JP2002224539A - 精密ろ過膜カートリッジフィルター - Google Patents

精密ろ過膜カートリッジフィルター

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JP2002224539A
JP2002224539A JP2001024124A JP2001024124A JP2002224539A JP 2002224539 A JP2002224539 A JP 2002224539A JP 2001024124 A JP2001024124 A JP 2001024124A JP 2001024124 A JP2001024124 A JP 2001024124A JP 2002224539 A JP2002224539 A JP 2002224539A
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microfiltration membrane
membrane
cartridge filter
wetting agent
microfiltration
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Sumio Otani
純生 大谷
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルターを容易に水に濡らし、その結果
フィルターの完全性を容易に且つ高精度に測定でき、従
って、より信頼性の高いろ過を行なうことができるポリ
スルホン精密ろ過膜カートリッジフィルターを提供す
る。 【解決手段】 精密ろ過膜シートを複数のサポート材
の間に挟んでひだ折り加工し、円筒状に丸めたそのシー
トの合わせ目を液密にシールし、さらにその円筒の両端
をもエンドプレートで液密に溶着シールしてできるプリ
ーツ型カートリッジフィルターにおいて、(1)精密ろ
過膜の両端部のみに濡れ剤を塗布し、且つ(2)カート
リッジに組立後、エンドプレート溶着部以外の余分に塗
布された濡れ剤を実質的に除去してある精密ろ過膜カー
トリッジフィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液体の精密ろ過に使
用される精密ろ過フィルターに関する。更に詳しくは、
本発明は特に信頼性の高いカートリッジ型ポリスルホン
精密ろ過フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】微孔性ろ過膜は古くから知られており、
(例えばアール・ケステイング (R.Kestin
g)著シンセテイツク・ポリメリツク・メンブランズ
(Synthetic Polymeric Memb
ranes マグロウヒル社 (McGraw Hil
l 社) 発行)ろ過用フィルターなどに広く利用され
ている。微孔性ろ過膜は、たとえば米国特許第1421
341号、同3133132号、同2944017号な
どの明細書、特公昭43−15698号、特公昭45−
33313号、同48−39586号、同48−400
50号などの各公報に記載されているように、セルロー
ズエステル類を原料として製造されるもの、米国特許第
2783894号、同3408315号、同43404
79号、同4340480号、同4450126号、ド
イツ特許DE3138525号などの各明細書、特開昭
58−37842号などの公報に記載されているように
脂肪族ポリアミドを原料として製造されるもの、米国特
許第4196070号明細書、特公昭51−18991
号公報などに記載されているようにポリテトラフルオロ
エチレンを原料として製造されるもの、米国特許第42
03848号明細書、同第4340482号明細書、特
公平7−8548号公報などに記載されているポリ弗化
ビニリデンを原料とするもの、特開昭56−15405
1号、特開昭56−86941号、特開昭56−126
40号などの各公報に記載されているポリスルホン系ポ
リマーを原料とするもの、登録特許第2727296
号、特開平1−18091号公報などに記載されている
ポリエチレンを原料とするものなどがある。これら微孔
性膜は電子工業用洗浄水、半導体製造薬液、医薬用水、
医薬製造工程用水、食品水等の濾過、減菌に用いられ近
年その用途と使用量は拡大しており、特に粒子捕捉の点
から信頼性の高い微孔性ろ過膜が注目され多用されてい
る。一般的な精密ろ過膜の孔構造は、厚さ方向どの部分
も同じような孔径分布を有する構造をしている。一方特
公平6−76510号公報等に記されているような膜内
部に最小孔径層を有する構造の膜や、特公平1−436
19号公報に記されているような膜表面に最小孔径層を
有する構造の膜も知られている。
【0003】精密ろ過膜によるろ過に際してろ過流量を
大きくすると同時に取扱を容易にするために、様々なろ
過モジュールやろ過要素が製造販売されている。代表的
なろ過要素の一つは、ろ過膜をひだ折りするいわゆるプ
リーツ加工して一定の容量のカートリッジ中に収めたカ
ートリッジ型フィルターであり、特開昭64−3440
3号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような精密ろ過カ
ートリッジフィルターでは、ろ過の信頼性を増すために
「完全性試験」を行い、フィルターにピンホールや破れ
等の欠陥がないことを確認する。従来精密ろ過膜フィル
ターカートリッジの完全性試験の方法の一つとしては
「バブルポイント法」がある。水に濡れた精密ろ過膜に
気体圧力を負荷する時低圧から徐々に高圧へ圧力を上げ
ていくと、ある圧力で急に気体が膜孔を透過しはじめ
る、その時の圧力をバブルポイントと言う。精密ろ過膜
の最大孔径とバブルポイント圧力とは逆比例の関係にあ
り、もしも膜にピンホールの如き異常に大きな孔が存在
すると、期待よりもはるかに低い圧力のバブルポイント
が観察され、従って「完全性不良」が発見できる。
【0005】また、大きなろ過面積を有するカートリッ
ジタイプの精密ろ過膜に対する完全性試験には「拡散流
量法」や「圧力保持法」と呼ばれる検査方法が一般的に
用いられる。いずれの方法も水によく濡れた精密ろ過膜
に膜のバブルポイントよりも低い気体圧力を負荷し、膜
の二次側への気体の漏れを測定する方法である。膜にピ
ンホールの如き欠陥が存在すると、気体の流れが発生し
たり一次側の圧力が変動したりするので、膜の完全性を
評価することができる。
【0006】上述した如く、フィルターカートリッジの
完全性測定はいずれの方法も、精密ろ過膜の孔を水の如
き液体で満たし気体圧力をかけて、気体の透過する量や
透過を始める圧力を測定する。従って膜の孔の一部に液
体で満たされていない部分が存在すると、そこから低い
圧力で多くの気体が透過してしまい、正しい測定ができ
なくなる。フィルターカートリッジでは一定容積の中に
多くの膜を折り込んだり積層しているため、たとえ精密
ろ過膜自身が非常に親水性で水を吸いやすくとも、膜を
濡らす時にプリーツ束中の気泡が邪魔をして液体に濡れ
ない場所を生じることがある。特に液体として使用され
ることの多い水は表面張力が大きいため気泡が抜けにく
い。このためJIS K 3832「精密ろ過膜エレメ
ント及びモジュールのバブルポイント試験方法」では、
ハウジングの一次側のエアーを排出しながら約30から
100kPaのろ過差圧をかけて液体をろ過しながら濡
らす方法が提示されている。しかしながらこのような条
件で液体をろ過してもかならずしも完璧には濡らすこと
はできない。液体で濡れにくい場所は特定されないが、
特に濡れにくいところは膜を他の部材で液密にシールし
ているところである。プリーツ型フィルターカートリッ
ジにおいては、プリーツされた膜を円筒状に丸めたその
合わせめをシールし、更にその円筒の両端をエンドプレ
ートと呼ばれる板にシールする。膜とエンドプレートと
の溶着部のシール際部を完全に濡らすことは難しい。
【0007】このため拡散流量が本来の値よりも大きく
なったり、バブルポイント値が本来の値よりも小さくな
ったりして変動が大きい。このため濡れ不良とフィルタ
ーのピンホールや破れ等の欠陥との区別ができず、良品
を不良とみなしたり、不良品を良品と間違えたりしやす
い。厚さ方向膜内部に最小孔径層を有するポリスルホン
精密ろ過膜を使ったカートリッジフィルターの場合は膜
とエンドプレートとのシール部が特に濡れにくい。一
方、30から100kPaのろ過差圧を膜の一次側と二
次側の間にかけるためには多量の水を透過させねばなら
ない。このために大容量のポンプを準備したり、製薬工
業においては高価な蒸留水を多量に消費しコスト高にな
ったりするという問題もあった。
【0008】特開平6−277466号公報には、プリ
ーツカートリッジフィルター膜のシール部のみにポリビ
ニルアルコールを付着塗布する方法が開示されている。
特表昭59−501251号公報にはエンドプレートと
のシール部のみ、膜孔を消失させる方法が提案されてい
る。また、孔を消失させる方法は他にもいくつか提案さ
れており、例えば、特表昭59−501251号公報は
更に両端だけが無孔性で中央部は微孔性の一体型シート
を製膜する方法を提案している。さらに、特開昭64−
4212号公報には親水化されたポリエステル又はポリ
プロピレンの不織布を使って精密ろ過膜をプリーツ加工
する方法が開示されている。しかし食品や医薬品のろ過
時には、フィルターからの溶出物の混入が懸念された
り、実用に耐えられる平らな膜が得られなかったり、あ
るいは効果が不十分であるなどの問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は下記(1)〜
(5)により達成された。 (1) 精密ろ過膜シートを複数のサポート材の間に挟
んでひだ折り加工し、円筒状に丸めたそのシートの合わ
せ目を液密にシールし、さらにその円筒の両端をもエン
ドプレートで液密に溶着シールしてできるプリーツ型カ
ートリッジフィルターにおいて、(1)精密ろ過膜の両
端部のみに濡れ剤を塗布し、且つ(2)カートリッジに
組立後、エンドプレート溶着部以外の余分に塗布された
濡れ剤を実質的に除去してあることを特徴とする精密ろ
過膜カートリッジフィルター。 (2) 精密ろ過膜の両端に塗布する濡れ剤がポリビニ
ルピロリドン、エチルセルローズ、ヒドロキシエチルセ
ルローズ、メチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルロ
ーズ、及びこれらの誘導体から選ばれたものである上記
(1)に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。 (3) 精密ろ過膜の両端に塗布する濡れ剤が、アルキ
ルスルホン酸塩あるいは蔗糖脂肪酸エステルからなる界
面活性剤から選ばれたものである上記(1)または
(2)に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。 (4) 精密ろ過膜が親水性且つ膜厚さ方向内部に最小
孔径層を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の
精密ろ過膜カートリッジフィルター。 (5) 精密ろ過膜のバブルポイントが50kPaから
1MPaの範囲である上記(1)〜(4)のいずれかに
記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の精密ろ過膜カート
リッジフィルターの構成とその製法について詳細に説明
する。図1は、一般的なプリーツ型精密ろ過膜カートリ
ッジフィルターの全体構造を示す展開図である。精密ろ
過膜3は2枚の膜サポート2、4によってサンドイッチ
された状態でひだ折りされ、集液口を多数有するコアー
5の廻りに巻き付けられている。その外側には外周カバ
ー1があり、精密ろ過膜を保護している。円筒の両端に
はエンドプレート6a、6bにより、精密ろ過膜がシー
ルされている。エンドプレートはガスケット7を介して
フィルターハウジング(図示なし)のシール部と接す
る。ろ過された液体はコアーの集液口から集められ、流
体出口8から排出される。図2は、エンドプレートに膜
がシールされているようすを模式的に表した図である。
図中12、14はサポート材の断面を、13は精密ろ過
膜の断面を、17はエンドプレートの断面をそれぞれ示
している。熱で膜とエンドプレートとをシールした時
は、サポート材の一部は熱で溶融してエンドプレートと
一体化している。そして膜のエンドプレートの内部に挿
入された部分では空気の逃げ場がないため液体がなかな
か進入できない。
【0011】本発明で使用することのできる精密ろ過膜
は特に限定されることはない。本発明の効果は、膜厚さ
方向内部に最小孔径層を有する精密ろ過膜に対して特に
効果が顕著である。膜内部に最小孔径を有する膜に関し
ては、特開昭62−27006(US493308
1)、同63−6033、同63−141607(US
4840733)の各公報の記載を参考にできる。膜内
部に最小孔径層を有する代表的な膜は、一般式(I)、
(II)あるいは一般式(III)で表されるポリスルホン
系ポリマーを用いたものが最もよく知られている。ま
た、本発明で使用することのできる精密ろ過膜の平均孔
径は好ましくは0.05〜10μmであり、更に好まし
くは0.1〜3μmである。
【0012】
【化1】
【0013】精密ろ過膜の多くは疎水性のポリマーで作
られている。本来は疎水性である精密ろ過膜の表面を親
水化する方法には、製膜原液中に親水化剤を添加してお
く方法及び多孔質膜製膜後に化学処理により多孔質ポリ
マー骨格表面を親水化する方法がある。前者の方法で
は、製膜原液にポリエチレングリコール、ポリビニルピ
ロリドン、スルホン化ポリスルホン(特公平5−705
4記載)及び親水性ポリウレタンプレポリマー(米国特
許第4137200号等に記載)の如き親水性ポリマー
をろ過膜形成疎水性ポリマー量に対して5〜65質量%
添加する。添加された親水性ポリマーはその一部あるい
は大半が凝固液に溶解して失われたり、その後の洗浄工
程で消失するが、そうした製膜過程で親水性ポリマーが
多孔質ポリマー骨格の表面にわずかに残留し、結果とし
て親水性の精密ろ過膜を生成する。製膜後の化学処理は
特開平7−51550号に開示されているように、ヒド
ロキシアルキルアクリレート又はメタクリレート、アク
リルアミドあるいはメタクリルアミド、極性の置換アク
リレート又はメタクリレート等からなるモノマーを疎水
性精密ろ過膜に塗布して遊離基重合させる方法がある。
しかしこの親水化処理を強力に行うと、即ち膜表面に多
量の親水化剤を残すようにすると、孔が親水化剤で塞が
れてろ過抵抗が大きくなったり、親水化剤がろ液中に溶
出してろ液を汚すなどの問題を生じる。
【0014】そこでカートリッジに加工した時水に特に
濡れにくい膜の両端部のみに濡れ剤を十分に塗布する。
両端部塗布に使用する濡れ剤は食品や医薬品に混入して
も安全で、水で容易に洗浄除去可能な材料が好ましい。
そのような材料としては、ポリビニルピロリドン及びそ
の誘導体、メチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルロ
ーズ及びそれらの誘導体、エチルセルローズ、ヒドロキ
シエチルセルローズ及びそれらの誘導体などの親水性ポ
リマーが安全性が高く、濡らし効果が高く、且つ水洗で
容易に洗い落とせるので好ましい。炭素数が6から24
のアルキルスルホン酸塩及び蔗糖高級脂肪酸エステルな
どの界面活性剤も同様の理由で好ましい。アルキルスル
ホン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチ
ウム塩が好ましい。蔗糖脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素
数で好ましい範囲は6から24である。
【0015】濡れ剤の塗布量はカートリッジフィルター
の水濡れ性が達成される範囲でできだけ少ないことが好
ましい。ポリビニルピロリドン及びその誘導体の好まし
い塗布量は、1g/m2〜6g/m2であり、特に好まし
い塗布量は2g/m2〜4g/m2である。メチルセルロ
ーズ、ヒドロキシメチルセルローズ、エチルセルロー
ズ、ヒドロキシエチルセルローズ及びそれらの誘導体の
好ましい塗布量は0.1g/m2〜1g/m2であり、特
に好ましい塗布量は0.2g/m2〜0.6g/m2であ
る。界面活性剤の好ましい塗布量は0.05g/m2
1g/m2であり、特に好ましい塗布量は0.1g/m2
〜0.3g/m2である。塗布する位置は、膜のそれぞ
れの端から数ミリメートルだけでよい。エンドプレート
溶着によりエンドプレートあるいは接着剤に埋まってし
まう部分より0.1mm以上幅広く塗布しておれば理論
的には十分である。塗布幅が変動するリスクを考慮する
と、エンドプレートあるいは接着剤に埋まってしまう部
分プラス2から5mm幅広く塗布することが好ましい。
プラス5mm以上塗布しても、出来上がったカートリッ
ジフィルターからの溶出物が多くなるデメリットが多く
なってしまう。塗布の方法は特に限定されない。濡れ剤
の水溶液をスポンジや布に染み込ませたものを精密ろ過
膜の塗布部に接触させたり、ビードコート、グラビアコ
ートあるいはワイアーバーコートなどの既知の方法で塗
布できる。
【0016】この様にして製膜された精密ろ過膜13は
通常公知の方法でひだ折り加工される。ひだ折り加工さ
れたろ材は両端部を揃えるためにカッターナイフ等で両
端部の不揃い部分を切り落とし、円筒状に丸めてその合
わせ目のひだ部を、超音波融着やヒートシール等で熱可
塑的に液密にシールしたり、あるいは接着剤を用いて液
密にシールする。
【0017】精密ろ過膜3は膜サポート2、4の間に挟
んで、通常公知の方法でひだ折り加工される。膜サポー
ト2、4としては不織布、織布、ネットなどが使用され
る。膜サポートの役割は、ろ過圧変動に対してろ過膜を
補強する役割と同時に、ひだの奥に液を導入する役割も
担っている。従って適度な通液性とろ過膜よりも十分に
高い物理強度を有している必要がある。このような機能
を有するシート材料であれば何でも使用可能である。本
発明で使用可能な膜サポートとしては上記一般的な機能
の他に耐熱性と耐薬品性が兼ね備わりかつ比較的安価な
材料である必要がある。従って使用可能な素材は限定さ
れる。膜サポートの厚さはスクリューマイクロメーター
で測定した時50μm〜600μmであることが好まし
い。不織布や織布では目付けが20g/m2〜120g
/m2であることが従来は好ましいとされてきた。薄す
ぎると強度が不足し、厚すぎるとカートリッジに収容可
能なろ過膜の必要面積を確保できないためである。本発
明においても従来の好ましい範囲の中で使用するが、特
に好ましい範囲は厚さで100μm〜300μm、付け
で25g/m2〜70g/m2である。
【0018】ネットは直径50μm〜300μmのモノ
フィラメントを紡糸し、これを編むことによってでき
る。ネットに使用するモノフィラメントは不織布用糸に
くらべて太くて強いので、比較的容易に紡糸できる。糸
径は細い方が出来あがりのネットが薄くなり、プリーツ
加工しやすい。一方細いと紡糸が難しくなり,また出来
あがったネットの強度も低下する。従って従来好ましい
フィラメント径は60μm〜200μmであり、本発明
では特に60μm〜120μmである。目の開きは、開
きすぎるとネットが小さな力で変形しやすくなるので、
プリーツが難しくなる。一方目が狭いと液体の透過性が
悪くなり、できたフィルターカートリッジの流量が少な
くなる。従って目の開きは50メッシュ〜300メッシ
ュが従来から好ましいとされ、本発明では50メッシュ
〜120メッシュが軽くなるので特に好ましい。
【0019】プリーツひだの幅は通常5mm〜25mm
になるようにプリーツする。本発明では気泡を放出しや
すくするために、5mm〜12mmにするのが好まし
い。特に7mm〜10.5mmにすることが好ましい。
エンドシール工程はエンドプレート材質によって方法が
いくつかあるが、いずれも従来知られた公知技術によっ
て行われる。エンドプレートに熱硬化性のエポキシ樹脂
を使用する時は、ポッティング型中に調合したエポキシ
樹脂接着剤の液体を流し込み、予備硬化させて接着剤の
粘度が適度に高くなってから、円筒状ろ材の片端面をこ
のエポキシ接着剤中に挿入する。その後加熱して完全に
硬化させる。エンドプレートの材質がポリプロピレンや
ポリエステルの如き熱可塑性樹脂の時は、熱溶融した樹
脂を型に流し込んだ直後に円筒状ろ材の片端面を樹脂の
中に挿入する方法が行われる。一方、既に成型されたエ
ンドプレートのシール面のみを熱板に接触させたり赤外
線ヒーターを照射したりしてプレート表面だけを溶融
し、円筒状ろ材の片端面をプレートの溶融面に押しつけ
て溶着する方法も行われる。
【0020】フィルターからの溶出物量を減らすため
に、できたカートリッジフィルターは純水を用いて通水
洗浄を行う。通水流量はカートリッジフィルターに収容
されているろ過膜面積1m2当たり毎時0.1m3〜1m
3、好ましくは0.2m3〜0.6m3で、洗浄時間は1
分〜10分、好ましくは2分〜4分である。純水の水温
は5℃〜80℃の範囲が使用できるが、高いほうが洗浄
時間を短くできる一方、作業性が悪くなる。従って好ま
しい水温の範囲は20℃〜45℃である。この通水洗浄
を適度に行うことにより、エンドプレート溶着部分以外
の余分に塗布された濡れ剤を除去する。通水洗浄が不足
すると、ろ過に使用する時、ろ液に濡れ剤が溶け出しろ
液を汚してしまう。徹底的に洗浄しすぎると、エンドプ
レートに溶着されている部分まで濡れ剤を洗い落として
しまい、フィルターカートリッジが水に濡れにくくな
り、ろ過前の完全性試験の実施ができなくなる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこの実施例の内容に限定されるものでは
ない。 (実施例1) 1.精密ろ過膜の製造 ポリスルホン(アモコ社製 P−3500)15部、N
−メチル−2−ピロリドン70部、ポリビニルピロリド
ン15部、塩化リチウム2部、水1.3部を均一に溶解
して製膜原液を作成する。これを製品厚さが180μm
になるように流延し、温度25℃、相対湿度50%、風
速1.0m/秒の空気を8秒間流延した液膜表面に当
て、直ちに25℃の水を満たした凝固浴中へ浸漬し微孔
性膜(平均孔径0.8μm、空隙率82%)を得た。こ
の膜の水によるバブルポイントは150kPaであっ
た。本膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、
膜内部に最小孔径層を有する異方性孔構造が観察され
た。
【0022】2.膜端部濡れ剤塗布 上記1で製膜した精密ろ過膜の幅方向両端部各10mm
幅にメチルセルローズの0.5%水溶液を塗布した。塗
布はビニルチューブの先端に細長いフェルトを挿入し、
フェルトの先端部はチューブから約1cm顔を出してい
る。フェルトの顔を出している部分をろ過膜に軽く接触
させ、無脈動ポンプでフェルトに毎分2.5mlの流量
で液を送った。使用したメチルセルローズは和光純薬製
のCP25である。本膜を乾燥したのち、塗布位置のほ
ぼ中央位置でろ過膜両端を裁断し、膜幅240mmで巻
き取った。
【0023】3.膜端部濡れ剤塗布 上記1で製膜した精密ろ過膜の幅方向両端部各10mm
幅にポリビニルピロリドンK−25の3.5%水溶液を
塗布した。塗布はビニルチューブの先端に細長いフェル
トを挿入し、フェルトの先端部はチューブから約1cm
顔を出している。フェルトの顔を出している部分をろ過
膜に軽く接触させ、無脈動ポンプでフェルトに毎分2.
5mlの流量で液を送った。本膜を乾燥したのち、塗布
位置のほぼ中央位置でろ過膜両端を裁断し、膜幅240
mmで巻き取った。
【0024】4.カートリッジ化 PP不織布2枚の間に上記2及び3で製造した膜を挟ん
で、ひだ幅10mmにプリーツし、その145山分のひ
だをとって円筒状に丸め、その合わせ目をインパルスシ
ーラーで溶着する。円筒の両端5mmづつを切り落と
し、その切断面をポリプロピレン性のエンドプレートに
熱溶着して、フィルターカートリッジに仕上げた。この
フィルターカートリッジを25℃の純水をろ過しながら
4分間洗浄し、その後70℃で14時間乾燥した。この
フィルターカートリッジに160l/hの流量で15分
間水を透過させ、その後このカートリッジフィルターに
100kPaの空気圧を負荷した状態で空気の透過量を
測定したところ、上記2の膜を使用したフィルターも上
記3の膜を使用したフィルターも空気透過量は8ml/
分以下で、これらのフィルターカートリッジの水濡れ性
は良好であった。
【0025】(比較例1)PP不織布2枚の間に実施例
1で製造した膜を挟んで、ひだ幅10mmにプリーツ
し、その145山分のひだをとって円筒状に丸め、その
合わせ目をインパルスシーラーで溶着する。円筒の両端
5mmづつを切り落とし、その切断面をポリプロピレン
性のエンドプレートに熱溶着して、フィルターカートリ
ッジに仕上げた。このフィルターカートリッジに160
l/hの流量で15分間水を透過させ、その後このフィ
ルターカートリッジに100kPaの空気圧を負荷した
状態で空気の透過量を測定したところ、空気透過量は1
00ml/min以上で、これらのフィルターカートリ
ッジの水濡れ性はきわめて悪かった。
【0026】
【発明の効果】本発明の実施により、ポリスルホン精密
ろ過膜カートリッジフィルターを極めて容易に水に濡ら
すことができる。その結果フィルターの完全性を容易に
且つ高精度に測定でき、従ってより信頼性の高いろ過を
行うことができる。特に膜の両表面の孔径が膜内部の最
小孔径層の孔径の2倍以上である異方性構造膜カートリ
ッジフィルターにおいて効果が著しい。またカートリッ
ジフィルターからろ液への溶出も少なくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的なプリーツ型カートリッジフィルター
の構造を表す。
【図2】 本発明の実施態様におけるエンドシール部付
近の構造を表す。
【符号の説明】
1. 外周カバー 2. 膜サポート 3. 精密ろ過膜 4. 膜サポート 5. コアー 6a、6b. エンドプレート 7. ガスケット 8. 液体出口 12. 膜サポート 13. 精密ろ過膜 14. 膜サポート 17. エンドプレート

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精密ろ過膜シートを複数のサポート材の
    間に挟んでひだ折り加工し、円筒状に丸めたそのシート
    の合わせ目を液密にシールし、さらにその円筒の両端を
    もエンドプレートで液密に溶着シールしてできるプリー
    ツ型カートリッジフィルターにおいて、(1)精密ろ過
    膜の両端部のみに濡れ剤を塗布し、且つ(2)カートリ
    ッジに組立後、エンドプレート溶着部以外の余分に塗布
    された濡れ剤を実質的に除去してあることを特徴とする
    精密ろ過膜カートリッジフィルター。
  2. 【請求項2】 精密ろ過膜の両端に塗布する濡れ剤がポ
    リビニルピロリドン、エチルセルローズ、ヒドロキシエ
    チルセルローズ、メチルセルローズ、ヒドロキシメチル
    セルローズ、及びこれらの誘導体から選ばれたものであ
    る請求項1に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルタ
    ー。
  3. 【請求項3】 精密ろ過膜の両端に塗布する濡れ剤が、
    アルキルスルホン酸塩あるいは蔗糖脂肪酸エステルから
    なる界面活性剤から選ばれたものである請求項1または
    2に記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
  4. 【請求項4】 精密ろ過膜が親水性且つ膜厚さ方向内部
    に最小孔径層を有することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
  5. 【請求項5】 精密ろ過膜のバブルポイントが50kP
    aから1MPaの範囲である請求項1〜4のいずれかに
    請求項3記載の精密ろ過膜カートリッジフィルター。
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