JP2007077758A - 水害対応免震建築物 - Google Patents

水害対応免震建築物 Download PDF

Info

Publication number
JP2007077758A
JP2007077758A JP2005270221A JP2005270221A JP2007077758A JP 2007077758 A JP2007077758 A JP 2007077758A JP 2005270221 A JP2005270221 A JP 2005270221A JP 2005270221 A JP2005270221 A JP 2005270221A JP 2007077758 A JP2007077758 A JP 2007077758A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
floating body
building
foundation
earthquake
damper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2005270221A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007077758A5 (ja
Inventor
Takeshi Hayashi
武 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2005270221A priority Critical patent/JP2007077758A/ja
Publication of JP2007077758A publication Critical patent/JP2007077758A/ja
Publication of JP2007077758A5 publication Critical patent/JP2007077758A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 建家に対し地震による揺動の加速度を少なくして和らげ建家の損壊転倒を防止する建築物で、更に高潮水害時に建家が冠水しない水害対応免震建築物を提供する。
【解決手段】上面が開口し側壁および底面を備えた基礎(2)を備え、基礎内に浮体(1)を収容すると共にその浮体上に建家を建造する。基礎と浮体の間に地震の揺動を緩衝伝達する伝達手段を設けると共に振幅巾を制限するダンパを設ける。地震発生時に浮体は建家と共に前記緩衝伝達手段及び前記ダンパを介して揺れが伝わり、浮体及び建家に地震の加速度を少なく和らげると共にその振幅巾を減少するように構成した。また浮体と一体で浮体より下方に伸縮するアンカーポールを備える。基礎底面に基礎と一体に係止部材を備え、前記アンカーポールと係止部材が結合し一体となるように構成する。浸水状態となった時浮体は鉛直上方に浮上するが、アンカーポールが係止部材との結合固定により、浮体の浸水による水平方向流動を阻止するように構成した。
【選択図】 図2

Description

この発明は地震の加速度を和らげ建築物に与える地震災害を極限する免震建築物として、同時に高潮水害時に冠水しない水害対応建築物として作用する安全な水害対応免震建築物に関する。
1995年1月17日のマグニチュード7.2神戸淡路大震災は、近年日本で発生した地震の中でも古今未曾有の大災害をもたらした。
特に古い木造日本建築物で伝統的瓦屋根築後30年以上の在来工法2階建て長屋で、倒壊後火災の発生した密集地域の人的被害が極めて顕著であった。
それは建家の固有振動数と地震震動の周波数が共鳴したことと、地震の加速度が極めて大で建築物骨組みに大きな力が加わり短時間の内に倒壊に至ったものである。
爾来地震災害防止のための研究や各種提案が建築建設業界からなされているが以下は最近のその一例である。
特開2004−84189 特開2004−176348 特開2005−188043 これらはすべて地震の加速度を和らげ建築物に対する衝撃を少なくする免震装置の提案である。
また高潮水害に関しては2004年12月26日マレーシア沖に発生した海底大地震により、インド洋沿岸諸国海岸地域に大津波による大水害が発生し、情報の伝達が遅れたこともあり過去未曾有の十数万人の死者が出た。
また2005年8月29日米国フロリダ州で発生したハリケーン・カトリーナは、ルイジアナ州及びミシシッピー州に上陸しニューオーリンズと周辺地域では、古今未曾有の大水害で死者は数千人に達する可能性があるとメディアから発表されている。
在来海岸地域や一般平野部にも津波や河川氾濫・台風高潮被害に対する避難設備は無く、小山や高層建築物の上階部に避難する以外に方法は無かった。
津波被害に対して現在関係諸国政府や自治体は、大地震の発生予報と津波が発生した場合如何に速やかにそれを検知する検知手段の開発と、多くの国民に伝達する伝達方法等ソフト面の構築に傾注している。
如何に早く小山や高層建築物に逃避することが、被害を少なく食い止める方法ではある。
しかし小山や高層建築物が無い平野部の多い田園地帯や、又あっても時間距離が離れて速やかな避難の困難な臨海地帯は極めて多い。
津波発生の情報伝達通信手段の構築と共に、津波に遭遇した場合の避難する手段としての装置や設備等ハード面の開発完備も極めて重要な課題である。
また年間数度も来襲する台風高潮や集中豪雨による河川氾濫被害も、低地に居住する人達は高潮浸水や氾濫冠水により例年莫大な人的物的損害を蒙っている。
我が国においても今世紀初頭南海地震や東南海地震が発生する可能性が高いことから、鉄骨構造十数メートルのタワー型避難台の提案がなされている。
特開2004−339920 しかしながら老若男女多数の人たちが短時間の内に階段を使って、十数メートル高所の避難台に登ることが出来るかどうかの疑問もあり、又津波の高さがタワーの高さ十数メートル以内であるかどうかの保証も無いので未だ普及の段階には至っていない。 また本発明者はこの問題に関し先願にて「浮体建築物」の名称で実用新案登録を出願し登録されている。 実用新案登録第3110611号 本発明は前述の免震装置を備えた免震建築物であり、更に高潮水害時には建家が敷地ごと浮上し冠水しない水害対応建築物として共用出来る水害対応免震建築物を新規の特許として出願するものである。
建物の構造を強固にすれば地震による倒壊は防止できるが建物内部の器物が転倒し、その転倒による損壊や器物の下敷きになるなど住人の負傷まで防止出来ない。
本発明は地震による揺動の加速度を少なく振幅を縮小して和らげ、建物の損壊を防止すると共に内部の器物転倒や人的損傷を防止する免震効果を備えた建築物を提供することを課題とする。
また津波や河川氾濫及び台風等の高潮水害時に建家が冠水しない安全な水害対応建築物であって、同一の建物でありながら水害被災防止と前記地震災害防止を兼ね備えた安全な水害対応免震建築物を提供することを課題とする。
また本発明者が提案している上記建築物は常時多量の水を備蓄する構造のものもあり、その水を使用して火災発生時の消火に利用可能とすると共に、あらゆる災害発生後の緊急生活水資源供給にも利用できる極めて多目的な災害避難建築物を提供することを課題とする。
建家に対し地震による揺動の加速度を少なくして和らげ、建家及び内部器物の損壊転倒を防止する建築物で、更に高潮水害時に建家が冠水しない建築物であって以下1ないし9の条件を具備したことを特徴とする水害対応免震建築物。
1,上面が開口し側壁および底面を備えた容器構造プール型基礎を備える。
2,前記プール型基礎内に台船型浮体を収容すると共にその浮体上に建家を建造する。
3,前記基礎と浮体の間に地震の揺動を緩衝伝達する伝達手段を設ける。
4,前記基礎と浮体の間に地震の揺動の振幅巾を制限するダンパを設ける。
5,地震発生時に前記基礎は大地と共に地震揺動の加速度が直接伝わるが、浮体は建家と共に前記伝達手段及び前記ダンパを介して揺れが伝わり、浮体及び建家に地震揺動の加速度を少なく和らげると共にその振幅巾を減少するように構成した。
6,前記プール型基礎内部に連通し高潮浸水が流入する流入口を開口する。
7,前記台船型浮体と一体で、浮体より鉛直下方に伸縮するアンカーポールを備える。
8,前記プール型基礎底面に基礎と一体に係止部材を備え、前記アンカーポールと係止部材が結合し一体となるように構成する。
9,浸水状態となった時浮体は鉛直上方に浮上するが、前記アンカーポールが前記係止部材との結合固定により、浮体の流水による水平方向流動を阻止するように構成した。
本発明の免震建築物は必要な建設場所に鉄筋コンクリートにより上面が開口したプール形基礎(以下プールとも言う。)を構築し、その中へ台船構造の浮体を収容してその浮体上に建築物を建造したものである。
更にプールと浮体の間に地震の揺動の加速度をスリップさせて減じる緩衝伝達手段を設けるとと共に、地震揺動の振幅巾を制限し浮体を元の位置に還す弾力性を備えたダンパを設けてある。
プールは地中に埋設され地震の揺動がそのまま直接伝わるが、浮体には緩衝伝達手段を介して伝わり地震揺動加速度の大なる部分はスリップして伝達される。
またダンパは地震揺動による基礎と浮体の相対移動を常に制限し、元の位置に還すように作用して振幅巾を制限する。
従って地震による基礎の揺動は上記緩衝伝達手段とダンパの作用により、浮体には加速度及び振幅巾が減じられ柔らかい揺動となり建家及び内部器物の転倒損壊を防止できる。
次ぎに同一の建築物で水害被災については以下の通りである。
その浮体には浮体の底部から下方に突出伸縮するアンカーポールを設け、基礎にはそのアンカーポール下端部が基礎と一体に固定される係止部材が設けられている。
津波や台風高潮又は集中豪雨による河川堤防氾濫等の高水位が発生し、水位が浮体の喫水線以上になれば浮体は浮上する方向に水面から浮力を受ける。
水面の上昇と共に浮体は浮上するが、浮体から下方に突出したアンカーポールと基礎と一体の係止部材の固定作用により浮体は浸水流水に流されない。
津波は第一波が到来して水位が上昇し、次に急激な引き潮となり陸上部の破壊した器物等を海へ引き去り、また次に第二第三の高潮が到来することが多い。
高潮の高さがアンカーポールの長さ以内であれば、浮体は流されることなく水位と共に上下動するのみで、水位が下がればまた元の位置に浮体は降下する。
水位が更に上昇し浮体が浮上しアンカーポールと浮体係止部材の固定が外れると、アンカーポールと係止部材で構成されるアンカー装置がアンカー作用しなくなり、浮体は潮流や氾濫水に流される状態となる。
浮体はフリーとなり流れのままに翻弄されるが、浮体は台船形で平面寸法が深さよりもきわめて広く、浮体が構築物等に衝突して破損しない限り転覆沈没することはなく浮体上の人身人命は救われる可能性が高い。
建家の建築工事において骨組みを強固にすれば、地震に対して損壊しない建築物は建造可能である。
しかし建家内部の什器備品はすべて建家と一体に連結出来ないものが多いので、震度の激しい地震には什器備品が倒壊しその倒壊により人身人命まで被害が及ぶことがある。
地震揺動の加速度が大でその揺れ巾即ち振幅が大きいほど地震被害は大きくなる。
本発明免震建築物の基礎と浮体の間に設ける緩衝伝達手段は、基礎に伝達された地震揺動をその加速度の大なる部分をスリップによって緩衝して浮体に伝えることにより衝撃を減縮する。
またその地震の揺動振幅は基礎と浮体の間に設ける弾性ダンパにより、振幅がふれるほど抵抗し元の位置に還す作用で縮小している。
従って上記基礎と浮体の間に設ける緩衝伝達手段と、振幅巾を制限する弾性素材のダンパにより地震波の加速度を和らげ更に振幅を減少させることにより、浮体への衝撃を少なくして耐震効果をもたせたものである。
この地震波の加速度と振幅の減少により建家の倒壊を防止し、内部の什器備品の損壊及び人身への傷害を極限するものである。
最近提案されている前述の津波の避難装置は、高さ十数メートルの鉄骨構造のタワーで頂上部に十メートル四方程度の手摺り付きの避難台と昇降用階段を設けたものである。
津波情報を受けて速やかに100人以上の多数の人たちが、十数メートルもの階段を上ることは、非常に困難を伴うものであり相当な時間を要する。
また津波の高さが避難台以下であるとの保証は無くそれ以上の津波であれば効果を失う。
本発明は大部分が地中に埋設されたプール形基礎の中に浮体を収納し、その浮体上に建築物を建造したものであり、浮体の深さとプールの深さをほぼ同一とすれば避難者は建築物に入るため高所に上る必要がない。
また本発明はいかなる高水位の津波であっても浮体は浮上し、アンカーポールの長さ以内であれば流水に流されることもない。
更にこの避難用浮体建築物の使用頻度は数十年ないし数百年に一度あるかないかの程度であり、このためには津波や台風高潮の避難のためだけでなく、常時は避難以外の用途に使用出来る多目的設備であることが望ましく、土地と設備の有効利用が計られ安全な一般居住用住宅として使用できる。
後述するが本発明の内前記緩衝伝達手段がプール内の水である免震建築物は、常時プール内に大量の水を備蓄しており火災時はその水を消火用水ととして利用できる。
また各種災害発生後の飲料水は濾過してその他はそのまま、緊急の生活用水として利用できる。
発明にとって最も重要なことは、その発明が目的を現実的に達成出来るかの機能である。 次に重要なことは目的を達成する手段は数多くあっても、最も構造が簡単で資材材料が少なくて加工がしやすく総合コストが安価に製作できることであり、目的を達成する方法手段は無数にある。
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための一態様を例示するものであって、本発明は実施例のものだけに特定しない。
図1は本発明のうち地震に対応する免震建築物の実施例で、(a)は側断面図で(b)は(a)の水面線(3)を断面とする平面図である。
免震建築物を建設する用地に鉄筋コンクリートにより底面(11)及び側壁(12)を備えた容器構造プール形ベタ基礎(2)(以下プールとも言う。)を構築する。
その基礎内に台船構造の浮体(1)を収容し、その浮体上に建家(9)を建築したものである。
またプール内に水を供給し浮体を浮上させ浮体底面(13)が基礎底面(11)より僅かに上がり、常に所定の位置を保つよう水道等水源(5)からの給水弁(7)と水位水面線(3)を検出するレベルセンサ(6)の信号によって給水する自動給水装置を備えている。
また浮体四方側面(14)とプール側壁(12)内側面の間に、船舶の防舷材等に使用する弾性ゴムによるタイヤ形ダンパ(40)を介設してある。
上記のごとく構成された免震建築物は地震の揺れに対し以下の通り作用する。
図1(b)の矢印方向に地震揺動の一瞬間大地とプールが移動すると、浮体は建家と共にその位置を保つ慣性力が働き基礎から見れば反矢印方向左下即ち点線の移動位置(10)に移動する。
地震の振幅が大きく更に同方向に浮体移動の力が加わると、浮体側面(14)と側壁(12)内側面の間に介在するタイヤ形ダンパ(40)に当たりダンパは変形して浮体のそれ以上の移動を阻止する方向に力が加わる。
そのとき浮体はその移動阻止の力が運動の制動力として加わり、緩やかな制動により停止して次に地震の揺動は逆の方向に運動するので浮体は右上方向に押されて移動しそれを繰り返す。
即ち大地の地震揺動はそのまま基礎に伝わり基礎は地震揺動と全く同じ運動となるが、浮体は直接基礎に連結されておらず浮遊状態である。
空中に吊り下げられる等完全な浮遊状態であれば、浮体には全く力はかからず揺動移動しないがその間に流体である水があり、基礎の揺動は水に加わり浮体には水の運動を介して伝わるので浮体は複雑な動きとなるが、少なくとも浮体の運動は衝撃が緩和され地震自体の加速度より遙かに小さく緩やかな動きとなる。
浮体の揺動振幅が大きく浮体移動位置(10)が側壁(12)まで達する場合は、その前に運動振幅は緩やかにゴム製タイヤ形ダンパ(40)によって制御されることとなる。
即ち本実施例の基礎と浮体の間に設ける地震揺動の緩衝伝達手段は、プール内に入れた水であり基礎は水を介して浮体に揺動を伝達するものである。
また本実施例の基礎と浮体の間に設ける揺動振幅巾を制限するダンパはゴム質タイヤ形ダンパ(40)である。
図2に示す免震建築物は免震効果の他に、高潮水害に対し建家が浮体である敷地ごと浮上して浸水に冠水しない効果を兼ね備えた水害対応建築物の実施例であり、また免震建築物として新たな構造の弾性ダンパを使用した実施例である。
図2(a)は側断面図であり(b)及び(c)は(a)の水面線(3)位置での断面を示す平面図である。
図2に示すダンパ(4)は可撓性気密シートによる風船のような袋バッグにてなり、内部に空気又は水等の流体を封入してある。 従って図1記載のダンパより柔軟で浮体に加える加圧力が柔らかく、運動する浮体に与える加速度は小であるが、接触面積が大でありそれだけ大きな制動保持力を備える。
本エアバッグ式ダンパは水と空気を併用することにより、図2(a)に示すようにエアバッグを一部水中に潜没させ浮体と側壁に広く接触させることが出来る。
(c)に示すダンパはエアバッグと船舶の防舷材等に使用する硬質の円筒ダンパ(42)を併用したもので、浮体のプール内移動を段階的に制動することが出来る。
即ち(c)は基礎が右上矢印方向に移動して浮体は相対的にプール内左下方向に移動する状況を示し、浮体は最初はエアバッグの柔らかい制動を受け最後に硬質の円筒ダンパ(42)による制動で停止する。
次にその逆方法に移動しそれを地震揺動の周期により繰り返すが、浮体は地震の揺動より加速度が緩和され緩やかな衝撃となる。
内部に空気を充満させてエアバック式ダンパとしたものは、空気圧を調整することによりダンパの硬度を可変とし浮体に与える制動力を調整できる。
本免震建築物は浮体が水上に浮遊しているため地震の揺れや衝撃を吸収するが、強風が吹いた場合にも風によって建家と浮体は揺れることがある。
この場合上記エアバック式ダンパを使用したものは、内部の空気圧を高くして四方側壁から浮体に向かって締め付けることにより、浮体をロックして風圧による揺動を少なく阻止することが出来る。
地震揺動はそのまま基礎に伝わり基礎は地震揺動と全く同じ運動となるが、その基礎の運動がプール内の水に伝わりその水の運動が浮体に伝わり、浮体の運動がダンパによって制動される。
地中数キロないし数十キロの深度地点から発生した地震は、伝播する地質により地表部では地震の加速度が相当変化するものである。
それは岩盤等の堅い地層から多量の水を含んだ微細粒子の粘土層に至るまで多種多様であるが、堅い地層では地震波は加速度が大で建物等への破壊力が大きく、粘土層等の柔らかい地層では振幅が大であっても加速度は小で破壊力は小さい。
建家を水平方向に浮遊させて地震揺動の加速度を和らげるこの免震建築物は、前者の加速度が大で衝撃の強い破壊力の大きい地震波に効果的である。
このエアバッグ式ダンパを備えた免震装置は、前者の加速度が大なる地震に対しては内部気圧を低くして衝撃を和らげる。
地質により後者の加速度が小なる地震は揺動周期が共鳴して振幅が倍増するおそれがあり、エアバッグ内空気圧を高くして共振共鳴作用を抑えて免震効果を下げるのが良い。
本発明はこれを空気圧の無段階調整により自由に選択することが出来る。
図2(a)右側のエアバッグ式ダンパ(43)はコンプレッサ(21)の圧縮空気を給気弁(22)を介して供給し、また同回路に排気弁(23)も連通しておりそれらはレギュレータ(26)により内部空気圧を自由に調整設定可能に構成されている。
上記圧力調整機能を備えた給気装置(27)は図2(b)及び(c)に示し、浮体四方側面のエアバッグ式ダンパにはすべて連通ホース(17)を介して連結されている。
従って(c)の左側及び下のエアバッグは浮体に押されて水平断面積が小さくなり内部気圧が若干高くなっている。
その気圧の高い空気は連通する連通ホース(17)を介して他のエアバッグに若干流入するが、その移動中に浮体が逆方向に移動し圧力が逆になりその空気移動量は少ない。
(c)にはエアバッグ式ダンパと共に中空ゴム管の堅い円筒ダンパ(42)も図のように併設されており、浮体が側壁内面に衝突する前に急ブレーキをかけるように制動する。
図2の免震建築物は高潮水害に対し、建家が浮体である敷地ごと浮上する水害対応建築物として利用できる。
図2のアンカーポール(15)を備えた建築物はは津波・河川氾濫・台風高潮等の高潮水害時に、浮体を浮上させて建家を冠水から守り更に流水による浮体の水平方向流動を阻止する装置であり以下詳述する。
図2(a)のアンカーポール部分を図3にて拡大記載してあり、鋼管パイプによる鞘部材(24)は浮体内を水密に鉛直上下方向に貫通しており、その鞘部材内に鋼管にてなるアンカーポール(15)が挿入されている。
鞘部材上端部にバンドブレーキ(25)が設けられており、その丸いハンドルを回すことによりブレーキ作用が解除されアンカーポールは下へ落下するよう構成されている。
図2(a)右側のアンカーポールは高潮浸水情報によりブレーキ作用を解除して降下させ、アンカーポール下端部が基礎底面に穿孔された金属製穴である係止部材(28)に挿入されている。
図2右端部の開閉扉(19)は高潮浸水が流入する流入口(29)を閉止するもので、
平常時は閉止してあり高潮浸水の危険が迫った時に解放する。
図4は右側矢印方向から高潮が来襲した状況を示し、先ず解放された開閉扉から流入口(29)を経てプール内に浸水は流入する。
プール内水位が上昇すると共に浮体は所定のレベルより上に浮上し始めるが、アンカーポールには浮力はなくアンカーポールが残されたまま鞘部材と摺動しながら浮上する。
浸水の流速により浮体は図では左方向に流される大きな力を受けるが、浮体と一体のアンカーポール下端部が基礎底面の係止部材(28)ポール穴に挿入連結されており浮体は流されない。
津波高潮浸水は一旦水位が上昇して海から陸上に流れ込んだ水は、次ぎに陸上から海への急激な引き潮となり更に再び第二波第三波が押し寄せることが多い。
浮体は水位の変化と共に浮上及び降下を繰り返し、その都度流れの方向が反転するが浮体はアンカーポールと係止部材のアンカー作用により流水に流されることは無い。
高潮が終了すればアンカーポールを元の位置に引き上げプール内の水を排水し、その水位をまた元のレベルに戻せば免震建築物として継続使用できる。
図4において水位(30)が更に高くアンカーポール上端のストッパ(31)とバンドブレーキ(25)が当接し、浮体が浮上すればアンカーポールは係止部材から引き抜かれ
ブレーキ作用が無くなって浮体は浸水流に流される。
しかしこの場合浮体はアンカーポールを吊り下げたまま浸水流に翻弄されるが、若干ながら重心が下がり転覆しにくくなって水位が下がればその位置で、アンカーポールを押し上げて地上に着地する。
図1に記述した免震建築物もそのままの状態で水害対応建築物として利用できる。
図5は高潮が来襲しプール形基礎内に浸水が流入し、浮体が建家ごと所定水面線レベルより上に浮上した状況を示す。
右側矢印方向の高潮浸水の流速は浮体を左側に押し流す強い力が働くが、浮体は基礎側壁及びプール内ダンパ(4)に当接し浮体の流動が阻止されている。
この流動阻止構造は前実施例のアンカーポールと係止部材によるアンカー作用より構成が簡単で、丈夫で広い面積の浮体側面とプール側壁との当接であり極めて頑丈である。
但し浸水水位が高く浮体底面がプール側壁より高くなると当接が外れてアンカー作用が失われ、浮体と建家は流水のままに流され翻弄されることとなる。
それでも浮体が構築物等に衝突して破損しない限り、転覆沈没することはなく浮体及び浮体上建家に避難する人身は守られる。
本発明者はプール内の水が地震の揺動を受けてどのように動くかを模型により実験した。
図6ないし図8は手動のクランク装置(32)によって左右方向に往復移動する長さ40×巾25×深さ5センチメートルの、厨房調理用アルミ水槽(33)による実験である。
(a)は水槽を右方向に動かしその右死点で左方向に方向転換し、直ちにストップした瞬間である。水槽と共に右に動いていた水は右側側壁に衝突して上に盛り上がり、その反動で盛り上がった山は左方向に動き始める。この時点では水槽の動きは停止しているが波の山は等速で(b)の様に左方向に伝播進行している。
(c)はその山が左の側壁に衝突しその反動で方向転換し右方向に動き始める。(d)は再び右の側壁に衝突して方向転換する。
上記のような動きであるが時間と共にまた方向転換するたびに、波高Hは低くなり3回ないし4回の方向転換で消えてしまった。
図7は上記実験でクランク装置を連続して回してみたものであり、(a)は水槽を右方向に動かしその右死点で左方向に方向転換し(b)の状態となる。
(c)は水の山が左の側壁に達するまでに、水槽の動きを右方向に方向転換すると左の側壁に点線のごとく新しい山が出来て右に進行する。
右側壁で出来た山は実線で示し左側壁で出来た山は点線で示すと、(d)の様な山の形の波が出来て実線の波は左方向へ、点線の波は右方向に等速で伝播している状況である。
左右からの山の波は互いに干渉し合いながら進行しているが、左右からの波の山と山が同期するようにある周期に固定すると波は波高が高くなり動きが停止する。
山は確かに上記のように右からの山は左方向に、左からの山は右方向に移動している筈であるが側面から観察すると左右からの山は衝突し干渉し合い、波の形は(e)の様にすべての波が同じ波高で定位置で停止しているように見えるようになる。
次ぎに波の周期が特に長い場合の実験として図8に示すように以下の通りクランク装置を動かしてみた。
先ず(a)は水槽を右方向に動かしその右死点で左方向に方向転換し直ちにストップした。
波の山は(b)の様に左方向に進行する。
(c)の様に左側死点に達して側壁に衝突し反射する瞬間に水槽を右に動かして停止すると(d)の様に波の山が増幅されて高くなり右に進行する。
更に同様にその波が右側側壁に達するまで待ち再び水槽を左に動かすように、以下同様な操作をすることにより、(f)の様に実線に示す水槽の右側端部と点線のように左側端部に波の山が出来てそれを左右に行ったり来たりを繰り還すこととなる。
これは(g)の様に浮体を収容した場合に実線の浮体は実線の波により、波線の浮体は点線の波により矢印のごとく浮体が左右方向に大きく傾斜して揺れることとなる。
上記実験から実際の免震建築物浮体の動きを推定すると、図7で説明したように浮体の長さ方向に複数の波の山が出来る場合は浮体は傾斜しないが、図8のように単数の波である場合は浮体は左右が互いに上下及び部分回転運動することとなり極めて致命的に不都合である。
それを回避するため本発明者は図9に示す免震建築物を発案提案するものである。
図9(a)は免震建築物の側断面図で(b)は左下区画線部分の部分拡大図である。
本実施例はプール内へ給水する水の水位水面線(3)を浮体の喫水線(36)よりも下方に下げたものである。
浮体吃水深さは浮体自体の重量と上に積載する建家及び什器備品すべての重量の合計値(以下浮体重量と言う。)を浮体平面積で除した値であり、プール内水面線がその喫水線より上になれば浮体は完全に浮上する。
水面線が喫水線より下になれば浮体は浮上しないが、アルキメデスの定理により浮体の水面線以下の容積の水の重量と等しい浮力を受ける。
従って浮体重量は上記浮力分だけ減じられてプール底面にかかることとなる。
図9はプール底面上に防錆力があり摺動抵抗の少ないステンレス板等の金属性の摺動板(34)を張設してあり、また浮体底部に下面が同様のテフロン(登録商標)塗装した摺動脚(35)
を一体的に設け摺動板の上に浮体の摺動脚が乗り、水平方向に抵抗少なく摺動移動するように構成したものである。
水位水面線(3)を適当な値に設定すれば前述の図8にて説明した水面の大きな揺動のため浮体が一部浮上して上下動することは無く、また水面線以下の浮体容積分だけ浮体重量が軽くなり更に水に浸漬しているため水が潤滑剤となり、浮体は摺動抵抗少なく水平方向に摺動移動自在となる。
地震揺動と共に基礎(2)と一体の摺動板(34)が水平方向に揺動すると、浮体底面と一体の摺動脚(35)は摺動板上を左右方向に摺動し浮体側面がダンパ(4)に当たり、ダンパは一旦圧縮されて次ぎに元の形状となるように浮体を押し返す。
浮体は押し返された力と摺動板の揺動により反対側のダンパまで摺動移動する。
即ち浮体は摺動板上を左右に揺動し、その両端部でダンパによりその運動を制動され反対方向に押し返しそれを繰り返すこととなる。
上記の作動により基礎の摺動板の揺動は、浮体の摺動脚に伝達されるがその加速度の大なる部分がスリップにより少なくなり、振幅巾はダンパの制動により縮小されて浮体には緩やかな小さな揺動として伝達される。
図10ないし図13に記載する実施例は地震の加速度を減じ浮体が水平方向に揺動する機構と、浮体の揺動を制し浮体を元の位置に還すダンパ機構が、プール内で水を使用しない乾式構造で構成されている。
図10(a)は本実施例の側断面図で上部に建家(9)が建造された浮体はプール形基礎内に収容され、浮体底面に連結された摺動脚(35)円柱ダンパ(41)を介しプール底面上に設けられた摺動板(34)レセプタ(39)上に置かれている。
また浮体の四方コーナー部にはアンカー装置が設けられ、右端部には浸水が流入する開閉扉(19)が設けられている。
(b)は平面図で図のように上記側断面図の平面的配置が記載されている。
図11は図10左下の区画線部分を拡大記載したものであり、図12は主要なパーツである摺動板(34)及び摺動脚(35)防塵カバ(38)ダンパ及びレセプタ(39)等の構造及び作用を説明する鳥瞰図である。
先ずプール底面上にステンレス等の防錆及び摺動抵抗の少ない金属板にてなる多数の摺動板(34)を一体的に張設する。
次ぎに浮体底面に下端部の摺動面(37)が防錆及び摺動抵抗の少ない摺動脚(35)を一体的に連結し、前記摺動板の上に浮体底部の摺動脚を乗せる。
また図12に示すように摺動板(34)上に砂等の塵芥の咬みこみを防止するため、防塵カバ(38)を図のように摺動面の外側となるように設けられている。
説明が理解し易いように図ではデフォルメし防塵カバと摺動面の間が空いているが、現実には密着して接着し塵芥の侵入を防止するよう構成してある。
次ぎに円柱形状のゴムを主材料とし引っ張り及び圧縮に優れた耐久力を備え、更に復元力の優れた合成ゴム素材の円柱ダンパ(41)を製作してそのダンパにより浮体底部とプール底面とをレセプタ(39)を介して連結する。
合成ゴム製円柱ダンパは上下両端にフランジが設けられ上端のフランジは浮体と直接ボルトナット連結されているが、下端のフランジはプール底面に固定された上部開口円筒形状のレセプタ(39)内に挿入されている。
地震の揺動は先ずプールに伝わりプール底面が揺動すると、上に建家が建設され大きな重量による慣性力を備えた浮体は、プール底面と一体の摺動板と浮体最底部の摺動面との間の摩擦抵抗の少ない摺動により浮体に伝達される。
円柱ダンパはその下端のフランジがプール底面のレセプタ内に挿入されているため、水平方向移動のみプール底面と固定され上端フランジは浮体底面に固定されている。
従ってプール底面と浮体底面の相対的揺動はダンパの復元力により元の位置に還すように力が作用し常に浮体の水平移動に抵抗する。
即ち基礎底面の揺動よりも浮体の揺動は摺動により加速度のピーク部分がスリップして減じられ、更に浮体揺動移動の終端部でダンパによる抵抗を受け振幅が減じられ、プールの揺動は緩やかな波形で浮体に伝達される。
次ぎに本実施例の高潮浸水時の作用について図13にて説明する。
図13は図4及び図5にて説明した通り高潮浸水情報を受けて開閉扉(19)を開放し、プール内に高潮浸水が流入して浮体が浮上する。
しかしアンカーポールと係止部材のアンカー作用により、浮体は浸水の流速に流されることはなく鉛直上方に浮上する状況を示す。
浮体は浮体底面に一体的に連結された摺動脚(35)や円柱ダンパ(41)を吊り下げた状態で図のように浮上する。
高潮浸水が終了し図示しないが排水ポンプによりプール内の水を排水すれば、浮体はアンカーポールと鞘部材(24)の摺動による案内で鉛直下方に降下し元の位置に安置される。
図14ないし図16に前実施例と同様に乾式で、ダンパが浮体側面とプール側壁の間に設置する構成の実施例を詳述する。
図14(a)は本実施例側断面図で(b)はその平面図(c)は(a)左下区画線内の拡大図である。
図14(a)は前実施例と同様に浮体底面とプール底面の間に、浮体の重量を支えると共にプールの水平方向の地震揺動をスリップさせて浮体に伝える摺動板(34)と摺動脚(35)及び摺動面(37)と防塵カバ(38)が設けられている。
ダンパはプール内に水を入れる前湿式実施例と同様に、浮体側面とプール側壁の間に設ける方式を採用している。
図14(b)は(a)の平面図でコンプレッサや圧力調整弁等を内蔵した給気装置(27)から、ヘッダーを介して浮体四方のバッグ式ダンパ(43)に定圧の空気が供給されている。
バッグ式ダンパは一般に加わる圧力が大きくなるほど扁平に潰されて、浮体と側壁に接触する面積が広くなり耐荷重力が増加し、更に内部空気圧も高くなり大きな制動力となる。
またこのバッグ式ダンパと並列に円筒ダンパ(42)も設けられており、地震揺動が極めて大きくバッグ式ダンパが潰されて浮体とプール側壁内面が直接衝突する前に、円筒ダンパ(42)が作用するように構成してある。
本実施例ではバッグ式ダンパに過大な力が作用すると、図15点線に示すように内部空気圧は浮体側面の上と下に逃げることとなり袋バッグが破損する可能性がある。
このときに小径円筒で硬質の円筒ダンパ(42)が作用して、浮体のそれ以上の移動を制止する。
圧力空気を封入したエアバッグ式ダンパは、前実施例でも述べた通り内部空気圧を高くして風による建家の揺れを防止することが出来る。
図16は高潮浸水が来襲し浮体が建家ごと浮上した状況を示し、高潮来襲の情報によりアンカーポール(15)を降下し先端部を係止部材(16)に連結し開閉扉(19)を開放してある。
右方向からの高潮浸水は浮体を左方向に流す強い力が作用するが、アンカーポール下端部がプール底面の係止部材(16)のポール穴に挿入されているため浮体は流されず水位上昇と共に浮上している。
浸水と共に多くの漂流物が浮体に衝突するが、浮体側面に取り付けられたバッグ式ダンパが緩衝材となり浮体損傷を保護するものである。
また更に水位が上昇しアンカーポール上端のストッパと鞘部材上端が当接してアンカーポールが引き抜かれ、アンカー作用がなくなれば浮体は浸水流に流され翻弄される。
この場合も前述のバッグ式ダンパは、大型の船舶等の漂流物や陸上構築物に衝突した場合に緩衝防舷材となり浮体損傷を回避できる。
高潮浸水が終了し水位が下がれば図示しないがプール内に排水ポンプを設置し、プール内の水を排出し浮体底面や側面の表面処理等のメンテナンスを施工して再度次の災害に備える。
地震の揺動は水平方向のみでなく鉛直上下方向の揺れもある。従って通常の地震は水平方向と上下方向の揺れが重なり大地は斜め方向に揺れているものである。
斜め方向の揺れは建物に対しその水平方向と鉛直上下方向に分解されて作用すると解しても良い。
本発明免震建築物の地震揺動は上記の斜め揺動地震のうち、水平揺動分を対象に考察したものである。
鉛直方向の揺れは建物に対しその上部材料素材の重量が周期的に変化するような加速度を受ける。一般に建築物は上からの荷重に対しては十分な耐荷重設計が計算されており、地震の加速度も横揺れよりも極めて小さいものであり建物倒壊の危険は少ない。
またこれまで記述した免震建築物の基礎と浮体の間に介設する緩衝伝達手段は、基礎の揺動加速度が大なる部分をスリップさせて浮体に伝達するものである。
加速度は単位時間における速度変化であり、加速度が極めて小さい揺動の場合はスリップ無く基礎の揺動が浮体にそのまま伝達される。
この場合ダンパは基礎と浮体の相対位置関係が変化するとそれを元の状態に還すように作用するが、基礎と浮体は一緒に揺動しその相対位置関係が変わらないのでダンパは作用しない。
この地震波は周期が極めて長い揺動であるか又は極めて微細な揺動であり、破壊力はなく免震作用の必要のないものである。
従ってこの免震作用は加速度の大なる揺動のみに、自動的選択的に作用して建家や什器備品の破壊を防止するものである。
浮き桟橋等台船形浮体はこれまですべて造船所での建造であり、完成すれば進水し必要な場所への移動は洋上曳航作業であった。
しかし本発明水害対応免震建築物は陸上建築物であり、多岐に亘るあらゆる建設現場で建造しそのまま数十年以上永久建築物として使用するものである。
造船所のような大型クレーンの無い場所で、大型船舶のような台船形浮体を建造しなければならない。
図14は大型の浮体を狭い市中の建築現場で建造する方法についての提案であり、門型走行クレーン(44)を使用して機材の搬入搬出をすると共に、組み立て加工作業に極めて至便な建造方法を提供するものである。
プール形基礎の工事が完了すればプール側壁上面(48)をレールとして利用し、トロリー台車に柔軟なゴム車輪(45)を使用した門型走行クレーン(44)は工事現場にてプールサイズに合わせてその都度組み立てられる。
Iビーム(47)の一端部は突出し、プール外側に駐車した車両から直接機材をリフトアップ可能に組み立てられている。
門型走行クレーン(44)は浮体の原料資材および治工具類の搬入搬出に使用すると共に、加工作業において加工物の吊り上げ転回突き合わせおよび溶接接着等の加工物のすべてのプール内の移動に極めて多用途に使用可能である。
浮体を鋼板にて建造する場合は、防錆のため数年ないし数十年に一度は表面処理加工によるメンテナンス作業しなければならない。
また台風高潮で浸水し一度海水がプール内に入った場合は、その都度塗装等の表面処理加工は必要である。
プール底面と浮体底面の間に摺動脚を設け常に浮体がプール底面より摺動脚の高さだけ上に据え付けられた方式では、図示しないが作業員により摺動脚に並行して多数のジャッキリフトを仮設置して、それをすべて同期して上昇させ浮体を建家ごと押し上げて浮体底部の錆落としの上再塗装等の加工が可能である。
プール内に平常時水を入れる方式の場合は所定レベルの水位より更に給水して浮体を浮上させ、水中作業により多数の架台を浮体とプール底面の間に仮設置して一旦水を排水する。
必要ならばリフトジャッキにより更に浮体を持ち上げ、浮体底面の表面処理をする。
次ぎに再びプールに給水して浮体を浮かせて架台を取り除き、最後に所定レベルまで給水することによりメンテナンス処理することが出来る。
プール底面が水平では排水時に極めて長時間を要するので、図15はプール底面に排水勾配を設けた実施例である。
図15(a)はプール形基礎の側断面図であり、(b)はその平面図、(c)は(a)の正面から見た側断面図である。
プール底面は(b)および(c)の矢印に示すように中央の排水溝(49)に向かって100分の1流水勾配をつけてあり、排水溝は(a)の点線に示すように底面が右に向かって下り勾配で右端部の排水ピット(50)に水が集合されるよう流水勾配をつけてある。
プール内の水を排水する場合は図示しないが、排水ピット内に排水用水中ポンプを投入して排水運転する。
本発明は地震や津波災害に対する避難設備であり、近い将来南海地震や東南海地震が発生することが予測されており極めて関心の高いテーマである。
台風による河川氾濫及び高潮水害は殆ど毎年各地で発生しており、また本出願書類作成中に米国ルイジアナ州ニューオリンズを襲ったハリケーンカトリーナは数千人の死者が出る模様であり、この水害に対応する手段として本発明は極めて有効である。
技術的に完成した装備を提供することにより建設業界及び造船業界にも産業上大きな利用の可能性がある。
2004年12月末のインド洋沿岸地域を襲った大津波は、数時間の内に十数万人の尊い人命を奪い海洋性リゾートを楽しむ人達に大打撃を与えた。
大津波に対する何らかの絶対信頼出来る救難施設が完成するまでは、多くの観光客は海岸リゾートに足を向けなくなるであろう。
本発明はその安全性に対する効果が証明され衆知されることにより、この海洋性リゾート産業と臨海地域に居住する多くの人達に安全な生活を保証する大きな糧となる可能性がある。
また本発明は一般の居住用建築物や大型のホテルに適用し、高潮被害の発生しやすい海岸低地に建築することにより、その効果が証明されれば建設産業及び住宅産業界に膨大な利用の可能性がある。
水害対応免震建築物の(a)は側断面図(b)は同上平面図。 同上他の実施例の(a)は側断面図(b)及び(c)は同上平面図。 図2(a)の区画線内の拡大図。 図2の高潮浸水時における側断面図。 図1の高潮浸水時における側断面図 (a)ないし(d)はクランク装置(32)を使って調理用アルミ水槽(33)による揺動実験側面図。 (a)ないし(e)は同上。 (a)ないし(g)は同上。 (a)は免震機構が摺動板(34)上に乗せられた摺動脚(35)のスリップ摺動とダンパ(4)による免震建築物側断面図。 (b)は(a)の部分拡大図。 (a)は免震機構が摺動板(34)上に乗せられた摺動脚(35)のスリップ摺動とダンパ(4)による免震建築物側断面図。 (b)は同上平面図。 図10(a)の区画線部分拡大図。 図11の主要パーツ摺動脚(35)及び円柱ダンパ(41)の鳥瞰図。 図10の水害対応免震建築物が高潮に浮上した側断面図。 (a)は免震機構が摺動板(34)上に乗せられた摺動脚(35)のスリップ摺動とバッグ式ダンパ(43)による免震建築物側断面図。 図14(a)の区画線部分拡大図。 図14の水害対応免震建築物が高潮に浮上した側断面図。 側壁上面(48)をレールとして利用し門形走行クレーン(44)による作業鳥瞰図。 (a)はプール形基礎内に排水溝(49)を設けた側断面図。(b)は同上平面図。(c)は(a)の側面から見た側断面図。
符号の説明
1…浮体
2…基礎
3…水面線
4…ダンパ
5…水源
6…レベルセンサ
7…給水弁
8…隔壁
9…建家
10…移動位置
11…底面
12…側壁
13…浮体底面
14…側面
15…アンカーポール
16…係止部材
17…連通ホース
18…鋼板
19…開閉扉
20…地面
21…コンプレッサ
22…給気弁
23…排気弁
24…鞘部材
25…バンドブレーキ
26…レギュレータ
27…給気装置
28…係止部材
29…流入口
30…水位
31…ストッパ
32…クランク装置
33…水槽
34…摺動板
35…摺動脚
36…喫水線
37…摺動面
38…防塵カバ
39…レセプタ
40…タイヤ形ダンパ
41…円柱ダンパ
42…円筒ダンパ
43…バッグ式ダンパ
44…門形走行クレーン
45…ゴム車輪
46…ホイスト
47…Iビーム
48…上面
49…排水溝
50…排水ピット

Claims (5)

  1. 建家に対し地震による揺動の加速度を少なくして和らげ振幅を縮小し、建家及び内部器物の損壊転倒を防止する建築物で、更に高潮水害時に建家が冠水しない建築物であって以下1ないし9の条件を具備したことを特徴とする水害対応免震建築物。
    1,上面が開口し側壁および底面を備えた容器構造プール型基礎を備える。
    2,前記プール型基礎内に台船型浮体を収容すると共にその浮体上に建家を建造する。
    3,前記基礎と浮体の間に地震の揺動を緩衝伝達する伝達手段を設ける。
    4,前記基礎と浮体の間に地震の揺動の振幅巾を制限するダンパを設ける。
    5,地震発生時に前記基礎は大地と共に地震の加速度が直接伝わるが、浮体は建家と共に前記伝達手段及び前記ダンパを介して揺れが伝わり、浮体及び建家に地震の加速度を少なく和らげると共にその振幅巾を減少するように構成した。
    6,前記プール型基礎内部に連通し高潮浸水が流入する流入口を開口する。
    7,前記台船型浮体と一体で、浮体より見て鉛直下方に伸縮するアンカーポールを備える。
    8,前記プール型基礎底面に基礎と一体に係止部材を備え、前記アンカーポールと係止部材が結合し一体となるように構成する。
    9,浸水状態となった時浮体は鉛直上方に浮上するが、前記アンカーポールが前記係止部材との結合固定により、浮体の流水による水平方向流動を阻止するように構成した。
  2. 前記伝達手段が前記基礎内に収容した水で、地震による基礎の揺動を水を介して前記浮体に伝達することを特徴とする第1項記載の水害対応免震建築物。
  3. 前記伝達手段が基礎底面に設けた基礎と一体の摺動板と、浮体底面に浮体と一体に連結した摺動脚で前記摺動板の上に前記摺動脚を乗せたことを特徴とする第1項記載の水害対応免震建築物。
  4. 前記ダンパが基礎側壁と浮体側面の間に設けた弾性物であることを特徴とする第1項記載の水害対応免震建築物。
  5. 前記ダンパが基礎底面と浮体底面の間に設けた弾性物であることを特徴とする第1項記載の水害対応免震建築物。
JP2005270221A 2005-09-16 2005-09-16 水害対応免震建築物 Withdrawn JP2007077758A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005270221A JP2007077758A (ja) 2005-09-16 2005-09-16 水害対応免震建築物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005270221A JP2007077758A (ja) 2005-09-16 2005-09-16 水害対応免震建築物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007077758A true JP2007077758A (ja) 2007-03-29
JP2007077758A5 JP2007077758A5 (ja) 2008-10-30

Family

ID=37938351

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005270221A Withdrawn JP2007077758A (ja) 2005-09-16 2005-09-16 水害対応免震建築物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007077758A (ja)

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010037853A (ja) * 2008-08-06 2010-02-18 Chugoku Electric Power Co Inc:The 発電所のクレーン共用化設備
JP2013032686A (ja) * 2011-07-04 2013-02-14 Yasutoku Matsunaka 建物用浮力付与装置及びこれを用いた建物
JP2013096064A (ja) * 2011-10-28 2013-05-20 Fsekei Co Ltd 津波対策用避難小屋
JP2014008797A (ja) * 2012-06-27 2014-01-20 Oriental Shiraishi Corp 人工地盤浮上構造,人工地盤浮上方法
US8777519B1 (en) * 2013-03-15 2014-07-15 Arx Pax, LLC Methods and apparatus of building construction resisting earthquake and flood damage
JP5554874B1 (ja) * 2013-08-05 2014-07-23 一剛 小島 津波危険地域の陸上フロート
KR101469949B1 (ko) * 2014-08-22 2014-12-08 주식회사 아이랜드 수면 부상식 시설물
JP2015034374A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 株式会社竹中工務店 浮体構造建築物
CN104453327A (zh) * 2014-11-19 2015-03-25 朱晓义 一种抗震、抗洪房屋及抗洪堤坝建筑结构
JP2015101862A (ja) * 2013-11-22 2015-06-04 株式会社相愛 フロート式建築物
KR101580996B1 (ko) 2015-08-11 2015-12-29 주식회사 아이랜드 수면 부상식 편의시설물
GB2548345A (en) * 2016-03-11 2017-09-20 Terence Turner Roy Modular building
JP2018178635A (ja) * 2017-04-19 2018-11-15 Fsテクニカル株式会社 避難用構造物
JP2020125611A (ja) * 2019-02-04 2020-08-20 清水建設株式会社 耐風機構
JP2021025255A (ja) * 2019-08-01 2021-02-22 操 畑中 防災型施設
JP6864406B1 (ja) * 2020-11-05 2021-04-28 庄樹 高山 水没防止装置
JP2021080760A (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 株式会社シェルタージャパン 浮上式人工地盤、および浮上式防災住宅

Cited By (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010037853A (ja) * 2008-08-06 2010-02-18 Chugoku Electric Power Co Inc:The 発電所のクレーン共用化設備
JP2013032686A (ja) * 2011-07-04 2013-02-14 Yasutoku Matsunaka 建物用浮力付与装置及びこれを用いた建物
JP2013096064A (ja) * 2011-10-28 2013-05-20 Fsekei Co Ltd 津波対策用避難小屋
JP2014008797A (ja) * 2012-06-27 2014-01-20 Oriental Shiraishi Corp 人工地盤浮上構造,人工地盤浮上方法
US9790702B2 (en) 2013-03-15 2017-10-17 Arx Pax Labs, Inc. Methods and apparatus of building construction resisting earthquake and flood damage
US9399878B2 (en) 2013-03-15 2016-07-26 Arx Pax Labs, Inc. Methods and apparatus of building construction resisting earthquake and flood damage
US10081960B2 (en) 2013-03-15 2018-09-25 Arx Pax Labs, Inc. Methods and apparatus of building construction resisting earthquake and flood damage
US9103118B2 (en) 2013-03-15 2015-08-11 Arx Pax Llc Methods and apparatus of building construction resisting earthquake and flood damage
US8777519B1 (en) * 2013-03-15 2014-07-15 Arx Pax, LLC Methods and apparatus of building construction resisting earthquake and flood damage
JP5554874B1 (ja) * 2013-08-05 2014-07-23 一剛 小島 津波危険地域の陸上フロート
JP2015052261A (ja) * 2013-08-05 2015-03-19 一剛 小島 津波危険地域の陸上フロート
JP2015034374A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 株式会社竹中工務店 浮体構造建築物
JP2015101862A (ja) * 2013-11-22 2015-06-04 株式会社相愛 フロート式建築物
KR101469949B1 (ko) * 2014-08-22 2014-12-08 주식회사 아이랜드 수면 부상식 시설물
CN104453327A (zh) * 2014-11-19 2015-03-25 朱晓义 一种抗震、抗洪房屋及抗洪堤坝建筑结构
KR101580996B1 (ko) 2015-08-11 2015-12-29 주식회사 아이랜드 수면 부상식 편의시설물
GB2548345A (en) * 2016-03-11 2017-09-20 Terence Turner Roy Modular building
GB2548345B (en) * 2016-03-11 2018-11-14 Terence Turner Roy Modular building
JP2018178635A (ja) * 2017-04-19 2018-11-15 Fsテクニカル株式会社 避難用構造物
JP2020125611A (ja) * 2019-02-04 2020-08-20 清水建設株式会社 耐風機構
JP7257801B2 (ja) 2019-02-04 2023-04-14 清水建設株式会社 耐風機構
JP2021025255A (ja) * 2019-08-01 2021-02-22 操 畑中 防災型施設
JP2021080760A (ja) * 2019-11-20 2021-05-27 株式会社シェルタージャパン 浮上式人工地盤、および浮上式防災住宅
JP6864406B1 (ja) * 2020-11-05 2021-04-28 庄樹 高山 水没防止装置
JP2022074691A (ja) * 2020-11-05 2022-05-18 庄樹 高山 水没防止装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007077758A (ja) 水害対応免震建築物
JP4031497B2 (ja) 津波シェルター
JP3110611U (ja) 浮体建築物
JP4609955B1 (ja) 津波シェルター
JP2008074385A (ja) 津波シェルター装置
JP2007177600A (ja) 津波、洪水に対する浮上避難設備
JP2006322311A (ja) 高潮浮上建築物の浮体施工方法
JP2007192007A (ja) 耐高潮建築物とその施工方法
JP2006226098A (ja) 避難装置ならびにその施工方法
JP6762464B1 (ja) 津波等の避難シェルター
JP2010150814A (ja) 水害回避免震建築物
JP5518822B2 (ja) 津波対策用避難小屋
JP3211312U (ja) 浮上式津波避難シェルター
JP4979040B1 (ja) 津波、高潮、洪水対策用退避部屋
JP2007070982A (ja) 多目的災害避難建築物
JP4305872B2 (ja) 津波防波堤
JP2013056651A (ja) 浮上式津波避難塔と津波救命いかだ
JP2006233745A (ja) 水害浮上建築物の浮体施工方法
JP6000688B2 (ja) 人工地盤浮上構造,人工地盤浮上方法
JP5274699B1 (ja) 緊急避難用装置
JP2006249914A5 (ja)
JP5543658B1 (ja) 防災避難シェルター
JP2016053296A (ja) 津波シェルター。
JP5600135B2 (ja) 津波、高潮、洪水対策用退避部屋
JP6044884B2 (ja) 船舶型の浮遊式水害避難施設

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080909

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080909

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20100311