JP4442088B2 - 分離膜 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔性支持体の一方の面に分離機能膜を形成した分離膜に関するものである。本発明の分離膜は、ナノろ過分離や逆浸透分離に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
通常、ナノろ過分離や逆浸透分離に用いられる分離膜は、多孔性支持体上に、製膜原液を塗布して分離機能膜を形成することにより製造される。
【0003】
このような分離膜としては、多孔性支持体の一方の面のみに分離機能膜を設けるものと、多孔性支持体の両面に分離機能膜を設けるものとに分類される。両者とも一長一短があり、一般に前者は分離機能膜と多孔性支持体との接着性が弱いため分離機能膜が剥がれやすく、後者は膜厚が大きくなるためエレメント、モジュールとしての分離・除去性能が低下するなどの問題がある。近年は、分離膜を用いたモジュールにおける膜面積の増加が望まれている。分離膜の膜厚が小さいほど、体積あたりの膜面積を大きくできるため、薄膜化しやすい前者の分離膜が主流となってきている。
【0004】
多孔性支持体の一方の面のみに分離機能膜を設けた分離膜においては、製膜原液を多孔性支持体へ十分に浸透させることで、分離機能膜と多孔性支持体の接着性を向上させることができる。しかしながら、製膜原液を過剰に浸透させると、多孔性支持体の裏側表面まで製膜原液が到達してしまう。裏側に抜けた製膜原液は、製膜装置を汚して後に製造される分離膜の欠点の原因となったり、また、分離膜の巻取時に隣接する分離膜の表面状態を悪化させる原因となるなどの問題を引き起こす。
【0005】
これらの問題を解決する方法としては、特公平4−21526号公報に、製膜原液を塗布する多孔性支持体として、粗度の大きい表層と緻密な構造の裏層とを有する二層構造の多孔性支持体を用いる発明が開示されている。この方法では、表層に製膜原液を十分に浸透させることにより、分離機能膜と多孔性支持体の接着性を向上させつつ、緻密な裏層により製膜原液が多孔性支持体の裏側表面に到達することを防止する。
【0006】
しかしながら、この方法では、多孔性支持体の厚さが増大し、近年望まれている分離膜の薄膜化を十分に達成することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、製膜工程における製膜原液の多孔性支持体裏面側への到達を防ぐことができ、分離機能膜と多孔性支持体との接着性が高く、さらに薄膜化が可能な分離膜を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、裏側が粗い多孔性支持体の表側表面上に分離機能膜が形成され、かつ、前記分離機能膜は前記多孔性支持体の内部にまで延在している分離膜によって達成される。
【0009】
また、上記において、多孔性支持体は織布、不織布、またはネットであり、多孔性支持体の裏側表面には多数の凹部が形成され、かつ、前記分離機能膜は、前記多孔性支持体の裏側表面の凹部にまで延在し、その凹部に係着されていることが好ましい。上記において、多孔性支持体は織布、不織布、またはネットであり、多孔性支持体の裏側の密度が表側の密度に比べて低いことも好ましい。
【0010】
また、上記において、多孔性支持体の裏側表面から全厚さの50%までの領域の平均密度が、多孔性支持体の表側表面から全厚さの50%までの領域の平均密度に対して5〜90%の範囲内であることが好ましい。
【0011】
上記の分離膜を、透過液流路材および原液流路材と共に集水管の周囲にスパイラル状に巻囲した流体分離素子も本発明に含まれる。また、該流体分離素子を圧力容器に収納してなる流体分離膜モジュールも本発明に含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1、図2および図3は、本発明の実施態様を示す分離膜の断面図である。図5は本発明の多孔性支持体として用いられる不織布の一例を示す断面写真である。図6は従来の分離膜の多孔性支持体として用いられる不織布の一例を示す断面写真である。図4は、本発明の分離膜を用いた流体分離素子の一部展開斜視図である。
【0013】
本発明の分離膜は、多孔性支持体の上に分離機能膜が形成され、かつ、前記分離機能膜は前記多孔性支持体の内部にまで延在している。このような分離膜は、逆浸透分離やナノろ過等に好適に用いられる。
【0014】
多孔性支持体は、分離機能を有さない多孔性の基材であり、分離膜の強度を向上させる機能がある。分離機能膜は、分離機能を有する膜であり、非対称膜と複合膜があげられる。
【0015】
多孔性支持体としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド等を素材とする織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性およびコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたり等の目的で、不織布を2本のロール挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
【0016】
非対称膜は、単一の素材からなる分離機能膜である。非対象膜は、多孔性支持体の上に分離機能膜の製膜液を流延し、製膜することによって製造される。このような分離機能膜の材料としては、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。
【0017】
複合膜は、微多孔性支持膜と実質的に膜分離をつかさどる膜とからなる分離機能膜である。複合膜は、多孔性支持体の上に、まず微多孔性支持膜を形成し、次に該微多孔性支持膜の上に実質的に膜分離をつかさどる膜を形成することによって製造される。このような微多孔性支持膜の材料としては、たとえば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミドなどが挙げられる。実質的に膜分離をつかさどる膜としては、たとえば、ポリアミド、ポリイミド、酢酸セルロースなどの半透膜が挙げられる。微多孔性支持膜および実質的に膜分離をつかさどる膜の各々に種々の素材を選択することが可能であり、製膜技術も種々の方法を選択できる。
【0018】
図1に本発明の分離膜の一例を示す。分離膜1において、多孔性支持体2の表側表面2aに分離機能膜1aが形成され、かつ、分離機能膜1aは多孔性支持体2の内部にまで延在している。このような分離膜1は、多孔性支持体2の表側表面2aに分離機能膜の製膜原液を塗布し、固化させることにより得られる。
【0019】
この際、製膜原液は多孔性支持体2の孔部2eを通って多孔性支持体2の内部に浸透し、固化する。これによって、分離機能膜1aは多孔性支持体2の内部にまで延在するようになり、分離機能膜1aと多孔性支持体2の接着性が高くなる。製膜原液の浸透が少ないと、分離機能膜1aと多孔性支持体2の接着性が低くなり、はがれやすくなる。一方、製膜原液の浸透が多いと、両者の接着性は高くなる。しかし、製膜原液の浸透が多すぎると、裏側表面2bに製膜原液が到達してしまう。そのため、製膜原液が製膜装置を汚して、後に製造される分離膜に欠点を生じさせる原因となる。また、巻囲時など分離膜を重ね合わせたときに、裏側表面に到達して固化した製膜原液が隣接する分離膜の膜表面を損傷し、欠点を生じさせる原因となる。特に、分離膜の薄膜化のために、多孔性支持体を薄くすると、これらの問題を生じやすくなる。
【0020】
本発明では、多孔性支持体2として、裏側が粗い多孔性支持体を用いる。ここで、裏側が粗い多孔性支持体の一態様は、図1に示すように裏側表面2bに多数の凹部2dが形成されたものである。
【0021】
図1に示す態様では、多孔性支持体2の裏側表面2bに多数の凹部2dが分散形成されており、分離機能膜1aは、多孔性支持体2の裏側表面2bの凹部2dまで延在し、その凹部2dに係着されている。ここで、「裏側表面の凹部にまで延在し、その凹部に係着されている」とは、製膜原液が凹部2dには到達しているが、裏側の最外表面となる凸面2cには到達しないで固化した状態をいう。
【0022】
すなわち、表側に塗布された製膜原液は、多孔性支持体2の孔部2eを通って裏側表面2bの凹部2dにまで浸透して固化する。製膜原液は、凹部2dに到達すると、図1に示すように、横方向に広がるので、凸面2cには到達しにくくなる。
【0023】
また、凹部2d内で固化した製膜原液は、周辺の多孔性支持体2の凸面2cよりも窪んだ状態となる。したがって、裏側表面に到達して固化した製膜原液が分離膜に欠点を生じさせることを防止できる。さらに、凹部2d内で固化した製造原液は、アンカー部1bを形成し、凹部2dに係着する。したがって、多孔性支持体2と分離機能膜1aとの接着性が高くなる。
【0024】
図2に本発明の別の実施態様を示す。本発明に用いる多孔性支持体は、裏側表面が粗くなっていれば、図2に示すように、表側表面にも凹部が形成されていてもよい。ただし、表側と裏側の両方に凹部を形成すると、多孔性支持体の強度が低くなり、ひいては分離膜の強度が低くなる傾向がある。したがって、多孔性支持体の表側表面は平滑である方が好ましい。
【0025】
また、裏側が粗い多孔性支持体の別の一態様は、図3に示すように裏側表面に明確な凹部が形成されておらず、裏側の密度が表側の密度に比べて低くなったものである。このような態様でも、上記の凹部を形成した場合と同じ効果が得られる。
【0026】
すなわち、多孔性支持体2の表側に塗布された製膜原液は、孔部2eを通って、裏側の密度が低い層2f(以下、粗層と呼ぶ)にまで浸透して固化する。製膜原液は、粗層2fに到達すると、図3に示すように、横方向に広がるので、裏側表面2bまで到達しにくくなる。したがって、裏側表面に到達して固化した製膜原液が分離膜に欠点を生じさせることを防止できる。
【0027】
さらに、粗層2f内で固化した製造原液は、アンカー部1bを形成し、粗層2fに係着する。したがって、多孔性支持体2と分離機能膜1aとの接着性が高くなる。
【0028】
本発明においては、多孔性支持体の裏側表面から全厚さの50%までの領域(以下、裏側領域とよぶ)の平均密度が、多孔性支持体の表側表面から全厚さの50%までの領域(以下、表側領域とよぶ)の平均密度に対して5〜90%の範囲内であることが重要である。裏側領域の平均密度が、表側領域の平均密度に対して90%以下であることにより、裏側表面に到達して固化した製膜原液が分離膜に欠点を生じさせることを防止できる。裏側領域の平均密度は、表側領域の平均密度に対して80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。また、裏側領域の平均密度が、表側領域の平均密度に対し5%以上であることにより、分離膜の強度を高くできる。裏側領域の平均密度は、表側領域の平均密度に対して15%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。
【0029】
ここで、表面と垂直に多孔性支持体を切断し、断面を光学顕微鏡等で拡大撮影した測定領域内に占める多孔性支持体の断面積の割合、すなわち、多孔性支持体の断面積を測定領域の面積で割った値、を平均密度と定義する。平均密度の測定方法の詳細については後述する。
【0030】
また、分離機能膜は多孔性支持体の裏側表面から全厚みの50%までの領域、すなわち裏側領域、にまで延在していることが好ましい。ここで、裏側領域にまで延在しているとは、製膜原液が、裏側領域にまで到達しているが、裏側表面2bには到達しないで固化した状態をいう。分離機能膜が多孔性支持体の裏側領域にまで延在していることにより、多孔性支持体2と分離機能膜1aとの接着性が高くなる。
【0031】
本発明の多孔性支持体としては、裏側が粗いものを用いる。このような多孔性支持体の製造方法は、特に限定されないが、多孔性支持体を圧熱加工する方法が好ましい。また、不織布を用いる場合には、不織布製造時の圧熱加工により裏側を粗く加工することが、生産性およびコスト面から好ましい。
【0032】
圧熱加工としては、エンボス加工やカレンダー加工があげられる。カレンダー加工を用いる場合は、多孔性支持体をはさむ2本のロールの表面温度と、これらのロールの挟着力と、多孔性支持体の移送速度、すなわち、押圧時間とを調節することにより、多孔性支持体の平滑度を制御できる。ロールの表面温度が高く、ロールとの接触時間が長いほど、多孔性支持体の表面は平滑になる。逆に、ロールの表面温度が低く、ロールとの接触時間が短いほど、多孔性支持体の表面は粗くなる。すなわち、多孔性支持体の裏側表面に接触するロールの温度を表側表面に接触するロールの温度よりも低くするか、または、多孔性支持体の裏側表面とロールとの接触時間を表側表面との接触時間より短くすることにより、望ましい多孔性支持体が得られる。また、エンボス加工を用いる場合は、多孔性支持体の裏側表面に、表面に凹凸を設けたロールを接触させることにより、望ましい多孔性支持体が得られる。
【0033】
多孔性支持体の厚さは、40μm〜150μmの範囲内にあることが好ましい。多孔性支持体の厚さが40μmよりも薄いと、分離膜の強度が低くなる。また、多孔性支持体の厚さが150μmを越えると、分離膜の薄膜化が難しくなる。多孔性支持体の厚さは40μm〜80μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0034】
多孔性支持体の裏側表面は、JIS P8119にしたがって測定した平滑度が1〜20sの範囲内にあることが好ましい。多孔性支持体裏側表面の凹部の深さを大きくし、製膜原液が凸面2cに到達せず、確実に凹部2d内で固化するようにするためには、平滑度は20s以下が好ましく、15s以下がより好ましく、10s以下が最も好ましい。一方、多孔性支持体の平滑度が低すぎると、膜厚を厚くしなければならず、また、巻囲時など分離膜を重ね合わせたときに、多孔性支持体裏側表面の凹凸が隣接する分離膜の膜表面を損傷するおそれがあるので、平滑度は1s以上が好ましく、3s以上がより好ましく、5s以上が最も好ましい。
【0035】
上述のような分離膜は、図4に示すように、透過液流路材102を挟みこむように折り畳んで封筒状膜104とし、その封筒状膜104と供給液流路材106とを交互に積層して集水管105の周囲にスパイラル状に巻囲して流体分離素子100として使用される。使用時の形態安定性を高めるため、流体分離素子100の軸方向端部には端板110が、外周にはフィラメントワインディング層112が設けられている。
【0036】
この流体分離素子において、原液107は、一方の軸方向端部から流入し、供給液流路材によって形成された流路を通りながら分離膜1を透過し、透過液流路材102によって形成された流路を通って集水管に集められ、他方の軸方向端部から透過液109として取り出される。分離膜1を透過しなかった原液107は、濃縮液108として取り出される。このような流体分離素子は、圧力容器に収納され流体分離膜モジュールとして用いられる。
【0037】
【実施例】
本発明に示す物性は次のようにして求めた。
<厚さの測定方法>
JIS P8118にしたがって以下のように測定した。直径16.0mm以上の固定加圧面および垂直に稼動する直径16.0mmの可動加圧面からなる二つの平行な円形の加圧面を持つマイクロメータを使用した。マイクロメータを防振性の水平面上に置き、測定試料をマイクロメータの加圧面の間に入れた。可動加圧面を3mm/s以下の速度で操作し、加圧面間の圧力を100kPaとした。測定試料が加圧面間で保持されていることを確認し、安定直後に値を読み取った。20ヶ所測定し、平均値を厚さとした。
<平均密度の測定方法>
表面と垂直に多孔性支持体を切断し、断面を光学顕微鏡で倍率700倍で撮影した。撮影した写真から、多孔性支持体の画像をトレースにより普通紙に複写した。画像において、多孔性支持体の表側表面と裏側表面を平行な2本の直線ではさんだ。表側表面と裏側表面を示す2本の平行線は、それぞれ表側表面と裏側表面の最も突出した部分に接するように引いた。次に、表側表面と裏側表面を示す2本の平行線と垂直に、かつ、間隔が、表側表面と裏側表面を示す2本の平行線の間隔の3倍となるように2本の平行線を引いた。これらの4本の直線に囲まれた矩形の領域を測定領域とした。ここで表側表面と裏側表面を示す平行線の間隔を多孔性支持体の全厚さとした。
【0038】
次に、上記の表側表面と裏側表面を示す2本の平行線のちょうど真ん中に、表面に平行な直線、すなわち中心線、を引いた。測定領域のうち、表側表面から中心線までの領域を「表側表面から全厚さの50%までの領域」、すなわち「表側領域」と定義した。また、裏側表面から中心線までの領域を「裏側表面から全厚さの50%までの領域」、すなわち「裏側領域」と定義した。
【0039】
表側領域において、領域内に占める多孔性支持体の断面積の割合を、領域全体の面積で割った比率を、表側領域の平均密度とした。
【0040】
同様に、裏側領域において、領域内に占める多孔性支持体の断面積の割合を、領域全体の面積で割った比率を、裏側領域の平均密度とした。
<平滑度の測定方法>
JIS P8119にしたがって以下のように測定した。真空容器につながる円孔を中央に持ち、外径37.4mm±0.05mm、有効平面積10cm2±0.05cm2、光学的平面仕上げを施したリング状のガラス面上に多孔性支持体の試験片を置いた。該試験片の上に直径45mm以上、厚さ4mm±0.2mm、最大厚さ変化±0.05mm、ISO48による硬さが40IRHD±5IRHD、ISO4662による反発弾性が62%以上の円形ゴム製押さえ板、および、直径45mm以上の円形の平らな面を持ち、加圧装置に取り付けられた金属製の加圧板を置き、該加圧板に加圧装置によって100kPaの圧力をかけて、試験片をガラス面に押さえつけた。前記真空容器内の圧力を50.7kPaより低くした後、静置すると、ガラス面と試験片の接触面の間から空気が吸い込まれることにより、真空容器内の圧力が徐々に上昇する。真空容器内の圧力が50.7kPaから48.0kPaに変化するまでの時間を測定し、この時間を平滑度とした。
<分離機能膜と多孔性支持体との接着性の測定方法>
幅15mmの試料を作成し、測定接着面の一部を剥がし、測定長さ150mmで引張試験機にT状態にセットした。25℃、65%相対湿度において、毎分50mmの速度で引張試験を行い、測定長さ間の引張り力の平均値を剥離強度とした。
<実施例1>
多孔性支持体として、カレンダー加工に際して、裏側のロールの温度を表側よりも低くして、表側表面の平滑度を21s、裏側表面の平滑度を7sに調節したポリエステル製不織布(坪量60g/m2、厚さ80μm、幅250mm)を用いた。分離機能膜の素材として、ポリスルフォン(ソルベイ アドバンスト ポリマーズ株式会社のUdel(登録商標)P−3500)を用いた。このポリスルフォンをジメチルホルムアミドに溶解したポリスルフォン溶液(濃度16重量%、温度20℃)を製膜原液として用いた。この製膜原液を前記の不織布の表側に塗布幅200mm、塗布厚さ200μmで塗布した。このとき、ポリスルホン溶液を塗布しない不織布の裏側にはドラムを配置し、不織布が搬送されるようにした。
【0041】
ポリスルホン溶液が塗布された不織布を、塗布後0.5秒後に20℃の純水に浸し、ポリスルホンを凝固させて、微多孔性ポリスルホン膜と不織布の複合膜を得た。該複合膜を水洗槽にて水洗し、膜中に残留した溶媒を除去した後、巻取装置にて巻き取った。得られた複合膜をm−フェニレンジアミンの2重量%水溶液に1分間浸漬した。ポリスルホン膜表面から余分な該水溶液を取り除いた後、熱風乾燥機で80℃、1分間の条件で、水溶液の濃縮を行った。引き続いて、該ポリスルホン膜にトリメシン酸クロライドの0.1重量%n−デカン溶液を表面が完全に濡れるようにコーティングした後、1分間静置することにより、ポリスルホン膜の上に、実質的に膜分離をつかさどるポリアミド膜を形成し、分離膜(厚さ170μm)を得た。
【0042】
ポリスルホン膜の製膜後、ドラムには製膜原液による汚れは全くなかった。巻取後の分離膜表面に肉眼で観察しうる欠点はなく、極めて良好な膜面状態であった。さらに、分離膜の断面を光学顕微鏡で観察したところ、不織布の裏側表面には凹部が観測された。また、ポリスルホン膜は、不織布の裏側表面付近まで延在しており、凹部に係着していた。この分離膜における分離機能膜と多孔性支持体との接着性を測定したところ、19.6N/mであり、分離膜として十分であることが確認できた。
<実施例2>
多孔性支持体として、カレンダー加工に際して、裏側のロールの温度を表側よりも低くして、表側表面の平滑度を20s、裏側表面の平滑度を16sに調節したポリエステル製不織布(坪量84g/m2、厚さ95μm、幅250mm)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜(厚さ175μm)を得た。
【0043】
ポリスルホン膜の製膜後、ドラムには製膜原液による汚れはほとんどなかった。巻取後の分離膜表面に肉眼で観察しうる欠点はわずかであり、実用上問題ない程度であった。さらに、分離膜の断面を光学顕微鏡で観察したところ、不織布の裏側表面には凹部が観測された。また、ポリスルホン膜は、不織布の裏側表面付近まで延在しており、凹部に係着していた。この分離膜における分離機能膜と多孔性支持体との接着性を測定したところ、22.9N/mであり、分離膜として十分であることが確認できた。
<実施例3>
多孔性支持体として、カレンダー加工に際して、裏側のロールの温度を表側よりも低くして、表側領域の平均密度が69%、裏側領域の平均密度が45%、すなわち、表側領域の平均密度に対する裏側領域の平均密度が66%に調節したポリエステル製不織布(坪量65g/m2、厚さ72μm、幅250mm、図5を参照)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜(厚さ130μm)を得た。該ポリエステル製不織布の表側表面の平滑度は10s、裏側表面の平滑度は5sであった。
【0044】
ポリスルホン膜の製膜後、ドラムには製膜原液による汚れは全くなかった。巻取後の分離膜表面に肉眼で観察しうる欠点はなく、極めて良好な膜面状態であった。さらに、分離膜の断面を光学顕微鏡で観察したところ、不織布の裏側表面には凹部が観測された。また、ポリスルホン膜裏面付近まで延在しており、凹部に係着していた。この分離膜における分離機能膜と多孔性支持体との接着性を測定したところ、19.6N/mであり、分離膜として十分であることが確認できた。
<比較例1>
多孔性支持体として、カレンダー加工に際して、裏側のロールの温度を表側よりも高くして、表側表面の平滑度を7s、裏側表面の平滑度を21sに調節した、裏側が平滑なポリエステル製不織布(坪量60g/m2、厚さ80μm、幅250mm)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜(厚さ170μm)を得た。
【0045】
ポリスルホン膜の製膜後、ドラムに製膜原液による汚れがみられた。すなわち、製膜原液は、不織布の裏側表面まで到達していた。巻取後の分離膜表面には、隣接する多孔性支持体の裏側へ抜けた分離膜との接触による欠点が肉眼で観測された。この分離膜における分離機能膜と多孔性支持体との分離膜の接着性を測定したところ、22.9N/mであった。
<比較例2>
多孔性支持体として、カレンダー加工に際して、裏側のロールの温度を表側よりも高くして、表側領域の平均密度が45%、裏側領域の平均密度が69%、すなわち、表側領域の平均密度に対する裏側領域の平均密度が152%に調節した、裏側が平滑なポリエステル製不織布(坪量65g/m2、厚さ72μm、幅250mm)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜(厚さ130μm)を得た。
【0046】
ポリスルホン膜の製膜後、ドラムに製膜原液による汚れがみられた。すなわち、製膜原液は、不織布の裏側表面まで到達していた。巻取後の分離膜表面には、隣接する多孔性支持体の裏側へ抜けた分離膜との接触による欠点が肉眼で観測された。この分離膜における分離機能膜と多孔性支持体との接着性を測定したところ、22.9N/mであった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の分離膜は、製膜工程における製膜原液の多孔性支持体裏側表面への到達を防ぎつつ、分離機能膜と多孔性支持体との接着性を高くできる。そのため、製膜装置を清潔に保つことが可能になり、製膜装置のメンテナンス性が良好となる。さらに、分離膜巻取工程等において、隣接する分離膜の表面を傷つけることを防止できることにより、分離膜の欠点の発生を防止できる。これにより、高機能の分離膜をより安価に提供することができる。また、本発明の分離膜は薄膜化が可能となるので、本発明の分離膜を用いた流体分離素子やモジュールは、充填膜面積を増大することができる。本発明の分離膜は、ナノろ過分離や逆浸透分離に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す分離膜の断面図である。
【図2】本発明の他の一実施態様を示す分離膜の断面図である。
【図3】本発明の他の一実施態様を示す分離膜の断面図である。
【図4】本発明の分離膜を用いた流体分離素子の一部展開斜視図である。
【図5】本発明の分離膜の多孔性支持体として用いられる不織布の一例を示す断面写真である。
【図6】従来の分離膜の多孔性支持体として用いられる不織布の一例を示す断面写真である。
【符号の説明】
1 分離膜
1a 分離機能膜
1b アンカー部
2 多孔性支持体
2a 表側表面
2b 裏側表面
2c 凸面
2d 凹部
2e 孔部
2f 粗層
100 流体分離素子
102 透過液流路材
104 封筒状膜
105 集水管
106 供給液流路材
107 原液
108 濃縮液
109 透過液
110 端板
112 フィラメントワインディング層

Claims (8)

  1. 裏側が粗い多孔性支持体の表側表面上に、分離機能膜が形成され、かつ、分離機能膜は多孔性支持体の内部にまで延している分離膜であって、多孔性支持体は織布、不織布、またはネットであり、多孔性支持体の裏側表面には多数の凹部が形成されており、さらに分離機能膜は、多孔性支持体の裏側表面の凹部にまで延在し、その凹部に係着している分離膜。
  2. 多孔性支持体の裏側表面から全厚さの50%までの領域の平均密度が、多孔性支持体の表側表面から全厚さの50%までの領域の平均密度に対して5〜90%の範囲内である請求項1に記載の分離膜。
  3. 分離機能膜は、多孔性支持体の裏側表面から全厚さの50%までの領域にまで延在している請求項1または2に記載の分離膜。
  4. 多孔性支持体が、圧熱加工されている、請求項1〜のいずれかに記載の分離膜。
  5. 多孔性支持体の裏側表面は、JIS P8119にしたがって測定した平滑度が1〜20sの範囲内にある、請求項1〜のいずれかに記載の分離膜。
  6. 多孔性支持体の厚さが40μm〜150μmの範囲内にある、請求項1〜のいずれかに記載の分離膜。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の分離膜を、透過液流路材および原液流路材と共に集水管の周囲にスパイラル状に巻囲した流体分離素子。
  8. 請求項に記載の流体分離素子を圧力容器に収納してなる流体分離膜モジュール。
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