JP2007084962A - 紙塗工液用保水剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 保水性に優れ、かつ塗工液の粘度を上昇させない紙塗工液用保水剤を提供する。
【解決手段】
塗工紙を得るために用いられる紙塗工液用の保水剤であって、
(メタ)アクリル酸15〜70質量部と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル30〜85質量部と、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体0〜50質量部から合成される共重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤(B)と、アニオン性界面活性剤(C)とを含み、
前記共重合体(A)100質量部に対し、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との合計量が10〜50質量部であり、
かつ、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との質量比(B)/(C)が3以上である。

Description

本発明は、紙表面に塗工するための紙塗工液に添加され、塗工液の粘度を過度に増大させることなく、充分な保水性を確保することのできる紙塗工液用保水剤に関するものである。
一般に、印刷用紙には、平滑性、光沢性、印刷適性を改善するため、その表面に塗工液を塗布して、塗布層を設けている。この紙塗工液は、通常、クレー、カオリン、重質炭酸カルシウム等の白色顔料と、SBRラテックス等のバインダー、酸化デンプンやポリビニルアルコール等の補助バインダー等を含んだ水分散体として調製される。そして、この水分散体をタンクから塗工機に供給して走行中の紙に連続的に塗布し、過剰分をブレードのような塗工ヘッドで取り除き、乾燥することにより、塗布層が形成される。そして、紙から除かれた塗工液は、通常、タンクに戻され、新しい塗工液に混合して再使用される。
上記のように、塗工液が紙基材に塗工された後、乾燥工程を経て塗布層が形成されるが、この塗布工程から乾燥工程に至るまでの間に、紙基材が塗工液の水分を吸収するため、白色顔料やバインダーが水分に同伴して紙基材内に染み込み、紙基材の平滑性を低下させるという問題があった。紙基材の平滑性が低下すると、塗布層の厚さが不均一となり、その結果、印刷適性が低下してしまう。また、紙基材が多量に吸水すると、紙切れ等のトラブルを起こすことがあった。
これらの不都合を防ぐため、塗工液には、水を保持することのできる保水剤が添加され、紙基材に水分が多量に吸収されるのを防止するように構成されている。保水剤は、顔料の周囲に水を集めて塗工時の顔料の配向性を高めるので、この点でも、塗布層表面の平滑化に役立っている。さらに、保水剤は、塗工液の粘度や流動性を適切に調整する役割をも有している。
上記保水剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)やアルギン酸ソーダのような水溶性の高分子物質が用いられていたが、保水性を充分確保しようとしてこれらの高分子物質を塗工液中に多く配合すると、塗工液の粘度が高くなってしまい、高速塗工をしたときに、ストリーク(筋状欠点)やスクラッチ(ひっかき傷状欠点)が発生して、平滑な塗布層が得られないという問題があった。
このため、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を保水性剤として用いた紙塗工液が提案されている(特許文献1等)。このものは、それまでのカルボキシメチルセルロースやアルギン酸ソーダを用いたものに比べ、少ない量で、保水性、粘度、流動性を向上させることができた。しかし、紙基材の吸水によるトラブルを防ぐためと生産コスト低減のため、塗工液の高固形分化が望まれており、高固形分化を可能にするには、塗工液の粘度上昇を抑制できる保水剤や、少量添加で保水効果の高い保水剤が必要となってきた。このような保水剤は、高速塗工のためにも必要であった。
特開平2−53996号公報
上記従来技術を踏まえ、本発明では、保水性に優れ、かつ塗工液の粘度を上昇させない紙塗工液用保水剤を提供することと、高速塗工に適した紙塗工液およびその製造方法を提供することを課題として掲げた。
本発明は、塗工紙を得るために用いられる紙塗工液用の保水剤であって、
(メタ)アクリル酸15〜70質量部と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル30〜85質量部と、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体0〜50質量部から合成される共重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤(B)と、アニオン性界面活性剤(C)とを含み、
前記共重合体(A)100質量部に対し、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との合計量が10〜50質量部であり、
かつ、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との質量比(B)/(C)が3以上であるところに特徴を有する。なお、本発明における共重合体には、3元以上の多元共重合体も含まれるものとする。
上記ノニオン性界面活性剤(B)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることが好ましい。
本発明には、上記紙塗工液用保水剤と、顔料とバインダー樹脂を含む紙塗工液も包含され、この場合、顔料100質量部に対し、上記紙塗工液用保水剤が0.05〜2質量部添加されていると、保水性と粘度のバランスが最適な紙塗工液となる。なお、この紙塗工液を製造するには、予め、上記紙塗工液用保水剤を調製した後、紙塗工液用原料へと添加することが望ましい。
本発明の紙塗工液用保水剤は、高い保水力を塗工液に与え、しかも塗工液の粘度を適正範囲に保持するものである。従って、この保水剤を含む紙塗工液は、高速で塗工しても、ストリークやスクラッチが発生しない。よって、表面平滑性に優れた印刷用紙を提供できるようになった。
本発明の紙塗工液用保水剤は、(メタ)アクリル酸15〜70質量部と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル30〜85質量部と、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体0〜50質量部から合成される共重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤(B)と、アニオン性界面活性剤(C)とを含むものである。この保水剤の形態としては、エマルションが望ましく、この場合は、保水剤には水も含まれる。
まず、本発明の保水剤に含まれる共重合体(A)を構成する成分(単量体成分)、すなわち、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体について説明する。
(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸である。アクリル酸、メタクリル酸いずれか一種または両方を使用できるが、メタクリル酸の方が好ましい。
(メタ)アクリル酸は、全てのカルボキシル基がフリー(酸)、その一部が塩、全てが塩、いずれの形態であってもよい。塩を形成するのに用いられるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン類等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。なお、塩形成は、重合の前、重合中、重合後のいずれの時点で行ってもよい。また、共重合体(A)が塗工液に添加された後は、カルボキシル基が、例えば、顔料として添加されている炭酸カルシウム等のアルカリ化合物や、pH調整剤として添加され得るアルカリ化合物と塩を形成することとなる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、共重合体(A)にある程度の疎水性を与えるために用いられる。ここでいう(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、エチレン性不飽和二重結合を分子内に1個のみ有する単官能の単量体を指すものとする。具体例を挙げれば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独でも2種以上併用してもよいが、中でもアクリル酸エチルが好ましい。
共重合体(A)を合成する際の(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの量比は、(メタ)アクリル酸が15〜70質量部、(メタ)アクリル酸アルキルエステル30〜85質量部とする。すなわち、これらの合計を100質量%とした場合に、(メタ)アクリル酸は15〜70質量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは30〜85質量%とすることが好ましい。(メタ)アクリル酸が少ないと、塗工液の保水性が不充分となる。しかし、(メタ)アクリル酸が多すぎると、塗工液の粘度を高める効果が大きくなりすぎて、塗工液が高速塗工に適さなくなる。より好ましい(メタ)アクリル酸量の下限は20質量%、さらに好ましい下限は25質量%であり、より好ましい上限は65質量%、さらに好ましい上限は60質量%である。
上記共重合体(A)を合成する際には、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体を用いてもよい。ただし、他の単量体は、共重合体(A)の保水効果等を損なわないように、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの使用量の合計100質量部に対し、50質量部以下の範囲で使用する。全く使用しなくても構わない。使用可能なその他の単量体としては以下のものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
(1)ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有単量体;モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等のリン酸基含有単量体等の酸性単量体類。
(2)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸のモノエステル化物等のヒドロキシル基含有単量体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有単量体等の単官能単量体類。
(3)(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物(モノエステル化物は除く)等の多官能(メタ)アクリル酸エステル系単量体;メチレン(メタ)アクリルアミド等の多官能(メタ)アクリルアミド系単量体;ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート等の多官能アリル系単量体;(メタ)アクリル酸アリル;ジビニルベンゼン等の多官能単量体類。
(4)N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性(メタ)アクリルアミド系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等の加水分解性ケイ素含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニルオキサゾリン等のオキサゾリニル基含有単量体;(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル、(メタ)アクリロイルアジリジン等のアジリジニル基含有単量体等の反応性単量体類。
(5)特開2002−13096号に記載されている3−メチル−3−ブテン−1−オールから誘導されるポリオキシエチレン鎖を有する単量体類。
上記単量体成分から共重合体(A)を合成する際の重合方法には格別の制限はなく、公知の重合法、例えば溶液重合法、塊状重合法、水溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が使用できるが、本発明の保水剤はエマルションの形態が好ましいため、乳化重合法の採用が推奨される。乳化重合以外の方法で共重合体(A)を得た後、公知の方法により水媒体中に分散させてエマルション形態としてもよい。
乳化重合には、水溶性の重合開始剤が用いられる。このような重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とL−アスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系開始剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
乳化重合に際しては、界面活性剤を使用することが望ましい。本発明の共重合体(A)の原料単量体成分には(メタ)アクリル酸が含まれ、このような酸基含有単量体を含む単量体成分を安定に乳化重合するためには、アニオン性界面活性剤の使用が好適である。このため、本発明の保水剤では、アニオン性界面活性剤(C)を必須成分とした。すなわち、本発明の保水剤中のアニオン性界面活性剤(C)は、もっぱら、共重合体(A)の乳化重合時の乳化剤として機能させるために添加されている。もちろん、乳化重合に際しては、アニオン性界面活性剤に加えて、ノニオン性、カチオン性、両性の各種界面活性剤の他、高分子型や反応型の界面活性剤を用いても構わない。また、乳化重合が終了した後に、別途、アニオン性界面活性剤をエマルションに追加添加することもあり得る。
乳化重合に適したアニオン性界面活性剤の使用量は、単量体成分100質量部に対して、大体、1〜5質量部程度である。本発明の保水剤はノニオン性界面活性剤(B)をも必須成分として含むものであるので、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)の必要量(後述する)の一部または全部を乳化重合時に添加しても構わない。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート類;アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート類;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィンアルカリ金属塩等のアルキルスルホネート類;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート類;高級アルキルナフタレンスルホン酸塩類;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物類;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩類;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等のポリオキシエチレンエーテル類;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセロールのモノラウレート等のポリオールと脂肪酸のモノエステル類;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪酸アミン、アミドまたは酸(ホウ酸、リン酸等)との縮合生成物等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、ジアルキルジメチルンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、N‐テトラデシル‐N,N‐ベタイン型が挙げられる。
高分子界面活性剤としては、ポリビニルアルコールおよびその変性物;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩系高分子;ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基含有高分子;ポリビニルピロリドン等;これらの高分子の構成単量体を含む共重合体等が挙げられる。
反応型界面活性剤としては、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルアリルスルホコハク酸ソーダ、メタクリル酸ポリオキシアルキレン硫酸エステル塩、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩が挙げられる。また、プロペニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の重合性二重結合を有するアニオン性反応型界面活性剤が使用可能である。
また、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレートモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレンエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジアクリレートのプロペニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の重合性二重結合を有するノニオン性反応型界面活性剤が使用可能である。
乳化重合に際しては、分子量低減のために、連鎖移動剤を単量体成分100質量部当たり、0.001〜2質量部程度用いてもよい。連鎖移動剤としては特に制限はないが、例えば、四塩化炭素、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン置換アルカン類;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸ドデシル等のモノチオグリコール酸アルキル等のチオエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;α−メチルスチレンダイマー、ターピノール、テルピネン、ジペンテン等を挙げることができる。
乳化重合においては、一括添加法、単量体成分滴下法、プレエマルション法等の手段を用いることができる。また、シード重合、コア・シェル重合、パワーフィード重合等の多段重合を行うと、異相構造を有する重合体粒子を得ることができる。単量体成分の水媒体中における濃度は、重合終了時に得られるエマルションの固形分が60質量%以下となるように調整することが好ましい。固形分が60質量%を超えると、エマルションの分散安定性が低下してくるため、凝集等のトラブルが発生するおそれがあるからである。
乳化重合での反応温度は、特に限定されないが、0〜100℃が好ましく、40〜95℃がより好ましい。反応時間は、用いる単量体成分の組成、界面活性剤や重合開始剤の種類等に応じて、重合反応が効率よく完結し得るように適宜設定すればよいが、通常、3〜15時間程度である。なお、反応系には、親水性溶媒や添加剤を添加してもよい。
エマルション中の共重合体(A)粒子の平均粒径は特に限定されないが、10nm〜1μmが好ましく、20〜500nmがより好ましい。小さすぎると、エマルションの粘度が高くなったり、分散安定性が低下する。また、粒径が1μmを超えるようでは、もはやエマルションとは呼ばれない。
本発明の保水剤には、ノニオン性界面活性剤(B)が必須的に含まれる。これは、理由は定かではないが、ノニオン性界面活性剤(B)の存在が、共重合体(A)による塗工液の粘度上昇を抑制しつつ、保水量を高め得ることが見出されたためである。ノニオン性界面活性剤(B)と共重合体(A)との間で何らかのインタラクションが起こっていると考えられる。共重合体(A)とノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との混合物(本発明の保水剤)を予め調製してから塗工液原料に添加した場合は、上記効果が発揮されるが、共重合体(A)とノニオン性界面活性剤(B)とを別々に添加したのでは、上記効果が殆ど発揮されないことが確認されており、このことから、共重合体(A)にノニオン性界面活性剤(B)が吸着または接触することによって、共重合体(A)の分子鎖が広がるのを抑制し、その結果、塗工液の粘度をあまり増大させずに済むのではないかと推察される。また、共重合体(A)の分子鎖の広がりが抑えられることで、分子鎖が水を抱き込むのに最適なコンホメーションが形成されて、保水性が向上すると考えられるが、詳細は明らかではない。
ノニオン性界面活性剤(B)としては、前記例示したものがいずれも使用可能であるが、中でも、アルキレンオキシドの付加モル数が5〜100モル(より好ましくは5〜30モル)のポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。特に、アルキレン基がエチレン基、アルキル基が炭素数10〜16(より好ましくは11〜14)程度のポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
本発明の保水剤には、アニオン性界面活性剤(C)も必須成分として含まれるが、前記した通り、このアニオン性界面活性剤は、もっぱら、本発明の共重合体(A)を安定的に乳化重合するための乳化剤として用いられるものである。
そして、本発明の保水剤は、共重合体(A)100質量部に対し、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)とを合計で10〜50質量部含んでなるものであり、かつ、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との質量比(B)/(C)は3以上である。より好適な具体例を示せば、アニオン性界面活性剤(C)は乳化重合に必要な1〜5質量部とするのが好ましく、ノニオン性界面活性剤(B)は7質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との合計量が10質量部より少ないと、ノニオン性界面活性剤による上記効果(粘度上昇抑制効果や保水力向上効果)が不充分となって、塗工液に添加したときに液粘度が増大してしまい、高速塗工に適さなくなる。また、アニオン性界面活性剤(C)が少ないと、乳化重合の際の重合安定性や、エマルションとしての保存安定性が低下する傾向がある。ただし、両者の合計量が50質量部を超えると、紙塗工液原料に配合するときに多量の泡が発生して脱泡作業に時間がかかる上、塗工中にも泡が発生して、いわゆる「泡噛み」によって塗布層表面が荒れてしまうことがある。また、コスト的にも好ましくない。より好ましい合計量の上限は30質量部である。
本発明の保水剤は、前記したようにエマルション形態であることが望ましく、アニオン性界面活性剤(C)の存在下で乳化重合して共重合体(A)を合成するのが好ましい。このとき、乳化重合中にノニオン性界面活性剤(B)の所定量の一部または全部を添加してもよいし、乳化重合が終了してからノニオン性界面活性剤(B)の所定量の一部または全部、あるいはアニオン性界面活性剤(C)の残部をエマルション中に添加・混合してもよい。
保水剤としての固形分は特に限定されないが、20〜50質量%が好ましい。固形分が20質量%より小さいと、水の量が多過ぎるため、保存や移送時のコストが無駄である。固形分が50質量%より大きいと、保存安定性が低下する傾向にある。本発明の保水剤には、従来公知の添加剤として、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤、脂肪酸エステル等の消泡剤、防黴剤、抗菌剤等が添加されていてもよい。
本発明には、上記保水剤を含む紙塗工液も含まれる。紙塗工液の主たる成分は、顔料とバインダー樹脂である。顔料としては、例えば、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、白土、レーキ、硫酸バリウム等の無機顔料や、合成プラスチック顔料等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、SBR(スチレン−ブタジエン系共重合体)ラテックスの他に、スチレン−アクリル系共重合体、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系共重合体、スチレン−無水マレイン酸系共重合体、イソブテン−無水マレイン酸系共重合体、アクリル酸−メチルメタクリレート系共重合体、酸化デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、酵素変性デンプン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
塗工液中における顔料とバインダー樹脂と本発明の保水剤との比率は、顔料100質量部に対し、バインダー樹脂が固形分で3〜30質量部(より好ましくは5〜20質量部)の範囲、保水剤が固形分で0.05〜2質量部(より好ましくは0.1〜1質量部)の範囲が適切である。塗工液自体の固形分は特に限定されないが、50〜70質量%程度が好ましい。
上記塗工液には、必要に応じ、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、アクリル酸−マレイン酸系共重合体のナトリウム塩等の公知の分散剤を適宜添加してもよい。また、当該分野で公知の添加剤、例えば、水酸化ナトリウム等のpH調整のためのアルカリ化合物、増粘剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等の添加も可能である。
なお、紙塗工液に本発明の保水剤を配合する際には、共重合体(A)とノニオン性界面活性剤(B)を別々に添加するとノニオン性界面活性剤(B)による粘度上昇抑制効果が発現されないため、予め、本発明の保水剤を調製した後、塗工液原料へと添加する。
以下、実施例および比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例および比較例において、「部」および「%」とあるのは、質量部または質量%を表す。
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、イオン交換水120部と、アニオン性界面活性剤(C)としてのポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩(第一工業製薬社製;商品名「ハイテノール(登録商標)LA−10」;平均エチレンオキサイド付加モル数=4mol)4.5部を投入した。内温68℃で撹拌しながら、緩やかに窒素を導入し、フラスコ内を完全に窒素で置換した。別途、前記ポリオキシエチレンドデシルエーテルスルホン酸アンモニウム塩4.5部をイオン交換水300部に溶解させ、その中に、メタクリル酸(MAA)105部とアクリル酸エチル(EA)195部との混合物を投入し、撹拌してプレエマルションを調製した。また、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム0.7部をイオン交換水99.3部に混合して、重合開始剤水溶液を調製した。上記フラスコへ、プレエマルションの5%を投入して5分間撹拌した後、亜硫酸水素ナトリウム0.05部を投入し、さらに上記重合開始剤水溶液のうちの5%を投入して、72℃で20分間撹拌し、初期重合を行った。フラスコ内温を72℃に保持したまま、残りのプレエマルションと重合開始剤水溶液を2時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、イオン交換水23部を滴下ロートに入れ、ロートを洗浄した後、この液もフラスコ内へ投入した。内温を72℃に保ち、さらに1時間撹拌を続けた後、冷却して、乳化重合を完了した。固形分30%、pH3,粘度10mPa・s(B型粘度計、ロータNo.1、30回転、25℃での測定値、エマルションについては以下同じ)、重量平均分子量Mw2,000,000(GPCによる測定値、ポリスチレン換算、以下同じ)の共重合体エマルションを得た。この共重合体エマルションにおいては、共重合体100部に対し、アニオン性界面活性剤(上記ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩)が3部含まれていることとなる。
上記共重合体エマルションを固形分で0.15部(このうち、0.0045部がアニオン性界面活性剤である)採り、ノニオン性界面活性剤1(ポリオキシエチレンC12,13エーテル;エチレンオキサイド平均付加モル数=12モル;以下、ノニオン1)を0.015部添加して、本発明の保水剤を調製した。この保水剤は、共重合体100質量部に対し、アニオン性界面活性剤が3部、ノニオン性界面活性剤が10.3部含まれていることとなり、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の比率は3.4である。
クレー50部、重質炭酸カルシウムを固形分で50部、SBRラテックスを固形分で6部、酸化デンプン2部、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを固形分で0.1部と、pHが9.5〜10程度になるように適量の水酸化ナトリウムを添加混合し、全体の固形分濃度が65%になるように水を加えた後、上記保水剤の全量を加えて、均質に混合し、固形分濃度62%の紙塗工液を調製した。得られた紙塗工液の物性を以下の方法で測定し、結果を表1に示した。
・紙塗工液のpH…試料を25℃に調温後、pHメーターを用いて測定
・紙塗工液のB型粘度(mPa・s)…試料を25℃に調温後、B型粘度計で、ロータNo.4を用い、40回転の粘度を測定
・紙塗工液のハイシェア粘度(mPa・s)…試料を25℃に調温後、ハイシェア粘度計(熊谷理機工業社製;「HC−801C」)を使用し、Fボブ、8800回転の粘度を測定
・紙塗工液の加圧脱水量(g/m)…試料を25℃に調温後、加圧脱水法に従って、リテンションメーター(Kaltec Scientific社製;「AA−GWR」)を使用し、塗工液10cc、圧力1.5×10Pa、加圧時間15秒の条件で、塗工液の濾紙(No.5B;ADVANTEC社製)への脱水量を測定。数値が小さいほど、保水性がよいことを示す。
実施例2
保水剤の調製に当たり、上記ノニオン1にかえて、ノニオン性界面活性剤2(ポリオキシエチレンC12,13エーテル;エチレンオキサイド平均付加モル数=40モル;以下、ノニオン2)を用いた以外は、実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製した。この紙塗工液の物性を実施例1と同様にして測定し、表1に示した。
実施例3
保水剤の調製に当たり、共重合体エマルションの量を固形分で0.135部(このうち、0.0040部がアニオン性界面活性剤である)とした以外は、実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製した。この紙塗工液の物性を実施例1と同様にして測定し、表1に示した。
実施例4
保水剤の調製に当たり、共重合体エマルションの量を固形分で0.135部(このうち、0.0040部がアニオン性界面活性剤である)とした以外は、実施例2と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製した。この紙塗工液の物性を実施例1と同様にして測定し、表1に示した。
実施例5
保水剤の調製に当たり、共重合体エマルションの量を固形分で0.150部(このうち、0.0045部がアニオン性界面活性剤である)とし、上記ノニオン1を固形分で0.3部添加した以外は、実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製した。この紙塗工液の物性を実施例1と同様にして測定し、表1に示した。
実施例6
保水剤の調製に当たり、共重合体エマルションの量を固形分で0.150部(このうち、0.0045部がアニオン性界面活性剤である)とし、上記ノニオン1を固形分で0.045部添加した以外は、実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製した。この紙塗工液の物性を実施例1と同様にして測定し、表1に示した。
実施例7
保水剤の調製に当たり、共重合体エマルションの量を固形分で0.150部(このうち、0.0045部がアニオン性界面活性剤である)とし、上記ノニオン1を固形分で0.060部添加した以外は、実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製した。この紙塗工液の物性を実施例1と同様にして測定し、表1に示した。
比較例1
保水剤の調製に当たり、共重合体エマルションの量を固形分で0.150部(このうち、0.0045部がアニオン性界面活性剤である)とし、上記ノニオン1を固形分で0.0075部添加した以外は、実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製した。この紙塗工液の物性を実施例1と同様にして測定し、表1に示した。
比較例2
共重合体エマルションのみを固形分で0.135部(このうち、0.0040部がアニオン性界面活性剤である)添加した以外は実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製し、物性を表1に示した。
比較例3
上記ノニオン1のみを0.15部添加した以外は実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製し、物性を表1に示した。
比較例4
上記ノニオン2のみを0.15部添加した以外は実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製し、物性を表1に示した。
比較例5
水のみを添加した以外は実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製し、物性を表1に示した。
参考例1
保水剤を予め調製せず、塗工液原料に、まず上記ノニオン1を0.015部添加し、よく混合した後、共重合体エマルションを固形分で0.15部(このうち、0.0045部がアニオン性界面活性剤である)添加した以外は実施例1と同様にして固形分62%の紙塗工液を調製し、物性を表1に示した。なお下記の表1では、上記アニオン性界面活性剤を「アニオン」と表示した。
Figure 2007084962
表1から明らかなように、ノニオン性界面活性剤の量が少ない比較例1は、その添加効果がほとんど発揮されておらず、ノニオン性界面活性剤を添加せずに、共重合体とアニオン性界面活性剤を添加した比較例2と同様に、B型粘度、ハイシェア粘度共に、無添加の紙塗工液である比較例5に比べてかなり高くなっている。ノニオン性界面活性剤のみを添加した比較例3や4では、粘度の上昇はほとんどなかったが、加圧脱水量の改善も殆ど認められなかった。一方、実施例1〜7では、比較例1や2に比べ、低粘度で、かつ加圧脱水量は小さくなっている。すなわち、本発明の保水剤は、塗工液の粘度の上昇を抑制しつつ、保水性能を高め得ることが確認できた。しかし、ノニオン性界面活性剤を先に塗工液に添加した参考例1では、比較例1と差がなく、粘度上昇抑制効果が発揮されないことがわかる。
本発明の保水剤は、紙塗工液に良好な保水力を付与し、しかも、紙塗工液に添加しても粘度上昇を小さく抑え得るので、印刷用紙に塗布層を形成するための紙塗工液用保水剤として好適である。

Claims (5)

  1. 塗工紙を得るために用いられる紙塗工液用の保水剤であって、
    (メタ)アクリル酸15〜70質量部と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル30〜85質量部と、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体0〜50質量部から合成される共重合体(A)と、ノニオン性界面活性剤(B)と、アニオン性界面活性剤(C)とを含み、
    前記共重合体(A)100質量部に対し、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との合計量が10〜50質量部であり、
    かつ、ノニオン性界面活性剤(B)とアニオン性界面活性剤(C)との質量比(B)/(C)が3以上であることを特徴とする紙塗工液用保水剤。
  2. 上記ノニオン性界面活性剤(B)が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルである請求項1に記載の紙塗工液用保水剤。
  3. 請求項1または2に記載の紙塗工液用保水剤と、顔料とバインダー樹脂を含むことを特徴とする紙塗工液。
  4. 顔料100質量部に対し、上記紙塗工液用保水剤が0.05〜2質量部添加されている請求項3に記載の紙塗工液。
  5. 請求項3または4に記載の紙塗工液を製造する方法であって、予め、上記紙塗工液用保水剤を調製した後、紙塗工液用原料へと添加することを特徴とする紙塗工液の製造方法。
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