JP2006519280A - 紙用塗料レオロジーの改変 - Google Patents

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Abstract

低い高剪断粘度および良好な保水性を得るために紙用塗料組成物に添加される増粘剤組成物。本増粘剤組成物は、10%未満の会合成分含量、100万未満の分子量および少なくとも10重量%の酸含量を有する会合型増粘剤を含む。

Description

本発明は紙用塗料に関し、具体的には紙用塗料レオロジーの改変に関する。
先行技術には、様々なタイプのポリマー増粘剤が、数多く記載されている。それらは多くの場合、アルカリ可溶性またはアルカリ膨潤性の水性エマルションの形態をとっている。
国際公開公報第00/34361号には、親水性ユニットとジハロゲノ化合物とペンダント疎水成分を含有する部分とからなる主鎖を含む櫛型ポリマーが記載されている。このポリマーは、ラテックスペイント用の増粘剤として、特に適している。疎水性基は前もって形成されたポリマーの主鎖に取り付けられる。
国際公開公報第02/12360号には、ペイントなどの塗料組成物中の会合型増粘剤(associative thickener)として役立つ、コポリマー微粒子の水分散系が記載されている。例示されている増粘剤は、少なくとも10重量%の会合性モノマーを含む。
米国特許第5478602号には、アルカリ膨潤性の複合疎水成分の会合型増粘剤を含有する水性塗料組成物の適用による基材の塗工が記載されている。このポリマーはアルカリ膨潤性であるから、ポリマーが可溶性でない程度に架橋されていなければならない。
会合型増粘剤が、少ない用量で低い高剪断粘度をもたらすことは周知である。したがって、これらは他のタイプの合成増粘剤に対して経済的利点を持ちうる。しかし、同様に周知である会合型増粘剤の問題点は、それらが低い保水性をもたらすことである。そのため、会合型増粘剤の経済的利点は、通常、保水性が重要でない場合にしか得られない。
塗工カラーの保水性は、紙塗工プロセスの操業性に絶大な影響を有する。塗工カラーは、紙の表面と接触すると直ちに毛管作用により、それが含有している水の大部分を失うが、その程度は基材の吸収性に依存する。ニップ内およびブレード下の圧力も脱水を促す。塗工カラーからの水の放出は、以下の帰結を持ちうる。
湿潤塗料の固形分が増加することにより、塗料がブレードと接触する前に、塗料のレオロジーが変化してしまう。最悪の場合、塗料が厚くて動かない「濾過ケーク」を形成し、それがストリークを発生させ、更にはウェブの破損を引き起こしうる。
紙が吸収した水は、紙の内部結合力を低下させ、張力による引裂きを起こりやすくする。
コーターヘッドから再循環される塗工カラーの固形分は、数時間のうちに5%以上増加しうる。なぜなら、放出される水が多すぎると、塗工カラー中の水溶性ポリマーの濃度もはるかに低くなるからである。この現象は、プレコーティング段階でもよく見られる。
塗工カラーの固形分が増加するほど、均一な塗膜を適用することは困難になる。塗膜重量を一定に維持するには、多くの場合、ブレード圧力を増加させる必要がある。
紙の製造においては、塗工速度の向上が、絶えず求められる傾向があり、それには高剪断粘度を低下させる必要がある。低い高剪断粘度は、会合型増粘剤によって得ることができるものの、これらの増粘剤は保水性が低いため、塗料からの水が紙に浸透することにより、紙が弱くなりうる。そしてそれが塗工速度に許容できない制限を設けることになりうる。また、塗料からの水の迅速な放出が、塗料の望ましい平滑化を妨げる場合もある。
塗料組成物が低い高剪断粘度を示さない場合は、塗工装置のロッド圧力が、かなり増加しうる。一方、塗料組成物がロッド上での低い保水性をもたらす場合は、圧力は、不安定になる傾向を示す。どちらの場合も、これは塗工紙への損傷および/またはコーターの操業性の低下を生じうる。
保水性を改善するには、会合型増粘剤と共に他の物品を添加する必要があり、これら増粘剤の経済的利点はもはや得られない。会合型増粘剤を紙塗工に用いるにあたって、会合型増粘剤を紙塗工に用いることの経済的利益が得られるように、追加の保水助剤を添加せずに保水性を改善しようという提案は、本発明者らが知る限り、なされていない。
本発明は、この課題に対処するためになされたものである。
本発明によれば、増粘剤の会合成分含量が10%未満であり、増粘剤の分子量が約100万未満であり、かつ酸含量が少なくとも10重量%であることを特徴とする会合型増粘剤を含む、紙用塗料のレオロジーを改変するための組成物が提供される。
本発明者らは、上記3つのパラメータ、すなわち会合成分含量、分子量、および酸含量を上記所定の範囲内に調節することにより、保水助剤を添加しなくても、低い高剪断粘度と良好な保水性との両方をもたらす会合型増粘剤組成物が得られることを発見した。
上記3つのパラメータは低い高剪断粘度と良好な保水性との望ましい組合せを得るのに不可欠であると考えられるが、増粘剤の用量も増粘剤の性能に対して影響を有するだろうことは、理解しなければならない。例えば分子量を低下させると、望ましい粘度を得るには、用量の増加が必要になりうる。また、酸含量を低下させると増粘剤の効率が低下しうるので、用量を増加させる必要が生じうる。これらの帰結を正しく理解すれば、望ましい結果を得るために限られた量の実験を行うだけで、適切な調節を行うことができるようになる。
低い高剪断粘度を得るための会合型増粘剤は、周知である。それらは、疎水性末端基または疎水性側鎖を有する親水性水溶性ポリマーを含む。疎水性末端基は脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素であることができ、それらは水不溶性である。それらは、その可撓性が保たれるように、親水性スペーサーによって親水性ポリマー主鎖に結合することができる。それらの構造は界面活性剤の構造に似ている。疎水性基間または疎水性側鎖間の相互作用が、低剪断時に極めて高い粘度をもたらすと考えられている。様々なタイプの会合型増粘剤があるが、本発明の目的に一般に有用なものは、エチレン性不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリラート、マレイン酸、または無水マレイン酸、マレアート、イタコン酸、イタコナート、アリルエーテル、およびビニルエステルなどから形成される。理想的には、モノマーの選択は、ポリマーが中性pHでは水に不溶であるが、アルカリ条件下、例えばpH8〜10以上では溶解するように行われる。ポリマーは、典型的には、モノマーの水性乳化重合により、ポリマーの水性エマルションが形成されるように製造される。本発明との関係で特に興味深いポリマーは、疎水性アルカリ可溶性エマルションであって、親水性ポリマー主鎖がアクリラート(例えばアクリル酸エチル)、アクリル酸、およびメタクリル酸などのモノマーから誘導されるアルカリ可溶性ポリアクリレートを含むものである。疎水性側鎖は、例えばポリオキシエチレンのオキシドスペーサーなどによって、ポリマー主鎖に取り付けられる。通常、疎水性側鎖は、疎水性側鎖を含有するエチレン性不飽和モノマーを含めることによって提供される。典型的には、疎水性側鎖はC〜C30アルキル基である。したがって疎水性側鎖部分は、例えばアクリルアミド、アクリラート、またはアリルオキシなどのエチレン性不飽和成分に結合させることができる。増粘効果はモノマーの比を変えることによって調節することができる。これはすべて周知である。ペイント増粘剤、印刷ペーストなどとして使用される会合型増粘剤の例は、欧州特許出願第0216479A1号に開示されている。欧州特許出願第0013836A1号および0011806A1号には、他の会合型増粘剤が詳述されている。これらは、上述した本発明の記載に従って修正されることを条件として、本発明に使用することができる。
会合型増粘剤は、100万未満の分子量で、少なくとも10重量%の酸含量および10%未満の会合性モノマー含量という特別な組合せを有していなければならないことを、本発明者らは発見した。700,000未満の分子量は本発明での使用に特に適していることがわかった。とりわけ好ましい分子量範囲は70,000〜150,000、そして最も好ましくは70,000〜100,000未満である。
ポリマーは、分岐剤もしくは架橋剤および/または連鎖移動剤を含めて製造することができる。しかし、分岐剤または架橋剤の量は、ポリマーが少なくともアルカリ中では実質上可溶性になるような量で使用されることが好ましい。したがってポリマーは、実質的に直鎖ポリマー、分岐ポリマーまたは若干架橋したポリマーであることができる。とはいえ、ポリマーは、望ましくは、ポリマーが不溶性になるほど架橋されていてはならない。架橋剤の量は、一般に2000ppm未満(重量ベース)、好ましくは1000ppm未満である。通例、架橋剤の量は、500ppm未満、例えば1ppmまたは2ppmから例えば100ppmまでの範囲、好ましくは5ppmから20ppmまたは30ppmまでの範囲にある。架橋剤は、ポリエチレン性不飽和モノマー、例えばメチレンビスアクリルアミド、ブタンジオールジアクリラート、および塩化テトラアリルアンモニウムなどであることができる。
本発明での使用にとって好ましい増粘剤は、100万未満の分子量、好ましくは10,000〜700,000、より好ましくは50,000〜200,000または250,000、最も好ましくは70,000〜100,000未満の範囲の分子量を有する、アクリル酸エチル/メタクリル酸/ステアレス10エトキシレートアリルエーテルのアルカリ可溶性水性エマルションである。所望であれば、架橋剤および開始剤を含めることができる。
これらのポリマーは穏やかな会合性を有し、その会合成分含量は、好ましくは5%を超えず、より好ましくは2.5%未満である。
酸官能性(acid functionality)は任意の適切な酸(メタクリル酸、アクリル酸、またはそれらの混合物が好ましい)によっても提供することができる。酸含量は(ポリマーの重量に基づいて)10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%であることができる。既述のように、上記パラメータの正確な値は、特定の塗工操作が要求する粘度および保水性ならびに塗料組成物中の増粘剤の用量を考慮して選択される。
使用時には、従来どおりに配合されたプレコート用またはトップコート用塗料組成物に、本発明の増粘剤を含める。塗料組成物中の本発明増粘剤の用量は、要求される粘度が達成される範囲で、可能な限り低く保たれる。例えば、多くのトップコート配合物では、0.2pphの増粘剤用量により、100rpmで約1000〜1400mPasの目標ブルックフィールド粘度(「ロールおよびブレード(roll and blade)」塗工法で典型的な値)と、約100g/m以下の良好な保水性とが得られる。別段の表示がない限り、粘度は25℃で測定する。
目標粘度は、使用予定の塗工方法をある程度考慮して選択される。したがって、フィルムプレスの場合、目標ブルックフィールド粘度は、700〜1000mPas程度であり、一方、ジェットアプリケーターの場合、目標ブルックフィールド粘度は2000〜2500mPas程度である。場合によっては、要求される粘度を達成するために用量を変更する必要がある。もちろん、所望の粘度を得るために増粘剤の用量を変えると、保水性も変わりうる。しかし、そのような場合は、増粘剤の酸含量を調節することによって、良好な保水性を確保することができる。
使用時の塗料組成物は、約8〜10程度、好ましくは8.5〜9.5程度の、穏和なアルカリ性であることが好ましい。必要な場合は、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加することなどによって、pHを調節することができる。
本発明は、紙用塗料のレオロジーを改変する方法であって、塗料組成物に先に記載した増粘剤を添加することを含む方法も提供する。
更に本発明は、紙塗工方法であって、先に記載した増粘剤を含む紙用塗料組成物を紙または板紙に塗工することを含む方法を提供する。
本発明の増粘剤は、あらゆる紙塗工方法に、考えうるあらゆる塗膜重量(例えば2〜25g/m)で使用することができる。本増粘剤は、プレコート用、ミドルコート用、およびトップコート用の塗料組成物に使用することができ、任意の顔料および結合剤と共に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく例示する。
会合型増粘剤の調製
撹拌機、温度計、窒素注入口、および窒素排出口、冷却器ならびに供給ラインを装着した700ml樹脂槽に、脱イオン水157.62gおよびDisponil FES993(硫酸アルキルエーテル、ナトリウム塩)10.5gを投入した。
樹脂槽の内容物を85℃まで加熱した後、窒素で30分間脱気した。
アクリル酸エチル143.75g、メタクリル酸100.00g、ステアレス−10エトキシレートアリルエーテル6.25g、およびn−ドデシルメルカプタン1.25gを脱イオン水162.62g中のDisponil FES993 10.5gに混合することにより、水性エマルションを調製した。
過硫酸アンモニウム0.50gを水37.5gに溶解することにより、開始剤供給物を調製した。
脱気後、水5gに溶解した過硫酸アンモニウム0.25gを反応器に添加し、次に上記エマルションおよび開始剤を、それぞれ2時間および3時間かけて供給した。
供給時間中は、反応器の内容物を83〜87℃の間に保ち、残存モノマー含量を減らすために更に1時間、85℃に保った。
次に、内容物を40℃未満に冷却し、濾過した。
これにより、不揮発分が41.0%で約150,000の分子量を有する水性エマルションポリマーを得た。
以下の配合表に従ってトップコートを調製した。
1200cpsで混合
CaCO(Carbital 95)60部
粘土(Suprawhite 95)40部
SBラテックス(DL 950)10部
固形分:60%。
この混合物に様々な増粘剤を添加し、1.0%水酸化ナトリウム溶液の添加により、pHを調節した。増粘剤の用量と、得られた高剪断粘度および保水性を、下記表1に記載する。
Figure 2006519280
対照および試料A〜Eの組成は以下のとおりである(すべて重量パーセント)。
対照:市販のカルボキシメチルセルロース
A:市販の疎水性アルカリ膨潤性エマルションHASE
B:アクリル酸エチル55%、メタクリル酸40%、ステアレス10エトキシレートアリルエーテル5%
C:アクリル酸エチル57.5%、メタクリル酸40%、ステアレス10エトキシレートアリルエーテル2.5%
D:アクリル酸エチル58%、メタクリル酸40%、ステアレス25メタクリレート2%
E:アクリル酸エチル58%、メタクリル酸40%、ステアレス10エトキシレートアリルエーテル2%。
組成物B〜Eは約5000ppmのn−ドデシルメルカプタンも含む。
結果を評価するために、本発明組成物の粘度および保水性を、増粘剤がカルボキシメチルセルロースである対照試料およびHASE増粘剤Aと比較することによって、本発明の組成物を判定した。本発明の増粘剤は、対照よりも低い高剪断粘度と、ほぼ同じ保水性とを与えた。HASE増粘剤は、本発明の増粘剤とほぼ同じ高剪断粘度をもたらしたが、保水性はかなり悪化した。HASE増粘剤の用量および本発明増粘剤の用量がほぼ同じであることに注意されたい。
保水性GWR(gsm)
保水性は、重量測定式保水度計で、ドウェル時間2分、圧力1.5バールおよび5μmポリカーボネート膜フィルターというパラメータを使用して、gsmの単位で測定した。
高剪断粘度(HSV)
高剪断粘度は、コーンプレート粘度計により、10000s−1にて、mPasの単位で測定した。
実施例2で使用した試料のうちいくつかをトップコート組成物に添加した。用量と、その結果得られる粘度および保水性を、下記表2に示す。
Figure 2006519280
上記の結果は、実施例2の結果を裏付けている。すなわち、本発明の増粘剤(BおよびC)では、低い高剪断粘度と良好な保水性とを得ることが可能である。これに対して、典型的なHASE増粘剤(A)も低い高剪断粘度を与えるが、保水性は低い。
ACAVは、シリンダー内の圧力によって試料を毛管に押し込む毛管粘度計を使って測定した。シリンダー内の圧力を測定し、毛管を通る試料の流速を知ることにより、剪断速度と試料の粘度を決定することができる。
保水性は、重量測定式保水度計で、ドウェル時間2.0分、圧力0.5バールおよび5マイクロメーター膜フィルターというパラメータを使用し、20mlの試料を使って測定した(下記の実施例4および5でも同じ方法で保水性を測定した)。
プレコート配合物を以下のように調製した。
CaCO 100部
SB−ラテックス 10部
固形分:63.0%
pH:9
目標ブルックフィールド粘度(100rpm):900mPas
試料を下記表3に示す用量でプレコート配合物に添加した。表3には、結果として得られた粘度および保水性も示す。
Figure 2006519280
上記の結果は、対照試料およびHASE増粘剤Aが低い保水性を提供するのに対して、本発明の増粘剤は要求される粘度と良好な保水性とを提供することを示している。
プレコート配合物を以下のように調製した。
CaCO 100部
SBラテックス 6部
デンプン 6部
固形分:62%
pH:8.5
目標ブルックフィールド粘度(100rpm):800mPas
増粘剤組成物の試料を下記表4に示す用量でプレコート配合物に添加した。表4には、結果として得られた粘度および保水性も示す。
Figure 2006519280
上記の結果は、対照およびHASE増粘剤Aの保水性が、デンプンを含有しない実施例4のプレコート配合物よりも良好であることを示している。しかし本発明の増粘剤は、更に著しく改善された保水性を有する。
市販HASE増粘剤、市販ASE増粘剤、および本発明の増粘剤組成物から選択される増粘剤組成物を用いて、種々の塗料配合物を調製した。それら塗料配合物の組成を表5に示す。
Figure 2006519280
試料F:アクリル酸エチル57.5%、メタクリル酸40%、ステアレス20エトキシレートアリルエーテル2.5%。
上記の配合物に対して以下の試験を行った。
ブルックフィールド粘度20rpm、100rpmを4分で測定。
AAGWRを圧力2バールで2分間測定。
ハーキュレス高剪断粘度を測定(FFボブ、6600rpm、138,534 1/秒)。
測定間に3分間の遅延時間を置いて2回実行。
結果を表6に示す。
Figure 2006519280
上記の結果は、試料Fが、低い高剪断粘度値と保水性値との優れた組合せを提供することを示している。更に試料Fは、従来の会合型増粘剤(市販HASE)よりもかなり改善された保水性を示す。これは図1からも明らかである。
パイロット試験で、増粘剤組成物試料Fを塗料配合物に使用して、紙に塗工を施した。使用した条件の詳細は以下のとおりである。
基材紙:42g/m
速度:1820m/分
塗膜重量:7g/m/面
塗工ユニット:フィルムプレス、片面
配合表: 参照試料 試料F
・顔料混合物 100部 100部
・SB−ラテックス(DL 920) 8部 8.5部
・デンプン(Raisamyl 302E) 6部 3.5部
・FWA(Blankophor P) 0.6部 0.6部
・試料F − 0.2部。
結果を表7に示す。
Figure 2006519280
所見
1.操業性の改善
2.高剪断粘度の低下(ロッド圧力の低下)
3.動的保水性の向上(ロッド圧力の上昇なし)
4.試料Fによるミスティングの低下
5.塗工カラーの不揮発分を増加させることができたであろう。
会合型増粘剤組成物試料Fは低い高剪断粘度を提供し、それがロッド圧力の低下を与えると共に、保水性の向上がロッド圧力をより一層安定させる。
増粘剤組成物試料Fおよび他の様々な増粘剤組成物を塗料配合物に使用して、プレコーティングパイロット試験で、紙に塗工を施した。
基材紙:無塗工、52g/m(90g/mグレード用基材紙)
プレコーティング:
配合表:
NPS CaCO(Covercarb 60−LV)100部
SB−ラテックス(DL 920)8部
デンプン(302 ESP)4部
FWA(Tinopal ABP−Z)0.6部
プレコーティング条件:
pH:約8.5
固形分:62%
ブルックフィールド:800〜900mPas 温度:29〜31℃
方法:Sym−sizer(両面)
速度:1500m/分
塗膜重量:9g/m/面
ロッド直径:20mm
水分:3.5%。
結果を表8に示す。
Figure 2006519280
上記の結果は、本発明の増粘剤が、CMCまたは市販ASE増粘剤と比較して、低い高剪断粘度と保水性との最適な組合せを示すことを明らかにしている。CMCは低い高剪断粘度を与えたが、得られる保水性は低いことがわかる。市販ASE増粘剤は低い高剪断粘度を提供する用量では低い保水性を与え、同じ増粘剤を良好な保水性を与える用量にすると、高剪断粘度が悪化する。更に、本発明の増粘剤を使って製造した塗料組成物は、より良い操業性を示すと共に、ミスティングが全くないかまたは少ない。
増粘剤組成物試料Fおよび他の様々な増粘剤組成物を塗料配合物に使用して、トップコーティングパイロット試験で、紙に塗工を施した。
基材紙:プレ塗工紙、52g/m(65g/mグレード用プレ塗工紙)
配合表:
微細CaCO(Covercarb 85)70部
微細粘土(Hydragloss 90)30部
SB−ラテックス(XZ 96445)11部
PVA(Airvol 103)0.6部
ステアリン酸Ca(Raisacote CAS 50)0.6部
硬化剤(Bacote 20)0.2部
FWA(Tinopal ABP−Z)0.6部
コーティング条件:
pH:約8.5
固形分:63%
ブルックフィールド:1200〜1500mPas
温度:27〜28℃
方法:Opticoat−jet
速度:1500m/分
塗膜重量:9g/m/面
ブレード幅:0.457mm
水分:5.0%。
結果を表9に示す。
Figure 2006519280
これは、本発明の会合型増粘剤が低い高剪断粘度と良好な保水性との最適な組合せを提供することを示している。
図1は、従来品と本発明の会合型増粘剤におけるAAGWR対ブルックフィールド粘度の関係を示す。

Claims (20)

  1. 会合成分含量が、10%未満であり、増粘剤の分子量が、約100万未満であり、かつ酸含量が少なくとも10重量%であることを特徴とする会合型増粘剤を含む、紙用塗料のレオロジーを改変するための増粘剤組成物。
  2. 会合型増粘剤が、疎水性のアルカリ可溶性エマルションである、請求項1記載の増粘剤組成物。
  3. 増粘剤が、10,000〜700,000、好ましくは70,000〜150,000、より好ましくは70,000〜100,000未満の分子量を有する、請求項1または2記載の増粘剤組成物。
  4. 酸官能性が、メタクリル酸、アクリル酸、およびそれらの混合物から選択される酸によって提供される、請求項1〜3のいずれか一項記載の増粘剤組成物。
  5. 増粘剤が、分岐しているか、または架橋されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の増粘剤組成物。
  6. 会合成分含量が、5.0%未満、好ましくは2.5%未満である、請求項1〜5のいずれか一項記載の増粘剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の増粘剤組成物を含む、紙用塗料組成物。
  8. pHが、8〜10である、請求項7記載の紙用塗料組成物。
  9. 1000〜1400mPas程度のブルックフィールド粘度(100rpm)が達成されるように増粘剤組成物の存在量が選択される、ロールおよびブレード塗工用の、請求項7または8記載の紙用塗料組成物。
  10. 700〜1000mPas程度のブルックフィールド粘度(100rpm)が達成されるように増粘剤組成物の存在量が選択される、フィルムプレスによる塗工用の、請求項7または8記載の紙用塗料組成物。
  11. 2000〜2500mPas程度のブルックフィールド粘度(100rpm)が達成されるように増粘剤組成物の存在量が選択される、ジェットアプリケーターによる塗工用の、請求項7または8記載の紙用塗料組成物。
  12. 前記増粘剤組成物が、唯一の増粘剤成分である、請求項7〜11のいずれか一項記載の紙用塗料組成物。
  13. 紙用塗料組成物のレオロジーを改変する方法であって、請求項1〜6のいずれか一項記載の増粘剤組成物を前記紙用塗料組成物に添加することを含む方法。
  14. pHが、8〜10に調節される、請求項13記載の方法。
  15. 増粘剤組成物が、紙用塗料組成物に1000〜1400mPas程度のブルックフィールド粘度(100rpm)が達成されるような量で添加される、請求項13または14記載の方法。
  16. 増粘剤組成物が、紙用塗料組成物に700〜1000mPas程度のブルックフィールド粘度(100rpm)が達成されるような量で添加される、請求項13または14記載の方法。
  17. 増粘剤組成物が、紙用塗料組成物に2000〜2500mPas程度のブルックフィールド粘度(100rpm)が達成されるような量で添加される、請求項13または14記載の方法。
  18. 請求項1〜6の増粘剤組成物が、唯一の増粘剤成分である、請求項13〜17のいずれか一項記載の方法。
  19. 紙葉に塗工を施す方法であって、その紙葉の表面に、請求項7〜12のいずれか一項に定義される塗料組成物を適用することを含む方法。
  20. 請求項19の方法によって得ることができる塗工紙葉。
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