JP6537218B1 - 居住構造とそれを備えた免震住宅 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に開示される発明は、杭基礎を用いて組設された基台座と、この基台座によって支持される4本の支柱と、その支柱と平行に設置される間柱と、支柱や間柱を繋ぐ横梁と、昇降自在に4本の支柱の内側に設置される浮遊体ルームと、この浮遊体ルームを昇降させる大輪ハンドル及び複合錘昇降手動装置を備えた構造となっている。
このような構造によれば、浮遊体ルームが水に浮くため、遠方に避難することが困難な者であっても浮遊体ルームの中に居ることで、津波や洪水などの水害を避けることができる。
特許文献2に開示される発明は、地面に立設された複数本の柱の間に架け渡された第一床部及び第二床部と、第二床部に設置されるウィンチと、このウィンチによってロープを介して吊り上げ可能に設置される住居と、この住居と柱の間に設置されるバネと、第一床部と住居の間に設置されるダンパと、第二床部の上方に設置されるソーラーパネル及び風力発電装置と、地震感知器を備えた構造となっている。
このような構造によれば、津波が発生した場合には、ウィンチで住居を吊り上げ、住居の下部空間に津波を通すことで、住居が水没するという事態を避けることができる。また、住居がロープに吊り下げられるとともに、柱と住居がバネを介して連結されているため、地震によって柱が揺れた場合でも、柱から住居に伝わる揺れを低減することができる。
特許文献3に開示された考案は、矩形状の第1の枠体内に十字型の第2の枠体が設けられた基盤体と、断面釣型の軌条が設けられるとともに基盤体の四隅に樹立される支柱を備えており、基盤体上に建設された木造の家屋の四隅が支柱の軌条に昇降自在に係合された構造となっている。
また、浮遊体ルームがバランスを取り難い構造であるため、浮遊体ルームを傾けることなく、案内レールに沿って上下方向へ正確に移動させることが難しいという課題があった。
また、複数本の柱は上部ほど、それらの間隔が狭くなる構造であるため、住居を上方に移動できる高さが制限されるという課題があった。
すなわち、第2の発明においては、ウィンチを操作することによって、居住スペースが上下方向へ移動するという作用を有する。
このとき、居住スペースの重量は基礎フレームの稜線を構成する4本の形鋼に対して均等に加わる。そのため、第2の発明では、ワイヤロープを介してウィンチによって吊り上げられた状態の居住スペースが変形したり、破損したりしてしまうおそれがない。
また、居住スペースが上下方向へ振動した場合、支柱の側面に当接したガイドローラは支柱の側面に沿って転動することで、支柱から枠体に加わる上下方向の力を弱めるという作用を有する。
このような構造の免震住宅においては、第3の発明の作用に加え、ワイヤロープを介して吊り下げられた状態の居住スペースが風の影響等を受けて揺動してガイドローラが支柱の側面に衝突した場合でもガイドローラが弾性変形することで、支柱から受ける衝撃力を緩和するという作用を有する。
すなわち、第6の発明では、第2の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の作用に加え、居住スペースを平面視した場合、その角部が2本の支柱の間から突出した状態であることから、4本の支柱に囲まれた空間内に居住スペースの全体が設置されている場合よりも居住スペースの内部が広いという作用を有する。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第6の発明のいずれかの発明の作用に加えて、補強フレームによって居住スペースの剛性が高められるという作用を有する。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第7の発明のいずれかの発明の作用に加えて、津波などの災害の発生により発電所からの送電がストップした場合や居住スペースが吊り上げられていて送電線から電力の供給が受けられない状態にある場合に、居住スペース内で生活する上で必要な電力や電動モーターを駆動するための電力が蓄電池によって賄われるという作用を有する。
このような構造の免震住宅においては、第8の発明の作用に加えて、居住スペース内で生活する上で必要な電力や電動モーターを駆動するための電力が太陽光発電によって得られるという作用を有する。
また、居住スペースが揺動して支柱がガイドローラに接触した場合に、ガイドローラに支柱から加わる力がコイルばねによって緩和されるという作用を有する。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第10の発明のいずれかの発明の作用に加えて、居住スペースが吊り上げられている場合は、居住スペースの扉が常に施錠された状態になるという作用を有する。
このような構造の免震住宅においては、第2の発明乃至第10の発明のいずれかの発明の作用に加えて、災害が発生すると、自動的に居住スペースがウィンチによって吊り上げられるという作用を有する。
さらに、第2の発明は、ワイヤロープを介してウィンチが居住スペースを吊り上げる際に、居住スペースの重量が基礎フレームの稜線を構成する4本の形鋼に均等に加わる構造であるため、ワイヤロープを介してウィンチによって吊り上げられた状態の居住スペースが変形したり、破損したりしてしまうおそれがない。したがって、第2の発明は安全性に優れている。
なお、4枚のうちの少なくとも1枚の側板2aには、居住スペース2に出入りするための扉(図示せず)が開閉自在に設けられている。
すなわち、4本の支柱3は、上端3aに設置された4本の形鋼5aと2本の形鋼5bからなる補強部材5によって互いに連結されている。
居住スペース2には上部を覆うように天板2cが設置されている。また、居住スペース2はガイド部材11aを介して支柱3に連結されており、図2に示すように、補強部材5には電動モーターに電力を供給するための太陽光発電設備10とそれに接続された蓄電池(図示せず)及び居住スペース2の扉の開閉状態や電動モーターの動作を制御するための制御ユニット(図示せず)が設置されている。
なお、連結部材9は、下端が基礎フレーム19aに連結された形鋼9aの上端に滑車取付台9bが設置されるとともに、上端と下端の外面に平面視直角三角形状をなす補強板9c,9dが取り付けられた構造となっている。
図6に示すように、免震住宅1は、居住スペース2の底面の接地状態を検出するセンサー20aと、ウィンチ6がワイヤロープ7を巻き上げた長さを検出するセンサー20bと、災害警報を受信した場合に災害発生信号P1を発する通信ユニット21と、居住スペース2の側板2bに設置された前述の扉と、この扉に取り付けられた電子錠22と、ウィンチ6を駆動する前述の電動モーター23及び電子錠22の動作を制御する制御ユニット24を備えている。
センサー20bは、居住スペース2が所定の高さに達し、ウィンチ6が予め定められた長さのワイヤロープ7を巻き上げたことを検知すると、巻き上げ終了信号P2を制御ユニット24に送る。センサー20bの発した巻き上げ終了信号P2を受信した制御ユニット24は電動モーター23に対して巻き上げ停止信号Q2を送り、巻き上げ終了信号Q2を受信した電動モーター23は回転を停止する。その結果、ウィンチ6によってワイヤロープ7が巻き上げられなくなるため、居住スペース2の上方への移動も停止する。
制御ユニット24は、センサー20aの発した上昇開始信号P3を受信すると、電子錠22に対して施錠信号Q3を送り、施錠信号Q3を受信した電子錠22は居住スペース2の扉を施錠する。
一方、制御ユニット24は、センサー20aの発した接地信号P4を受信すると、電子錠22に対して開錠信号Q4を送り、開錠信号Q4を受信した電子錠22は居住スペース2の扉を開錠する。
なお、図7では、ウィンチの外観のみを示し、その具体的な内部構造については図示を省略している。また、動滑車、定滑車、補強部材及び連結部材について、断面であることを示すハッチングを省略している。
すなわち、免震住宅1では、2台のウィンチ6,6のローラを回転させてワイヤロープ7の両端を巻き上げることにより、連結部材9を介して居住スペース2が吊り上げられる構造となっている。なお、2台のウィンチ6,6のローラを上述と逆の方向に回転させると、ワイヤロープ7の両端が巻き下げられるため、居住スペース2は下降する。
図9(a)及び図9(b)に示すように、居住スペース2に取り付けられた4つのガイド部材11aは、支柱3を囲むとともに、耐候性を有するゴムによって形成され、4つの側面3cにそれぞれ近接するように配置された4つのガイドローラ26と、この4つのガイドローラ26を水平な回転軸を中心として回転可能にそれぞれ保持する4つの保持金具27と、この4つの保持金具27が内面に取り付けられた状態で支柱3に外挿される枠体28と、この枠体28を居住スペース2の居住フレーム18(図3参照)に固定する固定金具29からなる。
なお、ガイドローラ26の材質は、上述のゴムに限らず、耐候性と弾性を有するものであれば良い。例えば、エラストマーなどのような合成樹脂によってガイドローラ26を形成することもできる。
また、居住スペース2が上下方向へ振動した場合、支柱3の側面3cに当接したガイドローラ26は支柱3の側面3cに沿って転動するため、支柱3から枠体28に加わる上下方向の力が弱まる。
さらに、免震住宅1においては、居住スペース2が風の影響等を受けて揺動してガイドローラ26が支柱3の側面3cに衝突した場合でも、ガイドローラ26が弾性変形することで支柱3からガイドローラ26に加わる衝撃力が緩和されるため、ガイドローラ26が破損し難い。
このように、免震住宅1は、ガイド部材11aが破損し難いため、長期間にわたって安全に使用することが可能となっている。
また、図11(a)は図1に示した居住スペースを構成する居住フレームと基礎フレームと補強フレームと底板と壁板の外観を示した斜視図であり、図11(b)は図11(a)において壁板と底板の図示を省略した状態を示した図である。
また、居住スペース2は、平行な二対の側板2a,2aに対してそれぞれ直交するとともに、底板2bに直交するように設置された矩形状の一対の壁板2d,2dと、この一対の壁板2d,2dの各端部に設置されて矩形の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼5dからなる補強フレーム30を備えている。すなわち、居住スペース2では、4枚の側板2によって囲まれた空間が一対の壁板2d,2dによって、4つの部屋に仕切られた構造となっている。なお、図10(a)には示していないが、一対の壁板2d,2dには各部屋に移動するための扉がそれぞれ設けられている。
このように免震住宅1は、補強フレーム30によって居住スペース2の剛性が高められているため、安全性に優れている。
連結部材9は、基礎フレーム19aの頭頂点に下端が連結されており、一対の壁板2d,2dは、その下端が上記正方形の対角線をそれぞれ構成するとともに、基礎フレーム19aの上記底面に直交するように設置されている。
また、基礎フレーム19aの底面は居住フレーム18と同一平面上にあり、居住スペース2の底板2bは居住フレーム18及び基礎フレーム19aの各底面に対して平行に設置されている。そして、4本の支柱3は、平面視した場合に、基礎フレーム19aの底面が構成する上記正方形の各頂点に対してそれぞれ近接するように配置されている。
また、免震住宅1によれば、ウィンチ6によって居住スペース2を吊り上げることによって、津波や洪水等による被害を確実に避けることができる。さらに、移動時に居住スペース2の姿勢が変化し難いため、居住スペース2を短時間で正確に安全な高さまで移動させることが可能である。
そして、免震住宅1においては、蓄電池から供給される電力によって電動モーター23(図6参照)を駆動することができるため、災害の発生に伴って発電所からの送電が即座にストップした場合でも、津波などの影響を受け難いように居住スペース2を上方へ移動させることで、居住者の安全を速やかに確保することができる。
さらに、免震住宅1では、蓄電池を充電するための太陽光発電設備10を備えていることから、送電線から電力の供給が受けられない状態が長く続いた場合でも支障なく居住スペース2の中で生活することができる。
図12に示すように、ガイド部材11bは、ガイド部材11aにおいて、固定金具29がコイルばね31を介して居住スペース2の居住フレーム18に固定されたことを特徴とする。なお、コイルばね31は圧縮ばねと引張ばねのいずれであっても良い。また、コイルばね31に限らず、空気ばねや弾性を有する部材を用いることもできる。
また、居住スペース2が揺動して支柱3がガイドローラ26に接触した場合でも、ガイドローラ26に支柱3から加わる力をコイルばね31が緩和するように作用するため、ガイド部材11bが破損し難い。これにより、使用時の安全性が向上する。
図13(a)に示すように、居住スペース32aは、居住スペース2において、居住フレーム18の底面を基礎フレーム19aの底面に一致させた状態に相当する。この場合、居住フレーム18の底面積は基礎フレーム19aの底面積と等しくなる。したがって、図13(b)に示すように、居住スペース32aの底面積(基礎フレーム19aの底面の面積)は居住スペース2の底面積(居住フレーム18の底面の面積)の半分となる。
すなわち、免震住宅1では、居住スペース2を平面視した場合、その角部が2本の支柱3,3の間から突出しており、4本の支柱3に囲まれた空間内に居住スペース32aの全体が設置されている場合よりも居住スペース2の内部が広いため、居住スペース2の内部空間を有効に利用することが可能となっている。
図14に示すように、居住スペース32bは、居住スペース2の基礎フレーム19aにおいて、底面を正方形の代わりに4つの内角がいずれも直角でない菱形にしたことを特徴とする。
また、居住スペース2は直方体ではなく、立方体であっても良い。さらに、ガイド部材11a,11bにおいて、枠体28の内部に設置されるガイドローラ26の数は4個に限らず、適宜変更可能である。
さらに、ワイヤロープ7の両端を2台のウィンチ6,6によって巻き上げる代わりに、ワイヤロープ7の一端を補強部材5に固定するとともに、ワイヤロープ7の他端を1台のウィンチ6によって巻き上げる構造とすることもできる。
なお、上記いずれの場合であっても、図1乃至図14を用いて説明した本発明の作用及び効果は同様に発揮される。
Claims (12)
- 底面が菱形をなすとともに4本の稜線の長さが全て等しい四角錐の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼からなる基礎フレームと、
下端が前記菱形の2つの対角線をそれぞれ構成し、かつ、前記底面に直交するように設置された矩形状の一対の壁板と、からなる居住スペースを備えていることを特徴とする居住構造。 - 鉛直方向と平行をなすとともに、請求項1記載の居住構造を構成する前記居住スペースを囲むように設置された4本の支柱と、
前記居住スペースを4本の前記支柱に対し、それらの長手方向へのみ移動可能にそれぞれ連結する4つのガイド部材と、
4本の前記支柱を互いに連結するように前記支柱の上端に設置された複数本の形鋼からなる補強部材と、
形鋼からなる連結部材と、
この連結部材に一部が連結されたワイヤロープと、
このワイヤロープを介して前記居住スペースを吊り上げ可能に前記補強部材に設置されたウィンチと、
このウィンチを駆動する電動モーターと、を備え、
前記居住スペースは、その底面が水平方向と平行をなすように設置され、
前記連結部材は、その下端が前記基礎フレームの頭頂点に連結されており、
前記居住スペースを平面視した場合に4本の前記支柱と4つの前記ガイド部材が、前記菱形の各頂点にそれぞれ近接して配置されていることを特徴とする免震住宅。 - 前記ガイド部材は、
前記支柱を囲むとともに、その側面に近接するように配置された複数のガイドローラと、
このガイドローラを水平な回転軸を中心として回転可能に保持する保持金具と、
この保持金具が取り付けられるとともに前記支柱に外挿された枠体と、
この枠体を前記居住スペースに固定する固定金具と、からなることを特徴とする請求項2に記載の免震住宅。 - 前記ガイドローラは、弾性を有する部材によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の免震住宅。
- 水平な第1の回転軸を中心として回転可能に前記補強部材の下面に設置された少なくとも1つ以上の定滑車と、
前記連結部材の上面に前記定滑車と同一平面内において前記第1の回転軸に平行な第2の回転軸を中心として回転可能に設置された複数の動滑車と、を備え、
前記動滑車の数は前記定滑車の数よりも1つ多く、
前記ワイヤロープは、
その一端が前記補強部材に固定されるとともに、
前記動滑車と前記定滑車に交互に巻回された状態で、その他端が前記ウィンチによって巻き上げられることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の免震住宅。 - 前記居住スペースは、
前記基礎フレームの底面の2つの対角線にそれぞれ直交するとともに、平面視した場合に矩形をなすように一対の前記壁板の両端にそれぞれ設置された4枚の側板と、
4枚の前記側板の各端部に設置されて直方体の各辺を構成するように組み合わされた12本の形鋼からなる居住フレームと、
この居住フレームの上部を覆うように設置された天板と、前記居住フレームの下部を覆うように設置された底板と、を備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の免震住宅。 - 一対の前記壁板の各端部に設置されて矩形の各辺を構成するように組み合わされた8本の形鋼からなる補強フレームを備えていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の免震住宅。
- 蓄電池が前記補強部材に設置されていることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか1項に記載の免震住宅。
- 前記蓄電池を充電する太陽光発電設備が前記補強部材に設置されていることを特徴とする請求項8に記載の免震住宅。
- 前記ガイド部材は、
前記枠体が前記固定金具によって前記居住スペースに固定される代わりに、
前記固定金具がコイルばねを介して前記居住スペースに固定されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の免震住宅。 - 前記居住スペースの前記底面が地面から離れたことを検知して上昇開始信号を発するとともに、この上昇開始信号を発した後に前記居住スペースの前記底面が接地したことを検知した場合に接地信号を発するセンサーと、
前記居住スペースの外面に開閉自在に設置された扉と、
この扉に取り付けられた電子錠と、
この電子錠の動作を制御する第1の制御ユニットと、を備え、
この第1の制御ユニットは、前記センサーから前記上昇開始信号を受信すると、前記電子錠に前記扉を施錠させるとともに、前記センサーから前記接地信号を受信すると、前記電子錠に前記扉を開錠させることを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれか1項に記載の免震住宅。 - 災害警報を受信した場合に災害発生信号を発する通信ユニットと、
前記電動モーターの動作を制御する第2の制御ユニットと、を備え、
この第2の制御ユニットは、前記通信ユニットから前記災害発生信号を受信すると、前記ウィンチが前記ワイヤロープを巻き上げる方向に前記電動モーターを回転させることを特徴とする請求項2乃至請求項11のいずれか1項に記載の免震住宅。
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