JP6537218B1 - 居住構造とそれを備えた免震住宅 - Google Patents

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Abstract

【課題】居住スペースの強度が高く、かつ、日常的に生活することが可能な居住構造を有するとともに、津波や洪水などが発生した場合には、それらの影響を受けないように居住スペースを短時間で正確に上方へ移動させるとともに、安全に元の場所に着地させることが可能な免震住宅を提供する。【解決手段】本発明の免震住宅1は、平面視した場合に正方形をなすように設置された4枚の側板2aが鉛直方向と平行をなすとともに、底板2bが水平方向と平行をなすように設置された直方体状の居住スペース2と、鉛直方向と平行をなすように土間コンクリート17に設置され、居住スペース2を鉛直方向へ昇降自在に支持する4本の支柱3を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、津波や洪水などが発生した場合にそれらの影響を受けないように居住スペースを上方へ移動させることが可能な免震住宅に係り、特に、居住スペースの強度が高い居住構造とそれを備えた免震住宅に関する。
火事によって住居が燃えた場合、被災者は一時的に他の場所へ避難することを余儀なくされるものの、住居を立て直すことなどにより、比較的早く、元の生活に戻ることができる。これに対し、津波や川の氾濫などによって、住居が水没してしまった場合には、室内に入り込んだ泥や粗大ゴミを取り除く必要があることから、復旧作業が極めて困難なものになる。
このような課題に対処するものとして、例えば、特許文献1には、「災害緊急避難塔」という名称で、自宅において一緒に建築することができる避難塔に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、杭基礎を用いて組設された基台座と、この基台座によって支持される4本の支柱と、その支柱と平行に設置される間柱と、支柱や間柱を繋ぐ横梁と、昇降自在に4本の支柱の内側に設置される浮遊体ルームと、この浮遊体ルームを昇降させる大輪ハンドル及び複合錘昇降手動装置を備えた構造となっている。
このような構造によれば、浮遊体ルームが水に浮くため、遠方に避難することが困難な者であっても浮遊体ルームの中に居ることで、津波や洪水などの水害を避けることができる。
また、特許文献2には、「耐震耐津波住居」という名称で、地震などの揺れを低減させるとともに、津波の被害を受け難い住居に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、地面に立設された複数本の柱の間に架け渡された第一床部及び第二床部と、第二床部に設置されるウィンチと、このウィンチによってロープを介して吊り上げ可能に設置される住居と、この住居と柱の間に設置されるバネと、第一床部と住居の間に設置されるダンパと、第二床部の上方に設置されるソーラーパネル及び風力発電装置と、地震感知器を備えた構造となっている。
このような構造によれば、津波が発生した場合には、ウィンチで住居を吊り上げ、住居の下部空間に津波を通すことで、住居が水没するという事態を避けることができる。また、住居がロープに吊り下げられるとともに、柱と住居がバネを介して連結されているため、地震によって柱が揺れた場合でも、柱から住居に伝わる揺れを低減することができる。
さらに、特許文献3には、「津波から家屋を保護させてなる防護柵」という名称で、地震等によって発生した津波から家屋や舟を守る防護柵に関する考案が開示されている。
特許文献3に開示された考案は、矩形状の第1の枠体内に十字型の第2の枠体が設けられた基盤体と、断面釣型の軌条が設けられるとともに基盤体の四隅に樹立される支柱を備えており、基盤体上に建設された木造の家屋の四隅が支柱の軌条に昇降自在に係合された構造となっている。
このような構造によれば、地震が起きて地割れが生じた場合でも、家屋が基盤体上に組み立てられているため、地割れに落ち込んだりして倒壊することもない。また、地震の後に津波が押し寄せた場合には、木造の家屋が海水によって基盤体の四隅に設けられた断面釣型の軌条を有する支柱に沿って押し上げられる一方、津波が引くとともに、海面と一緒に家屋も下方へ移動するため、家屋が被害を受けるおそれがない。
特開2017−206934号公報 特開2013−15001号公報 実開平7−16861号公報
特許文献1に開示された発明は、浮遊体ルームが4本の支柱の内側に設置されているため、その内部が狭く、一時的な避難場所としては利用できるものの、日常的に生活するスペースとしては利用できないという課題があった。
また、浮遊体ルームがバランスを取り難い構造であるため、浮遊体ルームを傾けることなく、案内レールに沿って上下方向へ正確に移動させることが難しいという課題があった。
特許文献2に開示された発明では、地面に立設された複数本の柱の間に住居が設置されるとともに、柱が末広がりの形状をしているため、住居の内部を広くしようとすると、柱の下端が設置されるエリアを必要以上に広く確保しなければならないという課題があった。
また、複数本の柱は上部ほど、それらの間隔が狭くなる構造であるため、住居を上方に移動できる高さが制限されるという課題があった。
特許文献3に開示された考案では、家屋を上昇させる機構がないため、津波などが発生した場合に、短時間で家屋を上昇させることができないという課題があった。また、家屋が支柱に囲まれているため、その内部が狭いという課題があった。さらに、家屋が木造であるため、津波や洪水などが発生した場合に、わずかな水圧で家屋が簡単に破壊されてしまうおそれがあるという課題があった。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、居住スペースの強度が高く、かつ、日常的に生活することが可能な居住構造を有するとともに、津波や洪水などが発生した場合には、それらの影響を受けないように居住スペースを短時間で正確に上方へ移動させるとともに、安全に元の場所に着地させることが可能な免震住宅を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る居住構造は、底面が菱形をなすとともに4本の稜線の長さが全て等しい四角錐の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼からなる基礎フレームと、下端が菱形の2つの対角線をそれぞれ構成し、かつ、底面に直交するように設置された矩形状の一対の壁板と、からなる居住スペースを備えていることを特徴とするものである。
なお、4つの辺の長さが全て等しい四角形が菱形であり、そのうち特に4つの内角が全て直角である四角形が正方形であることから、正方形は菱形の1種であるといえる。したがって、第1の発明における「基礎フレームの底面が菱形をなす」という構成には、「基礎フレームの底面が正方形」の場合も当然に含まれる。
第1の発明においては、居住スペースの基礎フレームの稜線を構成する4本の形鋼が一対の型板に埋め込まれた状態となるため、それらの形鋼が居住スペース内での生活の支障になるおそれがない。そして、上述の4本の形鋼によって一対の型板の強度が高められるという作用を有する。
第2の発明に係る免震住宅は、鉛直方向と平行をなすとともに、第1の発明を構成する居住スペースを囲むように設置された4本の支柱と、居住スペースを4本の支柱に対し、それらの長手方向へのみ移動可能にそれぞれ連結する4つのガイド部材と、4本の支柱を互いに連結するように支柱の上端に設置された複数本の形鋼からなる補強部材と、形鋼からなる連結部材と、この連結部材に一部が連結されたワイヤロープと、このワイヤロープを介して居住スペースを吊り上げ可能に補強部材に設置されたウィンチと、このウィンチを駆動する電動モーターと、を備え、居住スペースは、その底面が水平方向と平行をなすように設置され、連結部材は、その下端が基礎フレームの頭頂点に連結されており、居住スペースを平面視した場合に4本の支柱と4つのガイド部材が、菱形の各頂点にそれぞれ近接して配置されていることを特徴とするものである。
なお、第2の発明における「4本の支柱が前記居住スペースを囲むように設置された」という構成には、4本の支柱に囲まれた空間内に居住スペースの全体が設置された場合だけでなく、隣り合う2本の支柱の間から、その一部が突出するような状態で居住スペースが設置された場合も含まれるものとする。
第2の発明において、電動モーターでウィンチを駆動してワイヤロープを巻き上げると、連結部材を介してワイヤロープに連結された居住スペースがウィンチによって吊り上げられる結果、上方へ移動する。一方、ウィンチを駆動してワイヤロープを巻き下げると、ワイヤロープがウィンチから繰り出される結果、居住スペースが下方へ移動する。
すなわち、第2の発明においては、ウィンチを操作することによって、居住スペースが上下方向へ移動するという作用を有する。
このとき、鉛直方向と平行に設置された4本の支柱に対してそれぞれ居住スペースを連結する4つのガイド部材によって、居住スペースは支柱の長手方向に沿って案内される。すなわち、4つのガイド部材は、居住スペースの4か所を4本の支柱にそれぞれ連結するとともに、居住スペースの移動方向を鉛直方向に限定するという作用を有する。
また、第2の発明では、居住スペースを平面視した場合に基礎フレームの底面を構成する菱形の各頂点にそれぞれ近接して配置された4本の支柱のそれぞれの近傍に4つのガイド部材が配置されており、居住スペースが上下方向へ移動する際にその姿勢が変化し難い。また、基礎フレームは、頭頂点から底面に下した垂線が当該底面の重心を通る構造となっている。そのため、第1の発明においては、居住スペースが上下方向へ移動する際に、基礎フレームの上記垂線が鉛直方向と平行をなした状態が維持される。
このとき、居住スペースの重量は基礎フレームの稜線を構成する4本の形鋼に対して均等に加わる。そのため、第2の発明では、ワイヤロープを介してウィンチによって吊り上げられた状態の居住スペースが変形したり、破損したりしてしまうおそれがない。
また、第3の発明は、第2の発明において、ガイド部材は、支柱を囲むとともに、その側面に近接するように配置された複数のガイドローラと、このガイドローラを水平な回転軸を中心として回転可能に保持する保持金具と、この保持金具が取り付けられるとともに支柱に外挿された枠体と、この枠体を居住スペースに固定する固定金具と、からなることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明の作用に加え、ワイヤロープを介して吊り下げられた状態の居住スペースが風の影響等を受けて揺動した場合でも、ガイドローラが支柱の側面に当接することで、支柱との干渉による枠体の破損を防ぐという作用を有する。
また、居住スペースが上下方向へ振動した場合、支柱の側面に当接したガイドローラは支柱の側面に沿って転動することで、支柱から枠体に加わる上下方向の力を弱めるという作用を有する。
第4の発明は、第3の発明において、ガイドローラが弾性を有する部材によって形成されていることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第3の発明の作用に加え、ワイヤロープを介して吊り下げられた状態の居住スペースが風の影響等を受けて揺動してガイドローラが支柱の側面に衝突した場合でもガイドローラが弾性変形することで、支柱から受ける衝撃力を緩和するという作用を有する。
第5の発明は、第2の発明乃至第4の発明のいずれかの発明において、水平な第1の回転軸を中心として回転可能に補強部材の下面に設置された少なくとも1つ以上の定滑車と、連結部材の上面に定滑車と同一平面内において第1の回転軸に平行な第2の回転軸を中心として回転可能に設置された複数の動滑車と、を備え、動滑車の数は定滑車の数よりも1つ多く、ワイヤロープは、その一端が補強部材に固定されるとともに、動滑車と定滑車に交互に巻回された状態で、その他端がウィンチによって巻き上げられることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第4の発明のいずれかの発明の作用に加え、例えば、動滑車の数をnとした場合、ウィンチがワイヤロープを巻き上げる力の2n倍に相当する重量の物体がウィンチによって吊り上げ可能になるという作用を有する。
第6の発明は、第2の発明乃至第5の発明のいずれかの発明において、居住スペースは、基礎フレームの底面の2つの対角線にそれぞれ直交するとともに、平面視した場合に矩形をなすように一対の壁板の両端にそれぞれ設置された4枚の側板と、4枚の側板の各端部に設置されて直方体の各辺を構成するように組み合わされた12本の形鋼からなる居住フレームと、この居住フレームの上部を覆うように設置された天板と、居住フレームの下部を覆うように設置された底板と、を備えていることを特徴とするものである。
居住スペースが基礎フレームのみからなる場合、居住スペースは全体が4本の支柱に囲まれた空間内に配置された状態になるが、この場合、その底面積は第4の発明における居住フレームの底面積の半分となる。
すなわち、第6の発明では、第2の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の作用に加え、居住スペースを平面視した場合、その角部が2本の支柱の間から突出した状態であることから、4本の支柱に囲まれた空間内に居住スペースの全体が設置されている場合よりも居住スペースの内部が広いという作用を有する。
第7の発明は、第2の発明乃至第6の発明のいずれかの発明において、一対の壁板の各端部に設置されて矩形の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼からなる補強フレームを備えていることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第6の発明のいずれかの発明の作用に加えて、補強フレームによって居住スペースの剛性が高められるという作用を有する。
第8の発明は、第2の発明乃至第7の発明のいずれかの発明において、蓄電池が補強部材に設置されていることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第7の発明のいずれかの発明の作用に加えて、津波などの災害の発生により発電所からの送電がストップした場合や居住スペースが吊り上げられていて送電線から電力の供給が受けられない状態にある場合に、居住スペース内で生活する上で必要な電力や電動モーターを駆動するための電力が蓄電池によって賄われるという作用を有する。
第9の発明は、第8の発明において、蓄電池を充電する太陽光発電設備が補強部材に設置されていることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第8の発明の作用に加えて、居住スペース内で生活する上で必要な電力や電動モーターを駆動するための電力が太陽光発電によって得られるという作用を有する。
第10の発明は、第3の発明又は第4の発明において、ガイド部材は、枠体が固定金具によって居住スペースに固定される代わりに、固定金具がコイルばねを介して居住スペースに固定されていることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第3の発明又は第4の発明の作用に加えて、ワイヤロープを介して吊り下げられた状態の居住スペースが風の影響等を受けて揺動することにより居住スペースと支柱の位置関係が変化した場合に、コイルばねの付勢力によって居住スペースが正しい位置に戻されるという作用を有する。
また、居住スペースが揺動して支柱がガイドローラに接触した場合に、ガイドローラに支柱から加わる力がコイルばねによって緩和されるという作用を有する。
第11の発明は、第2の発明乃至第10の発明のいずれかの発明において、居住スペースの底面が地面から離れたことを検知して上昇開始信号を発するとともに、この上昇開始信号を発した後に居住スペースの底面が接地したことを検知した場合に接地信号を発するセンサーと、居住スペースの外面に開閉自在に設置された扉と、この扉に取り付けられた電子錠と、この電子錠の動作を制御する第1の制御ユニットと、を備え、この第1の制御ユニットは、センサーから上昇開始信号を受信すると、電子錠に扉を施錠させるとともに、センサーから接地信号を受信すると、電子錠に扉を開錠させることを特徴とするものである。
なお、第11の発明において「居住スペースの底面が接地した状態」には、居住スペースの底面が地面と接触している状態だけでなく、居住スペースの底面が地面に近接しており、居住スペースがほぼ接地している状態も含まれるものとする。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第10の発明のいずれかの発明の作用に加えて、居住スペースが吊り上げられている場合は、居住スペースの扉が常に施錠された状態になるという作用を有する。
第12の発明は、第2の発明乃至第11の発明のいずれかの発明において、災害警報を受信した場合に災害発生信号を発する通信ユニットと、電動モーターの動作を制御する第2の制御ユニットと、を備え、この第2の制御ユニットは、通信ユニットから災害発生信号を受信すると、ウィンチがワイヤロープを巻き上げる方向に電動モーターを回転させることを特徴とするものである。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第10の発明のいずれかの発明の作用に加えて、災害が発生すると、自動的に居住スペースがウィンチによって吊り上げられるという作用を有する。
以上説明したように、第1の発明によれば、一対の壁板の強度を高める4本の形鋼が居住者の生活の支障にならないため、居住者は居住スペース内の空間を有効に利用することができる。
第2の発明によれば、ウィンチによって居住スペースを吊り上げることによって、津波や洪水等による被害を確実に避けることができる。また、移動時に居住スペースの姿勢が変化し難いため、居住スペースを短時間で正確に安全な高さまで移動させることが可能である。
さらに、第2の発明は、ワイヤロープを介してウィンチが居住スペースを吊り上げる際に、居住スペースの重量が基礎フレームの稜線を構成する4本の形鋼に均等に加わる構造であるため、ワイヤロープを介してウィンチによって吊り上げられた状態の居住スペースが変形したり、破損したりしてしまうおそれがない。したがって、第2の発明は安全性に優れている。
第3の発明によれば、第2の発明の効果に加え、ガイド部材が破損し難いため、安全に長期間使用できるという効果を奏する。
第4の発明によれば、ガイドローラが破損し難いため、安全に長期間使用できるという第3の発明の効果がより一層発揮される。
第5の発明によれば、第2の発明乃至第4の発明のいずれかの発明の効果に加え、巻き上げ力の大きい高価なウィンチを用いる必要がなく、小型で安価なウィンチを用いることができるため、製造コストが削減されるという効果を奏する。
第6の発明によれば、第2の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の効果に加え、居住スペースの内部が広いことから、居住スペース内の空間を有効に利用できるという効果を奏する。
第7の発明によれば、第2の発明乃至第6の発明のいずれかの効果に加え、居住スペースの剛性が高いことから、使用時の安全性が向上するという効果を奏する。
第8の発明によれば、第2の発明乃至第7の発明のいずれかの発明の効果に加え、送電線から電力の供給を受けられない状態でも居住スペース内で一定の期間生活をすることができるという効果を奏する。また、蓄電池から供給される電力によって電動モーターを駆動することができるため、災害により発電所からの送電がストップした場合でも、津波などの影響を受け難いように居住スペースを上方へ移動させることで、居住者の安全を速やかに確保することができる。
第9の発明によれば、第8の発明の効果に加え、太陽光発電設備によって発電した電力が蓄電池に蓄えられるため、送電線から電力の供給を受けられない状態でも居住スペース内での生活を第8の発明の場合よりもさらに長い期間にわたって続けることが可能である。
第10の発明によれば、居住スペースが風の影響等を受けて揺動した場合でも居住スペースと支柱の位置関係が正しい状態で維持されるため、居住スペースを短時間で正確に安全な高さまで移動させることができるという第2の発明の効果がより一層発揮される。また、第10の発明では、ガイド部材が破損し難いため、安全に長期間使用できるという第3の発明又は第4の発明の効果がより一層発揮される。
第11の発明は、第2の発明乃至第10の発明のいずれかの発明の効果を奏することに加え、吊り上げられた状態にある居住スペースの中で生活している居住者が居住スペースから誤って落下するおそれがないため、安全性に優れている。
第12の発明によれば、第2の発明乃至第11の発明のいずれかの発明の効果に加え、災害の発生後、津波や洪水等の被害を受け難い高さまで居住スペースを短時間で上昇させて、居住者の安全を速やかに確保できるという効果を奏する。
本発明に係る免震住宅の外観の一例を示した斜視図である。 図1において支柱の上部を拡大して示した図である。 図1におけるA−A線矢視断面図である。 図1におけるC−C線矢視断面図である。 (a)は図4におけるD−D線矢視断面図であり、(b)は図4におけるE−E線矢視断面図である。 制御ユニットの動作を説明するためのブロック図である。 図3に示したワイヤロープの拡大図である。 図7を模式的に示した図である。 (a)は図1におけるB−B線矢視断面図であり、(b)は同図(a)に示したF部の拡大図である。 (a)は図1に示した居住スペースを構成する居住フレームと補強フレームと底板と壁板の外観を示した斜視図であり、(b)は同図(a)において壁板と底板の図示を省略した状態を示した図である。 (a)は図1における居住スペースを構成する居住フレームと基礎フレームと補強フレームと底板と壁板の外観を示した斜視図であり、(b)は同図(a)において壁板と底板の図示を省略した状態を示した図である。 ガイド部材の変形例を示した図である。 (a)は図1における居住スペースの第1の変形例を示した図であり、(b)は同図(a)に示した居住スペース内の広さを説明するための図である。 図1における居住スペースの第2の変形例を示した図である。
本発明の免震住宅について、図1乃至図14を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明では、底面が水平方向と平行をなすように居住スペースが設置されるとともに、鉛直方向と平行に支柱が設置された状態を想定して、「上面」や「下面」あるいは「上端」や「下端」などの表現を用いている。
図1は本発明に係る免震住宅の外観の一例を示した斜視図であり、図2は図1において支柱の上部を拡大して示した図である。また、図3は図1におけるA−A線矢視断面図である。さらに、図4は図1におけるC−C線矢視断面図であり、図5(a)は図4におけるD−D線矢視断面図であり、図5(b)は図4におけるE−E線矢視断面図である。ただし、図1及び図3では、太陽光発電設備の図示を省略し、図1乃至図3では、電動モーターと、この電動モーターや太陽光発電設備に接続される各種のケーブル及び蓄電池の図示を省略している。
なお、本発明の免震住宅においても、災害が発生しないときは、発電所から電線を通して送られてくる電力を使用するため、居住スペースには、電線からの引き込み線に対してケーブルが切り離し可能な状態で接続されている。また、居住スペースには、水道管等の水道設備に対して切り離し可能な状態で接続される各種の配管が設置されており、補強部材5の上部には、それらの配管を介して水道管等に対して切り離し可能な状態で接続される貯水用のタンクが設置されている。しかしながら、図が煩雑になるのを避けるため、図1乃至図3では、それらの図示を省略している。さらに、図3では、居住スペースについて底板と側板と天板と壁板の図示を省略している。
図1に示すように、免震住宅1は、平面視した場合に正方形をなすように設置された4枚の側板2aが鉛直方向と平行をなすとともに、底板2bが水平方向と平行をなすように設置された直方体状の居住スペース2が鉛直方向と平行をなすように土間コンクリート17に設置された4本の支柱3によって、鉛直方向へ昇降自在に支持された構造となっている。
なお、4枚のうちの少なくとも1枚の側板2aには、居住スペース2に出入りするための扉(図示せず)が開閉自在に設けられている。
4本の支柱3は、平面視した場合に正方形の各頂点を構成するとともに、居住スペース2を囲むように4枚の側板2aに対してそれぞれ近接して配置されている。また、4本の支柱3の上端3aには、連結金具4がそれぞれ取り付けられており、この4つの連結金具4は、正方形の4辺を構成するように配置された4本の形鋼5aと、4本の支柱3の上端3aによって形成される正方形の対角線を構成するように配置された2本の形鋼5bによってそれぞれ連結されている。
すなわち、4本の支柱3は、上端3aに設置された4本の形鋼5aと2本の形鋼5bからなる補強部材5によって互いに連結されている。
2本の形鋼5b,5bの下面には、電動モーター(図示せず)とともに、この電動モーターによって駆動される2台のウィンチ6,6が設置されており、このウィンチ6,6は、ワイヤロープ7と動滑車8aを介して連結部材9に連結されている。
居住スペース2には上部を覆うように天板2cが設置されている。また、居住スペース2はガイド部材11aを介して支柱3に連結されており、図2に示すように、補強部材5には電動モーターに電力を供給するための太陽光発電設備10とそれに接続された蓄電池(図示せず)及び居住スペース2の扉の開閉状態や電動モーターの動作を制御するための制御ユニット(図示せず)が設置されている。
図3乃至図5に示すように、居住スペース2は、ガイド部材11aが固設された居住フレーム18と、この居住フレーム18に一部が接合された基礎フレーム19aを備えており、ワイヤロープ7は、この基礎フレーム19aに連結された連結部材9に動滑車8aを介して連結されている。
なお、連結部材9は、下端が基礎フレーム19aに連結された形鋼9aの上端に滑車取付台9bが設置されるとともに、上端と下端の外面に平面視直角三角形状をなす補強板9c,9dが取り付けられた構造となっている。
支柱3の下端3bが立設される地中には、最下層に砕石12aが敷き詰められており、その上に「捨てコン」と呼ばれる無筋コンクリート層12bが形成されている。さらに、無筋コンクリート層12bの上には、4本の支柱3が立設される4箇所に矩形状のベース13aがコンクリートによってそれぞれ形成されており、ベース13aの上には支柱3の下端3bの周りを囲むように柱型13bが形成されている。そして、支柱3の下端3bには、アンカーボルト14aが取り付けられるとともに、外周面に複数本のスタッドジベル14bが水平に取り付けられている。
また、無筋コンクリート層12bの上には、4つのベース13aの間を埋めるように耐圧盤15がコンクリートによって形成されており、耐圧盤15の上には、鉄筋コンクリートからなる地中梁16(図4又は図5参照)が隣り合う2つの柱型13b,13bを互いに連結するように形成されている。そして、柱型13bの上部には、土間コンクリート17が平面視矩形状をなすように形成されている。なお、土間コンクリート17が設置されている地面GLと耐圧盤15又は地中梁16の間は、土砂によって埋め尽くされている。
ここで、前述の制御ユニットについて図6を用いて説明する。ただし、図6は制御ユニットの動作を説明するためのブロック図である。
図6に示すように、免震住宅1は、居住スペース2の底面の接地状態を検出するセンサー20aと、ウィンチ6がワイヤロープ7を巻き上げた長さを検出するセンサー20bと、災害警報を受信した場合に災害発生信号Pを発する通信ユニット21と、居住スペース2の側板2bに設置された前述の扉と、この扉に取り付けられた電子錠22と、ウィンチ6を駆動する前述の電動モーター23及び電子錠22の動作を制御する制御ユニット24を備えている。
制御ユニット24は、通信ユニット21の発した災害発生信号Pを受信すると、電動モーター23に対して巻き上げ開始信号Qを送る。巻き上げ開始信号Qを受信した電動モーター23はウィンチ6がワイヤロープ7を巻き上げる方向へ回転する。その結果、居住スペース2はウィンチ6によってワイヤロープ7を介して吊り上げられるようにして上方へ移動する。
センサー20bは、居住スペース2が所定の高さに達し、ウィンチ6が予め定められた長さのワイヤロープ7を巻き上げたことを検知すると、巻き上げ終了信号Pを制御ユニット24に送る。センサー20bの発した巻き上げ終了信号Pを受信した制御ユニット24は電動モーター23に対して巻き上げ停止信号Qを送り、巻き上げ終了信号Qを受信した電動モーター23は回転を停止する。その結果、ウィンチ6によってワイヤロープ7が巻き上げられなくなるため、居住スペース2の上方への移動も停止する。
センサー20aは、居住スペース2の底面が地面GLから離れたことを検知すると上昇開始信号Pを発するとともに、この上昇開始信号Pを発した後に居住スペース2の底面が接地したことを検知すると接地信号Pを発する。
制御ユニット24は、センサー20aの発した上昇開始信号Pを受信すると、電子錠22に対して施錠信号Qを送り、施錠信号Qを受信した電子錠22は居住スペース2の扉を施錠する。
一方、制御ユニット24は、センサー20aの発した接地信号Pを受信すると、電子錠22に対して開錠信号Qを送り、開錠信号Qを受信した電子錠22は居住スペース2の扉を開錠する。
このように、免震住宅1においては、災害が発生すると、自動的にウィンチ6が居住スペース2を吊り上げ始めることから、災害が発生した場合に、津波や洪水等の被害を受け難い高さまで居住スペース2を短時間で上昇させて、居住者の安全を速やかに確保することができる。また、免震住宅1では、居住スペース2が吊り上げられている間は、その扉が常に施錠されており、吊り上げられた状態の居住スペース2の中で生活している居住者が居住スペース2から誤って落下するおそれがない。したがって、免震住宅1は安全性に優れている
次に、ウィンチ6がワイヤロープ7を巻き上げる力と居住スペース2の重量の関係について、図7及び図8を用いて説明する。図7は居住スペースに対するワイヤロープの連結状態を説明するための図であり、図3においてワイヤロープとその周辺を部分的に拡大した図に相当する。また、図8は図7に示した構造を模式的に表した図である。
なお、図7では、ウィンチの外観のみを示し、その具体的な内部構造については図示を省略している。また、動滑車、定滑車、補強部材及び連結部材について、断面であることを示すハッチングを省略している。
図7に示すように、2台のウィンチ6,6の間に設置された2つの滑車固定具25bによって、2つの定滑車8bが同一平面内で水平な回転軸を中心としてそれぞれ回転可能に保持されている。また、連結部材9の滑車取付台9bの上面に設置された3つの滑車固定具25aによって、3つの動滑車8aが定滑車8bと同一平面内において定滑車8bの回転軸に平行な回転軸を中心としてそれぞれ回転可能に保持されている。
ワイヤロープ7は、3つの動滑車8aと2つの定滑車8bに交互に巻回されるとともに、両端が2台のウィンチ6,6のローラ(図示せず)にそれぞれ巻き付けられている。
すなわち、免震住宅1では、2台のウィンチ6,6のローラを回転させてワイヤロープ7の両端を巻き上げることにより、連結部材9を介して居住スペース2が吊り上げられる構造となっている。なお、2台のウィンチ6,6のローラを上述と逆の方向に回転させると、ワイヤロープ7の両端が巻き下げられるため、居住スペース2は下降する。
居住スペース2がワイヤロープ7を介してウィンチ6によって吊り上げられている場合(図1参照)、ワイヤロープ7には所定の大きさの張力が発生する。この張力の大きさをTとすると、図8に示すように、2つの定滑車8bにはワイヤロープ7を介して大きさ2Tの下向きの力がそれぞれ加わるが、2台のウィンチ6,6には、大きさTの下向きの力がワイヤロープ7を介してそれぞれ加わるのみである。この場合、ウィンチ6がワイヤロープ7を巻き上げる力はTとなる。
一方、3つの動滑車8aには大きさ2Tの上向きの力がワイヤロープ7を介してそれぞれ加わることになるが、この合計6Tの大きさの上向きの力は3つの動滑車8aと連結部材9と居住スペース2の総重量と釣り合っている。すなわち、免震住宅1では、2台のウィンチ6,6がワイヤロープ7をそれぞれ巻き上げる力の6倍に相当する重量の物を巻き上げることが可能となっている。
なお、動滑車8aと定滑車8bの数は、図7や図8に示したものに限定されない。例えば、動滑車8aの数をn個とし、定滑車8bの数を(n−1)個とした場合、ウィンチ6によって、ワイヤロープ7が巻き上げられる力のn倍に相当する重量の物が吊り上げられることになる。すなわち、免震住宅1では、ウィンチ6が巻き上げ能力の高いものでなくとも良いため、小型で安価なウィンチを用いることにより製造コストの削減を図ることができる。
図9(a)は図1におけるB−B線矢視断面図であり、図9(b)は図9(a)に示したF部の拡大図である。なお、図9(a)では、ワイヤロープ及び動滑車並びに連結部材の図示を省略している。
図9(a)及び図9(b)に示すように、居住スペース2に取り付けられた4つのガイド部材11aは、支柱3を囲むとともに、耐候性を有するゴムによって形成され、4つの側面3cにそれぞれ近接するように配置された4つのガイドローラ26と、この4つのガイドローラ26を水平な回転軸を中心として回転可能にそれぞれ保持する4つの保持金具27と、この4つの保持金具27が内面に取り付けられた状態で支柱3に外挿される枠体28と、この枠体28を居住スペース2の居住フレーム18(図3参照)に固定する固定金具29からなる。
なお、ガイドローラ26の材質は、上述のゴムに限らず、耐候性と弾性を有するものであれば良い。例えば、エラストマーなどのような合成樹脂によってガイドローラ26を形成することもできる。
このような構造によれば、ワイヤロープ7を介して吊り下げられた状態の居住スペース2が風の影響等を受けて揺動した場合でも、ガイドローラ26が支柱3の側面3cに当接することで、支柱3との干渉による枠体28の破損を防ぐように作用する。
また、居住スペース2が上下方向へ振動した場合、支柱3の側面3cに当接したガイドローラ26は支柱3の側面3cに沿って転動するため、支柱3から枠体28に加わる上下方向の力が弱まる。
さらに、免震住宅1においては、居住スペース2が風の影響等を受けて揺動してガイドローラ26が支柱3の側面3cに衝突した場合でも、ガイドローラ26が弾性変形することで支柱3からガイドローラ26に加わる衝撃力が緩和されるため、ガイドローラ26が破損し難い。
このように、免震住宅1は、ガイド部材11aが破損し難いため、長期間にわたって安全に使用することが可能となっている。
図10(a)は図1に示した居住スペースを構成する居住フレームと補強フレームと底板と壁板の外観を示した斜視図であり、図10(b)は図10(a)において壁板と底板の図示を省略した状態を示した図である。
また、図11(a)は図1に示した居住スペースを構成する居住フレームと基礎フレームと補強フレームと底板と壁板の外観を示した斜視図であり、図11(b)は図11(a)において壁板と底板の図示を省略した状態を示した図である。
図10(a)及び図10(b)に示すように、居住スペース2の居住フレーム18は、4枚の側板2a(図1参照)の各端部に設置されて直方体の各辺を構成するように組み合わされた12本の形鋼5cからなる。
また、居住スペース2は、平行な二対の側板2a,2aに対してそれぞれ直交するとともに、底板2bに直交するように設置された矩形状の一対の壁板2d,2dと、この一対の壁板2d,2dの各端部に設置されて矩形の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼5dからなる補強フレーム30を備えている。すなわち、居住スペース2では、4枚の側板2によって囲まれた空間が一対の壁板2d,2dによって、4つの部屋に仕切られた構造となっている。なお、図10(a)には示していないが、一対の壁板2d,2dには各部屋に移動するための扉がそれぞれ設けられている。
このように免震住宅1は、補強フレーム30によって居住スペース2の剛性が高められているため、安全性に優れている。
図11(a)及び図11(b)に示すように、居住スペース2の基礎フレーム19aは、底面が正方形をなすとともに4本の稜線の長さが全て等しい四角錐の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼5dからなる。
連結部材9は、基礎フレーム19aの頭頂点に下端が連結されており、一対の壁板2d,2dは、その下端が上記正方形の対角線をそれぞれ構成するとともに、基礎フレーム19aの上記底面に直交するように設置されている。
また、基礎フレーム19aの底面は居住フレーム18と同一平面上にあり、居住スペース2の底板2bは居住フレーム18及び基礎フレーム19aの各底面に対して平行に設置されている。そして、4本の支柱3は、平面視した場合に、基礎フレーム19aの底面が構成する上記正方形の各頂点に対してそれぞれ近接するように配置されている。
このような居住スペース2を備えた居住構造においては、居住スペース2の基礎フレーム19aの稜線を構成する4本の形鋼5dが一対の型板2d,2dに埋め込まれた状態となるため、それらの形鋼5dが居住スペース2の中での生活の支障になるおそれがない。そして、上述の4本の形鋼は一対の壁板2d,2dの強度を高めるように作用する。したがって、当該居住構造の居住者は、居住スペースの内部の空間を有効に利用することができる。
そして、このような居住構造を備えた免震住宅1では、居住スペース2を平面視した場合に基礎フレーム19aの底面を構成する正方形の各頂点にそれぞれ近接して配置された4本の支柱3のそれぞれの近傍に4つのガイド部材11aが配置されており、居住スペース2が上下方向へ移動する際にその姿勢が変化し難い。また、基礎フレーム19aは、頭頂点から底面に下した垂線が当該底面の重心を通る構造となっている。そのため、居住スペース2が上下方向へ移動する際に、基礎フレーム19aの上記垂線が鉛直方向と平行をなした状態が維持される。この場合、居住スペース2の重量は基礎フレーム19aの稜線を構成する4本の形鋼5dに対して均等に作用する。
このように、免震住宅1は、ワイヤロープ7を介してウィンチ6が居住スペース2を吊り上げる際に、居住スペース2の重量が基礎フレーム19aの稜線を構成する4本の形鋼5dに均等に加わる構造であることから、ワイヤロープ7を介してウィンチ6によって吊り上げられた状態の居住スペース2が変形したり、破損したりしてしまうおそれがなく、安全性に優れている。
また、免震住宅1によれば、ウィンチ6によって居住スペース2を吊り上げることによって、津波や洪水等による被害を確実に避けることができる。さらに、移動時に居住スペース2の姿勢が変化し難いため、居住スペース2を短時間で正確に安全な高さまで移動させることが可能である。
また、免震住宅1は、蓄電池を備えているため、津波などの災害の発生により発電所からの送電がストップした場合や居住スペース2が吊り上げられていて送電線から電力の供給が受けられない状態にある場合でも居住スペース2の中で生活する際に必要な電力が蓄電池によって賄われる。したがって、居住スペース2では、一定の期間生活をすることが可能である。
そして、免震住宅1においては、蓄電池から供給される電力によって電動モーター23(図6参照)を駆動することができるため、災害の発生に伴って発電所からの送電が即座にストップした場合でも、津波などの影響を受け難いように居住スペース2を上方へ移動させることで、居住者の安全を速やかに確保することができる。
さらに、免震住宅1では、蓄電池を充電するための太陽光発電設備10を備えていることから、送電線から電力の供給が受けられない状態が長く続いた場合でも支障なく居住スペース2の中で生活することができる。
ここで、ガイド部材11aの変形例に係るガイド部材11bについて図12を用いて説明する。なお、図12はガイド部材11aを示した図9(a)に相当する図である。
図12に示すように、ガイド部材11bは、ガイド部材11aにおいて、固定金具29がコイルばね31を介して居住スペース2の居住フレーム18に固定されたことを特徴とする。なお、コイルばね31は圧縮ばねと引張ばねのいずれであっても良い。また、コイルばね31に限らず、空気ばねや弾性を有する部材を用いることもできる。
このような構造によれば、ワイヤロープ7を介して吊り下げられた状態の居住スペース2が風の影響等を受けて揺動することにより居住スペース2と支柱3の位置関係が変化した場合でも、コイルばね31の付勢力によって居住スペース2が正しい位置に戻されるため、居住スペース2を短時間で正確に安全な高さまで移動させることが可能である。
また、居住スペース2が揺動して支柱3がガイドローラ26に接触した場合でも、ガイドローラ26に支柱3から加わる力をコイルばね31が緩和するように作用するため、ガイド部材11bが破損し難い。これにより、使用時の安全性が向上する。
図13(a)は居住スペース2の変形例に係る居住スペース32aを示した図であり、図13(b)は居住スペース2と居住スペース32aについて内部の広さの違いを説明するための図である。なお、図13(a)及び図13(b)はいずれも居住スペース2に係る図9(a)に相当する図である。
図13(a)に示すように、居住スペース32aは、居住スペース2において、居住フレーム18の底面を基礎フレーム19aの底面に一致させた状態に相当する。この場合、居住フレーム18の底面積は基礎フレーム19aの底面積と等しくなる。したがって、図13(b)に示すように、居住スペース32aの底面積(基礎フレーム19aの底面の面積)は居住スペース2の底面積(居住フレーム18の底面の面積)の半分となる。
すなわち、免震住宅1では、居住スペース2を平面視した場合、その角部が2本の支柱3,3の間から突出しており、4本の支柱3に囲まれた空間内に居住スペース32aの全体が設置されている場合よりも居住スペース2の内部が広いため、居住スペース2の内部空間を有効に利用することが可能となっている。
図14は居住スペース2の変形例に係る居住スペース32bを示した図であり、居住スペース2に係る図9(a)に相当する図である。
図14に示すように、居住スペース32bは、居住スペース2の基礎フレーム19aにおいて、底面を正方形の代わりに4つの内角がいずれも直角でない菱形にしたことを特徴とする。
この場合、4本の支柱3は平面視した場合に正方形ではなく、長方形の各頂点を構成する。ただし、このような構造であっても、基礎フレーム19bは頭頂点から底面に下した垂線が当該底面の重心を通るため、既に説明した基礎フレーム19aを有する居住スペース2bを備えた免震住宅1における作用及び効果は同様に発揮される。
上述の実施例では、支柱3を角管としているが、これに限らず、支柱3を円管とすることもできる。また、免震住宅1が設置される地域や場所によっては、支柱3の内部にコンクリートを充填することで支柱3の強度を高めるようにしても良い。さらに、支柱3の長さについては、例えば、津波の被害を受け易い沿岸部では10m以上、洪水や土石流が発生し易い山間部では3〜5mとするなど、免震住宅1が設置される場所に応じて設定することが望ましい。
また、居住スペース2は直方体ではなく、立方体であっても良い。さらに、ガイド部材11a,11bにおいて、枠体28の内部に設置されるガイドローラ26の数は4個に限らず、適宜変更可能である。
さらに、ワイヤロープ7の両端を2台のウィンチ6,6によって巻き上げる代わりに、ワイヤロープ7の一端を補強部材5に固定するとともに、ワイヤロープ7の他端を1台のウィンチ6によって巻き上げる構造とすることもできる。
なお、上記いずれの場合であっても、図1乃至図14を用いて説明した本発明の作用及び効果は同様に発揮される。
本発明は、津波の被害を受け易い沿岸部に限らず、洪水や土石流が発生し易い山間部においても利用可能である。
1…免震住宅 2…居住スペース 2a…側板 2b…底板 2c…天板 2d…壁板 3…支柱 3a…上端 3b…下端 3c…側面 4…連結金具 5…補強部材 5a〜5d…形鋼 6…ウィンチ 7…ワイヤロープ 8a…動滑車 8b…定滑車 9…連結部材 9a…形鋼 9b…滑車取付台 9c,9d…補強板 10…太陽光発電設備 11a,11b…ガイド部材 12a…砕石 12b…無筋コンクリート層 13a…ベース 13b…柱型 14a…アンカーボルト 14b…スタッドジベル 15…耐圧盤 16…地中梁 17…土間コンクリート 18…居住フレーム 19a,19b…基礎フレーム 20a,20b…センサー 21…通信ユニット 22…電子錠 23…電動モーター 24…制御ユニット 25a,25b…滑車固定具 26…ガイドローラ 27…保持金具 28…枠体 29…固定金具 30…補強フレーム 31…コイルばね 32a,32b…居住スペース GL…地面

Claims (12)

  1. 底面が菱形をなすとともに4本の稜線の長さが全て等しい四角錐の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼からなる基礎フレームと、
    下端が前記菱形の2つの対角線をそれぞれ構成し、かつ、前記底面に直交するように設置された矩形状の一対の壁板と、からなる居住スペースを備えていることを特徴とする居住構造。
  2. 鉛直方向と平行をなすとともに、請求項1記載の居住構造を構成する前記居住スペースを囲むように設置された4本の支柱と、
    前記居住スペースを4本の前記支柱に対し、それらの長手方向へのみ移動可能にそれぞれ連結する4つのガイド部材と、
    4本の前記支柱を互いに連結するように前記支柱の上端に設置された複数本の形鋼からなる補強部材と、
    形鋼からなる連結部材と、
    この連結部材に一部が連結されたワイヤロープと、
    このワイヤロープを介して前記居住スペースを吊り上げ可能に前記補強部材に設置されたウィンチと、
    このウィンチを駆動する電動モーターと、を備え、
    前記居住スペースは、その底面が水平方向と平行をなすように設置され、
    前記連結部材は、その下端が前記基礎フレームの頭頂点に連結されており、
    前記居住スペースを平面視した場合に4本の前記支柱と4つの前記ガイド部材が、前記菱形の各頂点にそれぞれ近接して配置されていることを特徴とする免震住宅。
  3. 前記ガイド部材は、
    前記支柱を囲むとともに、その側面に近接するように配置された複数のガイドローラと、
    このガイドローラを水平な回転軸を中心として回転可能に保持する保持金具と、
    この保持金具が取り付けられるとともに前記支柱に外挿された枠体と、
    この枠体を前記居住スペースに固定する固定金具と、からなることを特徴とする請求項2に記載の免震住宅。
  4. 前記ガイドローラは、弾性を有する部材によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の免震住宅。
  5. 水平な第1の回転軸を中心として回転可能に前記補強部材の下面に設置された少なくとも1つ以上の定滑車と、
    前記連結部材の上面に前記定滑車と同一平面内において前記第1の回転軸に平行な第2の回転軸を中心として回転可能に設置された複数の動滑車と、を備え、
    前記動滑車の数は前記定滑車の数よりも1つ多く、
    前記ワイヤロープは、
    その一端が前記補強部材に固定されるとともに、
    前記動滑車と前記定滑車に交互に巻回された状態で、その他端が前記ウィンチによって巻き上げられることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の免震住宅。
  6. 前記居住スペースは、
    前記基礎フレームの底面の2つの対角線にそれぞれ直交するとともに、平面視した場合に矩形をなすように一対の前記壁板の両端にそれぞれ設置された4枚の側板と、
    4枚の前記側板の各端部に設置されて直方体の各辺を構成するように組み合わされた12本の形鋼からなる居住フレームと、
    この居住フレームの上部を覆うように設置された天板と、前記居住フレームの下部を覆うように設置された底板と、を備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の免震住宅。
  7. 一対の前記壁板の各端部に設置されて矩形の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼からなる補強フレームを備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の免震住宅。
  8. 蓄電池が前記補強部材に設置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の免震住宅。
  9. 前記蓄電池を充電する太陽光発電設備が前記補強部材に設置されていることを特徴とする請求項8に記載の免震住宅。
  10. 前記ガイド部材は、
    前記枠体が前記固定金具によって前記居住スペースに固定される代わりに、
    前記固定金具がコイルばねを介して前記居住スペースに固定されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の免震住宅。
  11. 前記居住スペースの前記底面が地面から離れたことを検知して上昇開始信号を発するとともに、この上昇開始信号を発した後に前記居住スペースの前記底面が接地したことを検知した場合に接地信号を発するセンサーと、
    前記居住スペースの外面に開閉自在に設置された扉と、
    この扉に取り付けられた電子錠と、
    この電子錠の動作を制御する第1の制御ユニットと、を備え、
    この第1の制御ユニットは、前記センサーから前記上昇開始信号を受信すると、前記電子錠に前記扉を施錠させるとともに、前記センサーから前記接地信号を受信すると、前記電子錠に前記扉を開錠させることを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれか1項に記載の免震住宅。
  12. 災害警報を受信した場合に災害発生信号を発する通信ユニットと、
    前記電動モーターの動作を制御する第2の制御ユニットと、を備え、
    この第2の制御ユニットは、前記通信ユニットから前記災害発生信号を受信すると、前記ウィンチが前記ワイヤロープを巻き上げる方向に前記電動モーターを回転させることを特徴とする請求項2乃至請求項11のいずれか1項に記載の免震住宅。
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