JP2021080892A - 燃焼室構造及び火花点火式内燃機関 - Google Patents

燃焼室構造及び火花点火式内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】凹穴内の混合気を有効活用する。【解決手段】燃焼室構造は、ピストン13、シリンダ12およびシリンダヘッド14により画成された主室17と、点火プラグ20と、点火プラグが収容され、副室32を画成すると共に、シリンダヘッドからシリンダ内に突出されたプラグケーシング30と、ピストンの頂面13Aに設けられ、ピストンの昇降動作に応じてプラグケーシングが挿抜される凹穴25と、プラグケーシングに設けられ、主室内に向けられた第1噴口33と、プラグケーシングに設けられ、凹穴内に向けられた第2噴口34とを備える。【選択図】図1

Description

本開示は燃焼室構造及び火花点火式内燃機関に関する。
一般に火花点火式内燃機関では、シリンダヘッドに取り付けられた点火プラグの中心電極と接地電極の間のギャップに火花を発生させ、この火花によりシリンダ内の混合気を点火している。
一方、このような通常の点火プラグを用いた内燃機関だと、中心電極に比較的大きな電気エネルギを印加したときに電極が摩耗し、ギャップの拡大が促進される欠点がある。
そこで本発明者は、こうした欠点を解消した火花点火式内燃機関を以前提案した(特許文献1参照)。このものでは、中心電極がシリンダヘッドからシリンダ内に向けて突出されると共に、接地電極として、ピストンの頂面に設けられた凹穴が用いられる。
特開2017−227164号公報
しかしこのものでは、熱効率を上げるために比較的早い点火時期(例えば圧縮上死点前25°)で点火を行ったとき、中心電極が凹穴から抜けたタイミングで点火が行われてしまう場合がある。この場合、中心電極の下端外周縁と、凹穴の上端外周縁との間に火花が発生し、ピストンの上方空間での燃焼が支配的となってしまう。そして凹穴内では燃焼が弱くなるかまたは無くなり、凹穴内の混合気を有効活用できなくなる虞がある。結局、通常の点火プラグを用いた内燃機関と同様の燃焼形態となる虞がある。
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、凹穴内の混合気を有効活用することができる燃焼室構造及び火花点火式内燃機関を提供することにある。
本開示の一の態様によれば、
ピストン、シリンダおよびシリンダヘッドにより画成された主室と、
点火プラグと、
前記点火プラグが収容され、副室を画成すると共に、前記シリンダヘッドから前記シリンダ内に突出されたプラグケーシングと、
前記ピストンの頂面に設けられ、前記ピストンの昇降動作に応じて前記プラグケーシングが挿抜される凹穴と、
前記プラグケーシングに設けられ、前記主室内に向けられた第1噴口と、
前記プラグケーシングに設けられ、前記凹穴内に向けられた第2噴口と、
を備えたことを特徴とする燃焼室構造が提供される。
好ましくは、前記第2噴口は、前記プラグケーシングの底面部に設けられて前記凹穴内の底面部に向けられる。
好ましくは、前記第2噴口は、シリンダ軸と平行に延びる。
好ましくは、前記第1噴口は、前記ピストンが圧縮上死点にあるときに前記凹穴より高い位置に位置されるよう、前記プラグケーシングに配置されている。
好ましくは、前記火花点火式内燃機関は、前記ピストンの内部に設けられ、前記凹穴の底面部付近で開口する一端と、前記ピストンの頂面の最外周端部で開口する他端とを有する連通孔をさらに備える。
好ましくは、前記ピストンの頂面の最外周端部に凹部が設けられ、前記連通孔の他端は前記凹部で開口する。
好ましくは、前記凹穴は、前記シリンダ内に突出された前記プラグケーシングと相似形状である。
本開示の他の態様によれば、前記燃焼室構造を備える火花点火式内燃機関が提供される。
本開示によれば、凹穴内の混合気を有効活用することができる。
内燃機関の縦断面図である。 副室からの火炎噴射時の様子を示す概略横断面図である。 圧縮上死点のときの内燃機関の縦断面図である。 比較的早い点火時期で点火が行われたときの縦断面図である。 比較的遅い点火時期で点火が行われたときの縦断面図である。 各種エンジンにおける熱発生率の変化の様子を示すグラフである。 圧縮上死点直後の状態を示す概略図である。 図7より遅い時期の状態を示す概略図である。 第1変形例の縦断面図である。 図9の位置からピストンが少しだけ下降したときの縦断面図である。 第2変形例の概略横断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
図1に示すように、本開示に係る燃焼室構造を備える内燃機関(エンジンともいう)10は火花点火式内燃機関であり、そのシリンダブロック11のシリンダ12内には、ピストン13が昇降動作可能に収容されている。また、シリンダブロック11の上部には、シリンダヘッド14が図示しないヘッドボルトによって固定されている。これらシリンダ12、ピストン13およびシリンダヘッド14により主燃焼室すなわち主室17が画成される。主室17は、一般的な火花点火式内燃機関の燃焼室に相当するものである。
シリンダ12の中心軸すなわちシリンダ軸を符号Cで示す。ピストン13はシリンダ12と同軸に配置される。以下特に断らない限り、軸方向、半径方向および周方向といった場合、シリンダ軸Cを基準とした軸方向、半径方向および周方向を意味するものとする。
シリンダヘッド14には、吸気ポート15及び排気ポート16が設けられている。また、シリンダヘッド14には、吸気ポート15内に燃料(ガソリン又は、LPG、LNG、CNG等の天然ガス)を噴射するポート噴射用インジェクタ40が設けられている。シリンダヘッド14には、吸気ポート15を開閉する吸気バルブ18と、排気ポート16を開閉する排気バルブ19とが設けられる。吸気バルブ18の開弁時に、燃料と空気の混合気が吸気ポート15から主室17に導入される。
なおインジェクタは、シリンダ12内に燃料を直接噴射する直噴用インジェクタであってもよく、ポート噴射用インジェクタと直噴用インジェクタの組み合わせであってもよい。本実施形態では、ディーゼルエンジンのシリンダヘッドを流用したため、主室17の天井面がシリンダ軸Cに垂直な平坦面形状とされ、これに対応してピストン13の頂面13Aもピストン軸に垂直な平坦面形状とされている。但し、これらの形状は任意であり、例えば主室天井面をより一般的なペントルーフ形状としてもよい。
シリンダ3の半径方向の中心部に、点火プラグ20とプラグケーシング30とが配置されている。これら点火プラグ10とプラグケーシング30は、シリンダ軸Cと同軸に配置され、シリンダヘッド14に固定されている。点火プラグ20は周知のように、中心電極21と、外側電極22と、これら電極間に介在される絶縁体23とを備える。プラグケーシング30は、その内部に点火プラグ20を収容し、シリンダヘッド14からシリンダ12内もしくは主室17内に突出されている。プラグケーシング30は、軸方向に延びる筒部30Aと、筒部30Aの下端を閉止する底面部30Bとを有する。筒部30Aは一定径の円筒状に形成される。底面部30Bは下方に向かって凸の略半球状に形成される。
プラグケーシング30は、その内部に副燃焼室すなわち副室32を画成する。副室32はプレチャンバーとも称され、主室17より容積が小さい燃焼室をなす。副室32は、プラグケーシング30と点火プラグ20の間の領域に形成されると共に、プラグケーシング30に設けられた第1噴口33および第2噴口34を介して主室17内に連通される。
ピストン13の頂面13Aには、ピストン13の昇降動作に応じてプラグケーシング30が挿抜される凹穴25が設けられる。この凹穴25も、シリンダ軸Cと同軸に配置される。凹穴25は、シリンダ12内に突出されたプラグケーシング30と相似形状とされる。
凹穴25は、軸方向に延びる筒部25Aと、筒部25Aの下端を閉止する底面部25Bとを有する。筒部25Aは一定径の円筒状に形成される。底面部25Bは下方に向かって凸の略半球状に形成される。
凹穴25(具体的には筒部25A)の内径Dhは、プラグケーシング30(具体的には筒部30A)の外径Dpより僅かに大きくされる。凹穴25の内径Dhは、プラグケーシング30の外径Dpにできるだけ近く、かつ、凹穴25に挿入されたプラグケーシング30がピストン13の揺動時に凹穴25の内面に干渉しないような大きさとされるのが好ましい。凹穴25の内径Dhは、例えばDp<Dh≦1.5Dpの範囲内の値とするのが好ましい。
図3に示すように、凹穴25の深さHは、ピストン13が図示の如く圧縮上死点にあるとき、凹穴25に挿入されたプラグケーシング30の底面部30Bと、凹穴25の底面部25Bとの間に軸方向の隙間ができるような大きさとされる。但し、凹穴25は貫通穴であってはならない。従って凹穴25の深さHは、プラグケーシング30の挿入長hより大きく、かつ、ピストン13を貫通しないような大きさとされる。なお、プラグケーシング30の底面部30Bと凹穴25の底面部25Bとの間の軸方向隙間は比較的大きくてもよい。
図1および図2に示すように、第1噴口33は、プラグケーシング30の筒部30Aに複数設けられ、具体的には周方向に等間隔(45°間隔)で計8個設けられる。そしてシリンダ軸Cを中心とした半径方向に沿って延び、シリンダ軸Cに垂直な方向に延びる。これら第1噴口33は、主室17内、具体的にはその半径方向外側に向けられ、図2に示すように、半径方向外側に向かって放射状に火炎H1を噴射するようになっている(詳しくは後述)。
図3に示すように、第1噴口33は、ピストン13が圧縮上死点にあるときに凹穴25より高い位置に位置され、言い換えれば、凹穴25と軸方向にオーバーラップしないような高さ位置に位置される。これにより、たとえ圧縮上死点で第1噴口33から火炎が噴射されても、その火炎を凹穴25の内面に干渉させず、主室17の最も半径方向外側の端部(最外周端部という)まで速やかに到達させることができる。
なお必要に応じて、第1噴口33の向き、位置、数等を変えてもよい。例えば第1噴口33を斜め下向きに傾斜させたり、噴口毎に向き、高さ位置等を変えたりしてもよい。
図1および図2に示すように、第2噴口34は、プラグケーシング30の底面部30Bに一つだけ設けられ、シリンダ軸Cと平行に延び、具体的にはシリンダ軸Cと同軸に延びる。第2噴口33は、凹穴25内の底面部25Bに向けられ、その底面部25Bに向かって下方(真下)に火炎H2を噴射するようになっている(図4参照)。
なお前記同様、必要に応じて、第2噴口34の向き、位置、数等を変えてもよい。例えば第2噴口34を僅かに傾斜させ、凹穴25内の底面部25Bまたは筒部25Aに向けてもよい。第2噴口34を複数設けてもよく、この場合、噴口毎に向きを変えてもよい。
ピストン13の頂面13Aの最外周端部には凹部26が設けられる。凹部26は、ピストン頂面13Aの最外周端部の角部を断面円弧状にえぐったような断面形状とされ、ピストン13の全周に延びる環状に形成される。凹部26を設けたことにより、ディーゼルエンジン流用のシリンダヘッド14を用いた場合でも圧縮比を通常のディーゼルエンジンより低下させ、最適な値に調節することができる。
なお、凹部26の断面形状および全体形状はこれに限定されない。凹部26は省略することも可能である。
加えて、ピストン13の内部には連通孔28が設けられる。連通孔28は、凹穴25の底面部25B付近で開口する一端28Aと、ピストン13の頂面13Aの最外周端部で開口する他端28Bとを有する。
詳しくは、連通孔28は、凹穴25の底面部25B付近から凹部26まで、半径方向外側かつ頂面13A側に向かって直線状に延びる貫通孔とされる。連通孔28の一端28Aは、筒部25Aと底面部25Bの接続部またはその付近で開口されている。またその一端28Aの高さ位置は、図3に示すようにピストン13が上死点に位置するとき、プラグケーシング30より下方とされる。連通孔28の他端28Bは、凹部26の下側部分で開口されている。連通孔28はピストン13の周方向に複数設けられ、本実施形態では四つの連通孔28が周方向等間隔(90°間隔)で、かつ第1噴口33と同一の周方向位置に設けられている。
なお必要に応じて、連通孔28の形状、位置、数等を変えてもよい。例えば連通孔28は曲がり孔で構成してもよく、第1噴口33と異なる周方向位置に配置してもよい。孔毎に形状、位置等を変えてもよい。連通孔28は省略することも可能である。
次に、エンジン10の作動を説明する。
まず、吸気バルブ18の開弁中かその前の所定の噴射時期でインジェクタ40から燃料が噴射される。この燃料は吸気バルブ18の開弁中に吸入空気と共に主室17内に流入し、主室17内に混合気を形成する。この混合気は後に圧縮され、点火プラグ20の点火により着火、燃焼され、ピストン13を押し下げてエンジン出力を発生する。こうしたインジェクタ40および点火プラグ20の制御は図示しない電子制御ユニットにより実行される。
図4は、図1と同一タイミングのエンジンを示し、比較的早い点火時期(例えば圧縮上死点前25°)で点火が行われたときの燃焼の様子を示す。以下、この図4を参照しつつ説明する。
圧縮行程では主室17内の混合気が圧縮され、これと同時に混合気が各噴口33,34を通じて副室32内に押し込まれると共に、凹穴25および連通孔28内にも押し込まれる。そして点火時期で点火プラグ20が点火されると、副室32内の混合気が着火、燃焼する(これを副燃焼という)。これによって図4に示すように、トーチ状の火炎H1,H2が各噴口33,34から噴射される。
第1噴口33から噴射された火炎H1は、図2にも示したように、主室17内の中心部から半径方向外側に向かって放射状に延びる。主室5内ではこれら火炎Hを起点として、様々な箇所で着火、燃焼が起きる(これを主燃焼という)。従って一般的な火花点火式内燃機関(第1比較例という)のように一箇所の点火プラグを起点として燃焼させる場合に比べ、燃焼速度を速められ、燃焼開始から燃焼終了までの燃焼時間を短くすることができ、筒内圧を急速に高めることができる。よって、第1比較例において同一タイミングで点火した場合よりも筒内圧ピーク値を上昇させることができる。
一方、第2噴口34から噴射された火炎H2は、凹穴25内に向かって下方に延び、凹穴25内の混合気を着火、燃焼させる。これによってできた火炎は、複数の連通孔28を通じた後、その他端28Bから凹部26内に噴射される。そして火炎H1と共に、主室17の最外周端部の混合気(エンドガスといい、符号Gで略示する)を着火、燃焼させる。
ところで、第1噴口33からの半径方向の距離が最も離れた最外周端部のエンドガスGには、第1噴口33からの火炎H1が伝播しづらい。また、火炎H1の圧力によりエンドガスGがシリンダ12の内壁に押し付けられ、エンドガスGの圧力が急激に上昇する。そのため、エンドガスGが火炎H1によって着火される前に、自己着火し、これによりノッキングが発生する虞がある。
しかし本実施形態では、第2噴口34から噴射された火炎H2により凹穴25内の混合気を着火、燃焼させ、これによってできた火炎を、連通孔28を通じて主室17の最外周端部に噴射させることができる。よって、火炎を速やかにエンドガスGに到達させ、その火炎でエンドガスGを、自己着火する前に着火させることができる。また、火炎H1によりエンドガスGの圧力が上昇しようとしても、エンドガスGが連通孔28内に浸入して逃げることができるため、エンドガスGの圧力上昇を抑制することができる。これらにより、エンドガスGの自己着火によるノッキングを抑制することができる。
また、本実施形態ではエンドガスGの燃焼を促進できるため、エンドガスGが未燃のまま排出されて未燃成分(HC、CO)排出量が増加し、排気エミッションが悪化することを抑制できる。
また、ノッキングを抑制できればその分、点火時期を進角することができるので、熱効率を向上し、排気エミッションをさらに改善することができる。
本実施形態では、図4に示すように、プラグケーシング30が凹穴25に挿入される前の(すなわち、プラグケーシング30が凹穴25から抜けたタイミングでの)比較的早い点火時期の場合であっても、第2噴口34から凹穴25内に火炎H2を噴射し、この火炎H2により凹穴25内の混合気を着火、燃焼させることができる。よって凹穴25内の混合気を有効活用し、エンジンの熱効率と燃費を向上することが可能である。
図5は、図3と同一タイミングのエンジンを示し、比較的遅い点火時期(例えば圧縮上死点)で点火が行われたときの燃焼の様子を示す。この場合の燃焼形態は図4に示した例とほぼ同様である。特に、第1噴口33が凹穴25より高い位置に位置されるため、第1噴口33から噴射された火炎H1を、凹穴25の内面に干渉させることなく、主室17の最外周端部まで速やかに到達させることができる。よってエンドガスGを自着火前に燃焼させ、ノッキングを抑制することができる。またエンドガスGの燃え残りを抑制して排気エミッション悪化を抑制することができる。
図5の場合には、図4の場合よりもエンドガスGの圧力が高まっているため、エンドガスGが自着火し易く、ノッキングが発生し易い。しかし本実施形態では、前記同様、連通孔28を通じた火炎でエンドガスGを着火させることができる。また火炎H1によりエンドガスGの圧力が上昇しようとしても、エンドガスGが連通孔28内に浸入して逃げられるため、その圧力上昇を抑制することができる。これらにより、エンドガスGの自着火によるノッキングを抑制することができる。
ところで本実施形態では、凹穴25を、シリンダ12内に突出されたプラグケーシング30と相似形状としている。これにより図3から理解されるように、プラグケーシング30の挿入時に凹穴25とプラグケーシング30の半径方向の隙間を最小に抑えつつ、凹穴25とプラグケーシング30の軸方向の隙間を最適な形状および大きさに設定できる。これにより望ましい燃焼形態を実現できる。また、本実施形態と異なりプラグケーシング30を凹穴25の底面部25B近傍まで挿入する場合には、凹穴25とプラグケーシング30の軸方向の隙間の容積を、相似形状としない場合に比べて小さく設定できる。
なお、プラグケーシング30の挿入時、凹穴25とプラグケーシング30の軸方向の隙間の容積を大きくすると、連通孔28の他端28Bから噴射される火炎の持続時間を長くできる一方、点火から火炎噴射開始までのタイミングは遅れる。容積を小さくした場合にはその逆である。
図6には各種エンジンにおける熱発生率の変化の様子を示す。横軸はクランク角、TDCは圧縮上死点、縦軸は熱発生率である。線aは一般的な火花点火式内燃機関(第1比較例)の場合である。なお熱発生率は筒内圧(シリンダ12内圧力)と相関関係にある。
線bは、特許文献1の火花点火式内燃機関(第2比較例という)の場合である。すなわち、シリンダ内に突出された中心電極と、接地電極としてのピストン凹穴とを備えた火花点火式内燃機関の場合である。この場合、熱発生率のピークPbは第1比較例のピークPaより低下するものの、有効燃焼期間Tbは第1比較例の有効燃焼期間Taより長くなる傾向にある。ここで有効燃焼期間とは、ピーク時の熱発生率を100%としたときに所定割合(例えば10%)以上の熱発生率となるクランク角期間のことをいう。
線cは、点火プラグ20とプラグケーシング30を備えるが凹穴25は備えない火花点火式内燃機関(第3比較例という)の場合である。この場合、熱発生率のピークPcは第1比較例のピークPaより増大するものの、有効燃焼期間Tcは第1比較例の有効燃焼期間Taより短くなる傾向にある。
線dは、本実施形態の火花点火式内燃機関の場合である。この場合、第2比較例と第3比較例を組み合わせたような特性とすることができる。すなわち、熱発生率のピークPdを第3比較例のピークPcよりは低いが、第1比較例のピークPaより高くすることができる。その一方で、有効燃焼期間Tdを、第2比較例の有効燃焼期間Tbよりは短いが、第1比較例の有効燃焼期間Taより長くすることができる。
よって本実施形態によれば、第1比較例と比べ、より高い熱発生率を、機械効率の良い遅いタイミングに向かってより長く持続することができ、エンジンの熱効率を向上できる。
ここで、機械効率の良い遅いタイミングについて説明する。図7に示すように、第1比較例においてピークPaが発生する、圧縮上死点に近い直後のタイミングは、筒内圧Pzをクランクシャフトのトルクに変換する際の機械効率が必ずしも良好とは言えない。筒内圧Pzは、ピストン13に対する下向きの力を発生させ、この力はコンロッド41を通じてクランクシャフト42に伝達され、クランクシャフト42を回転させるためのトルクに変換される。しかし当該タイミングだと、クランクシャフト中心およびクランクピン中心を結ぶクランク半径Rと、コンロッド中心軸Ccとがなす角度θが90°よりかなり大きく、180°付近となっている。このため、クランクシャフト42にかかる力のモーメントを計算する際の腕の長さrは、クランク半径Rよりかなり短くなり、大きな筒内圧Pzを与えても、クランクシャフト42にはそれ程大きなトルクが与えられない。それ故、筒内圧をクランクシャフトのトルクに変換する際の機械効率(以下、単に機械効率という)は必ずしも良好と言えない。
仮に点火時期を進角して筒内圧ピーク値を上昇させても、筒内圧ピーク発生タイミングはそれ程変わらず、むしろ進角されていくので、角度θが増大し、腕の長さrが短くなる方向に変化する。従って進角量に対するトルクの増加率はそれ程大きくなく、点火時期を進角しても、トルクはそれ程大きくならず、エンジンの熱効率を向上するのが困難である。
一方、図8には、機械効率が最大となる時期(機械効率最大時期という)でのピストン13、コンロッド41およびクランクシャフト42の位置を示す。この時期は、図7に示した時期より遅れた時期である。この時期では、クランク半径Rとコンロッド中心軸Ccとがなす角度θが90°に等しい。このため、クランクシャフト42にかかる力のモーメントを計算する際の腕の長さrが、クランク半径Rに等しくなり、機械効率は最大となる。それ故、機械効率最大時期にできるだけ近い時期で筒内圧ピークすなわち熱発生率ピークが発生するよう、点火時期を制御することにより、エンジンの熱効率を向上することができる。
図6に示すように、本実施形態(線d)によれば、第1比較例のピークPaより高い熱発生率を、そのピークPaより遅れた時期まで、長く維持することができる。よって機械効率の良い時期に高い筒内圧を、ピストン13に長時間印加することができ、エンジンの熱効率を著しく向上することが可能である。
なお、機械効率最大時期は例えば圧縮上死点後45〜80°の範囲内における時期である。例えば連桿比3.1のエンジンの場合、圧縮上死点後70°という時期を例示することができる。
次に、変形例を説明する。なお前記基本実施形態と同様の部分には図中同一符号を付して説明を割愛し、以下、基本実施形態との相違点を主に説明する。
図9に示す第1変形例では、第1噴口33の高さ位置が基本実施形態よりも下方の位置に変更されている。そして第1噴口33は、図示するようにピストン13が圧縮上死点にあるとき、凹穴25内に位置され、言い換えれば、凹穴25と軸方向にオーバーラップするような高さ位置に位置される。第1噴口33の高さ位置は、具体的には筒部30Aの下端の位置とされている。
この場合、図示例のように圧縮上死点で第1噴口33から火炎H1が噴射されると、火炎H1は凹穴25(具体的には筒部25A)の内面に衝突し、すなわち凹穴25の内面に干渉し、上下に分割される。
上方に分割された火炎H1は、前記同様、主室17内を半径方向外側に向かって進み、エンドガスGに到達する。他方、下方に分割された火炎H1は、第2噴口34から噴射された火炎H2と共に、凹穴25内の混合気を着火、燃焼させる。
このように、第1噴口33は圧縮上死点のときに全部または一部が凹穴25内に位置されても構わない。第1噴口33が凹穴25内に位置されるのは、圧縮上死点付近の極短い期間であり、その期間内に第1噴口33から火炎H1が噴射されるのは比較的希と考えられるからである。すなわち、火炎H1の噴射タイミングは点火時期に依存し、点火時期から僅かな着火遅れ期間等を経て火炎噴射が実行される。火炎干渉が起こるのは、圧縮上死点に極近い直前から直後までの間に点火時期が設定されたケースだけであり、これはレアケースと考えられる。大抵の場合、第1噴口33が凹穴25から外れたタイミングで火炎噴射が実行されるため、第1変形例の構成は特段問題ない。
また、図9の圧縮上死点の位置からピストン13が少しだけ下降して図10の位置になったとき、第1噴口33が凹穴25から外れる。この時期にも火炎噴射が持続していれば、火炎H1は基本実施形態と同様、凹穴25の内面に干渉せずに進行するようになる。
因みに前述したように、機械効率向上の観点からすれば、燃焼はできるだけ機械効率最大時期に近いタイミングで行わせるのがよい。そのため点火時期を、圧縮上死点より後の時期に設定することができる。こうすると第1変形例でも、火炎H1の噴射タイミングを、第1噴口33が凹穴25から外れたタイミングとすることができる。そして基本実施形態と同様の燃焼形態を得られる。
次に、図11に示す第2変形例では、連通孔28の周方向位置が第1噴口33と異なる周方向位置とされている。具体的には、隣り合う一対の第1噴口33の丁度中間となる周方向位置に、連通孔28が設けられ、連通孔28の他端28Bが開口されている。なお連通孔28の間隔と個数は基本実施形態と同様であるが、変更してもよい。
これによれば、隣り合う一対の火炎H1の中間に位置するエンドガスGに対し、連通孔28の他端28Bから出た火炎H2を直接、作用させることができるので、火炎H1では着火しづらい位置にあるエンドガスGを、別の火炎H2で効果的に着火、燃焼させることができる。これにより、さらなるノッキング抑制と排気エミッション向上を図れる。
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示の実施形態および変形例は他にも様々考えられる。
(1)例えば、プラグケーシング30の底面部30Bと、凹穴25の底面部25Bとの少なくとも一方は、半球状でなくてもよく、他の形状(例えば平面状)であってもよい。
(2)また凹穴25と、シリンダ12内に突出されたプラグケーシング30とは、必ずしも相似形状でなくてもよく、互いに異なる形状であってもよい。また上述以外の形状であってもよい。
本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
10 内燃機関
12 シリンダ
13 ピストン
13A 頂面
14 シリンダヘッド
20 点火プラグ
25 凹穴
25B 底面部
26 凹部
28 連通孔
28A 一端
28B 他端
30 プラグケーシング
30B 底面部
32 副室
33 第1噴口
34 第2噴口

Claims (8)

  1. ピストン、シリンダおよびシリンダヘッドにより画成された主室と、
    点火プラグと、
    前記点火プラグが収容され、副室を画成すると共に、前記シリンダヘッドから前記シリンダ内に突出されたプラグケーシングと、
    前記ピストンの頂面に設けられ、前記ピストンの昇降動作に応じて前記プラグケーシングが挿抜される凹穴と、
    前記プラグケーシングに設けられ、前記主室内に向けられた第1噴口と、
    前記プラグケーシングに設けられ、前記凹穴内に向けられた第2噴口と、
    を備えたことを特徴とする燃焼室構造。
  2. 前記第2噴口は、前記プラグケーシングの底面部に設けられて前記凹穴内の底面部に向けられる
    請求項1に記載の燃焼室構造。
  3. 前記第2噴口は、シリンダ軸と平行に延びる
    請求項1または2に記載の燃焼室構造。
  4. 前記第1噴口は、前記ピストンが圧縮上死点にあるときに前記凹穴より高い位置に位置されるよう、前記プラグケーシングに配置されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃焼室構造。
  5. 前記ピストンの内部に設けられ、前記凹穴の底面部付近で開口する一端と、前記ピストンの頂面の最外周端部で開口する他端とを有する連通孔をさらに備える
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃焼室構造。
  6. 前記ピストンの頂面の最外周端部に凹部が設けられ、前記連通孔の他端は前記凹部で開口する
    請求項5に記載の燃焼室構造。
  7. 前記凹穴は、前記シリンダ内に突出された前記プラグケーシングと相似形状である
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃焼室構造。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃焼室構造を備える火花点火式内燃機関。
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