動軸の端部に取り付けられており、駆動軸の回転によってオイルポンプが回転し、この回転に伴う遠心力によってオイル溜めからオイルを吸い上げると共に、駆動軸に設けられた油通路の内壁に沿ってオイルを上昇させて前記圧縮要素の摺動部や駆動軸の軸受部にオイルを供給するのであるが、オイル溜めのオイル量が減少し、且つオイルポンプの回転に伴なう回転摩擦力によってオイルが回転されると、オイル溜め内の油面が断面略放物線状に凹み、或いは波立ち状態になることがある。このような状態に陥ると、オイルポンプの吸込口近傍の油面が低下し、或いは不安定になってオイルの吸い上げ量が減少し、又は吸い上げが不能となって摺動部や軸受部に対するオイル供給量が減少することから潤滑機能の低下を招く問題があった。
このような問題を解決する手段として、例えば特許文献1には、オイル溜めの油面の乱れを抑制するオイルプレートを設けたスクロール圧縮機が開示されている。しかしながら、オイルプレートの上面が油面よりも若干低く位置している状態においては、油面の乱れ抑制効果を得るが、油面が下がってオイルプレートの下面より低い状態になると、油面の乱れ抑制効果が十分得られずに波立ち状態となり、更に油面が下がるとオイルポンプの回転に伴って断面略放物線状に凹み、オイルポンプからオイルを吸い上げることが困難又は不能になってしまう。
又、特許文献2には、オイルポンプを囲むようにして攪拌抑制部材が設けられ、この攪拌抑制部材によりオイル溜めにおけるオイルポンプの回転摩擦力の作用範囲を制約するようにしたスクロール圧縮機が開示されている。しかしながら、この場合も油面が下がってオイルポンプの下端近傍位置になると、オイルポンプの回転に伴って油面が断面略放物線状に凹み、オイルポンプからオイルを吸い上げることが困難又は不能になってしまう。更に、特許文献3には、ロータの下部を覆うように且つオイルポンプを囲繞するようにして形成した筒状部を有する攪拌抑制部材を備えたスクロール圧縮機が開示されている。しかしながら、この場合も同様に油面がオイルポンプの下端近傍位置まで下がると、オイルポンプの回転に伴って断面略放物線状に凹み、オイルポンプからオイルを吸い上げることが困難又は不能になってしまう。
特開平6−26469号公報 特開平9−32760号公報 特開平5−65884号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたもので、オイル溜めの油面が下がっても、オイルポンプの回転に伴って油面が断面略放物線状に凹むのを抑制し、オイルポンプによりオイルを確実に吸い上げられるように構成した圧縮機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、本発明の請求項1は、容器内に電動要素と、この電動要素により駆動される圧縮要素とを備え、前記容器の底部にオイル溜めが設けられると共にこのオイル溜めに連通するオイルカップが固定され、前記電動要素のロータに軸着された駆動軸の下端部にオイルポンプが取り付けられ、このオイルポンプの吸込口は前記オイルカップの中心軸上でオイルカップの底部近傍に位置付けられた圧縮機において、前記オイルカップの内壁に当該オイルカップ内のオイルが回転摩擦力により回転し、オイルポンプの吸込口の油面低下を抑制するための回転抑制手段を設けたことを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1に記載の圧縮機において、前記回転抑制手段は、前記オイルカップの内壁に一端が固定され他端がオイルカップの中心軸に向くようにしてほぼ鉛直に配設された板材から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項2に記載の圧縮機において、前記板材は、矩形であって上端が前記オイルカップの上縁近傍に位置し、下端がオイルカップの底部近傍に位置し、且つ側端がオイルポンプの外壁近傍に位置して取り付けられていることを特徴とする。
本発明の請求項4は、請求項2又は請求項3に記載の圧縮機において、前記板材は、オイルカップの内壁に沿って等間隔に複数枚取り付けられていることを特徴とする。
上記請求項1の発明によれば、容器の底部にオイル溜めが設けられると共にこのオイル溜めに連通するオイルカップが固定され、このオイルカップの中心軸線に沿ってオイルポンプが挿入配置され、オイルポンプの吸込口はオイルカップの底部近傍に位置付けられた圧縮機において、オイルカップの内壁には回転抑制手段が設けられているため、当該オイルカップ内のオイルが回転摩擦力により回転するのを抑制することができる。これにより、オイル溜めの油面が下がっても、オイルポンプの回転に伴ってオイルカップ内の油面が断面略放物線状に凹むのを抑制することができ、オイルポンプの吸込口からオイルを確実に吸い上げて圧縮要素の摺動部や駆動軸の軸受部に充分に供給し、潤滑することができる。
上記請求項2の発明によれば、請求項1における回転抑制手段は板材から形成され、この板材の一端はオイルカップの内壁に固定され、他端はオイルカップの中心軸に向くようにしてほぼ鉛直に配設されているため、この板材がオイルカップ内のオイルの回転に対して邪魔板としての作用を発揮し、オイルポンプの回転に伴うオイルの回転を抑制することができる。
上記請求項3の発明によれば、請求項2に記載の圧縮機において、前記板材は矩形であって、上端がオイルカップの上縁近傍に位置し、下端がオイルカップの底部近傍に位置し、且つ側端がオイルポンプの外壁近傍に位置して取り付けられているため、オイルカップ内でのオイルの回転を確実に抑制することができる。
上記請求項4の発明によれば、請求項2又は請求項3の圧縮機において、前記板材が
オイルカップの内壁に沿って等間隔に複数枚取り付けられているため、オイルカップ内でのオイルの回転をより一層確実に抑制することができる。
次に、本発明に係る圧縮機の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明をスクロール圧縮機に適用した一実施形態を示す概略縦断面図である。図中、1は円筒形の容器本体であり、内部に電動要素2とこの電動要素2により駆動される圧縮要素3とが収納・配設され、容器本体1の上端部には仕切り円盤4を介して上部キャップ5が取り付けられ、容器本体1の下端部には下部キャップ6が取り付けられることにより密閉容器として構成されている。
上記電動要素2は電動機であって、外周部が容器本体1のほぼ中央部の内壁に固定されているステータ2aと、このステータ2aの中央部に回転自在に配設されたロータ2bとから構成され、ロータ2bの中央部には駆動軸7が貫通して軸着されている。
上記圧縮要素3は公知のスクロール形式のものであって、ほぼ円盤状の下面側に渦巻状の凹溝が形成されている固定スクロール3aと、ほぼ円盤状の上面側に渦巻状の突起が形成されている揺動スクロール3bとから構成され、これら一対のスクロールの渦巻状凹溝と突起を組み合わせて圧縮室を形成して圧縮作用を行う。即ち、固定スクロール3aは静止させ、揺動スクロール3bはその中心軸回りには自転しない旋回運動をさせ、前記凹溝と突起により形成される圧縮室が揺動スクロール3bの旋回運動によって回転しながら中央部に移動し、次第にその容積を減じる。そして、圧縮要素3の外側部から吸入された気体は、圧縮室の容積変化により等エントロピー変化等に従って圧力が上昇するのである。
前記容器本体1の上部の内壁には上部支持フレーム8が固定され、この上部支持フレーム8の上面外周部に前記固定スクロール3aが取り付けボルト9(1本しか図示されていないが実際は複数本用いる)を介して固定され、中央部に形成されている軸受部8aには前記駆動軸7の上端部が貫通して軸支されている。又、上部支持フレーム8の上面側中央部には円形の凹部8bが形成されており、軸受部8aを貫通した駆動軸7の偏心カム部7aが凹部8b内に突出し、この偏心カム部7aに前記揺動スクロール3bの下面側突出円筒部がベアリング10を介して嵌着され、揺動スクロール3bが前記固定スクロール3aに組み合わされている。そして、上部支持フレーム8と揺動スクロール3bは、この揺動スクロールの自転を規制するためにオルダムリング11によって継ぎ手接続されている。これにより、駆動軸7の軸回転に伴って偏心カム部7aが偏心回転し、この偏心カム部7aにより揺動スクロール3bは自転することなく固定スクロール3aに対して旋回運動をする。
前記仕切り円盤4は中央部に通孔4aが設けられ、この通孔4aは固定スクロール3aの中央部に設けられた吐出ポート3c及びこの吐出ポート3cに続く凹部3dに連通している。これにより、圧縮要素3にて圧縮された気体は、固定スクロール3aの吐出ポート3cから吐出されると共に、凹部3d及び通孔4aを通って仕切り円盤4により仕切られている上部空間領域に流入し、上部キャップ5に取り付けられている吐出管12から外部に吐出される。仕切り円盤4の中央部と、固定スクロール3aの上面側に形成されている円筒部との取付部にはシール材13が装着されており、これにより上部空間領域(高圧領域)に流入した高圧の圧縮気体が、仕切り円盤4より下方の下部空間領域(低圧領域)に漏れないようにシールしてある。尚、凹部3dには吐出ポート3cを開閉する圧力開閉弁(図略)が取り付けられる。
前記容器本体1の下部の内壁には下部支持フレーム14が固定され、この下部支持フレーム14の中央部に形成されている軸受部14aにはベアリング15が装着され、前記駆動軸7の下端部が貫通して軸支されている。これにより、駆動軸7は上下端部が上部支持フレーム8の軸受部8a及び下部支持フレーム14の軸受部14aによりそれぞれ軸支されているため、前記ロータ2bの回転に伴う軸回転が安定し、且つステータ2aに対するロータ2bの適正位置を保持することができる。
前記容器本体1の底部には潤滑用オイルを収納したオイル溜め16が設けられ、前記下部キャップ6の上面中央部にオイルカップ17が固定され、このオイルカップ17の側壁下部には円周方向に沿って複数の通孔17aが等間隔で形成され、これらの通孔17aを介してオイルカップ17の内部がオイル溜め16に連通している。又、オイルカップ17の内壁には、オイルポンプ18の回転に伴ってオイルカップ17内のオイルが回転摩擦力により回転するのを抑制し得る回転抑制手段19が設けられている。
本実施形態では、回転抑制手段19はオイルカップ17の内壁に一端が固定され、他端がオイルカップ17の中心軸に向くようにしてほぼ鉛直に配設された板材19aから構成されている。この場合、板材19aは矩形であって、上端がオイルカップ17の上縁又は上縁近傍に位置し、下端がオイルカップ17の底部又は底部近傍に位置し、且つ側端がオイルポンプ18の外壁近傍に位置して、図3のようにオイルカップ17の内壁に沿って等間隔に4枚取り付けられている。尚、板材19aの形状は矩形に限定されず、枚数も4枚に限定されない。又、回転抑制手段19は板材19aに限定されず、例えば角材その他オイルカップ17内のオイルの回転を抑制又は阻止できるものであればよい。
前記オイルポンプ18は、駆動軸7の下端部に取り付けられており、図2のようにオイルポンプ18の下端部には吸込口18aが形成され、この吸込口18aの近傍にパドル18bが設けられると共に、内壁に沿って凹部を円環状に又は間隔をあけて複数個所設けることにより異物分離機構18cを形成してある。これにより、オイルポンプ18は駆動軸7の回転によってオイルカップ17内のオイルを吸い上げることができる。
オイルポンプ18により吸い上げられたオイルは、遠心力によって駆動軸7の内部に軸線方向に沿って形成されている油通路7bの内壁に沿って上昇し、この油通路7の途中に設けられている複数の給油孔7cから圧縮要素3の摺動部や、駆動軸7の軸受部8a、14a等に供給される。
駆動軸7の油通路7bの上端は、図1のように偏心カム部7aの内部に軸線方向に沿って形成されている油通路7dに連通しており、この油通路7dは揺動スクロール3bの内部に形成されている複数の給油孔3eと連通している。偏心カム部7aの油通路7dから上方に出たオイルは、偏心カム部7aを軸受けしているベアリング10部分に給油されると共に、揺動スクロール3bの給油孔3eに流入したオイルは、給油孔3eの上端部から揺動スクロール3bの外周面を下降して下面側に回り込み、揺動スクロール3bと上部支持フレーム8との摺動面に給油される。そして、駆動軸7の回転が停止すると、油通路7b、7d内のオイルは内壁に沿って下降し、オイルポンプ18の下端部からオイルカップ17内に落下してオイル溜め16に戻される。
前記揺動スクロール3bの摺動部や、駆動軸7及び偏心カム部7aの軸受部に供給されたオイルの一部も落下してオイル溜め16に戻るが、この戻りオイル中には摺動部や軸受部で摩擦により生じた金属粉等の微細な異物が混入していることがある。このような微細な異物が混入した戻りオイルは、オイルカップ17又はオイル溜め16内で前記駆動軸7からの戻りオイルと混ざり合って繰り返し使用されるため、オイルポンプ18から吸い上げられるオイル中に異物の混入量が徐々に増大することになる。しかしながら、本実施形態においては、前記のようにオイルポンプ18の内壁に沿って異物分離機構18cが設けられているため、オイル戻りの際に駆動軸7の油通路7bから出たオイルがオイルポンプ18の内壁に沿って下降し、異物分離機構18c内に流入する。この異物分離機構18c内に流入した戻りオイルは、比重差によってオイルと異物が分離され、異物は異物分離機構18cの底部に沈殿し、オイルは異物分離機構18cから溢れ出てオイルポンプ18の下端部からオイルカップ17内に落下してオイル溜め16に戻される。これにより、戻りオイル中から異物を分離することができる。本発明では、異物分離機構18cがあるためオイルポンプ18が大型化し、回転摩擦力が大きくなってオイルが回転し易くなるが、上記のようにオイルカップ17内に板材19aを設けることでオイルの回転を防止することができる。
前記容器本体1の側壁上部にはターミナル20が取り付けられ、その内部側端子と前記電動要素2のステータ2aとが図示しない内部リード線により接続されると共に、外部側端子には図示しない外部電源からのリード線が接続される。これにより、外部電源から給電すると、ターミナル20を通じて電動要素2を作動させることができる。
又、容器本体1の側壁要所には吸入管21が取り付けられ、この吸入管21の内側端部と前記圧縮要素3の図示しない吸入ポートとが連結管を介して接続されると共に、吸入管21の外側端部には図示しない気体供給源からの配管が接続される。これにより、例えば冷媒ガスを吸入管21から供給すると、圧縮要素3の吸入ポートから圧縮室内に吸入され、揺動スクロール3bの旋回運動によって冷媒ガスは圧縮される。そして、圧縮された冷媒ガスは、前記固定スクロール3aの吐出ポート3cから吐出されると共に、吐出管12から外部に吐出される。
本実施形態に係るスクロール圧縮機は上記のように構成されており、前記外部電源から給電すると電動要素2が作動してロータ2bが回転し、このロータ2bの回転と共に駆動軸7が軸回転し、偏心カム部7aを介して圧縮要素3の揺動スクロール3bが旋回し、吸入管21から供給される気体例えば冷媒ガスを、吸入ポートから圧縮室に吸入して圧縮運転が開始される。
圧縮運転中に、前記オイルポンプ18が駆動軸7と共に軸回転し、オイルカップ17内のオイルを吸込口18aから吸い上げて駆動軸7の油通路7bに送り込む。オイルカップ17内のオイルは、オイルポンプ18の回転に伴ってその回転摩擦力により回転方向と同方向に回転させられる。このため、オイルカップ17内において、油面は断面略放物線状を呈して油面の中央部は低く落ち込み、外周部に行くに連れて湾曲状に高くなる。
オイル溜め16の油面は、通常オイルカップ17の上縁を超えて下部支持フレーム14の下面近傍に位置しており、このような状態ではオイルカップ17内でオイルの回転が生じてもオイルポンプ18によるオイルの吸い上げには何ら支障が生じない。オイル溜め16の油量が減少して油面の高さがオイルカップ17の上縁より低くなったとしても、断面略放物線状の油面の中央部がオイルポンプ18の吸込口18aより高い位置にあるならば、
オイルを吸い上げることができる。オイル溜め16の油量が更に減少して、図2に仮想線で示すようにオイルカップ17内での断面略放物線状の油面の中央部がオイルポンプ18の吸込口18aより低い位置になると、オイルを吸い上げることができなくなってしまう。
本発明では、前記のようにオイルカップ17の内壁に沿って複数の板材19aから構成された回転抑制手段19を設けてあるので、オイルカップ17内でのオイルの回転を抑制することができる。又、オイルの回転が抑制されることから油面の波立ちも抑えることができる。これにより、オイルカップ17内において、オイルの回転力は著しく減少させられ、油面の中央部をできるだけ高い位置に保持できるためオイルの吸い上げを確実に行うことができる。
回転抑制手段19の板材19aは、その下端をオイルカップ17の底部に近接又は当接させ、側端はオイルポンプ18の外側壁に極力近接させ、且つ取付枚数はできるだけ多い方がオイルの回転抑制効果を向上させるので好ましい。
オイルポンプ18により吸い上げられたオイルは、前記のように駆動軸7の油通路7b内に流入し、内壁に沿って上昇しながら下部支持フレーム14の軸受部14aに対応する給油孔7cから当該軸受部14aに給油され、次いで上部支持フレーム8の軸受部8aに対応する給油孔7cから当該軸受部8aに給油される。更に、オイルは上昇を続けて偏心カム部7aの油通路7d内に流入し、この油通路7dの上端から出て偏心カム部7aを軸受けしているベアリング10部分に給油されると共に、揺動スクロール3bの給油孔3eを経て揺動スクロール3bの外周面を下降し、下面側に回り込んで揺動スクロール3bと上部支持フレーム8との摺動面に給油される。そして、駆動軸7の回転が停止すると、油通路7b、7d内のオイルは内壁に沿って下降し、オイルポンプ18の下端部からオイルカップ17内に落下してオイル溜め16に戻される。
そして、圧縮要素3の吸入ポートから圧縮室に吸入された冷媒ガスは、前記のように揺動スクロール3bの旋回運動によって圧縮された後、固定スクロール3aの吐出ポート3cから凹部3d及び仕切り円盤4の通孔4aを通って上部空間領域に流入すると共に、吐出管12から外部に吐出され、吐出管12に接続された図示しない配管を介して冷凍サイクルに送り込まれる。冷凍サイクルを循環した後、冷媒ガスは図示しない配管を介して吸入管21から容器本体1に戻され、連絡管を経て圧縮要素3の吸入ポートから圧縮室に吸入されるのである。
尚、上記実施形態はスクロール圧縮機に適用した例で説明したが、本発明はスクロール圧縮機に限定されず、他形式の圧縮機であってオイル溜めにオイルカップを備えた圧縮機に適用することが可能である。
本発明は、オイル溜めにオイルカップを備えている圧縮機に有効利用することができ、オイルカップ内に回転抑制手段を設けることにより、オイルポンプの回転に伴うオイルの回転を抑制することができ、特にオイル溜めのオイル量が減少してもオイルポンプによるオイルの吸い上げを確実に行うことができる。これにより、圧縮要素の摺動部や駆動軸の軸受部を充分に潤滑することで圧縮機の信頼性を向上させることができる。
本発明をスクロール圧縮機に適用した実施形態を示す概略縦断面図である。 本発明の実施形態における回転抑制手段を示す一部拡大図である。 図2におけるX−X線に沿う概略横断面図である。
符号の説明
1 容器本体
2 電動要素
2a ステータ
2b ロータ
3 圧縮要素
3a 固定スクロール
3b 揺動スクロール
3c 吐出ポート
4 仕切り円盤
5 上部キャップ
6 下部キャップ
7 駆動軸
7a 偏心カム部
7b、7d 油通路
7c 給油孔
8 上部支持フレーム
8a 軸受部
11 オルダムリング
12 吐出管
14 下部支持フレーム
14a 軸受部
15 ベアリング
16 オイル溜め
17 オイルカップ
18 オイルポンプ
19 回転抑制手段
19a 板材
20 ターミナル
21 吸入管

Claims (4)

  1. 容器内に電動要素と、この電動要素により駆動される圧縮要素とを備え、前記容器の底部にオイル溜めが設けられると共にこのオイル溜めに連通するオイルカップが固定され、前記電動要素のロータに軸着された駆動軸の下端部にオイルポンプが取り付けられ、このオイルポンプの吸込口は前記オイルカップの中心軸上でオイルカップの底部近傍に位置付けられた圧縮機において、前記オイルカップの内壁に当該オイルカップ内のオイルが回転摩擦力により回転し、オイルポンプの吸込口の油面低下を抑制するための回転抑制手段を設けたことを特徴とする圧縮機。
  2. 前記回転抑制手段は、前記オイルカップの内壁に一端が固定され他端がオイルカップの中心軸に向くようにしてほぼ鉛直に配設された板材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記板材は、矩形であって上端が前記オイルカップの上縁近傍に位置し、下端がオイルカップの底部近傍に位置し、且つ側端がオイルポンプの外壁近傍に位置して取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記板材は、オイルカップの内壁に沿って等間隔に複数枚取り付けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の圧縮機。
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