JP2003245530A - 分離膜 - Google Patents
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Abstract
側への到達を防ぐことができ、分離機能膜と多孔性支持
体との接着性が高く、さらに薄膜化が可能な分離膜を提
供する。 【解決手段】裏側が粗い多孔性支持体の表側表面上に分
離機能膜が形成され、かつ、前記分離機能膜は前記多孔
性支持体の内部にまで延在している分離膜。
Description
方の面に分離機能膜を形成した分離膜に関するものであ
る。本発明の分離膜は、ナノろ過分離や逆浸透分離に用
いられる。
られる分離膜は、多孔性支持体上に、製膜原液を塗布し
て分離機能膜を形成することにより製造される。
の一方の面のみに分離機能膜を設けるものと、多孔性支
持体の両面に分離機能膜を設けるものとに分類される。
両者とも一長一短があり、一般に前者は分離機能膜と多
孔性支持体との接着性が弱いため分離機能膜が剥がれや
すく、後者は膜厚が大きくなるためエレメント、モジュ
ールとしての分離・除去性能が低下するなどの問題があ
る。近年は、分離膜を用いたモジュールにおける膜面積
の増加が望まれている。分離膜の膜厚が小さいほど、体
積あたりの膜面積を大きくできるため、薄膜化しやすい
前者の分離膜が主流となってきている。
を設けた分離膜においては、製膜原液を多孔性支持体へ
十分に浸透させることで、分離機能膜と多孔性支持体の
接着性を向上させることができる。しかしながら、製膜
原液を過剰に浸透させると、多孔性支持体の裏側表面ま
で製膜原液が到達してしまう。裏側に抜けた製膜原液
は、製膜装置を汚して後に製造される分離膜の欠点の原
因となったり、また、分離膜の巻取時に隣接する分離膜
の表面状態を悪化させる原因となるなどの問題を引き起
こす。
公平4−21526号公報に、製膜原液を塗布する多孔
性支持体として、粗度の大きい表層と緻密な構造の裏層
とを有する二層構造の多孔性支持体を用いる発明が開示
されている。この方法では、表層に製膜原液を十分に浸
透させることにより、分離機能膜と多孔性支持体の接着
性を向上させつつ、緻密な裏層により製膜原液が多孔性
支持体の裏側表面に到達することを防止する。
体の厚さが増大し、近年望まれている分離膜の薄膜化を
十分に達成することができない。
おける製膜原液の多孔性支持体裏面側への到達を防ぐこ
とができ、分離機能膜と多孔性支持体との接着性が高
く、さらに薄膜化が可能な分離膜を提供することを目的
とするものである。
粗い多孔性支持体の表側表面上に分離機能膜が形成さ
れ、かつ、前記分離機能膜は前記多孔性支持体の内部に
まで延在している分離膜によって達成される。
表面には多数の凹部が形成され、かつ、前記分離機能膜
は、前記多孔性支持体の裏側表面の凹部にまで延在し、
その凹部に係着されていることが好ましい。
表面から全厚さの50%までの領域の平均密度が、多孔
性支持体の表側表面から全厚さの50%までの領域の平
均密度に対して5〜90%の範囲内であることが好まし
い。
流路材と共に集水管の周囲にスパイラル状に巻囲した流
体分離素子も本発明に含まれる。また、該流体分離素子
を圧力容器に収納してなる流体分離膜モジュールも本発
明に含まれる。
の形態を説明する。図1、図2および図3は、本発明の
実施態様を示す分離膜の断面図である。図5は本発明の
多孔性支持体として用いられる不織布の一例を示す断面
写真である。図6は従来の分離膜の多孔性支持体として
用いられる不織布の一例を示す断面写真である。図4
は、本発明の分離膜を用いた流体分離素子の一部展開斜
視図である。
離機能膜が形成され、かつ、前記分離機能膜は前記多孔
性支持体の内部にまで延在している。このような分離膜
は、逆浸透分離やナノろ過等に好適に用いられる。
性の基材であり、分離膜の強度を向上させる機能があ
る。分離機能膜は、分離機能を有する膜であり、非対称
膜と複合膜があげられる。
リプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等を素材とす
る織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性およ
びコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布は、
例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維
を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することに
より製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を
向上させたり等の目的で、不織布を2本のロール挟んで
圧熱加工を施すことも好ましい。
膜である。非対象膜は、多孔性支持体の上に分離機能膜
の製膜液を流延し、製膜することによって製造される。
このような分離機能膜の材料としては、ポリアクリロニ
トリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフ
ェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホ
ン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等を用いることができる。
離をつかさどる膜とからなる分離機能膜である。複合膜
は、多孔性支持体の上に、まず微多孔性支持膜を形成
し、次に該微多孔性支持膜の上に実質的に膜分離をつか
さどる膜を形成することによって製造される。このよう
な微多孔性支持膜の材料としては、たとえば、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィ
ドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレン
オキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリ
ロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミドな
どが挙げられる。実質的に膜分離をつかさどる膜として
は、たとえば、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロー
スなどの半透膜が挙げられる。微多孔性支持膜および実
質的に膜分離をつかさどる膜の各々に種々の素材を選択
することが可能であり、製膜技術も種々の方法を選択で
きる。
膜1において、多孔性支持体2の表側表面2aに分離機
能膜1aが形成され、かつ、分離機能膜1aは多孔性支
持体2の内部にまで延在している。このような分離膜1
は、多孔性支持体2の表側表面2aに分離機能膜の製膜
原液を塗布し、固化させることにより得られる。
2eを通って多孔性支持体2の内部に浸透し、固化す
る。これによって、分離機能膜1aは多孔性支持体2の
内部にまで延在するようになり、分離機能膜1aと多孔
性支持体2の接着性が高くなる。製膜原液の浸透が少な
いと、分離機能膜1aと多孔性支持体2の接着性が低く
なり、はがれやすくなる。一方、製膜原液の浸透が多い
と、両者の接着性は高くなる。しかし、製膜原液の浸透
が多すぎると、裏側表面2bに製膜原液が到達してしま
う。そのため、製膜原液が製膜装置を汚して、後に製造
される分離膜に欠点を生じさせる原因となる。また、巻
囲時など分離膜を重ね合わせたときに、裏側表面に到達
して固化した製膜原液が隣接する分離膜の膜表面を損傷
し、欠点を生じさせる原因となる。特に、分離膜の薄膜
化のために、多孔性支持体を薄くすると、これらの問題
を生じやすくなる。
が粗い多孔性支持体を用いる。ここで、裏側が粗い多孔
性支持体の一態様は、図1に示すように裏側表面2bに
多数の凹部2dが形成されたものである。
側表面2bに多数の凹部2dが分散形成されており、分
離機能膜1aは、多孔性支持体2の裏側表面2bの凹部
2dまで延在し、その凹部2dに係着されている。ここ
で、「裏側表面の凹部にまで延在し、その凹部に係着さ
れている」とは、製膜原液が凹部2dには到達している
が、裏側の最外表面となる凸面2cには到達しないで固
化した状態をいう。
多孔性支持体2の孔部2eを通って裏側表面2bの凹部
2dにまで浸透して固化する。製膜原液は、凹部2dに
到達すると、図1に示すように、横方向に広がるので、
凸面2cには到達しにくくなる。
周辺の多孔性支持体2の凸面2cよりも窪んだ状態とな
る。したがって、裏側表面に到達して固化した製膜原液
が分離膜に欠点を生じさせることを防止できる。さら
に、凹部2d内で固化した製造原液は、アンカー部1b
を形成し、凹部2dに係着する。したがって、多孔性支
持体2と分離機能膜1aとの接着性が高くなる。
明に用いる多孔性支持体は、裏側表面が粗くなっていれ
ば、図2に示すように、表側表面にも凹部が形成されて
いてもよい。ただし、表側と裏側の両方に凹部を形成す
ると、多孔性支持体の強度が低くなり、ひいては分離膜
の強度が低くなる傾向がある。したがって、多孔性支持
体の表側表面は平滑である方が好ましい。
様は、図3に示すように裏側表面に明確な凹部が形成さ
れておらず、裏側の密度が表側の密度に比べて低くなっ
たものである。このような態様でも、上記の凹部を形成
した場合と同じ効果が得られる。
れた製膜原液は、孔部2eを通って、裏側の密度が低い
層2f(以下、粗層と呼ぶ)にまで浸透して固化する。
製膜原液は、粗層2fに到達すると、図3に示すよう
に、横方向に広がるので、裏側表面2bまで到達しにく
くなる。したがって、裏側表面に到達して固化した製膜
原液が分離膜に欠点を生じさせることを防止できる。
は、アンカー部1bを形成し、粗層2fに係着する。し
たがって、多孔性支持体2と分離機能膜1aとの接着性
が高くなる。
面から全厚さの50%までの領域(以下、裏側領域とよ
ぶ)の平均密度が、多孔性支持体の表側表面から全厚さ
の50%までの領域(以下、表側領域とよぶ)の平均密
度に対して5〜90%の範囲内であることが重要であ
る。裏側領域の平均密度が、表側領域の平均密度に対し
て90%以下であることにより、裏側表面に到達して固
化した製膜原液が分離膜に欠点を生じさせることを防止
できる。裏側領域の平均密度は、表側領域の平均密度に
対して80%以下がより好ましく、70%以下がさらに
好ましい。また、裏側領域の平均密度が、表側領域の平
均密度に対し5%以上であることにより、分離膜の強度
を高くできる。裏側領域の平均密度は、表側領域の平均
密度に対して15%以上がより好ましく、30%以上が
さらに好ましい。
し、断面を光学顕微鏡等で拡大撮影した測定領域内に占
める多孔性支持体の断面積の割合、すなわち、多孔性支
持体の断面積を測定領域の面積で割った値、を平均密度
と定義する。平均密度の測定方法の詳細については後述
する。
面から全厚みの50%までの領域、すなわち裏側領域、
にまで延在していることが好ましい。ここで、裏側領域
にまで延在しているとは、製膜原液が、裏側領域にまで
到達しているが、裏側表面2bには到達しないで固化し
た状態をいう。分離機能膜が多孔性支持体の裏側領域に
まで延在していることにより、多孔性支持体2と分離機
能膜1aとの接着性が高くなる。
いものを用いる。このような多孔性支持体の製造方法
は、特に限定されないが、多孔性支持体を圧熱加工する
方法が好ましい。また、不織布を用いる場合には、不織
布製造時の圧熱加工により裏側を粗く加工することが、
生産性およびコスト面から好ましい。
ダー加工があげられる。カレンダー加工を用いる場合
は、多孔性支持体をはさむ2本のロールの表面温度と、
これらのロールの挟着力と、多孔性支持体の移送速度、
すなわち、押圧時間とを調節することにより、多孔性支
持体の平滑度を制御できる。ロールの表面温度が高く、
ロールとの接触時間が長いほど、多孔性支持体の表面は
平滑になる。逆に、ロールの表面温度が低く、ロールと
の接触時間が短いほど、多孔性支持体の表面は粗くな
る。すなわち、多孔性支持体の裏側表面に接触するロー
ルの温度を表側表面に接触するロールの温度よりも低く
するか、または、多孔性支持体の裏側表面とロールとの
接触時間を表側表面との接触時間より短くすることによ
り、望ましい多孔性支持体が得られる。また、エンボス
加工を用いる場合は、多孔性支持体の裏側表面に、表面
に凹凸を設けたロールを接触させることにより、望まし
い多孔性支持体が得られる。
μmの範囲内にあることが好ましい。多孔性支持体の厚
さが40μmよりも薄いと、分離膜の強度が低くなる。
また、多孔性支持体の厚さが150μmを越えると、分
離膜の薄膜化が難しくなる。多孔性支持体の厚さは40
μm〜80μmの範囲内にあることがより好ましい。
119にしたがって測定した平滑度が1〜20sの範囲
内にあることが好ましい。多孔性支持体裏側表面の凹部
の深さを大きくし、製膜原液が凸面2cに到達せず、確
実に凹部2d内で固化するようにするためには、平滑度
は20s以下が好ましく、15s以下がより好ましく、
10s以下が最も好ましい。一方、多孔性支持体の平滑
度が低すぎると、膜厚を厚くしなければならず、また、
巻囲時など分離膜を重ね合わせたときに、多孔性支持体
裏側表面の凹凸が隣接する分離膜の膜表面を損傷するお
それがあるので、平滑度は1s以上が好ましく、3s以
上がより好ましく、5s以上が最も好ましい。
に、透過液流路材102を挟みこむように折り畳んで封
筒状膜104とし、その封筒状膜104と供給液流路材
106とを交互に積層して集水管105の周囲にスパイ
ラル状に巻囲して流体分離素子100として使用され
る。使用時の形態安定性を高めるため、流体分離素子1
00の軸方向端部には端板110が、外周にはフィラメ
ントワインディング層112が設けられている。
は、一方の軸方向端部から流入し、供給液流路材によっ
て形成された流路を通りながら分離膜1を透過し、透過
液流路材102によって形成された流路を通って集水管
に集められ、他方の軸方向端部から透過液109として
取り出される。分離膜1を透過しなかった原液107
は、濃縮液108として取り出される。このような流体
分離素子は、圧力容器に収納され流体分離膜モジュール
として用いられる。
下のように測定した。直径16.0mm以上の固定加圧
面および垂直に稼動する直径16.0mmの可動加圧面
からなる二つの平行な円形の加圧面を持つマイクロメー
タを使用した。マイクロメータを防振性の水平面上に置
き、測定試料をマイクロメータの加圧面の間に入れた。
可動加圧面を3mm/s以下の速度で操作し、加圧面間
の圧力を100kPaとした。測定試料が加圧面間で保
持されていることを確認し、安定直後に値を読み取っ
た。20ヶ所測定し、平均値を厚さとした。 <平均密度の測定方法>表面と垂直に多孔性支持体を切
断し、断面を光学顕微鏡で倍率700倍で撮影した。撮
影した写真から、多孔性支持体の画像をトレースにより
普通紙に複写した。画像において、多孔性支持体の表側
表面と裏側表面を平行な2本の直線ではさんだ。表側表
面と裏側表面を示す2本の平行線は、それぞれ表側表面
と裏側表面の最も突出した部分に接するように引いた。
次に、表側表面と裏側表面を示す2本の平行線と垂直
に、かつ、間隔が、表側表面と裏側表面を示す2本の平
行線の間隔の3倍となるように2本の平行線を引いた。
これらの4本の直線に囲まれた矩形の領域を測定領域と
した。ここで表側表面と裏側表面を示す平行線の間隔を
多孔性支持体の全厚さとした。
本の平行線のちょうど真ん中に、表面に平行な直線、す
なわち中心線、を引いた。測定領域のうち、表側表面か
ら中心線までの領域を「表側表面から全厚さの50%ま
での領域」、すなわち「表側領域」と定義した。また、
裏側表面から中心線までの領域を「裏側表面から全厚さ
の50%までの領域」、すなわち「裏側領域」と定義し
た。
支持体の断面積の割合を、領域全体の面積で割った比率
を、表側領域の平均密度とした。
る多孔性支持体の断面積の割合を、領域全体の面積で割
った比率を、裏側領域の平均密度とした。 <平滑度の測定方法>JIS P8119にしたがって
以下のように測定した。真空容器につながる円孔を中央
に持ち、外径37.4mm±0.05mm、有効平面積
10cm2±0.05cm2、光学的平面仕上げを施した
リング状のガラス面上に多孔性支持体の試験片を置い
た。該試験片の上に直径45mm以上、厚さ4mm±
0.2mm、最大厚さ変化±0.05mm、ISO48
による硬さが40IRHD±5IRHD、ISO466
2による反発弾性が62%以上の円形ゴム製押さえ板、
および、直径45mm以上の円形の平らな面を持ち、加
圧装置に取り付けられた金属製の加圧板を置き、該加圧
板に加圧装置によって100kPaの圧力をかけて、試
験片をガラス面に押さえつけた。前記真空容器内の圧力
を50.7kPaより低くした後、静置すると、ガラス
面と試験片の接触面の間から空気が吸い込まれることに
より、真空容器内の圧力が徐々に上昇する。真空容器内
の圧力が50.7kPaから48.0kPaに変化する
までの時間を測定し、この時間を平滑度とした。 <分離機能膜と多孔性支持体との接着性の測定方法>幅
15mmの試料を作成し、測定接着面の一部を剥がし、
測定長さ150mmで引張試験機にT状態にセットし
た。25℃、65%相対湿度において、毎分50mmの
速度で引張試験を行い、測定長さ間の引張り力の平均値
を剥離強度とした。 <実施例1>多孔性支持体として、カレンダー加工に際
して、裏側のロールの温度を表側よりも低くして、表側
表面の平滑度を21s、裏側表面の平滑度を7sに調節
したポリエステル製不織布(坪量60g/m2、厚さ8
0μm、幅250mm)を用いた。分離機能膜の素材と
して、ポリスルフォン(ソルベイ アドバンスト ポリ
マーズ株式会社のUdel(登録商標)P−3500)
を用いた。このポリスルフォンをジメチルホルムアミド
に溶解したポリスルフォン溶液(濃度16重量%、温度
20℃)を製膜原液として用いた。この製膜原液を前記
の不織布の表側に塗布幅200mm、塗布厚さ200μ
mで塗布した。このとき、ポリスルホン溶液を塗布しな
い不織布の裏側にはドラムを配置し、不織布が搬送され
るようにした。
塗布後0.5秒後に20℃の純水に浸し、ポリスルホン
を凝固させて、微多孔性ポリスルホン膜と不織布の複合
膜を得た。該複合膜を水洗槽にて水洗し、膜中に残留し
た溶媒を除去した後、巻取装置にて巻き取った。得られ
た複合膜をm−フェニレンジアミンの2重量%水溶液に
1分間浸漬した。ポリスルホン膜表面から余分な該水溶
液を取り除いた後、熱風乾燥機で80℃、1分間の条件
で、水溶液の濃縮を行った。引き続いて、該ポリスルホ
ン膜にトリメシン酸クロライドの0.1重量%n−デカ
ン溶液を表面が完全に濡れるようにコーティングした
後、1分間静置することにより、ポリスルホン膜の上
に、実質的に膜分離をつかさどるポリアミド膜を形成
し、分離膜(厚さ170μm)を得た。
原液による汚れは全くなかった。巻取後の分離膜表面に
肉眼で観察しうる欠点はなく、極めて良好な膜面状態で
あった。さらに、分離膜の断面を光学顕微鏡で観察した
ところ、不織布の裏側表面には凹部が観測された。ま
た、ポリスルホン膜は、不織布の裏側表面付近まで延在
しており、凹部に係着していた。この分離膜における分
離機能膜と多孔性支持体との接着性を測定したところ、
19.6N/mであり、分離膜として十分であることが
確認できた。 <実施例2>多孔性支持体として、カレンダー加工に際
して、裏側のロールの温度を表側よりも低くして、表側
表面の平滑度を20s、裏側表面の平滑度を16sに調
節したポリエステル製不織布(坪量84g/m2、厚さ
95μm、幅250mm)を用いた以外は実施例1と同
様にして分離膜(厚さ175μm)を得た。
原液による汚れはほとんどなかった。巻取後の分離膜表
面に肉眼で観察しうる欠点はわずかであり、実用上問題
ない程度であった。さらに、分離膜の断面を光学顕微鏡
で観察したところ、不織布の裏側表面には凹部が観測さ
れた。また、ポリスルホン膜は、不織布の裏側表面付近
まで延在しており、凹部に係着していた。この分離膜に
おける分離機能膜と多孔性支持体との接着性を測定した
ところ、22.9N/mであり、分離膜として十分であ
ることが確認できた。 <実施例3>多孔性支持体として、カレンダー加工に際
して、裏側のロールの温度を表側よりも低くして、表側
領域の平均密度が69%、裏側領域の平均密度が45
%、すなわち、表側領域の平均密度に対する裏側領域の
平均密度が66%に調節したポリエステル製不織布(坪
量65g/m2、厚さ72μm、幅250mm、図5を
参照)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜(厚
さ130μm)を得た。該ポリエステル製不織布の表側
表面の平滑度は10s、裏側表面の平滑度は5sであっ
た。
原液による汚れは全くなかった。巻取後の分離膜表面に
肉眼で観察しうる欠点はなく、極めて良好な膜面状態で
あった。さらに、分離膜の断面を光学顕微鏡で観察した
ところ、不織布の裏側表面には凹部が観測された。ま
た、ポリスルホン膜裏面付近まで延在しており、凹部に
係着していた。この分離膜における分離機能膜と多孔性
支持体との接着性を測定したところ、19.6N/mで
あり、分離膜として十分であることが確認できた。 <比較例1>多孔性支持体として、カレンダー加工に際
して、裏側のロールの温度を表側よりも高くして、表側
表面の平滑度を7s、裏側表面の平滑度を21sに調節
した、裏側が平滑なポリエステル製不織布(坪量60g
/m2、厚さ80μm、幅250mm)を用いた以外は
実施例1と同様にして分離膜(厚さ170μm)を得
た。
液による汚れがみられた。すなわち、製膜原液は、不織
布の裏側表面まで到達していた。巻取後の分離膜表面に
は、隣接する多孔性支持体の裏側へ抜けた分離膜との接
触による欠点が肉眼で観測された。この分離膜における
分離機能膜と多孔性支持体との分離膜の接着性を測定し
たところ、22.9N/mであった。 <比較例2>多孔性支持体として、カレンダー加工に際
して、裏側のロールの温度を表側よりも高くして、表側
領域の平均密度が45%、裏側領域の平均密度が69
%、すなわち、表側領域の平均密度に対する裏側領域の
平均密度が152%に調節した、裏側が平滑なポリエス
テル製不織布(坪量65g/m2、厚さ72μm、幅2
50mm)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜
(厚さ130μm)を得た。
液による汚れがみられた。すなわち、製膜原液は、不織
布の裏側表面まで到達していた。巻取後の分離膜表面に
は、隣接する多孔性支持体の裏側へ抜けた分離膜との接
触による欠点が肉眼で観測された。この分離膜における
分離機能膜と多孔性支持体との接着性を測定したとこ
ろ、22.9N/mであった。
膜原液の多孔性支持体裏側表面への到達を防ぎつつ、分
離機能膜と多孔性支持体との接着性を高くできる。その
ため、製膜装置を清潔に保つことが可能になり、製膜装
置のメンテナンス性が良好となる。さらに、分離膜巻取
工程等において、隣接する分離膜の表面を傷つけること
を防止できることにより、分離膜の欠点の発生を防止で
きる。これにより、高機能の分離膜をより安価に提供す
ることができる。また、本発明の分離膜は薄膜化が可能
となるので、本発明の分離膜を用いた流体分離素子やモ
ジュールは、充填膜面積を増大することができる。本発
明の分離膜は、ナノろ過分離や逆浸透分離に好適に用い
られる。
る。
である。
である。
開斜視図である。
る不織布の一例を示す断面写真である。
不織布の一例を示す断面写真である。
Claims (12)
- 【請求項1】裏側が粗い多孔性支持体の表側表面上に分
離機能膜が形成され、かつ、前記分離機能膜は前記多孔
性支持体の内部にまで延在している分離膜。 - 【請求項2】多孔性支持体の裏側表面には多数の凹部が
形成され、かつ、前記分離機能膜は、前記多孔性支持体
の裏側表面の凹部にまで延在し、その凹部に係着されて
いる請求項1に記載の分離膜。 - 【請求項3】多孔性支持体の裏側表面から全厚さの50
%までの領域の平均密度が、多孔性支持体の表側表面か
ら全厚さの50%までの領域の平均密度に対して5〜9
0%の範囲内である請求項1または2に記載の分離膜。 - 【請求項4】分離機能膜は、多孔性支持体の裏側表面か
ら全厚さの50%までの領域にまで延在している請求項
1〜3のいずれかに記載の分離膜。 - 【請求項5】多孔性支持体が、圧熱加工されている、請
求項1〜4のいずれかに記載の分離膜。 - 【請求項6】多孔性支持体が不織布である、請求項1〜
5のいずれかに記載の分離膜。 - 【請求項7】多孔性支持体の裏側表面は、JIS P8
119にしたがって測定した平滑度が1〜20sの範囲
内にある、請求項1〜6のいずれかに記載の分離膜。 - 【請求項8】多孔性支持体の裏側表面は、JIS P8
119にしたがって測定した平滑度が5〜20sの範囲
内にある、請求項7に記載の分離膜。 - 【請求項9】多孔性支持体の厚さが40μm〜150μ
mの範囲内にある、請求項1〜8のいずれかに記載の分
離膜。 - 【請求項10】多孔性支持体の厚さが40μm〜80μ
mの範囲内にある、請求項9に記載の分離膜。 - 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の分離
膜を、透過液流路材および原液流路材と共に集水管の周
囲にスパイラル状に巻囲した流体分離素子。 - 【請求項12】請求項11に記載の流体分離素子を圧力
容器に収納してなる流体分離膜モジュール。
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