JP2007083145A - 精密ろ過膜カートリッジフィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガードとコアの間に精密ろ過膜をプリーツ状に具備する精密ろ過膜カートリッジフィルターにおいて、該精密ろ過膜の一次側に平均孔径4〜400μmの不織布及び二次側にはそれ以上の孔径の不織布或いはネットを配置した精密ろ過膜カートリッジフィルター。
【選択図】なし
Description
特許文献1にはコア内部に筒状の構造物を設け、流束を均一にする方法、特許文献2には2枚の異方性精密ろ過膜を重ねあわせて高い除去性能と長いろ過寿命を得る方法、特許文献3にはPTFE膜をネットでサンドイッチすることで、耐圧性を向上させる方法などが提案されている。また、特許文献4にはダイヤモンド形状の孔を有するフイルム支持層を用いる事で流量特性を改善する方法が提案されている。
周知の通り、ろ過前の液をろ過膜に通し、その膜の持つ最小孔径部分より大きな異物を膜の表面や膜の内部で捕捉するろ過操作により、ろ過後の液を得ることができる。
また、一般的にろ過膜において、ろ過前の液が接する面を1次側の面、ろ過後の液が接する面を2次側の面と呼ぶ。
また、精密ろ過膜は薄い多孔質のプラスチックであるため、外圧が加わると伸びたり破断したりして初期の捕捉性能が保持できなくなる。この課題を解決する為、十分な量の保護材をカートリッジの中に入れ外圧から精密ろ過膜を保護し、目詰まりまでの期間初期の性能を維持する方法を提供するものである。
即ち、本発明の目的は以下の(1)〜(7)によって達成された。
(1)ガードとコアの間に精密ろ過膜を具備する精密ろ過膜カートリッジフィルターにおいて、該精密ろ過膜の一次側に平均孔径4〜400μmの不織布及び二次側に一次側以上の孔径を持つ不織布或いはネットを配置した精密ろ過膜カートリッジフィルター。
平均孔径はPorous Material、Inc.製CFP−1200で測定した平均流量孔径を使用した。
(2)前記精密ろ過膜と保護材(不織布およびネット)の合計体積がガードとコア間の体積の95%以上である充填率の(1)項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
充填率=膜面積×(膜厚+保護材の厚み)×100/ガードとコア間の体積
(3)前記精密ろ過膜の膜構造がいわゆる非対称で且つ内部に緻密層を持つポリスルホンあるいはポリエーテルスルホンよりなる(1)または(2)項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
(4)前記一次側不織布の平均孔径が50〜400μmである(1)〜(3)項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
(5)前記精密ろ過膜の平均孔径が0.01〜10μmである(1)〜(4)項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
(6)前記精密ろ過膜の膜の厚みが80〜200μmである(1)〜(5)項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
(7)前記不織布或いはネットがポリプロピレンあるいはポリエステルからなる(1)〜(6)項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
特に膜内部に緻密層を有するポリスルホン製異方性構造膜を使ったカートリッジフィルターにおいて効果が著しい。
本発明で使用することのできる精密ろ過膜は、平均孔径が0.01〜10μmであるものが好ましく、平均孔径が0.05〜10μmであるものがより好ましい。また、下記化学式(1)又は(2)で表されるポリスルホンを原料として用いて製膜されたものが好ましい。
即ち、ポリスルホンペレットをホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等の極性有機溶媒に溶解する。溶媒は単独あるいは複数の種類の溶媒の混合であってもよい。溶媒の溶解力を調整するために非溶媒あるいは貧溶媒と呼ばれる、メタノール、エタノール、プロパノールあるいはブタノール等のアルコール類や、水の如き溶媒を少量添加することが多い。添加量は溶媒の種類にもよるが、よく使用される水の場合は、製膜原液に対して0.05質量%から6%までである。
本発明で使用できる膨潤剤としては、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンの如き親水性高分子、食塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、臭化マグネシウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酪酸カリウム等の有機酸塩類、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の高分子電解質、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルメチルタウリン酸ナトリウム等のイオン系界面活性剤等が用いられる。これらの膨潤剤は単独でポリマー溶液に加えてもある程度の効果を示すものもあるが、これら膨潤剤を水溶液として添加すると、特に顕著な効果を示すことがある。膨潤剤の添加量は添加によって溶液の均一性が失われることがない限り特に制限はないが、通常製膜原液量の0.5質量%から35質量%である。製膜原液としてのポリスルホン濃度は好ましくは5から35質量%、より好ましくは10から30質量%である。35質量%を越えるときは得られる微孔性膜の透水性が実用的な意味を持たない程小さくなり、5質量%よりも小さいときは充分な分離能力を持った精密ろ過膜は得られない。
支持体としては、通常銅板やステンレス板の如き金属板、ポリエステルやポリエチレンの如きプラスチックシート及び硝子板が使用できる。
凝固液中でポリマーが析出して孔を形成した流延膜は必要に応じて支持体から膜を剥離し、この後水洗、温水洗浄、溶剤洗浄等を行い、乾燥する。支持体として不織布・織布あるいは紙を用いたときは、膜は支持体から剥離せずに一体のまま洗浄・乾燥する。
膜の空隙率を大きくすると水(液体)の透過性がよくなるが、あまり空隙率が大きくなりすぎると、膜は脆くなって使用に耐えなくなる。従って好ましい空隙率は55〜87%であり、特に好ましくは70〜84%である。膜の空隙率は製膜原液中のポリスルホン濃度と膨潤剤濃度との影響を大きく受ける。ポリスルホン濃度が少なく膨潤剤濃度が多いと空隙率は大きくなる。製膜直後の空気中から吸収する水分量や凝固液温度にも若干は影響を受ける。
また、一次側のプレフィルター機能を有する不織布の前に他の不織布やネットを入れる事もできる。これらの保護材はポリプロピレンやポリエステルで出来ているものが好ましい。二次側の不織布或いはネットの孔径は一次側の平均孔径より大きければ効果があるが、その平均孔径の差は2〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
精密ろ過膜と保護材は、通常公知の方法でひだ折り加工される。保護材2、4としては不織布またはネットが用いられる。ひだ折り加工されたろ材は両端部を揃えるためにカッターナイフ等で両端部の不揃い部分を切り落とし、円筒状に丸めてその合わせ目のひだ部を、超音波融着やヒートシール等で熱可塑的に液密にシールしたり、あるいは接着剤を用いて液密にシールする。
保護材の一般的な役割は、第一にろ過する液体を膜ひだの内部に導いてカートリッジに折り込まれた膜全体を有効にろ過に使用できるようにすることである。保護材の第二の役割は精密ろ過膜の保護である。従って保護材は空隙を多く有して通液抵抗の少ない性質と、適度の強度を要求される。
更に本発明においては第三の役割として、比較的大きな異物を捕捉し下流の精密ろ過膜に掛かる負担を軽減させる役割がある。そして第四の役割はカートリッジ内を保護材で満たす事で精密ろ過膜を動かなくし、外圧によって精密ろ過膜が伸びたり破壊したりする事を防止する役割がある。
エンドシール工程はエンドプレート材質によって方法がいくつかあるが、いずれも従来知られた公知技術によって行われる。エンドプレートに熱硬化性のエポキシ樹脂を使用するときは、ポッティング型中に調合したエポキシ樹脂接着剤の液体を流し込み、予備硬化させて接着剤の粘度が適度に高くなってから、円筒状ろ材の片端面をこのエポキシ接着剤中に挿入する。その後加熱して完全に硬化させる。エンドプレートの材質がポリプロピレンやポリエステルの如き熱可塑性樹脂のときは、熱溶融した樹脂を型に流し込んだ直後に円筒状ろ材の片端面を樹脂の中に挿入する方法が行われる。一方、既に成型されたエンドプレートのシール面のみを熱板に接触させたり赤外線ヒーターを照射したりしてプレート表面だけを溶融し、円筒状ろ材の片端面をプレートの溶融面に押しつけて溶着する方法も行われる。
(ポリスルホン製精密ろ過膜の調製)
ポリスルホンを素材とする精密ろ過膜の製膜実例を示す。ポリスルホン(アモコ社製 P−3500)15部、N−メチル−2−ピロリドン70部、ポリビニルピロリドン15部、塩化リチウム2部、水1.3部を均一に溶解して製膜原液を作成する。これを製品厚さが180μmになるように流延し、温度25℃、相対湿度50%、風速1.0m/秒の空気を8秒間流延した液膜表面に当て、直ちに25℃の水を満たした凝固浴中へ浸漬し微孔性膜を得た。この膜の水によるバブルポイントは150kPa、平均孔径は0.8μmであった。
平均孔径の異なるポリプロピレン不織布を一次側に、二次側は三井化学(株)製シンテックスPK108(平均孔径353μm)のポリプロピレン不織布を使い、この不織布2枚の間に実施例の膜を挟んで、ひだ幅10.5mmにプリーツし、山数125山にしてそれぞれ円筒状に丸め、各々の合わせ目を熱溶着シールした。円筒の片面にエンドキャップを、一方の面に通液口を熱溶着シールし、10インチのカートリッジフィルターに仕上げた。このカートリッジフィルターを用いてライフ試験を行った。
ナカライテスク(株)製カオリンを超純水に分散し、50ppmチャレンジ液とした。この液を試作したカートリッジでろ過し一次圧が0.12MPaまで上昇する時間をライフとした。(流量:10L/min)
PK108の代わりに平均孔径が387μm、318μm、75μmの不織布を使用したカートリッジについても、同様に実験を行い以下の結果を得た。
また、PK108を抜いたカートリッジについても比較のために同様に実験を行ったがライフは短かった。
平均孔径75μmのポリプロピレン不織布を一次側に、平均孔径318μmのポリプロピレン不織布を二次側に使い、この不織布2枚の間に実施例の膜を挟んで、ひだ幅10.5mmにプリーツし、山数を変えてそれぞれ円筒状に丸め、各々の合わせ目を熱溶着シールした。円筒の片面にエンドキャップを、一方の面に通液口を熱溶着シールし、10インチのカートリッジフィルターに仕上げた。このカートリッジフィルターを用いて耐久性試験を行った。
まずカートリッジを希釈した牛乳で目詰まりさせ、一次側から0MPa、0.54MPaの圧をパルス状に掛け、200回毎に0.15MPaの空気圧で拡散空気流量を測定した。初めて拡散空気流量が30mL/minを超えた回数を膜破壊点とした。
結果を表2に示す。
2 保護材(不織布)
3 精密ろ過膜
4 保護材(不織布あるいはネット)
5 コア
6a エンドプレート
6b エンドプレート
7 ガスケット
8 出口
9 集液口
Claims (7)
- ガードとコアの間に精密ろ過膜をプリーツ状に具備する精密ろ過膜カートリッジフィルターにおいて、該精密ろ過膜の一次側に平均孔径4〜400μmの不織布及び二次側にはそれ以上の孔径の不織布或いはネットを配置した精密ろ過膜カートリッジフィルター。
- 前記精密ろ過膜と保護材(不織布およびネット)の合計体積がガードとコア間の体積の95%以上である充填率の請求項1に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
- 前記精密ろ過膜の膜構造がいわゆる非対称で且つ内部に緻密層を持つポリスルホンあるいはポリエーテルスルホンよりなる請求項1または2に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
- 前記一次側不織布の平均孔径が50〜400μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
- 前記精密ろ過膜の平均孔径が0.01〜10μmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
- 前記精密ろ過膜の膜の厚みが80〜200μmである請求項1〜5のいずれか一項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
- 前記不織布或いはネットがポリプロピレンあるいはポリエステルからなる請求項1〜6のいずれか一項に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
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