以下、この発明に係る移動体デジタル放送受信システム及び移動体デジタル放送受信システムを有する車両について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図17を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る移動体デジタル放送受信システム10は車両12(移動体)に搭載されている。また、図2には、移動体デジタル放送受信システム10のブロック図が示されている。
この移動体デジタル放送受信システム10は、基本的には、複数の車載デジタル放送用アンテナ14を有する車載デジタル放送受信機16と、GPS(Global Positioning System)アンテナ18を有するナビゲーションユニット20と、表示装置22と、スピーカ24と、走行状態検出部26と、記録再生制御部28とを備える。これらの機器は車内通信網30(図1参照)を介して互いに接続されている。
車載デジタル放送受信機16は、車載デジタル放送用アンテナ14で受信された地上デジタル放送の放送波を処理し、この放送波に含まれるデジタル放送のコンテンツを表示装置22及びスピーカ24にリアルタイム出力させるものである。
ナビゲーションユニット20は、GPSアンテナ18で受信された車両12の現在位置Pの座標情報(位置情報)を処理し、車両12の搭乗者(ユーザ)に対して目的地までの経路を案内(経路誘導)する。
走行状態検出部26は、図示しない車速センサからの車速パルスに基づき、車両12が走行状態にあるか又は非走行状態にあるかを検出する。
記録再生制御部28は、デジタル放送のコンテンツを記録及び再生するために、車載デジタル放送受信機16、ナビゲーションユニット20等の各機器を制御する中央処理装置(CPU)である。
図2に示すように、移動体デジタル放送受信システム10の車載デジタル放送受信機16は、複数のOFDM(orthogonal frequency division multiplexing、直交周波数分割多重)復調部32と、デジタル合成部34と、誤り訂正部36と、映像復調部38と、第1映像音声処理部40と、シーンサーチ生成部42と、映像音声格納部44と、録画コンテンツ一覧表示部46と、第2映像音声処理部48とを備える。
OFDM復調部32は、車載デジタル放送用アンテナ14で受信された放送波をデジタル信号の信号列に復調する。デジタル合成部34は、複数の復調した信号列に対しデジタル合成を行う。誤り訂正部36は、デジタル合成後の信号列における誤りを訂正する。映像復調部38は、訂正後の信号列を映像データ及び音声データに復調する。ここでの復調は、MPEGやH264等の圧縮技術により変調された信号データの復調である。第1映像音声処理部40は、復調された映像音声データを処理する。シーンサーチ生成部42は、復調された映像データからシーンの切り替わり等の特徴的な映像切替えの箇所を抽出し、映像切替えの箇所を示すシーンサーチデータを生成する。映像音声格納部44は、復調された映像データ及び音声データを格納する。録画コンテンツ一覧表示部46は、ユーザから録画コンテンツの視聴要求があった際に、後述する合成データ格納データベース60に格納されたデジタル放送のコンテンツとこのコンテンツに付随するデータの一覧を表示する。第2映像音声処理部48は、格納されたデジタル放送のコンテンツやこれに付属する付属データの一覧等を表示装置22に表示する準備を行う。
また、図2において、移動体デジタル放送受信システム10のナビゲーションユニット20は、位置評定部50と、地図データベース(以下「地図DB」という。)52と、経路誘導算出部54と、映像音声処理部56と、付属データ格納部58と、合成データ格納データベース(以下「合成データ格納DB」という。)60とを備える。
位置評定部50は、GPSアンテナ18より受信したGPS信号並びに地図DB52やその他のセンサ系を用いて車両12の位置(自車位置)を特定する。経路誘導算出部54は、位置評定部50により特定された自車位置とユーザにより入力された目的地とに基づき経路誘導路を算出する。映像音声処理部56は、表示装置22に表示される自車位置の情報と経路誘導のための音声情報とを準備する。付属データ格納部58は、位置評定部50からの車両12の位置情報を随時抽出し、この位置情報をシーンサーチデータ、時刻データ、車両状態データ及び表示状態データと関連づけて付属データとして格納する。
シーンサーチデータは、上述の通り、前記シーンサーチ生成部42で生成される。時刻データは、現在の時刻に関するものであり、時計66から記録再生制御部28を介して付属データ格納部58に送信される。車両状態データは、車両12が走行中であるか否かを示すものであり、走行状態検出部26からの出力に基づき記録再生制御部28から送信される。表示状態データは、表示装置22のデジタル放送のコンテンツの表示の可否を時間毎に示すものであり、記録再生制御部28からの命令に基づき映像音声切替部62が表示装置22の映像切替えを行った際、映像音声切替部62から記録再生制御部28を介して付属データ格納部58に送信される。
合成データ格納DB60は、ハードディスクやDVD−RAM等の記録媒体からなり、付属データ格納部58に格納された付属データと、車載デジタル放送受信機16の映像音声格納部44に格納されたデジタル放送のコンテンツとを関連づけて格納する。
さらに、図2において、移動体デジタル放送受信システム10には、映像音声切替部62、コンテンツ選択部64及び時計66が設けられる。
映像音声切替部62は、デジタル放送のコンテンツの表示や再生、及び経路誘導のための映像や音声の出力を集中管理する。この映像音声切替部62は、車載デジタル放送受信機16から送信されたデジタル放送のコンテンツの映像・音声信号と、ナビゲーションユニット20から送信された経路誘導のための映像・音声信号を、ユーザの選択に応じて切り替えて表示装置22及びスピーカ24に出力する。
コンテンツ選択部64は、再生しようとする録画コンテンツをユーザが入力(選択)するための入力装置であり、例えば、所定のボタンや表示装置22に表示される選択画面等により構成される。コンテンツ選択部64に対して入力がなされると、その内容が記録再生制御部28に送信される。
時計66は、水晶発振子等からなり、現在の時刻に関する時刻データを記録再生制御部28に送信する。
この実施形態に係る移動体デジタル放送受信システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にフローチャートを参照して動作を説明する。
図3には、移動体デジタル放送受信システム10(以下「受信システム10」ともいう。)の録画処理(記録処理)の概略を示すフロー図が示されている。
ステップS11において、受信システム10が起動されると表示装置22にテレビ番組等のデジタル放送のコンテンツが映し出される。受信システム10の起動は、車両12のエンジンをかける、所定のボタンを押す等の所定の操作により行われる。
ステップS12において、表示装置22に設けられたチャンネル切替えボタン(図示せず)をユーザが操作することで、放送のチャンネルが選択される。
ステップS13において、車両12が走行を開始すると、走行状態検出部26は、車両12に搭載された車速センサ(図示せず)等を介してこれを検知し、記録再生制御部28に通知する。走行状態検出部26からの通知を受けた記録再生制御部28は、映像音声切替部62を制御して、デジタル放送のコンテンツの音声情報の出力は維持しつつ、表示装置22の表示をデジタル放送の画面からナビゲーション画面等の静止画に切り替える。また、記録再生制御部28は、映像音声格納部44及び合成データ格納DB60を制御して、合成データ格納DB60へのデジタル放送のコンテンツの録画を開始する。併せて、記録再生制御部28は、シーンサーチ生成部42、付属データ格納部58及び合成データ格納DB60を制御して、合成データ格納DB60における上述した付属データの記録を開始する。
ステップS14において、車両12が走行を終了すると、走行状態検出部26は上記車速センサ等を介してこれを検知し、記録再生制御部28に通知する。走行状態検出部26からの通知を受けた記録再生制御部28は、映像音声切替部62を制御して、表示装置22の表示を静止画からデジタル放送のコンテンツの映像(動画)に戻すとともに、当該デジタル放送のコンテンツの録画を終了する。さらに、記録再生制御部28は、シーンサーチ生成部42、付属データ格納部58及び合成データ格納DB60を制御して上記付属データの記録を終了する。
図4には、上記で概説した録画処理を実現するための車載デジタル放送受信機16(以下「受信機16」ともいう。)の詳細動作フロー図が示されている。
ステップS21において、所定のボタンを押す等の所定の操作により受信機16の電源がオンにされると、続くステップS22において受信機16のシステムが起動する。
ステップS23において、受信機16は、車載デジタル放送用アンテナ14を介して地上デジタル放送の放送波の受信を開始する。
ステップS24において、受信機16は、受信した放送波を複数のOFDM復調部32でOFDM復調し、復調後の複数の信号をデジタル合成部34によりデジタル合成する。そして、デジタル合成処理後の信号列に対して誤り訂正部36により誤り訂正し、映像復調部38でデジタル信号を映像データ及び音声データとして映像復調する。
ステップS25において、走行状態検出部26において、車両12が走行中であるか否かが判定され、走行中でないと判断された場合、ステップS26に進み、走行中であると判断された場合、ステップS27に進む。走行状態検出部26の出力は、記録再生制御部28を介して受信機16に送信される。
車両12が走行中であるか否かの判定は、例えば、上述のように、車速センサの出力を用いて行うことができる。即ち、車速センサから出力され、車両12の走行速度を示す車速パルスの値が所定の閾値以上であるか否かにより判定することができる。また、走行中であるか否かの判定は、車両12のサイドブレーキ(図示せず)がかけられているか否かを判定可能なセンサ(図示せず)を車両12に搭載し、このセンサの出力により判定することも可能である。
ステップS25において車両12が走行中でないと判断された場合、ステップS26において、ステップS24で復調された映像・音声データが、第1映像音声処理部40から映像・音声信号として映像音声切替部62に送信される。その後、ステップS28において、映像が表示装置22に表示され、音声がスピーカ24から出力される。この場合、映像・音声データの記録は行われない。
ステップS25において車両12が走行中であると判断された場合、ステップS27において、ステップS24で復調された映像データは、映像復調部38からシーンサーチ生成部42に送信される。映像データが送信されたシーンサーチ生成部42では、映像データにおける映像切替えの箇所が抽出され、この抽出結果であるシーンサーチデータが、映像音声コンテンツに対する付属データとして付属データ格納部58に格納される。
シーンサーチ生成部42における映像切替えの箇所の抽出は、例えば、本編の番組とCMとの境の判別や、映像そのもののコマ間の相関値による判別等で行われる。また、ステップS24で復調された映像・音声データ(デジタル放送のコンテンツ)は、映像音声格納部44に格納される。ステップS27が終了すると、ステップS23に戻る。
図5には、図3を参照して概説した録画処理を実現するためのナビゲーションユニット20の詳細動作フロー図が示されている。
ステップS31において、所定のボタンを押す等の所定の操作によりナビゲーションユニット20の電源がオンにされると、続くステップS32においてナビゲーションユニット20のシステムが起動する。
ステップS33において、位置評定部50は、GPSアンテナ18を介してGPS信号の取得を開始する。
ステップS34において、位置評定部50は、取得したGPS信号、地図DB52によるマップマッチング、車両12に搭載されたセンサ(図示せず)による慣性航法等により車両12の自車位置の評定を行い、随時評定された自車位置データは付属データ格納部58に送出される。
車両12が走行状態である場合、上記自車位置のデータは、車載デジタル放送受信機16のシーンサーチ生成部42で生成されたシーンサーチデータと、記録再生制御部28を介して送信された時計66の現在の時刻に関する時刻データと、走行状態検出部26からの出力に基づき記録再生制御部28から送信された、車両12が走行中であるか否かを示す車両状態データと、表示装置22でのデジタル放送のコンテンツの表示の可否を時間毎に示す表示状態データとに関連づけられ、付属データとして付属データ格納部58に格納される。
自車位置データ、シーンサーチデータ、車両状態データ及び表示状態データは、時刻データを介して関連づけることができる。例えば、ここで、シーンサーチデータが生成された時に自車位置のデータ、車両状態データ及び表示状態データを取得し、各データを関連づける方法や、シーンサーチデータが生成された時の時刻と直近のシンボルポイント(交差点等)の位置データ、車両状態データ及び表示状態データとを関連づける方法等により各データを関連づけることができる。
付属データ格納部58に格納された付属データは、合成データ格納DB60に送信され、車載デジタル放送受信機16の映像音声格納部44に格納されたデジタル放送のコンテンツと関連づけられた上で合成データ格納DB60に格納される。合成データ格納DB60におけるデータの格納方法については図6を参照して後述する。
ステップS35において、経路誘導算出部54は、評定された自車位置とユーザが入力した目的地とに基づいて経路誘導路を計算し、その計算結果に基づき、表示装置22に出力する地図画面及びスピーカ24に出力する音声を決定する。
ステップS36において、映像音声処理部56は、経路誘導算出部54で決定された地図画面データ及び音声データを映像音声切替部62に送出する。映像音声切替部62は、これらのデータを表示装置22及びスピーカ24から出力する。
図6には、合成データ格納DB60内部の管理テーブル68の概念図が示されている。
管理テーブル68は、実際の時刻70と、ナビゲーションのタイムライン(時間軸データ)72と、録画のタイムライン74と、走行/停止状態のタイムライン76と、表示装置22への表示の可否のタイムライン78とから構成される。
実際の時刻70は、時計66からの出力に基づく時刻データを集積したものである。
ナビゲーションのタイムライン72は、ナビゲーションユニット20による位置評定に基づき、交差点等のシンボルポイント通過毎又は一定時間毎に位置情報と通過時間とを対応させて位置データとして逐次格納したものである。
録画のタイムライン74は、シーンサーチ生成部42により抽出された映像切替えの箇所毎にその切り替わりの先頭のフレームへのリンクとそのシーンの時間をシーンサーチデータとして逐次格納したものである。
走行/停止状態のタイムライン76は、車両12が走行状態にあったか又は停止状態にあったかを上述した車速センサ等により時間毎に区別して走行状態データとして格納したものである。
表示装置22への表示の可否のタイムライン78は、表示装置22への放送コンテンツ(動画映像)の表示の可否を時間毎に区別して表示状態データとして格納したものである。放送コンテンツの表示の可否についてのタイムライン78は、信号処理の時間差を除けば、車両12が走行中であるか否かについての走行/停止状態のタイムライン76と一致する。
車両12が走行を開始し、デジタル放送のコンテンツの録画が開始されると、ナビゲーションのタイムライン72の位置データ{交差点1(X1、Y1)T1:○○:○○:○○等}、録画のタイムライン74のシーンサーチデータ(シーンA tA:△△:△△:△△等)、走行/停止状態のタイムライン76の走行状態データ(「走」、「停」)及び表示装置22への表示の可否のタイムライン78の表示状態データ{表示(可)、表示無(否)}と、実際の時刻70の時刻データとが関連づけられる。
なお、位置データ、走行状態データ、表示状態データ及びシーンサーチデータは、それぞれを関連づけることで時刻データとの関連づけを省略することも可能である。
図7を参照して、移動体デジタル放送受信システム10の再生処理の概略を説明する。
ステップS41において、コンテンツ選択部64を介してユーザから受信システム10に対して録画コンテンツの視聴要求がなされると、ステップS42において、記録再生制御部28は、録画コンテンツ一覧表示部46を制御して、コンテンツを再生するための画面(コンテンツ再生用画面)(図12〜図17参照)を選択するための画面(図示せず)を表示装置22に表示させる。ユーザはこの選択画面を用いてコンテンツ再生用画面を選択する。
ステップS43において、ユーザが、選択されたコンテンツ再生用画面を用いてコンテンツの再生開始位置を選択すると、ステップS44において、記録再生制御部28は、合成データ格納DB60を制御して、選択された再生開始位置からコンテンツを再生させる。
次に、図8〜図10のフロー図を参照して、移動体デジタル放送受信システム10の再生処理の詳細について説明する。
ステップS501において、記録再生制御部28は、コンテンツ選択部64におけるユーザからの録画コンテンツの視聴要求の有無を判定する。視聴要求があればステップS502に進み、視聴要求がなければステップS503に進む。
ステップS502において、記録再生制御部28は、合成データ格納DB60にコンテンツデータが格納されているか否かを確認する。コンテンツデータが格納されていればステップS507に進み、コンテンツデータが格納されていなければステップS501に戻る。
ステップS503において、記録再生制御部28は、ユーザに視聴要求の有無を尋ねるポップアップ表示の条件を判定する。続くステップS504において、ポップアップ表示条件を満たすと判定した場合、ステップS505に進み、ポップアップ表示条件を満たさないと判定した場合、ステップS501に戻る。
ステップS503のポップアップ表示の条件を示す詳細なフロー図が図10に示されている。即ち、ステップS61において、記録再生制御部28は、合成データ格納DB60にコンテンツデータが格納されているか否かを確認する。コンテンツデータが格納されていればステップS62に進み、コンテンツデータが格納されていなければポップアップ表示条件を満たさないと判断し、ポップアップ表示条件の判断を終了してステップS501に戻る。
ステップS62において、記録再生制御部28は、前回のポップアップ表示から一定時間が経過したか否かを確認する。一定時間が経過している場合、ステップS67に進み、一定時間が経過していない場合、ステップS63に進む。
ステップS63において、記録再生制御部28は、コンテンツの録画時間が一定時間経過したか否かを判定する。一定時間経過したと判定した場合、ステップS67に進み、一定時間経過していないと判定した場合、ステップS64に進む。
ステップS64において、記録再生制御部28は、ナビゲーションユニット20が経路誘導を行っているか否かを判定する。経路誘導を行っていると判定した場合、ステップS65に進み、経路誘導を行っていないと判定した場合、ステップS66に進む。
ステップS65において、記録再生制御部28は、ナビゲーションユニット20における経路誘導の設定ポイントを車両12が通過したか否かを判定する。設定ポイントを通過していると判定した場合、ステップS67に進み、設定ポイントを通過していないと判定した場合、ステップS66に進む。
ステップS66において、記録再生制御部28は、車両12が停止しているか否か及び車両12のハザードランプ(図示せず)が点灯しているか否かを判定する。車両12が停止している場合又はハザードランプが点灯していると判定した場合、ステップS67に進み、車両12が停止しておらずかつハザードランプが点灯していないと判定した場合、ポップアップ表示条件を満たさないと判断し、ポップアップ表示条件の判断を終了してステップS501に戻る。
ステップS67において、記録再生制御部28は、ナビゲーションユニット20により表示装置22に表示されているナビゲーション地図表示が一定縮尺以上か否かを判断する。一定縮尺以上である場合、ステップS68に進み、ポップアップ表示条件のフラグが立てられ、図8のステップS505に進む。ナビゲーション地図表示が一定縮尺以上でない場合、ポップアップ表示条件を満たさないと判断し、ポップアップ表示条件の判断を終了してステップS501に戻る。
ステップS504(図8)においてポップアップ表示条件が満たされていると判断されると、ステップS505に進み、図11に示すように、表示装置22のナビゲーション画面600中にポップアップ表示602がなされる。
図11は、図10のステップS63において、コンテンツの録画時間が一定時間を経過したと判断された場合の表示であり、ナビゲーション画面600中に「録画コンテンツが溜まっています。」という文字が表示される。
ポップアップ表示602がなされた後、ステップS506において、記録再生制御部28は、ユーザによる映像視聴要求の有無を判断する。ポップアップ表示602に指でタッチする等の操作による映像視聴要求があった場合、ステップS507に進み、映像視聴要求がなかった場合(一定時間、映像視聴要求の操作がなされなかった場合)、ステップS501に戻る。
ステップS507において、記録再生制御部28は、合成データ格納DB60に格納されているシーンサーチデータ(図6の録画のタイムライン74におけるもの)及び位置データ(図6のナビゲーションのタイムライン72におけるもの)を呼び出す。
図9のステップS508において、記録再生制御部28は、録画コンテンツ一覧表示部46を制御して、上述したコンテンツ再生用画面を選択するための画面(図示せず)を第2映像音声処理部48及び映像音声切替部62を介して表示装置22に表示させる。この画面では、単純時系列表示、地図モード展開又はコンテンツタイトル展開の選択が可能である。
ステップS508においてユーザが単純時系列表示を選択した場合(ステップS509)、記録再生制御部28は、録画コンテンツ一覧表示部46を制御して、再生対象のデータが直近のものか否かをユーザに問い合わせる画面(図示せず)を表示装置22に表示させる(ステップS510)。
ユーザが直近のデータの再生を選択した場合、表示装置22上に図12に示すような時系列映像表示604を表示し(ステップS511)、ステップS519に進む。
図12に示す時系列映像表示604は、直前に放送されたコンテンツを再生するためのものであり、直近α分(例えば、1分)を所定の時間毎(例えば、5秒毎)に区切って目盛り606を振った横線を表示するとともに、この目盛り606に対応する複数の頭出しシーンとしての映像画面(シーン)608が表示される。コンテンツ選択部64として機能する表示装置22の表示画面をユーザがタッチすること等によりこの目盛り606又は映像画面(シーン)608を選択することでその目盛り606又は映像画面608に対応する箇所(シーン)から録画コンテンツを再生することができる。
なお、表示した範囲にユーザの視聴したいコンテンツの表示が存在するとは限らないため、ロータリスイッチやアップダウンスイッチ等により現在選択表示されている前後の時間でコンテンツの内容が表示及び選択できるようにしておくことが望ましい。このことは後述する他の映像表示でも同様である。
ユーザが直近のデータ以外の再生を選択した場合、図13又は図14に示すような時系列映像表示610を表示し(ステップS512)、ステップS519に進む。
図13に示す時系列映像表示610は、当日録画されたコンテンツを再生するためのものであり、当日の時間軸612を横線で表示するとともに、この時間軸612を均等に区切った各区画に対応する複数の映像画面(シーン)614が表示される。また、時間軸612上に右向きの矢印616が表示され、再生される箇所が示される。
この表示装置22の表示画面をユーザがタッチすること等によりこの矢印616の位置を変更する又は映像画面(シーン)614の1つを選択することでこの矢印616の位置又は映像画面(シーン)614に対応する箇所から録画コンテンツを再生することができる。この時系列映像表示610は、当日に録画された時刻がわからないコンテンツや録画から時間が経ってしまったコンテンツを視聴したい場合等に有効である。
図14に示す時系列映像表示618は、図13に示す時系列映像表示610をナビゲーション画面620の下側に表示したものであり、時系列映像表示610の内容自体は図13と同様である。
次に、ステップS508(図9)においてユーザが地図モード展開を選択した場合(ステップS513)、記録再生制御部28は、録画コンテンツ一覧表示部46を制御して、再生対象のデータが直近のものか否かをユーザに問い合わせる画面(図示せず)を表示装置22に表示させる(ステップS514)。
ユーザが直近のデータの再生を選択した場合、図15に示すような地図モード展開表示622を表示し(ステップS515)、ステップS519に進む。
図15に示す地図モード展開表示622は、直前に放送されたコンテンツを再生するためのものであり、図15の左側のナビゲーション画面624は、直近β分(例えば、1分)の間に車両12が移動した移動経路を太線で示す地図画面であり、右側の複数映像画面626は、この移動経路を車両12が移動中に録画されたデジタル放送のコンテンツにおける複数の映像画面を所定の時間間隔で表示したものである。表示装置22の表示画面をユーザがタッチすること等により移動経路の一部又は映像画面(シーン)の1つを選択することでこれらに対応するコンテンツのシーンが頭出し再生される。
なお、図15のナビゲーション画面624中の識別用符号P3と複数映像画面626中の識別用符号P3とは対応関係にあり、ナビゲーション画面624中の識別用符号P3の時点におけるデジタル放送のコンテンツの映像画面(シーン)が、右の複数映像画面626中の識別用符号P3の位置で視聴不可であった映像画面(シーン)である。
また、表示されている複数の映像画面の中にユーザが視聴したいシーンがない場合、所定のボタン操作を行うことで地図表示の縮尺を、縮尺が大きくなるように、例えば、縮尺(画面1cm当たりの距離)を200[m/cm]から500[m/cm]に変更してもよい。この場合、太線で示されている車両12の移動経路の距離が長くなり、その移動経路に対応する、より長い時間分の地図モード展開表示がなされる。
図9のステップS514においてユーザが直近のデータ以外の再生を選択した場合、図16に示すような当日録画分の地図モード展開表示628を表示し(ステップS516)、ステップS519に進む。
図15例と同様、図16の左側のナビゲーション画面630は、車両12が移動した移動経路を示す地図画面であり、右側の複数映像画面632は、車両12が太線の移動経路を移動中に録画されたデジタル放送のコンテンツにおける複数の映像画面を所定の時間間隔で表示したものである。図16例では、図15例と同様の操作によりコンテンツ再生を行う。ナビゲーション画面630中の識別用符号P1、P2、P3と複数映像画面632中の識別用符号P1、P2、P3とは対応関係にあり、ナビゲーション画面630中の識別用符号P1、P2、P3の時点におけるデジタル放送のコンテンツの映像画面(シーン)がそれぞれ複数映像画面632中の識別用符号P1、P2、P3における映像画面(シーン)である。
次に、図9のステップS508においてユーザがコンテンツタイトル展開を選択した場合(ステップS517)、記録再生制御部28は、録画コンテンツ一覧表示部46を制御して、図17に示すような当日録画分のコンテンツタイトル表示634を表示し(ステップS518)、ステップS519に進む。
図17のコンテンツタイトル表示634では、コンテンツ毎に放送開始時間、番組名、車両情報が表示される。番組名及び放送開始時間は、デジタル放送波に重畳される電子番組表(EPG、Electric Program Guide)の情報等を用いて表示される。また、ここでの車両情報とは、車両12の時間ごとの自車位置に関する情報である。
図9のステップS519において、再生するコンテンツをユーザが上記いずれかのコンテンツ再生用画面を用いて選択した場合、ステップS520に進み、記録再生制御部28は、選択されたコンテンツを合成データ格納DB60から呼び出し、録画コンテンツ一覧表示部46、第2映像音声処理部48及び映像音声切替部62を介して表示装置22及びスピーカ24に出力する。これにより、車両12の走行中に視聴できなかったデジタル放送の所望のコンテンツのシーンを頭出し再生して視聴することができる。ユーザがコンテンツの選択をしなかった場合(ユーザが選択方法の変更を要求した場合)、ステップS508に戻る。
このように上述の実施形態によれば、移動体デジタル放送受信システム10は、車載デジタル放送受信機16により受信したデジタル放送のコンテンツを、GPSアンテナ18により取得した位置情報と関連づけて再生することができる。このため、位置情報を目当てとしてデジタル放送のコンテンツの所望のシーンの迅速な頭出し再生が可能となり、ユーザは停車中等の短時間の間に所望のコンテンツを視聴することができる。
また、上記実施形態では、シーンサーチ生成部42が、デジタル放送のコンテンツにおける映像切替えの箇所を抽出し、この映像切替えの箇所を示すシーンサーチデータを生成するとともに、記録再生制御部28が、シーンサーチデータとGPS信号中の位置情報とを対応させてデジタル放送のコンテンツを記録及び再生している。
これにより、位置情報に基づき再生される箇所は、デジタル放送のコンテンツにおける映像切替えの箇所と一致する。このため、位置情報に基づき再生される箇所と、再生時に視聴したい箇所の冒頭とをより正確に一致させることができる。従って、より迅速に頭出し再生をすることが可能となる。
さらに、上記実施形態では、移動体デジタル放送受信システム10が表示装置22を有し、記録再生制御部28が、車両12が移動した移動経路をGPS信号に含まれる位置情報に基づいて示すナビゲーション画面624、630を表示装置22に表示し、前記デジタル放送のコンテンツを前記移動経路の各地点と対応させて再生可能とする。
これにより、ユーザは、前記ナビゲーション画面624、630中の移動経路を選択することで前記デジタル放送のコンテンツを再生することができる。このため、ユーザが前記移動経路と前記デジタル放送のコンテンツとの対応関係を把握することで、前記デジタル放送のコンテンツの頭出し再生を迅速に行うことができる。
また、図15に示す地図モード展開表示622では、ナビゲーション画面624に加え、車両12の移動経路に対応するデジタル放送のコンテンツの複数映像画面626が表示され、ナビゲーション画面624中の車両12の移動経路における所定の地点と、この所定の地点に対応する複数映像画面626に同一の識別用符号P3が表示される。同様に、図16においても識別用符号P1、P2、P3がナビゲーション画面630及び複数映像画面632の双方に表示される。
これにより、ユーザは、前記移動経路と前記デジタル放送のコンテンツとの対応関係をより容易に認識することができる。このため、ユーザが視聴したいデジタル放送のコンテンツの頭出し再生をより一層迅速に行うことができる。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
例えば、上記実施形態では、デジタル放送として地上デジタル放送を用いる構成を挙げたが、デジタル信号による放送であればこれに限られず、今後実用化が進んでいくと考えられるデジタル衛星放送やデジタルラジオ放送、若しくは携帯電話等の携帯情報端末用に開発されたいわゆる1セグ放送や車両に搭載の通信機器が外部と通信することにより得られる配信系コンテンツの配信等であってもよい。
また、デジタル放送のコンテンツとして映像及び音声の両方を備えるものを挙げたが、映像又は音声の一方のみを含むものでもよく、さらに、映像は動画のみならず静止画であってもよい。
デジタル放送を受信するための手段として、車載デジタル放送用アンテナ14を有する車載デジタル放送受信機16を用いたが、デジタル放送を受信可能なものであればこれに限られない。例えば、携帯電話等の携帯情報端末を移動体デジタル放送受信システム10に接続可能とし、この携帯情報端末を用いてデジタル放送を受信してもよい。
位置情報を取得するための手段として、GPSアンテナ18を有するナビゲーションユニット20を用いたが、位置情報を取得可能なものであればこれに限られない。例えば、携帯電話の通信網を用いて携帯電話により位置情報を取得することが可能であることを考慮して、携帯電話を移動体デジタル放送受信システム10に装着し、この携帯電話を利用して位置情報を取得する構成も可能である。
上記実施形態では、移動体デジタル放送受信システム10を車両12に搭載したが、車両以外の移動体、例えば、船、水陸両用車、プレジャーボート、ヘリコプタ、飛行機等にも搭載可能である。
デジタル放送のコンテンツにおける映像切替えの箇所を示すシーンサーチデータを用いてデジタル放送のコンテンツの記録をしたが、シーンサーチデータ無しにデジタル放送のコンテンツを記録してもよい。
上記実施形態では、車両12が移動を開始したときに受信システム10がデジタル放送のコンテンツの記録を開始したが、これに限られず、車両12が移動を開始する前に受信システム10がデジタル放送のコンテンツの記録を開始してもよく、また、車両12が移動中にデジタル放送のコンテンツの記録を開始するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、車両12が移動を終了したときに受信システム10がデジタル放送のコンテンツの記録を終了したが、これに限られず、車両12が移動を終了する前に受信システム10がデジタル放送のコンテンツの記録を終了してもよく、また、車両12が移動を終了した後もデジタル放送のコンテンツの記録を継続してもよい。さらに、デジタル放送のコンテンツの記録と並行して、既に記録されたデジタル放送のコンテンツの再生を行うことも可能である。
デジタル放送のコンテンツの記録の開始及び終了は受信システム10が自動的に行うようにしたが、所定のボタン操作や音声認識システムを用いた発話等により行うこともできる。
上記実施形態では、合成データ格納DB60は、ナビゲーションユニット20の一部としたが、これに限られず、車載デジタル放送受信機16の一部としてもよく、他の構成要素の一部又は独立した他の構成要素としてもよい。
上記実施形態では、図15及び図16に示すようなナビゲーション画面624、630を用いたが、デジタル放送のコンテンツと位置情報を対応させるものであればこれに限られない。例えば、位置情報を例えば「○○町交差点」、「△△インターチェンジ」等文字データとして表示してもよく、また、ナビゲーションユニット20に音声認識システムを搭載し、この音声認識システムを通じて音声入力をしてデジタル放送のコンテンツを再生するような構成も可能である。