JP2007076120A - インクジェット記録装置及びヘッド回復方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 動作環境に係らず長期間にわたり良好な回復性能を維持するウェットワイピング機構を採用したインクジェット記録装置及びヘッド回復方法を提供することである。
【解決手段】 インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、そのインク吐出面を払拭するワイパと、そのワイパを記録ヘッドに対して相対的に移動させて、そのインク吐出面を払拭する清掃手段とを有するインクジェット記録装置を前提とする。このような装置において、まず装置の設置環境の温度または湿度を検出する。一方、記録ヘッドインク吐出面に当接するワイパの一部をその記録ヘッドのインク吐出面を払拭するために用いる処理液を蓄える貯留部の一部に対して当接し、その処理液を当接部を介してワイパの一部に転写する。この時、検出された温度または湿度に従って、その処理液の転写量を制御する。
【選択図】 図3

Description

本発明はインクジェット記録装置及びヘッド回復方法に関し、特に、例えば、インクジェット記録ヘッドのインク吐出面をワイピングして記録ヘッドの性能を維持するとともに高品位な記録を行なう記録装置及びその装置に適用されるヘッド回復方法に関する。
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する複合機の記録部として、或いはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として記録装置は用いられる。そのような記録装置は、記録情報に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の記録媒体に画像(文字や記号等を含む)を記録する。中でも、インクジェット記録装置(以下、記録装置)は、インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)から記録媒体にインクを吐出して記録を行う。この記録装置は、記録ヘッドの小型化が容易であり、高精細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせずに記録することができるという特徴がある。また、ランニングコストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多種類のインク(例えばカラーインク)を使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
記録ヘッドの吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子としては、ピエゾ素子等の電気機械変換体、電磁波を照射する半導体レーザ、あるいは発熱抵抗体を有する電気熱変換体(以下、ヒータ)などがある。その中でも、熱エネルギーを利用してインク液滴として吐出する記録方式を採用した記録ヘッドは、インク吐出口を高密度に配列することができるため高解像度の記録をすることが可能である。特に、その中でも、電気熱変換体素子をエネルギー発生素子として用いる記録ヘッドは、小型化が容易であり、かつ最近の半導体分野における技術の進歩と信頼性の向上性が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長所を十分に活用できる。このため、高密度実装化が容易で製造コストも安価なことから、有利である。
また、記録媒体の材質に対する要求も様々なものがある。近年、これらの要求に対する開発が進み、通常の記録媒体である紙(薄紙や加工紙を含む)や樹脂薄板(OHP等)などの他に、布、皮革、不織布、さらには金属等を記録媒体として用いる記録装置も使用されるようになっている。
記録装置は、記録媒体の搬送方向と交叉する方向に走査しながら記録を行なうシリアル型記録装置と記録媒体の幅方向の所定幅の範囲をカバーするように定位置に保持された所定長の記録ヘッドを用いて記録を行なうライン型記録装置とに大別できる。
さて、記録装置には、記録動作によって記録ヘッドのインク吐出面にインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等の異物が付着することがあり、これらの異物を除去するためにクリーニング機構が備えられている。この機構のクリーニング部材によりインク吐出面をクリーニング(例えば、摺擦による拭き取り)する。そのクリーニング部材としては、通常、ゴム状弾性材から成るゴムブレード等の可撓性部材が使用される。また、記録ヘッドのインク吐出口(以下、ノズル)近傍のインクが乾燥し、インクの増粘、固着、堆積によりノズルの目詰まりが生じることがある。さらに、ノズル内部(液路)に発生した気泡やゴミ等によってもノズルの目詰まりが生じることもある。これらの目詰まりを回復(予防、解消等)するために、例えば、キャッピング部材を用いてノズルを密閉し、ポンプを用いてインク吐出面に所定の負圧吸引力を発生させることによりノズルよりインクを強制的に排出するという吸引回復が行なわれる。また、吸引回復によってインク吐出面に付着したインクを除去するために、クリーニング部材によりそのインク吐出面をクリーニング(拭き取り)することも行われている。
また、記録装置に用いるインクとしては、従来は水性染料インク(以下、染料インク)を用いたものが主流であった。しかしながら、染料インクはそもそも染料の分子が小さいがゆえに耐光性、耐ガス性といったいわゆる耐候性が不十分であり、記録物の色味が経時的に変化してしまうという問題があった。そこで近年、染料インクにかわり水性顔料インク(以下、顔料インク)が実用化されてきている。現在用いられている顔料インクは、顔料の粒径がおよそ100nm程度と染料分子に比較してはるかに大きいため、光やオゾンの影響を受けたとしても色材の退色が顕著ではなく、耐候性は染料インクに比較してはるかに良好である。
次に、従来の記録装置におけるヘッド回復動作について説明する。
図8は従来の記録装置に搭載された記録ヘッドの回復動作を行なうヘッド回復機構の構成を示す模式的断面図である。
また、図9は図8に示す矢印Gの方向にヘッド回復機構を眺めた側断面図である。
図8〜図9において、1Aは普通紙やマット紙等に好適な、表面張力の高いブラック顔料インク(以下、マットBkインク)を吐出する記録ヘッドである。また、1Bは光沢紙や写真用紙等に好適な、用紙に浸透しやすく表面張力の低い4色の(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの)カラー顔料インクを吐出する記録ヘッドである。記録ヘッド1Bから吐出されるこれらのインクは記録媒体上でのインクの定着のために樹脂を添加することが多く、これらカラー顔料インクを樹脂顔料インクとも言われる。
また、2は記録ヘッド1A、1Bを搭載し矢印A、F方向に往復移動するキャリッジであり、3は矢印A、F方向にキャリッジ2を案内保持するレールである。
さらに、4Aは記録ヘッド1Aのノズル1Aaを密閉する(キャッピングする)ゴムキャップ、4Bは記録ヘッド1Bのノズル1Baに密閉する(キャッピングする)ゴムキャップである。ゴムキャップ4A、4Bは、メンテナンスモータ(不図示)により矢印B、C方向に移動する。ゴムキャップ4A、4Bが矢印B方向に移動すると、夫々の記録ヘッドのインク吐出面がキャッピングされ、矢印C方向に移動すると、そのインク吐出面のキャッピング方向を解放する。
図8〜図9に示されているように、ゴムキャップ4A、4B夫々の内部には、インクを吸収保持するためのキャップ内吸収部材9A、9Bが設けられている。また、ノズル1Aa、1Baでインクの粘度が増えて固着堆積することを防止するために記録中でも、これらのノズルから所定の時間間隔でキャップ内吸収部材9A、9Bに対して予備吐出が行われる。5A、5Bは夫々、記録ヘッド1A、1B用の吸引ポンプであり、キャッピング状態でノズル1Aa、1Baの形成面に所定の吸引圧(負圧)を発生させ、チューブ6A、6Bを介してノズル1Aa、1Baより強制的にインクを吸引する。そして、吸引したインクをチューブ7A、7Bを介して廃インク処理部材8へ排出する。これら一連の動作は吸引回復(回復処理)と呼ばれる。
さらに、10A、10Bは夫々、記録ヘッド1A、1B用のクリーニング部材であり、これらのクリーニング部材はウレタン、ブチル、シリコン等のゴム部材又は多孔質のスポンジ系の材質等で形成されている。
クリーニング部材10A、10Bは駆動源(不図示)により、矢印D、Eの方向に移動可能である。クリーニング部材10A、10Bが矢印D方向に移動すると、ノズル1Aa,1Baの形成面を含むヘッド面に摺擦して(a→b→c点線部)クリーニング(拭き取り清掃)を行う。そのクリーニングが終了後、さらに矢印D方向に移動すると、クリーニング部材10A、10Bはクリーナ11A、11Bに当接する(d点線部)。この当接により、ヘッド面から掻きとられてクリーニング部材10A、10Bに付着したインク滴、ごみ、ほこり、紙粉等は、対応するクリーナ11A、11Bに転写される(移行する)ことで回収される。この時、キャップ4A、4Bは矢印C方向に移動(後退)し、クリーニング部材10A、10Bと干渉しない位置(不図示)まで退避している。
従来の記録装置では、染料インクを用いる場合には装置各部における耐久性の問題は生じないが、顔料インクを用いる場合には、インク粘度が増したり固着したりするまでの経過時間が染料インクを用いる場合より短く、早期にインク粘度が増したり固着する。
また、クリーニングの実効性も顔料インクを用いた場合には染料インクを用いる場合より悪い。このため、記録ヘッドのインク吐出面に摺擦させてクリーニングしても、そのインク吐出面にインクが薄膜状に堆積し、さらにそのインクが固着してしまう。従って、通常のクリーニング動作ではヘッド回復を行うことができないか、きわめて困難であるという技術的課題があった。
通常、染料インクは染料分子そのものが水溶液中に分散(溶解)しているが、顔料インクでは一般的に顔料粒子が親水性ではなく疎水性であるために水には溶解しない。従って顔料インクに水溶性を付与するために顔料粒子に樹脂や活性剤等を吸着させ顔料分散体として親水性を与え、水溶液中に分散させている。あるいは顔料粒子の構造自体の末端に親水基を持たせることで水溶液中に自己分散させている。
また、顔料粒子そのものが疎水性であるため、記録ヘッドから顔料インクを吐出させたときに、染料インクと比較して記録ヘッドのインク吐出面が顔料インクで濡れやすくなる傾向がある。さらに、前述した樹脂を用いて顔料を分散させている、いわゆる樹脂分散系の顔料インクでは、顔料とともに樹脂もそのインク吐出口を濡らし易いので、この傾向は一層顕著である。また、顔料粒子がインク吐出面に存在する状態でワイピング動作を行うと、インク吐出面が削れて損傷してしまい、インク吐出面を一層濡れやすくする。
このようにして、インク吐出面が濡れると、インクの吐出方向が安定しなくなり、インク液滴が記録媒体上に付着する位置精度が悪くなり、その結果、記録される画像の品位が低下する。
上記の問題に対して、これまでにも記録ヘッドのインク吐出面に顔料インクを弾くいわゆる撥水処理を施すなどの対策を行なってきた。このような対策により、記録ヘッドの使用初期にはインクの吐出方向は安定するが、顔料インク等の濡れやすいインクを用いた場合は、徐々にその撥水性が劣化しインクの吐出方向は不安定となる。たとえワイピング動作を実行しても、結果的に濡れやすい顔料インクをインク吐出面に広げてしまうため、その撥水性は劣化していき、結果的に画像品位の劣化が生じてしまう。
このため、例えば、特許文献1に開示されるように、従来からも、顔料インク用の記録ヘッドとして、ノズル周辺のみを最初から親水化したようなヘッドも提案されている。
しかしながら、インク吐出面の撥水性、または親水性等の性質は長期間維持できるものではなく、経時的に劣化していく。比較的知られているUVオゾン処理等でも、処理直後は親水性を有するが時間と共にその親水の程度が変化してしまうことがある。
このようなインク吐出面の撥水性能もしくは親水性能の変化の問題に関し、従来より、例えば、特許文献2に開示されているような、いわゆるウェットワイピングと言う技術が知られている。
これは、インク吐出面を払拭するワイパに、例えば、グリセリンやポリエチレングリコール等の揮発性のきわめて低い溶剤(以下、ウェット液)を付着させて、そのワイパによりインク吐出面を払拭して、インク吐出面の濡れ性の変化を防止するものである。ウェット液は、(1)インク吐出面に固着した粘度の増したインクや膜状になった堆積物を溶解し、(2)ワイパとインク吐出面との間に介在することにより潤滑材として作用し、(3)インク吐出面に付着することでインク吐出面の保護膜を形成する。
詳細な説明は後述するとして、以下にウェットワイピングの動作の一例を説明する。
図10はウェットワイピングの動作を説明する図である。
この図は、図9に示したヘッド回復機構の構成にウェットワイピングのユニットを加えた構成を示したものである。
図10に示すように、クリーナ11A、11Bよりも右側のワイパ折り返し位置近傍にウェットワイピングユニット25が設けられている。図10において、20はウェット液保持部で、21はウェット液伝達部、21aはクリーニング部材(以下、ワイパ)10A、10Bが当接しウェット液をワイパに付着させるワイパ当接部である。ワイパは図中左側からクリーナ11A、11Bで清掃された後、クリーナ11A、11Bを通過してさらに矢印D方向に移動し、ウェットワイピングユニット25に達する(d→e→fの動作)。ワイパ10A、10Bは左右に往復移動するが、折り返し位置にてワイパ10A、10Bがfのようにワイパ当接部21aに当たるよう配置されている。そして、当接部21aにて所定のニップ幅分に応じてウェット液が付着する(以下、ワイパ当接部からワイパへのウェット液の移動、ワイパへの付着のことを「ウェット液の転写」と言う)ようになっている。
特開平11−334074号公報 特開平10−138502号公報
しかしながら上記従来例のようにウェットワイピングを搭載した記録装置では、ワイパへのウェット液の転写量が環境で大きく変動するという問題があった。即ち、低温環境や低湿環境ではウェット液の粘度上昇により転写量が常温常湿よりも減少するため、所定のウェットワイプの効果が発揮できず、長時間使用した記録ヘッドのインク吐出面が劣化してしまう。これは記録ヘッドからのインク吐出性能を劣化させ、結果として記録画像の品位を劣化させてしまう。
この点について、上記のようなウェットワイピング機構を搭載した記録装置における記録ヘッドのインク吐出面の変化を実際に検証して得られた結果に基づき、より具体的に述べる。この検証によれば、特に、低温環境下、更には低湿環境下でウェットワイピングの効果が少なく、インク吐出面の状態が初期に比べて変化してしまう。そのため、このような環境では、吐出されたインク液滴の記録媒体上での吐出位置精度が悪化し、結果として記録画像の品位が劣化する。
さらに、このような低温環境下や低湿環境下での挙動を検討したところ、ワイパに転写されるウェット液の量が環境により大きく変動することが分った。ウェット液はそもそも記録装置内にその装置寿命の間、保持されているべきものであるため、空気中の飽和蒸気圧の低いもの、即ち、蒸発しにくいものが好ましい。また、粘度の増した固着インクに対する溶解性やヘッド各部材との接液性を考慮すると、インク組成としてもしばしば用いられるグリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコール類が好ましい。これらの溶剤は一般的に分子量が大きく粘度が高いものが多いので低温環境下での粘度上昇の程度も大きい。
図11はグリセリンの温度粘度曲線を示した図である。
図11によれば、常温で800cp程度の粘度が、15℃で2300cp、5℃で7000cpと、低温に行くほど急激に粘度が上昇する。
さらにはこれらの溶剤は、空気中の水分を吸湿しやすい性質があり、環境湿度によって溶剤の吸湿している水分量が大きく異なってくる。そのため、吸湿したウェット液は、環境湿度によって含有水分量が変化するため、粘度も大きく変化する。
図12は、濃度の異なるグリセリン水溶液の温度粘度曲線を示した図である。
図12によれば、温度が10℃のとき、グリセリン濃度が50%では10cp程度であった粘度が90%では500cp、100%では4000cpと、グリセリン濃度の上昇に応じて急激に粘度が上昇する。また、温度に対する粘度変化率は、グリセリン濃度が高いときほど顕著である。
ウェット液は、その外周を水蒸気透過性の低い材料で遮蔽することで、湿度変動によって起こる吸湿、乾燥を防ぐことが好ましい。とはいえ、ワイパにウェット液を転写する当接部は常に外気にさらされているため、当接部付近のウェット液は環境湿度に応じて吸湿が進むと考えられる。
このような低温環境下や低湿環境下におけるウェット液の粘度上昇(増粘)によりウェット液の転写量が減少するものと考えられる。これは、ワイパが当接部に当接したときのウェット液のワイパに対する濡れが粘性のために不十分であったり、或いはワイパが当接してから戻るときにウェット液の粘性が大きいために当接部からウェット液を引きちぎりにくくなることが原因と考えられる。
また、ウェット液のワイパへの転写量を環境に応じて最適化したとしても、インク吐出面の性能の劣化を完全に抑制できるものではなく、記録ヘッドを長期間にわたり使用すると劣化は進み、ワイピング回数に対する記録ヘッドの寿命が決定される。その寿命がきた場合、ユーザに記録ヘッドの交換を促したとしても、その交換をしないで記録を続けることを禁止することはユーザに大きな不利益を与えることになってしまう。従って、寿命以上に記録ヘッドが使用された場合でも記録品位の悪化を防ぐ必要がある。
さらに、記録ヘッドを長期間にわたって使用するとワイパ自体が劣化し、ワイピング時に記録ヘッドと当接するワイパの端部(以下、エッジ)の削れや、ワイピング時に力のかかる方向への倒れが発生し、ワイピング能力が低下してしまう。この結果、ワイパ劣化前と同様のウェットワイピング動作では、記録ヘッドのインク吐出面にインク残留物の拭き残しができてしまうという問題があった。
さらに、長期間記録装置を使用すると、ウェット液保持部中のウェット液が減少し、ワイパに転写されるウェット液の量が減少してしまうため、ウェットワイピングの効果が少なくなり、記録ヘッドのインク吐出面の劣化が加速するという問題も生じている。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、動作環境に係らず長期間にわたり良好な回復性能を維持するウェットワイピング機構を採用したインクジェット記録装置及びヘッド回復方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため本発明の記録装置は以下の構成からなる。
即ち、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、該記録ヘッドのインク吐出面を払拭するワイパと、前記ワイパを前記記録ヘッドに対して相対的に移動させて、前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭する清掃手段とを有するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭するために用いる処理液を蓄える貯留部と、前記記録ヘッドのインク吐出面に当接する前記ワイパの一部に対して当接し前記貯留部に蓄えられた処理液を前記ワイパの一部に転写する転写手段と、前記インクジェット記録装置の設置環境の温度または湿度を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された温度または湿度に従って、前記処理液の転写量を制御する転写制御手段を有することを特徴とする。
さらに、前記ワイパは所定の方向に関して往復移動し、該往復移動経路の端部に前記転写手段が置かれ、前記往復経路上の途中に前記記録ヘッドのインク吐出面が位置し、前記転写手段の位置と、前記記録ヘッドのインク吐出面と前記ワイパとの当接位置との間に前記ワイパの一部に付着したインク残留物を除去するクリーナを有することが望ましい。
前記転写制御手段は、前記検出された温度または湿度に従って、前記転写手段の前記ワイパの一部への当接位置を変化させることにより、前記処理液の転写量を変化させるよう制御する駆動手段を含むことが望ましい。なお、その駆動手段は、転写手段を上下動或いは回転させるように動作することが望ましい。
また、前記転写制御手段は、前記検出された温度または湿度に従って、前記転写手段の前記ワイパの一部への当接時間を変化させることにより処理液の転写量を変化させるよう制御しても良い。さらに、前記検出された温度または湿度に従って、前記転写手段の前記ワイパの一部への当接回数を変化させることにより前記処理液の転写量を変化させるよう制御しても良い。
なお、前記処理液の転写は、前記ワイパによる前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭するたび毎に前記ワイパを前記転写手段の位置まで移動させることにより実行するようにしても良い。さらに、この転写を前記ワイパによる前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭する前に前記ワイパを前記転写手段の位置まで移動させることにより実行しても良い。
さて、前記記録ヘッドのインク吐出面に対する払拭動作の回数を累積する第1計数手段と、前記払拭動作のためのワイパ使用回数と累積する第2計数手段とをさらに有し、前記転写制御手段は、これらの累積結果に従って、1回の払拭命令当たりの前記清掃手段による払拭回数を制御しても良い。さらに、第2の計数手段による累積結果に従って、前記貯留部の処理液の残量を推定する推定手段を備えても良い。
前記転写制御手段は、さらに第2の計数手段による累積結果に従って、処理液の転写量を制御することが望ましい。
一般的に、前記処理液の転写量は、低温低湿時には増加させ、高温高湿時には減少させるように制御されることが望ましい。
また他の発明によれば、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、該記録ヘッドのインク吐出面を払拭するワイパと、前記ワイパを前記記録ヘッドに対して相対的に移動させて、前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭する清掃手段とを有するインクジェット記録装置のヘッド回復方法であって、前記インクジェット記録装置の設置環境の温度または湿度を検出する検出工程と、前記記録ヘッドのインク吐出面に当接する前記ワイパの一部を前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭するために用いる処理液を蓄える貯留部の一部に対して当接し、前記貯留部に蓄えられた処理液を前記当接部を介して前記ワイパの一部に転写する転写工程と、前記検出工程において検出された温度または湿度に従って、前記処理液の転写量を制御する転写制御工程とを有することを特徴とするヘッド回復方法を備える。
従って本発明によれば、装置の環境温度と湿度に従って、ワイパの一部に対する記録ヘッドのインク吐出面を払拭するために用いる処理液の転写量が制御されるという効果がある。これにより、記録ヘッドのインク吐出面を払拭するために用いる処理液の転写量が安定化し、例えば、低温低湿などの劣悪な環境下でもウェットワイピングの性能を維持することができる。その結果、環境変化に係らず良好な画像記録を実現することができる。
さらに、記録ヘッドに対する払拭動作の回数やワイパの使用回数を累積し、その累積結果に従って、1回の払拭命令当たりの清掃手段による払拭回数を制御するので、記録ヘッドを長期にわたって良好な状態に保つことが可能になる。
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみを表すものではない。これに加えて、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。即ち、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
<インクジェット記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施例であるウェットワイピングを採用したインクジェット記録装置(以下、記録装置)の構成の概要を示す外観斜視図である。
図1に示されているように、記録用紙等の記録媒体30は、給紙ローラ31によって装置本体内に送り込まれる。そして、搬送ローラ32上でピンチローラ(不図示)及び紙押え板33により挟持され、搬送ローラ32の回転を制御することにより記録ヘッド1A及び記録ヘッド1Bから所定の隙間をおいた位置(記録位置)に搬送される。この時、記録情報に基づいて、キャリッジ2に搭載した記録ヘッド1A、1Bを往復走査することにより、画像(文字等を含む)が記録される。また、キャリッジ2の移動範囲内であって、記録領域を外れた位置(図1では記録領域の右側)には、キャリッジ2のホームポジションHPが設定されている。
さらに、ホームポジションHPの近傍には、ウェットワイピング機構を含む回復装置35、そして、回復装置35の近傍で、かつ本体側板内には汎用品で構成される温度、湿度センサ36が設けられる。
<インクジェット記録装置の制御構成(図2)>
図2は図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、コントローラ600は、MPU601、ROM602、特殊用途集積回路(ASIC)603、RAM604、システムバス605、A/D変換器606などで構成される。ここで、ROM602は後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納する。ASIC603は、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド1A、1Bの制御のための制御信号を生成する。RAM604は、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等として用いられる。システムバス605は、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行う。A/D変換器606は以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給する。
また、図2において、610は画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)でありホスト装置と総称される。ホスト装置610と記録装置との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。この画像データは、例えば、ラスタ形式で入力される。
さらに、620はスイッチ群であり、電源スイッチ621、プリントスイッチ622、回復スイッチ623などから構成される。プリントスイッチ622はプリント開始を指令するために用いられる。回復スイッチ623は、記録ヘッド1A、1Bのインク吐出性能を良好な状態に維持するための処理(回復処理)の起動を指示するために用いられる。これらのスイッチは操作者による指令入力を受けるために用いられる。
630は装置状態を検出するためのセンサ群であり、位置センサ631、温度、湿度センサ36等から構成される。位置センサ631はフォトカプラなどのホームポジションhを検出するためのセンサであり、温度、湿度センサ36は記録装置の環境温度と湿度を検出するために用いられるセンサである。
さらに、640はキャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1を駆動させるキャリッジモータドライバ、642は記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2を駆動させる搬送モータドライバである。
以下順次、[1]回復装置35の概要、[2]記録ヘッドの概要、[3]ウェットワイピングを含む回復装置の動作説明、[4]ウェットワイピングに関する重要部分の説明の順に本発明に従う実施例で用いられるウェットワイピング機構に関して説明する。
[1]回復装置の概要
回復装置35は図1にも示されているように、ホームポジションHPの近傍に設けられている。回復装置35は、記録ヘッド1A、1Bのインク吐出面(ノズルが形成された面)に当接(密着)してノズルを密封するゴムキャップ、キャッピング状態でキャップを介して吐出口に負圧吸引力を発生させ得る吸引ポンプを備えている。加えて、インク吐出面に摺擦してインクやほこり等の付着物を掻き取る(拭き取る)ためのワイパなども備えられる。
ヘッド回復装置35は、記録ヘッドのインク吐出面をキャッピングした状態で吸引ポンプによりキャップ内に負圧を発生させ、この負圧により吐出口からインクとともに粘度の増したインク、気泡、固着インク、ほこり等の異物を吸い出して排出除去する。これにより、回復装置35は記録ヘッドのインク吐出性能を回復させている。
[2] 記録ヘッドの概要
記録ヘッド1A、1Bは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えている。そして、電気熱変換体から発生する熱エネルギーによってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させ、記録を行う。
[3]ウェットワイピングを含む回復装置の動作説明
回復装置35にはウェットワイピングユニットを含む。また、回復装置35とこれを用いたウェットワイピングの基本的な機構やシーケンス動作は従来例で説明したものと同じであるので、その説明は省略し、ここでは本発明の実施例に特徴的な構成や動作についてのみ、図8及び図10を用いて説明する。
図8は記録装置の電源OFF時、又はスタンバイ時の回復装置の状態を示す図である。このような状態の時、記録ヘッド1Aをキャップ4Aに対向させ、記録ヘッド1Bを記録ヘッド用のキャップ4Bに対向させて夫々のインク吐出面をキャッピングする。このようにして、キャップ4A、4Bは記録ヘッド保護位置にあり、インク吐出面へのゴミ等の付着やノズルからの水分蒸発を抑制している。
一方、ホスト装置から記録信号を受信するとキャップ4A、4Bは、矢印C方向に移動し、キャップオープン状態となり、キャリッジ2が走査可能な記録可能状態となる。図10はキャップオープン状態の様子を示す図である。
記録はレール3に沿ってキャリッジ2を走査することにより実行されるが、記録中には回復動作としてキャップ上への予備吐出が実行される。キャップ内吸収部材9A、9Bは夫々、インクを吸収、保持することができる多孔質材料又はスポンジ状材料などで形成されている。記録中のキャップオープン状態では、キャップ4A、4Bを記録ヘッド1A、1Bから離間した位置に保持し、記録ヘッド1A、1Bのノズル1Aa、1Baからキャップ内吸収部材9A、9Bに向けてインクを予備吐出する。
この予備吐出は、記録途中でノズル1Aa、1Ba内のインク粘度が増し、固着することを防止するための動作であり、通常所定の時間間隔で行われる。なお、この予備吐出は予備吐出受け(不図示)に向けて行ってもよい。この予備吐出受けは、例えば、容器やインク吸収部材などで構成することができる。
また吸引回復は、記録開始直前や、記録中の所定量の時間又は記録動作ごとに、あるいは記録ヘッドの回復操作が必要になったことを検知したときなど、必要性を考慮して実行される。
図10に示したように、ワイパ10A、10Bは図中左側からクリーナ11A、11Bにて清掃された後、そこを通過してウェットワイピングユニット25に達しワイパ当接部21aで所定のニップ幅分に応じてウェット液がワイパ10A、10Bに転写される。
ウェット液の転写の後に、ワイパ10A、10Bは再び位置f→位置aへと戻り、位置aのワイパの待機位置で停止する。この移動時には、クリーナ11A、11Bは、図示しない機構によって、ワイパの移動経路から退避するように制御され。また、キャリッジ2もワイピング位置から移動して、ワイパ10A、10Bのワイピング面とは反対側の面で記録ヘッドのインク吐出面を払拭しないようにしている。
上記のようなシーケンスから分かるように、初回のワイピング時は、ウェット液がワイパに転写していない状態でワイピングを行い、その時の一連の動作によりにワイパに転写したウェット液を用いて次回のウェットワイピングを行うことになる。ウェット液は揮発性ではないので、次回のワイピング時までに蒸発して消失していることはない。また、ウェット液は通常の記録装置に用いられるインクよりはるかに高い粘度を有しているため、ワイパに付着した後に流失してしまうこともない。また初回のドライワイピング(ウェット液を用いないワイピング)による記録ヘッドのインク吐出面の状態変化は、その寿命の間のワイピング耐久回数等に比較すると無視できる。
なお本発明は上記のような構成のウェットワイピング機構に限定されるものではない。例えば、特許文献2に示されるような、回転ワイパを用いたウェットワイピング機構を有する記録装置に対しても、或いは、ワイパがスライド移動する上記とは異なる他の構成に対しても有効である。例えば、上記のようなスライドワイパの機構において位置eとfとの間に折り返し位置を設け、そこから停止位置aに戻ることも可能な構成としても良い。このような構成により、ウェット液の転写(位置fまで移動した後、位置aへ戻る工程)を含むワイピング工程と、ウェット液の転写を含まない(位置eとfの間で折り返し位置aへ戻る)ワイピング工程とを選択的に用いることが可能となる。
[4]ウェットワイピングに関する重要部分の説明
ウェットワイピングを実現するための重要要素とは、ウェット液、その保持/伝達部、記録ヘッドのインク吐出面の状態、使用インクなどである。
図10に示したウェット液保持部(ウェット液貯留部)20はポリプロピレン繊維をスポンジ状にしたもの(以下、PPスポンジ)でウェット液を保持している。ポリプロピレン繊維の繊維径、繊維をスポンジ化したときの見かけ密度、スポンジ内の繊維の配向方向、スポンジを装置内に組み込むときの圧縮率などは適宜選択して良い。ウェット液伝達部21はPPスポンジから、ウェット液を伝達しワイパ当接部21aにウェット液を伝達する伝達部材である。従って、ウェット液伝達部21は当接部21aを含む。ここでは、ウェット液伝達部21の伝達部材としては旭化成製サンファインAQ900を用いている。
ウェット液保持部20とその伝達部材の間で確実にウェット液の供給が行われるようにするためには、毛管力に関してウェット液保持部20の毛管力よりも、伝達部材の毛管力のほうが強くなければならない。そのような関係を維持しつつ、伝達部材の平均気孔径、見かけ密度、毛管力等を適宜選択するとよい。
ウェット液としてはここではグリセリンを用いている。グリセリンそのものは蒸発しにくいが、空気中の水分を吸湿しやすく、また一旦吸湿した場合でも低湿度環境下では水分を放出する特性がある。このため、ウェット液保持部20やウェット液伝達部材21等は吸湿、乾燥の影響を受けないように、その外周を水蒸気透過性の低い材料(不図示)で遮蔽することが好ましい。ただし、ウェット液保持部20に存在する気泡の膨張収縮に耐えられるように、完全密閉ではなく、一部に大気連通の細孔を設けることが望ましい。
上記のように、外気によるウェット液の吸湿、乾燥の影響をできるだけ排除するとはいえ、ウェット液をワイパへ供給するワイパ当接部21aは、常に外気に接している。揮発性ではないので蒸発しにくいウェット液も、長時間外気に接することにより、環境湿度に従ってワイパ当接部21a付近のウェット液は吸湿、乾燥が若干進むと考えられる。
また、ワイパ10A、10Bはポリエーテルウレタンを用い、記録ヘッドのインク吐出面の表面には撥水材をコートして撥水性をもたせている。
使用インクは、従来例でも説明したように、記録ヘッド1Aには自己分散性のマットBkインクを用いている。これは、顔料粒子の構造自体の末端に親水基を持たせることで顔料粒子を水溶液中に自己分散させたインクである。一方、記録ヘッド1Bにはカラー顔料インク(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロ)を用いているが、これらは顔料粒子を界面活性剤的な作用を持つ樹脂にて水中に分散させているインクである。
また、ウェット液保持部20の大きさ、即ち、ウェット液の必要量から逆算される保持部の容積については、次のように算出する。まず、記録装置の耐久性限界に相当する回数のウェットワイピングを行ったとしても記録ヘッドのインク吐出面の撥水状態に大きな変化がなく液滴の吐出位置精度が許容範囲内であるために必要なウェット液の転写量を実験的に求める。次に、これに耐久性限界に相当するワイピング回数を乗じ、必要なウェット液容量を求め、これをウェット液保持部の容積とする。
例えば、記録用紙1枚の記録を行なう度に1回のウェットワイプを行なうと仮定する。この仮定に基づけば、1回のウェットワイプに1mgのウェット液をワイパに転写した上で記録ヘッドのインク吐出面に塗布し、記録装置の耐久性限界に達するまでに記録用紙の枚数50000枚を正常に記録できるとすると、必要なウェット液量は50gとなる。
これに、ウェット液の密度、PPスポンジのウェット液保持量、伝達部材のウェット液保持量、ウェット液使いきり時の残量等を考慮すると、ウェット液保持部の容積は60cc程度が必要となる。初期のウェット液注入量は使いきり効率に依存して、通常100%の使い切りは期待できないので、必要量の1.2倍程度は注入しておく必要がある。なお、1回のワイピングで必要なウェット液の量、記録装置の耐久性限界までの記録可能枚数、PPスポンジや伝達部材のウェット液保持量などは、各記録装置の要件により異なるものなので、これらの値は適宜設定されるべきものである。
なお、本発明は上記のような構成にのみ適用されるものではない。例えば、ウェット液、ウェット液保持部、ウェット伝達部材等の材料、記録ヘッドのインク吐出面の状態(撥水/非撥水/親水性等)、インクの濡れ性の指標であるインク表面張力やインク吐出面に対するインクの接触角等の様々な変更は可能である。従って、そのような変更に従う様々な実施形態に本発明が適用可能であることは言うまでもない。インクに関しても、この実施例では顔料インクを例として用いているが、染料インクであっても本発明を適用することは可能である。
以下、本発明の特徴的な構成である低温環境下や低湿環境下におけるウェット液のワイパへの転写量制御に関する種々の実施例、及び、長期間使用時の記録ヘッド、ワイパの劣化に応じたウェットワイピング条件の制御に関する実施例を説明する。
この例では、温度、湿度センサの検出温度と湿度に応じて、ウェットワイピングユニットを機械的に上下動させ、ワイパがワイパ当接部に当接するときの侵入量を変化させることによりワイパが当接する部分のニップ幅を変え、ウェット液の転写量を調整する。
図3は実施例1に従うウェットワイピングユニット機構を説明する図である。なお、図3において、既に説明した構成要素や事項については同じ参照番号や参照記号を付し、その説明は省略する。ここでは、この実施例に特徴的な構成とその動作についてのみ説明する。
図3において、22は回転軸、23は回転軸22として回転する偏心カムである。ウェットワイピングユニット25は偏心カム23に支持されて、矢印Hの方向に上下動可能な構成となっている。そして、MPU601やメンテナンスモータ(不図示)によって、温度、湿度センサ36により検知した温度と湿度に応じて上下動し、ウェット当接部21aに対するワイパ10A、10Bの侵入量が制御される。
表1は、検知温度と湿度に従うワイパ侵入量を示すワイパ浸入量テーブルである。
表1では、温度20℃〜30℃、湿度40%〜70%のワイパの侵入量を標準値(Ref)とし、標準値(Ref)からの温度と湿度に応じた変化量が示されている。このような値を用いてワイパ浸入量を制御することで検知温度と湿度に最適な値が設定される。
表2は、表1の値に従ってワイパ浸入量を制御した場合におけるワイピング1回当たりの転写量を示す表である。
表2によれば、例えば、温度20℃〜30℃、湿度40%〜70%では、それぞれの中心である25℃、55%での転写量が1.0mgであることを示している。
表3は、ワイパ浸入量の制御を行わない場合のウェット液の転写量を示す表である。
表3によれば、例えば、25℃、30%では転写量は0.4mg程度となっている。この値は、常温、常湿の代表値である25℃、55%のときの値の40%程度である。このようにワイパ浸入量の制御を行なわないと、所望のウェットワイピングの性能が発揮できないことが示唆される。
[表1] ワイパ侵入量制御テーブル
Figure 2007076120
[表2] ワイパ浸入量制御後の転写量テーブル(実験値)
Figure 2007076120
[表3] ワイパ浸入量制御を行わなかった場合の転写量テーブル(実験値)
Figure 2007076120
それに対して、表2から分かるように、この実施例に従う制御を行うと、25℃、30%の環境下ではウェットワイピングユニット25が0.6mm下降し、それに従いワイパの侵入量も0.6mg増加する。このため、ワイパ当接部21aに当接するワイパ10A、10Bのニップ幅が増加し転写量が1.0mgと常温、常湿と同じ値となる。
また、高温、低湿下では、記録ヘッドのインク吐出面の乾燥が促進されるため、他の環境の時と同量のウェット液の転写量では、そのインク吐出面には固化したインク残留物の拭き残しが発生する可能性がある。そのため、高温、低湿時は、他の環境下よりも転写量を多くする必要がある。表1によれば、例えば、温度35℃、湿度10%では、ワイパ侵入量を+0.8mmとすると、表2からウェット液の転写量は1.3mgとなる。この結果、インク吐出面の乾燥が促進されていた場合でも、所望のウェットワイピングの性能を発揮するのに十分な転写量に制御される。
一方、高温や高湿環境下では、ウェットワイピングユニット25を上昇させ、ワイパ侵入量を標準値(Ref)に対して減少させることで、ウェット液の必要以上の転写を抑制する。例えば、35℃、85%の環境を考える。この場合、ワイパ浸入量制御を行わないと、表3に示すように転写量が2.8mgであるのに対し、ワイパ浸入量制御を行うと、表1に示すようにワイパ侵入量が0.6mm減少し、表2に示すように転写量は1.7mgとなる。このように転写量が抑制される。
従って、この実施例に従えば、環境によってワイパ当接部に当接するワイパの触れ幅を変化させウェット液転写量を調整することが可能となる。これにより、記録装置出荷時に収容させるウェット液の量をできるだけ少なくかつ適切な量とすることができる。
なお、この実施例ではウェットワイプユニットを上下動させたが、左右に移動させることでワイパの当接部21aへの侵入量を変えるようにしても良い。
ワイパの折り返し位置fは機械的に固定されている。従って、図3に示すようにワイパ当接部21aをワイパの移動方向に関して、水平以外の、例えば、45°の角度を有して配置する場合は上下動のみならず左右移動(キャリッジの走査方向と平行する方向への移動)によってワイパ侵入量を可変できる。
このように、この実施例によれば、温度、湿度センサ36によって環境温度と湿度を検知し、その温度と湿度に応じてワイパがウェットワイピングユニットに侵入する侵入量を可変する。これにより、例えば、低温や低湿環境下でのウェット液の粘度が変化して転写量の減少を補正し、所望のウェットワイピングの性能を維持することができる。
その結果、記録装置が使用中にワイピングを行なったとしても、記録ヘッドのインク吐出面の状態を良好に維持し、その使用期間の最後までインク液滴の吐出精度を良好に維持し、高品位な記録を維持することができる。
なお、ウェットワイプユニットの構成は上記のような構成に限定されるものではない。例えば、ウェットワイプユニットの省スペース化を図るために図4に示すような構成を採用しても良い。
また、この実施例では、検出した温度、湿度に応じてワイパにウェット液を転写する量を制御する構成としたが、温度または湿度を検出するセンサにより、温度または湿度に応じてウェット液を転写する量を制御する構成としてもよい。温度または湿度のみからでもウェット液の増粘状態をある程度は推測できるためである。このように温度、湿度センサではなく、温度または温度のみを検出するセンサを用いることにより、コスト低減を図ることができる。
図4は実施例1の変形例に従うウェットワイピングユニット機構を説明する図である。なお、図4において、既に説明した構成要素や事項については同じ参照番号や参照記号を付し、その説明は省略する。ここでは、この実施例に特徴的な構成とその動作についてのみ説明する。図4と図3と比較すると分かるように、この例では、図3に示した構成と異なり回転軸24を中心にウェットワイプユニット25が回転するように構成されている。このような回転機構とすることで、省スペース化が図られる。
即ち、この例では、ウェットワイプユニット25の上下移動のための空間を持つことなく、稼動範囲を狭くしつつワイパの当接部21aへの侵入量を、実施例1とほぼ同等に変化させることができる。
記録装置の設置環境に応じ、即ち、温度、湿度センサ36の検出温度、湿度に応じて、ウェットワイプユニット25を回転させ侵入量を制御する点はこの構成でも同じである。なお、検知温度、湿度に従ってワイパ侵入量を変化させるその程度は適宜設定して、所望のウェットワイピングの性能を維持できるようにすればよい。
この実施例では検知温度と湿度に応じてウェットワイピングシーケンスを変更し、低温、低湿環境下でのウェット液の転写量の減少を補正する。
図5は実施例2に従うウェットワイピングシーケンスを示すフローチャートである。
図5によれば、ステップS100で記録ヘッド1A、1Bとワイパ10A、10Bがワイピングポジションにあることを確認し、ステップS110でワイパ10A、10Bを移動させてワイピングを行う。
ステップS120では、ワイパ10A、10Bをさらに矢印D方向に移動させ、折返し位置fでワイパ当接部21aに当接させる。ステップS130でその当接位置で所定の時間だけワイパ10A、10Bの移動を停止させる。この停止の間にワイパ折返し位置fで、ワイパ10A、10Bにワイパ当接部21aに当接して、ウェット液が転写される。
その時間が経過すると、処理はステップS140で、記録ヘッド1A、1Bをワイパ10A、10Bの当たらない位置に退避させる。ステップS150でワイパ10A、10Bを矢印E方向に移動させ、ワイパのホームポジション(HP)に戻す。
その停止(転写)時間は記録装置の設置環境の温度と湿度に応じて変化させる。
表4は、温度と湿度に従うワイパ停止時間を示すテーブルである。
[表4] ワイパ停止時間テーブル
Figure 2007076120
表5は、表4に示すワイパ停止時間に従う転写量を示すテーブルである。
[表5] ワイパ停止時間制御後の転写量(実験値)
Figure 2007076120
表6は、ワイパ停止時間の制御を行なわない場合の転写量を示すテーブルである。
[表6] ワイパ停止時間制御を行わなかった場合の転写量(実験値)テーブル
Figure 2007076120
この実施例では、表4に示した値を用いて環境温度、湿度に応じてウェット液の転写時間を変化させ、低温、低湿でのウェット液転写量の減少を補正する。表4から分かるように、低温、低湿ほどウェット液の転写量を確保するために転写時間を多く設けている。
表4〜表5から分かるように、常温、常湿では積極的にはウェット液の転写時間を設けていない。例えば、温度が20〜30℃、湿度40〜70%では、記録ヘッド退避に要する時間である0.1秒後にワイパを反転させるようにし、そのため転写時間は0.1秒と短く、このときの転写量が1.0mgである。
これに対して、転写時間(即ち、ワイパ停止時間)の制御を行わなかった場合の転写量は、表6によれば、温度15℃、湿度30%では、転写量が0.2mgとなる。同じ環境温度と湿度で転写時間(ワイパ停止時間)の制御をした場合と比較して、転写量が大きく減少する。
そこで、この実施例では、温度15℃、湿度30%の環境下ではワイパ停止時間(ワイパ当接部への当接時間)を表4に従って、6秒としている。これにより、ウェット液の転写を促進し、その結果、表5に示すように、転写量は0.9mgに回復する。
なお、ワイパ停止時間(ワイパ当接部への当接時間)は、ウェット液の低温、低湿での粘度上昇の程度や、ワイパ材質、当接部材の材質、機構部の構成等に応じて適宜設定されるべきものである。
このように、この実施例では、低温、低湿環境下でワイパのウェット液への当接時間を制御することでウェット液の転写量制御を行うようにしたため、実施例1のような稼動部を持つ必要がない。従って、実施例1と比較して、機構的な構成を省略することができコストダウン、及び回復装置の小型化に貢献する。
なお、この実施例では、表4から分かるように、高温、高湿環境下での転写時間を常温(20〜30℃)と同等としているが、より短い転写時間とすることで高温、高湿環境下でのウェット液の転写量の増加も抑えるようにしても良い。そうすることで、高温下で大量のウェット液を使用することがなくなるため、実施例1と同様に、記録装置出荷時に収容させるウェット液の量をできるだけ少なくかつ適切な量とすることができる。
さらに、上述した処理に加えて、ワイピング動作の直前にウェット液を転写するようにしても良い。
図6は実施例2の変形例に従うワイピングシーケンスを示すフローチャートである。図6と図5とを比較すると分かるように、図5に示したシーケンスに対して記録ヘッドを退避した状態でワイパをワイパ当接部に当接する処理ステップS10〜S60が追加されている。以下、その追加ステップについてのみ説明する。
即ち、ステップS10で記録ヘッドをワイパの移動経路上から退避させた後、ステップS20でワイパ10A、10Bを移動させる。
ステップS30では折返し位置(図3の位置f)でワイパ当接部21aにワイパ10A、10Bを当接し、ステップS40では、ウェット液の転写のための転写時間、ワイパ10A、10Bを停止させる。
ステップS50ではワイパ10A、10Bをそのホームポジション(HP)に戻す。
ステップS60では、ステップS10〜S50の処理が所定回数終了したかどうかを調べる。ここで、所定回数終了していないと判断されたなら、処理はステップS10に戻りをステップS10〜S50の処理を所定回繰り返す。これに対して、所定回数処理が繰り返されたと判断されたなら、処理はステップS100に進み、上述した処理を実行する。
このようにワイピング動作の直前にウェット液を転写するようにすると、より確実にウェットワイピングの機能を発揮させることができる。また、ウェット液の転写を複数回繰り返すようにして転写量を増加させることができる。
実施例1〜2は、ウェット液の転写量を制御したが、この実施例では、1回のワイピング動作当たりのワイピング回数の変更により記録ヘッドのインク吐出面を好適に保つ方法について説明する。
図7は、実施例3に従うワイピングシーケンスを示すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理ステップの内、既に説明したのと同じ処理ステップについては同じステップ参照番号を付し、その説明は省略する。
図7と図5とを比較すると、この処理の特徴は、ステップS160によって通常のワイピングシーケンスを複数回繰り返すようにしている点にある。ワイピングの繰返回数は、環境温度、湿度の低下に応じて増やすように制御する。
常温、常湿では、ウェット液のワイパへの転写量が十分であるため、1回のワイピング動作でインク吐出面の清掃が可能である。しかしながら、低温、低湿でウェット液の粘度が高いときは、ワイパへの転写量が少なくなるため、1回のワイピングではウェットワイピング効果を十分に発揮できず、記録ヘッドのインク吐出面に粘度の増したインク残留物などの拭き残しがでてしまう。
そこで、この実施例では、ワイピングの繰返回数を複数回にすることで拭き残しを除去し、記録ヘッドのインク吐出面を良好に保つようにしている。
また、環境温度と湿度に従うワイピング繰返回数の制御と同時に転写時間を考慮した制御とを組み合わせることにより、より好適な制御を行うことが可能となる。
また、この実施例は、実施例2と同様の機構構成で実施可能であり、図6に示した実施例2の変形例と比べて比較的簡単な制御構成で実施可能であるという利点もある。
図6のフローチャートによれば、ワイパ移動に関して、(1)記録ヘッドのワイピングを伴うワイパ移動と、(2)ワイピングを行わず、ウェット液の繰返し転写ためのワイパ移動がある。(1)の場合は、ワイピング後にワイパ清掃のためにクリーナ11A、11Bとワイパを接触させる必要がある。これに対して、(2)の場合は、クリーナ11A、11Bをワイパと接触しない位置に退避させる必要がある。
このように、図6に示す制御では同一方向へのワイパの移動に対し、クリーナ11A、11Bの位置制御が伴うので、機構的にも制御が複雑なものになってしまう。これに対して、この実施例では、クリーナの位置制御が必要とならないため、比較的簡単な機構構成でウェットワイピングの機能を強化することができる。
以上説明したようなウェットワイピング制御により、記録ヘッドのインク吐出面の劣化を抑制でき、ヘッドの耐久寿命を延ばすことができる。
しかしながら、記録ヘッドの使用とともに劣化は徐々に進行し、いつかは当初の性能を発揮できなくなってしまう。また、同様にワイパもその使用とともにエッジの削れや倒れが生じてしまう。
従って、この実施例では、記録ヘッドのインク吐出面とワイパの劣化具合をワイピング回数から推定し、それに応じて、ウェットワイピング回数を変化させて、記録ヘッドのインク吐出面とワイパの劣化具合に対応したワイピング動作を行うようにしている。
ここでは、ワイパのワイピング耐久寿命回数が50000回、記録ヘッドのワイピング耐久寿命回数が10000回である場合を例にして説明する。
この時のワイピングシーケンスは、既に、図7を参照して説明したとおり、通常のワイピングシーケンスを複数回繰り返すようにしている。
表7は記録ヘッドのワイピング回数とワイピング回数変更値との関係を示すテーブルであり、表8はワイパの使用回数とワイピング回数変更値との関係を示すテーブルである。
[表7]
Figure 2007076120
[表8]
Figure 2007076120
表7によれば、記録ヘッドの寿命に相当する10000回以上のワイピングが行われた場合、以後のワイピング指令1回当たり、所定のワイピング回数(通常は1回)に+1回のワイピングを行うように制御される。
表8によれば、記録装置本体の耐久寿命である50000回以上のワイピングを行った場合、以後のワイピング指令1回当たり、所定のワイピング回数(通常は1回)に+1回のワイピングを行うように制御する。
記録ヘッドは交換可能であるため、記録ヘッドのワイピング回数とワイパのワイピング使用回数はそれぞれ別にカウントを行い、記録ヘッド交換時は記録ヘッドのワイピング回数のみをリセットし、再びゼロからカウントを行うようにする。
このように、ワイピングの回数から記録ヘッドとワイパの劣化の度合いを推定し、その回数に応じて1回のワイピング指令に対するワイピング回数を制御する。これにより、記録ヘッドのインク吐出面の撥水性が劣化したり、ワイパのエッジが削れていたとしても、記録ヘッドのインク吐出面も清掃を正常に行うことができ、高品位な記録を維持することができる。
なお、この実施例では記録ヘッドのワイピング回数とワイパの使用回数に応じて、ワイピング回数を制御したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、ワイパの侵入量やウェット液の転写時間を制御してもよい。また、ワイピング回数の変更を、耐久寿命前後の2段階として説明したが、より細かく分割して制御することもできる。
また、実施例1〜2で説明した環境温度と湿度による制御に加えて、この実施例で説明した制御を組み合わせて実施することも可能である。即ち、環境温度と湿度に応じてワイパの侵入量や転写時間を制御し、記録ヘッドのワイピング回数とワイパの使用回数に応じてワイピング回数を変更するように制御しても良い。これにより、環境変化によるウェット液の転写量の変化を抑制しつつ、記録ヘッドとワイパの劣化も踏まえたワイピング動作を行うことができる。
ここでは、実施例3で説明した制御に加え、ウェット液の残量変化によるワイパへのウェット液の転写量変動も考慮したウェットワイピング制御について説明する。
ウェットワイピングユニットの構成によっては、ウェット液の残量が減少するに伴い、ワイパへの転写量が減少することがある。例えば、ウェット液の残量減少に従って、ワイパ当接部に対する水頭差が変化する構成の場合、その残量に従ってウェット液転写部のメニスカスの強さが変化する。特に、ウェット液の残量が少ない場合、ワイパ当接部のメニスカスが強くなっているため、ワイパへの転写量が所定量より減少してしまう。
この実施例では、このような場合にも、ワイパへの必要な転写量を確保するように以下の制御を実行する。
まず、ウェット液の残量検出を行なう。このため、ワイピング回数からウェット液の消費量を推定する。この推定は、例えば、ウェット液の初期値を50gとし、1回のワイピングによる転写量が最大1mgとなるように設定するとしたときに、毎回のワイピング毎に初期値から1mgずつ減算することにより行なう。従って、ワイパのワイピング使用回数から記録ヘッド、ワイパの劣化具合のみならず、ウェット液の残量が推定される。
表9はワイパのワイピング使用回数とワイピング回数変更値とウェット液残量推定値とワイパ侵入量変更値との関係を示すテーブルである。
[表9]
Figure 2007076120
表9は表8に対して、ウェット液残量推定値し、ワイパ当接部に対するワイパの侵入量を変更値が付け加えられている。
表9によれば、例えば、ワイパのワイピング使用回数が45000回であった場合、ワイパ侵入量が標準値(Ref)のままでは、ワイパへのウェット液転写量が少なくなってしまうため、ワイパ侵入量を0.2mm増やし、転写量を増加させている。
また、記録装置の耐久寿命に相当するワイピング使用回数が50000回以上ではウェット液残量推定値は0gとなるが、実際は、ある程度マージンを持った量を注入しているため、ワイピング使用回数が50000回ですぐにウェット液がなくなることはない。また、この実施例でも実施例3と同様に50000回を超えるとワイパの劣化が予測されるため、以後のワイピング指令1回当たり、所定のワイピング回数に+1回のワイピングを行うよう制御する。
以上説明したようにこの実施例に従えば、ワイパの使用回数から記録ヘッドとワイパの劣化に加えて、ウェット液残量を推定することができる。そして、その残量に応じてワイパ当接部に対するワイパ侵入量を変化させることで、ウェット液のワイパへの転写量の低下を抑制することができる。この結果、記録ヘッドのインク吐出面の清掃を正常に行うことができ、記録品位を維持することができる。
なお、この実施例でもワイパ侵入量の制御によりウェット液の転写量を調整したが、本発明はこれにより限定されるものではない。例えば、ウェット液の転写時間や転写回数などを変化させて転写量を増やすようにしてもよい。
また、実施例1〜2で説明した環境温度と湿度による制御に加えて、この実施例で説明した制御を組み合わせて実施することも可能である。即ち、環境温度と湿度に従って転写時間を制御し、ワイパ使用回数から推定される記録ヘッドとワイパの劣化に対してワイピング回数を制御し、ウェット液残量に従ってワイパ侵入量を制御するのである。これにより、ウェット液残量と環境条件による転写量の変化を抑制するとともに、記録ヘッドとワイパの劣化も踏まえたワイピング動作を行うことが可能になる。
なお、以上説明した実施例では、ウェットワイピング動作を実行するタイミングについては説明してしないが、この動作は従来と同様に、タイマワイピングやドットカウントワイピングのタイミングで実行すると良い。
タイマワイピングとは、記録ヘッドのキャップオープン状態が所定時間継続したときにインク吐出面が乾燥している可能性があると判断して実行するワイピングである。また、ドットカウントワイピングとは、インク液滴の吐出数をカウントして所定量以上の記録がなされた場合にインク吐出面がインクミストで汚れている可能性があると判断して実行するワイピングである。
これに加えて、キャップクローズ前のタイミングでウェットワイピングを行なっても良い。これは、従来から行われているキャップクローズの前に記録ヘッドのインク吐出面に付着したインクを除去しその後の放置に備えるようにするためのワイピングである。
またさらに、記録装置を長期放置後に実行する吸引回復動作後に、記録ヘッドのインク吐出面に吸引回復動作により付着した比較的大量のインクを除去するためにウェットワイピングを行うことも好ましい。
上記実施例では、ワイパや記録ヘッドのワイピング回数に応じて1回のワイピング動作で行うワイピング回数を規定しているが、記録ヘッドやワイパの劣化に応じてワイピング動作を行う頻度を変更してもよい。具体的には、ワイピング回数が所定回数を超えたら、タイマワイピングではワイピング動作を行うトリガとする所定時間を短くしたり、ドットカウントワイピングではトリガの所定吐出数を小さくすればよい。また、記録ヘッドからの総吐出数が所定数を超えたときに、ワイピング動作に入るトリガを変更するような構成としてもよい。このようにしても、ワイパや記録ヘッドのインク吐出面が劣化したとしても、適正なクリーニング動作を行うことが可能となる。
以上説明してきたように本発明では、記録装置の設置環境において温度、湿度センサにより温度と湿度を検知し、低温、低湿環境下でのウェット液転写部の機械的な位置を制御し、ウェット液転写時の転写時間やワイピング回数等を制御する。これにより、低温、低湿環境下でのウェット液の粘度増加による転写量の減少を補正することや、転写量の減少に応じた最適なウェットワイピングシーケンスを実現することができる。その結果、ウェットワイピングの性能を維持し、記録ヘッドのインク吐出面の清掃を正常に行うことができる。
さらに、記録ヘッドの長期使用後であっても、記録ヘッドやワイパの劣化やウェット液の残量の減少に応じて、ワイパのウェット転写部に対する当接位置やウェットワイピングシーケンスの制御をすることで、ウェットワイピングの性能を維持することができる。
従って、記録装置使用中のワイピングによる記録ヘッドのインク吐出面の状態の変化(撥水性の劣化や、親水性の変化)を少なくし、たとえ状態の変化が起こっても、その変化に合わせた最適な制御を行うことができる。その結果、記録装置や記録ヘッドを長期間にわたり使用しても、精確なインク吐出を実現し、高品位な画像記録を維持することができる。
また、以上の実施例において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
以上の実施例は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば、電気熱変換体やレーザ光等)を備えている。そして、その熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させることにより記録の高密度化、高精細化を達成している。
本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の概略構成図である。 図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。 実施例1に従うウェットワイピング機構を説明する図である。 実施例1の変形例に従うウェットワイピング機構を説明する図である。 実施例2に従うウェットワイピングシーケンスを示すフローチャートである。 実施例2の変形例に従うウェットワイピングシーケンスを示すフローチャートである。 実施例3に従うウェットワイピングシーケンスを示すフローチャートである。 従来のインクジェット記録装置の回復機構の構成を示す断面図である。 従来のインクジェット記録装置の回復機構の構成を示す側断面図である。 従来のウェットワイピング機構を説明する図である。 グリセリンの温度−粘度曲線を示す図である。 グリセリン濃度の異なるグリセリン水溶液の温度−粘度曲線を示す図である。
符号の説明
1A、1B 記録ヘッド
1Aa、1Ba ノズル
2 キャリッジ
3 レール
4A、4B キャップ
5A、5B 吸引ポンプ
6A、6B、7A、7B チューブ
8 廃インク処理部材
9A、9B キャップ内吸収部材
10A、 10B クリーニング部材
11A、11B クリーナ
30 記録媒体
31 給紙ローラ
32 搬送ローラ
33 紙押え板
35 ヘッド回復装置
36 温度、湿度検出部材
20 ウェット液保持部
21 ウェット液伝達部
21a ワイパ当接部
22 回転軸
23 偏心カム
24 回転軸
601 MPU
603 ASIC
604 RAM
610 ホスト装置

Claims (14)

  1. インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、該記録ヘッドのインク吐出面を払拭するワイパと、前記ワイパを前記記録ヘッドに対して相対的に移動させて、前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭する清掃手段とを有するインクジェット記録装置であって、
    前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭するために用いる処理液を蓄える貯留部と、
    前記記録ヘッドのインク吐出面に当接する前記ワイパの一部に対して当接し前記貯留部に蓄えられた処理液を前記ワイパの一部に転写する転写手段と、
    前記インクジェット記録装置の設置環境の温度または湿度を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された温度または湿度に従って、前記処理液の転写量を制御する転写制御手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記ワイパは所定の方向に関して往復移動し、該往復移動経路の端部に前記転写手段が置かれ、前記往復経路上の途中に前記記録ヘッドのインク吐出面が位置し、前記転写手段の位置と、前記記録ヘッドのインク吐出面と前記ワイパとの当接位置との間に前記ワイパの一部に付着したインク残留物を除去するクリーナをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記転写制御手段は、前記検出された温度または湿度に従って、前記転写手段の前記ワイパの一部への当接位置を変化させることにより、前記処理液の転写量を変化させるよう制御する駆動手段を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記駆動手段は、前記転写手段を上下動させることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記駆動手段は、前記転写手段を回転させることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記転写制御手段は、前記検出された温度または湿度に従って、前記転写手段の前記ワイパの一部への当接時間を変化させることにより前記処理液の転写量を変化させるよう制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記転写制御手段は、さらに、前記検出された温度または湿度に従って、前記転写手段の前記ワイパの一部への当接回数を変化させることにより前記処理液の転写量を変化させるよう制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記処理液の転写は、前記ワイパによる前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭するたび毎に前記ワイパを前記転写手段の位置まで移動させることにより実行されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記処理液の転写は、さらに前記ワイパによる前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭する前に前記ワイパを前記転写手段の位置まで移動させることにより実行されることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記記録ヘッドのインク吐出面に対する払拭動作の回数を累積する第1計数手段と、
    前記払拭動作のためのワイパ使用回数と累積する第2計数手段とをさらに有し、
    前記転写制御手段は、前記第1及び第2の計数手段による累積結果に従って、1回の払拭命令当たりの前記清掃手段による払拭回数を制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記第2の計数手段による累積結果に従って、前記貯留部の処理液の残量を推定する推定手段をさらに有することを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記転写制御手段は、さらに前記第2の計数手段による累積結果に従って、前記処理液の転写量を制御することを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記転写制御手段は、前記処理液の転写量を、低温低湿時には増加させ、高温高湿時には減少させるよう制御することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  14. インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドと、該記録ヘッドのインク吐出面を払拭するワイパと、前記ワイパを前記記録ヘッドに対して相対的に移動させて、前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭する清掃手段とを有するインクジェット記録装置のヘッド回復方法であって、
    前記インクジェット記録装置の設置環境の温度または湿度を検出する検出工程と、
    前記記録ヘッドのインク吐出面に当接する前記ワイパの一部を前記記録ヘッドのインク吐出面を払拭するために用いる処理液を蓄える貯留部の一部に対して当接し、前記貯留部に蓄えられた処理液を前記当接部を介して前記ワイパの一部に転写する転写工程と、
    前記検出工程において検出された温度または湿度に従って、前記処理液の転写量を制御する転写制御工程とを有することを特徴とするヘッド回復方法。
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