JP5618020B2 - 火花点火式内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、火花点火式内燃機関に関し、特にエンジン本体の幾何学的圧縮比が高い火花点火式内燃機関に関する。
従来より、火花点火式内燃機関においては、エンジン本体の形状について種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、点火プラグの点火点から成長した火炎と燃焼室壁とが早期に衝突して火炎の成長速度が低下し、これにより燃焼期間が長期化して運転効率が低下するのを抑制するべく、燃焼室の床部となるピストンの上面に点火プラグに対応して球面状のキャビティ(凹部)が形成され、点火プラグに対応する部分における燃焼室の高さが高く設定された火花点火式内燃機関が開示されている。
また、従来より、エンジン本体の幾何学的圧縮比を高くすると、機関熱効率が高まり燃費が向上することが知られている。
特開2007−154827号公報
前記従来の火花点火式内燃機関では、火炎とピストンとの衝突を遅らせることはできる。しかしながら、この衝突を遅らせるべく単に燃焼室の高さを高くしただけでは、エンジン本体を高圧縮比化した場合に十分な機関出力を得られないおそれがある。
すなわち、燃焼室の高さを高くさせた場合においてエンジン本体の幾何学的圧縮比を高くしようとすると、その高さの増加に合わせてピストンのストロークを長くする必要がある。同じ排気量においてロングストローク化すると相対的にシリンダのボア径は小さくなる。その結果、燃焼室の天井を形成するシリンダヘッドに設けられた吸気バルブの径が小さくなり、バルブの開口面積が小さくなる。そして、このようにバルブの開口面積が小さくなると、機関速度の上昇時にシリンダ内に十分な吸気を充填することができず、機関出力が低下するおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑み、エンジン本体の幾何学的圧縮比を高圧縮比としながら、機関出力が確保することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者等は、種々の排気量について、ストロークの長さおよびボア径ひいては吸気弁の径を種々変更してこれらストロークの長さおよびボア径と機関出力との関係について鋭意研究した。その結果、機関出力を所定値以上にするためには、ストロークの長さとボア径とがある一定の関係を満足する必要があることを見出した。さらに、本発明者等は、この研究過程において、低速高負荷域では、シリンダ内の新気量を確保するために、また、シリンダ内の残存ガスを低減してシリンダ内温度を低下させるために、吸気弁と排気弁とがいずれも開いているオーバーラップ期間が設けられて所定の掃気性能が確保される必要があり、このオーバーラップを実現するためには各弁の下面とピストンの上面との離間距離がある長さ以上必要であることを見出した。
本発明は、前記研究結果に基づいてなされたものであり、シリンダと当該シリンダ内を往復移動するピストンと前記シリンダ上に設けられて前記ピストンの上面との間で燃焼室を形成するシリンダヘッドとを備えるエンジン本体と、前記シリンダヘッドに設けられて前記シリンダ内への空気の流入をそれぞれ遮断可能な2つの吸気弁と、前記シリンダヘッドに設けられて前記シリンダからの排気の流出をそれぞれ遮断可能な2つの排気弁と、前記シリンダヘッドに設けられて前記燃焼室に臨む点火プラグと、前記シリンダヘッドに設けられて前記燃焼室に臨む燃料噴射弁とを有する火花点火式内燃機関であって、少なくともエンジン本体の回転数が低く負荷が高いためにノッキングが懸念される運転領域において、前記吸気弁および排気弁の開弁期間が上死点を挟んで互いにオーバーラップするように、かつ、前記運転領域の少なくとも一部の運転条件においてこのオーバーラップ期間が35°CA以上となるように、前記吸気弁および排気弁を開弁する動弁機構を備え、前記エンジン本体の幾何学的圧縮比は14以上に設定されており、上死点にある前記ピストンの上面と閉弁状態にある前記吸気弁の下面との距離を前記吸気弁の下面に直交する方向に測った場合における最小値をピストンと吸気弁との離間距離上死点にある前記ピストンの上面と閉弁状態にある前記排気弁の下面との距離を前記排気弁の下面に直交する方向に測った場合における最小値をピストンと排気弁との離間距離としたとき、前記各離間距離はそれぞれ5mm以上に設定されており、前記ピストンのストロークS(mm)は、前記シリンダのボア径をB(mm)としたときに、S≦0.977×B+18.2mmとなる長さに設定されており、前記燃焼室の天井部は吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしており、前記ピストンの上面に吸気側及び排気側からそれぞれ中央寄りに向かい隆起する隆起部が形成されている、ことを特徴とするものである。
この火花点火式内燃機関によれば、エンジン本体の幾何学的圧縮比を14以上として高い熱効率ひいては高い燃費性能を実現しつつ高い機関出力を実現することができる。
すなわち、ストロークS(mm)とボア径B(mm)とをS≦0.977×B+18.2mmを満足するように設定してボア径を十分な大きさとすることで、エンジン本体の幾何学的圧縮比を高圧縮比としつつ吸気弁の開口面積を確保することができ、高速時におけるシリンダ内の空気充填量を確保することができる。ここで、前記式は、単位排気量あたり70PS以上の機関出力を確保することができる式であり、この式を満足することで少なくとも70PS/Lの機関出力を得ることができる。
しかも、前記吸気弁および排気弁の下面とピストンの上面との離間距離が5mm以上に設定されていることで、上死点付近において吸気弁と排気弁とを同時に所定リフト量開弁させこれら弁のオーバーラップにより掃気性を向上させることができる。そして、この掃気性向上により残存ガスが低減しシリンダ内温度が低下して点火進角制御が可能になるとともにシリンダ内の新気量が増大することで、出力トルクを増大することができる。
本発明においては、前記ピストンの隆起部の中央に凹部が形成されるのが好ましい。
このようにすれば、点火プラグの点火点から成長した火炎とピストンの上面との衝突が遅れ、火炎伝播性の向上を図ることができる。
以上のように、本発明によれば、エンジン本体の幾何学的圧縮比を高圧縮比としながら、高い燃費性能を実現しつつ高い機関出力を実現することができる。
本発明に係る火花点火式内燃機関の概略構成図である。 エンジン本体における燃焼室付近の構成を示す概略斜視図である。 ピストンが上死点にある状態での燃焼室付近の概略断面図である。 2点点火方式のエンジンにおいて燃焼室付近の概略斜視図である。 ボア径とストロークの関係を示すグラフである。 ボア径と最高機関出力との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るエンジンE(火花点火式内燃機関)の概略構成図である。このエンジンEは、自動車等の車両に搭載される4サイクルの火花点火式内燃機関である。このエンジンEのエンジン本体は、シリンダブロック1と、その上に載置されるシリンダヘッド2とを備えている。このシリンダブロック1とシリンダヘッド2との内部には複数のシリンダCが形成されている。これらシリンダCの数は特に限定されるものではないが、例えば4つのシリンダCが形成されている。前記各シリンダC内には、その軸心c1(図2参照)に沿って図1の上下に摺動するようにピストン3が嵌挿されている。ピストン3は、シリンダブロック1の下部に回転自在に支持されたクランク軸4にコネクティングロッドによって連結されており、これによりピストン3の往復運動がクランク軸4の回転運動に変換される。
前記シリンダC内において、ピストン3の上方には燃焼室5が区画されている。図2は、エンジンEのエンジン本体における後述する燃焼室5付近の構成を示す概略斜視図であり、図3は、ピストン3が上死点にある状態での燃焼室付近の概略断面図である。燃焼室5の天井部5aは、シリンダヘッド2の下面に形成された窪みによって構成されている。本実施形態では、燃焼室5は所謂ペントルーフ型であり、その天井部5aは吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしている。
前記シリンダヘッド2には、燃焼室5に連通する2つの吸気ポート6,6と2つの排気ポート7,7とが形成されている。本実施形態では、前記燃焼室5の天井部5aの傾斜面にそれぞれ吸気ポート6,6と排気ポート7,7とが開口している。そして、このシリンダヘッド2には、各吸気ポート6,6をそれぞれ燃焼室5から遮断するための吸気バルブ(吸気弁)8,8と、各排気ポート7,7をそれぞれ燃焼室5から遮断するための排気バルブ(排気弁)9,9とが設けられている。これら吸気バルブ8,8および排気バルブ9,9は、不図示の動弁機構により所定のタイミングで開閉される。
前記シリンダヘッド2には、シリンダ軸心c1に沿って延びてその先端が燃焼室5の天井部5aの中央付近から燃焼室5に臨むように点火プラグ11が1つ取り付けられている。この点火プラグ11は、所定のタイミングで燃焼室5内に火花を発生させて、燃焼室5内の混合気に点火する。
また、前記シリンダヘッド2には、燃料を燃焼室5内に直接噴射するためのインジェクタ(燃料噴射弁)10がその先端が燃焼室5に臨むように取り付けられている。より詳細には、このインジェクタ10は、その先端が、前記2つの吸気ポート6,6の下方に位置するよう、かつ、水平方向において前記2つの吸気ポート6,6の中間に位置するように配置されている。このインジェクタ10は、所定のタイミングで燃焼室5の周縁部から中央に向かい燃料を噴射する。本実施形態では直噴方式を想定しているが、本発明はポート噴射方式のものにも適用できる。
前記ピストン3の上面3aすなわち燃焼室5の床部を構成する部分には、燃焼室5の天井部5aの三角屋根形状に対応するように、吸気側及び排気側からそれぞれ中央寄りに向かい隆起する隆起部31が形成されている。この隆起部31の形成は、燃焼室5の容積を調整しシリンダCの幾何学的圧縮比を高く設定する上で有用であり、しかも、燃焼室5全体でその高さが概ね同じくらいになることから火炎伝播性にも好ましい。
前記隆起部31には、凹部32が形成されている。この凹部32は、隆起部31の中央付近であって点火プラグ11の下方に設けられている。点火プラグ11の点火点から成長した火炎とピストンの上面3aとが早期に衝突すると火炎の成長速度が低下し火炎伝播性ひいては機関熱効率が悪化する。これに対して、本エンジンEでは、前記凹部32が設けられたことにより、点火プラグ11の点火点から成長した火炎とピストンの上面3aとの衝突が遅れ火炎伝播性の向上を図ることができる。なお、前記凹部32の具体的形状は図2に示すようなお椀型に限らない。
ここで、点火プラグ11は1つのシリンダCに対して2つ設けてもよい。このように点火プラグ11を1つのシリンダCに対して2つ設けた2点点火方式のエンジンEの場合は、図4に示すように、前記のように点火プラグ11が1つのシリンダCに対して1つだけ設けられた1点点火方式のエンジンEと同様に一方の点火プラグ11を燃焼室5の天井部5aの中央付近に取り付けるとともに、他方の点火プラグ11を燃焼室5の天井部5aの周縁部付近に取り付ける。また、前記隆起部31に、各点火プラグ11,11に対応して2つの凹部32,32を設ける。
以上のような要素で構成されるエンジンEにおいて、本実施形態では、機関熱効率を高め燃費性能を向上するために、エンジン本体の幾何学的圧縮比εが14.0に設定されている。前記幾何学的圧縮比εとは、周知のとおりピストン3が上死点(TDC)にあるときの燃焼室5の容積(凹部32の容積を含めた総容積)をV1、排気量(行程容積)をV0として、(V0+V1)/V1と表される。
前記エンジン本体の幾何学的圧縮比ε=14.0において低速高負荷の出力トルクを確保するべく、本実施形態では、ピストン3のストロークSは81.2mm以上に設定されている。また、エンジンEの最大出力が70PS/L以上となるように、シリンダCのボア径をBとしてピストン3のストロークSはS≦0.977×B+18.2mmを満足するように設定されている。すなわち、図5のボア径BとストロークSの関係図においてS=81.2mmの線Lb_14と、S=0.977×B+18.2mmの線La_70とで囲まれた領域Aに設定されている。ここで、図5から明らかなように、ストロークSおよびボア径Bの単位はmmである。
この図5において、破線L1〜L6はそれぞれ排気量が同一のエンジン本体のストロークSとボア径Bとを示した排気量一定ラインである。具体的には、L1から順に、それぞれ排気量が1.3L、1.5L、1.8L、2.0L、2.3L、2.5LとなるストロークSとボア径Bとである。
従って、本実施形態では、ピストン3のストロークSとシリンダCのボア径Bとは、要求されるエンジン本体の排気量に応じて前記排気量一定ラインのうち前記領域A内に位置する線分上の値に設定される。
前記のようにストロークSの範囲を設定したのは、以下に述べる検討結果に基づく。
前述のように、点火プラグ11の点火点から成長した火炎とピストン3の上面3aとが早期に衝突すると機関熱効率が悪化する。そのため、点火プラグ11とピストン3の上面3aとの離間距離すなわち燃焼室5の高さはある程度大きいことが好ましい。このことから、エンジン本体の幾何学的圧縮比εを高くしようとするとピストン3のストロークSは長くする必要がある。しかしながら、図5の各排気量一定ラインに示すように、ピストン3のストロークSを長くすると同じ排気量においてシリンダCのボア径Bは相対的に小さくなる。そして、ボア径Bが小さくなると吸気バルブ8,8の径が小さくなり、吸気バルブ8,8の開口面積は小さくなる。この結果、エンジン本体の回転数の上昇時にシリンダC内に十分な吸気を充填することができず、エンジンの出力すなわち機関出力が低下するおそれがある。
そこで、本発明者等は、排気量一定においてボア径Bひいては吸気バルブ8,8の大きさが機関出力に及ぼす影響を調べた。具体的には、排気量一定において、ピストン3のシリンダCのボア径Bが互いに異なりこれに対応してシリンダヘッド2における燃焼室5の天井部の大きさおよび吸気バルブ8,8の径が互いに異なる複数種類のエンジンを用意し、各エンジンの最高機関出力を計測した。この計測を、異なる複数の排気量、詳細には、排気量が1.3L、1.5L、1.8L、2.0L、2.3L、2.5Lのエンジンに対して行った。計測結果を図6に示す。図6に示すように、シリンダCのボア径Bが増加し吸気バルブ8,8の径が大きくなるに伴ってエンジンの最高機関出力は増大する。図6において、線L11〜L16は、L11から順に、それぞれ排気量が1.3L、1.5L、1.8L、2.0L、2.3L、2.5Lでの計測結果であり、最高機関出力が70PS/Lとなった際のエンジン回転数は6500rpmであり、85PS/Lとなった際のエンジン回転数は7000rpmである。
各排気量について70PS/Lの最高機関出力が実現されたボア径B(70PS/Lボア径と呼ぶ)とそれに対応するストロークSとを図5のグラフにプロットしたところ(点P1〜P6)、70PS/Lボア径BとストロークSとは排気量によらずS=0.977×B+18.2mm(図5の直線La_70)の関係にあることが判明した。これより、ボア径Bを前記70PS/Lボア径Bよりも大きくする、すなわち、ストロークSをボア径Bの一次関数0.977×B+18.2mm以下に抑えれば、70PS/L以上の最高機関出力が確保可能となる。
また、各排気量について85PS/Lの最高機関出力が実現されたボア径B(85PS/Lボア径と呼ぶ)とそれに対応するストロークSとを図5に示すグラフにプロットしたところ(点P11〜P16)、これら85PS/Lボア径BとストロークSとは排気量によらずS=0.977×B+15.1mm(図5の直線La_85)の関係にあることが判明した。これより、ボア径Bを前記85PS/Lボア径よりも大きくする、すなわち、ストロークSをボア径Bの一次関数0.977×B+15.1mm以下に抑えれば、85PS/L以上の最高機関出力が確保可能となる。
一方、前述のように、燃焼室5の高さを所定量確保しつつエンジン本体の幾何学的圧縮比εを高めるためにはストロークSはある程度長くする必要がある。ここで、発明者等は、前述のような火炎とピストン3の上面3aとの衝突を回避するという観点に加えて低速高負荷時の出力トルクを確保するという観点からストロークSの下限値が決定されることを見出した。
すなわち、エンジン本体の回転数が低く負荷の高い運転領域では、シリンダC内に新気量を十分に導入するために、また、シリンダC内の残存ガス量を低減しシリンダC内の温度を低く抑えてノッキングを回避するために、上死点付近において吸気バルブ8,8と排気バルブ9,9とを開弁してシリンダC内を掃気する必要がある。これについて、本発明者等が複数のエンジンに対して実験を行ったところ、2000rpmにて排気量1000ccあたり100Nm以上のトルクを出力するためには、吸気バルブ8,8と排気バルブ9,9とがいずれも開いているオーバーラップ期間が上死点を挟んで35°CA必要であることがわかった。このようにオーバーラップ期間を35°CAとした場合、BTDC(上死点前)9°CAおよびATDC(上死点後)8°CA付近において吸気バルブ8,8および排気バルブ9,9とピストン3とは最も近接するが、これら各バルブ8,8,9,9とピストン3との衝突を回避するためには上死点にあるピストン3の上面3aと閉弁状態にある各バルブ8,8,9,9の下面8a,8a,9a,9aとの距離はこれらバルブの移動方向すなわちこれら下面8a,8a,9a,9aに直交する方向に5mm以上必要となる。
ここで、燃焼室のボア/ストロークの関係式の理解を容易にするために、下記のように簡易にモデル化した。ピストン3の上面3aと各バルブ8,8,9,9の下面8a,8a,9a,9aとの距離をhとした場合、燃焼室の容積V1はシリンダCの断面積をA(A=1つのシリンダCの排気量V0/ストロークS)としてV1=A×h×K1+(A−K2)×K3と表される。A×h×K1は各バルブ8,8,9,9の下面8a,8a,9a,9aとピストン3の上面3aとの間の容積であり、K1は燃焼室5の形状に伴い決定される定数である。(A−K2)×K3は、各バルブ8,8,9,9とシリンダヘッド2との間の隙間の容積であり、K2は各バルブ8,8,9,9のバルブ面積の合計、K3はこの隙間の高さ相当の定数である。ここで、圧縮比をε以上とするには燃焼室5の容積V1をV1≦V0/(ε−1)とする必要がある。この式に上記V1の式を適用するとh≦(V0/(ε−1)−(A−K2)×K3)/AK1となる。これより、このhを上記のように5mm以上とするためには、少なくとも(V0/(ε−1)−(A−K2)×K3)/AK1≧5mmを満足する必要がある。この式に基づき、圧縮比14以上においてピストン3の上面3aと各バルブの8,8,9,9の下面8a,8a,9a,9aとの距離を5mm以上とするための条件を算出すると、S≧81.2mmとなる。また、圧縮比15以上および2点点火方式のエンジンEで圧縮比14以上では、S≧84.75mmとなる。図5の直線Lb_15はS=84.75mmの線である。
以上より、1点点火方式のエンジンEにおいて、図5の領域Aすなわち直線La_70と直線Lb_14で囲まれた領域内にストロークSを設定すれば、圧縮比を14以上としつつ低速高負荷での出力トルクを確保することができるとともに最高出力を70PS/L以上(6500rpmにて)とし、さらに吸気バルブ8,8および排気バルブ9,9とピストン3との衝突を回避してこれらバルブのオーバーラップ期間を確保することができる。また、1点点火方式のエンジンEにおいて、図5の直線La_85と直線Lb_15で囲まれた領域で囲まれた範囲内にストロークSを設定すれば、圧縮比を15以上としつつ低速高負荷での出力トルクを確保することができるとともに最高出力を85PS/L以上(7000rpmにて)とし、さらに吸気バルブ8,8および排気バルブ9,9のバルブオーバーラップ期間を確保することができる。
ここで、周知のとおり、ピストン3の平均ピストン速度はピストンの耐久性上、所定値例えば22m/s以下にするのが好ましい。そのため、ストロークSとしては、前記ボア径Bの一次関数に加え、この平均ピストン速度が22m/sとなる値以下にするのが好ましい。具体的には、エンジンの回転数が6500rpmではS≦100.4mm、回転数が7000rpmではS≦94.6mmとなるのが好ましく、図5において、直線Lc_65で示したS=100.4mmの線、または、Lc_70で示したS=94.6mmの線より下側の領域内に設定するのが好ましい。
なお、本発明に係る火花点火式内燃機関の構成は前記実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えばエンジンEは、4気筒でなく6気筒等であってもよい。
2 シリンダヘッド
3 ピストン
3a ピストンの上面
5 燃焼室
8 吸気バルブ(吸気弁)
8a 吸気バルブ(吸気弁)の下面
9 排気バルブ(排気弁)
9a 排気バルブ(排気弁)の下面
C シリンダ
E エンジン(火花点火式内燃機関)

Claims (2)

  1. シリンダと当該シリンダ内を往復移動するピストンと前記シリンダ上に設けられて前記ピストンの上面との間で燃焼室を形成するシリンダヘッドとを備えるエンジン本体と、前記シリンダヘッドに設けられて前記シリンダ内への空気の流入をそれぞれ遮断可能な2つの吸気弁と、前記シリンダヘッドに設けられて前記シリンダからの排気の流出をそれぞれ遮断可能な2つの排気弁と、前記シリンダヘッドに設けられて前記燃焼室に臨む点火プラグと、前記シリンダヘッドに設けられて前記燃焼室に臨む燃料噴射弁とを有する火花点火式内燃機関であって、
    なくともエンジン本体の回転数が低く負荷が高いためにノッキングが懸念される運転領域において、前記吸気弁および排気弁の開弁期間が上死点を挟んで互いにオーバーラップするように、かつ、前記運転領域の少なくとも一部の運転条件においてこのオーバーラップ期間が35°CA以上となるように、前記吸気弁および排気弁を開弁する動弁機構を備え、
    前記エンジン本体の幾何学的圧縮比は14以上に設定されており、
    上死点にある前記ピストンの上面と閉弁状態にある前記吸気弁の下面との距離を前記吸気弁の下面に直交する方向に測った場合における最小値をピストンと吸気弁との離間距離上死点にある前記ピストンの上面と閉弁状態にある前記排気弁の下面との距離を前記排気弁の下面に直交する方向に測った場合における最小値をピストンと排気弁との離間距離としたとき、前記各離間距離はそれぞれ5mm以上に設定されており、
    前記ピストンのストロークS(mm)は、前記シリンダのボア径をB(mm)としたときに、S≦0.977×B+18.2mmとなる長さに設定されており、
    前記燃焼室の天井部は吸気側及び排気側の2つの傾斜面からなる三角屋根状をなしており、前記ピストンの上面に吸気側及び排気側からそれぞれ中央寄りに向かい隆起する隆起部が形成されている、ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
  2. 請求項1記載の火花点火式内燃機関において、
    前記ピストンの隆起部の中央に凹部が形成されている、ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
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