本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態にかかる画像形成装置1の断面図である。図1に示す画像形成装置1には、用紙に画像を形成する画像形成部2と、画像形成部2に用紙を提供する給紙装置3が備えられている。給紙装置3は筐体31,32を有し、各筐体31,32にはロール紙310,320がそれぞれロール紙収容部311,321に収容される。ここで、ロール紙収容部311,321は、ロール紙310,320の両端を支持することにより、ロール紙310,320を収容する。また、給紙装置3を構成する筐体は図1の筐体31,32ように複数あってよい。
さらに、図1の各筐体31,32の左側面上部の凹部317,327には、それぞれ引き出しレバー31a,32aが備えられる。これらの引き出しレバー31a,32aを取手として各筐体31,32を引き出すことにより、筐体内部に収容されたロール紙を交換することができる。
図2は、給紙装置3の筐体31が引き出された状態の一例を示す断面図である。図2の筐体31には、長尺の用紙が巻かれたロール紙310が収容されるロール紙収容部311が備えられ、ロール紙310のサイズとしては、最大のもので36インチサイズ(幅914.4mm)まである。また筐体31の左側面下部の近傍には図1に示すように水平回転軸3100が備えられている。筐体31は、この水平回転軸3100によって給紙装置3に支持され、図2に示すようにこの水平回転軸3100を回転軸として画像形成装置1に対して外側(図では左側)に略90度回転して引き出される構造となっている。また、筐体32も筐体31と同様の構成から成り、ロール紙320が収容されるロール紙収容部321が備えられ、ユーザは、画像形成装置1本体から水平回転軸3200を回転軸としてこの筐体32を略90度回転して引き出すことができるが、図2では略90度回転して引き出さずに、ロール紙320が運用時の状態でロール紙収容部321に収容されている状態を示している。
筐体31,32は、図1に示すように、ロール紙310,320から送り出された用紙を、給紙装置3から画像形成部2に搬送するための搬送路4を備えている。ここでこの搬送路4は、筐体31内の部分4aと、筐体32内の部分4bと、画像形成部2内における部分4cに分割されている。また、筐体31,32には図1に示すように、それぞれ送り出しローラ51,52と、搬送路51a,52aと、カッタ61,62と、搬送ローラ71,72と、副搬送路81,82、が備えられる。送り出しローラ51,52は、ロール紙310,320を、搬送路51a,52aを経由し、副搬送路81,82を通って搬送する。カッタ61,62は副搬送路81,82上に設置され、ロール紙310,320を切断し、切断された用紙は、搬送ローラ71,72によって搬送路4に送り出される。
ロール紙310から繰り出された用紙に対して画像形成処理を実行する場合、搬送路4の部分4aに供給された用紙は、搬送ローラ71により、搬送路4の部分4cに供給される。搬送路4の部分4cに供給された用紙は、搬送ローラ10によって搬送されて感光体ドラム11へ至り、感光体ドラム11は、この感光体ドラム11に形成されたトナー像を用紙に転写する。トナー像が転写された用紙は、搬送路12によって定着部13へ導かれて画像の定着が行われる。画像の定着が終了した用紙は排出ローラ14に搬送されて用紙排出口15から排出される。なお、図1に示す画像形成部2の左側面には、手差し給紙部9が設けられており、定型サイズのカット紙を手差し供給することにより搬送路4の部分4cに供給することも可能である。
図1の筐体31,32には、その筐体31,32が画像形成装置1に対して外側(図1において左側)に略90度回転して引き出された状態において、ロール紙310,320の一時的な載置が可能な凹型形状のロール紙保持部312,322がさらに備えられている。以下、ロール紙保持部312,322、ロール紙収容部311,321、その他の部分について、図3,図4を参照して説明する。
図3は、通常運用時において、円筒状のシャフト20が装着されたロール紙310がロール紙収容部311に収容されているときの筐体31を示す図である。ロール紙収容部311は、筐体31の両端に備えられた一対のシャフト保持部材313から構成される。この一対のシャフト保持部材313にシャフト20の両端が係り置きされた状態で、ロール紙310は、ロール紙収容部311に収容される。また、各シャフト保持部材313のシャフト20との接面には、2つの回転球314が回転可能に嵌設されており、シャフト20はこれら2つの回転球314を支点に回転可能に支持される。したがって、ロール紙収容部311は、ロール紙310を、シャフト20を回転軸として回転可能な状態で収容することができる。ここで、回転球314は球状のものではなくて、ベアリングのようなローラ状のものであってもよい。
また、図3において筐体31の左側面上部には凹部317が設けられ、この凹部317の右側面に、ロール紙保持部312が設置されている。このロール紙保持部312は、例えば一枚の金属板を加工して変形したものである。なお、このロール紙保持部312は、引き出しレバー31aを有してもよい。つまり、ロール紙保持部312の一部分が、凹部317右側面上部に設けられた貫通穴を経て外部に貫通した後、下方に略90度曲げられた構造をとることによって取手部分を形成し、引き出しレバー31aとすることができる。この場合、ロール紙保持部312と引き出しレバー31を別個に設ける必要性がなくなるので、コスト削減の効果が得られる。
さらに、筐体31内の右下部には、送り出しローラ51と搬送路51aが設置され、ロール紙から引き出された用紙を、副搬送路81を経由して搬送路4に送り出す。また、筐体31の左下部には、水平回転軸3100が設置され、筐体31は、この水平回転軸3100を回転軸として回転することが可能である。ここで、筐体31は、図2に示すようにカッタ61、副搬送路81、搬送ローラ71を除いた状態で、略90度回転引き出しされる。よって、従来例のように、カッタ61、副搬送路81、搬送ローラ71を含んだ状態で筐体31を水平方向に引き出すよりも、筐体31の開閉に要する空間を削減することができる。
図4は、図3の筐体31を略90度回転して引き出した際に、筐体31の左下部(ユーザから見て最も手前側)に位置するロール紙保持部312にロール紙310が一時的に載置された状態を示す図である。
筐体31が略90度回転して引き出された状態では、上述のロール紙保持部312は、図4に示すように筐体31の左下部に位置する。このロール紙保持部312は、ロール紙310を一時的に載置することのできる凹型形状をしており、その凹型形状のサイズは、ロール紙310の外径の曲率半径よりわずかに大きい程度である。したがって、ロール紙310は、自身の自重により安定した状態でロール紙保持部312に載置される。
また、ロール紙収容部311を構成する各シャフト保持部材313は、図4に示すように、ロール紙保持部312近傍に向かって水平に突き出たレール部315を有している。このレール部315は、筐体31を略90度回転引き出しした時に、ロール紙保持部312とほぼ水平に位置するとともに、ロール紙保持部312に向かって、上がり勾配の傾斜316が設けられている。また、送り出しローラ51と搬送路51aは、筐体31を略90度回転して引き出しした時に、図4のように筐体31の上部に位置する。
図5は、ロール紙にシャフト20が装着された状態を示す図である。ユーザは、ロール紙をロール紙保持部材に載置した状態で、シャフト20を装着する。なおシャフト20は、円筒形状をしており、その両端には図示されていないギアが設置されている。給紙装置3は、このギアを介してシャフト20を回転させることができる。
本発明に係る画像形成装置1は以上の構成を以ってなり、ロール紙310の交換時に以下のように動作する。すなわち、ユーザは、まず、図1の筐体31の左側面上部の凹部317に備えられた引き出しレバー31aを引っ張って、筐体31を、水平回転軸3100を回転軸として略90度回転引き出しする。この時、ロール紙310がユーザ方向に向かって自発的に回転移動することが考えられるが、シャフト保持部材313のレール部315に設けられている傾斜316によってこの回転移動が抑止され、ロール紙310はロール紙収容部311に安定に保持される。
筐体31の引き出しが完了すると、ユーザは、シャフト20にレール部315上を回転移動させることにより、ロール紙310を、ロール紙保持部312まで移動させる。この時、レール部315とロール紙保持部312はほとんど近接するとともに略水平に位置するため、ロール紙310を、レール部315からロール紙保持部312に水平に回転移動させるだけでよい。ロール紙310を、ロール紙保持部312上に載置したら、ユーザはシャフト20をロール紙310から取り外す。以上でロール紙310の取り外し手順が完了する。
次にロール紙310を収容する手順について説明する。ユーザは、筐体31を略90度回転引き出しした状態で、新規に使用するロール紙310をロール紙保持部312に載置する。次にユーザは、載置されているロール紙310にシャフト20を装着する。ロール紙310はロール紙保持部312に載置されているので、ユーザは安定した状態でシャフト20を装着することができる。
シャフト20の装着が完了すると、ユーザは、ロール紙310をロール紙収容部311に向かって転がして、最初にシャフト20の両端をレール部315に載せる。ここで、レール部315とロール紙保持部312はほとんど近接するとともに略水平に位置するため、ユーザは、ロール紙310をロール紙保持部312からレール部315に向かって水平に回転移動させるだけでよい。レール部315に載置されたシャフト20は、レール部315上の下がり勾配の傾斜316により、自動的にロール紙収容部311に向かって回転移動し、ロール紙310はロール紙収容部311に収容される。
ロール紙310の収容後、ユーザは、ロール紙310の先端から用紙を引き出して、送り出しローラ51に挟み込ませる。この時、送り出しローラ51はロール紙収容部311に収容されているロール紙310より上部に位置するため、視認が容易な状態でロール紙310の先端を送り出しローラ51に挟みこませる作業を実行することができる。
ここまでの作業が完了すると、ユーザは筐体31を略90度回転して給紙装置3に押し入れることで、ロール紙310の交換が完了する。また、筐体32においても、筐体31と同様の作業を実行することによりロール紙320を交換することができる。
このように本発明によれば、給紙装置の要するスペースの削減を実現し、かつ、ロール紙の収容にかかるユーザの作業負担や、ロール紙の落下による危険性を軽減することができる。さらに、コストの低減を実現することができる。
1 画像形成装置、2 画像形成部、3 給紙装置、4 搬送路、4a,4b,4c 搬送路の各部分、9 手差し給紙部、10 搬送ローラ、11 感光体ドラム、12 搬送路、13 定着部、14 排出ローラ、15 用紙排出口、20 シャフト、31,32 筐体、31a,32a 引き出しレバー、 310,320 ロール紙、311,321 ロール紙収容部、312,322 ロール紙保持部、313,323 シャフト保持部材、314 回転球、315 レール部、316 傾斜、317,327 凹部、51,52 送り出しローラ、51a,52a 搬送路、61,62 カッタ、71,72 搬送ローラ、81,82 副搬送路、3100,3200 水平回転軸。