しかし近年では、フレキシブル基板に代表されるような薄型の基板が安価で販売されるようになってきており、しかも、発光ダイオードなどの発光素子も薄型のものが販売される傾向にある。よって、不正装置も、従来よりも肉薄になる可能性が高いため、不正装置がメダル通路に挿入されてしまう可能性がある。ゆえに、不正行為を防止するためのさらなる対策が望まれている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、不正行為をより確実に防止できる遊技機を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、メダル投入口から投入された遊技用のメダルを取り込んで選別するとともに、前記メダルを遊技機内部の収納部に収納し、または受け皿に返却するメダルセレクタを有する遊技機において、前記メダルを取り込む取込口と、前記取込口から取り込まれた前記メダルを前記収納部の方向に案内するメダル通路と、前記メダル通路に設けられ、前記メダル通路を通過する前記メダルを検知する複数の検知手段とを備え、前記複数の検知手段は、前記メダル通路を通過する前記メダルに対して非接触状態で検知する非接触式検知手段と、前記メダル通路を通過する前記メダルに対して接触状態で検知する接触式検知手段とから構成され、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段が前記メダル通路を通過する前記メダルをあらかじめ決定された順序で検知したことを条件として正規メダルであるか否かを判定するメダル判定手段を備えることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
従って、請求項1に記載の発明によると、遊技機は、非接触式検知手段に加えて接触式検知手段も備えており、メダル判定手段は、非接触式検知手段及び接触式検知手段がメダル通路を通過するメダルをあらかじめ決定された順序で検知したことを条件として、正規メダルであるか否かを判定することが可能となっている。このため、非接触式検知手段及び接触式検知手段の検知タイミングに基づいて、両検知手段による検知が正規の検知であるか否かを判定することができる。よって、誤検知させるためには、非接触式検知手段に対応する位置に非接触式検知手段に検知させる部品(例えば発光素子など)を設けるとともに、接触式検知手段に対応する位置に接触式検知手段に対して接離する機構を設けなければならない。しかも、両者を、正規の検知タイミングに整合するように作動させなければならない。従って、不正装置を用いて不正を行うことが非常に困難になるため、不正行為をより確実に防止できる。
ここで、非接触式検知手段としては光センサなどが挙げられる。光センサとしては、発光部及び受光部がメダル通路を備え、発光部からの光をメダルが遮って受光部が受光不能となる場合にメダルを検知する対向型の光センサや、発光部及び受光部がメダル通路の同側方に位置し、メダルに反射した発光部からの光を受光部が受光するときにメダルを検知する反射型の光センサなどが挙げられる。また、非接触式検知手段としては、メダルが近付いたときにメダルを検知する近接センサなどが挙げられる。
また、接触式検知手段としては、メダルが接触したときにメダルを検知するタッチセンサや、接触検知部がメダルに押圧されたときにメダルを検知する機械式スイッチ(メカスイッチ)などが挙げられる。なお、接触式検知手段は、メダルに接触して動く接触検知部と、接触検知部の動きを検知する非接触式センサとからなっていてもよい。
なお、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段は、前記メダル通路が延びる方向に沿って互いに離間して配置されていてもよいし、互いに近接して配置されていてもよい。仮に、両検知手段が互いに離間して配置されていれば、不正装置をメダル通路内に挿入したとしても、両検知手段を探し出すことが困難になるため、不正装置を各検知手段に向けて作動させることが困難になる。よって、不正行為をより確実に防止できる。しかし、メダルの速度は、メダル通路を通過する間に変わってしまう可能性がある。このため、両検知手段が互いに離間していると、あらかじめ決定されたメダルの通過タイミングと実際のメダルの通過タイミングとの間にずれが生じてしまい、メダル通路を正規メダルが通過しているにもかかわらず、不正行為であると判断されてしまう可能性がある。よって、両検知手段は、メダル通路が延びる方向に沿って互いに近接して配置されることが好ましい。このようにすれば、メダルをより高精度に検知することができる。
また、非接触式検知手段及び接触式検知手段を、1つずつ存在させてもよいし、両検知手段の一方または両方を複数個ずつ存在させていてもよい。仮に、複数個ずつ存在していれば、不正装置を用いて不正を行おうとした際に、不正装置の作動タイミングを正規の検知タイミングに整合させることがより困難になる。しかし、非接触式検知手段及び接触式検知手段が多すぎると、装置全体の構成が複雑になってしまう。よって、例えば、非接触式検知手段を、不正行為を防止するという観点から複数設け、接触式検知手段を、装置全体の構成を簡略化するという観点から1つだけ設けることが好ましい。
ここで、「あらかじめ決定された順序」とは、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段がメダル通路を通過するメダルを検知する順序をいう。例えば、メダル通路の上流側から順に第1の非接触式検知手段、接触式検知手段、第2の非接触式検知手段を配置した場合、あらかじめ決定された順序は、第1の非接触式検知手段→接触式検知手段→第2の非接触式検知手段の順でメダルを検知する順序に定められている。なお、あらかじめ決定された順序を示すデータは、例えば遊技機を制御する主制御基板のROM(読み出し専用記憶装置)などに記憶されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の検知手段は、前記メダル通路が延びる方向において、前記メダルの直径分の長さを有する領域内に配設されていることをその要旨とする。
従って、請求項2に記載の発明によると、各検知手段は、メダルの直径分の長さを有する領域内に配設されるため、メダル通路が延びる方向に沿って比較的接近する。これにより、メダルの速度が、複数の検知手段に検知される間に変わってしまう可能性は低い。よって、メダルの速度変化に起因して、メダル通路を正規メダルが通過しているにもかかわらず不正行為であると判断されてしまうことを防止できる。ゆえに、メダルをより高精度に検知することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記非接触式検知手段は、前記メダル通路の上方位置及び下方位置のうちの一方に配設されるとともに、前記接触式検知手段は、前記上方位置及び前記下方位置のうちの他方に配設されることをその要旨とする。
上述したように、メダルを高精度に検知するためには、非接触式検知手段及び接触式検知手段を、メダル通路が延びる方向に沿って互いに近接して配置することが好ましい。しかし、両検知手段が近接しすぎると、接触式検知手段の検知動作が非接触式検知手段によって検知されてしまう可能性がある。その結果、両検知手段の検知タイミングが正規の検知タイミングに整合しなくなるため、メダル通路を正規メダルが通過しているにもかかわらず、不正行為であると判断されてしまう。
そこで、請求項3に記載の発明では、非接触式検知手段及び接触式検知手段を上方位置と下方位置とに分けて配設している。これにより、両検知手段がメダル通路が延びる方向に沿って互いに近接している場合であっても、接触式検知手段の検知動作を非接触式検知手段が検知することが防止される。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記複数の検知手段は、前記非接触式検知手段を複数備え、前記非接触式検知手段は、それぞれ発光部及び受光部を備え、前記発光部からの光を前記メダルが遮って前記受光部が受光不能となる場合に前記メダルを検知する対向型の光センサであり、前記複数の前記非接触式検知手段の前記発光部及び前記受光部が、前記メダル通路を挟んで互いに逆に配置されていることをその要旨とする。
従って、請求項4に記載の発明によると、複数の検知手段が非接触式検知手段と接触式検知手段とによって構成されるだけでなく、複数の非接触式検知手段の発光部及び受光部がメダル通路を挟んで互いに逆に配置されているので、不正行為をより確実に防止できる。即ち、接触式検知手段及び複数の非接触式検知手段を誤作動させるためには、接触式検知手段に対応する位置に接触式検知手段に対して接離する機構を設けるとともに、基板の両面に発光素子を取り付けた不正装置を用いる必要がある。そして、各検知手段を、正規の検知タイミングに整合するように作動させなければならない。その結果、不正装置を用いて不正を行うことが非常に困難となるため、不正行為をより確実に防止できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記複数の検知手段は、第1の非接触式検知手段と、前記第1の非接触式検知手段よりも前記メダル通路の下流側位置に配設される第2の非接触式検知手段と、前記第1の非接触式検知手段の下流側位置であって前記第2の非接触式検知手段の上流側位置に配設される接触式検知手段とから構成されていることをその要旨とする。
従って、請求項5に記載の発明によると、2つの検知手段ではなく3つの検知手段によって検知が行われるため、不正装置を用いて不正を行おうとしても、不正装置の作動タイミングを正規の検知タイミングに整合させることがより困難になる。よって、不正を行いうる余地をよりいっそう小さくすることができる。
請求項6に記載の発明は、メダル投入口から投入された遊技用のメダルを取り込んで選別するとともに、前記メダルを遊技機内部の収納部に収納し、または受け皿に返却するメダルセレクタを有する遊技機において、前記メダルを取り込む取込口と、前記取込口から取り込まれた前記メダルを前記収納部の方向に案内するメダル通路と、そのメダル通路は、前記取込口から取り込んだ前記メダルを進行方向を殆ど変えずに案内する第1通路と、前記第1通路を通過してきた前記メダルの進行方向を変えて案内する第2通路とを含んで構成されることと、前記第2通路を通過する前記メダルを検知する複数の検知手段と、前記第2通路において前記複数の検知手段よりも上流側位置に先端部が配設され、前記先端部が前記第2通路内に突出した際に、前記第2通路の下流側への前記メダルの通過を規制する一方、前記先端部が前記第2通路外に退避した際に、前記第2通路の下流側への前記メダルの通過を許容するメダル通過規制部材と、前記メダル通過規制部材の先端部を前記第2通路内に出没させるためのメダル通過規制部材用孔とを備え、前記複数の検知手段は、前記第2通路を通過する前記メダルに対して非接触状態で検知する非接触式検知手段と、前記第2通路を通過する前記メダルに対して接触状態で検知する接触式検知手段とから構成され、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段が前記第2通路を通過する前記メダルをあらかじめ決定された順序で検知したことを条件として正規メダルであるか否かを判定するメダル判定手段を備え、前記接触式検知手段は、前記メダル通過規制部材用孔を介して前記第2通路内に出没可能な接触検知部を有し、前記接触検知部は、前記第2通路において前記メダル通過規制部材よりも下流側位置に配設されていることを特徴とする遊技機をその要旨とする。
従って、請求項6に記載の発明によると、遊技機は、非接触式検知手段に加えて接触式検知手段も備えており、メダル判定手段は、非接触式検知手段及び接触式検知手段が第2通路を通過するメダルをあらかじめ決定された順序で検知したことを条件として、正規メダルであるか否かを判定することが可能となっている。このため、非接触式検知手段及び接触式検知手段の検知タイミングに基づいて、両検知手段による検知が正規の検知であるか否かを判定することができる。よって、誤検知させるためには、非接触式検知手段に対応する位置に非接触式検知手段に検知させる部品(例えば発光素子など)を設けるとともに、接触式検知手段に対応する位置に接触式検知手段に対して接離する機構を設けなければならない。しかも、両者を、正規の検知タイミングに整合するように作動させなければならない。従って、不正装置を用いて不正を行うことが非常に困難になるため、不正行為をより確実に防止できる。
また、接触式検知手段の接触検知部は、第2通路においてメダル通過規制部材よりも下流側位置に配設されている。このため、メダル通過規制部材によって第2通路の下流側(即ち、検知手段がある側)へのメダルの通過が規制されている際に、メダルの接触検知部への接触がメダル通過規制部材に遮られて防止される。従って、メダルが第2通路を通過していないにもかかわらず接触式検知手段が検知を行うことを防止できる。
ところで、遊技中(つまり回胴の回転時)において、メダルを受け皿に返却するとともに、検知手段の検知を行わないようにする(無効とする)遊技機がある。この遊技機では、不正装置が検知手段に対応する位置に挿入されるという問題があった。一方、請求項6に記載の発明の遊技機では、メダルの返却時にメダル通過規制部材が作動して第2通路内に突出するため、不正装置の第2通路への挿入が規制される。そして、第2通路においてメダル通過規制部材よりも下流側に接触式検知手段の接触検知部が配置されているため、不正装置が接触式検知手段に対応する位置に挿入されることを防止できる。なお、第2通路においてメダル通過規制部材よりも下流側に非接触式検知手段が配置されている場合、不正装置が非接触式検知手段に対応する位置に挿入されることも防止できる。
ここで、前記メダル通過規制部材は、前記第2通路内に突出する方向に付勢するメダル通過規制部材付勢用バネを有していることが好ましい。このように構成すれば、メダル通過規制部材が何らかの理由で作動しなくなったとしても、第2通路は塞がれた状態に維持される。よって、メダル通過規制部材の非作動時において、検知手段がある第2通路内への不正装置の侵入を防止できる。
また、前記接触検知部は、前記第2通路内に突出する方向に付勢する接触検知部付勢用バネを有していることがよい。このように構成すれば、接触検知部が接触検知部付勢用バネに付勢されて常時第2通路内に突出するようになる。また、接触検知部がメダルに押圧されてメダル通過規制部材用孔内に没入したとしても、接触検知部付勢用バネに付勢されて再び第2通路内に突出する。よって、第2通路を通過するメダルをより確実に検知することができる。
なお、接触検知部の先端部は、先端に行くに従って第2通路の下流側に傾斜する傾斜面を有していることが好ましい。このように構成すれば、接触式検知手段を通過する際にメダルの速度が落ちにくくなるため、正規の検知タイミングと実際のメダルの通過タイミングとの間にずれが生じにくくなる。よって、メダルをより高精度に検知することができる。
さらに、接触検知部の第2通路内への突出量は、前記メダル通過規制部材の第2通路内への突出量よりも小さいことが好ましい。また、接触検知部の突出部分を第1通路側から見たときの面積は、メダル通過規制部材の突出部分を第1通路側から見たときの面積よりも小さいことが好ましい。このように構成すれば、メダル通過規制部材に覆われることによって、接触検知部の第1通路側への露出が確実に防止される。従って、メダル通過規制部材によって第2通路の下流側へのメダルの通過が規制されている際に、メダルの接触検知部への接触をより確実に防止できる。
以上詳述したように、請求項1〜6に記載の発明によれば、不正行為をより確実に防止できる遊技機を提供することができる。
特に、請求項6に記載の発明によれば、メダルが第2通路を通過していないにもかかわらず接触式検知手段が検知を行うことを防止できる。
以下、本発明の一実施形態を具体化したスロット遊技機1を図1〜図13に基づき詳細に説明する。まず本実施形態のスロット遊技機1の基本的構成を説明する。
図1は、本実施形態のスロット遊技機1を遊技者側から見たときの全体正面図である。このスロット遊技機1は、長方形状の箱体(図示略)と、箱体の左端縁側に対して回動開閉可能に軸支された前扉2とを備えている。前扉2の前面側の略中央部において、箱体に取り付けられた図示しない可変表示装置(例えば回胴部材を有するドラムユニットなど)の前方位置には、矩形状の表示装置保護窓3が配設されている。従って、この表示装置保護窓3を介して可変表示装置の表示領域が視認可能となっている。なお、可変表示装置の表示領域には、複数の図柄からなる組合せが表示されるようになっている。
前扉2の前面において表示装置保護窓3の下方位置には、スタートレバー11、回胴停止装置である3つの停止ボタン12、BETボタン13、メダル返却ボタン14、清算ボタン15、メダル投入口16、施錠装置17などが配設されている。また、前扉2の前面における最下方中央部位置には受け皿18が配設されている。受け皿18の中央部にはメダル排出口19が形成され、その左側にはスピーカ20が配設されている。
図1に示されるように、箱体において前記可変表示装置の下方となる位置には、遊技機内部の収納部であるホッパー21が設置されている。ホッパー21の下端には図示しない払い出し装置が設けられるとともに、その払い出し装置によって所定数のメダルM1がメダル排出口19から排出されるようになっている。前扉2の裏面側における所定箇所には、メダル流路部材22が配設されている。メダル流路部材22は、直接メダル排出口19に接続されている。図1,図2に示されるように、前扉2の裏面側において前記メダル流路部材22の上方位置には、メダルセレクタ31が斜め下方に延びるようにして配設されている。かかるメダルセレクタ31は、メダル投入口16から投入されたメダルM1を取り込んで選別するとともに、前記メダルM1をホッパー21に収納し、またはメダル流路部材22及びメダル排出口19を介して受け皿18に返却するようになっている。
上記構成のスロット遊技機1では、遊技媒体としてメダルM1を用いて図柄組合せゲームが行われる。遊技者は、メダル投入口16からメダルM1を投入するか、あるいはBETボタン13を適宜操作してベット数を設定した後、スタートレバー11を操作して回胴部材を回転させる。回胴部材の回転が開始してから一定時間が経過するか、あるいは遊技者が停止ボタン12を操作すると、各回胴部材の回転が停止する。このとき、表示装置保護窓3を介して目視可能なドラムユニットの表示領域に現れる図柄が、特定の組み合せ態様になった場合には、賞として所定枚数のメダルM1が払い出されるようになっている。
次に、メダルセレクタ31の構成等について詳細に説明する。図3等に示されるように、本実施形態のメダルセレクタ31は、メダルセレクタ基体32とカバー部材33とを備えており、図2に示すように前扉2の裏面に配設されている。まずメダルセレクタ基体32側の構成について述べる。なお、図3にて正面を向いている面をメダルセレクタ31の表面とし、図4にて正面を向いている面をメダルセレクタ31の裏面とする。
図2,図3,図4,図8等に示されるように、メダルセレクタ基体32は合成樹脂材料からなる成形品であって、基体表面32a側には途中に曲がった部分(即ち進行方向変更部)を有するメダル通路41が構成されるようになっている。即ち、メダルセレクタ基体32の基体表面32aは、メダル通路41の一方側の側壁となっている。図8に示されるように、メダルセレクタ基体32の上端部には、メダル通路41内にメダルM1を取り込む際の入口である取込口36が形成されている。かかる取込口36は、前扉2に設けられたメダル投入口16の直下に配置されている。メダルセレクタ基体32の下端部には、メダル通路41からメダルM1を排出するための出口34が延設されている。出口34はホッパー21の上端開口部の直上に位置している。
ここでメダル通路41は、取込口36から取り込まれたメダルM1をホッパー21の上端開口の方面に案内する役割を果たしている。メダル通路41に沿ってその両側には部分的にリブが形成されている。図8に示されるように、かかるメダル通路41は、第1通路42及び第2通路43という2つの部分からなる。第1通路42は取込口36に連結されており、取込口36から取り込んだメダルM1を進行方向を殆ど変えずに斜め下方に案内するように構成されている。第2通路43は第1通路42の下端に連結されており、前記第1通路42を通過してきたメダルM1の進行方向を変えて斜め下方に案内するように構成されている。なお、水平線を基準としたときの第2通路43の傾斜角度は、水平線を基準としたときの第1通路42の傾斜角度よりも緩やかになっている。
図4,図8に示されるように、メダルセレクタ基体32において第1通路42のある箇所、言い換えると第1通路42の側壁となる部分には、メダル逃がしスリット35が貫通形成されている。メダル逃がしスリット35の基体裏面32b側の開口縁には面取りが施されている。メダル逃がしスリット35の幅(最大幅)は、正規メダルM1の直径よりも小さくなるようにあらかじめ設定されている。メダル逃がしスリット35は、正規メダルM1の直径よりも若干小さい程度に設定されることが望ましい。ここでは、直径25.0mm±0.03mm、厚さ1.6mm±0.05mmという寸法のメダルを「正規メダルM1」として定義する。なお、本実施形態のメダルセレクタ31の取込み可能なメダル寸法の範囲は、直径24.0mm〜25.5mm、厚さ1.5mm〜1.9mmとなっている。上記正規メダルM1の寸法以外のメダルを「不正メダル」とする。
図4,図8に示されるように、メダルセレクタ基体32の基体表面32aにおいて、第2通路43の前半部の底面となる部分には、第2通路43の底面の形状に沿って湾曲した開閉レール部材用溝44が形成されている。また、第2通路43の前半部底面となる部分において開閉レール部材用溝44の下流側端には、メダルストッパ46(メダル通過規制部材)の先端部を第2通路43内に出没させるためのメダルストッパ用孔45(メダル通過規制部材用孔)が貫通形成されている。図4に示されるように、メダルストッパ46は略L字状の金属片であって、その中間部分はメダルセレクタ基体32の基体裏面32bに回動可能に軸支されている。メダルストッパ46の先端部が第2通路43内に突出した場合、メダルストッパ46の先端部がメダルM1に当接可能となるため、第2通路43の下流側へのメダルM1の通過が規制される。一方、メダルストッパ46の先端部が第2通路43外に退避した場合、メダルストッパ46の先端部がメダルM1に当接不能となるため、第2通路43の下流側へのメダルM1の通過が許容される。また、メダルストッパ46の基端部と、メダルセレクタ基体32の基体裏面32bとの間には、メダルストッパ付勢用バネ47が介装されている。このメダルストッパ付勢用バネ47は、メダルストッパ46の基端部を基体裏面32bから離間させる方向に常時付勢している。従って、メダルストッパ46の先端部は、実質的に、第2通路43内に突出する方向に常時付勢されていることになる。
図4に示されるように、メダルセレクタ基体32の基体裏面32b側には、メダル検知用の検知装置100が取り付けられている。ここで、検知装置100の構成について述べる。図10に示されるように、検知装置100は、平面視略L字状に形成された配線基板111と、検知機構100aとを備えている。配線基板111は、メダルセレクタ基体32との組付状態における下面(第2通路43に臨む面)に検知機構実装領域112を有するとともに、検知機構実装領域112と同じ面における別の位置にコネクタハウジング実装領域113を有している。図4に示されるように、配線基板111は、基体裏面32b側において同基体裏面32bに直交するように配置されている。
図10に示されるように、配線基板111の検知機構実装領域112には、検知機構100aが実装されている。即ち、検知機構100aは、配線基板111の下面に実装されている。なお、検知機構100aは、配線基板111の上面に実装されていてもよいが、第2通路43から離れてしまうため、検知機構100aを大型化・複雑化しなければ、第2通路43を通過するメダルM1を検知できない可能性が高い。よって、検知機構100aは、配線基板111の下面に実装されることが好ましい。検知機構100aは、接触式検知手段101及び検知部支持体103を備えている。検知部支持体103は、略箱状をなしており、接触式検知手段101の接触検知部102を回動可能に支持している。図11に示されるように、検知部支持体103の一側面には、ネジ孔を有するネジ孔部103bが突設されている。図4に示されるように、検知部支持体103は、ネジ孔部103bのネジ孔を挿通したネジをメダルセレクタ基体32の基体裏面32bに螺着させることにより、メダルセレクタ基体32に固定される。これにより、検知装置100がメダルセレクタ基体32に固定される。
一方、接触式検知手段101は、第2通路43を通過するメダルM1に対して接触状態で検知するようになっている。図10に示されるように、接触式検知手段101は、接触検知部102と光センサ104(非接触式センサ)とを有している。接触検知部102は、互いに直交する第1腕部102a及び第2腕部102bを有している。接触検知部102は、第1腕部102aと第2腕部102bとの接続部分を挿通する回動軸105を介して、検知部支持体103に回動可能に取り付けられている。なお、回動軸105は、第2通路43の延びる方向(図10にてA1で示す矢印の方向)と平行に配置されている。また、第1腕部102aの先端部側面には、前記メダルストッパ用孔45を介して第2通路43内に出没可能な突出部102dが形成されている。突出部102dは、第2通路43内に突出することで第2通路43を通過するメダルM1に接触可能となっている。なお、突出部102dは、メダルストッパ用孔45内においてメダルストッパ46の先端部よりも第2通路43の下流側に位置するとともに、第2通路43の底面近傍に位置するようになっている。突出部102dにおけるメダル接触面は、突出部102dの先端に行くに従って矢印A1方向に傾斜している。図11に示されるように、第2腕部102bの先端部と検知部支持体103との間には、接触検知部付勢用バネ107が介装されている。この接触検知部付勢用バネ107は、第2腕部102bの先端部を検知部支持体103から離間させる方向に常時付勢している。これに伴い、突出部102dは、実質的に、第2通路43内に突出する方向に常時付勢される。さらに、図10に示されるように、第2腕部102bの先端部側方には、検知部支持体103に設けられた規制孔103aの下端に係合することにより、検知部支持体103から離間させる方向への第2腕部102bの移動を規制する回動規制片106が設けられている。また、第2腕部102bの基端部には、回動規制片106と同方向に突出する検知用突片102cが設けられている。
図10に示されるように、接触式検知手段101が有する光センサ104は、前記配線基板111の前記検知機構実装領域112に実装されている。光センサ104は、略コ字状をなし、溝部を隔てて互いに向かい合う発光部と受光部とを備えている。光センサ104は、接触検知部102の回動に伴う検知用突片102cの動きを非接触状態で検知するようになっている。具体的に言うと、光センサ104は、突出部102dへのメダルM1の接触に伴って接触検知部102が回動し、発光部からの光を検知用突片102cが遮って受光部が受光不能となる場合(図10(b)及び図11(c),(d)参照)に、メダルM1を検知する(オン状態となる)ようになっている。この場合、光センサ104は、接触検知信号を、スロット遊技機1が備える主制御基板(図示略)のCPU(中央処理装置)に後述するコネクタハウジング114を介して出力する。一方、発光部からの光を受光部が受光可能となる場合には(図10(a)及び図11(a),(b),(e),(f)参照)、光センサ104は、メダルM1を検知せず(オフ状態となり)、接触検知信号を出力しない。
また、図10に示されるように、配線基板111の検知機構実装領域112には、第1の非接触式検知手段である光センサ50と、第2の非接触式検知手段である光センサ51とが、2個並列に実装されている。図8に示されるように、光センサ50の一部、及び、光センサ51の一部は、第2通路43の前半部の上面部分に貫通形成された光センサ用孔52から第2通路43内に突出している。即ち、検知機構実装領域112の一部は、光センサ用孔52を介してメダルセレクタ基体32の基体表面32a側に突出している。その結果、光センサ50,51の一部(透過部)が光センサ用孔52を介して第2通路43に臨むようなかたちで配置される。なお、各光センサ50,51は、第2通路43の上方位置に配設されている。一方の光センサ50は第2通路43の上流側位置に配設され、他方の光センサ51は、光センサ50よりも第2通路43の下流側位置に配設されている。また、光センサ50,51は、前記メダルストッパ46の先端部よりも第2通路43の下流側位置に配設されている。なお、接触式検知手段101の接触検知部102が有する突出部102dは、光センサ50よりも下流側位置であって光センサ51よりも上流側位置、即ち、各光センサ50,51の間の位置に配設されている(図12参照)。また、各光センサ50,51及び突出部102dは、第2通路43が延びる方向において、メダルM1の直径分の長さ(具体的には25.0mm)を有する領域内に配設されている。これにより、メダルM1の検知時において、全ての光センサ50,51,104がメダルM1を検知する状態(図13の期間D参照)を作り出すことができる。実際には、第2通路43が延びる方向において、光センサ50の発光部54及び受光部55と、突出部102dの先端との間隔L1(図12参照)は、4.0〜6.0mmに設定されている。また、第2通路43が延びる方向において、光センサ51の発光部54及び受光部55と、突出部102dの先端との間隔L2(図12参照)は、4.0〜6.0mmに設定されている。即ち、光センサ50,51及び突出部102dは、第2通路43が延びる方向に沿って互いに近接して配置されている。
図10〜図12に示されるように、各光センサ50,51は、いずれも略コ字状をなす対向型の光センサであり、発光部54と受光部55とを第2通路43の両側にそれぞれ備えている。発光部54と受光部55との隙間は、第2通路43の一部を構成している。各光センサ50,51は、第2通路43を通過するメダルM1に対して非接触状態で検知するようになっている。具体的に言うと、各光センサ50,51は、発光部54からの光をメダルM1が遮って受光部55が受光不能となる場合にメダルM1を検知し(オン状態となり)、第1非接触検知信号及び第2非接触検知信号を後述するコネクタハウジング114を介して前記主制御基板のCPUに出力する。また、各光センサ50,51は、発光部54からの光を受光部55が受光可能となる場合にはメダルM1を検知せず(オフ状態となり)、第1非接触検知信号及び第2非接触検知信号を出力しない。なお、各光センサ50,51のそれぞれの発光部54及び受光部55は、第2通路43を挟んで互いに逆に配置されている。本実施形態では、第2通路43の上流側の光センサ50は、第2通路43の奥側(図12では下側)に発光部54を有し、手前側(図12では上側)に受光部55を有している。また、第2通路43の下流側の光センサ51は、第2通路43の手前側(図12では上側)に発光部54を有し、奥側(図12では下側)に受光部55を有している。なお、各光センサ50,51の発光部54及び受光部55は、第2通路43を挟んで本実施形態の場合とは逆に配置されていてもよい。
図4,図10,図11に示されるように、前記配線基板111において検知機構実装領域112とは別の位置に設定された前記コネクタハウジング実装領域113には、2つのコネクタハウジング114が実装されている。コネクタハウジング114は、配線基板111の導体パターンを介して光センサ50,51や前記検知機構100aの光センサ104などに電気的に接続されている。なお、配線基板111には、光センサ50,51、検知機構100a及びコネクタハウジング114のほかに、抵抗やコンデンサなどが実装されている。
図2,図3,図8に示されるように、前記メダルセレクタ基体32の前記基体表面32aにおいて、第2通路43の前記光センサ用孔52よりもさらに下流側には、弾性を有する金属カバー片56が着脱可能に装着されている。そして、この金属カバー片56とメダルセレクタ基体32との間に第2通路43の後半部が形成されている。メダルセレクタ基体32において第2通路43の終端部には、メダルM1と当接することによりその進行方向を出口34側に向けて約90°変更する進行方向変更突起57が一体形成されている。
次に、メダルセレクタ基体32に取り付けられているカバー部材33側の構成について述べる。
図2,図3,図5,図6等に示されるように、本実施形態のカバー部材33は、透明な合成樹脂材料からなる板状の成形品であって、メダルセレクタ基体32の基体表面32aの側に着脱可能な構造となっている。また、図4に示されるカバー部材33の裏面33bの側にはメダル通路41の一部が構成されるようになっている。即ち、カバー部材33の裏面33bはメダル通路41の他方側の側壁となっている。前記カバー部材33は、その裏面33bの側をメダルセレクタ基体32の基体表面32aに向けた状態で配置される。図5に示されるように、本実施形態のカバー部材33は、メダルセレクタ基体32に対し、弾性係止部材61を用いて開閉可能かつ着脱可能な状態で係止されている。この弾性係止部材61は、屈曲した形状のフック部61bと、捩りバネ部61aとを有している。フック部61bの略V字状部分は、メダルセレクタ基体32の基体裏面32bに対して引っ掛けられるようになっている。捩りバネ部61aは、カバー部材33を閉じる方向に常時付勢するバネ力を作用させる役割を果たしている。
カバー部材33の表面33aの側における一端(図6では右端)には、金属製の弾性係止部材61を取り付けるための弾性係止部材取付軸62が両持ち支持されている。この弾性係止部材取付軸62には、弾性係止部材61の捩りバネ部61aが巻装されている。
カバー部材33の表面33aの側における他端(図6では左端)には、位置決め凹部63が設けられている。一方、図2,図3,図8等に示されるように、メダルセレクタ基体32の基体表面32aにおける対応箇所には、位置決め突起64が突設されている。従って、この位置決め突起64が位置決め凹部63に係合することにより、カバー部材33の開閉時のメダルセレクタ基体32に対する位置決めが図られるようになっている。
図5,図6,図7等に示されるように、カバー部材33の表面33aの側における略中央部には、返却口70を開閉させる開閉手段65を駆動させる電磁石(ソレノイド)66が搭載されている。返却口70は、メダル通路41において前記光センサ50,51及び前記接触式検知手段101の突出部102dよりも上流側であって、かつ前記進行方向変更部の近傍位置に形成されている。前記電磁石66は、カバー部材33の表面33aに対してコアの軸線方向が直交するような状態で配置されている。カバー部材33は金属製の開閉レール部材71を備えている。開閉レール部材71は、第2通路43の底面の一部を構成し、吸着部72、レール湾曲部73及びレール直線部74を有している。吸着部72は電磁石66の端面を覆うようにして配置されている。レール湾曲部73及びレール直線部74は吸着部72の一端(図6では下端)に設けられている。レール湾曲部73及びレール直線部74は、カバー部材33に貫通形成された開閉レール部材用スリット75を介してメダル通路41内に出没可能となっている。なお、第2通路43のレール直線部74以降の領域には、光センサ50,51及び突出部102dが設けられている。吸着部72の他端(図6では上端)は、カバー部材33の表面33aの側に設けられた開閉レール部材取付軸76に回動可能に軸支されている。この開閉レール部材取付軸76にはレール部材付勢用バネ77(付勢部材)が巻装されている。このレール部材付勢用バネ77は、吸着部72を電磁石66から離間させる方向(即ちレール湾曲部73及びレール直線部74を第2通路43から退避させる方向)に常時付勢している。
そして、電磁石66に通電がなされている励磁状態のときには、吸着部72が電磁石66に吸着される結果、レール湾曲部73及びレール直線部74が第2通路43の底面をなす位置(即ち閉位置)に移動するようになっている。なお、この場合にはレール湾曲部73の閉鎖によって返却口70が閉口される。電磁石66への通電がなされない非励磁状態のときには、吸着部72が電磁石66に吸着されなくなる。このため、レール部材付勢用バネ77の付勢力によって、レール湾曲部73及びレール直線部74が、第2通路43の底面をなさない位置(即ち開位置)に移動するようになっている(図7(a)参照)。なお、この場合にはレール湾曲部73及びレール直線部74の開放によって返却口70が開口される。また、レール直線部74の先端部とメダルストッパ46の先端部とは、常時当接し合うようにして配置されているため、メダルストッパ46は開閉レール部材71の動きに以下のように追従するようになっている。励磁状態のときには、レール直線部74との当接によって、メダルストッパ46の先端部が押圧されて第2通路43上から退避するようになっている。また、非励磁状態のときには、メダルストッパ46の先端部は、メダルストッパ付勢用バネ47の付勢力の作用により、第2通路43上に突出するようになっている。
図3,図6等に示されるように、カバー部材33において電磁石66が搭載されている箇所の右側には、上記光センサ50,51の一部を挿通するための光センサ用挿通孔78が貫通形成されている。
また、カバー部材33の表面33aの側には、正規メダルM1とそれよりも小径の不正メダルとを振り分けて選別するために、略L字状をした合成樹脂製の振分け部材81が設けられている。振分け部材81の中間部分は、カバー部材33の表面33aの側における所定箇所(図6では電磁石66の左斜め上の箇所)にて、回動可能に軸支されている。振分け部材81の先端部84は、カバー部材33に貫通形成された振分け部材用孔82を介して第1通路42内に出没可能になっている。振分け部材81の先端部84には、上部から下部に行くに従って基体裏面32bの方向に突出するような傾斜部が設けられている(図4参照)。振分け部材81の基端部と、カバー部材33の表面33aとの間には、振分け部材付勢用バネ83が介装されている。この振分け部材付勢用バネ83は、振分け部材81の基端をカバー部材33の表面33aから離隔させる方向に常時付勢している。従って、振分け部材81の先端部84は、第1通路42内に突出する方向に常時付勢されており、第1通路42を通過しようとするメダルM1を基体表面32a側から基体裏面32b側へ押圧するようになっている。
従って、小径の不正メダルは、第1通路42を通過する際に、振分け部材81の先端部84に当接する。しかし、このとき小径の不正メダルは、第1通路42におけるメダル逃がしスリット35の一方(図4では右側)の開口縁のみに接触しながら斜め下方へと移動する。従って、小径の不正メダルは、第1通路42内に突設した振分け部材81の先端部84に当接して押圧力を受けることで、体勢を崩しやすくなる。その結果、小径の不正メダルは、自身の直径よりも幅広のメダル逃がしスリット35を容易に通り抜けて、メダルセレクタ基体32の基体裏面32b側に到ってしまう。よって、小径の不正メダルは第1通路42を通過して第2通路43へと進行することができず、結果として正規のものと確実に選別される。なお、本実施形態において小径の不正メダルは、メダル流路部材22及びメダル排出口19を介して最終的に受け皿18に返却されるようになっている。
図4,図7に示されるように、カバー部材33の裏面33bの側における所定箇所には、メダル詰まり解除突起91(被押圧部)が一体的に設けられている。メダルセレクタ基体32においてメダル詰まり解除突起91に対応した箇所には、図8に示されるように、メダル詰まり解除突起91よりも一回り大きい突起挿通孔92が貫通形成されている。そして、この突起挿通孔92にメダル詰まり解除突起91が挿通される結果、メダル詰まり解除突起91の先端部が基体裏面32b側に到っている。
図7(b)に示されるように、遊技機前面(前扉2の前面2a)には、メダル返却ボタン14の頭部14aが露出しており、その頭部14aの内面側には軸部14b、押圧板14d、復帰バネ14e等が設けられている。頭部14aを押圧すると、押圧板14dがメダル詰まり解除突起91の先端部に当接して、カバー部材33を図7(b)の右側方向に押圧する。その結果、弾性係止部材取付軸62を軸として、図7(b)の右側方向にカバー部材33が開き、カバー部材33とメダルセレクタ基体32との間隔が広くなる。その結果、メダル通路41が開放されてその中にあるメダルM2を落下させ、メダル流路部材22にメダルM2を返却することができる。従って、メダル通路41内にてメダル詰まりが生じた場合であっても、遊技者はそれを迅速に解消することができる。
次に、上記のように構成されたメダルセレクタ31の動作を、図9に基づいて説明する。
まず遊技者によって正規のメダルM1が投入された場合について説明する。メダル受付許可時においては、電磁石66は通電により励磁されている。そのため、開閉レール部材71は閉位置にあり、返却口70は閉口している。
メダル投入口16からはメダルM1が一枚ずつ投入される。そこから投入された正規メダルM1は、取込口36を介してメダル通路41内に入り込む。そして、正規メダルM1は、第1通路42におけるメダル逃がしスリット35の左右の開口縁に接触しながら斜め下方へと移動する(図9の破線円の部分を参照)。従って、正規メダルM1の表面側が、第1通路42内に突設した振分け部材81の先端部84に当接しても、なんら影響を受けることなく第1通路42を通過する。その際、正規メダルM1であれば、メダル外縁部の2箇所が、第1通路42にあるメダル逃がしスリット35の縁部に摺接可能である。そのため、正規メダルM1は体勢を崩すことがなく、メダル逃がしスリット35を介して反対側に通り抜けないようになっている。なお、正規メダルM1の通過時に、正規メダルM1は必ず振分け部材81の先端部84に当接することになる。この関係上、通過する際に抵抗が発生して速度が落ちすぎないように、振分け部材付勢用バネ83の付勢力をある程度弱めに設定しておくことが好ましい。
開閉手段65の電磁石66は上記のごとく励磁されているので、開閉レール部材71の吸着部72が電磁石66に吸着されている。これにより、レール湾曲部73及びレール直線部74が開閉レール部材用スリット75を介してメダル通路41内(即ちメダル軌道上)に突出して、第2通路43の底面をなす閉位置に移動する結果、返却口70が閉口状態となる。また、突出した開閉レール部材71のレール直線部74との当接によって、メダルストッパ46の先端部が押圧されて第2通路43上から退避するため、正規メダルM1は第2通路43の前半部において進行方向を変更しつつそこを通過可能となる。その後、正規メダルM1は、進行方向の前後方向に整列して設けられた一対の光センサ50,51及び接触式検知手段101を通過して、メダルセレクタ基体32及び金属カバー片56により形成された第2通路43の後半部に到る(図9の破線円の部分を参照)。そして正規メダルM1は、進行方向変更突起57に衝突して円滑に進路を変更した後、出口34を出て落下してホッパー21内へ収納される。
ここで、各光センサ50,51及び接触式検知手段101(光センサ104)による、第2通路43を通過するメダルM1の検知状況を図13等を参照して説明する。メダルM1が通過する前の期間(期間A)においては、光センサ50,51の受光部55は、発光部54からの光をメダルM1に遮蔽されることなく受光するため、光センサ50,51はメダルM1を検知しない(オフ状態である)。また、メダルM1は突出部102dに接触しないため、接触検知部102も回動しない。このため、光センサ104の受光部は、発光部からの光を検知用突片102cに遮蔽されることなく受光するため、光センサ104はメダルM1を検知しない(オフ状態である)。
そして、第2通路43を通過するメダルM1は、期間A→期間Bとなる時点で光センサ50の発光部54の光を遮蔽する(図11(a),(b)参照)。このとき、光センサ50の受光部55が発光部54からの光を受光できなくなり、光センサ50はメダルM1を検知する(オン状態となる)。次に、メダルM1は、期間B→期間Cとなる時点で突出部102dに接触し、接触検知部102を回動させる(図11(c),(d)参照)。その結果、光センサ104の発光部からの光が検知用突片102cによって遮蔽されるため、発光部からの光を受光部で受光できなくなり、光センサ104はメダルM1を検知する(オン状態となる)。さらに、メダルM1は、期間C→期間Dとなる時点で光センサ51の発光部54の光を遮蔽する。このとき、光センサ51の受光部55が発光部54からの光を受光できなくなり、光センサ51はメダルM1を検知する(オン状態となる)。その結果、期間Dでは、全ての光センサ50,51,104がメダルM1を検知した状態となる。
その後、メダルM1は、期間D→期間Eとなる時点で光センサ50の発光部54からの光を遮蔽しなくなる。その結果、発光部54からの光が受光部55に入射するようになり、光センサ50はメダルM1を検知しなくなる(オフ状態となる)。次に、メダルM1は、期間E→期間Fとなる時点で突出部102dに接触しなくなる(図11(e),(f)参照)。その結果、光センサ104の発光部からの光が検知用突片102cによって遮蔽されなくなるため、発光部からの光を受光部で受光できるようになり、光センサ104はメダルM1を検知しなくなる(オフ状態となる)。さらに、メダルM1は、期間F→期間Gとなる時点で光センサ51の発光部54からの光を遮蔽しなくなる。その結果、発光部54からの光が受光部55に入射するようになり、光センサ51はメダルM1を検知しなくなる(オフ状態となる)。これにより、光センサ50,51,104の全てが初期状態(期間Aの場合と同じ状態)に戻る。
従って、光センサ50は3つの期間B〜Dでオン状態となり、光センサ104は3つの期間C〜Eでオン状態となり、光センサ51は3つの期間D〜Fでオン状態となる。即ち、光センサ50→光センサ104→光センサ51の順でメダルM1が検知され(オフ状態からオン状態)、光センサ50→光センサ104→光センサ51の順でメダルM1が検知されなくなる(オン状態からオフ状態)。なお、各光センサ50,51としては同一のものが用いられているため、光センサ50,51がオン状態となる時間は互いに同一である。また、本実施形態では、光センサ104がオン状態となる時間は、他の光センサ50,51がオン状態となる時間と同一になっている。なお、突出部102dがメダルM1に接触した状態で、メダルM1の中心を通過するように突出部102dを摺動させれば、光センサ104がオン状態となる時間は長くなる。一方、突出部102dがメダルM1に接触した状態で、メダルM1の外周部のみを通過するように突出部102dを摺動させれば、光センサ104がオン状態となる時間は短くなる。但し、光センサ104は、光センサ50より先にオン状態になることはないし、光センサ51より後にオン状態になることもない。ゆえに、光センサ50,51,104によるメダルM1の検知順序が、光センサ104がオン状態となる時間の長短に応じて変わることはない。
また、各光センサ50,51,104がメダルM1を検知した際の信号は、遊技全体の制御を行う主制御基板のCPUにそれぞれ第1非接触検知信号、第2非接触検知信号、接触検知信号として出力される。そして、CPUは、各光センサ50,51,104から出力された検知信号の順序及び検知時間が、主制御基板のROM(図示略)に記憶されているあらかじめ決定された順序及び検知時間と一致するか否かを判定する。なお、あらかじめ決定された順序は、光センサ50→光センサ104→光センサ51の順でメダルM1を検知する順序と定められている。また、あらかじめ決定された検知時間は、光センサ50,51,104のそれぞれがオン状態となる時間(期間BCD、期間DEF、期間CDE)と定められている。あらかじめ決定された順序及び検知時間と一致する場合には、CPUは、第2通路43を通過するメダルを正規メダルM1と判定し、投入メダルとしてその正規メダルM1を受付けるような制御を行う。これに対して、あらかじめ決定された順序及び検知時間と一致しない場合には、投入メダルエラーとなり、CPUは、第2通路43を通過するメダルを不正メダルと判定し、投入されたメダルを無効とするような制御を行う。即ち、主制御基板のCPUは、『メダル判定手段』としての機能を有している。なお、本実施形態において正規メダルM1と判定するためには、各光センサ50,51,104から出力された検知信号の検知時間が、あらかじめ決定された検知時間と一致する必要がある。しかし、両検知時間に誤差があったとしても、その誤差が所定の範囲内にあれば正規メダルM1であると判定するようにしてもよい。
従って、例えば、光センサ50,51及び接触式検知手段101を一旦通過させた糸付きメダルを往復動させて何度も検知させる等の不正行為を効果的に防止できる。また、光センサ50,51のそれぞれの受光部55に対して発光する不正装置を挿入した場合であっても、接触式検知手段101があることにより、不正と判断しやすくなる。
次に、正規メダルM1を返却する場合については、以下のようになる。なお、正規メダルM1の返却は、メダル受付不許可時に正規メダルM1を投入した場合に行われるとともに、受付可能枚数以上のメダルM1を投入した場合についても行われる。この場合、電磁石66は通電されなくなるため非励磁状態となる。そのため、開閉レール部材71は開位置にあり、返却口70は開口状態となる。
メダル投入口16から投入された正規メダルM1は、取込口36から取り込まれた後、第1通路42を通過して斜め下方に進む。上記のごとく開閉手段65の電磁石66は消磁されて、かつメダルストッパ付勢用バネ47の付勢力が作用しているので、開閉レール部材71の吸着部72は電磁石66から離間する位置にある。これにより、レール湾曲部73及びレール直線部74がメダル通路41から退避して、第2通路43の底面をなさない開位置に移動する結果、第2通路43の底面にて返却口70が開口される。従って、第1通路42により案内された正規メダルM1は、その進行方向を保ちつつ、レール湾曲部73及びレール直線部74の開放によって開口された返却口70から下方に排出され、メダル流路部材22に返却される(図9の一点鎖線円を参照)。
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態におけるスロット遊技機1のメダルセレクタ31は、光センサ50,51に加えて接触式検知手段101も備えている。また、各光センサ50,51の発光部54及び受光部55が第2通路43を挟んで互いに逆に配置されている。しかも、主制御基板のCPUは、光センサ50→接触式検知手段101の光センサ104→光センサ51の順でメダルM1を検知したことを条件として、第2通路43を通過するメダルが正規メダルM1であると判定する。よって、誤検知させるためには、基板の両面において光センサ50,51に対応する位置にそれぞれ発光素子を有し、接触式検知手段101を構成する接触検知部102の突出部102dに対応する位置に、突出部102dに対して接離する機構を有する不正装置を設けなければならない。しかも、各部品及び機構を、正規の検知順序に整合するように作動させなければならない。従って、不正装置を用いて不正を行うことが非常に困難になるため、不正行為をより確実に防止できる。
(2)本実施形態では、接触検知部102の突出部102dが、メダルストッパ用孔45内においてメダルストッパ46の先端部よりも第2通路43の下流側位置に配設されている。このため、メダルストッパ46によって第2通路43の下流側(即ち、光センサ50,51及び突出部102dがある側)へのメダルM1の通過が規制されている際に、メダルM1の突出部102dへの接触がメダルストッパ46に遮られて防止される。従って、メダルM1が第2通路43を通過していないにもかかわらず接触式検知手段101が検知を行うことを防止できる。
(3)本実施形態では、光センサ50,51及び突出部102dが、第2通路43が延びる方向に沿って互いに近接して配置されている。このため、光センサ50,51及び突出部102dを通過する間にメダルM1の速度が変化する可能性が低くなる。よって、各光センサ50,51,104による実際の検知時間と、主制御基板のROMに記憶されているあらかじめ決定された検知時間とのずれが小さくなるため、正規メダルM1であるにもかかわらず、主制御基板のCPUによって不正メダルであると判定されることを防止できる。
(4)本実施形態の接触検知部102は、第2通路43内に突出可能な突出部102dを有しており、突出部102dは、第1腕部102aの基端部ではなく先端部に配置されている。このため、メダルM1が突出部102dに接触した際に接触検知部102を小さい力で回動させることができる。即ち、突出部102dの回動時にメダルM1に加わる抵抗が小さくなるため、メダルM1の速度低下を防止できる。従って、正規メダルM1であるにもかかわらず、主制御基板のCPUによって不正メダルであると判定されることを防止できる。
(5)本実施形態では、接触式検知手段101の光センサ104(非接触式センサ)が第2通路43から離間して配置されるため、光センサ104に対応する位置に不正装置の発光素子を設けることが困難になる。ゆえに、不正を行うことがよりいっそう困難になる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、光センサ50,51及び突出部102dは、第2通路43が延びる方向においてメダルM1の直径分の長さ(具体的には25.0mm)を有する領域内に配設されていた。即ち、光センサ50,51及び突出部102dは、第2通路43が延びる方向に沿って互いに近接して配置されていた。
しかし、光センサ50,51及び突出部102dは、第2通路43が延びる方向においてメダルM1の直径よりも長く(具体的には25.0mmよりも長く)、第2通路43の長さ以下(具体的には100.0mm以下)となる領域内に配設されていてもよい。換言すると、光センサ50,51及び突出部102dは、第2通路43が延びる方向において、メダルM1の直径よりも長くメダルM1の直径の4倍以下の長さとなる領域内に配設されていてもよい。このように構成すれば、光センサ50,51及び突出部102dが、第2通路43が延びる方向に沿って互いに離間して配置される。その結果、不正装置を第2通路43内に挿入したとしても、光センサ50,51及び突出部102dを探し出すことが困難になるため、不正装置を光センサ50,51及び突出部102dに対して作動させることが困難になる。よって、不正行為をより確実に防止できる。
・上記実施形態では、接触式検知手段101の接触検知部102が有する突出部102dは、光センサ50よりも下流側位置であって光センサ51よりも上流側位置に配設されていた。しかし、突出部102dは、光センサ50よりも上流側位置に配設されていてもよいし、光センサ51よりも下流側位置に配設されていてもよい。
・上記実施形態では、正規メダルM1と判定する条件となるあらかじめ決定された順序が、光センサ50→光センサ104→光センサ51の順でメダルM1を検知する順序と定められており、正規メダルM1と判定する条件となるあらかじめ決定された検知時間が、光センサ50,51,104のそれぞれがオン状態となる時間(期間BCD、期間DEF、期間CDE)と定められていた。しかし、あらかじめ決定された検知時間を、光センサ50がオン状態となってから光センサ51がオフ状態となるまでの時間(期間BCDEF)に変更してもよい。また、光センサ50,51,104の全てがオン状態になっていることを、正規メダルM1と判定する条件としてもよい。
・本発明のメダルセレクタ31は、上記実施形態にて示したようなスロット遊技機1に適用されるばかりでなく、遊技媒体としてメダルを用いる他の遊技機においても適用されることが可能である。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態に
よって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1乃至6のいずれか1項において、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段は、前記メダル通路が延びる方向において前記メダルの直径分の長さを有する領域内に配設され、前記メダル通路が延びる方向に沿って互いに近接して配置されていること。
(2)請求項1乃至6のいずれか1項において、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段は、前記メダル通路が延びる方向において、前記メダルの直径よりも長く前記メダルの直径の4倍以下の長さとなる領域内に配設され、前記メダル通路が延びる方向に沿って互いに離間して配置されていること。
(3)メダル投入口から投入された遊技用のメダルを取り込んで選別するとともに、前記メダルを遊技機内部の収納部に収納し、または受け皿に返却するメダルセレクタを有する遊技機において、前記メダルを取り込む取込口と、前記取込口から取り込まれた前記メダルを前記収納部の方向に案内するとともに、進行方向変更部をその途中に有するメダル通路と、前記メダル通路において前記進行方向変更部以降の領域に設けられ、前記メダル通路を通過する前記メダルを検知する複数の検知手段と、前記メダル通路において前記検知手段よりも上流側であってかつ前記進行方向変更部の近傍位置に形成される返却口と、前記返却口を開閉させる開閉手段とを備え、前記複数の検知手段は、前記メダル通路を通過する前記メダルに対して非接触状態で検知する非接触式検知手段と、前記メダル通路を通過する前記メダルに対して接触状態で検知する接触式検知手段とから構成され、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段が前記メダル通路を通過する前記メダルをあらかじめ決定された順序で検知したことを条件として正規メダルであるか否かを判定するメダル判定手段を備えることを特徴とする遊技機。
(4)メダル投入口から投入された遊技用のメダルを取り込んで選別するとともに、前記メダルを遊技機内部の収納部に収納し、または受け皿に返却するメダルセレクタを有する遊技機において、前記メダルを取り込む取込口と、前記取込口から取り込まれた前記メダルを前記収納部の方向に案内するメダル通路と、そのメダル通路は、前記取込口から取り込んだ前記メダルを進行方向を殆ど変えずに案内する第1通路と、前記第1通路を通過してきた前記メダルの進行方向を変えて案内する第2通路とを含んで構成されることと、前記第2通路の底面をなし、レール湾曲部及びレール直線部を含んで構成された開閉レール部材と、前記第2通路の前記レール直線部以降の領域に設けられ、そこを通過する前記メダルを検知する複数の検知手段と、前記第2通路の底面をなす閉位置に前記開閉レール部材を移動させる電磁石と、前記第2通路の底面をなさない開位置に前記開閉レール部材を移動させる付勢部材とを含んで構成される開閉手段とを備え、前記電磁石が励磁状態のときには、前記開閉レール部材が前記電磁石の磁力の作用により閉状態になり、前記開閉レール部材が前記第2通路の底面をなすことにより前記メダルを前記複数の検知手段のある方向に進路変更させつつ通過させ、前記電磁石が非励磁状態のときには、前記開閉レール部材が前記付勢部材の付勢力の作用により開状態になり、前記第1通路により案内された前記メダルがその進行方向を保ちつつ、前記レール湾曲部の開放によって開放された返却口から返却され、前記複数の検知手段は、前記第2通路を通過する前記メダルに対して非接触状態で検知する非接触式検知手段と、前記第2通路を通過する前記メダルに対して接触状態で検知する接触式検知手段とから構成され、前記非接触式検知手段及び前記接触式検知手段が前記第2通路を通過する前記メダルをあらかじめ決定された順序で検知したことを条件として正規メダルであるか否かを判定するメダル判定手段を備えることを特徴とする遊技機。