JP2015034374A - 浮体構造建築物 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る浮体構造建築物は、浸水時においてその一部が浮上する浮体構造建築物である。ここで、まずは各実施の形態に係る浮体構造建築物が置かれる状況である「平常時」、「地震動発生時」、及び「浸水時」の3つの状況について説明する。
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。
まずは、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、浮体部が制振構造にて形成されている形態である。
最初に、本実施の形態1に係る浮体構造建築物10の構成について説明する。図1は、本実施の形態1に係る浮体構造建築物10の平面図である。また、図2は、浮体構造建築物10の図1におけるA−A矢視断面の断面図であり、図2(a)は平常時、図2(b)は地震動発生時、図2(c)は浸水時を示す図である。この図1及び図2に示すように、本実施の形態1に係る浮体構造建築物10は、概略的に、浮体部11、コア部12、ダンパー13、レール部14、及び車輪15を備えて構成される。
浮体部11は、浸水時において基礎1と分離されて浮上する浮上手段である。この浮体部11の形状や構造は任意であるが、本実施の形態1では、図1に示すようにコア部12の周囲を囲んで形成される略中空直方体形状を有する、鉄骨造の制振構造建築物であるものとして説明する。ここで、浮体部11におけるコア部12と面している側の四方の壁面を「浮体部11の内壁面」、コア部12と面していない側の四方の壁面を「浮体部11の外壁面」と必要に応じて称して説明する。なお、図2に示すように、本実施の形態1において、浮体部11は地下1階から地上5階までを有するものとし、各階は平常時において居室として利用可能な部屋を有するものとする。また、特定の一地点を基準として、コア部12により近づく方向を「内側」コア部12からより遠ざかる方向を「外側」と必要に応じて称して説明する。
H×F>NW+WF・・・式(1)
ここで、
H:船体部11aの高さ(m)
F:水中における深さ1m当たりの浮力((t/m2)/m)
N:地上部11bの階数(階)
W:地上部11b一階分の見付面積当たり単位重量(t/m2)
WF:船体部11aの見付面積当たり単位重量(t/m2)
H>5.1(m)
の式が導き出される。したがって、本実施の形態1のような地上1階から地上5階までの鉄骨造建築物において、船体部11aの高さは5.1m以上である必要があることが分かる。
コア部12は、浸水時において基礎1と分離されず浮上しない未浮上手段である。このコア部12の形状や構造は任意であるが、本実施の形態では、図1に示すように中空直方体形状にて形成された浮体部11の中空部分に配置された略直方体形状の鉄筋コンクリート造の制振構造建築物であるものとして説明する。ここで、コア部12における浮体部11の内壁面と面している側の四方の壁面を「コア部12の外壁面」、コア部12における浮体部11の内壁面と面していない側の壁面(すなわち、コア部12の内部の空間に面する壁面)を「コア部12の内壁面」と必要に応じて称して説明する。
ダンパー13は、コア部12と浮体部11とを接続する制振手段である。図3は、図1の要部拡大図であって、図3(a)は、配設パターンAを示す図、図3(b)は、配設パターンBを示す図である。また、図4は、ダンパー13の詳細図であって、図4(a)は平常時における水平平面図、図4(b)は、平常時における側面図、図4(c)は、浸水時における側面図である。以下では、これら図3及び図4を参照しつつ、ダンパー13の構成について詳細に説明する。
レール部14は、車輪15と共に浸水時における浮体部11の移動方向をガイドするためのガイド手段である。具体的には、車輪15が回動可能な公知のレールとして形成されており、コア部12の外壁面において鉛直方向に沿って敷設されている。このレール部14の設置位置や敷設数は任意であるが、本実施の形態1では、コア部12における四隅の柱の位置に各2本の計8本が敷設されている。
車輪15は、レール部14と共に浸水時における浮体部11の移動方向をガイドするためのガイド手段である。具体的には、レール部14に沿って回動可能な公知の車輪15として形成されており、浮体部11の内壁面においてレール部14と対応する位置に計8つ設けられている。なお、車輪15を設置する高さについては任意であるが、図2に示すように、船体部11aのような基礎1から近く地震動による揺れの小さい位置に設置することにより、地震動による浮体部11の揺れによって車輪15が浮体部11とコア部12とにより強く挟まれて損壊してしまう可能性を低減することが可能となる。
このように構成された浮体構造建築物10の機能について説明する。
このように、本実施の形態1によれば、ダンパー13は、地震動発生時には浮体部11とコア部12とを相互に接続し、浸水時には浮体部11とコア部12との接続を解除するので、地震動発生時には浮体部11の振動を抑制し、浸水時には浮体部11の浮上を可能とすることができ、地震動による被害、及び当該地震動の後に発生する津波による被害の両方の低減を図ることが可能となる。
続いて、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、浮体部が免震構造にて形成されている形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
最初に、本実施の形態2に係る浮体構造建築物20の構成について説明する。図5は、本実施の形態2に係る浮体構造建築物20の図1におけるA−A矢視断面に対応する断面図であり、図5(a)は平常時、図5(b)は地震動発生時、図5(c)は浸水時を示す図である。この図5に示すように、本実施の形態2に係る浮体構造建築物20は、概略的に、浮体部21、コア部12、ダンパー13、及びタイヤ22を備えて構成される。なお、このように、本実施の形態2に係る浮体構造建築物20は、実施の形態1に係る浮体構造建築物10とは異なり、レール部14及び車輪15が設けられておらず、これらの代わりにタイヤ22が設けられている。また、コア部12及びダンパー13の構成については、実施の形態1と同様に構成できる。よって、以下では、浮体部21及びタイヤ22の構成について説明し、その他の構成については説明を省略する。
浮体部21は、浸水時において基礎1と分離されて浮上する浮上手段である。ここで、この浮体部21の形状は任意であるが、本実施の形態2では、実施の形態1と同様にコア部12の周囲を囲んだ形状であるものとして説明する。また、浮体部21の構造は、鉄骨造の免震構造建築物であるものとして説明する。なお、実施の形態1と同様に、浮体部21には船体部21a及び地上部21bが設けられている。
タイヤ22は、浮体部21の内壁面とコア部12の外壁面との相互間に配置されており、地震動発生時や浸水時において浮体部21が水平変位して浮体部21とコア部12との距離が近付いた際に、前記浮体部21とコア部12との相互間に介在して前記浮体部21及びコア部12に対して与えられる衝撃を和らげる衝撃緩和手段である。また、このタイヤ22は、同様に地震動発生時や浸水時において浮体部21とコア部12との距離が近付いた際に、前記浮体部21とコア部12との相互間に介在して浮体部21とコア部12との接触を防止することにより、前記浮体部21及びコア部12の損壊を防ぐ接触防止手段である。なお、このような機能を有する限りにおいてタイヤ22の素材は任意であるが、本実施の形態においては、ゴムの如き弾性部材にて形成される。また、タイヤ22は、浮体部21の内壁面又はコア部12の外壁面のいずれに対して設置されていても構わない。但し、本実施の形態2では、タイヤ22は浮体部21の内壁面に対して設置されているものとして説明する。
このように構成された浮体構造建築物20の機能について説明する。
このように、本実施の形態2によれば、浮体部21を免震構造にて形成した場合であっても、ダンパー13は、地震動発生時には浮体部21とコア部12とを相互に接続し、浸水時には浮体部21とコア部12との接続を解除するので、地震動発生時には浮体部21の振動を抑制し、浸水時には浮体部21の浮上を可能とすることができ、地震動による被害、及び当該地震動の後に発生する津波による被害の両方の低減を図ることが可能となる。
続いて、実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、浮体構造建築物30にネット31を設けた形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
最初に、本実施の形態3に係る浮体構造建築物30の構成について説明する。図6は、本実施の形態3に係る浮体構造建築物30の図1におけるA−A矢視断面に対応する浸水時の断面図である。この図6に示すように、本実施の形態3に係る浮体構造建築物30は、概略的に、浮体部11、コア部12、ダンパー13、レール部14、車輪15、及びネット31を備えて構成される。なお、ネット31以外の構成要素については実施の形態1の各構成要素と同様に構成することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
ネット31は、浮上した浮体部11と基礎1との相互間に物体が侵入する事を防止する物体進入防止手段である。なお、ネット31の具体的な大きさや形状については、水を通す程度の網目を有するネット31であればどのようなネット31であっても構わないが、網目が細かい程より小さな物体の侵入を防止することが可能であるため好ましい。そして、ネット31が設置される位置は、少なくとも浮体部11と基礎1との相互間に物体が侵入する事を防止可能な位置である限りにおいて任意である。なお、本実施の形態3では、図6に示すように、ネット31が、浮体部11の外壁面における船体部11aの上端の位置と、基礎1における掘り込み部1aよりも外側に設けられた基礎1の縁の位置とを接続するように、かつ、そのように接続されたネット31が図6における奥行き方向に沿うように配置されている。そして、ネット31は浮体部11の外壁面の4面全てにおいて同様に配置されている。
このように構成された浮体構造建築物30の機能について説明する。なお、平常時、及び地震動発生時における当該浮体構造建築物30の機能については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
このように、本実施の形態3によれば、浮上した浮体部11と基礎1との相互間に物体が侵入する事を防止するネット31を備えるので、浸水による水が引いて浮体部11が元の位置に戻った際に、浮体部11と基礎1との相互間に物体が介在することによって浮体部11が大きく傾いてしまう可能性や船体部11aを損傷してしまう可能性の低減を図ることが可能となる。
続いて、実施の形態4について説明する。この実施の形態4は、浮体部とコア部の配置や形状を変更した形態である。ここで、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。また、本実施の形態4に係る浮体構造建築物40の機能については、実施の形態1に係る浮体構造建築物10の機能と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
最初に、本実施の形態4に係る浮体構造建築物40の構成について説明する。図7は、本実施の形態4に係る浮体構造建築物40の図1におけるA−A矢視断面に対応する浸水時の断面図である。この図7に示すように、本実施の形態4に係る浮体構造建築物40は、概略的に、浮体部41、コア部42、ダンパー13、レール部14、及び車輪15を備えて構成される。なお、ダンパー13、レール部14、及び車輪15については実施の形態1のこれらと同様に構成することが可能であるためその詳細な説明を省略する。
浮体部41は、船体部41aのみによって構成される浮上手段である。このように、浮体部41は実施の形態1に示す浮体部11のように必ずしも地上部11bを有する必要はなく、船体部41aのみによって構成することも可能である。例えば、図7は競技場の如き低層の建築物であって、浮体部41は水平平面視上において略円形状の船体部41aのみによって構成されており、当該船体部41aの上面が競技場としての用途に用いられる。
コア部42は、図7に示すように、浮体部41の周囲4箇所に配置された略直方体形状にて形成された鉄筋コンクリート造の耐震性能の高い建築物である。ここで、実施の形態1とは異なりこのコア部42の内部にはユーザは進入することはできない。したがって、コア部42と浮体部41との相互間をユーザが出入りするための出入口についても設置されていない。このようにコア部42の出入口と浮体部41の出入口を設けない構成とすることにより、当該コア部42の出入口又は浮体部41の出入口からコア部42の内部や浮体部41の内部に水が浸入してユーザに被害を与える可能性を無くすことが可能となる。
ここで、浮体部41及びコア部42の配置パターン(形状、数、及び配置の組み合わせ)について説明する。図8は、浮体部41とコア部42の望ましい配置パターンの例を示す概略平面図であり、図8(a)から図8(d)は、それぞれ配置パターン(a)から配置パターン(d)を示す図である。
このように、本実施の形態4によれば、コア部42は浮体部41が浮上する際における浮体部41の水平移動を規制するため、浸水により浮体部41がコア部42から完全に離れて漂流してしまうことを防止でき、津波による被害のさらなる低減を図ることが可能となる。
続いて、実施の形態5について説明する。この実施の形態5は、浸水時において浮体部51が螺旋状に回転しながら移動する形態である。ここで、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
最初に、本実施の形態5に係る浮体構造建築物50の構成について説明する。図9は、本実施の形態5に係る浮体構造建築物50の水平平面図である。図10は、浮体構造建築物50の図9におけるA−A矢視断面の断面図である。この図9及び図10に示すように、本実施の形態5に係る浮体構造建築物50は、概略的に、浮体部51、コア部52、レール部53、ダンパー13、及び車輪54を備えて構成される。なお、ダンパー13の構成については、実施の形態1のダンパー13と同様に構成することができるため、その詳細な説明を省略する。
浮体部51は、コア部52の周囲に配置され、円筒形の中空部分を有する略中空直方体形状にて形成される。ここで、浮体部51におけるコア部52と面している側の円筒形の壁面を「浮体部51の内壁面」、コア部52と面していない側の四方の壁面を「浮体部51の外壁面」と必要に応じて称して説明する。また、実施の形態1と同様に浮体部51は船体部51a及び地上部51bを有する。また、浮体部51の内壁面におけるいずれかの位置には、浮体部51の内部と外部との相互間の移動を可能とするための出入口(以下、出入口51cと称して説明する)が設けられている。この出入口51cの数や位置は任意であるが、本実施の形態5においては、船体部51a、2階、及び4階の内壁面にそれぞれ設けられているものとして説明する。また、実施の形態1と同様に、船体部51aにはアンカーポール51dが設けられており、基礎1には、当該アンカーポール51dの外径と略同一の内径を有する穴である掘り込み部1aが設けられている。なお、これらのアンカーポール51d及び掘り込み部1aについては、実施の形態1のこれらと同様に構成することが可能であるためその詳細な説明を省略する。
コア部52は、浮体部51の内壁面の周よりも小さい周を有する円筒形状にて形成された耐震性能の高い鉄筋コンクリート造建築物である。なお、コア部52はエレベータや階段のような移動手段が配置されており、ユーザがこのコア部52の内部を自在に移動することが可能である。
レール部53は、車輪54と共に浮体部51の移動方向をガイドするガイド手段である。具体的には、レール部53はスロープ52aにおける外側の部分に沿って配置された公知のレールである。このレール部53の設置台数は任意であるが、本実施の形態5では、スロープ52aを挟んで上下方向に沿って2本のレール部53が並設されている。
車輪54は、スロープ52aと共に浸水時における浮体部51の移動方向をガイドするためのガイド手段である。具体的には、浮体部51の内壁面における浮体部51の出入口51c近傍に設けられており、スロープ52aを上下から挟持するようにレール部53に当接する一対の車輪54であって、スロープ52aに沿って回動可能な公知の車輪54として形成されている。また、コア部52の外壁面には螺旋状にスロープ52aを配置して説明しているが、コア部52の内壁面に沿って螺旋状にスロープ52aを配置し、さらにその内側に居室やエレベータを配置した構成であってよく、この場合、スロープ52aとは別途にコア部52の外壁面に沿って螺旋状にレール部53を配置する。レール部53に当接する一対の車輪54は同様に構成することができるため、その詳細な説明を省略する。
このように構成された浮体構造建築物50の機能について説明する。
本実施の形態5に係る浮体構造建築物50によれば、コア部52は、コア部52の外壁面に螺旋状に設けられたスロープ52aと、スロープ52aに沿って敷設されたレール部53と、スロープ52aのいずれかの位置とコア部52の内部とのユーザの出入を可能とするための出入口52cとを備え、浸水時において浮体部51の出入口51cが当該スロープ52aに沿って螺旋状に移動するので、浮体部51の出入口51cを常にスロープ52aの経路上に位置させることができ、浸水時において浮体部51からコア部52又はコア部52から浮体部51へのユーザの移動を容易に行わせることが可能となるため、地震動や津波による被害をより一層低減することが可能となる。
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、少なくとも、地震動による被害及び地震動の後に発生する津波による被害の両方を低減できない場合であっても、従来と異なる構成によってこれらの被害の両方の低減を図ることが出来ている場合には、本発明の課題は解決されている。
各実施の形態に示した特徴は、相互に入れ替えたり、一方の特徴を他方に追加してもよい。例えば、実施の形態3におけるネット31を、実施の形態2、実施の形態4、又は実施の形態5に設けても良い。また、実施の形態5におけるスロープ52aや車輪54を、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4に設けてもよい。
発明の詳細な説明や図面で説明した浮体構造建築物10、20、30、40、50の各部の寸法、形状、比率等は、あくまで例示であり、その他の任意の寸法、形状、比率等とすることができる。
本実施の形態1では、浮体部11の内壁面に車輪15を設置し、コア部12の外壁面にレール部53を設置したが、これに限らず、それぞれの設置する位置を逆にしても良い。
本実施の形態2では、浮体部21の内壁面に設けられたタイヤ22がコア部12の外壁面に沿って回動する構成としたが、これに限らず、タイヤ22がコア部12の外壁面を摺動する構成としても良い。具体的には、タイヤ22は浮体部21の内壁面又はコア部12の外壁面の少なくとも一方に対して回動不可能に設置される。そして浸水時において、浮体部21の内壁面とコア部12の外壁面とが接近した場合、これらの壁面の相互間に位置するタイヤ22がこれらの壁面により挟まれる。そして、このように挟まれた状態において浮体部21が浮上することにより、タイヤ22は浮体部21の内壁面又はコア部12の外壁面を摺動することにより、浮体部21の浸水時における移動方向をガイドすることが可能となる。
本実施の形態3ではネット31を設けることにより浮体部11と基礎1との相互間に物体が進入することを防止する方法により浮体部11が元の位置に戻れなくなることを防いだが、その他の方法により防いでも良い。例えば、浮体部11が一旦浮上した場合、水が引いた後であっても浮体部11の重量により自動的に下降しない構成としても良い。このような構成とすることにより、水が引いた後に浮体部11が浮上している状態において、浮体部11と基礎1との相互間に侵入した物体を人力等により除去し、除去が完了した後に浮体部11を能動的に下降させて元の位置に戻す構成としても良い。
各実施の形態では、コア部12、42、52を制振構造建築物であるものとして説明したが、これに限らず、コア部12、42、52は浸水時においても基礎1と分離されない構成である限り任意の構成を採用することが可能であり、例えば免震構造建築物であっても良い。
本実施の形態2に係る免震構造建築物とは免震ゴムを用いた免震構造建築物であるものとして説明したが、これに限らず例えば滑り支承を用いた免震構造建築物であっても良い。
付記1に記載の浮体構造建築物は、浸水時において基礎1と分離されて浮上する浮体部と、前記浸水時において基礎1と分離されず浮上しないコア部と、前記浮体部と前記コア部との相互間に配置されるダンパーと、を備え、前記ダンパーは、前記地震動発生時には、前記浮体部と前記コア部とを相互に接続した状態において前記浮体部の振動を抑制し、前記浸水時には、前記浮体部と前記コア部との接続を解除することにより前記浮体部の浮上を可能とする。
付記1に記載の浮体構造建築物によれば、ダンパーは、地震動発生時には浮体部とコア部とを相互に接続し、浸水時には浮体部とコア部との接続を解除するので、地震動発生時には浮体部の振動を抑制し、浸水時には浮体部の浮上を可能とすることができ、地震動による被害、及び当該地震動の後に発生する津波による被害の両方の低減を図ることが可能となる。
1a 掘り込み部
10、20、30、40、50 浮体構造建築物
11、21、41、51 浮体部
11a、21a、41a、51a 船体部
11b、21b、51b 地上部
11c、21d、51d アンカーポール
12、42、52 コア部
13、13a、13b、13c、13d ダンパー
131 固定端
132 係脱端
133 係脱溝
14、53 レール部
15、54 車輪
21c 免震装置
22 タイヤ
31 ネット
41b 隔離壁
41c 床スラブ
51c、52c 出入口
52a スロープ
52b 下端部
Claims (7)
- 浸水時において基礎と分離されて浮上する浮体部と、
前記浸水時において基礎と分離されず浮上しないコア部と、
前記浮体部と前記コア部との相互間に配置されるダンパーと、を備え、
前記ダンパーは、
前記地震動発生時には、前記浮体部と前記コア部とを相互に接続した状態において前記浮体部の振動を抑制し、
前記浸水時には、前記浮体部と前記コア部との接続を解除することにより前記浮体部の浮上を可能とする、
浮体構造建築物。 - 前記ダンパーにおける前記浮体部側の端部又は前記コア部側の端部のうち少なくとも一方の端部には、前記浮体部が浮上した際に前記ダンパーを前記浮体部又は前記コア部から係脱させることにより前記浮体部と前記コア部との接続を解除させる係脱手段を備える、
請求項1に記載の浮体構造建築物。 - 前記浸水時において、前記浮体部が浮上する際の当該浮体部の移動方向をガイドするためのガイド手段を備える、
請求項1又は2に記載の浮体構造建築物。 - 前記ガイド手段は、
前記コア部に敷設されたレール部と、
前記浮体部に設置された車輪と、を備え、
前記浸水時において、前記車輪を前記レール部に沿って回動させることにより前記浮体部を前記レール部の敷設された方向に沿って移動させることで、前記浮体部が浮上する際の当該浮体部の移動方向をガイドする、
請求項3に記載の浮体構造建築物。 - 前記ガイド手段は、
前記浮体部と前記コア部との相互間の浸水時又は地震動発生時における接触を防止するための接触防止手段であって、前記浮体部に設置された接触防止手段を備え、
前記浸水時において、前記接触防止手段を前記コア部の外壁面に沿って回動又は摺動させることにより前記浮体部を前記コア部の外壁面に沿う方向に移動させることで、前記浮体部が浮上する際の当該浮体部の移動方向をガイドする、
請求項3に記載の浮体構造建築物。 - 前記コア部は、前記浮体部が浮上する際における当該浮体部の水平移動を規制する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の浮体構造建築物。 - 前記浸水時において、前記浮上した浮体部と前記基礎との相互間に物体が侵入する事を防止する物体進入防止手段を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の浮体構造建築物。
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