JP3047789B2 - 筒内噴射型内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピストン - Google Patents
筒内噴射型内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピストンInfo
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Description
り、且つ燃焼室内に直接燃料噴射を行なう、筒内噴射型
内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピストンに関する。
ンを燃料とするようなガソリンエンジンの燃料供給系で
は、燃料噴射装置(インジェクタ)が広く用いられてい
る。このようなガソリンエンジンでは、コントローラ等
の制御ユニットによりインジェクタの作動が制御され、
所定のタイミングに所定量だけ燃料が吸気ポート内に噴
射される。
は、吸気行程で吸入された空気とともに燃焼室内に供給
されて空気と混合し、点火プラグにより点火されて燃焼
するのである。一方、主に軽油等を燃料とするディーゼ
ルエンジンでは、燃焼室内に直接燃料を噴射して、この
燃料を燃焼室内の圧縮空気によって自然発火させてい
る。
においても燃焼室内に直接燃料噴射を行なって、機関の
応答性を改善するような筒内噴射型の内燃機関が提案さ
れている。このような筒内噴射型内燃機関では、シリン
ダ内に渦流を形成してこの渦流中に燃料噴射を行い、点
火プラグの位置に合わせて所要濃度(理論空燃比近傍の
燃料濃度)の混合気層を形成し、この混合気層の燃料を
点火プラグに供給することで、全体として極めて燃料濃
度の低い(空燃比の高い)状態での燃焼、いわゆる層状
リーン燃焼運転を行なうことができる。
筒内噴射型内燃機関では、筒内に噴射された燃料によっ
て燃焼室内の吸気が冷却されるため、ノッキングを抑制
することができ、この結果、圧縮比を高めやすいという
利点がある。したがって、筒内噴射型内燃機関では、こ
の利点を生かすように、ピストンやシリンダヘッドの下
面等により形成される燃焼室の形状を設計することが重
要となっくる。
なると、ピストン及び燃焼室の形状や容積や点火プラグ
の配設位置等を僅かに設計変更しただけで、機関の出力
特性や燃費性能が大きく変化してしまうという課題があ
る。そこで、筒内噴射型内燃機関の燃焼室の形状や燃焼
室の構成部品の相対位置関係を燃焼効率が最適となるよ
うな状態に設定したいという要望がある。
は、燃料噴射弁からの噴射燃料がシリンダ内壁に当たら
ないようにした技術が開示されている。しかしながら、
このような技術では、燃料噴射弁からの燃料噴射方向に
ついてのみ着目したもので、上述の課題を解決するよう
なものではない。
筒内噴射型の内燃機関において、自己着火やノッキング
やスモークの発生を抑制するための技術が開示されてい
る。しかしながら、このような技術は、単に機関を滑ら
かに作動させるためのものであり、やはり、上述の課題
を解決するようなものではなかった。また、特開平4−
166612号公報には、筒内噴射式内燃機関の低負荷
運転時における着火性を改善するための技術が開示され
ているが、このような技術は、燃焼効率が最適となるよ
うに燃焼室やピストンを形成したり、点火プラグの配設
位置を規制するものではない。
に上部に凹部を形成して燃焼室を形成するようになって
いるが、ピストンの頂面とシリンダヘッド下面との間に
も大きな空間が形成されており、このような燃焼室形状
では十分な圧縮比が得られず、高出力化が困難であると
いう課題がある。
べく創案されたもので、筒内噴射型内燃機関の燃焼室の
形状や燃焼室の構成部品の相対位置関係を燃焼効率が最
適となるような状態に設定して、燃費の向上と出力の向
上とを両立できるようにした、筒内噴射型内燃機関及び
筒内噴射型内燃機関用ピストンを提供することを目的と
する。
の本発明の筒内噴射型内燃機関は、シリンダヘッドの下
面とピストンの頂面とで上下を区画される燃焼室と、該
燃焼室の上面の一側に配設された吸気弁と、該燃焼室の
上面の他側に配設された排気弁と、該燃焼室内に直接燃
料を噴射するように配設された燃料噴射弁とをそなえ
た、筒内噴射型内燃機関において、該燃焼室の上面を形
成する該シリンダヘッド下面が、該一側に形成された吸
気弁側傾斜下面と該他側に形成された排気弁側傾斜下面
とからなるペントルーフ形状に形成され、点火プラグが
該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部近傍に配設さ
れるとともに、該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂
面が、該吸気弁側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそ
れぞれ対応するように形成された吸気弁側傾斜上面及び
排気弁側傾斜上面を有する該ペントルーフ形状に形成さ
れるとともに該吸気弁側傾斜上面及び該排気弁側傾斜上
面を区画する稜線をそなえ、さらに、該ピストン頂面に
凹部が形成され、該凹部が該稜線を越え且つ該吸気弁側
傾斜上面から該排気弁側傾斜上面にまで延びて形成され
ていることを特徴としている。
内燃機関は、上記請求項1記載の構成に加えて、該点火
プラグの下端部が該シリンダヘッド下面から燃焼室内に
延びるとともに、該シリンダヘッド下面に該点火プラグ
の下端部の周囲を保護する肉盛り部が形成されているこ
とを特徴としている。また、請求項3記載の本発明の筒
内噴射型内燃機関は、上記請求項1又は2記載の構成に
加えて、該点火プラグがシリンダ中心軸に対して該排気
側に所定角度傾斜して配設されていることを特徴として
いる。
内燃機関は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の構成
に加えて、該凹部が、球面により形成されていることを
特徴としている。また、請求項5記載の本発明の筒内噴
射型内燃機関は、上記請求項1〜3のいずれかに記載の
構成に加えて、少なくとも該ピストン頂面の上記一側の
外周端部には平坦部が形成され、該凹部は、該平坦部よ
りなだらかに形成され燃焼室内に導入された吸気流が該
凹部に流入する際の流入部と、該凹部内に流入した吸気
流を上記点火プラグ近傍に向かうよう案内するなだらか
に隆起した隆起部と、該流入部と該隆起部とを接続する
略平坦面に形成された接続部とから構成されていること
を特徴としている。
内燃機関は、シリンダヘッドの下面とピストンの頂面と
で上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の上面の一側に
配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他側に配設され
た排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射するように配
設された燃料噴射弁とをそなえた、筒内噴射型内燃機関
において、該燃焼室の上面を形成する該シリンダヘッド
下面が、該一側に形成された吸気弁側傾斜下面と該他側
に形成された排気弁側傾斜下面とからなるペントルーフ
形状に形成され、点火プラグが該ペントルーフ形状の該
燃焼室上面の頂部近傍に配設されるとともに、該燃焼室
の下面を形成する該ピストン頂面が、該吸気弁側傾斜下
面及び該排気弁側傾斜下面にそれぞれ対応するように形
成された吸気弁側傾斜上面及び排気弁側傾斜上面により
該ペントルーフ形状にほぼ沿うような山型に形成され、
該ピストン頂面の該吸気弁側傾斜上面に、2つの球面と
これらの2つの球面間を滑らかに接続する接続面とから
形成された凹部が設けられるとともに、該2つの球面
が、ピストンピンの配設方向に沿って隣接するように配
設されていることを特徴としている。
内燃機関は、上記請求項6記載の構成に加えて、該2つ
の球面の中心が、該ピストンの上面視において、ピスト
ンピンの配設方向に直交し、且つピストンの中心を通る
軸線に対して、それぞれ同じ距離だけ互いに逆方向にオ
フセットされた位置に設定されていることを特徴として
いる。
内燃機関は、上記請求項4記載の構成に加えて、該凹部
が、該ピストンの吸気弁側上部に中心を有する仮想球面
の一部として形成され、該ピストンの頂点及び該ピスト
ンの吸気弁側傾斜上面の下端が、該仮想球面内に包含さ
れるように構成されていることを特徴としている。
内燃機関は、上記請求項4記載の構成に加えて、該凹部
が、該ピストンの吸気弁側上部に中心を有する仮想球面
の一部として形成され、該ピストンの頂点及び該ピスト
ンの吸気弁側傾斜上面の下端が、該仮想球面内に包含さ
れるように構成されるとともに、該ピストンが上死点位
置にあるとき、該燃料噴射弁の噴射口と該吸気弁の弁体
とがそれぞれ該仮想球面内に包含され、且つ点火プラグ
の放電電極の発火点が該凹部内に包含されるように構成
されていることを特徴としている。
型内燃機関は、上記請求項1〜9のいずれかに記載の構
成に加えて、該ピストンの該排気弁側傾斜上面が、該シ
リンダヘッドの該排気弁側下面よりも小さな傾斜角に設
定され、該シリンダヘッドの該排気弁側傾斜下面と該ピ
ストンの該排気弁側傾斜上面とにより該燃焼室の中心側
に向けて相互間距離が広がるように形成され、該ピスト
ンの上死点位置において断面が略楔状となる火炎浸入空
間が形成されていることを特徴としている。
型内燃機関は、上記請求項1〜10のいずれかに記載の
構成に加えて、該ピストンが上死点位置にあるとき、該
点火プラグの該放電電極と該凹部の表面とが近接するよ
うに配設されていることを特徴としている。また、請求
項12記載の本発明の筒内噴射型内燃機関は、上記請求
項11記載の構成に加えて、該ピストンが上死点位置に
あるとき、該ピストンと該排気弁との近接部分の間隔が
5mmから8mmの間に設定されていることを特徴とし
ている。
型内燃機関は、上記請求項1〜6のいずれかに記載の構
成に加えて、該ピストンが上死点にあるとき、該ピスト
ンと該排気弁との近接部分の間隔が、該ピストンと該吸
気弁との近接部分の間隔よりも小さくなるように配設さ
れていることを特徴としている。また、請求項14記載
の本発明の筒内噴射型内燃機関は、上記請求項1〜6の
いずれかに記載の構成に加えて、該燃焼室の上面を形成
する該吸気弁側傾斜下面と該排気弁側傾斜下面とが、そ
れぞれ略平坦に形成されていることを特徴としている。
型内燃機関用ピストンは、シリンダヘッドの下面とピス
トンの頂面とで上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の
上面の一側に配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他
側に配設された排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射
するように配設された燃料噴射弁とをそなえ、該燃焼室
の上面を形成する該シリンダヘッド下面が、該一側に形
成された吸気弁側傾斜下面と該他側に形成された排気弁
側傾斜下面とからなるペントルーフ形状に形成され、点
火プラグが該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部近
傍に配設された筒内噴射型内燃機関に用いられるピスト
ンにおいて、該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂面
が、該吸気弁側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそれ
ぞれ対応するように形成された吸気弁側傾斜上面及び排
気弁側傾斜上面を有する該ペントルーフ形状に形成され
るとともに、該吸気弁側傾斜上面及び該排気弁側傾斜上
面を区画する稜線をそなえ、さらに、該ピストン頂面に
凹部が設けられ、該凹部が該稜線を越え且つ該吸気弁側
傾斜上面から該排気弁側傾斜上面にまで延びて形成され
ていることを特徴としている。
型内燃機関用ピストンは、上記請求項15記載の構成に
加えて、該凹部が、球面状に形成されていることを特徴
としている。また、請求項17記載の本発明の筒内噴射
型内燃機関用ピストンは、上記請求項15記載の構成に
加えて、該凹部の底面が、略平坦に形成されていること
を特徴としている。
型内燃機関用ピストンは、シリンダヘッドの下面とピス
トンの頂面とで上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の
上面の一側に配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他
側に配設された排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射
するように配設された燃料噴射弁とをそなえ、該燃焼室
の上面を形成する該シリンダヘッド下面が、該一側に形
成された吸気弁側傾斜下面と該他側に形成された排気弁
側傾斜下面とからなるペントルーフ形状に形成され、点
火プラグが該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部近
傍に配設された筒内噴射型内燃機関に用いられるピスト
ンにおいて、該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂面
が、該吸気弁側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそれ
ぞれ対応するように形成された吸気弁側傾斜上面及び排
気弁側傾斜上面により該ペントルーフ形状にほぼ沿うよ
うな山型に形成されるとともに、該ピストン頂面の該吸
気弁側傾斜上面に、2つの球面とこれらの2つの球面間
を滑らかに接続する接続面とから形成された凹部が設け
られ、該2つの球面が、ピストンピンの配設方向に沿っ
て隣接するように配設されていることを特徴としてい
る。
形態について説明する。まず、本発明の第1実施形態と
しての筒内噴射型内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピ
ストンについて説明すると、図1はその燃焼室の構成を
示す模式的な断面図、図2(a)〜(c),図15〜図
22はいずれもその要部としてのピストンの形状を示す
模式図、図3はそのピストンの頂面とシリンダヘッドの
下面との相対的な位置関係を示す図、図4はその燃焼室
の全容積とピストンの凹部の容積との比を説明するため
の模式図、図5(a),(b)はいずれもそのピストン
の凹部形状の容積比の変化に伴う機関の特性の変化を説
明するためのグラフ、図6,図7,図23〜図46はい
ずれもその変形例を示す模式図、図8,図9はいずれも
その作用を説明するためのグラフ、図10はその燃焼室
の形状の差による燃費及びHC排出量の変化特性を示す
グラフである。
3は、シリンダヘッド8の下面とピストン2の頂面とに
より形成されており、燃焼室3の上面の一方の側には吸
気弁4が、又他方の側には排気弁5が配設されている。
また、シリンダヘッド8の下面、即ち燃焼室3の上面の
うち、吸気弁4の配設された側には、燃焼室3の頂部か
ら端部に向かって傾斜するような吸気弁側傾斜下面8a
が形成されており、排気弁5の配設された側には排気弁
側傾斜下面8bが形成されている。
り燃焼室3の上面側は、図1に示すようなペントルーフ
形状に形成されている。また、シリンダヘッド8には燃
料噴射弁(以下、単にインジェクタという)1が取り付
けられている。このインジェクタ1は、その先端側が燃
焼室3に臨むように配設されており、このインジェクタ
1により燃焼室3内に直接燃料が噴射されるようになっ
ている。
と、図1,図2(a)〜(c),図15〜図22に示す
ように、燃焼室3の下面を形成するピストン2の頂面に
は、吸気弁側傾斜下面8a及び排気弁側傾斜下面8bに
それぞれ対応して、ピストン2の中心側に向かって傾斜
した吸気弁側傾斜上面2a及び排気弁側傾斜上面2bが
形成されており、これらの傾斜上面2a,2bにより、
ピストン2の頂面がペントルーフ形状にほぼ沿うような
山型に形成されている。なお、これらの傾斜上面2a,
2bは、ピストン頂面に形成された稜線により区画され
ている。
2aには、図1,図2(a)〜(c)に示すような凹部
(以下、単にキャビティという)25が形成されてい
る。このキャビティ25は、稜線を分断するように排気
弁側傾斜上面2bまで延びて形成されるとともに、下に
凸状に彎曲した球面状に形成されたものであり、ピスト
ン2の吸気弁4側の上部に中心を有する仮想球面25a
の一部として形成されている。
12参照)9は、吸気弁4の上方に略直立するように延
設されており、この吸気ポートを介して吸気流が燃焼室
3に取り入れられると、吸気流は下方のピストン2に向
かって流れた後、ピストン2のキャビティ25に沿って
案内されて上向きに流れてタンブル流(縦渦流)を形成
するようになっている。
を略平坦に形成することで、すなわち、シリンダヘッド
8の下面8a,8bと、吸気弁4,排気弁5との下面と
を連続的につなげることで、タンブル流の流れがスムー
スになり、タンブル流が強化されるようになる。また、
シリンダヘッド8の下面を上述のようにペントルーフ形
状としているのは、主に以下の理由によものである。
ンでは、エンジン回転数やエンジン負荷により燃料噴射
タイミングが大きく変更されるようになっており、圧縮
行程時にも燃料噴射を成立させる必要がある。このため
には、燃焼室3内で吸気流が乱れることなく連続的に強
い流れを生じさせるのが好ましい。そこで、本実施形態
では、燃焼室3内で生じたタンブル流を特に圧縮行程後
半まで維持させるべく、シリンダヘッド8の吸気弁側下
面8a及び排気弁側傾斜下面8bをペントルーフ形状と
することで、ピストン2から排気弁側下面8bに向かう
タンブル流の流れを、また吸気弁側斜面8aからピスト
ン2への流れをスムースにし、タンブル流を圧縮行程後
半まで維持させているのである。
とで、吸気時の抵抗を低減して燃焼室3内に強い吸気流
を導入することで、燃焼室3内で強い縦渦流(タンブル
流)を形成させている。さらに、シリンダヘッド8の吸
気弁側傾斜下面8aは、吸気弁4を傾斜配置可能なペン
トルーフ形状とすることで、吸気ポート9のレイアウト
の自由度を増大させている。
定は、エンジン性能に与える影響が大きく、例えばキャ
ビティ25の容積が燃焼室3の全容積に対して大きすぎ
ると、図5(a)のグラフに示すように、層状燃焼を行
なうには有利であるが、燃焼室3の表面積が大きくなり
熱損失が大きくなってしまう。そして、これにより燃費
が向上するものの、図5(b)のグラフに示すように、
最高出力や最大トルクが低下してしまうことが考えられ
る。
全容積に対して小さすぎると、図5(b)のグラフに示
すように、最高出力や最大トルクは向上するが、キャビ
ティ25内で十分なタンブル流を形成することができ
ず、図5(a)のグラフに示すように、燃費の低下を招
いてしまう。そこで、本発明の筒内噴射型内燃機関で
は、機関の出力性能と燃費性能とを両立させるべく、燃
焼室3全体の容積に対してキャビティ25の容積が所定
の割合の比となるように設定されている。
用いて説明すると、キャビティ25の容積をVa、ピス
トン2が上死点位置にあるときの吸気弁側傾斜下面8a
と吸気弁側傾斜上面2aとの間の容積をVb、又ピスト
ン2が上死点位置にあるときの排気弁側傾斜下面8bと
排気弁側傾斜上面2bとの間の容積をVcとすると、
(Va+Vb)/(Va+Vb+Vc)の値が、0.4
〜0.6の間になるように設定されている。
室3を形成するために、ピストン2の頂面をシリンダヘ
ッド8のペントルーフ形状にほぼ沿うような山型に形成
しているのである。すなわち、このようにピストン2の
頂面を、ペントルーフ形状に形成すると、ピストン2の
上昇時に、ピストン2とシリンダヘッド8とで囲撓され
る空間を減少させることができ、燃焼室3の全容積に対
するキャビティ25の容積比を大きくすることができる
のである。
くすることができ、出力を大きく向上させることができ
るのである。
たような所定値に設定することにより、燃費の向上と高
出力化とをバランス良く達成することができるのであ
る。また、これに加えて、キャビティ25の形状を図2
(a)〜(c)に示すような球面状に形成することで、
ピストン2のキャビティ容積Vaに対するキャビティ表
面積を最小にすることができる利点がある。そして、こ
のようにキャビティ表面積を最小にすることで、熱損失
を小さくすることができ、燃焼効率を向上させることが
できるのである。
することで、燃焼室3内に吸気流による渦状の流れ、即
ちタンブル流を形成し易いという利点もある。また、上
述の仮想球面25aは、図1に示すように、ピストン2
の中心軸における断面において、ピストン2の頂点及び
ピストン2の吸気弁側傾斜上面2aの下端がキャビティ
25内に包含されるように設定されている。
に、インジェクタ1の噴射口と吸気弁4の弁体とがそれ
ぞれ仮想球面25a内に位置するように、インジェクタ
1,吸気弁4及び仮想球面25aの位置関係が設定され
ている。そして、このようにインジェクタ1や吸気弁4
を配設することで、着火時には、確実にキャビティ25
内の燃料濃度が濃い状態となるようになっている。
は、エンジンの運転状況に応じて図示しないコントロー
ラによりインジェクタ1の燃料噴射時期や燃料噴射量が
制御されるようになっており、エンジンの運転状況によ
っては、圧縮行程で燃料噴射が行なわれる。この場合、
燃焼室3内では混合気が空気と燃料との層状に形成さ
れ、燃料(図1中、網かけ部分)は、キャビティ25内
に比較的多く存在する。したがって、燃焼室内に略均一
の混合気が存在するような通常の内燃機関と異なり、通
常の内燃機関用の点火プラグでは、十分な濃度の可燃混
合気が存在する位置まで電極が届かず、燃焼効率を低下
させてしまうことが考えられる。
は、燃料を確実に燃焼させるために点火プラグ6の配設
位置や電極6aの長さが燃料の燃焼に最適となるように
設定されている。すなわち、ピストン2の上死点位置へ
の上昇時には、ピストン2と点火プラグ6との干渉を避
けながらも点火プラグ6の電極6aが確実にキャビティ
25側に位置するように、点火プラグ6の中心軸をシリ
ンダ中心軸CLに対して排気弁5側に所定角度θだけ傾
けて点火プラグ6を配設しているのである。
6取り付けるための点火プラグ取付部28が形成され、
点火プラグ取付部28には点火プラグ6の取付位置を規
制するための点火プラグ取付面27が形成されている
が、この取付面27も従来の内燃機関に対して所定量D
1(例えばD1=2mm)だけ燃焼室3側に近づけて設
けられている。
ティ25側に近づけるようにしてシリンダヘッド8に取
り付けるようにしているのである。なお、この場合、所
定量D1だけ点火プラグ6の下部のネジ部が燃焼室3内
に晒されてしまい、このような状態でエンジンを運転さ
せると、この点火プラグ6の下部にカーボン等が付着し
てしまう。そして、点火プラグ6の下部のネジ部にカー
ボン等が付着すると、点火プラグ6がシリンダヘッド8
から取り外すのが困難となり、作業性が低下してしまう
ことが考えられる。
1に示すように、点火プラグ6の下部を保護すべく、点
火プラグ取付部28の下部の周囲に肉盛り部29が形成
されている。これにより、点火プラグ6の下部へのカー
ボン等の付着を防止して、点火プラグ6の交換時の作業
性や点火プラグ6の耐久性を向上させているのである。
また、このような肉盛り部29を設けることにより、点
火プラグ6に加わった熱を肉盛り部29を介してシリン
ダヘッド8に逃がすことができ、点火プラグ6の熱に対
する耐久性が向上するようになっているのである。
常の点火プラグに対して所定量だけ長く形成されてお
り、これにより、燃料の着火時に燃料濃度の濃い部分に
電極6aが位置するようになるのである。なお、点火プ
ラグ6の取付面27を従来の内燃機関と同様の位置に形
成し、その分点火プラグ6の電極6aのみをさらに所定
量D1だけ長く形成して、電極6aをキャビティ25内
の燃料濃度の濃い部分へ配設するような構成も考えられ
る。すなわち、電極6aのみを極端に長くするという構
成のみで、燃料を確実に着火させるのである。この場
合、上述の肉盛り部29は不要になるが、このように電
極6aの長さだけを極端に長く形成すると、電極6aの
耐久性が低下してしまうことが考えられる。
の取付面27を燃焼室3側に近づけるとともに、電極6
aの長さを長く形成するという2段階の構成で着火部分
をキャビティ25内に近づけるようにしているので、電
極6aが確実にキャビティ25内の燃料濃度の濃い部分
に位置するようにしながらも、点火プラグ6の耐久性を
損なうことがないという利点がある。そして、これによ
り、燃料を確実に着火させることができ、燃焼効率を向
上させることができるのである。
ビティ25の表面との隙間(図1中D2で示す)の値に
ついても、エンジンの出力と燃費に影響するため、この
隙間D2を最適値に設定する必要がある。すなわち、こ
の隙間D2が大きすぎると、燃焼室3内で形成された吸
気タンブル流に乗った燃料に点火プラグ6の電極6aが
十分に届かずに、燃焼効率が悪化してしまう。また、放
電電極6aとキャビティ25の表面とが近すぎると、電
極6aとピストン2とが干渉してしまうことが考えられ
る。
ストン2の上死点位置における放電電極6aとキャビテ
ィ25の表面との距離D2を最適値(例えばD2=1〜
2mm程度)に設定し、ピストン2との干渉を十分に避
けながら高い燃焼効率が得られるようにしている。ま
た、このような筒内噴射型内燃機関では、ピストン2と
排気弁4との近接部分の間隔(これを排気側隙間とい
い、図1中D3で示す)も機関の性能に大きく影響す
る。例えば、図8のグラフの点C,点Dに示すように、
排気側隙間D3が大きすぎると、インジェクタ1から圧
縮行程時に噴霧された燃料がキャビティ25の外側に拡
散してしまい、燃費が悪化してしまう。
間D3が小さすぎると、全開運転時(即ち、吸気行程の
燃料噴射時)に、排気弁5側の空間に火炎が十分に伝播
されず、出力が低下してしまう。そこで、本発明の筒内
噴射型内燃機関では、この排気側隙間D3を燃費と出力
との均衡が図れ、効率的な燃焼を実現できるような最適
な値(図8に示す☆印近傍、D3=5〜8mm)に設定
されている。
するとともに、キャビティ25と点火プラグ6との位置
関係が最適となるように配設することにより、キャビテ
ィ25に向けて噴射された燃料を着火時にキャビティ2
5内に滞留させ、吸気と燃料との層状化を促進すること
ができ、さらに、確実な着火,燃焼が行なわれるように
なっているのである。
2の排気弁側傾斜上面2bとシリンダヘッド8の排気弁
側下面8bとの間には、着火された火炎が燃焼室3内に
均一に広がるように火炎浸入空間26が形成されてい
る。ここで、排気弁側傾斜上面2bは、排気弁側下面8
bよりも小さな傾斜角に設定されており、これにより、
上述の火炎浸入空間26は、図3に示すように、燃焼室
3の中心側に向けて、互いの面2b,8bの距離が広が
るような形状、即ち、断面が略楔状の空間に形成されて
いる。
状の火炎浸入空間26を形成するのは、以下の理由によ
る。即ち、上述したようなキャビティ25が形成された
筒内噴射型内燃機関の燃焼室3では、通常は排気弁側傾
斜上面2bと排気弁側下面8bとが略平行になるように
形成されるとともに、これらの面2b,8bで形成され
た空間は狭く形成されるため、燃料着火後のこの空間へ
の火炎の伝播は遅れがちになる。そこで、燃焼室3内の
火炎伝播を均一にするには、排気弁側傾斜上面2bと排
気弁側下面8bとの間の空間を単に広げることが考えら
れるが、上述したように、燃焼室3の全容積(図4のV
a+Vb+Vc部分)とキャビティ25及びその上部空
間の容積(Va+Vb)との間には最適な容積比が存在
している。
単純に広げてしまうと、今度はキャビティ25の容積比
を最適値にするのが困難になってしまい、かえって、機
関の性能低下を招くことも考えられる。そこで、上述し
たように、燃焼室3の排気弁5側の空間に、中心側の隙
間を大きめにしその分だけ排気弁5側端部の隙間を小さ
くした略楔状の火炎浸入空間26を形成しているのであ
る。
ず、点火プラグ6の電極6a近傍を中心に燃焼を開始し
た火炎が、燃焼室3の排気弁5側の空間のうち比較的隙
間の広い燃焼室3の中心側へ確実に燃え広がり、比較的
隙間の狭い燃焼室3の端部側にも、燃焼室3の他の部分
に対して遅れることなく火炎が伝播し、ムラのない均一
な燃焼を実現することができるのである。
空間断面を略楔状に形成することで、燃焼室3の排気弁
5側の空間の容積を変更することもなく、キャビティ比
の設定に何ら影響を与えないという利点も有している。
本発明の第1実施形態として筒内噴射型内燃機関及び筒
内噴射型内燃機関用ピストンは、上述のように構成され
ているので以下の効果を得ることができる。
2aに、図2(a)〜(c)に示すような下に凸状に灣
曲した球面状のキャビティ25を形成することで、出力
や燃費を向上させることができるという利点がある。
に形成することで、ピストン2のキャビティ容積Vaに
対するキャビティ表面積を最小にすることができる。こ
れにより、熱損失を減少させることができができ、燃焼
効率を向上させることができるのである。また、キャビ
ティ25を球面状に形成することで、燃焼室3内に吸気
流による渦状の流れ、即ちタンブル流の形成が促進さ
れ、層状燃焼を行ない易いという利点もある。さらに、
燃焼室3の傾斜下面8a,8bを略平坦に形成すること
で、タンブル流が形成が強化されるのである。
を有するピストン2と他の形状のキャビティを有するピ
ストン2とを比較して示すグラフであるが、断面が他の
形状のキャビティの燃費及び最大トルク(図中点A,点
Bに示す)に対して、球面状のキャビティ25を有する
ピストン2では、点Cに示すように、燃費及び最大トル
クの両方を向上させることができるのである。
を有するピストン2対に加えて、さらに燃焼室3の排気
弁5側の断面形状を略楔状に形成した火炎浸入空間26
を設けたものでは、点Dに示すように、さらに最大トル
クが向上するという利点がある。さらに、図10に示す
ように、このような略楔状の火炎浸入空間26を設ける
ことにより、燃料消費率もほぼ全域で低下させることが
できるとともに、THC(トータルでの炭化水素量)の
排出量も低下させることができるという利点も有してい
る。
ラグ6の取付面27を所定量D1(例えばD1=2m
m)だけ燃焼室3側に近づけるとともに、点火プラグ6
の放電電極6aを従来のものよりも所定量長く形成する
という2段階の構成で、電極6aの着火部分をキャビテ
ィ25内の燃料濃度の濃い部分に位置するようにしてい
るので、燃料を確実に着火させることができるようしな
がらも、点火プラグ6の電極6aの耐久性を損なうこと
がないという利点がある。
来の点火プラグに対して電極6a部を所定量長めに形成
するだけでよいので、低コストで実現できるという利点
もある。また、シリンダヘッド8の燃焼室3の形成面に
おいて、点火プラグ6の取付部28の周囲に肉盛り部2
9が設けられているので、点火プラグ6の下端が所定量
D1だけ燃焼室3側に移動しても、この点火プラグ6の
下端部が直接燃焼室3に晒されることがない。
へのカーボン等の付着が防止され、点火プラグ6の交換
等の作業性も向上する。また、点火プラグ6の下部が、
肉盛り部29により保護されるので、点火プラグ6自体
の耐久性も向上するという利点がある。さらには、点火
プラグ6に加わる熱を肉盛り部29を介してシリンダヘ
ッド8に逃がすことができるので、熱に対する耐久性も
向上するという利点を有している。
ストン2の頂点及びピストン2の吸気弁側傾斜上面2a
の下端を仮想球面内25aに包含するように形成するこ
とで、点火プラグ6をキャビティ25内に配設しやすく
なる。また、タンブル流の生成も促進することができる
という利点もある。また、ピストン2が上死点位置に達
した時に、インジェクタ1の噴射口と吸気弁4の弁体と
がそれぞれ仮想球面25a内に位置するようにインジェ
クタ1,吸気弁4及び仮想球面25aの位置関係が設定
されているので、キャビティ25内に燃料濃度の濃い混
合気を生成することができるのである。
トン2が上死点位置にあるときの吸気弁側傾斜下面8a
と吸気弁側傾斜上面2aとの間の容積Vbと、燃焼室3
全体の容積Va+Vb+Vcとの容積比が、最適な値、
例えば、(Va+Vb)/(Va+Vb+Vc)=0.
4〜0.6の間の値となるように設定されているので、
燃費の向上と出力の向上とをバランス良く達成すること
ができるという利点がある。
に、このキャビティ容積比が大きすぎると最大トルクや
最高出力が低下してしまい、また、キャビティ容積比が
小さすぎると燃費が低下してしまうが、上述したよう
に、キャビティ容積比を最適な値に設定することによ
り、燃費向上と出力向上とを両立することができるので
ある。
に、排気側隙間D3が最適値(D3=5〜8mm)に設
定されることにより、熱効率の高い燃焼状態を実現する
ことができ、やはり、最高出力を向上させることができ
るという利点がある。また、点火プラグ6の放電電極6
aとキャビティ25の表面との隙間D2を最適値(例え
ばD2=1〜2mm程度)に設定することにより、点火
プラグ6のピストン2との干渉を十分に避けながら高い
燃焼効率が得られるという利点を有している。
ーフ形状に形成することで、圧縮行程時にも強い縦渦流
を維持することができ、圧縮行程時の燃料噴射を安定し
て行なうことができるという利点がある。さらに、吸気
弁側傾斜上面2a及び排気弁側傾斜上面2bがピストン
頂面の稜線により区画されて形成されているので、燃焼
室3の形状が、吸気弁側傾斜下面8aと排気弁側傾斜下
面8bとでそれぞれ異なる形状とすることができ、吸気
弁4側と排気弁5側とで燃焼室3の役割を分担させるこ
とができる。
内燃機関の第1〜第3の各変形例について説明すると、
図6,図7,図23〜図30は、その第1の変形例を示
す図であり、上述の第1実施形態に対して、凹部25の
形状のみが異なっている。すなわち、この第1の変形例
では、凹部25の形状が、図6(a)〜(c)や図7
(a)〜(c)に示すような、断面が略長方形のキャビ
ティ25A,25Bとして形成されている。
るピストン2について簡単に説明すると、ピストン頂面
の吸気弁4側の外周端部40には、ピストン2の運動方
向に対して垂直な平坦部41が形成されている。また、
キャビティ25A,25Bには、吸気流をキャビティ2
5A,25B内に案内する流入部42と、キャビティ2
5A,25B内に流入した吸気流を点火プラグ6近傍に
向かうように案内する隆起部43と、流入部42と隆起
部43とを接続し、略平坦面に形成された接続部44と
から構成されている。
ャビティ25A,25Bの底面(接続部)44までの間
になだらかに形成された流入部42を介して流入し、そ
の後、隆起部43で向きを上方に変えて点火プラグ6近
傍に向かっていき、これによりタンブル流が形成される
のである。したがって、このようなキャビティ25A,
25Bを有する筒内噴射型内燃機関であっても、従来の
筒内噴射型内燃機関に対して、燃費や出力の面で優れる
という利点を有しているのである。
としての筒内噴射型内燃機関における第2の変形例を示
す図であり、上述の第1実施形態の構成に対して、点火
プラグ近傍の空間を確保するための凹所がピストンのキ
ャビティ25に隣接して形成されているという点のみが
異なって構成されたものである。また、図39〜図46
は、本第1実施形態としての筒内噴射型内燃機関におけ
る第3の変形例を示す図であり、ピストン2の排気弁側
傾斜上面2bに、ピストンと排気弁とのクリアランスを
確保するための凹所がキャビティ25とは別に形成され
たものである。
構成されたピストンを有する筒内噴射型内燃機関であっ
ても、上述した第1の変形例と同様に、従来の筒内噴射
型内燃機関に対して、燃費や出力の面で優れるという利
点を有している。次に、本発明の第2実施形態としての
筒内噴射型内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピストン
について説明すると、図11,図47〜54はその要部
としてのピストンを示す模式図である。なお、この第2
実施形態では、第1実施形態に対して、ピストン2の凹
部の形状のみが異なって形成されたものであり、これ以
外の構成は上述した第1実施形態と共通である。
トン2の吸気弁4側頂面には、下に凸状に灣曲したキャ
ビティ25Cが形成されている。
示すように、吸気弁4側の上部に互いに中心が隣接した
2つの仮想球面25b,25cと、これらの2つの球面
25b,25c間を滑らかに接続する接続面25dとか
ら形成されている。これらの仮想球面25b,25cの
中心は、図11(a)に示すように、ピストンピン30
の配設方向に直交する軸線に対して、それぞれ同じ距離
だけ互いに逆方向にオフセットされた位置に設定されて
いる。
5b,25cの低部を接続する円筒面として形成されて
いる。したがって、燃焼室3の断面形状としては、上記
第1実施形態と略同様のものとなる。そして、このよう
なキャビティ25Cによれば、ピストン2のキャビティ
容積を大きくすることができるとともにキャビティ容積
に対するキャビティ表面積を比較的小さく形成すること
ができる。
ことがなく、即ち出力特性をほとんど低下させることな
く、燃費を向上させることができるようになるのであ
る。また、キャビティ25Cの形状が略球面状に形成さ
れることにより、燃焼室3内に吸気流による渦状の流
れ、即ちタンブル流の形成が促進されるという利点もあ
る。
内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピストンは、上述の
ように構成されているので、吸気弁4を介して燃焼室3
内に流入した吸気流は、ピストン2に形成されたキャビ
ティ25Cに案内されて、タンブル流を形成するととも
に、このタンブル流に燃料を噴射することで層状の混合
気が形成される。
の2つの仮想球面25b,25cは、ピストンピン30
の配設方向に沿って隣接しているので、吸気流の流入す
る方向、即ちタンブル流を形成する方向には、球面状の
キャビティとして形成されることになる〔図11(b)
参照〕。したがって、第1実施形態と同様に層状燃焼を
行なうことができる。
ストン2のキャビティ容積を大きくしながらもキャビテ
ィ表面積を比較的小さく形成することができるので、出
力特性をほとんど低下させることなく、燃費を向上させ
ることができるという利点がある。なお、上述の接続面
25dとしては、円筒面に限定されるものではなく、2
つの球面25b,25c間を滑らかに接続することがで
きれば、他の形状の面であってもよい。
噴射型内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピストンにつ
いて説明すると、図12はその燃焼室の構成を示す模式
的な断面図である。本実施形態では、図12に示すよう
に、基本的には、第1実施形態と同様に構成されてい
る。すなわち、燃焼室3の上面はシリンダヘッド8の下
面によりペントルーフ形状に形成され、ピストン2の頂
面もシリンダヘッド8のペントルーフ形状に対応した山
型に形成されている。また、ピストン2には球面形状に
形成されたキャビティ25が設けられている。
内に臨んで設けられており、燃料は燃焼室3内に直接噴
射されるようになっている。また、インジェクタ1は、
例えば図示しないコントローラにより制御され、インジ
ェクタ1から適切なタイミングで燃料が適量噴射される
ようになっている。そして、この燃料は、ピストン2の
キャビティ25に向けて噴射され、吸気弁4の上方に略
直立して設けられた吸気ポート9から吸気された空気と
上記燃料とが燃焼室3内で混合して混合気が生成され
る。その後、混合気は、燃焼室3内で点火プラグ6によ
り着火され、膨張(爆発)した後、排気ポート10から
排出される。なお、図中に示す符号のうち7はシリンダ
ブロック、8はシリンダヘッドである。
6の取り付け位置や突出量の設定及びキャビティ容積比
の設定等の数値は厳密には規定されておらず、この点が
第1実施形態と異なっている。したがって、エンジンの
組み立て時や部品製造時の寸法管理を、第1実施形態や
第2実施形態に対して容易なものとすることができると
いう利点がある。すなわち、燃焼室3の形状を厳密に規
定しないため、エンジンを構成する部品、特に燃焼室形
状に関わる部品の寸法管理が容易になるとともに、エン
ジン組み立て時の組み立て精度の管理も容易となるので
ある。
状を規定しなかった場合であっても、ピストン2の凹部
25を球面状とし、ピストン2の頂面をペントルーフ型
とすることで以下のような作用,効果がある。すなわ
ち、吸気弁4の上方に略直立して延設された吸気ポート
9を介して吸気流が燃焼室3に取り入れられると、吸気
流は下方のピストン2に向かって流れた後、球面状のキ
ャビティ25に沿って上向きに案内されてタンブル流
(縦渦流)が形成される。そして、このタンブル流に燃
料を噴射することで層状の混合気が形成されるのであ
る。
8のペントルーフ形状にほぼ沿うような山型に形成形成
することで、ピストン2の上昇時に、ピストン2とシリ
ンダヘッド8とで囲撓される空間を減少させることがで
きる。これにより、エンジンの圧縮比を大きくすること
ができ、エンジン出力を大きく向上させることができる
のである。
要素を高いレベルで成立させながらも、製造コストを低
減することができるのである。次に、本発明の第4実施
形態としての筒内噴射型内燃機関及び筒内噴射型内燃機
関用ピストンについて説明すると、図13はその要部と
しての燃焼室形状を示す模式的な断面図、図14はその
要部としてのピストンを示す模式的な平面図である。
形態と略同様に燃焼室3が構成されており、以下の構成
のみが異なっている。すなわち、この第4実施形態で
は、図13に示すように、吸気弁4側と排気弁5側とで
は、ピストン2の頂面からシリンダヘッド8の下面まで
の隙間の間隔が異なっており、吸気弁4側の隙間aの方
が排気弁5側の隙間bよりも大きくなるように設定され
ているのである。
きなものではなく、第1実施形態で説明した容積比に対
して大きな影響を与えるものではない。つまり、キャビ
ティ25の容積をVa、ピストン2が上死点位置にある
ときの吸気弁側傾斜下面8aと吸気弁側傾斜上面2aと
の間の容積をVb、又ピストン2が上死点位置にあると
きの排気弁側傾斜下面2bと排気弁側傾斜上面2bとの
間の容積をVcとすると、(Va+Vb)/(Va+V
b+Vc)の値は、第1実施形態と同様に、0.4〜
0.6の間になるように設定されている。
状に形成されている。これは、第1実施形態でも説明し
たように、キャビティ25を球面形状に形成すること
で、ピストン2のキャビティ容積Vaに対するキャビテ
ィ表面積を最小にすることができるからである。そし
て、キャビティ表面積を最小にすることで、熱損失を小
さくすることができ、燃焼効率を向上させることができ
るのである。
弁5側の隙間bよりも大きく設定されている理由につい
て説明する。すなわち、上記第1実施形態でも詳述した
ように、燃焼室3の表面積が小さくなる程熱損失が小さ
くなり、燃焼効率を向上させることができるので、燃焼
室3の容積や圧縮比を変更することなく、燃焼室3の表
面積を小さくしたい。
内噴射型内燃機関では、ピストン2及び燃焼室3の形状
や容積、また、点火プラグ6の配設位置により、機関の
出力特性や燃費性能が大きく変化してしまい、第1実施
形態の燃焼室形状を大きく変更すると出力特性と燃費性
能とのバランスを損なってしまうおそれがある。そこ
で、上記第1実施形態で説明したような燃焼室3の形状
をほとんど変更せずに表面積を減少させるべく、ピスト
ン2の吸気弁側上面2aを、上記第1実施形態で説明し
たものに比べて吸気弁4から遠ざけ、排気弁側傾斜上面
2bを上記第1実施形態で説明したものに比べて僅かに
排気弁5に近づけるように構成されている。つまり、燃
焼室3内において、吸気弁隙間aと排気弁側隙間bとの
間でa>bの関係が成立するように設定されているので
ある。
ける排気弁側上面2bの表面積はほとんど変化しない
が、吸気弁側上面2aでは、排気弁側上面2bの表面積
の変化よりも大きな割合で表面積が減少することにな
る。これは、図14に示すように、キャビティ25の大
部分がピストン2の吸気弁側に設けられているからであ
り、このため、ピストン2の吸気弁側上面2aを下方に
移動すると、この分だけキャビティ25の表面積(特に
吸気弁側上面2aに対して縦方向の表面積)も減少する
ことになるからである。つまり、吸気弁側上面2aと排
気弁側上面2bとでは、上下方向に面を移動したときに
変化する表面積が、吸気弁側上面2aの方が多いのであ
る。
面積のうちのシリンダヘッド下面に対向する面積(図1
4の面積S1 参照)と、排気弁側上面2bの表面積のう
ちのシリンダヘッド下面に対向する面積(図14の面積
S2 参照)とでは、キャビティ25の存在する分だけ吸
気弁側上面2aの方が小さいので、第1実施形態のもの
と同等の圧縮比を確保しながら、吸気弁隙間aと排気弁
側隙間bとを変更するためには、吸気弁側上面2aの吸
気弁4から遠ざける量を、排気弁側傾斜上面2bを排気
弁5に近づける量よりも大きくする必要がある。したが
って、このような構成からも、吸気弁側上面2aの全体
の表面積の減少する量が、排気弁側上面2bの表面積増
加量よりもさらに大きくなるのである。なお、このよう
な構成で第1実施形態のものと同等の圧縮比を確保しよ
うとすると、吸気弁側上面2aを吸気弁4から遠ざける
量は、排気弁側上面2bを排気弁5に近づける量の約2
倍程度となる。
隙間bよりも大きくなるように設定することで、燃焼室
3の表面積をさらに減少させることができ、熱損失を小
さくすることができ、燃焼効率を向上させることができ
るのである。なお、図13及び図14における2点鎖線
は、第1実施形態に相当するピストン2の頂面形状であ
る。
内燃機関及び筒内噴射型内燃機関用ピストンは、上述の
ように構成されているので、上記第1実施例と同様な作
用及び効果があるほか、以下のような作用,効果を有す
る。すなわち、吸気弁隙間aが排気弁側隙間bよりも大
きくなるように設定することで、燃焼室3の表面積をさ
らに減少させることができ、熱損失を小さくすることが
でき、燃焼効率を向上させることができるのである。な
お、このような構成により、第1実施形態の燃効率に対
して、本第4実施形態では、例えば約2%程度上昇す
る。
わち、吸気弁隙間aと排気弁側隙間bとの間でa>bと
なるような燃焼室3形状を、上記第2実施形態に適用し
てもよい。そして、このように第2実施形態を構成した
場合も、やはり上述のように燃焼室3の表面積を減少さ
せることができ、熱損失を小さくすることができる。そ
して、これにより燃焼効率を向上させることができると
いう利点がある。
シリンダヘッド下面に対向する面積が、第1実施形態の
ものに比べてさらに小さいので、吸気弁側上面2aを吸
気弁4から遠ざける量を、第1実施形態のピストン2よ
りも大きくすることができ、熱損失を小さくする効果が
さらに顕著なものとなる。
発明の筒内噴射型内燃機関によれば、シリンダヘッドの
下面とピストンの頂面とで上下を区画される燃焼室と、
該燃焼室の上面の一側に配設された吸気弁と、該燃焼室
の上面の他側に配設された排気弁と、該燃焼室内に直接
燃料を噴射するように配設された燃料噴射弁とをそなえ
た、筒内噴射型内燃機関において、該燃焼室の上面を形
成する該シリンダヘッド下面が、該一側に形成された吸
気弁側傾斜下面と該他側に形成された排気弁側傾斜下面
とからなるペントルーフ形状に形成され、点火プラグが
該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部近傍に配設さ
れるとともに、該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂
面が、該吸気弁側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそ
れぞれ対応するように形成された吸気弁側傾斜上面及び
排気弁側傾斜上面を有する該ペントルーフ形状に形成さ
れるとともに該吸気弁側傾斜上面及び該排気弁側傾斜上
面を区画する稜線をそなえ、さらに、該ピストン頂面に
凹部が形成され、該凹部が該稜線を越え且つ該吸気弁側
傾斜上面から該排気弁側傾斜上面にまで延びて形成され
ているという構成により、圧縮比の高い筒内噴射型内燃
機関を実現することができ、出力を大きく向上させるこ
とができる。すなわち、燃焼室全体の容積に対するピス
トンの凹部の容積の割合を大きくすることができるの
で、圧縮比を高く設定することができ、高出力化するこ
とができるのである。
内燃機関によれば、上記請求項1記載の構成に加えて、
該点火プラグの下端部が該シリンダヘッド下面から燃焼
室内に延びるとともに、該シリンダヘッド下面に該点火
プラグの下端部の周囲を保護する肉盛り部が形成されて
いるという構成により、点火プラグの下部へのカーボン
等の付着が防止され、点火プラグの交換時の作業性や点
火プラグの耐久性が向上するという利点があるほか、点
火プラグに加わった熱を肉盛り部を介してシリンダヘッ
ドに逃がすことができ、やはり点火プラグの熱に対する
耐久性が向上するという利点がある。
内燃機関によれば、上記請求項1又は2記載の構成に加
えて、該点火プラグがシリンダ中心軸に対して該排気側
に所定角度傾斜して配設されているという構成により、
ピストンの上死点位置への上昇時には、ピストンと点火
プラグとの干渉を避けながらも点火プラグの電極が確実
に凹部に位置するように配設できるという利点がある。
内燃機関によれば、上記請求項1〜3のいずれかに記載
の構成に加えて、該凹部が、球面により形成されるとい
う構成により、ピストンの凹部の容積に対する凹部の表
面積を最小にすることができる。また、これにより、熱
損失を減少させることができ、燃焼効率を向上させるこ
とができるという利点がある。さらに、凹部を球面状に
形成することで、燃焼室内において吸気流による渦状の
流れ、即ちタンブル流の形成が促進され、層状燃焼を行
ないやすくなるという利点もある。
内燃機関によれば、上記請求項1〜3のいずれかに記載
の構成に加えて、少なくとも該ピストン頂面の上記一側
の外周端部には平坦部が形成され、該凹部は、該平坦部
よりなだらかに形成され燃焼室内に導入された吸気流が
該凹部に流入する際の流入部と、該凹部内に流入した吸
気流を上記点火プラグ近傍に向かうよう案内するなだら
かに隆起した隆起部と、該流入部と該隆起部とを接続す
る略平坦面に形成された接続部とから構成されるという
構成により、燃焼室内で確実にタンブル流を形成するこ
とができるという利点がある。
内燃機関によれば、シリンダヘッドの下面とピストンの
頂面とで上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の上面の
一側に配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他側に配
設された排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射するよ
うに配設された燃料噴射弁とをそなえた、筒内噴射型内
燃機関において、該燃焼室の上面を形成する該シリンダ
ヘッド下面が、該一側に形成された吸気弁側傾斜下面と
該他側に形成された排気弁側傾斜下面とからなるペント
ルーフ形状に形成され、点火プラグが該ペントルーフ形
状の該燃焼室上面の頂部近傍に配設されるとともに、該
燃焼室の下面を形成する該ピストン頂面が、該吸気弁側
傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそれぞれ対応するよ
うに形成された吸気弁側傾斜上面及び排気弁側傾斜上面
により該ペントルーフ形状にほぼ沿うような山型に形成
され、該ピストン頂面の該吸気弁側傾斜上面に、2つの
球面とこれらの2つの球面間を滑らかに接続する接続面
とから形成された凹部が設けられるとともに、該2つの
球面が、ピストンピンの配設方向に沿って隣接するよう
に配設されるという構成により、ピストンの凹部の容積
を大きくしながらも凹部の表面積を比較的小さく形成す
ることができ、出力特性をほとんど低下させることなく
燃費を向上させることができるという利点がある。
内燃機関によれば、上記請求項6記載の構成に加えて、
該2つの球面の中心が、該ピストンの上面視において、
ピストンピンの配設方向に直交し、且つピストンの中心
を通る軸線に対して、それぞれ同じ距離だけ互いに逆方
向にオフセットされた位置に設定されるという構成によ
り、ピストンの形状を左右対象に形成することができ
る。これにより燃焼室内で、燃焼のバラツキがなくな
り、燃料の燃焼状態が安定したものとなるという利点が
ある。
内燃機関によれば、上記請求項4記載の構成に加えて、
該凹部が、該ピストンの吸気弁側上部に中心を有する仮
想球面の一部として形成され、該ピストンの頂点及び該
ピストンの吸気弁側傾斜上面の下端が、該仮想球面内に
包含されるように構成されることにより、点火プラグを
凹部内に配設しやすくなるという利点がある。また、タ
ンブル流の生成も促進することができるという利点もあ
る。
内燃機関によれば、上記請求項4記載の構成に加えて、
該凹部が、該ピストンの吸気弁側上部に中心を有する仮
想球面の一部として形成され、該ピストンの頂点及び該
ピストンの吸気弁側傾斜上面の下端が、該仮想球面内に
包含されるように構成されるとともに、該ピストンが上
死点位置にあるとき、該燃料噴射弁の噴射口と該吸気弁
の弁体とがそれぞれ該仮想球面内に包含され、且つ点火
プラグの放電電極の発火点が該凹部内に包含されるよう
に構成されることにより、凹部に燃料濃度の濃い混合気
を生成することができるという利点がある。そして、こ
れにより燃焼効率を高めることができるという利点があ
る。
型内燃機関によれば、上記請求項1〜9のいずれかに記
載の構成に加えて、該ピストンの該排気弁側傾斜上面
が、該シリンダヘッドの該排気弁側下面よりも小さな傾
斜角に設定され、該シリンダヘッドの該排気弁側傾斜下
面と該ピストンの該排気弁側傾斜上面とにより該燃焼室
の中心側に向けて相互間距離が広がるように形成され、
該ピストンの上死点位置において、断面が略楔状となる
火炎浸入空間が形成されるという構成により、燃焼室内
で均一に火炎を伝播させることができ、ムラのない燃焼
を実現することができるという利点がある。また、燃焼
室の排気弁側の空間の容積を変更することもなく、凹部
の容積比の設定に何ら影響を与えないという利点も有し
ている。
型内燃機関によれば、上記請求項1〜10のいずれかに
記載の構成に加えて、該ピストンが上死点位置にあると
き、該点火プラグの該放電電極と該凹部の表面とが近接
するように配設されるという構成により、燃費の向上と
出力の向上とをバランス良く達成できるという利点があ
る。
型内燃機関によれば、上記請求項11記載の構成に加え
て、該ピストンが上死点位置にあるとき、該ピストンと
該排気弁との近接部分の間隔が5mmから8mmの間に
設定されるという構成により、凹部に向けて噴射された
燃料を着火時に凹部内に滞留させ、吸気と燃料との層状
化を促進することができるという利点がある。また、こ
れにより熱効率の高い燃焼状態を実現することができ、
やはり、最高出力を向上させることができるという利点
も有している。
型内燃機関によれば、上記請求項1〜6のいずれかに記
載の構成に加えて、該ピストンが上死点にあるとき、該
ピストンと該排気弁との近接部分の間隔が、該ピストン
と該吸気弁との近接部分の間隔よりも小さくなるように
配設されるという構成により、燃焼室全体の容積比をほ
とんど変更することなく、燃焼室内の表面積を低減する
ことができるので、熱損失が低減する。これにより燃焼
効率が向上し、高出力と高燃費とを高い次元で両立させ
ることができるという利点がある。
型内燃機関によれば、上記請求項1〜6のいずれかに記
載の構成に加えて、該燃焼室の上面を形成する該吸気弁
側傾斜下面と該排気弁側傾斜下面とが、それぞれ略平坦
に形成されるという構成により、燃焼室内で発生する縦
渦流の形成を促進することができ、縦渦流を強化させる
ことができる。これにより、さらに安定した層状燃焼を
行なうことができるという利点がある。
型内燃機関用ピストンによれば、シリンダヘッドの下面
とピストンの頂面とで上下を区画される燃焼室と、該燃
焼室の上面の一側に配設された吸気弁と、該燃焼室の上
面の他側に配設された排気弁と、該燃焼室内に直接燃料
を噴射するように配設された燃料噴射弁とをそなえ、該
燃焼室の上面を形成する該シリンダヘッド下面が、該一
側に形成された吸気弁側傾斜下面と該他側に形成された
排気弁側傾斜下面とからなるペントルーフ形状に形成さ
れ、点火プラグが該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の
頂部近傍に配設された筒内噴射型内燃機関に用いられる
ピストンにおいて、該燃焼室の下面を形成する該ピスト
ン頂面が、該吸気弁側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面
にそれぞれ対応するように形成された吸気弁側傾斜上面
及び排気弁側傾斜上面を有する該ペントルーフ形状に山
型に形成されるとともに、該吸気弁側傾斜上面及び該排
気弁側傾斜上面を区画する稜線をそなえ、さらに、該ピ
ストン頂面に凹部が設けられ、該凹部が該稜線を越え且
つ該吸気弁側傾斜上面から該排気弁側傾斜上面にまで延
びて形成されている構成により、低燃費と高出力とを両
立させることができる。
型内燃機関用ピストンによれば、上記請求項15記載の
構成に加えて、該凹部が、球面状に形成されるという構
成により、熱損失を低減しながらも圧縮比を高めること
ができる。また、請求項17記載の本発明の筒内噴射型
内燃機関用ピストンによれば、上記請求項15記載の構
成に加えて、該凹部の底面が、略平坦に形成されるとい
う構成により、コストを低減することができる。
型内燃機関用ピストンによれば、シリンダヘッドの下面
とピストンの頂面とで上下を区画される燃焼室と、該燃
焼室の上面の一側に配設された吸気弁と、該燃焼室の上
面の他側に配設された排気弁と、該燃焼室内に直接燃料
を噴射するように配設された燃料噴射弁とをそなえ、該
燃焼室の上面を形成する該シリンダヘッド下面が、該一
側に形成された吸気弁側傾斜下面と該他側に形成された
排気弁側傾斜下面とからなるペントルーフ形状に形成さ
れ、点火プラグが該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の
頂部近傍に配設された筒内噴射型内燃機関に用いられる
ピストンにおいて、該燃焼室の下面を形成する該ピスト
ン頂面が、該吸気弁側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面
にそれぞれ対応するように形成された吸気弁側傾斜上面
及び排気弁側傾斜上面により該ペントルーフ形状にほぼ
沿うような山型に形成されるとともに、該ピストン頂面
の該吸気弁側傾斜上面に、2つの球面とこれらの2つの
球面間を滑らかに接続する接続面とから形成された凹部
が設けられ、該2つの球面が、ピストンピンの配設方向
に沿って隣接するように配設されるという構成により、
ピストンの凹部の容積を大きくしながらも凹部の表面積
を比較的小さく形成することができ、出力特性をほとん
ど低下させることなく燃費を向上させることができると
いう利点がある。
機関における燃焼室の構成を示す模式的な断面図であ
る。
機関における要部としてのピストンの形状を示す模式図
であって、(a)はその上面図、(b)はその正面図、
(c)は(b)におけるA1−A1断面図である。
機関におけるピストンの頂面とシリンダヘッドの下面と
の相対的な位置関係を示す図である。
機関における燃焼室の全容積とピストンの凹部の容積と
の比を説明するための模式図である。
機関におけるピストンの凹部形状の容積比の変化に伴う
機関の特性の変化を説明するためのグラフである。
機関におけるピストンの凹部形状の他の例を示すための
ピストンの模式図であって、(a)はその上面図、
(b)はその正面図、(c)は(b)におけるA3−A
3断面図である。
機関におけるピストンの凹部形状の他の例を示すための
ピストンの模式図であって、(a)はその上面図、
(b)はその正面図、(c)は(b)におけるA4−A
4断面図である。
機関における作用を説明するためのグラフである。
機関における作用を説明するためのグラフである。
燃機関における燃焼室の形状の差による燃費及びHC排
出量の変化特性を示すグラフである。
燃機関における要部としてのピストンの形状を示す模式
図であって、(a)はその上面図、(b)はその正面
図、(c)は(b)におけるA2−A2断面図である。
燃機関における燃焼室の構成を示す模式的な断面図であ
る。
燃機関における燃焼室の構成を示す模式的な断面図であ
る。
燃機関におけるピストンの形状を示す模式的な平面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す平面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す正面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す底面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す左側面図
である。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す右側面図
である。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す背面図で
あって、図16に示す正面図と対称に表れる図である。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す断面図で
あって、図19に示す右側面図におけるA−A断面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す断面図で
あって、図16に示す正面図におけるB−B断面図であ
る。
燃機関用ピストンにおける第1の変形例のピストン形状
を示す平面図である。
燃機関用ピストンにおける第1の変形例のピストン形状
を示す正面図である。
燃機関用ピストンにおける第1の変形例のピストン形状
を示す底面図である。
燃機関用ピストンにおける第1の変形例のピストン形状
を示す左側面図である。
燃機関用ピストンにおける第1の変形例のピストン形状
を示す右側面図である。
燃機関用ピストンにおける第1の変形例のピストン形状
を示す背面図であって、この背面図は図24に示す正面
図と対称に表れる図である。
燃機関用ピストンにおける第1の変形例のピストン形状
を示す断面図であって、図27に示す右側面図における
A−A断面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す断面図であって、図24に示す正面図におけるB
−B断面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す平面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す正面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す底面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す左側面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す右側面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す背面図であって、この背面図は図32に示す正面
図と対称に表れる図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す断面図であって、図35に示す右側面図における
A−A断面図である。
燃機関用ピストンにおける第2の変形例のピストン形状
を示す断面図であって、図32に示す正面図におけるB
−B断面図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す平面図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す正面図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す底面図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す左側面図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す右側面図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す背面図であって、この背面図は図40に示す正面
図と対称に表れる図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す断面図であって、図43に示す右側面図における
A−A断面図である。
燃機関用ピストンにおける第3の変形例のピストン形状
を示す断面図であって、図40に示す正面図におけるB
−B断面図である。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す平面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す正面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す底面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す左側面図
である。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す右側面図
である。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す背面図で
あって、図48に示す正面図と対称に表れる図である。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す断面図で
あって、図51に示す右側面図におけるA−A断面図で
ある。
燃機関用ピストンにおけるピストン形状を示す断面図で
あって、図48に示す正面図におけるB−B断面図であ
る。
Claims (18)
- 【請求項1】 シリンダヘッドの下面とピストンの頂面
とで上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の上面の一側
に配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他側に配設さ
れた排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射するように
配設された燃料噴射弁とをそなえた、筒内噴射型内燃機
関において、 該燃焼室の上面を形成する該シリンダヘッド下面が、該
一側に形成された吸気弁側傾斜下面と該他側に形成され
た排気弁側傾斜下面とからなるペントルーフ形状に形成
され、 点火プラグが該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部
近傍に配設されるとともに、 該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂面が、該吸気弁
側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそれぞれ対応する
ように形成された吸気弁側傾斜上面及び排気弁側傾斜上
面を有する該ペントルーフ形状に形成されるとともに、
該吸気弁側傾斜上面及び該排気弁側傾斜上面を区画する
稜線をそなえ、 さらに、該ピストン頂面に凹部が形成され、該凹部が該
稜線を越え且つ該吸気弁側傾斜上面から該排気弁側傾斜
上面にまで延びて形成されていることを特徴とする、筒
内噴射型内燃機関。 - 【請求項2】 該点火プラグの下端部が該シリンダヘッ
ド下面から燃焼室内に延びるとともに、該シリンダヘッ
ド下面に該点火プラグの下端部の周囲を保護する肉盛り
部が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の
筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項3】 該点火プラグがシリンダ中心軸に対して
該排気側に所定角度傾斜して配設されていることを特徴
とする、請求項1又は2記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項4】 該凹部が、球面により形成されているこ
とを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の筒内
噴射型内燃機関。 - 【請求項5】 少なくとも該ピストン頂面の上記一側の
外周端部には平坦部が形成され、該凹部は、該平坦部よ
りなだらかに形成され燃焼室内に導入された吸気流が該
凹部に流入する際の流入部と、該凹部内に流入した吸気
流を上記点火プラグ近傍に向かうよう案内するなだらか
に隆起した隆起部と、該流入部と該隆起部とを接続する
略平坦面に形成された接続部とから構成されていること
を特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の筒内噴
射型内燃機関。 - 【請求項6】 シリンダヘッドの下面とピストンの頂面
とで上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の上面の一側
に配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他側に配設さ
れた排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射するように
配設された燃料噴射弁とをそなえた、筒内噴射型内燃機
関において、 該燃焼室の上面を形成する該シリンダヘッド下面が、該
一側に形成された吸気弁側傾斜下面と該他側に形成され
た排気弁側傾斜下面とからなるペントルーフ形状に形成
され、 点火プラグが該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部
近傍に配設されるとともに、 該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂面が、該吸気弁
側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそれぞれ対応する
ように形成された吸気弁側傾斜上面及び排気弁側傾斜上
面により該ペントルーフ形状にほぼ沿うような山型に形
成され、 該ピストン頂面の該吸気弁側傾斜上面に、2つの球面と
これらの2つの球面間を滑らかに接続する接続面とから
形成された凹部が設けられるとともに、 該2つの球面が、ピストンピンの配設方向に沿って隣接
するように配設されていることを特徴とする、筒内噴射
型内燃機関。 - 【請求項7】 該2つの球面の中心が、該ピストンの上
面視において、ピストンピンの配設方向に直交し、且つ
ピストンの中心を通る軸線に対して、それぞれ同じ距離
だけ互いに逆方向にオフセットされた位置に設定されて
いることを特徴とする、請求項6記載の筒内噴射型内燃
機関。 - 【請求項8】 該凹部が、該ピストンの吸気弁側上部に
中心を有する仮想球面の一部として形成され、該ピスト
ンの頂点及び該ピストンの吸気弁側傾斜上面の下端が、
該仮想球面内に包含されるように構成されていることを
特徴とする、請求項4記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項9】 該凹部が、該ピストンの吸気弁側上部に
中心を有する仮想球 面の一部として形成され、該ピスト
ンの頂点及び該ピストンの吸気弁側傾斜上面の下端が、
該仮想球面内に包含されるように構成されるとともに、
該ピストンが上死点位置にあるとき、該燃料噴射弁の噴
射口と該吸気弁の弁体とがそれぞれ該仮想球面内に包含
され、且つ点火プラグの放電電極の発火点が該凹部内に
包含されるように構成されていることを特徴とする、請
求項4記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項10】 該ピストンの該排気弁側傾斜上面が、
該シリンダヘッドの該排気弁側下面よりも小さな傾斜角
に設定され、 該シリンダヘッドの該排気弁側傾斜下面と該ピストンの
該排気弁側傾斜上面とにより該燃焼室の中心側に向けて
相互間距離が広がるように形成され、該ピストンの上死
点位置において、断面が略楔状となる火炎浸入空間が形
成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれ
かに記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項11】 該ピストンが上死点位置にあるとき、
該点火プラグの該放電電極と該凹部の表面とが近接する
ように配設されていることを特徴とする、請求項1〜1
0のいずれかに記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項12】 該ピストンが上死点位置にあるとき、
該ピストンと該排気弁との近接部分の間隔が5mmから
8mmの間に設定されていることを特徴とする、請求項
11記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項13】 該ピストンが上死点にあるとき、該ピ
ストンと該排気弁との近接部分の間隔が、該ピストンと
該吸気弁との近接部分の間隔よりも小さくなるように配
設されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれ
かに記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項14】 該燃焼室の上面を形成する該吸気弁側
傾斜下面と該排気弁側傾斜下面とが、それぞれ略平坦に
形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいず
れかに記載の筒内噴射型内燃機関。 - 【請求項15】 シリンダヘッドの下面とピストンの頂
面とで上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の上面の一
側に配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他側に配設
された排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射するよう
に配設された燃料噴射弁とをそなえ、該燃焼室の上面を
形成する該シリンダヘッド下面が、該一側に形成された
吸気弁側傾斜下面と該他側に形成された排気弁側傾斜下
面とからなるペントルーフ形状に形成され、点火プラグ
が該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部近傍に配設
された筒内噴射型内燃機関に用いられるピストンにおい
て、 該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂面が、該吸気弁
側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそれぞれ対応する
ように形成された吸気弁側傾斜上面及び排気弁側傾斜上
面を有する該ペントルーフ形状に形成されるとともに、
該吸気弁側傾斜上面及び該排気弁側傾斜上面を区画する
稜線をそなえ、 さらに、該ピストン頂面に凹部が設けられ、該凹部が該
稜線を越え且つ該吸気弁側傾斜上面から該排気弁側傾斜
上面にまで延びて形成されていることを特徴とする、筒
内噴射型内燃機関用ピストン。 - 【請求項16】 該凹部が、球面状に形成されているこ
とを特徴とする、請求項15記載の筒内噴射型内燃機関
用ピストン。 - 【請求項17】 該凹部の底面が、略平坦に形成されて
いることを特徴とする、請求項15記載の筒内噴射型内
燃機関用ピストン。 - 【請求項18】 シリンダヘッドの下面とピストンの頂
面とで上下を区画される燃焼室と、該燃焼室の上面の一
側に配設された吸気弁と、該燃焼室の上面の他側に配設
された排気弁と、該燃焼室内に直接燃料を噴射するよう
に配設された燃料噴射弁とをそなえ、該燃焼室の上面を
形成する該シリンダヘッド下面が、該一側に形成された
吸気弁側傾斜下面と該他側に形成された排気弁側傾斜下
面とからなるペントルーフ形状に形成され、点火プラグ
が該ペントルーフ形状の該燃焼室上面の頂部近傍に配設
された筒内噴射型内燃機関に用いられるピストンにおい
て、 該燃焼室の下面を形成する該ピストン頂面が、該吸気弁
側傾斜下面及び該排気弁側傾斜下面にそれぞれ対応する
ように形成された吸気弁側傾斜上面及び排気弁側傾斜上
面により該ペントルーフ形状にほぼ沿うような山型に形
成されるとともに、該ピストン頂面の該吸気弁側傾斜上
面に、2つの球面とこれらの2つの球面間を滑らかに接
続する接続面とから形成された凹部が設けられ、 該2つの球面が、ピストンピンの配設方向に沿って隣接
するように配設されていることを特徴とする、筒内噴射
型内燃機関用ピストン。
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