JP2007068498A - コーヒー豆加工品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コーヒー生豆を微粉砕した後に焙煎するコーヒー豆加工品の製造方法。微粉砕後のコーヒー生豆の平均粒度は2000μm以下が好ましい。コーヒー豆加工品のクロロゲン酸量は12000ppm以上である。このコーヒー豆加工品を用いて公知の方法によりインスタントコーヒー、コーヒー飲料を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、コーヒー豆加工品の製造方法に関する。より詳しくは、コーヒー生豆に本来含有するクロロゲン酸等有用成分の消失が抑制され、且つ、生豆由来の不快な臭いがなく良好な焙煎香が付与されたコーヒー豆加工品の製造方法に関する。また、本発明は、クロロゲン酸等を多く含有し、且つ生豆由来の不快な臭いがなく良好な焙煎香が付与されたコーヒー豆加工品に関する。
コーヒー生豆中には、クロロゲン酸、キナ酸、クマル酸、カフェ酸が豊富に含まれている。中でもクロロゲン酸は、インスリン分泌促進作用〔野村英作ら。フェルラ酸及び関連化合物のインスリン分泌促進作用。平成13年度和歌山県工業技術センター「研究報告」17−9(2001)〕や、食後過血糖抑制〔Adidoff M.T., et al. Special clinical report for Russian Ministry of health. Moscou, clinical report 12(1999)〕等の有用機能が報告されており、カフェイン、カルニチン、コリン等と共に大変有用な成分であることが、近年様々な研究により解明されてきた。また、ガンや老化などの誘因となる活性酸素を補足し除去する抗酸化物質としても注目されている。
本発明は、上記の現状に鑑み、コーヒー生豆に本来含まれるクロロゲン酸等有用成分の消失が抑制され、且つ、コーヒー生豆由来の不快な臭いがなく良好な焙煎香が付与されたコーヒー豆加工品の製造方法、及びクロロゲン酸等を多く含有し、且つ生豆由来の不快な臭いがなく良好な焙煎香が付与されたコーヒー豆加工品を提供することを目的とする。
本発明者はかかる課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、コーヒー生豆を微粉砕した後に焙煎することで、コーヒー生豆に本来含まれるクロロゲン酸等の有用成分の消失が抑制され、且つ、コーヒー生豆由来の不快な臭いの無いコーヒー豆加工品を得ることができることを発見し、本発明を完成した。
コーヒー豆加工品の製造方法
本発明によれば、微粉砕処理を経た後の焙煎工程でのクロロゲン酸の消失を抑制し、かつ、良好な焙煎香を付与することができることから、そのような特徴の付与が必要なコーヒー豆加工品の製造に用いることができる。
本発明のコーヒー豆加工品は、例えば上述のコーヒー豆加工品の製造方法により製造することができる。すなわち、焙煎工程前にコーヒー生豆を微粉砕する工程を含むコーヒー豆加工品の製造方法により製造することができる。
本発明の飲食物または飲食物用添加剤は、本発明のコーヒー豆加工品を用いて製造される。本発明の飲食物用添加剤としては、本発明のコーヒー豆加工品をそのまま用いても良いし、加工品から抽出した液を液剤としても良く、または、この加工品や抽出液を公知の種々の方法で固形化しても良く、その形態は特に問わない。本発明の飲食物の例としては、インスタントコーヒー、コーヒー飲料が挙げられる。
実施例
〔実施例1〕
ブラジル産アラビカ種のコーヒー生豆を原料として、本発明の微粉砕生豆を加工した。具体的には、ウエスト社製の臼型粉砕機「ミクロパウダー KGW−501」を用い、粉砕機の上部の原料ホッパより生豆を供給し、3kg/Hの一定速度で粉砕機に供給した。コーヒー生豆中には水分や油分が含まれ、また、粉砕時に生じる摩擦熱などの影響により、加工に不具合が生じる可能性も考えられたが、冷却水によって臼の温度上昇を抑えながら粉砕することで、非常にスムーズに加工することができた。
〔実施例2〕
実施例1で得られたコーヒー生豆加工物を焙煎した。具体的には、PROBAT社製の焙煎機BRZ−4へ生豆加工物約200gを投入し、15分焙煎した後取り出した。細かくなることで、ドラムへの焼き付きが心配されたが、問題なく焙煎及び取り出しができた。また、焙煎途中において、通常の焙煎とは異なり、パチパチと音を立てるいわゆる「ハゼ」が殆ど生じなかったのが特徴的であった。この特徴的な現象は、水分の容易な排出により、加水分解そのものが抑制されたことによると考えられる。
〔実施例3〕
実施例2で得られた本加工品抽出液、対照品抽出液、そして未加工品抽出液の3つの抽出液に対してクロロゲン酸及びカフェインの濃度測定を実施した。具体的には、得られた抽出液を純水にて2倍に希釈した後、島津製作所社製のHPLC「LC10A」を使用し、カラムには野村化学社製の「develosil C30−UG−5」を用いて測定した。
図2に示されるクロロゲン酸の濃度のグラフより、クロロゲン酸の本処理品抽出液のクロロゲン酸含量が、対照品抽出液よりも多く、未加工品抽出液、すなわち焙煎前の生豆加工物とほぼ同等に含まれていることがわかった。一方で、カフェインの含有量のグラフより、3つの抽出液のカフェイン含有量はほぼ一定であることも確認できた。これにより、コーヒー生豆を微粉砕した後に焙煎することで、コーヒー生豆に本来含有するクロロゲン酸等有用成分の消失が抑制されることが示された。
さらに、実施例3で用いた3つの抽出液に対して、専門パネラーによる官能評価を行った。評価は、「焙煎香」及び「生豆の不快臭」の2つを、それぞれ専門パネリスト5名の評点法により行い、平均点を算出した。
さらに発明者らは、粉砕の度合によるクロロゲン酸の消失度合を調べた。具体的には、まず、粉砕粒度の異なる複数のコーヒー生豆粉砕物を用意し、次いでそれらのコーヒー生豆粉砕物を3つの異なる焙煎度(L30、L24、L18 Lは明度を表わす)まで焙煎し、それぞれのコーヒー焙煎豆を得た。得られた焙煎豆2gを40mlの80℃の熱水にて30分間抽出を行った。得られた抽出液を0.45μmのフィルタにてろ過し、さらに純水にて2倍に希釈した後、HPLCにてクロロゲン酸濃度を測定した。測定には、島津製作所社製のHPLC「LC10A」を使用し、カラムには野村化学社製の「develosil C30−UG−5」を用いて測定した。結果を図3に示す。
本発明によれば、コーヒー生豆に本来含有するクロロゲン酸等有用成分の消失が抑制され、且つ、生豆由来の不快な臭いがなく良好な焙煎香が付与されたコーヒー豆加工品の製造方法、およびクロロゲン酸等を多く含有し、且つ生豆由来の不快な臭いがなく良好な焙煎香が付与されたコーヒー豆加工品が提供される。
Claims (12)
- 焙煎工程前にコーヒー生豆を微粉砕する工程を含む、コーヒー豆加工品の製造方法。
- 焙煎工程前に、微粉砕したコーヒー生豆の乾燥工程を含む、請求項1記載の方法。
- 前記微粉砕後のコーヒー生豆の平均粒度が2000μm以下である、請求項1または2記載の方法。
- 前記微粉砕後のコーヒー生豆の平均粒度が1000μm以下である、請求項1または2記載の方法。
- 前記微粉砕後のコーヒー生豆の平均粒度が100μm以下である、請求項1または2記載の方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載の方法により得られるコーヒー豆加工品。
- クロロゲン酸量が12000ppm以上である、請求項6記載のコーヒー豆加工品。
- クロロゲン酸量が16000ppm以上である、請求項6記載のコーヒー豆加工品。
- 請求項6ないし8のいずれか一項記載のコーヒー豆加工品を原料として用いて得られる飲食物。
- 請求項6ないし8のいずれか一項記載のコーヒー豆加工品を原料として用いて得られる飲食物用添加剤。
- インスタントコーヒーである、請求項9記載の飲食物。
- コーヒー飲料である、請求項9記載の飲食物。
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