JP2007080698A - 試料分析装置 - Google Patents

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恵司 大嶋
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伸 松本
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Abstract

【課題】 試料室内の水分を低ランニングコストで効率よく吸着・再生すると同時に、外部の磁気の影響を受けにくし、総じて検出性能を高めた試料分析装置を提供する。
【解決手段】
試料分析装置1において、コールドトラップ装置10の低温パネル80として、特に透磁率が大きいパーマロイと、熱伝導率が大きい無酸素銅と、によるクラッド材を用いて内外で二層構造となるように形成した。低温パネル80のパーマロイは外部からの磁気を吸収させる機能を有し、また、無酸素銅により熱の昇降速度を向上させる機能を有するため、検出性・操作性を向上させた試料分析装置1とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料周囲の異物を捕集して試料分析時の異物による影響を排除するような試料分析装置に関する。
EDS(Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer:エネルギー分散型X線分光法。EDXと略されることもある)を用いるエネルギー分散型半導体X線検出器(EDS検出器)が試料分析に用いられている。このようなエネルギー分散型半導体X線検出器の従来技術が例えば、特許文献1に開示されている。
ここに従来技術のEDS検出器、および、このEDS検出器を搭載するエネルギー分散型半導体X線検出器(以下単に試料分析装置という)について図を参照しつつ説明する。図6は従来技術のEDS検出器を搭載する試料分析装置の説明図、図7はEDS検出器の説明図、図8は電子顕微鏡の構成図、図9は試料分析用回路の回路ブロック図であり、図9(a)は電子顕微鏡の回路ブロック図、図9(b)はEDS検出器の回路ブロック図である。図6で示す試料分析装置1000は、EDS検出器100’、電子顕微鏡110、試料室120、本体130、連結管140、防振スタンド150、錘160、圧力変換バルブユニット170、コンプレッサ180、高圧ヘリウム配管190、低圧ヘリウム配管200、コントローラ210を備える。
続いて、各部構成について説明する。
EDS検出器100’は、さらに図7で示すように、クライオスタット101、小型ガス循環式冷凍機102、コールドフィンガー103、X線検出素子部104、移動部105を備える。
クライオスタット101は、さらに本体部101a、筒状部101b、および、X線窓101cを備える。L字状の筒である本体部101aには水平な筒状部101bが連接され、さらに筒状部101bには、X線窓101cが設けられている。このX線窓101cは真空を保持できる強度を持ち、かつ試料から放出された特性X線を透過する機能を有している。このようなクライオスタット101内は使用時にその内部が外気と遮断されるとともに、図示しない真空ポンプ等により真空に保持される。
小型ガス循環式冷凍機102は、さらに冷凍部本体102aおよび冷熱部102bを備え、クライオスタット101の本体部101aの上端部に冷凍部本体102aが設けられ、また、冷凍部本体102aから冷熱部102bがクライオスタット101の内部に延設されている。小型ガス循環式冷凍機102は例えば圧縮機と膨張機とが分離されたGM(ギフォード・マクマホンサイクル)方式のパルス管冷凍機である。この場合、冷凍部本体102aは膨張機であり、この冷凍部本体102aには連結管140を介して圧縮機であるコンプレッサ180(図6参照)からヘリウムガスが供給されている。なお、この小型ガス循環式冷凍機102に対するヘリウムガスの供給構造については後述する。
コールドフィンガー103は、図7で示すように、銅など熱伝導性の優れた素材を用いて、例えば略L字状に形成されている。コールドフィンガー103は、クライオスタット101の本体部101aおよびこれに連設された水平の筒状部101bにわたる空間内に設けられる。コールドフィンガー103の一端側は小型ガス循環式冷凍機102の冷熱部102bと熱的に結合されている。
X線検出素子部104は、さらにX線検出素子104a、温度センサ104bを備える。X線検出素子104aは、試料から放出される特性X線を検出し、検出信号として図示しない検出信号処理部へ出力する機能を有している。このX線検出素子104aの前面には、特性X線を透過させるためのX線窓101cが位置している。温度センサ104bは、X線検出素子104aの温度を検出し、温度信号としてコントローラ210(図6参照)へ出力する機能を有している。このようなX線検出素子部104は、コールドフィンガー103の先端側に熱的に結合された状態で設けられる。
移動部105は、さらに、ガイドベース105a、ガイド部105b,105c、ガイドロッド105d、アクチュエータ105e、被ガイド部105fを備える。
ガイドベース105aは、図6で示すように、電子顕微鏡110方向に延設され、電子顕微鏡110の胴部から突設する取付け部に取り付けられる。図7で示すように、ガイド部105b,105cは、ガイドベース105aに固定されている。
ガイドロッド105dは、ガイド部105b,105c内の軸受部を摺動自在に挿通されている。
アクチュエータ105eは、ガイドロッド105dを矢印F方向(前進方向)または矢印R方向(後退方向)へ移動させるように駆動する。
被ガイド部105fは、クライオスタット101の本体部101aおよびガイドロッド105dに取付け固定されている。これにより、EDS検出器100’は被ガイド部105fとともに移動するようになされ、ガイドロッド105dの移動に応じてEDS検出器100’を矢印F方向(前進方向)または矢印R方向(後退方向)へスライドするように移動させる。
コントローラ210は、図6に示すように、本体130の上面に載置され、EDS検出器100’(X線検出素子104a)の冷却およびその前方または後方への移動を制御する。
EDS検出器100’はこのようなものである。
図6に戻るが、電子顕微鏡110は、具体的には走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)である。
試料室120は、試料を載置するための仕切り空間である。この試料室120では、電子ビームや特性X線により操作者に悪影響を与えないようにするため、また、二次電子、反射電子および特性X線を確実に検出するため、外界と内部空間とを確実に隔離するようになされている。
本体130は、振動に強くするため、機械的に高剛性な材料により形成されている。さらに、図示しないが電源部など必要な機器を防振措置を施した上で収容している。
連結管140は、さらに本体部分141および可撓部分142を備え、本体部分141は圧力変換バルブユニット170と接続され、可撓部分142は冷凍部本体102aと接続される。連結管140は圧力変換バルブユニット170と冷凍部本体102aとの間の流路を確保し、所定の圧力に調整されたヘリウムガスを冷凍部本体102aに供給する。ここに可撓部分142を採用する理由は、EDS検出器100’が図6,図7で示すように矢印F方向または矢印R方向への移動に対処するための構成である。
防振スタンド150は、本体130の近傍に立設され、連結管140の本体部分141を、棒状のスタンド本体151の上下方向に沿わせて固定部152によって固定保持させる。さらに連結管140の可撓部分142には、振動を抑止するための錘160が複数個(例えば図6では2個)装着されている。
圧力変換バルブユニット170、コンプレッサ180、高圧ヘリウム配管190、低圧ヘリウム配管200は、小型ガス循環式冷凍機102に対するヘリウムガスの供給システムであり、圧力変換バルブユニット170およびコンプレッサ180は高圧ヘリウム配管190および低圧ヘリウム配管200を介して接続されている。
続いて電子顕微鏡110の詳細について説明する。電子顕微鏡110は、図8で示すように、電子銃部111、電子銃室112、集束レンズ113、対物レンズ114を備えている。この電子顕微鏡110は試料室120に接続されるが、この試料室120内を低温・高真空にするための構成も備えており、LNタンク121、接続部材122、低温パネル123、真空配管124、バルブ125,126、高真空排気装置127を備える。真空配管124、バルブ125,126、高真空排気装置127は排気部を構成する具体例である。
試料分析時には、高真空排気装置127を稼働させ、電子銃室112および試料室120から排気を行って、真空状態を作り出す。さらに試料室120の外側に配置されているLNタンク121は、図示しないが液体窒素の注入口を備え、電子顕微鏡110の使用時に液体窒素が注入口を介して注入されてLNタンク121は液体窒素を溜める。LNタンク121内の液体窒素が冷媒となって接続部材122を介して低温パネル123は極低温になる。このように、試料室120内は高真空・極低温状態であり、水分子や有機ガス等の異物を低温パネル123に吸着させて異物を除去した状態で分析を行う。
続いて分析時の動作について説明する。まず、EDSによる分析を行うものとする。図8で示す試料分析装置1000の試料室120内にある試料ステージ(図示せず)に試料を載置し、扉を閉めて外界から隔離した後、液体窒素をLNタンク121に入れて冷却し、また、高真空排気装置127を稼働させて異物を低温パネル123に捕集する。このような状況下でコントローラ210の図示しない操作部から分析開始操作を行い、EDS検出器100’(X線検出素子104a)を矢印F方向(前進方向)へ移動させるようにアクチュエータ105eを駆動する。すると、EDS検出器100’が矢印方向F(前進方向)へ移動して試料へ前記X線検出素子104aを近づける。
EDS検出器100’は、試料表面の微小部の元素分析を行う。コントローラ210は、先に説明した温度センサ104bから温度信号を入力し、所定温度を維持するように小型ガス循環式冷凍機102の温度制御を行う。X線検出素子104aは所定温度を維持する。
この状態でEDS検出器100’は、図7,図9(a)で示すように、電子顕微鏡110の電子銃部111から電子ビームが試料に向けて照射されると、試料から特性X線が放射される。X線検出素子104aは、特性X線を検出して、X線検出信号を出力する。このようなX線検出信号を入力した検出信号処理部115は、X線検出信号を用いてスペクトル分析処理を行う。この特性X線は元素の種類により、それ固有の波長を有している。X線検出素子104aはこのような特性X線を検出して検出信号処理部115へ出力する。検出信号処理部115は例えばコンピュータであり、検出信号から試料に含まれている元素を検出し、例えば、スペクトル分布を表示するというものである。また、それぞれのエネルギーについて強度を測定して、標準強度と比べることによって定量分析も可能となる。
そして分析終了時に自動的にEDS検出器100’(X線検出素子104a)を矢印R方向(後退方向)へ移動させるようにアクチュエータ105eを駆動する。
これと同時または時間を異ならせて、電子顕微鏡による分析を行う。電子顕微鏡110の信号処理部では、図9(b)で示すように、電子銃部111から電子ビームが照射されると、集束レンズ113を経て走査コイル116に到達し、走査コイル116での磁場あるいは電場によりその軌道を変えて、対物レンズ・絞り114により電子線を一点に収束させることができる。この走査コイル116には走査制御部117が接続され、走査コイル116の偏向制御を行って試料表面をX,Yの2方向に走査している。さらに、電子ビームが照射された試料から二次電子や反射電子が放射される。検出部118は、これら電子を検出して、検出信号を出力する。この検出信号が入力された画像信号処理部119は、検出信号を用いて画像信号処理を行う。
走査制御部117は他の箇所に設置されたCRT表示部220にも接続され、CRT表示部220は走査位置に対応させて、画像信号処理部119からの画像信号を用いて表示を行う。
試料分析装置1000はこのようなものである。
この試料分析装置1000の特徴として、特にEDS検出器100’においては、圧力調整されたヘリウムガスを小型ガス循環式冷凍機102の冷凍部本体102aに供給するための連結管140の本体部分141が防振スタンド150のスタンド本体151に固定されるとともに、その先端の可撓部分142に防振用の錘160が設けられているので、連結管140の振動が抑止される。したがって、連結管140内を圧力調整されたヘリウムガスが流れても、連結管140の振動が抑制され、EDS検出器100’や電子顕微鏡110などへ振動が伝わらないこととなり、精度良く所定の検出・画像取得が行われる。
なお、この試料分析装置1000では電子顕微鏡機能とEDS検出機能とを併せ持つものとして記載されているが、電子顕微鏡機能のみの試料分析装置もある。この場合、図8,図9(b)で示した構成のみ有している。
なお、同様の従来技術として、例えば、特許文献2に記載された発明が知られている。
特開平10−311877号公報 (段落番号0011〜0022,図1,図2) 実開平5−17584号公報 (段落番号0009〜0017,図1)
上記のように、特許文献1では、圧縮機と膨張機とが分離されたGM(ギフォード・マクマホンサイクル)方式の小型ガス循環式冷凍機102を採用し、膨張機(冷凍部本体102aおよび冷熱部102b)を試料分析装置1000に搭載し、圧縮機(圧力変換バルブユニット170、コンプレッサ180、高圧ヘリウム配管190、低圧ヘリウム配管200によるヘリウムガスの供給システム)は試料分析装置1000の横に配置し、連結管140を介して作動ガスであるヘリウムガスを供給し、膨張機の膨張仕事によりX線検出素子104aを冷却している。
ここに、GM方式の小型ガス循環式冷凍機102のコンプレッサ180は、誘導モータを用いたレシプロ圧縮機またはスクロール圧縮機などのように、安価であるが大きな振動が発生するコンプレッサである。また、圧力変換バルブユニット170では回転モータ式またはソレノイドバルブ式が用いられており、電子顕微鏡110の防振機構(図示せず)の共振周波数(2〜4Hz)に近い運転周波数で切換えられるため、共振周波数に近い振動を発生する。これら振動が電子顕微鏡110へ伝わると、わずかの発生振動でも数万倍になる電子顕微鏡110の画像に悪影響を与える。また、X線検出でも影響を受ける。
そこでコンプレッサ180や圧力変換バルブユニット170の振動を伝達しないようにするため、特許文献1の装置では、上記のように連結管140の可撓部分142を介在させて、コンプレッサ180や圧力変換バルブユニット170で発生する振動を遮断するように構成している。さらに防振ウエイトである錘160を調節して固有振動数を変化させて共振を防止し、発生振動を低減しようとしている。
しかしながら、このような連結管140も、GM方式の小型ガス循環式冷凍機102の作動ガスの圧力(数MPa)に耐えるために比較的剛性の高い金属のフレキシブル管で構成せざるを得ず、数Hz〜10Hzの周波数の振動発生源となる。そこで連結管140の低振動化のために質量を大きくして剛性を増す必要があり、重量物で大掛かりな装置になってしまっていた。また、取付長さや方向によって固有振動数が変化するため、発生力や変位を小さくすることには限界があった。
このような問題は特許文献2に記載された装置でも同様であった。
このように特許文献1,2では、検出精度を高めるためには、大型構造・重量物構造が回避できず、また、小型化すると除去できない振動により装置全体が振動し、例えば電子顕微鏡の画像やX線検出などで悪影響を与えるおそれがあった。
また、LNタンク121を用いて液体窒素により冷却する方式も採用しているが、この場合は、振動が発生しないように思われるが、液体窒素注入から沸騰がおさまるまでの一定時間およびランダムに発生するバブリング(気泡発生)により、この期間では同様に電子顕微鏡110の画像に悪影響を与えるおそれがあった。また、液体窒素方式は、液体窒素の補充を週に2回程度行う必要があり、液体窒素の消耗費と保管費および人件費などのランニングコストが高くなるという課題もあった。
このように従来技術では冷却時に発生する振動が、試料分析装置に悪影響を及ぼすという問題があった。また、この振動を抑えるため従来技術のような大型構成が採用されており、小型化が困難であるという問題もあった。
また、試料室120の内部空間を大気圧にするときに冷却された試料室120内や低温パネル123に空気中の水蒸気が結露するのを防止するために、LNタンク121内の冷媒を抜き去るか自然蒸発するのを待ち、その後に低温パネル123を図示しないヒータ等で加熱もしくは自然に常温まで上昇させるというものであり、水蒸気の除去に時間を要した。また、冷媒となる液体窒素の消耗費と保管費および人件費などのランニングコストが高くなるという課題があった。
さらに、従来の電子顕微鏡110による構成では、電子銃111から照射された電子ビームは、集束レンズ113、対物レンズ114の位置では磁気シールド施工により、外部の磁界の影響を受けにくいが、試料室120内では有効な磁気シールドを行う手段がなく外部の磁気の影響を受けやすかった。
そこで、本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、試料室内の水分を低ランニングコストで効率よく吸着・再生すると同時に、外部の磁気の影響を受けにくし、総じて検出性能を高めた試料分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の試料分析装置は、
試料室と、
試料室内を真空にする排気部と、
試料室内に配置される低温パネルと、
試料室内に設置され、低温パネル内に試料を載置する試料載置部と、
圧縮機、膨張機および位相制御部を有し、試料周囲の異物を捕集するため低温パネルへ寒冷を供給するパルスチューブ冷凍機と、
試料載置部に載置される試料に電子ビームを照射して試料から放射された電子により画像を得る電子顕微鏡と、
を備える試料分析装置であって、
この低温パネルは、透磁性の高い金属材料で形成される円筒部を含む略回転体形状であって、その中心軸が電子ビームの照射軸と略同軸上となるように配置されることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る発明の試料分析装置は、
請求項1に記載の試料分析装置において、
前記低温パネルの円筒部は、透磁率が大きいパーマロイと、熱伝導率が大きい無酸素銅と、による内外で二層構造であることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る発明の試料分析装置は、
請求項1または請求項2に記載の試料分析装置において、
前記パルスチューブ冷凍機は、
ピストンおよびこのピストンを往復動させる駆動部を含むリニアモータと、リニアモータが内部に収容されるシリンダと、を有し、シリンダの内部でピストンを往復動させて圧縮空間を区画形成し、この圧縮空間内の流体を周期的に圧縮する振動型圧縮機と、
蓄冷器、冷却端、および、パルスチューブを有し、冷却端が低温パネルに連結されるとともに蓄冷器が振動型圧縮機に連結される膨張機と、
イナータンスチューブ、および、バッファタンクを有し、イナータンスチューブが膨張機に連結される位相制御部と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る発明の試料分析装置は、
請求項3に記載の試料分析装置において、
前記パルスチューブ冷凍機は、
振動型圧縮機と膨張器との間に連結される接続管を備えることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る発明の試料分析装置は、
請求項4に記載の試料分析装置において、
前記接続管は弦巻状のバネ様部を備え、
前記振動型圧縮機のピストン駆動による振動をバネ様部が吸収することを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る発明の試料分析装置は、
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の試料分析装置において、
電流導入端子を介して電流線と接続され、前記低温パネルを加熱するヒータと、
信号導出端子を介して信号線と接続され、前記低温パネルの温度を計測する温度センサと、
電流線を介してヒータと、制御線を介してパルスチューブ冷凍機と、信号線を介して温度センサと、それぞれ接続される制御電源部と、
を備え、
この制御電源部は、温度センサが計測した低温パネルの温度に基づき、低温パネルの温度を所定温度とするようにパルスチューブ冷凍機またはヒータを制御することを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る発明の試料分析装置は、
請求項6記載の試料分析装置において、
前記ヒータは、冷却端または低温パネルに内蔵または当接するように配置され、
前記温度センサは、冷却端または低温パネルに内蔵または当接するように配置されることを特徴とする。
また、本発明の請求項8に係る発明の試料分析装置は、
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の試料分析装置において、
試料に電子ビームを照射して試料から放射された特性X線により試料を分析するEDS検出器と、
一対のピストンを対向に配置した振動型圧縮機を有し、EDS検出器のX線検出素子を冷却するパルスチューブ冷凍機と、
を備え、電子顕微鏡機能とEDS機能とを併有することを特徴とする。
以上説明したような本発明によれば、試料室内の水分を低ランニングコストで効率よく吸着・再生すると同時に、外部の磁気の影響を受けにくくし、総じて検出性能を高めた試料分析装置を提供することができる。
続いて、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しつつ説明する。図1は試料分析装置の電子顕微鏡の説明図である。図2はコールドトラップ装置の説明図である。
図1で示すような本形態の試料分析装置1は、先に説明したEDS検出器は持たずに、電子顕微鏡機能のみ持つ装置であり、先に図8を用いて説明した電子顕微鏡と比較すると、図8で示す寒冷発生装置(LNタンク121、接続部材122、低温パネル123)に代えて、パルスチューブ冷凍機を含むコールドトラップ装置10を用いる点が相違している。さらに、試料載置部として試料台128に試料を乗せてからこの試料台128を上昇させて低温パネル80内に試料を配置するようにしており、試料を低温パネル80内に載置し易くした点も相違する。さらに、試料室120と本体130との間に防振機構129を介在させた点と、が相違する。
以下、相違点を重点的に説明し、他の構成は図8,図9を用いて説明した従来技術と同様であるとして同じ符号を付すとともにその重複する説明を省略する。
まず、パルスチューブ冷凍機を含むコールドトラップ装置10の構成について説明する。コールドトラップ装置10は、試料室120内に潜む水蒸気や有機ガス、および、試料から放出する水蒸気や有機ガスを吸着して試料分析時の異物による影響を排除するために用いられる。
コールドトラップ10は、図1,図2で示すように、大別してヒータ20、温度センサ30、制御電源部40、振動型圧縮機50、接続管60、膨張機70、低温パネル80、位相制御部90を備えている。
ヒータ20は、例えば図1,図2で示すように、膨張機70の冷却端73の外部に当接されて配置される。ヒータ20は、電流導入端子を介して電流線と接続されており、供給される電流により加熱されて、冷却端73を介して最終的に低温パネル80を加熱する。なお、図示しないがヒータ20を冷却端73に埋め込むように構成しても良い。また、冷却端73に代えて、ヒータ20を、低温パネル80に当接したり、または外気からの影響を避けるため低温パネル80内に埋め込むように構成しても良い。
温度センサ30は、例えば図1,図2で示すように、膨張機70の冷却端73の外部に当接されて配置される。温度センサ30は、信号導出端子を介して信号線と接続されており、冷却端73を介して低温パネル80の温度を精度良く計測して温度信号を出力する。なお、図示しないが温度センサ30を冷却端73に埋め込むように構成しても良い。また、冷却端73に代えて、温度センサ30を、低温パネル80に当接したり、または外気からの影響を避けるため低温パネル80内に埋め込むように構成しても良い。
制御電源部40は、商用電源を入力し、振動型圧縮機50を駆動する交流駆動電力を生成して供給するものであり、制御線を介して振動型圧縮機50と接続される。また、制御電源部40は、電流線を介してヒータ20と、信号線を介して温度センサ30と、にそれぞれ接続される。制御電源部40は、電流線を介して接続されるヒータ20、制御線を介して接続される振動型圧縮機50、さらに信号線を介して接続される温度センサ30に対して後述するような情報の読み出しや各種の制御を行う。なお、図1で示すように試料室120に設けられた電流導入端子はヒータ20に接続された電流線を試料室120内から引き出し、また、試料室120に設けられた信号導出端子は温度センサ30に接続された信号線を試料室120内から引き出すために設けられる。これら端子は真空下で使用できるものであり、例えばハーメチック端子等が用いられる。それぞれの電流線・信号線は、例えば、ステンレスのシースで被覆されている。
振動型圧縮機50、接続管60、膨張機70、位相制御部90により冷凍回路系が形成され、具体的にはパルスチューブ冷凍機を構成する。このパルスチューブ冷凍機では可動部がなく、パルスチューブ(図示せず)内のガス(ガスピストン)がその役割を担っている。流路内には作動ガス(冷媒ガス)として、例えば、ヘリウムガスが封入されている。さらに、パルスチューブ冷凍機と、冷却端73に接続される低温パネル80と、によりコールドトラップ装置10を構成する。
振動型圧縮機50は、詳しくは、図2で示すように、ピストン51およびこのピストン51を往復動させる駆動部(図示せず)を含むリニアモータと、リニアモータが内部に収容されるシリンダ52とを備える。一対のピストン51がシリンダ52内で向き合って対向している。
接続管60は、振動型圧縮機50と膨張機70との間に介在する。本形態では、振動型圧縮機50と膨張機70とを密接させて構成するため、短く形成される。
膨張機70は、詳しくは熱交換器71、蓄冷器72、冷却端73、パルス管74を備えている。
低温パネル80は、冷却端73に熱的に接続される。なお、低温パネル80については後述する。
位相制御部90は、詳しくはイナータンスチューブ91とバッファタンク92とを備えている。
続いて本発明の特徴をなす低温パネル80について説明する。
低温パネル80は、円筒部を含む略回転体形状(図1,図2では最も簡単な円筒状としている)である。この低温パネル80では、透磁性の高い金属材料で形成されるものであり、例えばパーマロイである。このような低温パネル80では、外部から到達した磁気は低温パネル80内に吸い込まれるため、低温パネル80の内部に入らない。このため、試料周辺では外部からの磁気に影響されなくなり、図9(b)で示すように、電子銃部111、集束レンズ113、走査コイル116を経て、対物レンズ(絞り)114から照射された電子ビームは、試料の狙い通りの箇所へ到達するため、ゆらぎなどのない正確な映像が得られる。また、回転体形状である低温パネル80の中心軸が電子ビームの照射軸と略同軸上であり、さらに試料も中心軸上にあるように配置されるため、試料が冷気による影響を最も受けにくくしている。
低温パネル80は、さらに好ましくは、透磁率が高いパーマロイと、熱伝導率が大きい無酸素銅と、による二層構造とするため、クラッド材を用いると良い。クラッド材とは、異種金属を一枚の板に圧延し、それぞれの材料特性を引き出すための複合材である。無酸素銅は熱伝導率が大きいため、冷却端73の寒冷やヒータ20の熱が直ちに低温パネル80全体に熱伝導されて短時間で低温パネル80全体が冷却端73やヒータ20と同じ温度となる。この場合において、低温パネル80の無酸素銅全体の表面温度分布が均一な状態となり、通常用いられる熱伝導率が小さいステンレス材のように不均一な温度分布とならないため、低温パネル80の有効表面積を大きくすることができ、低温パネル80の無酸素銅全面で水分子や有機ガスを捕集できる。
この場合、パーマロイ層を外周側とし、また、無酸素銅層を内周側とし、さらに内周側の無酸素銅層側に冷却端73が熱的に接続する構成を採用すれば良い。これにより、パーマロイ層が磁気を吸収して内側へは磁気を到達させないようにし、また、無酸素銅層では電子ビームが到達する低温パネル80内空間から異物を優先的に捕集するため、電子顕微鏡が得た画像にゆらぎなどがなくなるように作用する。
なお、低温パネル80の内側面(試料に対向するトラップ面)は、例えばブラスト加工やピーニング加工によりなし地状に形成して表面積を拡大するように構成してもよい。なお、表面積を拡大できれば良く突起体を多数形成した凹凸面としてもよい。
また、低温パネル80の外側面(試料室120壁面側に対向する面)ではできるだけ放射率の小さな鏡面(光沢面)に仕上げて放射率を小さくするように構成する。これにより常温側から侵入する熱量も低減して低温パネル80を低温に維持することができる。
さらに低温パネル80は、その表面に耐食性を向上させる保護層(具体的にはニッケルメッキ層)を形成し、有機ガスが接触しないようにして、耐食性を向上させても良い。
このような電子顕微鏡に低温パネル80を採用したため、性能の向上が見込めるようになる。
続いて、試料分析装置1の使用について説明する。
まず、試料台128に試料を載置し、試料が低温パネル80内の中央にくるまで試料台128を上昇させる。なお、試料台128は上昇させるのではなく単なる台としても良いが、操作性の観点から上昇機構があると良い。続いて、試料室120の図示しない扉を閉じて試料室120を外界から密閉封止する。次に高真空排気装置127を稼働させて高真空を作り出し、バルブ125を開いて電子銃室112を真空にし、さらに、バルブ126を開いて試料室120の内部を真空にする。続いて、コールドトラップ装置10を動作させて水蒸気などの異物を取り除いてから電子顕微鏡110による分析を開始する。そして、分析終了後には、ヒータ20を稼働させて高温にして、試料を取り出すこととなる。これにより、試料分析を終了する。
このような一連の分析動作のうち、コールドトラップ装置10の動作について詳細に説明する。コールドトラップ装置10を機能させるため、まずパルスチューブ冷凍機を動作させる。パルスチューブ冷凍機の稼働を開始すると、図2で示すように、制御電源部40は、所定の駆動周波数の交流駆動電力を供給して、振動型圧縮機50のシリンダ52内でピストン51が往復動作することにより、シリンダ52内の作動ガスが圧縮・膨張される。このような作動ガスは振動型圧縮機50から接続管60、熱交換器71、蓄冷器72、冷却端73、パルス管74、熱交換器71、イナータンスチューブ91、バッファタンク92まで到達する。作動ガスは、振動型圧縮機50と位相制御部90との間の一連の系の中で往復動流として流れる。
ここで作動ガスは、位相制御部90のイナータンスチューブ91とバッファタンク92との中を、ほぼ正弦波的に圧力振幅を伴って流れることにより、圧力変化と流量変化との間に位相差を発生させることができる。これら冷凍回路を電気回路に例えると、イナータンスチューブ91はインダクタンス成分と抵抗成分、バッファタンク92はキャパシタンス成分に相当する。このような位相制御部90は、作動ガスの圧力に対する流量の位相差を−90°から+90°まで変化させることができる。
このようにパルスチューブ冷凍機の運転時には、パルス管74および位相制御部90による位相制御効果により、パルス管74内で作動ガスの圧力と流量との間に位相差が生じ、この圧力と流量とがなす仕事が冷却端73でのPV仕事となり、冷却端73に寒冷を発生する。この発生寒冷を低温PV仕事と呼ぶ。
ここで、冷却端73は前記のように蓄冷器72とパルス管74との間に介装されている。パルスチューブ冷凍機の運転時には、振動型圧縮機50の圧縮工程で送り出された作動ガスは蓄冷器72において低温となってパルス管74に流入し、パルス管74の内部で断熱膨張してこれにより冷却端73で吸熱し、作動ガスが位相制御部90に流出する。また、前記とは逆に作動ガスが位相制御部90からパルス管74を通過して冷却端73に還流する工程では、ほぼ一定体積で変化するため熱の発生または吸収は行わない。つまり冷却端73では発熱がなく吸熱のみなされ、寒冷を発生することとなる。この寒冷により低温パネル80(図2参照)が冷却される。
そして、コールドトラップ装置10として機能させるためには一定温度とするように温度制御を行うこととなる。コールドトラップ装置10では、制御電源部40がパルスチューブ冷凍機(の振動型圧縮機50)の運転を開始するとともに、温度センサ30が出力する温度計測信号をフィードバック入力することにより、低温パネル80を所定温度に維持する。
例えば、低温パネル80の所定温度の一例として試料室で発生する水蒸気および炭素などを含む有機ガスの最適トラップ温度に低温パネル80の温度(水蒸気の場合:1E−8Paの圧力では120K。1E−4Paの圧力では150K。)の温度を選択して制御し、低温パネル80に水蒸気および炭素などを含む有機ガスを凍結捕集して吸着させる。
また、コールドトラップ装置10は、冷却ではパルスチューブ冷凍機を用いたり、加熱ではヒータ20を用いたり、または、パルスチューブ冷凍機およびヒータ20を併用したりすることで、低温パネル80に直接に冷却・加熱の両方が可能となり、60K〜573K(−213℃〜300℃)という広範囲の任意の温度に制御でき、水蒸気だけでなく任意のガス(例えばBr,NH,Cl,CO等)を選択吸着することも可能である。
これにより、試料室120や電子銃室112内の水分や有機ガスが吸着され、試料室120内(特に低温パネル80の内部空間)には異物(水分子やガス分子)がなくなって、電子ビームが確実に試料に到達するため、検出性能を向上させることができる。
なお、検出終了時にはヒータ20を稼働させて高速に通常状態とするため、試料の取り出し等も容易である。
なお、本形態では振動抑制も実現されている。コールドトラップ装置10が稼働すると、所定周波数の交流駆動電力が供給されて振動型圧縮機50のピストン51が往復動しているため、試料室120および電子顕微鏡110へ所定周波数の機械振動が伝達される。この機械振動は、振動型圧縮機50のリニアモータとピストン振幅や質量、位相のアンバランスによる発生振動である。このような状態は従来技術よりも好ましくないように思われるがそうではない。機械的には電子顕微鏡110の防振機構129の共振周波数(2〜4Hz)から外れるため、機械的な共振が発生することなく、防振機構129でこの振動を制振して電子顕微鏡110への機械振動が生じないようにすることができる。本形態ではこのような周波数にて運転されるものである。
なお、本形態での電子顕微鏡では、数万から数十万倍の倍率で使用する走査型電子顕微鏡(SEM)だけでなく、数十万から数百万倍の倍率で使用する透過型電子顕微鏡(TEM)でも適用が可能である。
以上本形態について説明したが、本形態では以下のような利点がある。
(1)試料室120で発生する水蒸気および炭素などを含む有機ガスの最適トラップ温度に低温パネル温度を設定する(水蒸気の場合:1E−8Paの圧力では120K。1E−4Paの圧力では150K。)ことにより、例えば液体窒素を冷媒にした場合の77Kという一定温度に比べて設定温度を高くすることができるので、試料室120を常温に戻す場合の再生時間を短くできる。
(2)パルスチューブ冷凍機は、電源を投入するだけで、常温から60K程度までの幅広い温度帯に低温パネル温度を短時間で設定できるため、コールドトラップまでの時間と再生時間を従来例に比べて大幅に短縮できる。
(3)液体窒素冷却で生じていた液体窒素補給後の安定化のための待ち時間、およびランダムに発生するバブリングの影響も皆無とすることができる。さらに、液体窒素の補給、及び補給作業をなくすことができるのでランニングコストの低減も可能である。
(4)従来技術のGM式の冷凍機や液体窒素による冷凍機では、一旦稼働させたならば負荷に関係なく定格で連続運転していたが、本形態のコールドトラップ装置10では、パルスチューブ冷凍機の運転を、低温パネル80の吸着能力に応じた最適な温度となるような電力とするだけでよく、無駄な電力消費を回避できる。
(5)検証のため実験を行い、本形態のように試料分析装置1の電子顕微鏡110では倍率10万倍では、低温パネル80を設置した方が画像の画質が向上することを確認した。
続いて、本発明の他の形態について、図を参照しつつ説明する。図3は他の形態の試料分析装置の説明図である。本形態の試料分析装置2では、先に説明した試料分析装置1と比較するとコールドトラップ装置の構造が相違するものであり、具体的に説明すると、図1,図2で示したパルス管冷凍機では接続管60が殆どなく、振動型圧縮機50、膨張機70および位相制御部90をほぼ一体に形成したものであったが、本形態では、振動型圧縮機50を他所に配置するため接続管60を長くするとともに、機械振動を伝えないようなコールドトラップ装置11とする点が相違する。
以下、相違点を重点的に説明し、他の構成は図1,図2,図8,図9を用いて説明した先の形態および従来技術と同様であるとして同じ符号を付すとともにその重複する説明を省略する。
振動型圧縮機50は、図3で示すように、本体130上に配置されている。なお、本体130と振動型圧縮機50との間にも、防振機構53を配置し、振動型圧縮機50からの機械振動を本体130へ伝えないようにしても良い。
接続管60は、細い銅パイプなどで構成されており、特に途中で弦巻状のバネ様部が形成され、振動型圧縮機50のピストン駆動による振動(図3では左右方向の振動)をバネ様部が吸収し、機械振動を吸収する機能を有している。なお、接続管60はバネ様部に限定するものではなく、例えば、S字状など、機械振動を吸収する各種形状を採用できる。
このような試料分析装置2では、コールドトラップ装置11の振動型圧縮機50と膨張機70を分離するとともに振動絶縁する接続管60を介在させる構成とすることで、先の形態で得られる振動による影響を排除する効果に加え、電子顕微鏡110は、振動型圧縮機50からの機械振動の影響をさらに低減できる。さらに、数万から数十万倍の倍率で使用する走査型電子顕微鏡(SEM)だけでなく、数十万から数百万倍の倍率で使用する透過型電子顕微鏡(TEM)でも適用することが充分に可能となる。
続いて他の形態について説明する。図4は他の形態の試料分析装置の説明図、図5はEDS検出器の説明図である。本形態では図1,図3の試料分析装置に加え、さらに図5のような構成を改良したEDS検出器100を搭載するものである。
EDS検出器100は、図5で示すように、クライオスタット101、パルスチューブ冷凍機109(振動型圧縮機106、熱交換器107a、蓄冷器107b、冷却端107c、パルス管107d、イナータンスチューブ108a、バッファタンク108b)、コールドフィンガー103、X線検出素子部104、移動部105を備える。ここで、X線検出素子部104の温度センサ104bは、図2で示すように、ハーメチック端子101dを介して制御電源部40へ接続される。なお、このハーメチック端子101dを使う代わりに、図示しないが、従来技術のようにコントローラ210を経由して制御電源部40と温度センサ104bとを接続するようにしても良い。
このように図7,図8で示した従来技術のGM方式の小型ガス循環方式冷凍機102を用いるEDS検出器100’に代えて、本形態のEDS検出器100は、振動型圧縮機106を搭載したパルスチューブ冷凍機109を用いる点が相違する。EDS検出器100におけるパルスチューブ冷凍機109以外の構成は図6,図7を用いて説明した従来技術と同様である。また、パルスチューブ冷凍機109は、先に説明したコールドトラップ装置10のパルスチューブ冷凍機と同等の構造を有するものであり、同じ名称を付すとともに重複する説明を省略する。このようなEDS検出器100では寒冷によりコールドフィンガー103(図2参照)を介してX線検出素子104aが冷却して検出性能を確保する。この本形態のように電子顕微鏡にEDS検出器を追加して、両機能を併用できるようにした試料分析装置としても良い。
本形態ではパルスチューブ冷凍機109がEDS検出器100に組み込まれて小型化が可能となり、冷却端107cをよりX線検出素子104aの近傍に設置できるため、熱損失を小さくして、より効果的にX線検出素子104aを冷却することができる。
本発明者は、検証のため実験を行い、本形態のように予冷運転中の試料分析装置3の電子顕微鏡20では倍率10万倍でも通常の液体窒素冷却の安定時(バブリングがない状態)における場合と画像に差がないことを確認した。
また、EDS検出器100の機能が良好であることも確認した。
以上本発明による試料分析装置1,2,3について説明した。このような試料分析装置1,2,3によれば、従来技術と比較しても、小型・軽量で、外部磁気の外乱に強くして検出性能を著しく向上させるとともに、試料室の水蒸気の吸着・再生が容易でランニングコストの小さくした試料分析装置とすることが可能である。
試料分析装置の電子顕微鏡の説明図である。 コールドトラップ装置の説明図である。 他の形態の試料分析装置の説明図である。 他の形態の試料分析装置の説明図である。 EDS検出器の説明図である。 従来技術のEDS検出器を搭載する試料分析装置の説明図である。 EDS検出器の説明図である。 電子顕微鏡の構成図である。 試料分析用回路の回路ブロック図であり、図9(a)は電子顕微鏡の回路ブロック図、図9(b)はEDS検出器の回路ブロック図である。
符号の説明
1,2,3:試料分析装置
10,11:コールドトラップ装置
20:ヒータ
30:温度センサ
40:制御電源部
50:振動型圧縮機
51:ピストン
52:シリンダ
60:接続管
70:膨張機
71:熱交換器
72:蓄冷器
73:冷却端
74:パルス管
80:低温パネル
90:位相制御部
91:イナータンスチューブ
92:バッファタンク
100:EDS検出器
101:クライオスタット
101a:本体部
101b:筒状部
101c:X線窓
103:コールドフィンガー
104:X線検出素子部
104a:X線検出素子
104b:温度センサ
105:移動部
105a:ガイドベース
105b,105c:ガイド部
105d:ガイドロッド
105e:アクチュエータ
105f:被ガイド部
110:電子顕微鏡
111:電子銃部
112:電子銃室
113:集束レンズ
114:対物レンズ・絞り
115:検出信号処理部
116:走査コイル
117:走査制御部
118:検出部
119:画像信号処理部
120:試料室
124:真空配管
125:バルブ
126:バルブ
127:高真空排気装置
128:試料台
129:防振機構
130:本体
140:連結管
141:本体部分
142:可撓部分
150:防振スタンド
160:錘
170:圧力変換バルブユニット
180:コンプレッサ
190:高圧ヘリウム配管
200:低圧ヘリウム配管
210:コントローラ
220:CRT表示部

Claims (8)

  1. 試料室と、
    試料室内を真空にする排気部と、
    試料室内に配置される低温パネルと、
    試料室内に設置され、低温パネル内に試料を載置する試料載置部と、
    圧縮機、膨張機および位相制御部を有し、試料周囲の異物を捕集するため低温パネルへ寒冷を供給するパルスチューブ冷凍機と、
    試料載置部に載置される試料に電子ビームを照射して試料から放射された電子により画像を得る電子顕微鏡と、
    を備える試料分析装置であって、
    低温パネルは、透磁性の高い金属材料で形成される円筒部を含む略回転体形状であって、その中心軸が電子ビームの照射軸と略同軸上となるように配置されることを特徴とする試料分析装置。
  2. 請求項1に記載の試料分析装置において、
    前記低温パネルの円筒部は、透磁率が大きいパーマロイと、熱伝導率が大きい無酸素銅と、による内外で二層構造であることを特徴とする試料分析装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の試料分析装置において、
    前記パルスチューブ冷凍機は、
    ピストンおよびこのピストンを往復動させる駆動部を含むリニアモータと、リニアモータが内部に収容されるシリンダと、を有し、シリンダの内部でピストンを往復動させて圧縮空間を区画形成し、この圧縮空間内の流体を周期的に圧縮する振動型圧縮機と、
    蓄冷器、冷却端、および、パルスチューブを有し、冷却端が低温パネルに連結されるとともに蓄冷器が振動型圧縮機に連結される膨張機と、
    イナータンスチューブ、および、バッファタンクを有し、イナータンスチューブが膨張機に連結される位相制御部と、
    を備えることを特徴とする試料分析装置。
  4. 請求項3に記載の試料分析装置において、
    前記パルスチューブ冷凍機は、
    振動型圧縮機と膨張器との間に連結される接続管を備えることを特徴とする試料分析装置。
  5. 請求項4に記載の試料分析装置において、
    前記接続管は弦巻状のバネ様部を備え、
    前記振動型圧縮機のピストン駆動による振動をバネ様部が吸収することを特徴とする試料分析装置。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の試料分析装置において、
    電流導入端子を介して電流線と接続され、前記低温パネルを加熱するヒータと、
    信号導出端子を介して信号線と接続され、前記低温パネルの温度を計測する温度センサと、
    電流線を介してヒータと、制御線を介してパルスチューブ冷凍機と、信号線を介して温度センサと、それぞれ接続される制御電源部と、
    を備え、
    この制御電源部は、温度センサが計測した低温パネルの温度に基づき、低温パネルの温度を所定温度とするようにパルスチューブ冷凍機またはヒータを制御することを特徴とする試料分析装置。
  7. 請求項6記載の試料分析装置において、
    前記ヒータは、冷却端または低温パネルに内蔵または当接するように配置され、
    前記温度センサは、冷却端または低温パネルに内蔵または当接するように配置されることを特徴とする試料分析装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の試料分析装置において、
    試料に電子ビームを照射して試料から放射された特性X線により試料を分析するEDS検出器と、
    一対のピストンを対向に配置した振動型圧縮機を有し、EDS検出器のX線検出素子を冷却するパルスチューブ冷凍機と、
    を備え、電子顕微鏡機能とEDS機能とを併有することを特徴とする試料分析装置。
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