JP6201628B2 - エンジンのピストン構造 - Google Patents
エンジンのピストン構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6201628B2 JP6201628B2 JP2013220847A JP2013220847A JP6201628B2 JP 6201628 B2 JP6201628 B2 JP 6201628B2 JP 2013220847 A JP2013220847 A JP 2013220847A JP 2013220847 A JP2013220847 A JP 2013220847A JP 6201628 B2 JP6201628 B2 JP 6201628B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- piston
- top land
- reduced diameter
- reduced
- diameter
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Description
この高圧縮比に設定された火花点火式直噴エンジンは、熱効率で有利になる反面、エンジンの運転状態が低速域且つ中・高負荷領域において過早着火やノッキングといった異常燃焼を招く虞がある。
圧力波はトップランド部に打撃を与える衝撃波であるため、トップランド部の表面に減肉現象であるエロージョン(侵食)が発生し、表面荒れを生じることがある。
そこで、トップランド部とシリンダ壁面との間の隙間に侵入した圧力波を効果的に外部空間に逃がすことでトップランド部の表面荒れを防止する技術が提案されている。
これにより、圧力波がトップランド部とシリンダ壁面との間の隙間に侵入した場合であっても、圧力波を周方向溝部を介してピストン頂部に開放することができ、圧力波の打撃によるトップランド部の表面荒れを抑制することができる。
しかし、特許文献1のように、トップランド部に周方向溝部やピストン頂部に開放する端部を設けたとしても、トップランド部に対するエロージョン対策としては十分ではなく、依然としてトップランド部表面に表面荒れを生じる虞がある。
しかも、トップランド外周側面の周方向溝部やピストン頂部に開放する端部を形成するため、ピストン構造が複雑化し、生産コストの上昇を招く虞もある。
図1は、本発明の実施例1に係るピストン1を備えたエンジンE(火花点火式内燃機関)の気筒周辺の断面図である。このエンジンEは、シリンダブロック2とその上部に組み付けられたシリンダヘッド3とを備え、シリンダ4には、その軸心軸心方向に対して上下に往復動するようにピストン1が収容されている。
ピストン1は、シリンダブロック2の下部のクランク室内に回転自在に支持されたクランク軸(図示略)にコネクティングロッド5によって連結され、これによりピストン1の往復運動がクランク軸の回転運動に変換されている。
シリンダブロック2の下部には、ピストン冷却用のオイルジェット装置(図示略)が設けられている。
燃焼室6は、ペントルーフ型に形成され、天井部6aは吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状に形成され、夫々の傾斜面には吸気ポート7と排気ポート8とが2つづつ開口している。吸気ポート7の直径は、排気ポート8の直径よりも大径に形成され、2つの傾斜面の交差位置は、シリンダ4の中心に対して若干オフセットしている。
各吸気ポート7の開口部には吸気弁10が、また、各排気ポート8の開口部には排気弁 11が夫々配設され、動弁機構(図示略)により所定のタイミングで開閉されている。
この点火プラグ9の基端側には、点火コイルユニット(図示略)が接続されており、所定のタイミングで電極間に火花を生じさせて燃焼室6内の混合気に点火するように構成されている。このように、燃焼室6の中央付近で混合気に点火するため、良好な火炎伝播性を確保している。
ピストン1は、溶融されたアルミニウム合金材料を射出して成形されたアルミニウム合金製中間成形体をエンドミル等の工作機械によって機械加工することにより製造される。
図1〜図4に示すように、ピストン1は、1対のスカート部21と、1対のサイドウォール部22と、円筒状のトップランド部23,セカンドランド部24及びサードランド部25と、ピストン1の頂部を形成するクラウン部30等を備えている。
トップリング溝26,セカンドリング溝27及びオイルリング溝28は、ピストン1の外周側面から径方向内方へピストン1の全周に亙って縮径して断面略コ字状に形成されている。これらトップリング溝26,セカンドリング溝27及びオイルリング溝28には、略C字状のトップリング,セカンドリング及びオイルリング(何れも図示略)が夫々収容されている。
トップランド部23は、クラウン部30との境界近傍部において、異常燃焼である自己着火に起因して発生する圧力波を燃焼室6内上方へ反射させるための第1縮径段部29を備えている。この第1縮径段部29は、トップランド部23の上下方向途中部から上側までの間で且つ全周に亙って形成され、その径方向幅は、トップリング溝26,セカンドリング溝27及びオイルリング溝28の何れの径方向幅よりも小さく設定されている。
面取り部29aは、第1縮径段部29の下端部の角部をテーパ状に面取りして形成され、上側程縮径するように、例えば鉛直方向に対して約45°の傾斜角度に構成されている。
面取り部29aの下端部は、トップランド部23の外周側面に連なり、面取り部29aの上端部は、横壁部29bの径方向外側端部に連なっている。
横壁部29bは、略水平面状に形成され、その径方向内側端部は縦壁部29cの下端部に連なっている。縦壁部29cは、ピストンの軸心と同軸上に形成され、その上端部はテーパ面部29dの下端部に連なっている。
図5,図6に示すように、吸気側のテーパ面部29dの上端部は、トップランド部23の平坦状の上面部23aに連なり、排気側のテーパ面部29dの上端部は、第2縮径段部35の内周面を形成する縦壁部35aの下端部に連なっている。
これにより、テーパ面部29dをエンドミルによって加工するとき、エンドミルをピストン1の軸心方向上方から接近させることにより、第2縮径段部35の縦壁部35aをテーパ面部29dと同時に加工できる。
隆起部31は、天井部6aの三角屋根形状に対応するように、吸気側及び排気側から夫々中央寄りに向かって隆起するように形成されている。この隆起部31は、ピンボス部22aの軸心方向に延びるペントルーフ状に形成され、平面視にてピンボス部22aの軸心上に配置されている。
隆起部31の中央部分には、点火プラグ9の点火による火炎核の形成を容易化するための椀状の凹部32が設けられている。吸気側傾斜面31aには、吸気弁10との干渉を避けるための略円形の逃げ溝33が形成され、排気側傾斜面31bには、排気弁11との干渉を避けて段差突部34が傾斜状に形成されている。
図2〜図4,図6に示すように、第2縮径段部35は、隆起部31の周方向一端部から他端部に亙って形成されている。この第2縮径段部35は、円筒状の縦壁部35aを備え、第1縮径段部29よりも小径になるように構成されている。
第2縮径段部35の径方向幅は、第1縮径段部29の径方向幅よりも小さく設定されている。
図7に示すように、エンジンEの燃焼室モデルMを作成し、この燃焼室モデルMにおいて、ノッキングが発生する場所を加振点X、エロージョンが発生する場所を応答点Yと設定して、加振点Xに圧力波の代わりに所定の周波数の振動(P0)を与えて応答点Yにおける圧力伝達比率(P/P0)を解析した。
燃焼室モデルMは、シリンダ4とシリンダヘッド3と複数種類のピストンによって形成されるものとし、比較例1〜3と実施例1のピストン形状に基づいて4種類の検証モデルを作成した。
図9に示すように、第2検証モデルM2は、比較例1のピストン1Aのトップランド部23Aの下端側部分に下方程縮径するテーパ面部41を備えたトップランド部23Bを有するピストン1Bに対応した比較例2の検証モデルである。
図10に示すように、第3検証モデルM3は、比較例1のピストン1Aのトップランド部23Aの上端側部分に上方程拡径するテーパ面部42を備えたトップランド部23Cを有するピストン1Cに対応した比較例3の検証モデルである。このピストン1Cは、隆起部31Cの下端部がトップランド部23Cの上端部よりも径方向外側へ張り出している。
図11に示すように、第4検証モデルM4は、実施例1のピストン1に対応した検証モデルである。
比較例1は、低周波帯から高周波帯に亙って高い圧力伝達特性を示しているため、トップランド部23Aとシリンダ4の壁面との間の隙間に侵入した圧力波が隙間の増幅作用によって増幅され、増幅された圧力波がトップランド部23Aを強力に打撃するものと推測される。比較例2は、高周波帯で比較例1に比べて圧力伝達特性が低下している。これは、トップランド部23Bとシリンダ4の壁面との離隔距離が拡大したため、圧力波の増幅作用が低下したことが要因であると推測される。
実施例1は、低周波帯から高周波帯に亙って圧力伝達特性を低下でき、特に高周波帯でのピーク値は何れの比較例よりも低い値を示した。これは、第1,第2縮径段部29,35の面取り部29a、横壁部29b、縦壁部29c、テーパ面部29d及び縦壁部35aによって圧力波の大半を燃焼室側へ反射したこと、更には、断面積の変化毎に圧力波を反射することにより空洞共鳴を変化させたため、反射されずに隙間に侵入した圧力波の増幅作用を大幅に低下させたことが要因であると推測される。
第1縮径段部29の下端部の角部が面取りされているため、角部の強度低下を抑制し、一層ピストン1の強度低下を回避することができる。
1〕前記実施例においては、クラウン部とトップランド部との境界の上部と下部とに第1縮径段部と第2縮径段部とを夫々形成した例を説明したが、少なくとも一方の縮径段部を設けることで本発明の効果を奏することができる。
また、第1縮径段部がトップランド部の全周に亙って形成された例を説明したが、少なくとも周方向の一部に第1縮径段部を設けても良い。
23 トップランド部
26 トップリング
29 第1縮径段部
29a 面取り部
29d テーパ面部
30 クラウン部
35 第2縮径段部
35a 縦壁部
E エンジン
Claims (3)
- ピストン頂部を形成するクラウン部と、このクラウン部の外周部に連なるトップランド部とを有するピストンと、シリンダ内の前記ピストンの上方に形成された燃焼室内の混合気に点火する点火プラグとを備えたエンジンのピストン構造において、
前記クラウン部は、前記トップランド部の上面部と、前記上面部から上方へ隆起した隆起部とを有し、
前記クラウン部とトップランド部の境界近傍部の周方向の少なくとも一部に自己着火に起因した圧力波を上方へ反射させるための径方向内方へ縮径した第1縮径段部を設け、
前記第1縮径段部が、前記トップランド部の外周側面部から上側程縮径するテーパ状に形成された面取り部と、前記面取り部の上端部から径方向内側に向けて略水平状に延びる横壁部と、前記横壁部の径方向内側端部から上方に延びる第1縦壁部と、前記縦壁部の上端部から前記上面部の径方向外側端部に向けて上側程縮径するテーパ状に形成されたテーパ面部とを備えたことを特徴とするエンジンのピストン構造。 - 前記第1縮径段部の径方向幅はピストンリング溝の径方向幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのピストン構造。
- 前記隆起部に前記第1縮径段部よりも小径の第2縮径段部を設け、
前記第2縮径段部が、前記隆起部の周方向一端部に対応した前記上面部の径方向内側端部から上方に延びる第2縦壁部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンのピストン構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013220847A JP6201628B2 (ja) | 2013-10-24 | 2013-10-24 | エンジンのピストン構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013220847A JP6201628B2 (ja) | 2013-10-24 | 2013-10-24 | エンジンのピストン構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015081583A JP2015081583A (ja) | 2015-04-27 |
JP6201628B2 true JP6201628B2 (ja) | 2017-09-27 |
Family
ID=53012321
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013220847A Active JP6201628B2 (ja) | 2013-10-24 | 2013-10-24 | エンジンのピストン構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6201628B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6384518B2 (ja) * | 2016-05-25 | 2018-09-05 | マツダ株式会社 | 内燃機関用ピストン |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS621401Y2 (ja) * | 1979-10-26 | 1987-01-13 | ||
JPS6075658U (ja) * | 1983-10-31 | 1985-05-27 | いすゞ自動車株式会社 | 内燃機関のピストン |
JPH0874579A (ja) * | 1994-09-06 | 1996-03-19 | Yanmar Diesel Engine Co Ltd | ディーゼル機関の燃焼室構造 |
-
2013
- 2013-10-24 JP JP2013220847A patent/JP6201628B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015081583A (ja) | 2015-04-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9010296B2 (en) | Piston for spark-ignition engine | |
JP6038339B2 (ja) | 副室式ガスエンジン用のピストンおよび副室式ガスエンジン | |
JP4428325B2 (ja) | 火花点火式エンジンの燃焼室構造 | |
JP4702409B2 (ja) | 火花点火式内燃機関 | |
US20160201596A1 (en) | Combustion chamber structure for engine | |
JP6201628B2 (ja) | エンジンのピストン構造 | |
JP2014234740A (ja) | 圧縮着火式内燃機関 | |
JP6006276B2 (ja) | 内燃機関 | |
JP4438726B2 (ja) | 火花点火式エンジンの燃焼室構造 | |
JP2022083622A (ja) | エンジンの燃焼室構造 | |
JP3982482B2 (ja) | 筒内直接噴射式内燃機関の燃焼室構造 | |
JP4248521B2 (ja) | 筒内直接噴射式内燃機関 | |
US20220162982A1 (en) | Engine with combustion chamber | |
JP2022083618A (ja) | エンジンの製造方法 | |
JP5618021B2 (ja) | 火花点火式内燃機関 | |
JP5618020B2 (ja) | 火花点火式内燃機関 | |
US11840983B2 (en) | Low compression natural gas engine piston bowl for improved combustion stability | |
JP4702408B2 (ja) | 火花点火式内燃機関の製造方法 | |
JP6060126B2 (ja) | 内燃機関 | |
JP3966619B2 (ja) | 内燃機関の燃焼室構造 | |
JP2021080892A (ja) | 燃焼室構造及び火花点火式内燃機関 | |
JP5067465B2 (ja) | 火花点火式内燃機関 | |
JP2021173172A (ja) | エンジン | |
KR100503818B1 (ko) | 중대형 점화착화 희박연소 엔진용 피스톤 | |
JP2022083615A (ja) | エンジンの燃焼室構造 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160225 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170113 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170124 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170303 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170801 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170814 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6201628 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |