JP3637391B2 - 気体燃料を筒内噴射する内燃機関と内燃機関の点火方法 - Google Patents

気体燃料を筒内噴射する内燃機関と内燃機関の点火方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素ガスや天然ガス等の気体燃料を筒内噴射して、噴射された噴流に点火して爆発させる内燃機関とこの内燃機関の点火方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料消費率の優れた内燃機関は、ディーゼルエンジンである。ディーゼルエンジンは、低負荷の状態においても、ガソリンエンジンのように吸入する空気量を減少させない。この状態で、燃料を極めて薄い混合比で燃焼させることが燃料消費率を高くしている。ただ、ディーゼルエンジンは、排気ガスに多量の窒素酸化物や微細な未燃焼カーボンが含まるので、クリーンな排気を実現することが極めて難しい。とくに、燃料に含まれる硫黄分が触媒の弊害となり、触媒で排気ガスを綺麗にするのも難しい。火花点火の内燃機関は、ディーゼルエンジンに比較して排気ガスをクリーンにできるが、燃料消費率がディーゼルエンジンに比較して悪くなる。とくに、低負荷時の燃料消費率が悪くなる性質がある。低負荷時には吸入する空気量を少なくするので、実質的な圧縮比が低下するからである。低負荷時にシリンダーに吸入する空気量を少なくする必要があるのは、シリンダー内に吸入される空燃比を、つねに理想に近い一定の混合比とするからである。低負荷のときに、空気に対する燃料の比率を低くして、理想の混合比に比べて著しく薄い混合比にすると、シリンダー内で正常に燃焼できなくなる性質がある。このため、低負荷時には、吸入する燃料を少なくするために、空気も一緒に少なくする必要があり、このことが低負荷時の燃料消費率を悪くしている。自動車の燃費を向上するためには、内燃機関の低負荷における燃料消費率を向上することが大切である。自動車等の内燃機関は、ほとんどの状態で低負荷な状態で運転されるからである。低負荷の運転状態でいかに燃料消費率を向上できるかが、現実の自動車の燃費に大きく影響を与える。
【0003】
筒内噴射の内燃機関は、低負荷の燃料消費率を向上できる極めて優れた特長がある。この特長が、自動車に搭載される割合を急激に増加させる原因となっている。筒内噴射が低負荷の燃料消費率を向上できるのは、薄い混合比で燃焼できるからである。空気と燃料とをあらかじめ混合してシリンダーに吸入する従来の内燃機関は、燃料の混合比を理想値よりも低くすると正常に燃焼できなくなるが、筒内噴射の内燃機関は、空気に対する燃料の比率を極めて低くして正常に燃焼できる性質がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上の特長が生かされて、筒内噴射の内燃機関が自動車の燃費を相当に向上させている。現在、ガソリンをシリンダー内に直接に噴射する内燃機関が市販されている。ガソリンを筒内噴射する内燃機関は、噴射ノズルから噴射された噴流を、吸気弁から吸入された空気流と共に流動させてピストンの頂上面で渦流を発生させて方向転換し、その後点火プラグで点火して爆発させる。この内燃機関は、空気の渦流で、シリンダー内に噴射されたガソリンをより点火しやすいように気化させる。ガソリンをより効率よく完全燃焼させるために、空気の流動を発生させて強制的に撹拌し、その後に点火している。
【0005】
ガソリンに代わって、水素や天然ガス等の気体燃料をシリンダー内に直接に噴射する筒内噴射の内燃機関が開発できると、優れた燃料消費率としながら、極めて綺麗な排気ガスの内燃機関を実現できる。とくに、水素は燃焼させると水になるので排気ガスを綺麗にできる。天然ガスは埋蔵量が膨大であるため、完全燃焼して燃料消費率を高くできるなら、自動車用の燃料として理想的なものとなる。とくに、天然ガスは気体であるためにシリンダーで空気と混合されやすく、完全燃焼できるなら、未燃焼カーボンの排出量を極めて少なくできる特長がある。しかしながら、水素や天然ガス等の気体燃料を筒内噴射する内燃機関は、気体燃料を正常に燃焼させるのが現実には極めて難しい。このため、水素や天然ガス等の気体燃料を、あらかじめ空気と混合してシリンダー内に吸入するタイプの内燃機関を搭載する自動車は実用化されて現実に市販されているが、気体燃料を筒内噴射する内燃機関を搭載する自動車は未だに市販されていないのが実状である。
【0006】
水素を筒内噴射して燃焼させると、燃焼速度が速すぎてノッキングを防止できない。さらに、水素を筒内噴射して点火すると完全燃焼させることが難しく、水素の燃料消費率が悪くなる欠点がある。また、天然ガスを筒内噴射すると、正常に燃焼させることができない。このため、水素にしても天然ガスにしても、筒内噴射して正常に燃焼させるのが極めて難しい。水素と天然ガスを混合して、天然ガスを燃焼させることができる。
【0007】
本発明は、水素や天然ガス等の気体燃料を筒内噴射して、シリンダー内で正常に燃焼させることを目的に開発されたものである。したがって、本発明の重要な目的は、気体燃料を筒内噴射して正常に燃焼できる内燃機関と、この内燃機関の点火方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の気体燃料を筒内噴射する内燃機関は、吸入した空気を加圧するピストン2を内蔵するシリンダー1と、このシリンダー1内に、加圧された気体燃料を10度以上で120度以下の噴射角(β)で噴射する噴射ノズル3と、噴射ノズル3でシリンダー1内に噴射された気体燃料の噴流に点火して、燃料を噴射させながら燃焼させる点火プラグ4とを備える。さらに、内燃機関は、点火プラグ4が気体燃料の噴流に点火する点火位置を、噴孔3Aから噴射された噴流がピストン2の頂上面に衝突するよりも前位置であって、噴射ノズル3の噴孔3Aから1〜30mm離れた位置であり、かつ、噴射ノズル3の噴射軸Yからβ/4度以上外側にずれた位置である噴流境界領域に位置している。
【0009】
点火位置は、噴孔3Aから2〜20mm離れた位置、より好ましくは、噴孔3Aから2〜15mm離れた位置とすることができる。噴射ノズル3は、水素ガスまたは天然ガスを噴射することができる。噴射ノズル3は、水素ガスと天然ガスの混合ガスを噴射することもできる。
【0010】
内燃機関は、点火プラグ4の点火タイミングを、噴射ノズル3が気体燃料の噴射を開始してから5msec以内の噴射初期とすることができる。さらに、内燃機関は、点火プラグ4と噴射ノズル3を一体構造として、シリンダー1に脱着できるように装着することができる。
【0011】
本発明の請求項9の内燃機関の点火方法は、空気を吸入しているシリンダー1内に、噴射ノズル3から加圧された気体燃料を、10度以上で120度以下の噴射角(β)で噴射して、点火プラグ4の火花放電で気体燃料の噴流に点火して、燃料を噴射させながら燃焼させる。さらに、この点火方法は、点火プラグ4が気体燃料の噴流に点火する点火位置を、噴孔3Aから噴射された噴流がピストン2の頂上面に衝突するよりも前位置とすると共に、噴射ノズル3の噴孔3Aから1〜30mm離れた位置であって、噴射ノズル3の噴射軸Yからβ/4度以上外側にずれた位置である噴流境界領域に位置している。
【0012】
点火プラグ4の点火タイミングは、噴射ノズル3が気体燃料の噴射を開始してから5msec以内、より好ましくは3msec以内の噴射初期とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための内燃機関とその点火方法を例示するものであって、本発明は内燃機関とその点火方法を下記のものに特定しない。
【0014】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0015】
図1と図2の内燃機関は、往復運動するピストン2を内蔵するシリンダー1と、このシリンダー1内に加圧された気体燃料を噴射する噴射ノズル3と、噴射ノズル3で噴射された気体燃料の噴流に点火する点火プラグ4と、噴射ノズル3を制御して気体燃料を噴射するタイミングを特定する制御機構5と、この制御機構5に制御されて噴流に点火する高圧電源6とを備える。
【0016】
シリンダー1は、吸気弁7と排気弁(図示せず)を有する。図1は吸気弁7のみを示しているが、排気弁は吸気弁7の後ろに設けられ、あるいは図においては点火プラグ4の右側に排気弁を設けることができる。吸気弁7と排気弁は、カムで往復運動される。吸気弁7は、ピストン2が降下する吸入行程に開弁されて、外気をシリンダー1内に吸入させる。排気弁はピストン2が上昇して燃焼ガスを排気する排気行程で開弁されて、排気ガスを排気する。ピストン2は、クランク軸(図示せず)で往復運動される。ピストン2が降下と上昇を繰り返して2往復するとき、外気を吸入する吸入行程と、吸入した空気を圧縮する圧縮行程と、圧縮した空気に混合された気体燃料を点火して爆発する爆発行程と、爆発して燃焼した排気ガスを排気する排気行程を繰り返す。
【0017】
噴射ノズル3は、シリンダー1内に気体燃料を直接に噴射して空気に混合する。噴射ノズル3が気体燃料を噴射するタイミングは、ピストン2の位置で制御される。噴射ノズル3の噴射タイミングは、気体燃料の種類によって最適値が異なる。水素は燃焼速度が速いので、噴射タイミングを天然ガスよりも遅くすることができる。たとえば、噴射ノズル3が水素の噴射を開始するタイミングは、クランク軸の回転角にして、上死点前45度〜上死点後20度、好ましくは、上死点前35度〜上死点後15度とする。これに対して、天然ガスは水素よりも燃焼速度が遅いので、噴射タイミングを水素よりも速くする。たとえば、噴射ノズル3が天然ガスの噴射を開始するタイミングは、上死点前120度〜上死点後20度、好ましくは上死点前90〜上死点後10度とする。噴射ノズル3が噴射する気体燃料の噴射量は、内燃機関の出力を制御する。いいかえると、内燃機関の出力は、噴射ノズル3の噴射量で制御される。噴射ノズル3は、電磁弁(図示せず)を内蔵している。電磁弁が開弁されると、噴射ノズル3は気体燃料を噴射する。電磁弁が閉弁されると噴射ノズル3は気体燃料の噴射を停止する。電磁弁が開弁している時間で、気体燃料の噴射量を調整する。開弁時間が長くなると気体燃料の噴射量は多くなり、短くすると噴射量は少なくなる。制御機構5は、噴射ノズル3の電磁弁を制御して、内燃機関の出力を制御する。
【0018】
噴射ノズル3は、10度以上で120度以下、好ましくは20度以上で100度以下、さらに好ましくは20度以上で90度以下の噴射角(β)で気体燃料を噴射する。噴射角(β)は、図2に示すように、噴流境界がなす角である。噴射ノズル3の噴射角(β)は、大きすぎても小さすぎても、シリンダー1内で気体燃料を理想的な状態で燃焼できなくなる。噴射角(β)が大きすぎても小さすぎても、気体燃料と空気とを充分に混合できなくなり、また理想的な状態で点火できなくなるからである。とくに、本発明の内燃機関は、気体燃料の噴流境界領域で点火するので、噴射角(β)が大きすぎても小さすぎても、噴流境界領域において空気と気体燃料とを点火に理想の状態にできなくなるので、噴射ノズル3は噴射角(β)を前述の範囲とする。噴射ノズル3の噴射角(β)が小さすぎると、噴流境界領域の噴流境界領域が極めて狭い領域となって、理想的な位置で点火するのが難しくなる。反対に噴射角(β)が大きすぎると、噴流境界領域が不安定となって理想的な点火位置の特定が難しくなる。
【0019】
点火プラグ4は、火花放電する一対の電極を有する。電極間の火花放電が気体燃料の噴流に点火する。したがって、点火プラグ4が噴流に点火する点火位置は、一対の電極間となる。図3は、一般的な点火プラグ4の電極8の配置を示す。この図の点火プラグ4は、一対の電極8間で放電する火花が噴流に点火するので、一対の電極8の中心であるA点を点火位置とする。内燃機関には、図4に示すように中心電極8Aの周囲に複数の電極8Bを配設する点火プラグ4も使用される。この構造の点火プラグ4は、中心電極8Aの周囲に火花放電させて噴流に点火する。したがって、この構造の点火プラグ4は、中心電極8Aの中心点であるA点を点火位置とする。
【0020】
点火プラグ4の点火位置は、噴流に対して特定の位置にある。点火位置は、噴射ノズル3の噴孔3Aから1〜30mm離れた位置、より好ましくは噴孔3Aから2〜20mm離れた位置、さらに好ましくは噴孔3Aから2〜15mm離れた位置にあり、かつ噴射ノズル3の噴射軸Yからβ/4度以上外側にずれた噴流境界領域、図2において(1)で示す領域にある。さらに好ましくは、点火プラグ4の点火位置は、β/2度よりも外側に位置する図2において(2)で示している噴流境界領域に含まれる周囲空気取込領域とする。さらに最適には、点火プラグ4の点火位置は、β/2度よりも外側にあって、シリンダー内面から2mm以上内側に離れた位置となる、図2において(3)で示している噴流境界領域に含まれる周囲空気混合領域とする。
【0021】
点火プラグ4の点火位置が、噴孔3Aに近すぎ、あるいは遠すぎ、あるいはまた噴射ノズル3の噴射軸Yにあると、水素と天然ガスの噴流を理想的な状態で燃焼できなくなる。すなわち、水素を効率よく燃焼させると共に、水素の圧力上昇を緩やかにしてノッキングを効果的に阻止できず、また天然ガスを確実に点火できなくなる。点火位置が噴孔3Aに近すぎると、噴流を確実に点火するのが難しくなり、また、点火位置が噴孔3Aから遠すぎると、点火された水素の火炎伝播速度が速すぎてノッキングを防止できなくなる。また、点火位置を噴射ノズル3の噴射軸Yに位置させると、水素の火炎伝播速度が速すぎると共に、完全燃焼できなくなって燃料消費率が悪くなる。従って、点火位置は、図2の(1)で示す噴流境界領域とし、より好ましくは(2)で示す周囲空気取込領域とし、最適には(3)で示す周囲空気混合領域とする。図5は、点火位置を図6に示す種々の位置に変更して圧力が上昇する特性を示すグラフである。
【0022】
この図の曲線A〜Dは、点火位置を以下に示す位置として、点火後に圧力が上昇する状態を示している。横軸は時間軸で、0は点火したタイミングである。縦軸は圧力を示している。曲線Aは、本発明にかかる内燃機関の点火位置で点火した圧力上昇カーブを示している。曲線B〜Dは比較例の圧力上昇カーブを示している。ただし、噴射ノズルの噴射角(β)は30度、シリンダー内の圧力を0.5MPa、噴射ノズルの噴射圧を3.0MPaとしている。
【0023】
A…噴孔3Aからの距離…………7.2mm
噴射軸Yからの距離…………6mm
B…噴孔3Aからの距離………60mm
噴射軸Yからの距離…………0mm
C…噴孔3Aからの距離………30mm
噴射軸Yからの距離…………0mm
D…噴孔3Aからの距離…………4mm
噴射軸Yからの距離…………0mm
【0024】
曲線Aの圧力上昇カーブは、点火してから圧力が上昇する勾配が緩い。とくに、点火した直後の圧力上昇の勾配が緩い。したがって、ノッキングを有効に防止できる。さらに、最高圧力は高く上昇する。このことは、水素が完全燃焼されて燃料消費率を向上することに効果がある。これに対して曲線Bは、点火してからの圧力上昇の勾配が急峻になる。とくに、点火直後の圧力上昇の勾配が急峻になるのでノッキングを防止できない。さらに最高圧力も低くなって、水素を完全燃焼できなくなる。さらに、曲線CとDは、点火してからの圧力上昇はそれほど急峻ではないが、最高圧力が低く気体燃料を完全燃焼できない。
【0025】
さらに、図7は、天然ガスと水素を混合している気体燃料に点火できるかどうかを示すグラフである。この図は、横軸が天然ガスに対する水素の比率である。縦軸は点火した後の最高圧力を示す。最高圧力が高くなることが、正常に点火できたことを示している。点火して正常に燃焼できるとシリンダー内の圧力が上昇するからである。この図は、シリンダー内の圧力を0.5MPa、噴射ノズルの噴射圧を1.0MPaとしている。曲線Aは、点火位置を前述のA点とし、曲線Cは、点火位置を前述のC点として噴射ノズルの噴射軸Y上としている。
【0026】
この図から明かなように、点火位置をA点とする内燃機関は、曲線Aで示すように、水素の混合比を0%とする気体燃料を正常に燃焼できる。これに対して点火位置をC点として噴射ノズル3の噴射軸Yとすると、水素の混合比が30%以下になると正常に燃焼できなくなる。すなわち、噴流に正常に点火できなくなる。
【0027】
点火プラグ4が噴流に点火する点火タイミングは最適値がある。図8は、点火タイミングを変更してシリンダー内の圧力が上昇するカーブを示す。この図は、以下の条件で水素を燃焼するときの圧力上昇を示す。
点火位置………………………前述のA点
シリンダー内の圧力…………0.75MPa
噴射ノズルの噴射圧…………1.0MPa
水素の噴射時間………………10msec
【0028】
曲線a〜eは、水素の噴射を開始した後、以下の時間だけ遅らせて噴流に点火している。
曲線a…………噴射と同時
曲線b…………噴射を開始してから2.5msec後
曲線c…………噴射を開始してから5msec後
曲線d…………噴射を開始してから7.5msec後
曲線e…………噴射を開始してから10msec後
【0029】
この図に示すように、点火のタイミングが遅れるとシリンダー内の圧力上昇が急峻になる。したがって、点火プラグの点火タイミングは、噴射ノズルが気体燃料の噴射を開始してから5msec以内、より好ましくは3msec以内の噴射初期である。
【0030】
以上の実施例は、点火プラグ4が噴流に点火する点火位置を、噴孔3Aから7.2mm、噴射軸Yから6mm離れた位置にある噴流境界領域としているが、本発明の内燃機関とその点火方法は、点火位置を前述のA点に特定することなく、噴流の噴流境界領域として水素と天然ガスを正常に燃焼させることができる。
【0031】
点火プラグ4は、高圧電源6から高電圧の電力が供給されるときに電極8間に火花放電し、この火花放電が噴流に点火する。高圧電源6が高電圧の電力を供給するタイミングは、制御機構5に制御される。制御機構5は、クランク軸の回転角、クランク軸の回転速度、内燃機関の負荷、気体燃料の噴射量等を検出して、最適な点火タイミングで、高圧電源6が高電圧の電力を供給するように制御する。
【0032】
図1の内燃機関は、点火プラグ4と噴射ノズル3を一体構造として、シリンダー1に脱着できるように装着している。この構造は、噴射ノズル3と点火プラグ4の相対位置、すなわち噴孔3Aに対する点火位置をずれないように正確に特定できる特長がある。また、点火プラグ4と噴射ノズル3を一緒に交換して、メンテナンスを簡単にできる特長がある。
【0033】
さらに、図9と図10に示す内燃機関は、シリンダー1の頂面に凹部9を設けて、噴射ノズル3から噴射される気体燃料の噴流を反射させている。この構造の内燃機関においても、点火位置は、図10のA点で示すように、噴射ノズル3の噴孔3Aから1〜30mm離れた位置であり、かつ、噴射ノズル3の噴射軸Yからβ/4度以上外側にずれた(1)で示す噴流境界領域とする。ただし、この内燃機関は、気体燃料の噴流をシリンダー頂面の凹部内面で反射させるので、噴射軸Yも内面で反射されるとして、点火位置を特定する。この内燃機関も、より好ましくは、点火プラグ4の点火位置を、β/2度よりも外側に位置する、図10において(2)で示している噴流境界領域に含まれる周囲空気取込領域とし、さらに最適には、点火プラグ4の点火位置を、β/2度よりも外側であって、シリンダー内面から2mm以上内側に離れた位置となる、図10において(3)で示している噴流境界領域に含まれる周囲空気混合領域とする。
【0034】
【発明の効果】
本発明の内燃機関と内燃機関の点火方法は、水素や天然ガス等の気体燃料を筒内噴射して、シリンダー内で正常に燃焼できる特長がある。それは、本発明の内燃機関と点火方法が、気体燃料の噴流に点火する点火位置を独特の位置としているからである。本発明は、点火プラグが気体燃料の噴流に点火する点火位置を、噴孔から噴射された噴流がピストンの頂上面に衝突するよりも前位置とすると共に、噴射ノズルの噴孔から1〜30mm離れた位置であって、噴射ノズルの噴射軸からβ/4度よりも外側にずれた位置としている。このように、点火プラグの点火位置を、噴孔の近くであって、噴射軸から離れた位置に配置することによって、点火プラグ付近での噴流速度を比較的遅くできる。このため、気体燃料の着火性を悪化させる原因である噴流による初期火炎の吹き消えを防止し、燃料を安定して着火させて、シリンダー内で正常に燃焼できる。
【0035】
さらに、本発明は、点火プラグの点火タイミングを気体燃料噴射直後とすることによって、燃料を噴射させながら燃焼させて、多量の気体燃料が同時に燃焼するのを有効に防止できる。それは、気体燃料を噴射直後に点火すると、点火までに作られる可燃混合気体量が少なく、燃焼初期の圧力が小さくなると共に、点火によって形成された初期火炎が噴流下流方向に発達するときに、噴流により火炎中に燃料と空気が供給されながら燃焼するからである。このため、燃焼期間中の圧力上昇が緩やかになって急激な燃焼を制御できる。
【0036】
以上のように、本発明の内燃機関と点火方法は、気体燃料を筒内噴射してシリンダー内で正常に燃焼できるので、優れた燃料消費率としながら、排気ガスを極めて綺麗にでき、極めて理想的な内燃機関が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例にかかる内燃機関の断面図
【図2】 図1に示す内燃機関の要部拡大図
【図3】 点火プラグの一例を示す要部拡大図
【図4】 点火プラグの他の一例を示す要部拡大図
【図5】 点火プラグの点火位置とシリンダー内の圧力上昇の関係を示すグラフ
【図6】 図5のグラフにおける点火プラグの点火位置を示す図
【図7】 天然ガスに対する水素の比率と点火後の最高圧力の関係を示すグラフ
【図8】 点火タイミングとシリンダー内の圧力上昇の関係を示すグラフ
【図9】 本発明の他の実施例にかかる内燃機関の断面図
【図10】 図9に示す内燃機関の要部拡大図
【符号の説明】
1…シリンダー
2…ピストン
3…噴射ノズル 3A…噴孔
4…点火プラグ
5…制御機構
6…高圧電源
7…吸気弁
8…電極 8A…中心電極 8B…電極
9…凹部
Y…噴射軸

Claims (11)

  1. 吸入した空気を加圧するピストン(2)を内蔵するシリンダー(1)と、このシリンダー(1)内に、加圧された気体燃料を、10度以上で120度以下の噴射角(β)で噴射する噴射ノズル(3)と、噴射ノズル(3)でシリンダー(1)内に噴射された気体燃料の噴流に点火して、燃料を噴射させながら燃焼させる点火プラグ(4)とを備える内燃機関であって、
    点火プラグ(4)が気体燃料の噴流に点火する点火位置が、噴孔(3A)から噴射された噴流がピストン(2)の頂上面に衝突するよりも前位置であって、噴射ノズル(3)の噴孔(3A)から1〜30mm離れた位置であり、かつ、噴射ノズル(3)の噴射軸(Y)からβ/4度以上外側にずれた噴流境界領域にあることを特徴とする気体燃料を筒内噴射する内燃機関。
  2. 点火位置が噴孔(3A)から2〜20mm離れた位置である請求項1に記載される筒内噴射する内燃機関。
  3. 点火位置が噴孔(3A)から2〜15mm離れた位置である請求項1に記載される筒内噴射する内燃機関。
  4. 噴射ノズル(3)が水素ガスを噴射する請求項1に記載される筒内噴射する内燃機関。
  5. 噴射ノズル(3)が天然ガスを噴射する請求項1に記載される筒内噴射する内燃機関。
  6. 噴射ノズル(3)が水素ガスと天然ガスの混合ガスを噴射する請求項1に記載される筒内噴射する内燃機関。
  7. 点火プラグ(4)の点火タイミングが、噴射ノズル(3)が気体燃料の噴射を開始してから5msec以内の噴射初期である請求項1に記載される筒内噴射する内燃機関。
  8. 点火プラグ(4)と噴射ノズル(3)が一体構造でシリンダー(1)に脱着できるように装着されてなる請求項1に記載される筒内噴射する内燃機関。
  9. 空気を吸入しているシリンダー(1)内に、噴射ノズル(3)から加圧された気体燃料を、10度以上で120度以下の噴射角(β)で噴射して、点火プラグ(4)の火花放電で気体燃料の噴流に点火して、燃料を噴射させながら燃焼させる内燃機関の点火方法であって、
    点火プラグ(4)が気体燃料の噴流に点火する点火位置を、噴孔(3A)から噴射された噴流がピストン(2)の頂上面に衝突するよりも前位置とすると共に、噴射ノズル(3)の噴孔(3A)から1〜30mm離れた位置であって、噴射ノズル(3)の噴射軸(Y)からずれた位置とし、かつ、噴射ノズル(3)の噴射軸(Y)からβ/4度以上外側にずれた噴流境界領域としてなることを特徴とする気体燃料を筒内噴射する内燃機関の点火方法。
  10. 点火プラグ(4)の点火タイミングが、噴射ノズル(3)が気体燃料の噴射を開始してから5msec以内の噴射初期である請求項9に記載される筒内噴射する内燃機関の点火方法。
  11. 点火プラグ(4)の点火タイミングが、噴射ノズル(3)が気体燃料の噴射を開始してから3msec以内の噴射初期である請求項9に記載される筒内噴射する内燃機関の点火方法。
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