JP6201628B2 - エンジンのピストン構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストン頂部を形成するクラウン部と、このクラウン部の外周部に連なるトップランド部とを有するエンジンのピストン構造に関する。
従来より、火花点火式ガソリンエンジンの理論熱効率を向上させるため、幾何学的圧縮比を12以上の高圧縮比に設定した火花点火式直噴エンジンが知られている。
この高圧縮比に設定された火花点火式直噴エンジンは、熱効率で有利になる反面、エンジンの運転状態が低速域且つ中・高負荷領域において過早着火やノッキングといった異常燃焼を招く虞がある。
ノッキングにより燃焼室内において高圧部が生じた場合、この高圧部に起因して圧力波がピストンのトップランド部とシリンダ壁面との間の隙間に侵入する。
圧力波はトップランド部に打撃を与える衝撃波であるため、トップランド部の表面に減肉現象であるエロージョン(侵食)が発生し、表面荒れを生じることがある。
そこで、トップランド部とシリンダ壁面との間の隙間に侵入した圧力波を効果的に外部空間に逃がすことでトップランド部の表面荒れを防止する技術が提案されている。
特許文献1のエンジンのピストン構造は、ピストンのトップランド外周側面に周方向に延びる周方向溝部を設け、この周方向溝部にピストン頂部に開放する端部を設けている。
これにより、圧力波がトップランド部とシリンダ壁面との間の隙間に侵入した場合であっても、圧力波を周方向溝部を介してピストン頂部に開放することができ、圧力波の打撃によるトップランド部の表面荒れを抑制することができる。
特開2012−117501号公報
特許文献1のエンジンのピストン構造は、トップランド部とシリンダ壁面との間の隙間に侵入した圧力波をピストン頂部に開放するため、複数箇所から隙間に侵入した圧力波の衝突による増幅を防止してトップランド部表面のエロージョン発生を対策している。
しかし、特許文献1のように、トップランド部に周方向溝部やピストン頂部に開放する端部を設けたとしても、トップランド部に対するエロージョン対策としては十分ではなく、依然としてトップランド部表面に表面荒れを生じる虞がある。
即ち、圧力波がトップランド部とシリンダ壁面との間の隙間に侵入したとき、隙間による空洞共鳴に起因した増幅作用によって圧力波が増幅され、この増幅された圧力波がトップランド部を直接的に打撃することから、単一箇所から侵入した単一の圧力波でも圧力波の衝撃がピストンのトップランド部の表面疲労強度を越えた場合には、トップランド部表面にエロージョンを発生させる可能性がある。
また、特許文献1のエンジンのピストン構造では、ピストン頂部の下方で且つトップリング溝の上方のトップランド外周側面に側方に開放した周方向溝部を設けるため、通常燃焼時であっても、トップランド外周側面に形成された周方向溝部内には火炎が伝播し難く、周方向溝部内に未燃ガスであるHCが発生し、エミッション性が低下する虞がある。
しかも、トップランド外周側面の周方向溝部やピストン頂部に開放する端部を形成するため、ピストン構造が複雑化し、生産コストの上昇を招く虞もある。
本発明の目的は、生産コストを抑えつつ、ノッキングに起因するエロージョン抑制とエミッション性向上とを両立できるエンジンのピストン構造等を提供することである。
請求項1のエンジンのピストン構造は、ピストン頂部を形成するクラウン部と、このクラウン部の外周部に連なるトップランド部とを有するピストンと、シリンダ内の前記ピストンの上方に形成された燃焼室内の混合気に点火する点火プラグとを備えたエンジンのピストン構造において、前記クラウン部は、前記トップランド部の上面部と、前記上面部から上方へ隆起した隆起部とを有し、前記クラウン部とトップランド部の境界近傍部の周方向の少なくとも一部に自己着火に起因した圧力波を上方へ反射させるための径方向内方へ縮径した第1縮径段部を設け、前記第1縮径段部が、前記トップランド部の外周側面部から上側程縮径するテーパ状に形成された面取り部と、前記面取り部の上端部から径方向内側に向けて略水平状に延びる横壁部と、前記横壁部の径方向内側端部から上方に延びる第1縦壁部と、前記縦壁部の上端部から前記上面部の径方向外側端部に向けて上側程縮径するテーパ状に形成されたテーパ面部とを備えたことを特徴としている。
このエンジンのピストン構造では、クラウン部とトップランド部の境界近傍部の周方向の少なくとも一部に自己着火に起因した圧力波を上方へ反射させるための径方向内方へ縮径した第1縮径段部を設けたため、圧力波がトップランド部とシリンダ壁面との間の隙間へ侵入することを防止でき、ノッキング発生時、増幅された圧力波によるトップランド部の直接的打撃を防止できる。また、第1縮径段部を焼室側に開放した上方開放形状に形成できるため、火花点火時、第1縮径段部まで容易に火炎伝播させて燃焼促進による未燃ガス低減を図ることができ、加工容易な構造の簡単化を図ることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1縮径段部の径方向幅はピストンリング溝の径方向幅よりも小さいことを特徴としている
請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、前記隆起部に前記第1縮径段部よりも小径の第2縮径段部を設け、前記第2縮径段部が、前記隆起部の周方向一端部に対応した前記上面部の径方向内側端部から上方に延びる第2縦壁部を備えたことを特徴としている
請求項1の発明によれば、圧力波がトップランド部とシリンダ壁面との間の隙間へ侵入することを防止でき、ノッキング発生時、増幅された圧力波によるトップランド部の直接的打撃を防止するため、ノッキングに起因するエロージョン抑制し、トップランド部表面の表面荒れを防止できる。また、火花点火時、第1縮径段部まで容易に火炎伝播させて燃焼促進による未燃ガス低減を図ることができるため、エミッション性を向上することができる。しかも、加工容易な構造の簡単化を図れるため、生産コストを抑えることができる。
請求項2の発明によれば、ピストンの強度低下を回避しつつ、エロージョン抑制効果を維持することができる
請求項の発明によれば、自己着火に起因した圧力波を上方へ反射させるための反射面の面積を確保することができ、トップランド部表面の表面荒れを一層防止することができる
本発明の実施例1に係るピストンを有するエンジンの気筒周辺の概略構成図である。 ピストンの斜視図である。 図2のIII方向矢視図である。 図2のIV方向矢視図である。 図3の要部拡大図である。 図4の要部拡大図である。 解析用燃焼室モデルの説明図である。 比較例1の検証モデルを示す図である。 比較例2の検証モデルを示す図である。 比較例3の検証モデルを示す図である。 実施例1の検証モデルを示す図である。 解析結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
以下、本発明の実施例1について図1〜図12に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るピストン1を備えたエンジンE(火花点火式内燃機関)の気筒周辺の断面図である。このエンジンEは、シリンダブロック2とその上部に組み付けられたシリンダヘッド3とを備え、シリンダ4には、その軸心軸心方向に対して上下に往復動するようにピストン1が収容されている。
ピストン1は、シリンダブロック2の下部のクランク室内に回転自在に支持されたクランク軸(図示略)にコネクティングロッド5によって連結され、これによりピストン1の往復運動がクランク軸の回転運動に変換されている。
シリンダブロック2の下部には、ピストン冷却用のオイルジェット装置(図示略)が設けられている。
シリンダ4内のピストン1の上方には燃焼室6が形成され、その天井部6aは、シリンダヘッド3の下面に各シリンダ4毎に形成された窪みによって構成されている。
燃焼室6は、ペントルーフ型に形成され、天井部6aは吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状に形成され、夫々の傾斜面には吸気ポート7と排気ポート8とが2つづつ開口している。吸気ポート7の直径は、排気ポート8の直径よりも大径に形成され、2つの傾斜面の交差位置は、シリンダ4の中心に対して若干オフセットしている。
各吸気ポート7の開口部には吸気弁10が、また、各排気ポート8の開口部には排気弁 11が夫々配設され、動弁機構(図示略)により所定のタイミングで開閉されている。
吸気ポート7の下方には、その開口部間に噴口を臨ませて、燃焼室6の周縁部から中央寄りに向かって燃料を噴射するように、インジェクタ12が配設されている。このインジェクタ12は、燃料分配管(図示略)を介して高圧燃料ポンプ等を有する燃料供給系に接続されている。本実施例では、直噴エンジンを想定しているが ポート噴射方式のエンジンに対しても適用可能である。
シリンダヘッド3には、シリンダ軸心に沿って延びるように点火プラグ9が配設され、その先端(下端)の電極9aが天井部6aの中央付近から燃焼室6に臨んでいる。
この点火プラグ9の基端側には、点火コイルユニット(図示略)が接続されており、所定のタイミングで電極間に火花を生じさせて燃焼室6内の混合気に点火するように構成されている。このように、燃焼室6の中央付近で混合気に点火するため、良好な火炎伝播性を確保している。
燃焼室6の床部であるピストン1の頂部であるクラウン部30には、隆起部31が形成されている。この隆起部31が、燃焼室6の容積を調整してシリンダ4の幾何学的圧縮比を高く設定している。本実施例では、幾何学的圧縮比が12以上の所定値、例えば14に設定されている。
次に、ピストン1について詳細に説明する。
ピストン1は、溶融されたアルミニウム合金材料を射出して成形されたアルミニウム合金製中間成形体をエンドミル等の工作機械によって機械加工することにより製造される。
図1〜図4に示すように、ピストン1は、1対のスカート部21と、1対のサイドウォール部22と、円筒状のトップランド部23,セカンドランド部24及びサードランド部25と、ピストン1の頂部を形成するクラウン部30等を備えている。
1対のスカート部21は、サードランド部25下端部分から下方へ延びるように夫々形成され、ピンボス部22aを挟んで吸排気方向において対向するように配設されている。これら1対のスカート部21は、平面視にて略円弧状に形成され、ピストン1の往復運動時には、シリンダ4の内周面を摺動することによってピストン1の上下運動に対するガイド機構を構成している。
1対のサイドウォール部22は、1対のスカート部21の両側の端部同士を夫々連結するように形成され、ピンボス部22aの軸心方向において互いに対向するように配設されている。以上のように、1対のスカート部21と1対のサイドウォール部22とが周方向に連なり、協働して環状の枠体を構成している。
図1〜図6に示すように、1対のスカート部21及び1対のサイドウォール部22よりも上方のピストン1の外周側面には、トップランド部23と,このトップランド部23の下方にトップリング溝26(ピストンリング)を間に介して形成されたセカンドランド部24、このセカンドランド部24の下方にセカンドリング溝27を間に介して形成されたサードランド部25とが夫々形成されている。
サードランド部25と1対のスカート部21及び1対のサイドウォール部22との間には、オイルリング溝28が形成されている。
トップリング溝26,セカンドリング溝27及びオイルリング溝28は、ピストン1の外周側面から径方向内方へピストン1の全周に亙って縮径して断面略コ字状に形成されている。これらトップリング溝26,セカンドリング溝27及びオイルリング溝28には、略C字状のトップリング,セカンドリング及びオイルリング(何れも図示略)が夫々収容されている。
図1〜図6に示すように、トップランド部23は、円筒状に形成され、クラウン部30の外周部に連なるように構成されている。
トップランド部23は、クラウン部30との境界近傍部において、異常燃焼である自己着火に起因して発生する圧力波を燃焼室6内上方へ反射させるための第1縮径段部29を備えている。この第1縮径段部29は、トップランド部23の上下方向途中部から上側までの間で且つ全周に亙って形成され、その径方向幅は、トップリング溝26,セカンドリング溝27及びオイルリング溝28の何れの径方向幅よりも小さく設定されている。
第1縮径段部29は、テーパ状の面取り部29aと、円環状の横壁部29bと、円筒状の縦壁部29cと、テーパ状のテーパ面部29d等を備えている。
面取り部29aは、第1縮径段部29の下端部の角部をテーパ状に面取りして形成され、上側程縮径するように、例えば鉛直方向に対して約45°の傾斜角度に構成されている。
面取り部29aの下端部は、トップランド部23の外周側面に連なり、面取り部29aの上端部は、横壁部29bの径方向外側端部に連なっている。
横壁部29bは、略水平面状に形成され、その径方向内側端部は縦壁部29cの下端部に連なっている。縦壁部29cは、ピストンの軸心と同軸上に形成され、その上端部はテーパ面部29dの下端部に連なっている。
テーパ面部29dは、第1縮径段部29の上端部をテーパ状に面取りして形成され、上側程縮径するように、例えば鉛直方向に対して約45°の傾斜角度に構成されている。
図5,図6に示すように、吸気側のテーパ面部29dの上端部は、トップランド部23の平坦状の上面部23aに連なり、排気側のテーパ面部29dの上端部は、第2縮径段部35の内周面を形成する縦壁部35aの下端部に連なっている。
これにより、テーパ面部29dをエンドミルによって加工するとき、エンドミルをピストン1の軸心方向上方から接近させることにより、第2縮径段部35の縦壁部35aをテーパ面部29dと同時に加工できる。
図1〜図6に示すように、クラウン部30は、トップランド部23の平坦状の上面部23aと、この上面部23aから上方へ隆起した隆起部31等により構成されている。
隆起部31は、天井部6aの三角屋根形状に対応するように、吸気側及び排気側から夫々中央寄りに向かって隆起するように形成されている。この隆起部31は、ピンボス部22aの軸心方向に延びるペントルーフ状に形成され、平面視にてピンボス部22aの軸心上に配置されている。
隆起部31の2つの傾斜面31a,31bの延長面が交差する位置は、天井部6aの屋根形状に対応するようにシリンダ4の軸心に対して排気側寄り位置に設定され、隆起部31の高さは、排気側部分が吸気側部分よりも全体的に高くなるように形成されている。
隆起部31の中央部分には、点火プラグ9の点火による火炎核の形成を容易化するための椀状の凹部32が設けられている。吸気側傾斜面31aには、吸気弁10との干渉を避けるための略円形の逃げ溝33が形成され、排気側傾斜面31bには、排気弁11との干渉を避けて段差突部34が傾斜状に形成されている。
隆起部31は、トップランド部23との境界近傍部において、自己着火に起因して発生する圧力波を燃焼室6内上方へ反射させるための第2縮径段部35を備えている。
図2〜図4,図6に示すように、第2縮径段部35は、隆起部31の周方向一端部から他端部に亙って形成されている。この第2縮径段部35は、円筒状の縦壁部35aを備え、第1縮径段部29よりも小径になるように構成されている。
第2縮径段部35の径方向幅は、第1縮径段部29の径方向幅よりも小さく設定されている。
次に、図7〜図12に基づき、本実施例に係る検証解析及びその解析結果について説明する。尚、図8〜図11において、実施例1と同じ部材は同じ符号を付し、左側部分の構造は省略している。
まず、本検証解析の解析条件について説明する。
図7に示すように、エンジンEの燃焼室モデルMを作成し、この燃焼室モデルMにおいて、ノッキングが発生する場所を加振点X、エロージョンが発生する場所を応答点Yと設定して、加振点Xに圧力波の代わりに所定の周波数の振動(P0)を与えて応答点Yにおける圧力伝達比率(P/P0)を解析した。
燃焼室モデルMは、シリンダ4とシリンダヘッド3と複数種類のピストンによって形成されるものとし、比較例1〜3と実施例1のピストン形状に基づいて4種類の検証モデルを作成した。
図8に示すように、第1検証モデルM1は、実施例1のピストン1から第1,第2縮径段部29,35を省略したトップランド部23Aを有するピストン1Aに対応した比較例1の検証モデルである。
図9に示すように、第2検証モデルM2は、比較例1のピストン1Aのトップランド部23Aの下端側部分に下方程縮径するテーパ面部41を備えたトップランド部23Bを有するピストン1Bに対応した比較例2の検証モデルである。
図10に示すように、第3検証モデルM3は、比較例1のピストン1Aのトップランド部23Aの上端側部分に上方程拡径するテーパ面部42を備えたトップランド部23Cを有するピストン1Cに対応した比較例3の検証モデルである。このピストン1Cは、隆起部31Cの下端部がトップランド部23Cの上端部よりも径方向外側へ張り出している。
図11に示すように、第4検証モデルM4は、実施例1のピストン1に対応した検証モデルである。
図12の表に基づき、夫々の解析結果について説明する。尚、縦軸は圧力伝達比率(1目盛:0.1)、横軸は周波数(1目盛:10000Hz)である。
比較例1は、低周波帯から高周波帯に亙って高い圧力伝達特性を示しているため、トップランド部23Aとシリンダ4の壁面との間の隙間に侵入した圧力波が隙間の増幅作用によって増幅され、増幅された圧力波がトップランド部23Aを強力に打撃するものと推測される。比較例2は、高周波帯で比較例1に比べて圧力伝達特性が低下している。これは、トップランド部23Bとシリンダ4の壁面との離隔距離が拡大したため、圧力波の増幅作用が低下したことが要因であると推測される。
比較例3は、低周波帯で比較例2に比べて圧力伝達特性が低下し、高周波帯で比較例1,2に比べて圧力伝達特性のピーク値が低下している。これは、圧力波の増幅作用が低下したこと及び上方程拡径するテーパ面部42が隆起部31Cの下端部とシリンダ4の壁面との間を介して圧力波の一部を燃焼室側へ反射したことが要因であると推測される。
実施例1は、低周波帯から高周波帯に亙って圧力伝達特性を低下でき、特に高周波帯でのピーク値は何れの比較例よりも低い値を示した。これは、第1,第2縮径段部29,35の面取り部29a、横壁部29b、縦壁部29c、テーパ面部29d及び縦壁部35aによって圧力波の大半を燃焼室側へ反射したこと、更には、断面積の変化毎に圧力波を反射することにより空洞共鳴を変化させたため、反射されずに隙間に侵入した圧力波の増幅作用を大幅に低下させたことが要因であると推測される。
このエンジンEのピストン構造によれば、圧力波がトップランド部23とシリンダ4壁面との間の隙間へ侵入することを防止でき、ノッキング発生時、増幅された圧力波によるトップランド部23の直接的打撃を防止するため、ノッキングに起因するエロージョン抑制し、トップランド部23表面の表面荒れを防止できる。また、火花点火時、第1,第2縮径段部29,35まで容易に火炎伝播させて燃焼促進による未燃ガス低減を図ることができるため、エミッション性を向上することができる。しかも、加工容易な構造の簡単化を図れるため、生産コストを抑えることができる。
第1,第2縮径段部29,35の径方向幅はトップリング溝26の径方向幅よりも小さいため、ピストン1の強度低下を回避しつつ、エロージョン抑制効果を維持することができる。
第1縮径段部29の下端部の角部が面取りされているため、角部の強度低下を抑制し、一層ピストン1の強度低下を回避することができる。
縮径段部は、トップランド部23側の第1縮径段部29と、この第1縮径段部29よりも上側に位置し且つ第1縮径段部29よりも小径の第2縮径段部35を含むため、自己着火に起因した圧力波を上方へ反射させるための反射面の面積を確保することができ、トップランド部23の表面荒れを一層防止することができる。
第1縮径段部29の上端部分がテーパ面部29dに形成されると共に第2縮径段部35の縦壁部35aがテーパ面部29dの上端部に連なるように形成される。これにより、第1縮径段部29のテーパ面部29dの加工と同時に第2縮径段部35の縦壁部35aを加工できるため、一層生産コストを抑えることができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、クラウン部とトップランド部との境界の上部と下部とに第1縮径段部と第2縮径段部とを夫々形成した例を説明したが、少なくとも一方の縮径段部を設けることで本発明の効果を奏することができる。
また、第1縮径段部がトップランド部の全周に亙って形成された例を説明したが、少なくとも周方向の一部に第1縮径段部を設けても良い。
2〕前記実施例においては、第1縮径段部が、面取り部、横壁部、縦壁部及びテーパ面部によって構成された例を説明したが、横壁部を省略しても良い。また、面取り部又はテーパ面部の数を増加することで、断面積の変化を増して空洞共鳴を更に変化ざることも可能である。
3〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明は、ピストン頂部を形成するクラウン部と、このクラウン部の外周部に連なるトップランド部とを有するエンジンのピストン構造において、生産コストを抑えつつ、ノッキングに起因するエロージョン抑制とエミッション性向上との両立することができる。
1 ピストン
23 トップランド部
26 トップリング
29 第1縮径段部
29a 面取り部
29d テーパ面部
30 クラウン部
35 第2縮径段部
35a 縦壁部
E エンジン

Claims (3)

  1. ピストン頂部を形成するクラウン部と、このクラウン部の外周部に連なるトップランド部とを有するピストンと、シリンダ内の前記ピストンの上方に形成された燃焼室内の混合気に点火する点火プラグとを備えたエンジンのピストン構造において、
    前記クラウン部は、前記トップランド部の上面部と、前記上面部から上方へ隆起した隆起部とを有し、
    前記クラウン部とトップランド部の境界近傍部の周方向の少なくとも一部に自己着火に起因した圧力波を上方へ反射させるための径方向内方へ縮径した第1縮径段部を設け
    前記第1縮径段部が、前記トップランド部の外周側面部から上側程縮径するテーパ状に形成された面取り部と、前記面取り部の上端部から径方向内側に向けて略水平状に延びる横壁部と、前記横壁部の径方向内側端部から上方に延びる第1縦壁部と、前記縦壁部の上端部から前記上面部の径方向外側端部に向けて上側程縮径するテーパ状に形成されたテーパ面部とを備えたことを特徴とするエンジンのピストン構造。
  2. 前記第1縮径段部の径方向幅はピストンリング溝の径方向幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのピストン構造。
  3. 前記隆起部に前記第1縮径段部よりも小径の第2縮径段部を設け、
    前記第2縮径段部が、前記隆起部の周方向一端部に対応した前記上面部の径方向内側端部から上方に延びる第2縦壁部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンのピストン構造。
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