JPH1066841A - 精密ろ過膜カートリッジフィルター - Google Patents

精密ろ過膜カートリッジフィルター

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JPH1066841A
JPH1066841A JP22533896A JP22533896A JPH1066841A JP H1066841 A JPH1066841 A JP H1066841A JP 22533896 A JP22533896 A JP 22533896A JP 22533896 A JP22533896 A JP 22533896A JP H1066841 A JPH1066841 A JP H1066841A
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membrane
cartridge filter
microfiltration membrane
liquid
hydrophilic
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JP22533896A
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Hitoshi Namikawa
均 並河
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水に濡れやすく容易に完全性試験を行えるポリ
スルホン精密ろ過膜フィルターを提供する。 【解決手段】平均孔径0.05〜10μm の精密ろ過膜
シートをひだ折り加工し、円筒状に丸めたそのシートの
合わせ目を液密にシールし、さらにその円筒の両端をも
エンドプレートで液密にシールしてできるプリーツ型カ
ートリッジフィルターにおいて、親水性ポリスルホン精
密ろ過膜を、少なくとも1枚がグラフト重合で親水性加
工された少なくとも2枚の不織布や織布の間に挟んでひ
だ折り加工した精密ろ過膜カートリッジフィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体の精密ろ過に使
用される精密ろ過フィルターに関する。更に詳しくは、
本発明は特に信頼性の高いカートリッジ型ポリスルホン
精密ろ過フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスルホン膜は、特公平4−6896
6号、特公平5−85576号、特公平6−862号、
特公平6−76510号等の各公報に記されているよう
な膜内部に最小孔径層を有する構造の膜が知られてい
る。
【0003】精密ろ過膜によるろ過に際してろ過流量を
大きくすると同時に取扱を容易にするために、様々なろ
過モジュールやろ過要素が製造販売されている。代表的
なろ過要素の一つは、ろ過膜をひだ折りするいわゆるプ
リーツ加工して一定の容量のカートリッジ中に収めたカ
ートリッジ型フィルターであり、特開昭64−3440
3号公報に記載されている。
【0004】このような精密ろ過カートリッジフィルタ
ーでは、ろ過の信頼性を増すために「完全性試験」を行
い、フィルターにピンホールや破れ等の欠陥がないこと
を確認する。従来精密ろ過膜フィルターカートリッジの
完全性試験の方法の一つとしては「バブルポイント法」
がある。水に濡れた精密ろ過膜に気体圧力を負荷する時
低圧から徐々に高圧へ圧力を上げていくと、ある圧力で
急に気体が膜孔を透過しはじめる、その時の圧力をバブ
ルポイントと言う。精密ろ過膜の最大孔径とバブルポイ
ント圧力とは逆比例の関係にあり、もしも膜にピンホー
ルの如き異常に大きな孔が存在すると、期待よりもはる
かに低い圧力のバブルポイントが観察され、従って「完
全性不良」が発見できる。
【0005】大きなろ過面積を有するカートリッジタイ
プの精密ろ過膜に対する完全性試験には「拡散流量法」
や「圧力保持法」と呼ばれる検査方法が一般的に用いら
れる。いずれの方法も水によく濡れた精密ろ過膜に膜の
バブルポイントよりも低い気体圧力を負荷し、膜の二次
側への気体の漏れを測定する方法である。膜にピンホー
ルの如き欠陥が存在すると、気体の流れが発生したり一
次側の圧力が変動したりするので、膜の完全性を評価す
ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した如く、フィル
ターカートリッジの完全性測定はいずれの方法も、精密
ろ過膜の孔を水の如き液体で満たし気体圧力をかけて、
気体の透過する量や透過を始める圧力を測定する。従っ
て膜の孔の一部に液体で満たされていない部分が存在す
ると、そこから低い圧力で多くの気体が透過してしま
い、正しい測定ができなくなる。フィルターカートリッ
ジでは一定容積の中に多くの膜を折り込んだり積層して
いるため、たとえ精密ろ過膜自身が非常に親水性で水を
吸いやすくとも、膜を濡らす時にプリーツ束中の気泡が
邪魔をして液体に濡れない場所を生じることがある。特
に液体として使用されることの多い水は表面張力が大き
いため気泡が抜けにくい。このためJIS K 383
2「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイ
ント試験方法」では、ハウジングの一次側のエアーを排
出しながら約30から100kPaのろ過差圧をかけて
液体をろ過しながら濡らす方法が提示されている。しか
しながらこのような条件で液体をろ過してもかならずし
も完璧には濡らすことはできない。液体で濡れにくい場
所は特定されないが、特に濡れにくいところは膜を他の
部材で液密にシールしているところである。プリーツ型
フィルターカートリッジにおいては、プリーツされた膜
を円筒状に丸めたその合わせめをシールし、更にその円
筒の両端をエンドプレートと呼ばれる板にシールする。
このような膜のシール際付近を完全に濡らすことは難し
い。このため拡散流量が本来の値よりも大きくなった
り、バブルポイント値が本来の値よりも小さくなったり
して変動が大きい。このため濡れ不良とフィルターのピ
ンホールや破れ等の欠陥との区別ができず、良品を不良
とみなしたり、不良品を良品と間違えたりしやすい。内
部に最小孔径層を有するポリスルホン精密ろ過膜を使っ
たカートリッジフィルターの場合は特に膜とエンドプレ
ートとのシール部が濡れにくい。一方、30から100
kPaのろ過差圧を膜の一次側と二次側の間にかけるた
めには多量の水を透過させねばならない。このために大
容量のポンプを準備したり、製薬工業においては高価な
蒸留水を多量に消費しコスト高になったりするという問
題もあった。
【0007】特開平6−277466号公報には、プリ
ーツカートリッジフィルター膜のシール部のみにポリビ
ニルアルコールを付着塗布する方法が開示されている。
しかしこの方法ではろ過中にフィルターからポリビニル
アルコールが徐々に溶出し、ろ液を汚染するほか、膜シ
ール部のポリビニルアルコール量が減少していき、つい
には未塗布と同じ状態に戻ってしまう。特表昭59−5
01251号にはエンドプレートとのシール部のみ、膜
孔を消失させる方法が提案されている。孔を消失させる
方法はいくつか提案されている。膜端部の孔をローラー
で押しつぶしたりヒートシーラーで潰す方法では、潰さ
れた膜が元の膜の1/3以下の厚さに薄くなり、耐久性
が著しく損なわれて実用的でない。孔が潰れて薄くなっ
た所に補強フイルムをラミネートする方法も提案されて
いるが、フイルムラミネートは安全のために膜が薄くな
ったところだけでなく一部孔が残った膜厚の厚いところ
にも行わなければならない。そのため膜に連続的にラミ
ネート処理を施したあと巻き取ろうとしても膜の一部に
厚い場所があるため長い膜を巻き取ることができない。
またフイルムでラミネートされた膜をプリーツ加工する
のは非常に難しい。特表昭59−501251号公報は
更に両端だけが無孔性で中央部は微孔性の一体型シート
を製膜する方法を提案しているが、無孔性部と微孔性部
とでは製膜過程での膜の収縮率も収縮力も大きく異なる
ため、平らな実用に耐える膜の製膜は非常に難しい。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記問題は、平均孔径
0.05〜10μm の精密ろ過膜シートをひだ折り加工
し、円筒状に丸めたそのシートの合わせ目を液密にシー
ルし、さらにその円筒の両端をもエンドプレートで液密
にシールしてできるプリーツ型カートリッジフィルター
において、ポリスルホンを素材とする親水性精密ろ過膜
を、少なくとも1枚がグラフト重合で親水性加工された
少なくとも2枚の不織布又は織布の間に挟んでひだ折り
加工したことを特徴とする精密ろ過膜カートリッジフィ
ルターによって解決できた。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の精密ろ過膜カート
リッジフィルターの構成とその製法について詳細に説明
する。図1は一般的なプリーツ型精密ろ過膜カートリッ
ジフィルターの全体構造を示す展開図の1事例である。
精密ろ過膜3は2枚の通液性シート2、4によってサン
ドイッチされた状態でひだ折りされ、集液口を多数有す
るコアー5の廻りに巻き付けられている。その外側には
外周ガード1があり、精密ろ過膜を保護している。円筒
の両端にはエンドプレート6a、6bにより、精密ろ過
膜がシールされている。エンドプレートはガスケット7
を介してフィルターハウジング(図示なし)のシール部
と接する。ろ過された液体はコアーの集液口から集めら
れ、出口8から排出される。図2はエンドプレートに膜
がシールされているようすを模式的に表した図である。
図中12、14は通液性シートの断面を、13は精密ろ
過膜の断面を、17はエンドプレートの断面をそれぞれ
示している。熱で膜とエンドプレートとをシールした時
は、通液性シートの一部は熱で溶融してエンドプレート
と一体化している。そして膜のエンドプレートの内部に
挿入された部分では空気の逃げ場がないため液体がなか
なか進入できない。本発明の精密ろ過膜カートリッジフ
ィルターは、上記図1において、精密ろ過膜3と2枚の
通液性シート2、4として、ポリスホンを素材とした親
水性精密ろ過膜と、少なくとも1枚がグラフト重合で親
水性加工された少なくとも2枚の不織布または織布を用
いることによって、上記の問題を解決することができ
た。従って、精密ろ過膜3と2枚の通液性シート2、4
の材質を上記のように変えれば、本発明の精密ろ過膜カ
ートリッジフィルターの構造は図1と同様である。
【0010】本発明で使用することのできる精密ろ過膜
は化学式1あるいは化学式2であらわされるポリスルホ
ンを原料を用いたものが好ましい。化学式1
【0011】
【化1】 化学式2
【0012】
【化2】 ポリスルホンを使って精密ろ過膜を製膜する一般的な製
法を示す。ポリスルホンペレットを、ホルムアミド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチル
スルホキシド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロ
リドン、スルホラン等の極性有機溶媒に溶解する。溶媒
は単独あるいは複数の種類の溶媒の混合であってもよ
い。溶媒の溶解力を調整するために非溶媒あるいは貧溶
媒と呼ばれる、メタノール、エタノール、プロパノール
あるいはブタノール等のアルコール類や、水の如き溶媒
を少量添加することが多い。添加量は溶媒の種類にもよ
るが、よく使用される水の場合は、製膜原液に対して
0.05重量%から6%までである。
【0013】上記ポリスルホン溶液に通常多孔構造を制
御するものとして膨潤剤あるいは発泡剤と称される無機
電解質、有機電解質、高分子等を、少なくとも1種類加
える。本発明で使用できる膨潤剤としては、ポリエチレ
ングリコールやポリビニルピロリドンの如き親水性高分
子、食塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリ
ウム、塩化亜鉛、臭化マグネシウム等の無機酸の金属
塩、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酪酸カリウム等
の有機酸塩類、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポ
リビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等
の高分子電解質、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウ
ム、アルキルメチルタウリン酸ナトリウム等のイオン系
界面活性剤等が用いられる。これらの膨潤剤は単独でポ
リマー溶液に加えてもある程度の効果を示すものもある
が、これら膨潤剤を水溶液として添加する場合には、特
に顕著な効果を示すことがある。膨潤剤の添加量は添加
によって溶液の均一性が失われることがない限り特に制
限はないが、通常製膜原液量の0.5重量%から35重
量%である。製膜原液としてのポリスルホン濃度は5か
ら35重量%、好ましくは10から30重量%である。
35重量%を越える時は得られる微孔性膜の透水性が実
用的な意味を持たない程小さくなり、5重量%よりも小
さい時は充分な分離能力を持った精密ろ過膜は得られな
い。
【0014】上記のようにして調整した製膜原液を支持
体の上に流延し、流延直後あるいは一定時間をおいて凝
固液中に支持体ごとポリマー溶液膜を浸漬する。凝固液
としては水が最も一般的に用いられるが、ポリマーを溶
解しない有機溶媒を用いても良く、またこれら非溶媒を
2種以上混合して用いてもよい。支持体としては、通常
銅板やステンレス板の如き金属板、ポリエステルやポリ
エチレンの如きプラスチックシート及び硝子板が使用で
きる。凝固液中でポリマーが析出して孔を形成した流延
膜は必要に応じて支持体から膜を剥離し、この後水洗、
温水洗浄、溶剤洗浄等を行い、乾燥する。支持体として
不織布・織布あるいは紙を用いた時は、膜は支持体から
剥離せずに一体のまま洗浄・乾燥する。
【0015】目詰まりしにくく長時間のろ過性能を有し
しかもろ過層が膜内部に隠れていて傷がつきにくいとい
う特徴を有する内部最小孔径層のポリスルホン膜の製膜
方法について簡単に記す。製膜原液を支持体上に流延し
た液膜の表面に温度15〜60℃、相対湿度10〜80
%、風速0.2〜4m/秒の範囲で調節した空気を2〜
40秒間あてることによって、溶媒蒸気の蒸発量と雰囲
気からの非溶媒蒸気吸収量(湿分の吸収)を適宜調節す
ることに重要な技術がある。このような調製は、例えば
製膜原液を流延支持体上に流延し、25℃、絶対湿度2
gH2 O/kgAir以上の空気を0.2m/秒以上の
風速で流延面に当てることによって、液膜の最表面層か
ら1μm以上、好ましくは1〜30μmの深さにコアセ
ルベーション相を形成させることができる。その後直ち
に凝固液中に浸漬し多孔性膜を形成させる。このように
して得られた膜は、コアセルベーションを起こさせた部
分の最深部が最小孔径層となる。このような内部最小孔
径層膜の表面の孔径に対して裏面の孔径は10〜100
0倍程度、またBET法で測定したその比表面積は8〜
80m2/gが得られる。膜の機械的強度とろ過能力の両
方を兼ね備える好ましい比表面積の範囲は20〜60m
2/gである。膜の空隙率を大きくすると水(液体)の
透過性がよくなるが、あまり空隙率が大きくなりすぎる
と、膜は脆くなって使用に耐えなくなる。従って好まし
い空隙率は55〜87%であり、特に好ましくは70〜
84%である。膜の空隙率は製膜原液中のポリスルホン
濃度と膨潤剤濃度との影響を大きく受ける。ポリスルホ
ン濃度が少なく膨潤剤濃度が多いと空隙率は大きくな
る。製膜直後の空気中から吸収する水分量や凝固液温度
にも若干は影響を受ける。
【0016】本来は疎水性であるポリスルホンの表面を
親水化する方法には、製膜原液中に親水化剤を添加して
おく方法及び多孔質膜製膜後に化学処理によりポリスル
ホン骨格表面を親水化する方法がある。前者の方法で
は、製膜原液にポリエチレングリコール、ポリビニルピ
ロリドン、スルホン化ポリスルホン(特公平5−705
4号公報記載)及び親水性ポリウレタンプレポリマー
(米国特許第4,137,200号、米国特許願第13
0,826号(1987年12月9日付け)等に記載)
の如き親水性ポリマーをポリスルホン量に対して5〜6
5重量%添加する。添加された親水性ポリマーはその一
部あるいは大半が凝固液に溶解して失われたり、その後
の洗浄工程で消失するが、そうした製膜過程で親水性ポ
リマーがポリスルホン骨格の表面に多く分布して、結果
として親水性のポリスルホン精密ろ過膜を生成する。製
膜後の化学処理は特開平7−51550号公報に開示さ
れているように、ヒドロキシアルキルアクリレート又は
メタクリレート、アクリルアミドあるいはメタクリルア
ミド、極性の置換アクリレート又はメタクリレート等か
らなるモノマーを疎水性精密ろ過膜に塗布して遊離基重
合させる方法がある。
【0017】この様にして製膜された精密ろ過膜13は
通常公知の方法でひだ折り加工される。ひだ折り加工さ
れたろ材は両端部を揃えるためにカッターナイフ等で両
端部の不揃い部分を切り落とし、円筒状に丸めてその合
わせ目のひだ部を、超音波融着やヒートシール等で熱可
塑的に液密にシールしたり、あるいは接着剤を用いて液
密にシールする。本発明で使用する通液性シートは、少
なくとも1枚がグラフト重合によって親水性加工された
少なくとも2枚の不織布または織布である。特にろ過膜
の一次側に使用するは親水性であることが必須である。
通液シートの親水性とは、通液シートが空気に対してよ
りも水に対する親和性が強く、通液シートが水に接触す
ると余計な力をかけずとも自然に水を吸って空気を放出
することを言う。親水性の目安は例えば、机上に置いた
の上に0.2mlの水滴をそっと乗せると、2分以内に
水滴がシートに吸われて水滴の丸い形状を失うことであ
る。20秒以内に水滴がシートに吸収されるほどの親水
性があれば非常に好ましい。通液性シートの一般的な役
割は、第一にろ過する液体を膜ひだの内部に導いてカー
トリッジに折り込まれた膜全体を有効にろ過に使用でき
るようにすることである。の第二の役割は精密ろ過膜の
保護である。従っては空隙を多く有して通液抵抗の少な
い性質と、適度の強度を要求される。更に本発明におい
ては第三の役割として、ろ過に際して気泡を容易に放出
して精密ろ過膜と液体との接触面積を多くする役割が必
要である。
【0018】従来のプリーツ型精密ろ過膜カートリッジ
フィルターで用いられている通液性シートは、ほとんど
のものが疎水性のポリエステルやポリプロピレンの不織
布である。しかしこのような疎水性不織布はろ過に際し
て気泡を保持して放出しにくく、従って膜がろ過液体と
接触しにくく、膜が液体に濡れにくい。特にエンドプレ
ートのシール部では気泡が抜けにくく、またシール部に
挿入された膜の孔は空気の逃げ道がないため特に液体に
濡れにくい。しかし水に対する接触角が小さく水が浸透
しやすい親水性の不織布や織布使用したときは、通液シ
ート空隙から気泡が容易に放出されて膜と液体(水)と
が直接接触するので、膜は液体に非常に濡れやすくな
る。
【0019】本発明で用いる親水性不織布や織布はグラ
フト重合を用いて疎水性高分子や繊維に親水性基を持つ
共重合性化合物を導入するこよによって得られる。これ
らの方法は特開平7−138391号、特開平7−25
8304号、特開平6−349472号、特開平6−3
38307号各公報に開示されている。具体的には、不
織布を構成する高分子には、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、プロピレンーエチレン共重合体、ポリブテン、ポ
リメチルペンテン−1、エチレンー酢酸ビニル共重合
体、ポリスチレン等が上げられるが、好ましくはポリオ
レフィン、より好ましくは、ポリプロピレンより構成さ
れるものが好ましい。グタフト重合に使用できる親水性
化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン
スルホン酸、ビニルアルコール、ビニルスルホン酸、マ
レイン酸、エンディック酸、フマール酸、テトラヒドロ
フタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸等やそのアミド、イミド、無水物や、エス
テル等の誘導体、及びその金属塩等が上げられる。これ
らの化合物は単独で用いてもよく、また、複数種の親水
性共重合性化合物を混合して用いてもよく、また、ポリ
エチレンやポリプロピレン等の疎水性共重合性化合物を
混合しても良い。グラフト重合が行われる形態は、疎水
性高分子が不織布の形態でも、その原料となる繊維の形
態でもよく、特に限定されない。また、グラフト重合が
行われた親水性共重合化合物の疎水性高分子への付着形
態は、疎水性高分子と親水性化合物が何らかの形態で化
学結合していても、水素結合に代表される、静電的相互
作用により結合していても良いが、より好ましくは共有
結合により結合することである。
【0020】プリーツひだの幅は通常5mmから25mmにな
るようにプリーツする。本発明では気泡を放出しやすく
するために、5mmから12mmにするのが好ましい。特に7
mmから10.5mmにすることが好ましい。エンドシール工程
はエンドプレート材質によって方法がいくつかあるが、
いずれも従来知られた公知技術によって行われる。エン
ドプレートに熱硬化性のエポキシ樹脂を使用する時は、
ポッティング型中に調合したエポキシ樹脂接着剤の液体
を流し込み、予備硬化させて接着剤の粘度が適度に高く
なってから、円筒状ろ材の片端面をこのエポキシ接着剤
中に挿入する。その後加熱して完全に硬化させる。エン
ドプレートの材質がポリプロピレンやポリエステルの如
き熱可塑性樹脂の時は、熱溶融した樹脂を型に流し込ん
だ直後に円筒状ろ材の片端面を樹脂の中に挿入する方法
が行われる。一方、既に成型されたエンドプレートのシ
ール面のみを熱板に接触させたり赤外線ヒーターを照射
したりしてプレート表面だけを溶融し、円筒状ろ材の片
端面をプレートの溶融面に押しつけて溶着する方法も行
われる。使用する外周ガード1の構造によっても空気抜
けの状態が変わる。好ましくは図3に示すように、外周
ガードのエンドプレートとのシール際に空気を逃がすた
めの小窓を設けるとよい。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこの実施例の内容に限定されるものでは
ない。 参考例 1 ポリスルホンを素材とする精密ろ過膜の製膜実例を示
す。ポリスルホン(アモコ社製 P−3500)15
部、N−メチル−2−ピロリドン70部、ポリビニルピ
ロリドン15部、塩化リチウム2部、水1.3部を均一
に溶解して製膜原液を作成する。これを製品厚さが18
0μmになるように流延し、温度25℃、相対湿度50
%、風速1.0m/秒の空気を8秒間流延した液膜表面
に当て、直ちに25℃の水を満たした凝固浴中へ浸漬し
微孔性膜を得た。この膜の水によるバブルポイントは1
50kPaであった。
【0022】実施例 1 繊度1.5dのポリプロピレンで目付け50g/m2の不織
布シートを製造した。この不織布に250nm付近の紫外
線を1分間相当照射した。次にこの不織布をエタノール
35部、アクリル酸20部、水45部を含む溶液に浸漬
し、それを、脱酸素処理後90℃1時間で重合し、グラ
フト重合処理した親水性のポリプロピレン不織布を得
た。この不織布2枚の間に参考例1の膜を挟んで、ひだ
幅10mmにプリーツし、その125山分のひだをとって
円筒状に丸め、その合わせ目をエポキシ接着剤でシール
する。円筒の両端5mmづつを切り落とし、その切断面を
エポキシ接着剤でシールして、カートリッジフィルター
に仕上げた。このカートリッジフィルターに160リッ
トル/hの流量で15分間水を透過させ、その後このカー
トリッジフィルターに100kPaの空気圧を負荷した状
態で空気の透過量を測定したところ、透過量は8ml/
分以下で、このカートリッジフィルターの水濡れ性は良
好であった。
【0023】比較例 1 繊度1.5のポリプロピレンで目付け50g/m2の不織布
シートを製造した。この不織布2枚の間に参考例1の膜
を挟んで、ひだ幅10mmにプリーツし、その145山分
のひだをとって円筒状に丸め、その合わせ目をエポキシ
接着剤でシールする。円筒の両端5mmづつを切り落と
し、その切断面をエポキシ接着剤でシールして、カート
リッジフィルターに仕上げた。このカートリッジフィル
ターに160リットル/hの流量で15分間水を透過さ
せ、その後このカートリッジフィルターに100kPaの
空気圧を負荷した状態で空気の透過量を測定したとこ
ろ、透過量は100ml/分以上で、このカートリッジ
フィルターの水濡れ性は劣悪であった。
【0024】
【発明の効果】本発明の実施により、ポリスルホン精密
ろ過膜カートリッジフィルターを極めて容易に水に濡ら
すことができる。その結果フィルターの完全性を容易に
且つ高精度に測定でき、従ってより信頼性の高いろ過を
行なうことができる。特に膜の両表面の孔径が膜内部の
最小孔径層の孔径の2倍以上である異方性構造膜カート
リッジフィルターにおいて効果が著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なプリーツ型カートリッジフィルターの
構造を表す図面である。ただし、ろ過膜シート3と通液
性シート2、4を本発明の親水性ろ過膜とグラフト重合
で親水性加工された不織布または織布とした場合は本発
明のカートリッジフィルターの構造を表す図面である。
【図2】本発明の実施態様におけるエンドシール部付近
の構造を表す図である。
【図3】外周ガードに空気抜き小窓を設置した図
【符号の説明】
1 外周ガード 2 通液性シート 3 ろ過膜 4 通液性シート 5 コア 6a エンドプレート 6b エンドプレート 7 ガスケット 8 出口 9a 空気抜き小窓 9b 空気抜き小窓 9c 空気抜き小窓 12 通液性シート 13 ろ過膜 14 通液性シート 17 エンドプレート

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均孔径0.05〜10μm の精密ろ過
    膜シートをひだ折り加工し、円筒状に丸めたそのシート
    の合わせ目を液密にシールし、さらにその円筒の両端を
    もエンドプレートで液密にシールしてできるプリーツ型
    カートリッジフィルターにおいて、ポリスルホンを素材
    とする親水性精密ろ過膜を、少なくとも1枚がグラフト
    重合で親水性加工された少なくとも2枚の不織布又は織
    布の間に挟んでひだ折り加工したことを特徴とする、精
    密ろ過膜カートリッジフィルター。
  2. 【請求項2】 グラフト重合の対象となる材料が不織布
    の形態をとっていることを特徴とする請求項1の精密ろ
    過膜カートリッジフィルター。
  3. 【請求項3】 グラフト重合の対象となる材料が織布の
    形態をとっていることを特徴とする請求項1の精密ろ過
    膜カートリッジフィルター。
  4. 【請求項4】 膜の厚さ方向内部に最小孔径層を有する
    異方性構造の精密ろ過膜を用いることを特徴とする精密
    ろ過膜カートリッジフィルター。
  5. 【請求項5】 プリーツひだの幅が5mm以上12mm以下で
    あることを特徴とする請求項1の精密ろ過膜カートリッ
    ジフィルター。
  6. 【請求項6】 空隙率が55〜87%であることを特徴
    とする請求項2の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
  7. 【請求項7】 比表面積が8〜80m2/gであることを特
    徴とする請求項2の精密ろ過膜カートリッジフィルタ
    ー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100407686B1 (ko) * 2000-12-29 2003-12-01 민병렬 방사형 여과 분리막 모듈
JP2010520053A (ja) * 2007-03-06 2010-06-10 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 改良された液体ろ過媒体
JP2018534373A (ja) * 2015-09-15 2018-11-22 アルケマ フランス スルホキシド官能基を有する分子とアミド官能基を有する分子との混合物を含む溶媒組成物

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