JP2007077910A - 火花点火式エンジンの燃焼室構造 - Google Patents

火花点火式エンジンの燃焼室構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐ノッキング性能を向上させることにより、実用上有効に圧縮比を高めることができる火花点火式エンジンの燃焼室構造を提供する。
【解決手段】 シリンダヘッド下面11とピストン頂面4との間に形成され、シリンダヘッド下面11を天井壁とする燃焼室14と、天井壁11から燃焼室14内に先端が臨設された点火プラグ15とを含む火花点火式エンジンの燃焼室構造であって、ピストン13が上死点にある状態で、燃焼室内空間の主要部が点火プラグ15周辺の第1燃焼空間14aとシリンダボア周縁部の第2燃焼空間14bとによって形成され、ピストン頂面4と天井壁11との間隙が狭められた小間隙部5を介して第1燃焼空間14aと第2燃焼空間14bとが連通されているように構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、火花点火式エンジンの燃焼室の構造に関し、より詳しくは、シリンダヘッド下面とピストン頂面との間に形成され、上記シリンダヘッド下面を天井壁とする燃焼室の構造に関するものである。
近年、経済面のみならず、地球の温暖化防止という環境面においてもエンジンの燃費向上要求が一段と高まりつつある。火花点火式エンジンにおいて燃費を向上するには燃焼効率を高めれば良く、その有力な手段として圧縮比の増大が挙げられる。
圧縮比を高めるには、シリンダー容積に対して燃焼室容積を小さくすれば良い。そのような高圧縮比化に好適な燃焼室構造として、たとえばペントルーフ型の燃焼室構造が多く用いられている。この燃焼室構造は、吸気側の天井壁と排気側の天井壁とが屋根形をなすように形成されたものであって、比較的大きな吸排気バルブ径を確保しつつ、燃焼室容積を小さくすることができるという特徴がある。またスワール(ピストン摺動軸まわりの旋回流。横渦。)、タンブル(ピストン摺動軸に平行な面内の旋回流。縦渦。)、或いはスキッシュ(ピストン上昇時にピストンボア周縁部から中央部に押し出すような流れ)といった筒内流動を生成するうえでも有利な構造である。
例えば特許文献1乃至3には、各種の筒内流動を生成させて燃焼効率向上を図った燃焼室の構造が示されているが、その図示された断面構造から、何れもペントルーフ型燃焼室であると解される。
図9に、従来の一般的なペントルーフ型燃焼室の断面構造を示す。図9は、ピストン93が上死点にある状態を示している。燃焼室94は、シリンダブロック50のシリンダボア12と、ピストン頂面97と、燃焼室94に臨むシリンダヘッド10の下面である天井壁91とに囲まれた空間である。天井壁91は、吸気側天井壁91aと排気側天井壁91bとが屋根形をなすように形成されている。
シリンダボア12の径方向中央付近には、天井壁91から燃焼室94に先端が臨設された点火プラグ15が設けられている。
吸気側天井壁91aには、これに開口する2箇所の吸気ポート21が設けられており、各吸気ポート21には所定の吸気タイミングで開く吸気バルブ19が設けられている。また排気側天井壁91bには、これに開口する2箇所の排気ポート22が設けられており、各排気ポート22には所定の排気タイミングで開く排気バルブ20が設けられている。吸気バルブ19および排気バルブ20の、燃焼室94に臨む面は、それぞれ吸気側天井壁91aおよび排気側天井壁91bの一部を形成している。
なお、吸気バルブ19、排気バルブ20、吸気ポート21及び排気ポート22は、実際には図示の断面位置から紙面前後方向にオフセットして設けられているが、説明のために同図において同一断面に示している。
天井壁91の周縁部91dは、シリンダブロック50との合わせ面(詳しくは、シリンダヘッド10とシリンダブロック50との間に設けられた図略のヘッドガスケットとの合わせ面)と略同一面となっている。この天井壁周縁部91dは一般的にスキッシュエリアと呼ばれる。
特開平08−254126号公報 特開平08−049546号公報 特開2003−184559号公報
しかしながら、上記のように燃焼室構造を工夫する等して高圧縮比を実現したとしても、それで直ちに実用上有効な燃焼を行わせることができるとは限らない。良く知られているように、圧縮比を高めるとノッキング等の異常燃焼(以下ノッキング等という)が起こり易くなるからである。つまり実用上は、ノッキング等の発生しない範囲でしか圧縮比を高めることができない。
しかしそれは、ノッキング等の発生を抑制することができれば、つまり耐ノッキング性能を向上させることができれば、より圧縮比を高めることができることをも意味する。
本発明は、上記のような事情に鑑み、耐ノッキング性能を向上させることにより、実用上有効に圧縮比を高めることができる火花点火式エンジンの燃焼室構造を提供することを目的とする。
本願発明者は、前期主燃焼期間(燃焼質量の10%から90%が燃焼する主燃焼期間のうち、10%以上50%未満が燃焼する期間)では低速で燃焼させることによって筒内圧力や温度の上昇が抑制され、未燃燃料の過早着火が効果的に抑制されるので、高い耐ノッキング性能を得ることができ、後期主燃焼期間(主燃焼期間のうち、燃焼質量の50%以上90%未満が燃焼する期間)では未燃燃料を高速燃焼させて速やかに燃焼を完了させることにより、燃え残りを核とする自着火を抑制することができ、やはり耐ノッキング性能を高めることができ、燃焼全体としての主燃焼期間を殆ど延ばすことなく、効果的にノッキングを抑制することができる燃焼形態(以下当明細書において、後期重心型燃焼と称する)に着目し、鋭意研究を重ね、このような後期重心型燃焼を容易に行わせることのできる次のような火花点火式エンジンの燃焼室構造を見出した。
すなわち請求項1に係る発明は、シリンダヘッド下面とピストン頂面との間に形成され、上記シリンダヘッド下面を天井壁とする燃焼室と、上記天井壁から上記燃焼室内に先端が臨設された点火プラグとを含む火花点火式エンジンの燃焼室構造であって、ピストンが上死点にある状態で、上記燃焼室内空間の主要部が上記点火プラグ周辺の第1燃焼空間とシリンダボア周縁部の第2燃焼空間とによって形成され、上記ピストン頂面と上記天井壁との間隙が狭められた小間隙部を介して上記第1燃焼空間と上記第2燃焼空間とが連通されていることを特徴とする。
また請求項2に係る発明は、請求項1記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、上記小間隙部は、上記シリンダボアの径方向における、上記点火プラグから上記シリンダボア周縁との中間点よりも上記シリンダボア周縁寄りに形成されていることを特徴とする。
また請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、上記点火プラグが上記シリンダボアの径方向中央付近に設けられ、上記小間隙部が、上記点火プラグと上記シリンダボア周縁との間で環状に形成され、上記第2燃焼空間が、上記小間隙部の外周側に環状に形成されていることを特徴とする。
また請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、上記点火プラグが上記シリンダボアの径方向中央付近に設けられ、上記小間隙部のうち、その間隙が最も狭い最小間隙部が、上記点火プラグから少なくとも排気側の上記シリンダボア周縁部にかけての途中に形成されていることを特徴とする。
また請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、上記ピストンの冠部には、上記天井壁に向けて突出した凸部と、該凸部に対して相対的に没入した凹部とが形成されており、上記小間隙部は上記凸部の頂面と上記天井壁との間に形成され、上記第1燃焼空間および上記第2燃焼空間は上記凹部と上記天井壁との間に形成されていることを特徴とする。
また請求項6に係る発明は、請求項5記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、上記点火プラグが上記シリンダボアの径方向中央付近に設けられ、上記凸部が上記ピストンの周縁と略同心円の環状に形成され、上記凸部の突出量は、吸気側よりも上記排気側の方が相対的に大であることを特徴とする。
また請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、上記燃焼室は、吸気側天井壁と排気側天井壁とが屋根形をなすペントルーフ型であり、上記ペントルーフの稜線部と上記ピストン頂面との間隙が、周囲の上記天井壁と上記ピストン頂面との間隙に比べて大きく、上記第2燃焼空間かつ上記ペントルーフの稜線部に先端が臨設された第2点火プラグが付加的に設けられていることを特徴とする。
また請求項8に係る発明は、請求項7記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、スワール生成の吸気系が設けられ、上記第2点火プラグが、上記吸気バルブのスワール直上流に設けられていることを特徴とする。
また請求項9に係る発明は、請求項1乃至8記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造において、上記燃焼室は、上記吸気側天井壁と上記排気側天井壁とが屋根形をなすペントルーフ型であり、上記シリンダボア周縁部における上記天井壁が、上記シリンダヘッドのシリンダブロックとの合わせ面よりも上記シリンダブロックから離間する側にオフセットして形成されていることを特徴とする。
請求項1の発明によると、以下に述べるように、上述の後期重心型燃焼を容易に行わせることができる。そして上述のように、後期重心型燃焼によって耐ノッキング性能を向上させ、実用上有効に圧縮比を高めることができる。またそれを利用して燃費の向上を図ることができる。
本発明の構成によれば、前期主燃焼期間では主として点火プラグに近い第1燃焼空間で燃焼が行われ、後期主燃焼期間では主としてシリンダボア周縁部の第2燃焼空間で燃焼が行われる。一般的に、燃焼は火炎伝播によって進行し、その火炎面(火炎伝播の最前線)は、未燃ガスを押し出すようにして、点火プラグの電極付近に形成された火炎核を中心とする略同心球状に拡がって行く。
ところが本発明の構成では、第1燃焼空間と第2燃焼空間との間に、ピストン頂面と燃焼室天井壁との間隙が狭められた小間隙部が設けられている。火炎面に押し出された未燃ガスがこの小間隙部を通過する際、一種の絞り作用を受ける。その影響を受けて第1燃焼空間での燃焼の火炎伝播が抑制される。このため前期主燃焼期間における燃焼速度が比較的低く抑えられる。
そして火炎面が小間隙部を経て第2燃焼空間に達すると、もはや小間隙部による絞り作用の影響を受けないので、速やかに火炎伝播が進行する。つまり後期主燃焼期間における燃焼速度が比較的高くなる。
結局、全体として、前期主燃焼期間では比較的低速の燃焼が行われ、後期主燃焼期間では比較的高速の燃焼が行われるという、上述の後期重心型燃焼が行われることになるのである。
なお本願発明者は、本発明の燃焼室構造によって、耐ノッキング性能を悪化させることなく圧縮比を従来比で0.5以上高めることができることを確認している。
請求項2の発明によると、以下に述べるように初期燃焼期間(主燃焼期間より前の、燃焼質量の10%が燃焼するまでの期間)を早期に完了させ、主燃焼期間への移行遅れを効果的に防止することができる。
上記のように、前期主燃焼期間では主として第1燃焼空間で燃焼が行われる。従って、その前段階の初期燃焼期間も主として第1燃焼空間で燃焼が行われる。ここで、点火プラグと小間隙部との距離が近すぎると、初期燃焼期間での燃焼が小間隙部による絞り作用の影響を強く受けてしまい、燃焼速度が低下してしまう。初期燃焼期間での燃焼速度が低下すると、主燃焼期間への移行が遅れてしまい、燃焼全体の遅れに繋がるので好ましくない。
そこで本発明の構成によれば、小間隙部が、シリンダボアの径方向における、点火プラグからシリンダボア周縁との中間点よりもシリンダボア周縁寄りに形成されている。つまり点火プラグと小間隙部とが適度に離間しているので、初期燃焼期間での燃焼に小間隙部による絞り作用の影響が殆ど及ばないようにすることができる。
但し、小間隙部をシリンダボア周縁に寄せ過ぎると、第2燃焼空間を充分確保することが困難となる。従って小間隙部は、点火プラグからシリンダボア周縁との中間点よりはシリンダボア周縁寄りであり、かつシリンダボア周縁からもある程度離間した適所に形成させるのが好ましい。その適所はエンジンの特性等によって異なるが、概ね点火プラグからシリンダボア周縁までの距離の60〜85%の範囲内にある。
請求項3の発明によると、以下に述べるように、より顕著な後期重心型燃焼を実現することができ、耐ノッキング性能向上効果を一層高めることができる。
本発明の構成によれば、小間隙部が点火プラグとシリンダボア周縁との間で環状に形成されている。つまり第1燃焼空間を取り囲むように小間隙部が設けられている。従って小間隙部の絞り作用がより均等に第1燃焼空間での燃焼に及び、前期主燃焼期間における燃焼速度低減効果を一層高めることができる。
また本発明の構成によれば、第2燃焼空間が小間隙部の外周側に環状に形成されているので、より均等に火炎面が第2燃焼空間に到達する。このため、後期主燃焼期間における燃焼を一層速やかに行うことができる。
結局、前期主燃焼期間においてはより低速の燃焼が行われ、後期主燃焼期間においてはより高速の燃焼が行われるという、メリハリの利いた顕著な後期重心型燃焼を実現することができるのである。
請求項4の発明によると、以下に述べるように、全体的により均等な火炎伝播速度を得ることができ、円滑な燃焼を図ることができる。
上述したように、火炎面は点火プラグの電極付近に形成された火炎核を中心とする略同心球状に拡がって行くが、より厳密には、排気側(排気バルブ側)への伝播速度が吸気側(吸気バルブ側)への伝播速度よりもやや高くなっている。高温の排気側では、より燃焼反応が促進されるからである。
本発明の構成によれば、点火プラグから少なくとも排気側のシリンダボア周縁部にかけての途中に最小間隙部が形成されているので、この最小間隙部による強い絞り作用によって、排気側への火炎伝播が特に抑制される。
高くなりがちな排気側への火炎伝播速度が比較的強く抑制されることにより、全体的にはより均等な火炎伝播速度を得ることができ、円滑な燃焼を図ることができる。また請求項3に従属させた場合は、火炎面の第1燃焼空間から第2燃焼空間への移行を、より均等に行わせることができるので、耐ノッキング性能向上効果を一層高めることができる。
請求項5の発明によると、ピストン冠部に凹凸を設けるという簡単な構造で第1燃焼空間、小間隙部および第2燃焼空間を形成することができる。
請求項6の発明によると、ピストン冠部に凹凸を設けるという簡単な構造で、請求項3に従属する請求項4の第1燃焼空間、小間隙部および第2燃焼空間を形成することができる。
請求項7の発明によると、比較的大きな吸排気バルブ径を確保しつつ、燃焼室容積を小さくすることができるというペントルーフ型燃焼室の特徴を利用して、より容易に高圧縮比化を図ることができる。
またペントルーフ型燃焼室には、その天井稜線部におけるピストン頂部との間隙が比較的広いという特徴がある。本発明の構成ではその間隙の広い箇所に第2点火プラグを設けているので、レイアウトを容易に行うことができる。そして第2燃焼空間への火炎伝播の遅れが懸念されるような場合でも、第2点火プラグによって、適時に第2燃焼空間での燃焼を行わせることができる。
請求項8の発明によると、吸気バルブのスワール直上流に第2点火プラグが設けられているので、第2点火プラグからの火炎がスワールに乗って吸気側に速やかに伝播される。したがって、吸気側の第2燃焼空間への火炎伝播の遅れが懸念されるような場合でも、適時に吸気側の第2燃焼空間での燃焼を行わせることができる。
請求項9の発明によると、第2燃焼空間をより広くとることができる。従来のペントルーフ型燃焼室構造において、シリンダボア周縁部に対応するシリンダヘッド(燃焼室の周縁天井部)は、シリンダブロックとの合わせ面と略同一面となっている(図9の天井壁周縁部91d参照)。これに対し本発明の構成では、燃焼室の天井壁を、シリンダブロックから離間する側にオフセットして形成しているので、その分、第2燃焼空間を広くとることができるのである。
図1は本発明の第1実施形態に係る火花点火式エンジンの燃焼室構造を示す縦断面図である。また図2は、その主要部の拡大図である。さらに図3は、図1のIII−III線断面図である。
当実施形態の燃焼室14はペントルーフ型であり、図1ないし図3には、ピストン13が上死点にある状態を示している。燃焼室14は、シリンダブロック50のシリンダボア12と、ピストン頂面4と、燃焼室14に臨むシリンダヘッド10の下面である天井壁11とに囲まれた空間である。天井壁11は、吸気側天井壁11aと排気側天井壁11bとが屋根形をなすように形成されている。
シリンダボア12の径方向中央付近には、天井壁11から燃焼室14に先端が臨設された点火プラグ15が設けられている。
吸気側天井壁11aには、これに開口する2箇所の吸気ポート21が設けられており、各吸気ポート21には所定の吸気タイミングで開く吸気バルブ19が設けられている。また排気側天井壁11bには、これに開口する2箇所の排気ポート22が設けられており、各排気ポート22には所定の排気タイミングで開く排気バルブ20が設けられている。吸気バルブ19および排気バルブ20の、燃焼室14に臨む面は、それぞれ吸気側天井壁11aおよび排気側天井壁11bの一部を形成している。
なお、図1及び図2に示す吸気バルブ19、排気バルブ20、吸気ポート21及び排気ポート22は、実際には図示の断面位置から紙面前後方向にオフセットして設けられているが、説明のために同図において同一断面に示している(図3参照)。
図2に示すように、天井壁11の周縁部である天井壁周縁部11dは、シリンダブロック50との合わせ面(詳しくは、シリンダヘッド10とシリンダブロック50との間に設けられた図略のヘッドガスケットとの合わせ面)よりもシリンダブロック50から離間する側にオフセットして形成されている。
燃焼室14は、ピストン13が上死点にある状態で、燃焼室14内空間の主要部が点火プラグ15周辺の第1燃焼空間14aとシリンダボア12周縁部の第2燃焼空間14bとによって形成されている。そして第1燃焼空間14aと第2燃焼空間14bとは、ピストン頂面4と天井壁11との間隙が狭められた小間隙部5を介して連通されている。
ここで、ピストン13の形状、特に冠部の形状について説明する。図4はピストン13の斜視図である。以下の説明で、ピストン13の上下方向は図示状態での上下方向とする。つまり組立状態で天井壁11に近い方を上とする。
ピストン冠部13aには、ピストン13の外周と略同心円の環状をなして上方に突出する凸部6が設けられている。そして凸部6の内周側および外周側には、凸部6に対して相対的に没入した凹部が形成されている。すなわち凸部6の内周側には中央側凹部7、外周側には周縁側凹部8が形成されている。
凸部6の詳細形状は、所定の高さ及び幅をもって上方に突出する環状体の、吸気側および排気側を、それぞれ内周側上方から外周側下方に向けて平斜面で削ぎ落としたような形状となっている。その削ぎ落としの切り口に相当する各面が吸気側凸部頂面9aおよび排気側凸部頂面9bを形成している。
図4には、図2に示す断面位置での凸部6の断面をそれぞれ吸気側凸部断面6aおよび排気側凸部断面6bで示している。これらを比較しても明らかなように、凸部6は吸気側が排気側よりも大きく削ぎ落とされたような形状となっている。従って、ピストン冠部13aの中心から、図2の左右方向に同一距離離反した位置で比較すると、排気側凸部頂面9bの高さは吸気側凸部頂面9aの高さより高くなっている。
凸部6の上端面である凸部頂面9の、吸気側凸部頂面9a或いは排気側凸部頂面9b以外の部分は、略水平で平坦な凸部平坦頂面9cとなっている。凸部平坦頂面9cの平均半径はピストン13の平均半径の半分よりもやや大きくなっている。
中央側凹部7は、凸部6の内周側で、凸部6に対して相対的に没入した部分である。中央側凹部7は、中央の平坦部まで緩やかに湾曲した椀状の壁面を有している。
周縁側凹部8は、凸部6の外周側で、凸部6に対して相対的に没入した部分である。周縁側凹部8は略水平な円環形状となっている。
次に、図2を参照して再び燃焼室14の詳細構造について説明する。第1燃焼空間14aは、ピストン13の中央側凹部7と天井壁11との間に形成されている。また第2燃焼空間14bは、ピストン13の周縁側凹部8と天井壁11(詳しくは天井壁周縁部11d)との間に環状に形成されている。
そして第1燃焼空間14aと第2燃焼空間14bとを連通する小間隙部5は、ピストン13の凸部頂面9と天井壁11との間に環状に形成されている。上述のように、凸部平坦頂面9cの平均半径がピストン13の平均半径の半分よりもやや大きいので、小間隙部5は、シリンダボア12の径方向における、点火プラグ15からシリンダボア周縁との中間点よりもシリンダボア周縁寄りに形成されている。その最適位置は、エンジンの特性等によって異なるが、概ね点火プラグ15からシリンダボア周縁までの距離の60〜85%の範囲内にある。
小間隙部5は、詳細には小間隙部5a、最小間隙部5b、小間隙部5cおよび小間隙部5d(図3参照)からなる。
小間隙部5aは、ピストン13の吸気側凸部頂面9aと、これに対向する天井壁11との間の間隙である。最小間隙部5bは、ピストン13の排気側凸部頂面9bと、これに対向する天井壁11との間の間隙である。上述のように排気側凸部頂面9bが吸気側凸部頂面9aより高い位置にある(比較のため、図2の吸気側凸部頂面9a近傍に、排気側凸部頂面9bに対応する形状を二点差線で示す)ので、最小間隙部5bは小間隙部5aより狭い。また最小間隙部5bは他の小間隙部5cや小間隙部5dよりも狭く、小間隙部5のなかで最小の間隙となっている。
小間隙部5cは、ピストン13の凸部平坦頂面9cと、これに対向する天井壁11との間の間隙である。小間隙部5cは、天井壁11が低い箇所ほど狭く、天井壁11が高くなるほど、つまり稜線部11c(図3参照)に近づくほど広くなる。小間隙部5dは、その稜線部11cと凸部平坦頂面9cとの間隙であって、小間隙部5のうちで最も広い間隙となっている。
次に、当実施形態の燃焼室構造を有する火花点火式エンジンの動作について説明する。
まず吸気行程において吸気バルブ19が開くとともに、ピストン13が降下する。それに伴って吸気ポート21から燃焼室14内に混合気が負圧吸引される。
続く圧縮行程において吸気バルブ19が閉じるとともに、ピストン13が上昇する。それに伴って、燃焼室14内の混合気が圧縮され、温度と圧力が上昇する。圧縮行程の終盤、つまりピストン13が図2に示す上死点付近まで上昇したとき、点火プラグ15の電極から火花が飛ばされる。その火花によって点火プラグ15の電極付近の混合気が着火し、火炎核が形成される。
続く膨張行程では、火炎核の火炎面が略球状に拡がりながら燃焼が進行する。燃焼によって急速に高められた筒内圧力によってピストン13が押し下げられる。ピストン13を押し下げる力が図外のコンロッド等を介して図外の出力軸(クランクシャフト)の回転駆動力となる。
続く排気行程では排気バルブ20が開くとともにピストン13が上昇に転じる。ピストン13の上昇によって既燃ガス(排ガス)が排気ポート22から押し出され、排出される。
以上の吸気、圧縮、膨張および排気からなる4行程を繰り返すことによってエンジンが連続運転される(4サイクルエンジン)。また多気筒エンジンの場合は、気筒ごとに上記の各行程をずらした設定とすることにより、より滑らかで振動や騒音の少ないエンジンとすることができる。
次に、上記膨張行程で行われる燃焼について詳細に説明する。この燃焼は、当明細書で後期重心型燃焼と呼ぶ燃焼形態を呈する。後期重心型燃焼は、端的に表現すれば前期主燃焼期間(燃焼質量の10%以上50%未満が燃焼する期間)での燃焼速度が比較的低く、後期主燃焼期間(燃焼質量の50%以上90%未満が燃焼する期間)での燃焼速度が比較的高い燃焼形態である。後期重心型燃焼は、当実施形態の燃焼室構造と密接な関係があり、この燃焼室構造によってなし得る燃焼形態である。
後期重心型燃焼について、燃焼室構造と関連付けながら説明する。まず、点火プラグ15の電極から火花が飛ばされると、その周囲の混合気が着火し、火炎核が形成される。そしてその火炎面(火炎伝播の最前線)が略同心球状に拡がりながら伝播する。つまり第1燃焼空間14aにおいて燃焼が行われる。その際、火炎面は未燃ガスを押し出すようにして拡がって行く。
ところが、第1燃焼空間14aの外側には小間隙部5が設けられている。従って、火炎面に押し出された未燃ガスが小間隙部5を通過する際、一種の絞り作用を受ける。その影響を受けて火炎伝播が抑制される。このため第1燃焼空間14aにおける燃焼速度が比較的低く抑えられる。
そして火炎面が小間隙部5を経て第2燃焼空間14bに達すると、もはや小間隙部5による絞り作用の影響を受けないので、速やかに火炎伝播が進行する。つまり第2燃焼空間14bにおける燃焼速度が比較的高くなる。
こうして、主として第1燃焼空間14aでの前期主燃焼期間には比較的低速の燃焼が行われ、主として第2燃焼空間14bでの後期主燃焼期間には比較的高速の燃焼が行われるという、後期重心型燃焼が行われることになる。
また当実施形態では、点火プラグ15をシリンダボア12の径方向中央付近に設け、小間隙部5を、点火プラグ15とシリンダボア周縁との間で環状に形成し、第2燃焼空間14bを、小間隙部5の外周側に環状に形成しているので、小間隙部5の絞り作用がより均等に第1燃焼空間14aでの燃焼に及び、その燃焼速度低減効果を一層高めている。
さらに第2燃焼空間14bが小間隙部5の外周側に環状に形成されているので、より均等に火炎面が第2燃焼空間14bに到達する。このため、第2燃焼空間14bでの燃焼を一層速やかに行うことができる。
結局、前期主燃焼期間においてはより低速の燃焼が行われ、後期主燃焼期間においてはより高速の燃焼が行われるという、メリハリの利いた顕著な後期重心型燃焼を実現している。
ところで、上述したように、火炎面は点火プラグ15の電極付近に形成された火炎核を中心とする略同心球状に拡がって行くが、より厳密には、排気側への伝播速度が吸気側への伝播速度よりもやや高くなっている。高温の排気側では、より燃焼反応が促進されるからである。当実施形態では、最小間隙部5bによって、排気側へのガス流を他よりも強く絞っているので、高くなりがちな排気側への火炎伝播速度が比較的強く抑制される。これにより、全体的にはより均等な火炎伝播速度を得ることができ、円滑な燃焼を図ることができる。また火炎面の第1燃焼空間14aから第2燃焼空間14bへの移行を、より均等に行わせることができる。
図5は、当実施形態の後期重心型燃焼における燃焼特性を示す特性図である。横軸にクランク角(°CA)、縦軸に燃焼質量割合(%)を示す。燃焼質量割合とは、燃焼した燃料の質量全体を100%とし(無次元化)、当該クランク角時点までに燃焼した燃料の積算値を示したものである。
図示のように、燃焼質量割合が10%未満の領域を初期燃焼領域81といい、その期間を初期燃焼期間θという。また燃焼質量割合が10%以上90%未満の領域を主燃焼領域80という。主燃焼領域80は50%を境にして前期と後期に分けられ、燃焼質量割合が10%以上50%未満の領域を前期主燃焼領域80aといい、50%以上90%未満の領域を後期主燃焼領域80bという。そして前期主燃焼領域80aの期間を前期主燃焼期間θといい、後期主燃焼領域80bの期間を後期主燃焼期間θという。
図5には、当実施形態の燃焼特性T1を示すとともに、比較のために従来の一般的な燃焼特性T1’を併記している。なお図5は、エンジン回転速度が1500rpmで、高負荷運転状態での燃焼特性を示す。
当実施形態の燃焼特性T1では、初期燃焼期間θは点火時期〜約3°CA、前期主燃焼期間θは約3〜約13°CA、後期主燃焼期間θは約13〜約20°CAとなっている。一方、従来の燃焼特性T1’では、初期燃焼期間θ’は点火時期〜約4°CA、前期主燃焼期間θ’は約4〜約13°CA、後期主燃焼期間θ’は約13〜約21°CAとなっている。
つまり当実施形態の燃焼特性T1は、従来の燃焼特性T1’に比べ、初期燃焼期間θが約1°CA短縮され、前期主燃焼期間θが約1°CA延ばされ、後期主燃焼期間θが約1°CA短縮されている。これは、主として第1燃焼空間14aで燃焼が行われる前期主燃焼期間θでは燃焼速度が相対的に低く、主として第2燃焼空間14bで燃焼が行われる後期主燃焼期間θでは燃焼速度が相対的に高くなっていることを示している。つまり後期重心型燃焼となっていることがわかる。
また初期燃焼期間θ及び前期主燃焼期間θでの燃焼は、ともに主として第1燃焼空間14aでの燃焼であるが、初期燃焼期間θはむしろ短縮されている。これは、小間隙部5が、点火プラグ15に近すぎない適所(詳しくは点火プラグ15からシリンダボア周縁までの距離の60〜85%の範囲内の適所)に設けられていることによって、小間隙部5による絞り作用の影響が初期燃焼期間θにまでは及んでいないことを示している。
図6は、図5に示す燃焼特性を別の視点から表した特性図である。横軸にクランク角(°CA)、縦軸に熱発生率(%)を示す。ここで熱発生率とは、図5の熱発生割合の微分値であり、燃焼による全体の熱発生量を100%とし(無次元化)、当該クランク角時点における熱発生量の割合を示したものである。
図6には、当実施形態の燃焼特性T2を示すとともに、比較のために従来の一般的な燃焼特性T2’を併記している。特性T2’と比較して、特性T2の顕著な特徴として、前期主燃焼期間θにおいて傾きの緩やかな棚部T2aを有している点、および後期主燃焼期間θにおいて最大熱発生率の極大値が大きくなっている点である。この二点が後期重心型燃焼を特徴付けるものとなっている。
棚部T2aについて説明すると、これは、初期燃焼期間θから前期主燃焼期間θに移行後、熱発生率の増大率が一時的に低下していることを示している。これは小間隙部5による絞り効果によって、前期主燃焼期間θでの燃焼速度が比較的低くなったからであると考えられる。
その後、後期主燃焼期間θにおいて最大熱発生率の極大値が大きくなっている点については、比較的多く残留した未燃燃料が、充分な容積が確保された第2燃焼空間14bで高速で燃焼したためであると考えられる。
以上のように、当実施形態の燃焼室構造によれば、簡単な構造で後期重心型燃焼を容易に行わせることができる。そして上述のように、後期重心型燃焼を行わせることにより、
耐ノッキング性能を向上させ、実用上有効に圧縮比を高めることができる。本願発明者は、例えば従来構造と同程度の耐ノッキング性能を確保した場合、圧縮比を0.5以上高めることができることを確認した。そして圧縮比を高めることにより燃焼効率を高め、燃費を向上させることができる。
次に、本発明に係る第2実施形態について、図7および図8を参照して説明する。
図7は、第2実施形態の燃焼室構造の、図1のIII−III線に相当する位置での断面図である。図8は、スワールと火炎伝播についての説明図であり、(a)は吸気側天井壁をピストン側から見た平面図、(b)および(c)は、スワール生成吸気系の吸気ポート形状を示す図である。
当実施形態の第1実施形態に対する主な相違点は、点火プラグ15に加えて第2点火プラグ15aおよび第3点火プラグ15bが設けられている点(図7および図8(a)参照)と、スワール生成吸気系23が設けられている点(図8(a)参照)である。
図7に示すように、第2点火プラグ15aおよび第3点火プラグ15bは、ペントルーフ型の吸気側天井壁11aと排気側天井壁11bとの合わせ部、つまり稜線部11c上に、それぞれ先端が第2燃焼空間14bに臨むように設けられている。ペントルーフ型の燃焼室14は、構造上、稜線部11c付近における天井壁11とピストン頂面4との間隙が比較的広くなっている。従って、第2,第3点火プラグ15a,15bを比較的容易にレイアウトすることができる。
スワール生成吸気系23は、強いスワール(ピストン摺動軸まわりの旋回流。横渦。)を起こさせるための公知の吸気系である。当実施形態では吸気バルブ19が1気筒あたり2箇所に設けられ、それぞれに対応する吸気ポート(プライマリ側およびセカンダリ側)が設けられている。プライマリ側には図8(c)に示すストレートポート21aが設けられ、セカンダリ側には図8(b)に示すハイフローポート21bが設けられている。ストレートポート21aは、ハイフローポート21bに対し、比較的浅い角度(ピストン摺動軸に対して、より垂直に近い角度)で燃焼室14に開口している。
次に、当実施形態の燃焼室構造を有する火花点火式エンジンの動作について説明する。但し第1実施形態と重複する部分については適宜省略して記す。
まず吸気行程において、スワール生成吸気系23によって強いスワールを起こさせるような吸気が行われる。具体的には、プライマリ側のストレートポート21aでは、吸気バルブ19を大きく開き(図8(c)の状態)、セカンダリ側のハイフローポート21bでは、吸気バルブ19を閉じるか、小さく開く(図8(b)の状態)。こうすることにより、図8(a)の状態で右回りの強いスワール75(図では模式的に示している)が発生する。
そのスワールは、続く圧縮行程でも多くが保存される。そして圧縮行程の終盤で点火プラグ15、第2点火プラグ15aおよび第3点火プラグ15bのそれぞれの電極から火花が飛ばされる。火花は、同時に飛ばしても良いし、適宜時間をずらして飛ばしても良い。その火花によって点火プラグ15、第2点火プラグ15aおよび第3点火プラグ15bの各電極付近の混合気が着火し、火炎核が形成される。
続く膨張行程では、火炎核の火炎面が略球状に拡がりながら燃焼が進行する。図8(a)に、その様子を模式的に二点鎖線の火炎伝播等時線70で示している。但しこの火炎伝播等時線70は、次に述べるスワール75の効果を考慮しない場合のものである。この火炎伝播等時線70は、吸気側が排気側に比べて密になっている。これは排気側へ向かう火炎伝播速度よりも吸気側へ向かう火炎伝播速度の方が低速であることを示している。つまり、このままでは吸気側の第2燃焼空間14bへの火炎伝播遅れが懸念される状態となっている。
ここで、第2点火プラグ15aおよび吸気バルブ19付近のスワール75に着目すると、吸気バルブ19のスワール直上流に第2点火プラグ15aが設けられている。こうすることにより、第2点火プラグ15aからの火炎がスワール75に乗って吸気側に速やかに伝播される。したがって、吸気側の第2燃焼空間14bへの火炎伝播遅れが効果的に抑制され、適時に吸気側の第2燃焼空間14bでの燃焼がなされる。
このように、当実施形態によれば、吸気側の第2燃焼空間14bへの火炎伝播の遅れが懸念されるような場合でも、適時に吸気側の第2燃焼空間14bでの燃焼を行わせることができる。従って、効果的な後期重心型燃焼を行わせることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲内で種々の変形を行っても良い。
例えば上記各実施形態は、本発明を4サイクルエンジンに適用した場合を示しているが、それ以外の、例えば2サイクルエンジンに適用しても良い。
第1実施形態において、燃焼室14の形状はペントルーフ型が望ましいが、それ以外、例えば半球形型(ドーム型)、多球形型等であっても良い。
また、点火プラグ15をシリンダボア12の径方向中央付近に設け、第1燃焼空間14aを囲むように小間隙部5と第2燃焼空間14bを環状に配設することが望ましいが、必ずしもそのようにする必要はない。例えば小間隙部5において、環状の一部が切り欠かれたような形状であっても良い。また必要に応じて、単一の点火プラグ15をシリンダボア12の周縁部付近に設けたものであっても良い。
最小間隙部5bは、点火プラグ15から少なくとも排気側のシリンダボア周縁部にかけての途中に形成されていることが望ましいが、必ずしもそのようにする必要はない。例えば、吸気側の小間隙部5aに相当する位置に最小間隙部を設けても良い。
第2実施形態において、第3点火プラグ15bは必ずしも設けなくても良い。第3点火プラグ15bは、排気バルブ20のスワール直上流に設けられているので、第3点火プラグ15b付近から排気側に向かうスワール75に乗せて火炎を伝播させることができる。従って、排気側へもより速やかに火炎伝播させることができるという利点がある。なお、点火プラグ15に付加的に設ける点火プラグとして、第2点火プラグ15aと第3点火プラグ15bの何れか一方を選択する場合には、第2点火プラグ15aを選択する方が望ましい。通常、火炎伝播は吸気側に向かう方が排気側に向かうよりも遅いところ、第2点火プラグ15aによれば、その火炎伝播遅れを効果的に抑制することができるという大きな効果が期待できるからである。
本発明の第1実施形態に係る火花点火式エンジンの燃焼室構造を示す縦断面図である。 図1の主要部の拡大図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1に示すピストンの斜視図である。 第1実施形態の後期重心型燃焼における燃焼特性を示す特性図である。 図5に示す燃焼特性を微分した特性図である。 本発明の第2実施形態に係る燃焼室構造の、図1のIII−III線に相当する位置での断面図である。 第2実施形態におけるスワールと火炎伝播についての説明図であり、(a)は吸気側天井壁をピストン側から見た平面図、(b)および(c)は、スワール生成吸気系の吸気ポート形状を示す図である。 従来の一般的なペントルーフ型燃焼室の縦断面図である。
符号の説明
4 ピストン頂面
5 小間隙部
5b 最小間隙部
6 凸部
7 中央側凹部(凹部)
8 周縁側凹部(凹部)
9 凸部頂面
10 シリンダヘッド
11 天井壁(シリンダヘッド下面)
11a 吸気側天井壁
11b 排気側天井壁
11c 稜線部
11d 天井壁周縁部(シリンダボア周縁部における天井壁)
12 シリンダボア
13 ピストン
13a ピストン冠部
14 燃焼室
14a 第1燃焼空間
14b 第2燃焼空間
15 点火プラグ
15a 第2点火プラグ
19 吸気バルブ
23 スワール生成吸気系
50 シリンダブロック
75 スワール

Claims (9)

  1. シリンダヘッド下面とピストン頂面との間に形成され、上記シリンダヘッド下面を天井壁とする燃焼室と、
    上記天井壁から上記燃焼室内に先端が臨設された点火プラグとを含む火花点火式エンジンの燃焼室構造であって、
    ピストンが上死点にある状態で、上記燃焼室内空間の主要部が上記点火プラグ周辺の第1燃焼空間とシリンダボア周縁部の第2燃焼空間とによって形成され、
    上記ピストン頂面と上記天井壁との間隙が狭められた小間隙部を介して上記第1燃焼空間と上記第2燃焼空間とが連通されていることを特徴とする火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  2. 上記小間隙部は、上記シリンダボアの径方向における、上記点火プラグから上記シリンダボア周縁との中間点よりも上記シリンダボア周縁寄りに形成されていることを特徴とする請求項1記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  3. 上記点火プラグが上記シリンダボアの径方向中央付近に設けられ、
    上記小間隙部が、上記点火プラグと上記シリンダボア周縁との間で環状に形成され、
    上記第2燃焼空間が、上記小間隙部の外周側に環状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  4. 上記点火プラグが上記シリンダボアの径方向中央付近に設けられ、
    上記小間隙部のうち、その間隙が最も狭い最小間隙部が、上記点火プラグから少なくとも排気側の上記シリンダボア周縁部にかけての途中に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  5. 上記ピストンの冠部には、上記天井壁に向けて突出した凸部と、該凸部に対して相対的に没入した凹部とが形成されており、
    上記小間隙部は上記凸部の頂面と上記天井壁との間に形成され、
    上記第1燃焼空間および上記第2燃焼空間は上記凹部と上記天井壁との間に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  6. 上記点火プラグが上記シリンダボアの径方向中央付近に設けられ、
    上記凸部が上記ピストンの周縁と略同心円の環状に形成され、
    上記凸部の突出量は、吸気側よりも上記排気側の方が相対的に大であることを特徴とする請求項5記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  7. 上記燃焼室は、吸気側天井壁と排気側天井壁とが屋根形をなすペントルーフ型であり、
    上記ペントルーフの稜線部と上記ピストン頂面との間隙が、周囲の上記天井壁と上記ピストン頂面との間隙に比べて大きく、
    上記第2燃焼空間かつ上記ペントルーフの稜線部に先端が臨設された第2点火プラグが付加的に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  8. スワール生成の吸気系が設けられ、
    上記第2点火プラグが、上記吸気バルブのスワール直上流に設けられていることを特徴とする請求項7記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
  9. 上記燃焼室は、上記吸気側天井壁と上記排気側天井壁とが屋根形をなすペントルーフ型であり、
    上記シリンダボア周縁部における上記天井壁が、上記シリンダヘッドのシリンダブロックとの合わせ面よりも上記シリンダブロックから離間する側にオフセットして形成されていることを特徴とする請求項1乃至8記載の火花点火式エンジンの燃焼室構造。
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