本発明は半導体装置をモジュール基板に複数実装した半導体モジュールに関し、特に、実装した半導体装置が0又は1等の論理値の決定に参照電圧Vrefを参照する半導体モジュールに関する。
情報処理装置などで用いられる半導体装置には、外部から基準となる参照電圧(Vref)を供給され、この参照電圧を元に論理値を決定するものがある。そのような半導体装置には、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ・チップがある。具体的には半導体装置は2値論理において参照電圧(Vref)よりある一定電圧以上大きい入力電圧を論理値の1として読み取り、参照電圧(Vref)よりある一定電圧以上小さい入力電圧を論理値の0として読み取る。
近年、半導体装置が取り扱う信号の高速化に伴い、この参照電圧へのノイズ重畳による論理不具合で半導体装置が誤動作を起こす問題が顕在化しつつある。メモリ・チップを複数搭載したメモリ・モジュールにおいて、この参照電圧(Vref)に重畳されるノイズには主に次の3つの種類のノイズがある。第1のノイズは外部のシステムボードなどからの伝搬ノイズである。第2のノイズはメモリ・チップ自分自身が発するノイズである。第3のノイズはメモリ・モジュール上の他のメモリ・チップからの伝搬ノイズである。高速半導体装置の誤動作などの問題を解消するためには、これらすべてのノイズを抑制する必要がある。
特許文献1では、システムボードとメモリ・モジュールとの間にLPF(Low
Pass Filter)を設けたメモリ・モジュールが提案されている。特許文献1のメモリ・モジュールは、LPFによりシステムボードとメモリ・モジュールとの間のノイズ伝搬をカットすることにより、第1のノイズを低減する。
第2のノイズは面給電方式とデカップリング・コンデンサとにより低減される。面給電方式は、モジュール基板に搭載された複数のメモリ・チップの参照電圧をインピーダンスの低い1つのVrefベタパターンで分配するVref配線方法であり、通常の電源(Vdd)給電に近い給電方式である。面給電方式を採用したモジュール基板は、グランド(Vss)面(プレーン)と平行に参照電圧(Vref)の給電面を設けることにより、参照電圧(Vref)とグランド(Vss)とのプレーン間を容量的に結合させている。この容量の結合により、高い周波数領域でVref-Vss間インピーダンスが低く抑えられ、メモリ・チップ自身から発生されるノイズが低減する。低い周波数領域では、デカップリング・コンデンサによりインピーダンスが低く抑えられる。
面給電方式は、幅広い周波数領域で一様に第2のノイズを下げることができる一方で、第3のノイズを低減する効果が小さい。これは、Vref給電網全体が広い周波数領域で一様に低いインピーダンスであることに原因がある。すなわち、同一モジュール基板上のあるメモリ・チップから他のメモリ・チップまでの伝達インピーダンスZ21を十分に低くできないため、メモリ・チップ間でノイズが伝搬しやすい。ここで、一般的に、port1とport2との2ポートを有する回路におけるport1からport2への伝達インピーダンスは、port1への入力電流I1とport2の出力電圧V2とを用いてZ21=V2/I1で表される。なお、給電面がある程度大きいと、面共振を引き起こす場合もあり、反共振点で伝達インピーダンスが急増するためノイズ伝搬が大きくなるなどノイズ低減効果は不安定である。
本発明者らは、第3のノイズを低減する多分割抵抗接続方式を採用したメモリ・モジュールを提案することを目的の1つとする。多分割抵抗接続方式は、面給電方式を改良したものであり、以下の技術1、技術2、及び技術3を組み合わせた技術である。技術1では、メモリ・チップ近傍のVref-Vss間インピーダンスがデカップリング・コンデンサと参照電圧の電位を供給するVrefベタパターンとでVssに結合され、広い周波数領域で低インピーダンス化される。技術2では、Vrefベタパターンが各メモリ・チップごとに分割されて多分割ベタパターンを形成し、多分割ベタパターンから各メモリ・チップに個別にVrefが供給される。技術3では、Vrefの多分割ベタパターン間がチップ抵抗で接続される。
図21の平面図に示すように、多分割抵抗接続方式を採用したメモリ・モジュール500は、複数のメモリ・チップ501とモジュール基板502と多分割ベタパターン503とノイズ低減用抵抗504とデカップリング・コンデンサ505とテブナン終端部506とを備える。メモリ・チップ501はモジュール基板502上に直線的に間隔を開けて並んでいる。多分割ベタパターン503は同じ形状の複数の参照電極を有し、各参照電極によって各メモリ・チップ501に参照電圧(Vref)を供給している。ノイズ低減用抵抗504は、多分割ベタパターン503の各参照電極を直列に接続し、具体的にはチップ抵抗で構成される。デカップリング・コンデンサ505は、各メモリ・チップ501の参照電圧を入力する端子とグランド(Vss)との間に接続されている。
図22は、多分割ベタパターン503間を繋ぐノイズ低減用抵抗504の値を、0Ω、100Ω、1.5kΩ、4.7kΩと変えたときの2つのメモリ・チップ501間の、参照電圧を入力する端子間で測定される伝達インピーダンスZ21の周波数特性を示す。なお、ノイズ低減用抵抗504の値が0の場合は、従来の非分割の単一ベタパターンの場合に相当する。図22に示されるように、多分割ベタパターン503間を接続するノイズ低減用抵抗504の抵抗値を大きくするほど、全周波数領域に渡って伝達インピーダンスZ21が小さくなり、伝搬ノイズの低減効果が大きくなる。
図22に示されるように、伝達インピーダンスZ21は1GHz以上の高い周波数領域に極大値をもつため、低周波領域に比較して高周波領域におけるメモリ・チップ間のノイズ伝搬が大きくなる。多分割抵抗接続方式を採用したメモリ・モジュールにおいて、高周波領域における伝達インピーダンスZ21を低下させるためには、ノイズ低減用抵抗504の抵抗値を大きくする方法がある。ここで、メモリ・チップ501のVrefとグランドVssとの間のインピーダンスは、数百k〜MΩのオーダーで有限であるため、ノイズ低減用抵抗504の抵抗値が大きくなるほど、各ノイズ低減用抵抗504におけるDCドロップが大きくなる。具体的には、120Ωのチップ抵抗を用いたテブナン終端部506により1.8VのVddから900mVのVrefを生成し、多分割ベタパターン503の1つの参照電極にVrefを供給する場合において、ノイズ低減用抵抗504が1kΩの抵抗値をもつ場合、Vrefが直接供給されている参照電極の電位は899.8mV、これに接続された参照電極の電位は898mV、さらにこれに接続された参照電極の電位は897.1mVとなる。すなわち、Vrefが直接供給されている参照電極から遠いほど大きなDCドロップが生じる。Vrefは基準電位であるためDCレベルのノイズマージンは小さく、一般的にはVddの1%程度である。Vddが1.8Vである場合にはDCノイズマージンが18mVしかない。ノイズ低減用抵抗504の抵抗値が4.7kΩである場合、Vrefが直接供給されている参照電極から最も離れた参照電極の電位は887.3mVとなり、約13mVのDCドロップが生じる。すなわち、抵抗値を大きくするほどノイズ低減効果が大きい一方、DCレベルでのノイズマージンが減る。一方、ノイズ低減用抵抗504が100Ωの比較的小さな抵抗値をもつ場合は、Vrefが直接供給されている参照電極の電位は899.8mV、これに接続された参照電極の電位は899.7mV、さらにこれに接続された参照電極の電位は899.7mVとなり、ほとんどDCレベルは変わらない。しかしZ21が大きいという課題がある。
そこで、本発明者らは、多分割抵抗接続方式のメモリ・モジュールが備える参照電極間の抵抗値のみを大きくする場合に比較して、高周波領域における伝達インピーダンスZ21の極大値を大きく低下させるメモリ・モジュールを提供することを目的の1つとする。
本目的を解決するために本発明者らが着目した点について概説する。本発明者らは、多分割抵抗接続方式を採用したメモリ・モジュール500の伝達インピーダンスZ21は、次の3つの特徴をもつことに着目し、後述する3つの解決技術を発明した。第1の特徴は、Vref-Vss間のインダクタンス成分の影響により、高い周波数では駆動点インピーダンスが大きくなるため、ノイズ電流はグランドへと流れ込まずに他へ伝搬しようとするため、高い周波数では伝達インピーダンスZ21も大きくなり、ノイズ伝達量が大きいことである。第2の特徴は、各メモリ・チップに対応した各参照電極とデカップリング・コンデンサとにより構成される回路のインピーダンスが極大となる反共振周波数において、伝達インピーダンスZ21が極大値をとることである。第3の特徴は、隣接する多分割ベタパターンの駆動点インピーダンスの和が大きいほど、伝達インピーダンスZ21が大きくなることである。
第1の解決技術では、第1の特徴である駆動点インピーダンスが大きいためにグランドにノイズ電流が流れ込まないことを解決するため、参照電極間にノイズ低減用抵抗のみを挿入する場合に比較して、参照電極間のインダクタンス成分を大きくする。即ち、ノイズ伝搬方向であるVrefに直列な方向(参照電極間)にVref-Vss間より大きいインダクタンスを挿入する。これにより、Vref-Vss間の方が参照電極間よりもノイズ電流が流れやすくなるため他へと伝わる電流量が小さくなり、ノイズ伝達量、すなわち伝達インピーダンスZ21が小さくなる。第1の解決技術の具体例としては次の3つがある。解決技術1-1では、参照電極間の抵抗実装エリアの等価直列インダクタンス(ESL; equivalent series inductance)をノイズ低減用抵抗のみの場合のESLよりも大きくする。解決技術1-2では、ノイズ低減用抵抗のESLよりも大きいESLをもつ抵抗部材を参照電極間に配置する。解決技術1-3では、チップ・インダクタなどのインダクタをチップ抵抗などのノイズ低減用抵抗に直列に実装する。
第2の解決技術では、第2の特徴及び第3の特徴を利用し、各メモリ・チップに対応した各参照電極とデカップリング・コンデンサとにより構成される回路の反共振周波数を、隣接するメモリ・チップごとにずらすことにより、伝達インピーダンスZ21の極大値をずらすとともに、これらの回路の駆動点インピーダンスの和を小さくする。第2の解決技術の具体例としては次の4つのいずれかまたはこれらを組み合わせたものがある。解決技術2-1aでは、多分割ベタパターンのうち隣接する参照電極の面積を異ならせる。解決技術2-1bでは、多分割ベタパターンのうち隣接する参照電極をグランド層までの距離の異なる層に配置する。解決技術2-2では、隣接する多分割ベタパターンに接続されたデカップリング・コンデンサの容量値を異ならせる。解決技術2-3では、隣接する多分割ベタパターンに接続されたデカップリング・コンデンサのESLを異ならせる。
第3の解決技術では、多分割ベタパターンのうち隣接する参照電極同士をノイズ低減用抵抗を介さずに配置し、完全に個別化させる。
課題を解決するための手段についてより具体的に説明する。第1の半導体モジュールは、第1の参照電圧入力部を有する第1の半導体装置と、第2の参照電圧入力部を有する第2の半導体装置と、第1の参照電圧入力部及び第2の参照電圧入力部に参照電圧の電位を供給する参照電圧供給部とを備える。参照電圧供給部は、第1の参照電圧入力部に接続された第1の参照電極と、第2の参照電圧入力部に接続された第2の参照電極と、第1の参照電圧入力部に接続された第1のデカップリング・コンデンサと、第2の参照電圧入力部に接続された第2のデカップリング・コンデンサとを有する。参照電圧供給部は、第1の参照電圧入力部と第2の参照電圧入力部との間の伝達インピーダンスの周波数特性を調整して第1の半導体装置と第2の半導体装置との間におけるノイズ伝達を抑制するノイズ伝達抑制手段であって、第1の参照電極と第1のデカップリング・コンデンサとを含む回路の第1の反共振周波数と第2の参照電極と第2のデカップリング・コンデンサとを含む回路の第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、ノイズ伝達を抑制するノイズ伝達抑制手段を更に有する。
第2の半導体モジュールは、第1の半導体モジュールにおいて、第1のデカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンス成分の10倍以上の等価直列インダクタンス成分をもち第1の参照電極と第2の参照電極との間に接続された接続部材を更に備え、ノイズ伝達抑制手段は、接続部材を構成要素に有する。
第3の半導体モジュールは、第2の半導体モジュールにおいて、接続部材は、抵抗部材と抵抗部材に直列に接続されたインダクタとを有する。
第4の半導体モジュールは、第3の半導体モジュールにおいて、インダクタは、幅が長さの100分の1以下となる配線で形成されている。
第5の半導体モジュールは、第1から第4のいずれかの半導体モジュールにおいて、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが異なる。
第6の半導体モジュールは、第5の半導体モジュールにおいて、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数との差は、第1の反共振周波数の基本周波数の5%以上である。
第7の半導体モジュールは、第5または第6の半導体モジュールにおいて、ノイズ伝達抑制手段は、第1の参照電極と第2の参照電極とを構成に有し、第1の参照電極の面積と第2の参照電極の面積との差は、第1の参照電極の面積の10%以上である。
第8の半導体モジュールは、第5または第6の半導体モジュールにおいて、第1の参照電極及び第2の参照電極に対向して配置されたグランド電位層を備え、ノイズ伝達抑制手段は、第1の参照電極と第2の参照電極とを構成に有し、第1の参照電極と第2の参照電極とはグランド電位層までの距離が異なる層に配置されている。
第9の半導体モジュールは、第5または第6の半導体モジュールにおいて、ノイズ伝達抑制手段は、第1のデカップリング・コンデンサと第2のデカップリング・コンデンサとを構成に有し、第1のデカップリング・コンデンサの容量と第2のデカップリング・コンデンサの容量との差は、第1のデカップリング・コンデンサの容量の10%以上である。
第10の半導体モジュールは、第5または第6の半導体モジュールにおいて、ノイズ伝達抑制手段は、第1のデカップリング・コンデンサと第2のデカップリング・コンデンサとを構成に有し、第1のデカップリング・コンデンサの直列インダクタンスと第2のデカップリング・コンデンサの直列インダクタンスとの差は、第1のデカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンスの10%以上である。
第11の半導体モジュールは、第6の半導体モジュールにおいて、第3の参照電圧入力部を有する第3の半導体装置を更に備え、第3の半導体装置は、第1の半導体装置に積層され、第1の参照電圧入力部及び第1のデカップリング・コンデンサに接続されており、第1のデカップリング・コンデンサと第1の半導体装置との間の等価直列インダクタンスは、第1のデカップリング・コンデンサと第3の半導体装置との間の等価直列インダクタンスとの差は、第1のデカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンスの10%以上である。
第12の半導体モジュールは、第1から第11のいずれかの半導体モジュールにおいて、第1の半導体装置と第2の半導体装置とを支持するモジュール基板を更に備え、第2の半導体装置は、半導体モジュールにおいて第1の半導体装置が配置されている面と同じ側に配置されている。
第13の半導体モジュールは、第1から第11のいずれかの半導体モジュールにおいて、第1の半導体装置と第2の半導体装置とを支持するモジュール基板を更に備え、第2の半導体装置は、半導体モジュールにおいて第1の半導体装置が配置されている面と逆側に配置されている。
第14の半導体モジュールは、第1から第13のいずれかの半導体モジュールにおいて、参照電圧供給部は、第1の参照電極に接続されて第1の参照電極に参照電圧の電位を供給するテブナン終端部を更に有し、第1の参照電極を介して第2の参照電極に参照電圧の電位を供給する。
第15の半導体モジュールは、第1から第13の半導体モジュールにおいて、参照電圧供給部は、第1の参照電極に接続されて第1の参照電極に参照電圧の電位を供給する第1のテブナン終端部と、第2の参照電極に接続されて第2の参照電極に参照電圧の電位を供給する第2のテブナン終端部とを有する。
第16の半導体モジュールは、第1から第13の半導体モジュールにおいて、参照電圧供給部は、第1の参照電極及び第2の参照電極に接続されて第1の参照電極及び第2の参照電極に参照電圧の電位を供給する第3のテブナン終端部を更に有し、第3のテブナン終端部と第1の参照電極との間に接続された第1の抵抗部材と、第3のテブナン終端部と第2の参照電極との間に接続された第2の抵抗部材とを有する。
本発明によれば、多分割抵抗接続方式のメモリ・モジュールにおいて、参照電極間の抵抗値のみを大きくする場合に比較して、高周波領域における伝達インピーダンスZ21の極大値を大きく低下させることができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には原則として同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。半導体モジュールの一例としてのメモリ・モジュールに、半導体装置の一例としてのメモリ・チップを実装した実施例を説明する。半導体装置はメモリ・チップに限られるものではなく、参照電圧を取り扱う各種半導体装置であってもよい。なお、メモリ・モジュールに実装するメモリ・チップの数は以下に示される数に限られるものではなく、これ以上であってもこれ以下であってもよい。メモリ・チップは、メモリ・モジュールの一方の面に全て配置されたものであるのみならず、両面に分けて配置されたものであってもよい。
図1の平面図に示すように、メモリ・モジュール1は、複数のメモリ・チップ2とモジュール基板3と参照電圧供給部4とを備える。
複数のメモリ・チップ2は同様の構成をもち、それぞれ、第1のメモリ・チップ2a、第2のメモリ・チップ2b、第3のメモリ・チップ2c、第4のメモリ・チップ2dと区別される。以下、第1のメモリ・チップ2a、第2のメモリ・チップ2b、第3のメモリ・チップ2c、第4のメモリ・チップ2dに対応して設けられた構成要素は、それぞれ、参照符号の後にa、b、c、dを付して区別される。第1のメモリ・チップ2aは、参照電圧を入力する第1の参照電圧入力部10aを有し、他のメモリ・チップも同様である。
モジュール基板3は、長方形状の平板である。図2は、モジュール基板3上の第1のメモリ・チップ2a付近の拡大図であり、第1のメモリ・チップ2aの実装エリアが破線で示されている。モジュール基板3は図1に示すソケット用端子11と、図2に示す第1のメモリ用参照電極端子12aと第1のメモリ用グランド電極端子13aと第1のグランド・ビア14aと、これと同様に他のメモリ・チップにそれぞれ対応した構成とを有する。さらに、モジュール基板3は、図示しない積層構造をもち、グランド電位(Vss)を供給するグランド電位層と、電源電位(Vdd)を供給する電源電位層とを有する。モジュール基板3の一方の面側には、複数のメモリ・チップ2がモジュール基板3の長辺に沿って間隔を開けて並ぶように実装されている。
図1のソケット用端子11は、モジュール基板3の長辺に設けられており、マザーボードなどのシステム基板に設けられたソケットに差し込まれた状態で、ソケットからVss及びVddを入力するとともに、ソケットとの間で電気信号を伝達する。図2の第1のメモリ用参照電極端子12aは、図1の第1の参照電圧入力部10aに接続されている。図2の第1のメモリ用グランド電極端子13aは、グランド電位層と第1のメモリ・チップ2aに接続されている。第1のグランド・ビア14aは、グランド電位層に接続されている。他のメモリ・チップ2とモジュール基板3の対応する構成要素との接続についても同様である。
参照電圧供給部4は、図1に示すように第1の参照電極20aと第2の参照電極20bと第3の参照電極20cと第4の参照電極20dと、第1のデカップリング・コンデンサ21aと第2のデカップリング・コンデンサ21bと第3のデカップリング・コンデンサ21cと第4のデカップリング・コンデンサ21dと、第1の接続部23と第2の接続部24と第3の接続部25とテブナン終端部26とを有し、図2に示す第1のメモリ・チップ2に対応した第1の配線22aと第1のコンデンサ実装用電極対27aと他のメモリ・チップ2に対応した同様の構成とを有する。
図1の第1の参照電極20aは、モジュール基板3上で第1のメモリ・チップ2aが配置されている面と同じ側に設けられている。第1の参照電極20aは、第1のメモリ・チップ2aの周囲をコの字型に囲むように平板状に形成されており、コの字は幅をもった帯状に形成され、コの字の開口側はソケット用端子11側に向けられている。図2の第1の参照電極20aは、第2のメモリ・チップ2bに近い側の一辺の内側に、第1の引き出し部30aと第1の窪み部分31aとを有している。第1の引き出し部30aは、第1の参照電極20aのコの字の一辺の内部から、コの字の内部に向けて徐々に幅を狭くしながら伸びており、第1の引き出し部30aの先端は第1のメモリ用参照電極端子12aを介して図1の第1の参照電圧入力部10aに接続されている。第1の窪み部分31aは、第1の引き出し部30aよりコの字の奥側においてコの字の一辺の幅を部分的に狭くすることにより形成されている。なお、ここでは第1の参照電極20aをコの字型としているが、信号配線より十分に幅の広い、グランド電位層または電源電位層との平行平板を形成していれば、形状はこの通りでなくても良い。
図2の第1のコンデンサ実装用電極対27aは、第1の参照電極20aに設けられた第1の窪み部分31aの内部に配置されている。第1のデカップリング・コンデンサ21aは、第1のコンデンサ実装用電極対27a上に実装されている。第1のデカップリング・コンデンサ21aは、第1のコンデンサ実装用電極対27aと第1の配線22aとを介し、第1のメモリ用参照電極端子12aと第1のグランド・ビア14aとの間に接続されている。なお、第1のデカップリング・コンデンサ21aは、複数のコンデンサを組み合わせたものであってもよい。第1の配線22aのうち、第1のメモリ用参照電極端子12aと第1のデカップリング・コンデンサ21aの一端とを接続する部分は、第1の参照電極20aと一体に形成されたものであってもよい。第1のメモリ・チップ2aとモジュール基板3及び参照電圧供給部4との接続関係と同様に、他のメモリ・チップ2もモジュール基板3及び参照電圧供給部4に接続されている。
図1に示すように第1の参照電極20aと第2の参照電極20bとの間、第2の参照電極20bと第3の参照電極20cとの間、及び、第3の参照電極20cと第4の参照電極20dとの間に間隔が設けられていることにより、第1の参照電極20aと第2の参照電極20bと第3の参照電極20cと第4の参照電極20dとにより多分割ベタパターンが構成されている。各メモリ・チップ2に対応したデカップリング・コンデンサは同じ特性をもつ。
第1の接続部23は、第1のインダクタ32と第1の抵抗部材33とを有する。第1のインダクタ32は、ソケット用端子11より遠い側で第1の参照電極20aに接続され、ソケット用端子11に近い側で第2の参照電極20bに接続されている。第1の抵抗部材33は、第1のインダクタ32の経路の一部に直列に接続されている。第2の接続部24は、第2のインダクタ34と第2の抵抗部材35とを有する。第2のインダクタ34は、ソケット用端子11より遠い側で第2の参照電極20bに接続され、ソケット用端子11に近い側で第3の参照電極20cに接続されている。第2の抵抗部材35は、第2のインダクタ34の経路の一部に直列に接続されている。第3の接続部25は、第3のインダクタ36と第3の抵抗部材37とを有する。第3のインダクタ36は、ソケット用端子11より遠い側で第3の参照電極20cに接続され、ソケット用端子11に近い側で第4の参照電極20dに接続されている。第3の抵抗部材37は、第3のインダクタ36の経路の一部に直列に接続されている。
第1の抵抗部材33、第2の抵抗部材35、及び、第3の抵抗部材37は、すべて同じ抵抗値をもつ。第1のインダクタ32、第2のインダクタ34、及び、第3のインダクタ36は、すべて同じ形状をもち、経路が複数回屈曲したミアンダ配線により構成されている。
テブナン終端部26は、電源側抵抗部材38とグランド側抵抗部材39とを有する。電源側抵抗部材38は、第2の参照電極20bと電源電位層との間を電気的に接続している。グランド側抵抗部材39は、第2の参照電極20bとグランド電位層との間を電気的に接続している。テブナン終端部26は、テブナン終端の構造を形成することにより、第2の参照電極20bに参照電圧の電位を供給している。
ソケット用端子11から入力されたグランド電位Vssと電源電位Vddとに基づいて、テブナン終端部26で形成された参照電圧の電位は、第2の参照電極20bから第1の接続部23を通じて第1の参照電極20aに伝達されるとともに、第2の参照電極20bから第2の接続部24、第3の参照電極20c、第3の接続部25、第4の参照電極20dへと順に伝達される。第1のメモリ・チップ2aは第1の参照電極20aから第1の参照電圧入力部10aを通じて参照電圧の電位を入力する。
以下、メモリ・チップ2間を伝達する高周波ノイズを抑制するノイズ伝達抑制手段として機能する第1の接続部23、第2の接続部24、及び第3の接続部25の機能について詳細に説明する。ここでは、第1の接続部23について説明するが、第2の接続部24及び第3の接続部25についても同様の説明が可能である。マイクロストリップ配線である第1のインダクタ32の単位長あたりのインダクタンスLlineは、Lline=μ0d/wで概算される。第1のインダクタ32の長さlは16mm、幅wは0.1mm、グランド面からの距離dは0.1mmであり、真空の透磁率がμ0=4π×10-7(N/A2)であることから、Lline=1.25nH/mmを得る。
図3は、図1の第1のメモリ・チップ2aと第2のメモリ・チップ2bとの間の伝達インピーダンスZ21の周波特性を示すグラフである。伝達インピーダンスZ21は、図1の第1のメモリ・チップ2aの第1の参照電圧入力部10aに入力する電流I1と、このとき第2のメモリ・チップ2bの第2の参照電圧入力部10bに発生する電圧V2との比Z21=V2/I1で表される。伝達インピーダンスZ21が小さいほどノイズ伝達量が小さくなる。
図3の曲線40、曲線41、曲線42、曲線43、曲線44、曲線45は、それぞれ、第1のインダクタ32のインダクタンスLが1nH、10nH、100nH、200nH、500nH、1000nHの場合における、伝達インピーダンスZ21の周波数特性を示している。ここで、第1の接続部23の抵抗値は100Ωである。1GHzより大きい周波数領域に存在する伝達インピーダンスZ21の極大値は、多分割ベタパターン方式を採用していることに起因して、きわめて高い周波数領域に発生するものである。具体的には、主に図1に示す第1の参照電極20aと第1のデカップリング・コンデンサ21aとを含んだ第1の回路における第1の反共振周波数と、主に第2の参照電極20bと第2のデカップリング・コンデンサ21bとを含んだ第2の回路における第2の反共振周波数とがほぼ同一であることにより、主に第1の参照電極20aと第1のデカップリング・コンデンサ21aと第2の参照電極20bと第2のデカップリング・コンデンサ21bと第1のインダクタ32と第1の抵抗部材33とを含んだ第3の回路の反共振周波数においてこの極大値が生じる。この極大値が大きいほど、高周波領域のノイズが第1のメモリ・チップ2aと第2のメモリ・チップ2bとの間を伝播しやすくなる。
図3に示されるように、全周波数領域において第1のインダクタ32のインダクタンスを大きくするほど伝達インピーダンスZ21を小さくすることができる。第1のインダクタ32のインダクタンスの変化により、伝達インピーダンスZ21は、低周波数領域より高周波数領域において大きく変化する。第1のインダクタ32のインダクタンスを大きくすることによって第1の接続部23のESLを大きくするほど、第1のメモリ・チップ2aと第2のメモリ・チップ2bとの間を伝播する高周波領域におけるノイズ伝達量を抑制することができる。
伝達インピーダンスの極大値を低下させ、ノイズ低減効果を得るためには、第1のインダクタ32のインダクタンス値を、第1のデカップリング・コンデンサ21aの等価直列インダクタンス値の10倍以上とすることが望ましい。第1の参照電極20aと第2の参照電極20bと第1のデカップリング・コンデンサ21aと第2のデカップリング・コンデンサ21bとのインダクタンスを勘案すると、第1のインダクタ32のインダクタンス値は10nH以上であることが望ましい。第1のインダクタ32のインダクタンス値を10nH以上とするためには、第1のインダクタ32の長さを16mm以上にする必要がある。なお、将来、技術的に第1のインダクタ32の配線幅を0.1mmより細くできた場合でも、第1のインダクタ32の長さを10mm以上にする必要があるため、幅と長さの比を1:100以上とする必要がある。実装面積を考慮すると、w=0.2mm以下であることが好ましく、w=0.1mmであることがより好ましい。
図1に示すように第1のインダクタ32をミアンダ配線で構成することにより、直線状の配線で構成する場合に比較してインダクタンスを大きくすることができる。第1の接続部23において、第1の抵抗部材33と直列に第1のインダクタ32を接続することにより、第1の抵抗部材33のみの場合に比較して第1の抵抗部材33の抵抗値を小さくしながら、高周波領域のノイズ伝達を抑制することができる。第1のインダクタ32をプリント基板の配線パターンにより形成することにより、抵抗部材の足を長くする場合などに比較して配線を長くしてインダクタンスを大きくすることができ、抵抗部材の足を長くする場合などに比較して立体的な実装エリアを小さくすることができ、チップインダクタンスを用いる場合などに比較して部品点数を少なくすることができ、これらにより、低コストで製造することができる。
なお、メモリ・モジュール1は、いくつかにまとめられた参照電極のグループをもち、グループ内で接続部により接続されたものであってもよい。なお、参照電極に供給される参照電圧の電位は、テブナン終端部26で形成されたものに限られるものではなく、マザーボードから給電されるものであってもよく、メモリ・モジュール1に備えるVref生成用スイッチング・レギュレータにより給電されるものであってもよい。
実施例1によれば、参照電極間にデカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンス成分の10倍以上の等価直列インダクタンス成分をもつインダクタを設けることにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。また、参照電極間の抵抗値を大きくする場合に比較して、参照電極間のDCドロップを抑制することができる。
図4の平面図に示すように、メモリ・モジュール1は、第1の接続部23と第2の接続部24と第3の接続部25として、第1の長足抵抗50と第2の長足抵抗51と第3の長足抵抗52とを用いたものであってもよい。第1の長足抵抗50は、抵抗部材の両端にインダクタンス成分の大きな長い足をもち、この長い足によりソケット用端子11から遠い側で第1の参照電極20aと第2の参照電極20bとの間を接続している。長い足を含む第1の長足抵抗50の等価直列インダクタンスは、第1のデカップリング・コンデンサ21aの等価直列インダクタンスの10倍以上であることが望ましく、本実施例では、10nH以上であることが望ましい。第2の接続部24及び第3の接続部25についても第1の接続部23と同様である。
参照電極間の接続部を抵抗部材単体で構成することにより、モジュール基板上に配線を形成する場合と異なり参照電極間のスペースの制約に基づく配線長の制限などの影響を排除するこができ、設計の自由度を高めることができる。参照電極間の接続部を抵抗部材単体で構成することにより、チップ・インダクタを用いる場合に比較して部品点数を少なくすることができる。
実施例2によれば、参照電極間にデカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンス成分の10倍以上の等価直列インダクタンス成分をもつインダクタを設けることにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。
図5の平面図に示すように、メモリ・モジュール1は、実施例1の第1のインダクタ32、第2のインダクタ34、及び、第3のインダクタ35として、それぞれ、第1のチップ・インダクタ53、第2のチップ・インダクタ54、第3のチップ・インダクタ55を用いたものであってもよい。第1のチップ・インダクタ53の直列インダクタンスは、第1のデカップリング・コンデンサ21aの等価直列インダクタンスの10倍以上であることが望ましく、本実施例では10nH以上であることが望ましい。第2の接続部24及び第3の接続部25についても第1の接続部23と同様である。
接続部のインダクタとしてチップ・インダクタを使用することにより、モジュール基板上に配線を形成する場合などに比較して小さな部材で大きなインダクタンス値を得ることができる。接続部のインダクタとしてチップ・インダクタを使用することにより、モジュール基板上に配線を形成する場合と異なり参照電極間のスペースの制約に基づく配線長の制限などの影響を排除するこができ、設計の自由度を高めることができる。接続部のインダクタとしてチップ・インダクタを使用することにより、足の長い抵抗部材を用いる場合などに比較して、立体的な実装エリアを小さくすることができる。
実施例3によれば、参照電極間にデカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンス成分の10倍以上の等価直列インダクタンス成分をもつインダクタを設けることにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。
図6の平面図に示すように、メモリ・モジュール101は、複数のメモリ・チップ102とモジュール基板103と参照電圧供給部104とを備える。
複数のメモリ・チップ102は同様の構成をもち、それぞれ、第1のメモリ・チップ102a、第2のメモリ・チップ102b、第3のメモリ・チップ102c、第4のメモリ・チップ102dと区別される。以下、第1のメモリ・チップ102a、第2のメモリ・チップ102b、第3のメモリ・チップ102c、第4のメモリ・チップ102dに対応して設けられた構成要素は、それぞれ、参照符号の後にa、b、c、dを付して区別される。第1のメモリ・チップ102aは、参照電圧を入力する第1の参照電圧入力部110aをもち、他のメモリ・チップも同様の構成をもつ。
モジュール基板103は、長方形状の平板である。図7は、モジュール基板103上の、第1のメモリ・チップ102a付近の拡大図であり、第1のメモリ・チップ102aの実装エリアが破線で示されている。モジュール基板103は図6に示すソケット用端子111と、図7に示す第1のメモリ用参照電極端子112aと第1のメモリ用グランド電極端子113aと第1のグランド・ビア114aと、これと同様に他のメモリ・チップにそれぞれ対応した構成を有する。さらに、モジュール基板103は、図示しない積層構造をもち、グランド電位(Vss)を供給するグランド電位層と、電源電位(Vdd)を供給する電源電位層とを有する。モジュール基板103の一方の面側には、複数のメモリ・チップ102がモジュール基板103の長辺に沿って間隔を開けて並ぶように実装されている。
図6のソケット用端子111は、モジュール基板103の長辺に設けられており、マザーボードなどのシステム基板に設けられたソケットに差し込まれた状態で、システムからVss及びVddを入力するとともに、システムとの間で電気信号を伝達する。図7の第1のメモリ用参照電極端子112aは、図6の第1の参照電圧入力部110aに接続されている。図7の第1のメモリ用グランド電極端子113aは、グランド電位層と第1のメモリ・チップ102aとに接続されている。第1のグランド・ビア114aは、グランド電位層に接続されている。他のメモリ・チップ102とモジュール基板103の対応する構成要素との接続についても同様である。
参照電圧供給部104は、図6に示す第1の参照電極120aと第2の参照電極120bと第3の参照電極120cと第4の参照電極120dと、第1のデカップリング・コンデンサ121aと第2のデカップリング・コンデンサ121bと第3のデカップリング・コンデンサ121cと第4のデカップリング・コンデンサ121dと、第1の接続部123と第2の接続部124と第3の接続部125とテブナン終端部126と、図7に示す第1のメモリ・チップ102aに対応した第1の配線122a及び第1のコンデンサ実装用電極対127aと他のメモリ・チップに対応した同様の構成とを備える。
図6の第1の参照電極120aは、モジュール基板103上で第1のメモリ・チップ102aが配置されている面と同じ側に設けられている。第1の参照電極120aは、第1のメモリ・チップ102aの周囲をコの字型に囲むように平板状に形成されており、コの字は幅をもった帯状に形成され、コの字の開口側はソケット用端子111側に向けられている。図7の第1の参照電極120aは、第2のメモリ・チップ102bに近い側の一辺の内側に、第1の引き出し部130aと第1の窪み部分131aとを有している。第1の引き出し部130aは、第1の参照電極120aのコの字の一辺の内部から、コの字の内部に向けて徐々に幅を狭くしながら伸びており、第1の引き出し部130aの先端は第1のメモリ用参照電極端子112aを介して図6の第1の参照電圧入力部110aに接続されている。第1の窪み部分131aは、第1の引き出し部130aよりコの字の奥側においてコの字の一辺の幅を部分的に狭くすることにより形成されている。第1の参照電極120aにおいて、第2の参照電極120b側の一辺でソケット用端子111から遠い側の電極面の一部が、欠けた構成をもつ。第1の参照電極120aにおいて、第2の参照電極120bから遠い側の一辺は、第2の参照電極120bに近い側の一辺よりもソケット用端子111に向かって長く伸びている。なお、第1の参照電極120a及び第2の参照電極120bは、信号配線より十分に幅の広い、グランド電位層または電源電位層との平行平板を形成していれば、形状はこの通りでなくても良い。
図6の第2の参照電極120bは、モジュール基板103上で第2のメモリ・チップ102bが配置されている面と同じ側において、第2のメモリ・チップ102bの周囲を囲むように形成されている。第2の参照電極120bは、コの字の対向する2つの辺がほぼ同じ長さをもつ点と、さらに、第1の参照電極120a側の一辺の両端に第1の参照電極120a側にそれぞれ延びた部分をもつ点で、第1の参照電極120aと異なる。
第1の参照電極120aの形状と第2の参照電極120bの形状とが異なることにより、第1の参照電極120aの面積と第2の参照電極120bの面積とが異なっている。第2の参照電極120bの面積と第1の参照電極120aの面積との差は、第1の参照電極120aの面積の10%以上である。
第3の参照電極120cは、第3のメモリ・チップ102cの周囲において第1の参照電極120aと同様の形状で形成されている。第4の参照電極120dは、第4のメモリ・チップ104dの周囲において第2の参照電極120bと同様の形状で形成されている。隣接する第1の参照電極120aの面積と第2の参照電極120bの面積とが異なり、第2の参照電極120bの面積と第3の参照電極120cの面積とが異なり、第3の参照電極120cの面積と第4の参照電極120dの面積とが異なっている。
図7の第1のコンデンサ実装用電極対127aは、第1の参照電極120aに設けられた第1の窪み部分131aの内部に配置されており、第1のデカップリング・コンデンサ121aは第1のコンデンサ実装用電極対127a上に実装されている。第1のデカップリング・コンデンサ121aは、第1のコンデンサ実装用電極対127aと第1の配線122aとを介し、第1のメモリ用参照電極端子112aと第1のグランド・ビア114aとの間に接続されている。なお、第1のデカップリング・コンデンサ121aは、複数のコンデンサを組み合わせたものであってもよい。第1の配線122aのうち、第1のメモリ用参照電極端子112aと第1のデカップリング・コンデンサ121aの一端とを接続する部分は、第1の参照電極120aと一体に形成されたものであってもよい。第1のメモリ・チップ102aとモジュール基板103及び参照電圧供給部104との接続関係と同様に、他のメモリ・チップ102もモジュール基板103及び参照電圧供給部104に接続されている。
図6に示すように、第1の参照電極120aと第2の参照電極120bとの間、第2の参照電極120bと第3の参照電極120cとの間、及び第3の参照電極120cと第4の参照電極120dとの間に間隔が設けられていることにより、第1の参照電極120aと第2の参照電極120bと第3の参照電極120cと第4の参照電極120dとにより多分割ベタパターンが構成されている。
第1の接続部123は、ソケット用端子111より遠い側で第1の参照電極120aと第2の参照電極120bとを接続する抵抗部材である。第2の接続部124は、ソケット用端子111より遠い側で第2の参照電極120bと第3の参照電極120cとを接続する抵抗部材である。第3の接続部125は、ソケット用端子111より遠い側で第3の参照電極120cと第4の参照電極120dとを接続する抵抗部材である。
テブナン終端部126は、電源側抵抗部材138とグランド側抵抗部材139とを有する。電源側抵抗部材138は、第2の参照電極120bと電源電位層との間を電気的に接続している。グランド側抵抗部材139は、第2の参照電極120bとグランド電位層との間を電気的に接続している。テブナン終端部126は、テブナン終端の構造を形成することにより、第2の参照電極120bに参照電圧の電位を供給している。
ソケット用端子111から入力されたグランド電位Vssと電源電位Vddとに基づいて、テブナン終端部126で形成された参照電圧の電位は、第2の参照電極120bから第1の接続部123を通じて第1の参照電極120aに伝達されるとともに、第2の参照電極120bから第2の接続部124、第3の参照電極120c、第3の接続部125、第4の参照電極120dへと順に伝達される。第1のメモリ・チップ102aは第1の参照電極120aから第1の参照電圧入力部110aを通じて参照電圧の電位を入力する。
以下、メモリ・チップ102間を伝達する高周波ノイズを抑制するノイズ伝達抑制手段として機能する第1の参照電極120a、第2の参照電極120b、第3の参照電極120c、及び第4の参照電極120dの機能について詳細に説明する。ここでは、第1の参照電極120a及び第2の参照電極120bについて説明するが、第2の参照電極120b、第3の参照電極120c、及び第4の参照電極120dについても同様である。
図8は、図6の第1のメモリ・チップ102aと第2のメモリ・チップ102bとの間の伝達インピーダンスZ21の周波特性を示すグラフである。伝達インピーダンスZ21は第1のメモリ・チップ102aの第1の参照電圧入力部110aに入力する電流I1と、このとき第2のメモリ・チップ102bの第2の参照電圧入力部110bに発生する電圧V2との比Z21=V2/I1で表される。伝達インピーダンスZ21が小さいほどノイズ伝達量が小さい。
曲線140、曲線141、曲線142、曲線143は、それぞれ、第2の参照電極120bのベタパターンにより形成される容量Cpl2が30pFである場合に、第1の参照電極120aのベタパターンにより形成される容量Cpl1が10pF、15pF、20pF、30pFの場合における、伝達インピーダンスZ21の周波数特性を示している。ここで、第1の接続部123の抵抗値は100Ωである。
多分割抵抗ベタパターン方式の場合、面給電方式に比べてVrefプレーンの幾何学形状が小さいため、Vrefプレーンの共振・反共振周波数が面給電方式のそれと比べて高い周波数となる。このため、面給電方式に比べて高い周波数領域(1GHz超)に伝達インピーダンスZ21の極大値が発生している。具体的には、主に図6の第1の参照電極120aと第1のデカップリング・コンデンサ121aとを含んだ第1の回路における第1の反共振周波数と、主に第2の参照電極120bと第2のデカップリング・コンデンサ121bとを含んだ第2の回路における第2の反共振周波数とが近いことにより、主に第1の参照電極120aと第1のデカップリング・コンデンサ121aと第2の参照電極120bと第2のデカップリング・コンデンサ121bと第1の接続部123とを含んだ第3の回路の反共振周波数においてこの極大値が生じる。第1の回路と第2の回路とが完全対称形であればこの極大値が極めて大きくなる。この極大値が大きいほど、高周波領域のノイズが第1のメモリ・チップ102aと第2のメモリ・チップ102bとの間を伝播しやすくなる。
図8に示されるように、容量Cpl2が一定の場合、容量Cpl1を小さくするほど、約1GHzより大きい周波数領域に発生する伝達インピーダンスZ21の極大値を小さくすることができる。これは、容量Cpl2と容量Cpl1とが異なることにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とがずれるからである。第1の参照電極120aの面積と第2の参照電極120bの面積とが異なることによって容量Cpl2と容量Cpl1とが異なり、第1のメモリ・チップ102aと第2のメモリ・チップ102bとの間を伝播する高周波領域のノイズ伝達量を抑制することができる。第1の参照電極120a及び第2の参照電極120bの給電面は、低い抵抗値と、高いQ(Quality factor)をもつため、それぞれを含む回路の反共振周波数におけるインピーダンスのピークの幅が狭い。そのため、十分な効果を得るためには、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とを、反共振の基本周波数の5%ずらすことが望ましい。容量C、インダクタンスLの回路の反共振周波数fは、f=1/(2π(LC)1/2)と表されるため、反共振周波数fを5%ずらすためには第1の参照電極120aの面積と第2の参照電極120bの面積との差を、第1の参照電極120aの面積の10%とすることが望ましい。
すでに存在する隣接する参照電極の面積を異ならせて第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすため、新たな部材を付加する場合に比較して容易かつ低コストに設計することができる。参照電極間の抵抗値を大きくする場合に比較して、参照電極間のDCドロップを抑制することができる。なお、メモリ・モジュール101は、参照電極をいくつかまとめたグループ内でそれぞれ接続部により接続されたものであってもよい。なお、参照電極に供給される参照電圧の電位は、テブナン終端部26に形成されたもののほか、マザーボードから給電されるものであってもよく、メモリ・モジュール101に備えるVref生成用スイッチング・レギュレータにより給電されるものであってもよい。
実施例4によれば、隣接する参照電極の面積を異ならせることによって第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすことにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。特に、高周波領域のノイズ伝達を効果的に抑制することができる。
図9は実施例5のメモリ・モジュール170を示している。図9(a)のTOPはメモリ・モジュール170の表側の概念的な平面図、bottomはその裏側の概念的な平面図、図9(b)はメモリ・モジュール170の概念的な断面図を示す。図9(a)に示すようにメモリ・モジュール170は、モジュール基板171と、第1のメモリ・チップ群172と第2のメモリ・チップ群173と第3のメモリ・チップ群174と第4のメモリ・チップ群175と、コントローラ・チップ176と、第1の参照電圧供給部177と第2の参照電圧供給部178と第3の参照電圧供給部179と第4の参照電圧供給部180とを備える。
図9(b)に示すようにモジュール基板171は複数の層と各種端子類をもつ長方形状の平板であり、L1層191とL2層192とL3層193とL4層194とを含むTOP層190と、L5層195とL6層196とL7層197とL8層198とを含むBottom層199とを有する。L2層192及びL7層197はグランド電位層(G)でありL4層194は電源電位層(V)である。L1層191とL2層192との距離はL2層192とL3層193との距離と異なり、L6層196とL7層197との距離はL7層197とL8層198との距離と異なる。
図9(a)の第1のメモリ・チップ群172と第2のメモリ・チップ群173とは、TOP層190上でモジュール基板171の長手方向に並べて配置され、それぞれ、モジュール基板171の長手方向に直線状に並ぶ5枚のメモリ・チップにより構成されている。第3のメモリ・チップ群174と第4のメモリ・チップ群175とは、Bottom層199上でモジュール基板171の長手方向に並べて配置され、それぞれ、モジュール基板171の長手方向に直線状に並ぶ4枚のメモリ・チップにより構成されている。コントローラ・チップ176は、Bottom層199において第3のメモリ・チップ群174と第4のメモリ・チップ群175との間に配置されており、各メモリ・チップのデータ転送などを制御する。
第1の参照電圧供給部177は第1のメモリ・チップ群172付近に配置され、第1のメモリ・チップ群172に参照電圧の電位を供給する。第2の参照電圧供給部178は第2のメモリ・チップ群173付近に配置され、第2のメモリ・チップ群173に参照電圧の電位を供給する。第3の参照電圧供給部179は第3のメモリ・チップ群174付近に配置され、第3のメモリ・チップ群174に参照電圧の電位を供給する。第4の参照電圧供給部180は第4のメモリ・チップ群175付近に配置され、第4のメモリ・チップ群175に参照電圧の電位を供給する。
第1の参照電圧供給部177は、第1のメモリ・チップ群172の各メモリ・チップに参照電極の電圧を供給する第1の参照電極181aから第5の参照電極181eまでの5つの参照電極を有しており、各参照電極間は複数の抵抗部材182で直列に接続され、1つのテブナン終端部183が第3の参照電極181cに参照電圧の電位を供給している。第1の参照電極181aから第5の参照電極181eまでの5つの参照電極は、第1のメモリ・チップ群172の各メモリ・チップの並び方向に沿って順に設けられている。図9(b)に示すように、第1の参照電極181aと第3の参照電極181cと第5の参照電極181eとはL1層191に設けられており、第2の参照電極181bと第4の参照電極181dとはL3層193に設けられている。
図9(a)の第3の参照電圧供給部179は、第3のメモリ・チップ群174の各メモリ・チップに参照電極の電圧を供給する第11の参照電極181fから第14の参照電極181iまでの4つの参照電極を有しており、各参照電極間は複数の抵抗部材184で直列に接続され、1つのテブナン終端部185が第13の参照電極181hに参照電圧の電位を供給している。第11の参照電極181fから第14の参照電極181iまでの4つの参照電極は、第3のメモリ・チップ群174の各メモリ・チップの並び方向に沿って順に設けられている。図9(b)に示すように、第12の参照電極181gと第14の参照電極181iとは、L6層196に設けられており、第11の参照電極181fと第13の参照電極181hとは、L8層198に設けられている。
図9(a)及び図9(b)に示すように第2の参照電圧供給部178及び第4の参照電圧供給部180は、モジュール基板171の長手方向中央を境目に、第1の参照電圧供給部177及び第3の参照電圧供給部179を鏡で反転させたような構造をもつ。異なる層に参照電極を配置している他、各メモリ・チップにデカップリング・コンデンサが接続されている点、モジュール基板171に各種端子や電極が設けられている点、モジュール基板171と各メモリ・チップや各参照電圧供給部との接続関係は、実施例4のメモリ・モジュール101の場合と同様であるため説明を省略する。
電気的に隣接して接続された参照電極が、グランド電位層までの距離の異なる層に配置されていることにより、ベタパターンにより形成される容量が電気的に隣接して接続された参照電極同士で異なる。その結果、参照電極とデカップリング・コンデンサとで形成される回路の共振周波数を、隣接する回路間で異ならせることができる。
参照電極を配置する層を変えることにより第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすため、参照電極の形状を異ならせる場合に比較して容易かつ低コストに設計することができる。
実施例5によれば、グランド電位層までの距離を隣接する参照電極間で異ならせることによって第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすことにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。特に、高周波領域のノイズ伝達を効果的に抑制することができる。
図10は実施例6のメモリ・モジュール200を示している。図10(a)のTOPはメモリ・モジュール200の表側の概念的な平面図、bottomはその裏側の概念的な平面図、図10(b)はメモリ・モジュール200の概念的な断面図を示す。図10(a)に示すようにメモリ・モジュール200は、モジュール基板201と、第1のメモリ・チップ群202と第2のメモリ・チップ群203と第3のメモリ・チップ群204と第4のメモリ・チップ群205と、コントローラ・チップ206と、第1の参照電圧供給部207と第2の参照電圧供給部208と第3の参照電圧供給部209と第4の参照電圧供給部210とを備える。
図10(b)のモジュール基板201は、複数の層と各種端子類をもつ長方形状の平板であり、L1層221とL2層222とL3層223とL4層224とL5層225とL6層226とを含むTOP層220と、L7層227とL8層228とを含むBottom層229とを有する。L2層222及びL7層227はグランド電位層(G)であり、L4層224は電源電位層(V)である。L1層221とグランド電位層との距離と、L5層225とグランド電位層との距離と、L8層228とグランド電位層との距離とは互いに異なる。
図10(a)の第1のメモリ・チップ群202は、TOP層220上に配置された3枚のメモリ・チップと、Bottom層229上に配置された2枚のメモリ・チップとにより構成される。第2のメモリ・チップ群203は、TOP層220上に並べて配置された2枚のメモリ・チップと、Bottom層229上に並べて配置された2枚のメモリ・チップとにより構成される。各メモリ・チップは、TOP層220上及びBottom層229上でそれぞれモジュール基板201の長手方向に沿って直線状に配置されている。第3のメモリ・チップ群204と第4のメモリ・チップ群205とは、それぞれ、モジュール基板201の長手方向中央を境目に第1のメモリ・チップ群202及び第2のメモリ・チップ群203を鏡で反転させたような構造をもつ。コントローラ・チップ206は、Bottom層229において第2のメモリ・チップ群203と第4のメモリ・チップ群205との間に配置されており、各メモリ・チップのデータ転送などを制御する。
図10(a)の第1の参照電圧供給部207は、第1のメモリ・チップ群202の各メモリ・チップに参照電極の電圧を供給する第1の参照電極211aから第5の参照電極211eまでの5つの参照電極と、1つのテブナン終端部212とを有している。第1の参照電極211a、第2の参照電極211b、第3の参照電極211c、第4の参照電極211d、第5の参照電極211eは、複数の抵抗部材213で順に直列に接続されている。テブナン終端部212は、TOP層220上で第3の参照電極211cに参照電圧の電位を供給している。図10(b)に示すように、第1の参照電極211aから第5の参照電極211eまでの5つの参照電極は、第1のメモリ・チップ群202の各メモリ・チップからモジュール基板201の層方向内部に配置されている。第1の参照電極211aと第5の参照電極211eとはL8層228に設けられており、第2の参照電極211bと第4の参照電極211dとはL5層225に設けられており、第3の参照電極211cはL1層221に設けられている。
図10(a)の第2の参照電圧供給部208は、第2のメモリ・チップ群203の各メモリ・チップに参照電極の電圧を供給する第6の参照電極211fから第9の参照電極211iまでの4つの参照電極と、1つのテブナン終端部214とを有している。第6の参照電極211f、第7の参照電極211g、第8の参照電極211h、第9の参照電極211iは、複数の抵抗部材215で順に直列に接続されている。テブナン終端部214は、TOP層220上で第7の参照電極211gに参照電圧の電位を供給している。図10(b)に示すように、第6の参照電極211fから第9の参照電極211iまでの4つの参照電極は、第2のメモリ・チップ群203の各メモリ・チップからモジュール基板201の層方向内部に配置されている。第6の参照電極211fと第9の参照電極211iとはL8層228に設けられており、第7の参照電極211gはL1層221に設けられており、第8の参照電極211hはL5層225に設けられている。
図10(a)及び図10(b)に示すように、第3の参照電圧供給部209及び第4の参照電圧供給部210は、モジュール基板201の長手方向中央を境目に、第1の参照電圧供給部207及び第2の参照電圧供給部208を鏡で反転させたような構造をもつ。異なる層に参照電極を配置している他、各メモリ・チップにデカップリング・コンデンサが接続されている点、モジュール基板201に各種端子や電極が設けられている点、モジュール基板201と各メモリ・チップや各参照電圧供給部との接続関係は、実施例4のメモリ・モジュール101の場合と同様であるため説明を省略する。
電気的に隣接して接続された参照電極が、グランド電位層までの距離の異なる層に配置されていることにより、ベタパターンにより形成される容量が電気的に隣接して接続された参照電極同士で異なる。その結果、参照電極とデカップリング・コンデンサとで形成される回路の共振周波数を、隣接する回路間で異ならせることができる。
参照電極を配置する層を変えることにより第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすため、参照電極の形状を異ならせる場合に比較して容易かつ低コストに設計することができる。
実施例6によれば、グランド電位層までの距離を隣接する参照電極間で異ならせることによって第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすことにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。特に、高周波領域のノイズ伝達を効果的に抑制することができる。
図11の平面図に示すようにメモリ・モジュール230は、実施例4のメモリ・モジュール101において、図6の第1の参照電極120aから第4の参照電極120dまでの4つの参照電極を、図11の互いに形状の等しい第1の参照電極231aから第4の参照電極231dまでの参照電極にそれぞれ置き換え、図6の第1のデカップリング・コンデンサ121aから第4のデカップリング・コンデンサ121dまでの4つのデカップリング・コンデンサを、図11の容量の均一でない第1のデカップリング・コンデンサ232aから第4のデカップリング・コンデンサ232dまでの4つのデカップリング・コンデンサにそれぞれ置き換えた構成をもつ。
第1のデカップリング・コンデンサ232aと第3のデカップリング・コンデンサ232cとがそれぞれもつ容量Cdc1と、第2のデカップリング・コンデンサ232bと第4のデカップリング・コンデンサ232dとがそれぞれもつ容量Cdc2とが異なる。これにより第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とを異ならせることができる。容量Cdc1と容量Cdc2との差は、一方の容量の10%以上であることが望ましい。なお、デカップリング・コンデンサの容量を意図的に小さくすると、ある周波数領域でベタパターンの駆動点インピーダンスが上がる。
実施例7によれば、隣接するデカップリング・コンデンサの容量を異ならせることによって第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすことにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。特に、高周波領域のノイズ伝達を効果的に抑制することができる。
図12に示すようにメモリ・モジュール233は、実施例4のメモリ・モジュール101において、図6の第1の参照電極120aから第4の参照電極120dまでの4つの参照電極を、図12の形状の等しい第1の参照電極234aから第4の参照電極234dまでの4つの参照電極にそれぞれ置き換え、図6の第1のデカップリング・コンデンサ121aから第4のデカップリング・コンデンサ121dまでの4つのデカップリング・コンデンサを、図12のESLの均一でない第1のデカップリング・コンデンサ235aから第4のデカップリング・コンデンサ235dまでの4つのデカップリング・コンデンサにそれぞれ置き換えた構成をもつ。
第1のデカップリング・コンデンサ235aと第3のデカップリング・コンデンサ235cとがそれぞれもつ等価直列インダクタンスLdc1と、第2のデカップリング・コンデンサ235bと第4のデカップリング・コンデンサ235dとがそれぞれもつ等価直列インダクタンスLdc2とが異なる。これにより第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とを異ならせることができる。等価直列インダクタンスLdc1と等価直列インダクタンスLdc2との差は、一方の等価直列インダクタンスの10%以上であることが望ましい。なお、デカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンスを意図的に小さくすると、ベタパターンの駆動点インピーダンスが上がる。
デカップリング・コンデンサの等価直列インダクタンスは、サイズにより異ならせたものであってもよく、型番により異ならせたものであってもよく、さらに、デカップリング・コンデンサの実装電極パターンを変えることによって異ならせたものであってもよい。
実施例8によれば、隣接するデカップリング・コンデンサのインダクタンスを異ならせることによって第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすことにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。特に、高周波領域のノイズ伝達を効果的に抑制することができる。
実施例9では、複数のメモリチップを1つのパッケージで封止した積層メモリ・パッケージのVrefノイズ低減技術を提供する。図13の平面図に示すようにメモリ・モジュール240は、実施例4のメモリ・モジュール101において、図6の第1の参照電極120aから第4の参照電極120dまでの4つの参照電極を、図13の形状の等しい第1の参照電極234aから第4の参照電極234dまでの4つの参照電極にそれぞれ置き換え、図6の第1のメモリ・チップ102aから第4のメモリ・チップ102dまでの4つのメモリ・チップを、図13の第1の積層パッケージ241aから第4の積層パッケージ241dまでの4つの積層パッケージにそれぞれ置き換えた構成をもつ。
図14の第1の積層パッケージ241aの断面図に示すように、第1の積層パッケージ241aは、下部パッケージ242と上部パッケージ243とを有する。
下部パッケージ242は、下部メモリ・チップ244と下部PKG基板245と下部参照電極用ボール端子246とをもつ。下部メモリ・チップ244は、下部参照電圧用チップ・パッド247を有し、下部PKG基板245上に実装されている。下部参照電圧用チップ・パッド247は、参照電圧の電位を下部メモリ・チップ244に入力する端子である。下部PKG基板245は下部ビア248と下部配線249aとをもつ。下部ビア248は下部PKG基板245を厚み方向に貫く。下部配線249aは、下部ビア248と下部メモリ・チップ244の下部参照電圧用チップ・パッド247との間を電気的に接続している。下部参照電極用ボール端子246は、下部メモリ・チップ244の搭載されている面と反対側で下部ビア248に電気的に接続されており、さらに、図13のモジュール基板103に設けられた第1のメモリ用参照電極端子112aに電気的に接続されている。
上部パッケージ243は上部メモリ・チップ250と上部PKG基板251と上部参照電極用ボール端子252とをもつ。上部メモリ・チップ250は、上部参照電圧用チップ・パッド253を有し、上部PKG基板251上に実装されている。上部参照電圧用チップ・パッド253は、参照電圧の電位を上部メモリ・チップ250に入力する端子である。上部PKG基板251は上部ビア254と上部配線255及び249bとをもつ。上部ビア254は上部PKG基板251を厚み方向に貫く。上部配線255及び249bは、上部ビア254と上部メモリ・チップ250の上部参照電圧用チップ・パッド253との間を電気的に接続している。上部参照電極用ボール端子252は、上部メモリ・チップ250の搭載されている面と反対側で上部ビア254に電気的に接続されており、さらに、下部PKG基板251の下部ビア248に電気的に接続されている。
図13の第1の参照電極234aの電位は第1のメモリ用参照電極端子112aから、図14の下部参照電極用ボール端子246、下部ビア248、下部配線249aを通じて下部参照電圧用チップ・パッド247に伝えられる。さらに、図13の第1の参照電極234aの電位は第1のメモリ用参照電極端子112aから、図14の下部参照電極用ボール端子246、下部ビア248、上部参照電極用ボール端子252、上部ビア254、上部配線255及び249bを通じて上部参照電圧用チップ・パッド253に伝えられる。
上部配線255及び249bの長さは下部配線249aの長さより長く形成されている。上部配線255及び249bの長さと下部配線249aの長さの差は、第1のデカップリング・コンデンサ121aのESLの10%分大きいインダクタンスをもつ長さである。上部配線255及び249bの長さと下部配線249aの長さとに差を設けることにより、下部参照電極用ボール端子246から下部参照電圧用チップ・パッド247に至る経路のインダクタンス値と、上部参照電極用ボール端子252から上部参照電圧用チップ・パッド253に至る経路のインダクタンス値とを10%以上異ならせることができる。さらには、図13のモジュール基板103に実装されている第1のデカップリング・コンデンサ121aから図14の下部参照電圧用チップ・パッド247までの等価直列インダクタンス値と、図13の第1のデカップリング・コンデンサ121aから図14の上部参照電圧用チップ・パッド253までの等価直列インダクタンス値とを異なる値とすることができる。その結果、下部参照電圧用チップ・パッド247でみた下部メモリ・チップ244のVref-GND間駆動点インピーダンスと、上部参照電圧用チップ・パッド253でみた上部メモリ・チップ250のVref-GND間駆動点インピーダンスとを異ならせることができる。
なお、ここではチップパッドに接続する下部配線249aと上部配線255及び249bが全て配線の場合について説明したが、チップパッドに接続給電部である下部チップ用の249a及び上部チップ用の249bは、LSIパッケージ内に設けられたグランド層と結合したベタ面でも良い。その場合は、上部配線255のインダクタンス値がデカップリングコンデンサ121aのESLの10%分となればよい。
なお、第1の積層パッケージ241aは、3つ以上のメモリ・チップを積層したものであってもよく、複数のメモリ・チップを積層する場合には下部パッケージ242と上部パッケージ243とを交互に配置するような構成とすることが望ましい。第2の積層パッケージ241b、第3の積層パッケージ241c、及び、第4の積層パッケージ241dは、第1の積層パッケージ241aと同様の構成をもつ。
実施例9によれば、下部参照電圧用チップ・パッド247でみた下部メモリ・チップ244のVref-GND間駆動点インピーダンスと、上部参照電圧用チップ・パッド253でみた上部メモリ・チップ250のVref-GND間駆動点インピーダンスとを異ならせ、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすことにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。特に、高周波領域のノイズ伝達を効果的に抑制することができる。
図15(a)の断面図に示すように、図13の実施例9のメモリ・モジュール240は、第1の積層パッケージ241aを以下に説明するような第1の積層パッケージ261aに置き換えた構成をもつものであってもよい。なお、図13の第2の積層パッケージ241b、第3の積層パッケージ241c、第4の積層パッケージ241dについても同様である。
第1の積層パッケージ261aは、PKG基板262と参照電極用ボール端子263と下部メモリ・チップ264と上部メモリ・チップ265と下部側ボンディング・ワイヤ266と上部側ボンディング・ワイヤ267とをもつ。PKG基板262は、図15(a)に示すビア268と配線269と、図15(c)の上部メモリ・チップ264の上面図に示す参照電極用PKG基板パッド270と基板側NCパッド271とをもつ。ビア268はPKG基板262を厚み方向に貫く。図15(a)の配線269は、ビア268と参照電極用PKG基板パッド270との間を電気的に接続している。参照電極用ボール端子263は、ビア268に電気的に接続されており、さらに、図13のモジュール基板103に設けられた第1のメモリ用参照電極端子112aに電気的に接続されている。
図15(b)の下部メモリ・チップ264の上面図に示すように下部メモリ・チップ264は、下部参照電圧用チップ・パッド272を有し、PKG基板262上に実装されている。下部参照電圧用チップ・パッド272は、下部メモリ・チップ264に参照電圧の電位を入力する端子である。図15(c)に示すように上部メモリ・チップ265は、上部参照電圧用チップ・パッド273とメモリ側NCパッド274とを有し、PKG基板262上に実装されている。上部参照電圧用チップ・パッド273は、上部メモリ・チップ265に参照電圧の電位を入力する端子である。
図15(b)に示すように下部側ボンディング・ワイヤ266は、参照電極用PKG基板パッド270と下部参照電圧用チップ・パッド272とを電気的に接続している。図15(c)に示すように上部側ボンディング・ワイヤ267は、上部メモリ・チップ265のメモリ側NCパッド274と基板側NCパッド271とを介しながら、参照電極用PKG基板パッド270と上部参照電圧用チップ・パッド273との間を電気的に接続している。
上部側ボンディング・ワイヤ267は、下部側ボンディング・ワイヤ266よりも長く形成されている。上部側ボンディング・ワイヤ267の長さと下部側ボンディング・ワイヤ266の長さの差は、図13の第1のデカップリング・コンデンサ121aのESLの10%分大きいインダクタンスをもつ長さである。上部側ボンディング・ワイヤ267の長さと下部側ボンディング・ワイヤ266の長さとに差を設けることにより、図13のモジュール基板103に実装されている第1のデカップリング・コンデンサ121aから図15(a)の下部参照電圧用チップ・パッド272までの等価直列インダクタンス値と、図13の第1のデカップリング・コンデンサ121aから図15(a)の上部参照電圧用チップ・パッド273までの等価直列インダクタンス値とを10%以上異ならせることができる。その結果、下部参照電圧用チップ・パッド272でみた下部メモリ・チップ264のVref-GND間駆動点インピーダンスと、上部参照電圧用チップ・パッド273でみた上部メモリ・チップ265のVref-GND間駆動点インピーダンスとを異ならせることができる。
なお、第1の積層パッケージ261aは、3つ以上のメモリ・チップを積層したものであってもよく、複数のメモリ・チップを積層する場合には下部メモリ・チップ264と上部メモリ・チップ265とを交互に配置し、ワイヤ・ボンディングの長短を交互に異ならせる構成とすることが望ましい。
実施例10によれば、下部参照電圧用チップ・パッド272でみた下部メモリ・チップ264のVref-GND間駆動点インピーダンスと、上部参照電圧用チップ・パッド273でみた上部メモリ・チップ265のVref-GND間駆動点インピーダンスとを異ならせ、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とをずらすことにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。特に、高周波領域のノイズ伝達を効果的に抑制することができる。
図16の平面図に示すように、メモリ・モジュール301は、複数のメモリ・チップ302とモジュール基板303と参照電圧供給部304とを備える。
複数のメモリ・チップ302は同様の構成をもち、それぞれ、第1のメモリ・チップ302a、第2のメモリ・チップ302b、第3のメモリ・チップ302c、第4のメモリ・チップ302dと区別される。以下、第1のメモリ・チップ302a、第2のメモリ・チップ302b、第3のメモリ・チップ302c、第4のメモリ・チップ302dに対応して設けられた構成要素は、それぞれ、参照符号の後にa、b、c、dを付して区別される。第1のメモリ・チップ302aは、参照電圧を入力する第1の参照電圧入力部310aをもち、他のメモリ・チップも同様の構成をもつ。
モジュール基板303は、長方形状の平板である。図17は、モジュール基板303上の、第1のメモリ・チップ302a付近の拡大図であり、第1のメモリ・チップ302aの実装エリアが破線で示されている。モジュール基板303は図16に示すソケット用端子311と、図17に示す第1のメモリ・チップ302aに対応した第1のメモリ用参照電極端子312aと第1のメモリ用グランド電極端子313aと第1のグランド・ビア314aとこれと同様に他のメモリ・チップにそれぞれ対応した構成とを有する。さらに、モジュール基板303は、図示しない積層構造をもち、グランド電位(Vss)を供給するグランド電位層と、電源電位(Vdd)を供給する電源電位層とを有する。モジュール基板303の一方の面側には、複数のメモリ・チップ302がモジュール基板303の長辺に沿って間隔を開けて並ぶように実装されている。
図16のソケット用端子311は、モジュール基板303の長辺に設けられており、マザーボードなどのシステム基板に設けられたソケットに差し込まれた状態で、ソケットからVss及びVddを入力するとともに、ソケットとの間で電気信号を伝達する。図17の第1のメモリ用参照電極端子312aは、図16の第1の参照電圧入力部310aに接続されている。図17の第1のメモリ用グランド電極端子313aは、グランド電位層と第1のメモリ・チップ302aとに接続されている。第1のグランド・ビア314aは、グランド電位層に接続されている。他のメモリ・チップ302とモジュール基板303の対応する構成要素との接続についても同様である。
参照電圧供給部304は、図16に示す第1の参照電極320aと第2の参照電極320bと第3の参照電極320cと第4の参照電極320dと、第1のデカップリング・コンデンサ321aと第2のデカップリング・コンデンサ321bと第3のデカップリング・コンデンサ321cと第4のデカップリング・コンデンサ321dと、第1のテブナン終端部323aと第2のテブナン終端部323bと第3のテブナン終端部323cと第4のテブナン終端部323dと、図17に示す第1のメモリ・チップ302aに対応した第1の配線322a及び第1のコンデンサ実装用電極対324aと他のメモリ・チップに対応した同様の構成とを備えている。
図16の第1の参照電極320aは、モジュール基板303上で第1のメモリ・チップ302aが配置されている面と同じ側に設けられている。第1の参照電極320aは、第1のメモリ・チップ302aの周囲をコの字型に囲むように平板状に形成されており、コの字は幅をもった帯状に形成され、コの字の開口側はソケット用端子311側に向けられている。図17の第1の参照電極320aは、第2のメモリ・チップ302bに近い側の一辺の内側に、第1の引き出し部330aと第1の窪み部分331aとを有している。第1の引き出し部330aは、第1の参照電極320aのコの字の一辺の内部から、コの字の内部に向けて徐々に幅を狭くしながら伸びており、第1の引き出し部330aの先端は第1のメモリ用参照電極端子312aを介して図16の第1の参照電圧入力部310aに接続されている。第1の窪み部分331aは、第1の引き出し部330a付近において第1の参照電極320aのコの字の奥側においてコの字の一辺の幅を部分的に狭くすることにより形成されている。なお、ここでは第1の参照電極320aをコの字型としているが、信号配線より十分に幅の広い、グランド電位層または電源電位層との平行平板を形成していれば、形状はこの通りでなくても良い。
図17の第1のコンデンサ実装用電極対324aは、第1の参照電極320aに設けられた第1の窪み部分331aの内部に配置されている。第1のデカップリング・コンデンサ321aは、第1のコンデンサ実装用電極対324a上に実装されている。第1のデカップリング・コンデンサ321aは、第1のコンデンサ実装用電極対324aと第1の配線322aとを介し、第1のメモリ用参照電極端子312aと第1のグランド・ビア314aとの間に接続されている。なお、第1のデカップリング・コンデンサ321aは、複数のコンデンサを組み合わせたものであってもよい。第1の配線322aのうち、第1のメモリ用参照電極端子312aと第1のデカップリング・コンデンサ321aの一端とを接続する部分は、第1の参照電極320aと一体に形成されたものであってもよい。第1のメモリ・チップ302aとモジュール基板303及び参照電圧供給部304との接続関係と同様に、他のメモリ・チップ302もモジュール基板303及び参照電圧供給部304に接続されている。
図17に示すように、第1の参照電極320aと第2の参照電極320bとの間、第2の参照電極320bと第3の参照電極320cとの間、及び、第3の参照電極320cと第4の参照電極320dとの間に間隔が設けられていることにより、第1の参照電極320aと第2の参照電極320bと第3の参照電極320cと第4の参照電極320dとにより多分割ベタパターンを構成している。
第1のテブナン終端部323aは、第1の電源側抵抗部材338aと第1のグランド側抵抗部材339aとを有する。第1の電源側抵抗部材338aは、第1の参照電極320aと電源電位層との間を電気的に接続している。第1のグランド側抵抗部材339aは、第1の参照電極320aとグランド電位層との間を電気的に接続している。第1のテブナン終端部323aは、テブナン終端の構造を形成することにより、第1の参照電極320aに参照電圧の電位を供給している。同様に、第2のテブナン終端部323bは第2の参照電極320bに参照電圧の電位を供給し、第3のテブナン終端部323cは第3の参照電極320cに参照電圧の電位を供給し、第4のテブナン終端部323dは第4の参照電極320dに参照電圧の電位を供給している。
なお、メモリ・モジュール301は、参照電極をいくつかまとめたグループ内でそれぞれ接続部により接続されたものであってもよい。なお、参照電極に供給される参照電圧の電位は、マザーボードから給電されるものであってもよく、メモリ・モジュール301に備えるVref生成用スイッチング・レギュレータにより給電されるものであってもよい。
隣接する参照電極を個別化し、それぞれの参照電極に対して異なるテブナン終端部から参照電圧の電位を供給するため、参照電極間を抵抗部材などで直接つなぐ場合に比較して、参照電極間で電圧が低下するDCドロップをなくすことができるとともに、隣接する参照電極間のノイズ伝達量を抑制することができる。
実施例11によれば、隣接する参照電極を個別化することにより、第1の反共振周波数と第2の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。
図18の平面図に示すように、メモリ・モジュール340は、図16に示す実施例11のメモリ・モジュール301において、複数のメモリ・チップ302と参照電圧供給部304とをモジュール基板303の両面に備えた構成をもつ。モジュール基板303の一方の面側の構成は、他方の面側の構成と、モジュール基板303を中心として対照的になっている。モジュール基板303を挟んで第1のメモリ・チップ302aに対向する位置に第5のメモリ・チップ302eが実装されており、モジュール基板303を挟んで第1の参照電極320aに対向する位置に第5の参照電極320eが実装されており、第1の参照電極320aと第5の参照電極320eとは、モジュール基板303を貫通する接続手段341で電気的に接続されている。第1の参照電極320aには第1のテブナン終端部323aが接続されている一方、第5の参照電極320eに直接接続されたテブナン終端部は設けられていない。第5の参照電極320eは、配線で形成した接続部材341を介して第1の参照電極320aから参照電圧の電位を供給される。他の対向するメモリ・チップについても同様である。
表裏の参照電極でテブナン終端部を共用しているため、実施例11に比較して部品点数を減らすことができる。特に、表裏のメモリ・チップのうち、一方が駆動している間に他方のメモリ・チップが駆動しないような利用方法を用いたメモリ・モジュールにおいては、表裏のノイズ伝達を許容できる場合があるため、本実施例が有効である。
図19の平面図の左側に示すように、メモリ・モジュール342は、図18に示す実施例12のメモリ・モジュール340において、対向する第1の参照電極320aと第5の参照電極320eとの間を、抵抗部材343を経路に直列に含んだ接続部材344で接続している。接続部材344に抵抗部材343を設けることにより、配線で表裏の参照電極を直接接続する実施例12に比較して、表裏のメモリ・チップ間のノイズ伝達を抑制することができる。
なお、図19の右側に示すように、メモリ・モジュール342は第1のテブナン終端部323aと第1の参照電極320aとの間を接続する抵抗部材349と、第1のテブナン終端部323aと第5の参照電極320eとの間を接続する抵抗部材350とを設けているとよい。
図20の平面図に示すように、メモリ・モジュール345はモジュール基板303に第1のメモリ対346と第2のメモリ対347と第3のメモリ対348とを実装している。
第1のメモリ対346は、図19に示す実施例13のメモリ・モジュール342において、第1の参照電極320aと第5の参照電極320eとの面積を異ならせた構成をもつ。主に第1の参照電極320aと第1のデカップリング・コンデンサ321aとを含む第1の回路の反共振周波数と、主に第5の参照電極320eと第5のデカップリング・コンデンサ321eとを含む第5の回路の反共振周波数とを異ならせることができる。表裏の参照電極の面積を異ならせることによって第1の反共振周波数と第5の反共振周波数とをずらすことができ、これにより第1の反共振周波数と第5の反共振周波数とが共に所定周波数である場合に現れる周波数特性上の極大値を低下させることにより、メモリ・チップ間におけるノイズ伝達を抑制することができる。また、実施例13に比較して接続部材344の抵抗値を小さくすることができる。
第2のメモリ対347は、図19に示す実施例13のメモリ・モジュール342において第1の参照電極320aと第5の参照電極320eとの面積を異ならせた構成をもち、さらに、第1のテブナン終端部323aと第1の参照電極320aとの間を接続する抵抗部材349と、第1のテブナン終端部323aと第5の参照電極320eとの間を接続する抵抗部材350とを有する。
第3のメモリ対348は、第2のメモリ対348において、第1の参照電極320aと第5の参照電極320eとをモジュール基板303上の同じ面に配置している。第1の参照電極320aは、コの字の一辺を削除した形状をもち、第5の参照電極320eはモジュール基板303の長手方向に直行する方向に長いL字型の形状をもつ。第1の参照電極320aの面積は第5の参照電極320eの面積より大きい。特に、第5のメモリ・チップ302eを配置した面に、参照電極を形成する十分なスペースがない場合に有効である。但し、第5の参照電極320eの面積が小さいことから、駆動点インピーダンスが実施例13より大きい。
参照電極間に長い配線を設けたメモリ・モジュールの平面図である。
図1に示すメモリ・チップ付近の拡大図である。
図1のメモリ・チップ間の伝達インピーダンスの周波数特性を示すグラフである。
参照電極間に長足抵抗を設けたメモリ・モジュールの平面図である。
参照電極間にチップ・インダクタを設けたメモリ・モジュールの平面図である。
異なる面積の参照電極を設けたメモリ・モジュールの平面図である。
図6に示すメモリ・チップ付近の拡大図である。
図6のメモリ・チップ間の伝達インピーダンスの周波数特性を示すグラフである。
参照電極を異なる層に設けたメモリ・モジュールの概念的な平面図である。
図9(a)のメモリ・モジュールの概念的な断面図である。
参照電極を異なる層に設けた他のメモリ・モジュールの概念的な平面図である。
図10(a)のメモリ・モジュールの概念的な断面図である。
均一でない容量のデカップリング・コンデンサを設けたメモリ・モジュールの平面図である。
均一でないインダクタンスのデカップリング・コンデンサを設けたメモリ・モジュールの平面図である。
積層パッケージの上下のメモリ・チップ間で配線長を異ならせたメモリ・モジュールの平面図である。
図13のメモリ・モジュールの部分断面図である。
積層パッケージの上下のメモリ・チップ間で配線長を異ならせたメモリ・モジュールの部分断面図である。
図15(a)のメモリ・モジュールの下部メモリ・チップの上面図である。
図15(a)のメモリ・モジュールの上部メモリ・チップの上面図である。
個別化された参照電極を設けたメモリ・モジュールの平面図である。
図16に示すメモリ・チップ付近の拡大図である。
各面で個別化された参照電極を面間で接続したメモリ・モジュールの平面図である。
各面で個別化された参照電極を面間で抵抗部材を介して接続したメモリ・モジュールの平面図である。
図19のメモリ・モジュールの変形例を示す平面図である。
多分割抵抗接続方式のメモリ・モジュールの平面図である。
図21のメモリ・チップ間の伝達インピーダンスの周波数特性を示すグラフである。
符号の説明
1;メモリ・モジュール、2;メモリ・チップ、2a;第1のメモリ・チップ、2b;第2のメモリ・チップ、2c;第3のメモリ・チップ、2d;第4のメモリ・チップ、3;モジュール基板、4;参照電圧供給部、10a;第1の参照電圧入力部、11;ソケット用端子、12a;第1のメモリ用参照電極端子、13a;第1のメモリ用グランド電極端子、14a;第1のグランド・ビア、20a;第1の参照電極、20b;第2の参照電極、20c;第3の参照電極、20d;第4の参照電極、21a;第1のデカップリング・コンデンサ、21b;第2のデカップリング・コンデンサ、21c;第3のデカップリング・コンデンサ、21d;第4のデカップリング・コンデンサ、22a;第1の配線、23;第1の接続部、24;第2の接続部、25;第3の接続部、26;テブナン終端部、27a;第1のコンデンサ実装用電極対、30a;第1の引き出し部、31a;第1の窪み部分、32;第1のインダクタ、33;第1の抵抗部材、34;第2のインダクタ、35;第2の抵抗部材、36;第3のインダクタ、37;第3の抵抗部材、38;電源側抵抗部材、39;グランド側抵抗部材、40;曲線、41;曲線、42;曲線、43;曲線、44;曲線、45;曲線、50;第1の長足抵抗、51;第2の長足抵抗、52;第3の長足抵抗、53;第1のチップ・インダクタ、54;第2のチップ・インダクタ、55;第3のチップ・インダクタ、101;メモリ・モジュール、102;メモリ・チップ、102a;第1のメモリ・チップ、102b;第2のメモリ・チップ、102c;第3のメモリ・チップ、102d;第4のメモリ・チップ、103;モジュール基板、104;参照電圧供給部、110a;第1の参照電圧入力部、111;ソケット用端子、112a;第1のメモリ用参照電極端子、113a;第1のメモリ用グランド電極端子、114a;第1のグランド・ビア、120a;第1の参照電極、120b;第2の参照電極、120c;第3の参照電極、120d;第4の参照電極、121a;第1のデカップリング・コンデンサ、121b;第2のデカップリング・コンデンサ、121c;第3のデカップリング・コンデンサ、121d;第4のデカップリング・コンデンサ、122a;第1の配線、123;第1の接続部、124;第2の接続部、125;第3の接続部、126;テブナン終端部、127a;第1のコンデンサ実装用電極対、130a;第1の引き出し部、131a;第1の窪み部分、138;電源側抵抗部材、139;グランド側抵抗部材、140;曲線、141;曲線、142;曲線、143;曲線、144;曲線、145;曲線、170;メモリ・モジュール、171;モジュール基板、172;第1のメモリ・チップ群、173;第2のメモリ・チップ群、174;第3のメモリ・チップ群、175;第4のメモリ・チップ群、176;コントローラ・チップ、177;第1の参照電圧供給部、178;第2の参照電圧供給部、179;第3の参照電圧供給部、180;第4の参照電圧供給部、181a;第1の参照電極、181b;第2の参照電極、181c;第3の参照電極、181d;第4の参照電極、181e;第5の参照電極、181f;第11の参照電極、181g;第12の参照電極、181h;第13の参照電極、181i;第14の参照電極、190;TOP層、191;L1層、192;L2層、193;L3層、194;L4層、195;L5層、196;L6層、197;L7層、198;L8層、199;Bottom層、200;メモリ・モジュール、201;モジュール基板、202;第1のメモリ・チップ群、203;第2のメモリ・チップ群、204;第3のメモリ・チップ群、205;第4のメモリ・チップ群、206;コントローラ・チップ、207;第1の参照電圧供給部、208;第2の参照電圧供給部、209;第3の参照電圧供給部、210;第4の参照電圧供給部、211a;第1の参照電極、211b;第2の参照電極、211c;第3の参照電極、211d;第4の参照電極、211e;第5の参照電極、211f;第6の参照電極、211h;第8の参照電極、211i;第9の参照電極、212;テブナン終端部、213;抵抗部材、214;テブナン終端部、215;抵抗部材、220;TOP層、221;L1層、222;L2層、223;L3層、224;L4層、225;L5層、226;L6層、227;L7層、228;L8層、229;Bottom層、230;メモリ・モジュール、231a;第1の参照電極、231b;第2の参照電極、231c;第3の参照電極、231d;第4の参照電極、232a;第1のデカップリング・コンデンサ、232b;第2のデカップリング・コンデンサ、232c;第3のデカップリング・コンデンサ、232d;第4のデカップリング・コンデンサ、233;メモリ・モジュール、234a;第1の参照電極、234b;第2の参照電極、234c;第3の参照電極、234d;第4の参照電極、235a;第1のデカップリング・コンデンサ、235b;第2のデカップリング・コンデンサ、235c;第3のデカップリング・コンデンサ、235d;第4のデカップリング・コンデンサ、240;メモリ・モジュール、241a;第1の積層パッケージ、241b;第2の積層パッケージ、241c;第3の積層パッケージ、241d;第4の積層パッケージ、242;下部パッケージ、243;上部パッケージ、244;下部メモリ・チップ、245;下部PKG基板、246;下部参照電極用ボール端子、247;下部参照電圧用チップ・パッド、248;下部ビア、249a;下部配線、249b;上部配線、250;上部メモリ・チップ、251;上部PKG基板、252;上部参照電極用ボール端子、253;上部参照電圧用チップ・パッド、254;上部ビア、255;上部配線、260;メモリ・モジュール、261a;第1の積層パッケージ、262;PKG基板、263;参照電極用ボール端子、264;下部メモリ・チップ、265;上部メモリ・チップ、266;下部側ボンディング・ワイヤ、267;上部側ボンディング・ワイヤ、268;ビア、269;配線、270;参照電極用PKG基板パッド、271;基板側NCパッド、272;下部参照電圧用チップ・パッド、273;上部参照電圧用チップ・パッド、274;メモリ側NCパッド、301;メモリ・モジュール、302;メモリ・チップ、302a;第1のメモリ・チップ、302b;第2のメモリ・チップ、302c;第3のメモリ・チップ、302d;第4のメモリ・チップ、303;モジュール基板、304;参照電圧供給部、310a;第1の参照電圧入力部、311;ソケット用端子、312a;第1のメモリ用参照電極端子、313a;第1のメモリ用グランド電極端子、314a;第1のグランド・ビア、320a;第1の参照電極、320b;第2の参照電極、320c;第3の参照電極、320d;第4の参照電極、321a;第1のデカップリング・コンデンサ、321b;第2のデカップリング・コンデンサ、321c;第3のデカップリング・コンデンサ、321d;第4のデカップリング・コンデンサ、322a;第1の配線、323a;第1のテブナン終端部、323b;第2のテブナン終端部、323c;第3のテブナン終端部、323d;第4のテブナン終端部、324a;第1のコンデンサ実装用電極対、330a;第1の引き出し部、331a;第1の窪み部分、338a;第1の電源側抵抗部材、339a;第1のグランド側抵抗部材、340;メモリ・モジュール、302e;第5のメモリ・チップ、320e;第5の参照電極、321e;第5のデカップリング・コンデンサ、341;接続手段、342;メモリ・モジュール、343;抵抗部材、344;接続部材、345;メモリ・モジュール、346;第1のメモリ対、347;第2のメモリ対、348;第3のメモリ対、349;抵抗部材、350;抵抗部材。