JP2007063566A - 防曇性を有する放射線硬化性ハードコート組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、オキシアルキレン部分含有ポリアクリレートとシリコーンとを含んでなり、それによって湿り空気曝露下で防曇性を示す放射線及び電子線硬化可能な透明熱可塑性樹脂用ハードコート組成物に関する。
透明熱可塑性樹脂は、例えば輸送車窓ガラス、テールランプ及びヘッドライト用レンズ、矯正用光学レンズ、建築用ガラスなどの数多くの用途においてガラス代替物として用いられるようになっている。透明熱可塑性ポリマーはガラスよりも軽量で耐破砕性に優れる。したがって、透明熱可塑性樹脂を輸送車窓ガラスに使用すると、車体が軽量化され、燃費の改善につながる。さらに、透明熱可塑性樹脂は耐破砕性に優れているので、ガラス板又はガラスレンズが通常破砕してしまうような事故が起きたときの安全性を向上させる。
しかし、透明熱可塑性樹脂はガラスほど硬くなく、そのためこれらの材料は普通に使用していてもほこり、研磨材との接触、クリーニング器具及び屋外曝露のために引掻傷や擦傷ができやすい。引掻傷や擦傷が続けてできると、材料の可視度又は透明度が落ちてその当初の目的が果たせなくなる。そのため材料を取り替える必要が生じる。実際、広く使用されている熱可塑性樹脂の一つであるポリカーボネートは未処理もしくは未被覆状態では柔らかいティッシュペーパーで表面に傷ができてしまうほど柔らかい。この材料は眼鏡用レンズの代替材料として広く応用されているので、このことは重大な欠点となり得る。
そこで、低密度の熱可塑性樹脂が本質的に具備している重量の優位性を保持したままガラスの性能特性により近くなるようにその性能特性を向上すべく、透明熱可塑性樹脂を被覆して透明ラミネートを製造する手段について相当数の技術が開発されている。米国特許第4348462号には、このような熱可塑性樹脂用の、コロイドシリカ、アクリルオキシシラン及び非シリル系アクリレートを含んでなる放射線硬化性ハードコート組成物が開示されている。この組成物はコーティングとして、被覆されていない同じ熱可塑性樹脂に比べ向上した耐摩耗性を透明熱可塑性樹脂に与える。これがハードコートという名前の由来である。この種の配合物は絶えず改良されてきたが、最近の米国特許においても依然としてコロイドシリカ、アルコキシシリルアクリレート(アクリルオキシシランと対比されたい)及び反応性アクリル系モノマーが記載されている(米国特許第5468789号)。それに代わる配合物として、コロイドシリカと多官能性アクリレートについて記載されている(米国特許第5075348号)が、多官能性アクリレートは主としてジアクリレート種である。
これらの組成物は、ミクロなスケールではガラスを模しているとも仮定できるコロイドシリカが存在するのでコーティングにある程度の硬さを与えるものの、コーティング内にコロイドシリカを結合するとともにコーティングを透明熱可塑性樹脂基材と結合するマトリックスは、疎水性になる傾向をもつ有機ポリマーである。
疎水性コーティングとして、アクリレートのような高分子有機マトリックス中に分散したコロイドシリカは湿性環境中では十分に機能しない。雨、霧、もや、湿気などの水分に曝露されると、透明熱可塑性樹脂の表面で凝縮が起こり、水分が集合して滴となる。透明熱可塑性樹脂の表面の水滴の相境界は光を反射し屈折させる働きをもつが、これは望ましくないことである。さらに、水は透明で透明熱可塑性基材とは異なる屈折率をもつので、表面の水滴はレンズ効果を示し可視性を妨害する。したがって、防曇性(anti-fog)、すなわち水滴形成防止性をもつ親水性コーティングは水分の作用を受けたときの光学特性に優れているはずである。これは、表面コーティングの親水性が増すにつれて、表面で凝縮した水が、可視性や光の透過を妨害するような多数の水滴ではなく、シート状に一面に広がる傾向が増すためである。
防曇性コーティングは公知であり、ある種の透明熱可塑性樹脂にも使われているが、それらは格別耐摩耗性ではなかった(米国特許第3933407号)。米国特許第3933407号に開示されている防曇性コーティングは、可撓性ポリエチレンフィルムのみならずガラスや透明熱可塑性樹脂でできた剛性製品にも適用される。しかし、これらのコーティングは特に耐摩耗性というわけではなく、コロイドシリカを全く含んでいない。
米国特許第4348462号明細書
米国特許第5468789号明細書
米国特許第5075348号明細書
米国特許第3933407号明細書
特開平06−025555号公報
特開平07−068714号公報
特開平05−214044号公報
今回、防曇性の改善した放射線硬化性ハードコート組成物を開示する。
本発明は、下記成分:
(A)微粉シリカ;
(B)2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される);及び
(C)オレフィン官能化トリアルコキシシラン
を含んでなる紫外線硬化性ハードコート組成物を提供する。
(A)微粉シリカ;
(B)2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される);及び
(C)オレフィン官能化トリアルコキシシラン
を含んでなる紫外線硬化性ハードコート組成物を提供する。
本発明は、また、紫外線硬化性ハードコート組成物の製造方法であって、
(a)(i)オレフィン官能化トリアルコキシシランと(ii)微粉シリカを(iii)ヒドロキシル系溶媒の存在下で反応させて、反応生成物を生じさせる段階;及び
(b)上記反応生成物を、2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)と混合する段階
を含んでなる方法も提供する。
(a)(i)オレフィン官能化トリアルコキシシランと(ii)微粉シリカを(iii)ヒドロキシル系溶媒の存在下で反応させて、反応生成物を生じさせる段階;及び
(b)上記反応生成物を、2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)と混合する段階
を含んでなる方法も提供する。
本発明は、さらに、ラミネートの製造方法であって、
(a)(i)オレフィン官能化トリアルコキシシランと(ii)微粉シリカを(iii)ヒドロキシル系溶媒の存在下で反応させて、反応生成物を生じさせる段階;
(b)上記反応生成物を、2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)と混合して、紫外線硬化性ハードコート組成物を調製する段階;及び
(c)透明基材に上記紫外線硬化性ハードコート組成物を塗布する段階
を含んでなる方法も提供する。
(a)(i)オレフィン官能化トリアルコキシシランと(ii)微粉シリカを(iii)ヒドロキシル系溶媒の存在下で反応させて、反応生成物を生じさせる段階;
(b)上記反応生成物を、2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)と混合して、紫外線硬化性ハードコート組成物を調製する段階;及び
(c)透明基材に上記紫外線硬化性ハードコート組成物を塗布する段階
を含んでなる方法も提供する。
さらに、本発明、透明基材に防曇性を賦与するための方法であって、
(a)(i)オレフィン官能化トリアルコキシシランと(ii)微粉シリカを(iii)ヒドロキシル系溶媒の存在下で反応させて、反応生成物を生じさせる段階;
(b)上記反応生成物を、2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)と混合して、紫外線硬化性ハードコート組成物を調製する段階;
(c)透明基材に上記紫外線硬化性ハードコート組成物を塗布する段階;
(d)上記紫外線硬化性ハードコート組成物を硬化させる段階
を含んでなる方法も提供する。
(a)(i)オレフィン官能化トリアルコキシシランと(ii)微粉シリカを(iii)ヒドロキシル系溶媒の存在下で反応させて、反応生成物を生じさせる段階;
(b)上記反応生成物を、2以上のオレフィン部分と1以上の次式の二価オキシアルキレン基とを含む多官能性オレフィン
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(ただし、各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号xの合計及び各々の二価オキシアルキレン基についての化学量論的符号yの合計はそれらをさらに合計したときに10以上であり、化学量論的符号n及びmは異なっていて各々独立に1〜10の値を有するもので、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)と混合して、紫外線硬化性ハードコート組成物を調製する段階;
(c)透明基材に上記紫外線硬化性ハードコート組成物を塗布する段階;
(d)上記紫外線硬化性ハードコート組成物を硬化させる段階
を含んでなる方法も提供する。
本発明のハードコート組成物は放射性又は電子線で硬化可能な組成物であり、基材を被覆することができて、被覆した材料に耐摩耗性とともに防曇性を賦与する(特許請求の範囲における「紫外線硬化性」という用語には、フリーラジカルプロセスによって起こる硬化プロセスも包含される)。本発明のコーティング組成物の主たる用途は、ガラスに比べると概して柔らかくて容易に引掻傷のできる透明熱可塑性樹脂を被覆することである。本発明の組成物でガラスを被覆した場合、ガラスの耐摩耗性には格別の改善はみられないかもしれないが、そうして被覆したガラスの防曇特性を向上させることは可能であり、自動車ガラスや建築用ガラスなどの用途に役立つと考えられる。したがって、特許請求の範囲における「透明基材」という用語にはガラスも含まれる。「透明熱可塑性樹脂」という用語には、ポリカーボネート類、ポリアクリレート類、ポリメチルメタクリレート類、ポリスチレン類、ポリエチレンやポリプロピレンやシンジオタクチック結晶性ポリプロピレンのようなポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル類、スチレンアクリロニトリル共重合体、ナイロンのようなポリアミド類、ポリイミド類並びにこれらの物質の各種共重合体が含まれるが、これらに限定されるものではない。その定義としては、熱可塑性でしかも5mmの光路を通してのASTM D871ヘイズ(haze)が約200未満(D871法は実際には溶液の濁度の測定に用いられるので同等のASTM測定法によるものでもよい)の透明高分子材料であればその種類を問わず透明熱可塑性樹脂と定義される。
本発明の防曇性ハードコート組成物は下記の成分を含んでなる。
(A)約0.3重量%〜約35.0重量%、好ましくは約1.5重量%〜約24.0重量%、さらに好ましくは約4.5重量%〜約18.0重量%、最も好ましくは約8.0重量%〜約15.0重量%の微粉もしくはコロイドシリカで、平均粒度が直径約5〜約40nm、好ましくは約10〜約30nm、さらに好ましくは約15〜約25nm、最も好ましくは約16〜約22nmのもの。コロイドシリカとして調達されるとき、微粉シリカは溶媒(典型的には水、或いは水と水混和性アルコールとの混液)中のコロイド分散液として供給される。本発明の組成物はコーティングとして製造かつ使用するので、該組成物を塗布可能なものにするため液体ビヒクルが通例必要とされる。残りの成分の性状から、水或いは水と水混和性溶媒との混液が一般に用いられ、特に好ましい種類の水混和性溶媒はアルコールである。
(B)約20.0重量%〜約97.0重量%、好ましくは約40.0重量%〜約95.0重量%、さらに好ましくは約50.0重量%〜約92.0重量%、最も好ましくは約60.0重量%〜約90.0重量%の二官能性又は多官能性アルケニル化合物で、該分子中の複数のアルケニル官能基が式
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
の少なくとも1個の二価ポリオキシアルキレン部分で隔てられているか或いは該二価ポリオキシアルキレン部分で結合しているもの。上記式中、x+yは10以上であり、n≠mであって、n及びmは1〜10の値、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜7、最も好ましくは1〜5の値を有し、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される。上記アルケニル官能基は二価オキシアルキレン部分に一価、二価又は多価アルキレン部分で結合しており、それにより該アルケニル化合物はオレフィン性不飽和について二官能性、三官能性又は多官能性となる。好ましくはXは水素、炭素数1〜10の一価炭化水素基又は炭素数6〜10の一価芳香族基であり、さらに好ましくはXは水素又はメチルであり、最も好ましくはXは水素である。「炭化水素基」という用語は、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、チオアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、ナフチル、アントラセニル並びにその他の縮合環芳香族及び縮合環ヘテロ環(ヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄又はリンである)を含むものとして定義されるが、これらに限定されるものではない。
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
の少なくとも1個の二価ポリオキシアルキレン部分で隔てられているか或いは該二価ポリオキシアルキレン部分で結合しているもの。上記式中、x+yは10以上であり、n≠mであって、n及びmは1〜10の値、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜7、最も好ましくは1〜5の値を有し、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される。上記アルケニル官能基は二価オキシアルキレン部分に一価、二価又は多価アルキレン部分で結合しており、それにより該アルケニル化合物はオレフィン性不飽和について二官能性、三官能性又は多官能性となる。好ましくはXは水素、炭素数1〜10の一価炭化水素基又は炭素数6〜10の一価芳香族基であり、さらに好ましくはXは水素又はメチルであり、最も好ましくはXは水素である。「炭化水素基」という用語は、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、チオアルキル、アリール、フェニル、ベンジル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、ナフチル、アントラセニル並びにその他の縮合環芳香族及び縮合環ヘテロ環(ヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄又はリンである)を含むものとして定義されるが、これらに限定されるものではない。
一価アルキレン部分は式:
CH2=CH-R-
(式中、Rは二価の原子又は基である)の基として定義され、二価アルキレン部分は式:
CH2=CH-R-
(式中、Rは二価の原子又は基である)の基として定義され、二価アルキレン部分は式:
二価基は、化合についての諸法則を満足する2以上の元素の集合であって、化学結合が満たされていない箇所を2箇所有していて、その結果分子構造中に組み込むことができてそれにより化学結合の法則が満足されるようになるものであると定義される。この定義に包含される二価基の例は、-(CH2)p- (式中、pは1〜40の数である)、-CH=CH-、
三価基は、化合についての諸法則を満足する2以上の元素の集合であって、化学結合が満たされていない箇所を3箇所有していて、その結果分子構造中に組み込むことができてそれにより化学結合の法則が満足されるようになるものであると定義される。この定義に包含される二価基の例は、
この定義に包含される構造上の組合せ及び順列は極めて多い。本発明の組成物がハードコートに防曇性を賦与する紫外線又は電子線硬化性組成物として機能するためには、この二又は多官能性アルケニル化合物が1以上の次式の二価ポリオキシアルキレン部分:
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(上記式中、x+yは10以上であり、n≠mであって、n及びmは1〜10の値、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜7、最も好ましくは1〜5の値を有し、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)及び2以上の下記構造式のオレフィン部分:
-((CX2)nO)x((CX2)mO)y-
(上記式中、x+yは10以上であり、n≠mであって、n及びmは1〜10の値、好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜7、最も好ましくは1〜5の値を有し、各Xは水素、炭素数1〜40の一価炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から独立に選択される)及び2以上の下記構造式のオレフィン部分:
-((CX2)nO)x(i)((CX2)mO)y(j)-,
-((CX2)nO)x(ii)((CX2)mO)y(jj)-,
-((CX2)nO)x(iii)((CX2)mO)y(jjj)-,・・・
化学量論的符号x(x(i) + x(ii) + x(iii) + …)及びy(y(i) + y(ii) + y(iii) + …)の合計は10以上である。したがって、二又は多官能性アルケニル化合物におけるポリオキシアルキレン橋の鎖長は、分子中に存在する二価ポリオキシアルキレン橋基の数が増えれば、短くすることができ。なお、Xは上記で定義した通りである。
二又は多官能性アルケニル化合物についてのもう一つの式は、
J2C=CJQ((CH2)nO)x((CH2)mO)yQJC=CJ2
式中、Qは、三価又は四価の原子又は基が選択される場合には化学結合の満たされていない箇所は一価の原子又は基で満たされるという条件の下に、二価、三価及び四価の原子又は基からなる群から独立に選択されるものであり、Jは、二価、三価又は四価の原子又は基が選択される場合には化学結合の満たされていない箇所は一価の原子又は基で満たされるという条件の下に、一価、二価、三価及び四価の原子又は基からなる群から独立に選択されるものである。上記の目的とするところは、化合物が符号n及びmで定義される長鎖オキシアルキレン鎖を少なくとも1つ有しオレフィン性不飽和の数に関して二又は多官能性でなければならないという最低限の条件を満足する多様な構造を示すことである。少なくとも1つのオキシアルキレン部分を含むジオレフィンについて完全に一般化された式を書くことは可能ではないかもしれないが、上記の式はこの最低限の条件を満足することのできる構造的変形を説明するためのものである。したがって、特許請求の範囲にこの最低限の条件を満足するような単純な分子種が記載されていたとしても、このような構造的変形又は入れ替えのため、上記の最低限の条件を満足する化合物すべてが包含される。本発明の組成物の成分(B)についての条件を満足する2つの実例としては、ペンシルバニア州エクストン(Exton) のSartomer社から市販のSR610及びSR295がある。その他成分(B)についての条件を満たすものは当技術分野及び有機化学の領域で公知の有機合成技術を用いて合成できる。
J2C=CJQ((CH2)nO)x((CH2)mO)yQJC=CJ2
式中、Qは、三価又は四価の原子又は基が選択される場合には化学結合の満たされていない箇所は一価の原子又は基で満たされるという条件の下に、二価、三価及び四価の原子又は基からなる群から独立に選択されるものであり、Jは、二価、三価又は四価の原子又は基が選択される場合には化学結合の満たされていない箇所は一価の原子又は基で満たされるという条件の下に、一価、二価、三価及び四価の原子又は基からなる群から独立に選択されるものである。上記の目的とするところは、化合物が符号n及びmで定義される長鎖オキシアルキレン鎖を少なくとも1つ有しオレフィン性不飽和の数に関して二又は多官能性でなければならないという最低限の条件を満足する多様な構造を示すことである。少なくとも1つのオキシアルキレン部分を含むジオレフィンについて完全に一般化された式を書くことは可能ではないかもしれないが、上記の式はこの最低限の条件を満足することのできる構造的変形を説明するためのものである。したがって、特許請求の範囲にこの最低限の条件を満足するような単純な分子種が記載されていたとしても、このような構造的変形又は入れ替えのため、上記の最低限の条件を満足する化合物すべてが包含される。本発明の組成物の成分(B)についての条件を満足する2つの実例としては、ペンシルバニア州エクストン(Exton) のSartomer社から市販のSR610及びSR295がある。その他成分(B)についての条件を満たすものは当技術分野及び有機化学の領域で公知の有機合成技術を用いて合成できる。
この広範な材料の上位分類の中で特に有用な下位分類は次式のもの
(C)約0.1重量%〜約40.0重量%、好ましくは約0.5重量%〜約30.0重量%、さらに好ましくは約1.0重量%〜約20.0重量%、最も好ましくは約2.0重量%〜約10.0重量%の次式のオレフィン官能化トリアルコキシシラン。
R4Si(OR3)3
式中、R4は炭素数2〜40の一価アルキレン基であり、R3は炭素数1〜40の一価アルキル炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から選択される。オレフィン官能化トリアルコキシシランのさらに具体的な式は次の通りである。
式中、R4は炭素数2〜40の一価アルキレン基であり、R3は炭素数1〜40の一価アルキル炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から選択される。オレフィン官能化トリアルコキシシランのさらに具体的な式は次の通りである。
成分(C)の特に好ましい例は下記のものである。
アルコール系溶液(及びその他のプロトン溶媒)中でも同様の反応が起こるが、アルコールの反応性は水に比べて格段に低いので多分同じ反応速度ではない。完全な加水分解及び重縮合反応を仮定すると、100重量部のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランの完全に加水分解して縮合した反応生成物として約72重量部のメタクリルオキシプロピルシルセスキオキサンを生じる。
成分(A)のコロイドシリカは水性分散液として本発明の組成物に配合されるのが通常であり、それでヒドロキシル系溶媒が存在しなくてはならないという条件は満足される。成分(C)のオレフィン官能化トリアルコキシシランは、上述の通り、水と反応性である。水性又はアルコール分散液としての成分(A)と成分(C)との混合物は成分(A)の微粉(もしくはコロイド)シリカを官能化して、成分(C)の水(ヒドロキシル系溶媒)との反応性のために微粉シリカと均質混合状態にある成分(C)の重縮合生成物である水解物を生じる。シリカがアルコール分散液として配合される場合、成分(C)のアルケニル加水分解性シラン中に存在するアルコキシ基(又はハライド基)を加水分解するために少量の水を加えなければならない。このように、成分(A)と(B)と(C)又は(A)と(C)のような硬化性又は反応性の分子種を含んでなる組成物に関する特許請求の範囲の記載には、それらの反応生成物及びそうした反応生成物の混合物も包含される。(B)と(C)のいずれか一方がヒドロキシル系溶媒の溶液中に存在していてこれらを一緒に混合する場合には、(B)と(C)も共反応性となり得る。
本発明の組成物は、任意には、上記以外の重合性分子種を含んでいてもよい。このような分子種は、例えばアクリル酸又はそのエステルのような一官能性オレフィン類、或いはモノブチニルマレエート又はフマレートのようなアセチレン類である。それらはジアクリレートのように二又は多官能性であってもよい。特に好ましいジアクリレートは追加重合性成分としてのヘキサンジオールジアクリレートである。このような追加重合性成分を使用する場合、それらは成分(A)と(B)と(C)を含む基本組成物に対して加えられ、約2.9重量%〜約23.1重量%、好ましくは約4.7重量%〜約16.6重量%、さらに好ましくは約7.4重量%〜約12.2重量%の量で使用される。これらの範囲は(A)、(B)及び(C)の合計100重量部当たりの重量部(pph)として表現することができ、2.9重量%はおよそ3pph、23.1重量%はおよそ30pph、4.7重量%はおよそ5pph、16.6重量%はおよそ20pph、7.4重量%はおよそ8pph、12.2重量%はおよそ14pphである。
本発明の組成物は重合性分子種の混合物を含んでいるので、オレフィン重合阻害剤を約0.0001重量%〜約1.50重量%、好ましくは約0.001重量%〜約1.00重量%、さらに好ましくは約0.005重量%〜約0.50重量%、最も好ましくは約0.01重量%〜約0.25重量%の重量レベル(組成物全体を基準)で含んでいるのが望ましいことが多い。
かかるオレフィン重合阻害剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−フェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、アルキル基の炭素数が1〜30であるようなアルキル置換フェノール、各アルキル基の炭素数が独立に1〜30であるようなジアルキル置換フェノール、各アルキル基の炭素数が独立に1〜30であるようなトリアルキル置換フェノール、スチリルフェノール、ジスチリルフェノール、トリスチリルフェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−エチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−(1−メチルシクロヘキシル)−フェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)、1,1′−チオビス(2−ナフトール)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、テトラキス(メチレン3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアミノ)1,3,5−トリアジン、4−(ヒドロキシメチル)−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(2,2-diphenyl-1-picryhydrazyl)、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、O,O−ジ−n−オクタデシル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、N−(4−ヒドロキシフェニル)ブチルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ペラルゴンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ドデカンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ステアルアミド、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(ジメチルアミノエチル)フェノール、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ニッケルビス(O−エチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート)、2,2′−オキサミドビスエチル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2−tert−ブチル−4−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニルチオ)−5−メチル)フェニルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′−ジフェニリレンジホスホナイト、n−プロピル3,4,5−トリ−ヒドロキシベンゾエート、カルシウムビス(O−エチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、バンフィールドラジカル(Banfield's radical)、1,3,5−トリフェニルベルダジル(1,3,5-triphenyl verdazyl)、ケルシュラジカル(Koelsh's raidcal)、1−ニトロソ−2−ナフトール、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−1−オキシル、ガルビノキシル(garvinoxyl)、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン及びメチルヒドロキノンからなる群から選択し得る。
本明細書中において引用した化合物でその引用した名前が余り具体的でない下記の化合物については下記に示すそれらの構造式で定義される。
ガルビノキシル:
1,3,5−トリフェニルベルダジル:
オキシアルキレン部分を少なくとも1つ含んだ二又は多官能性アルケニル化合物を含有する紫外線又は電子線硬化性コーティング組成物にコロイドシリカを配合すると、組成物は防曇性かつ耐摩耗性となる。
本発明の組成物の被膜厚さは、水又は適当な水混和性アルコール又はそれらの混合物で組成物を希釈することで調節し得る。その他の水混和性有機化合物、例えばアセトンなどを使用することも可能である。水混和性アルコールは通常は低分子量アルコールであって、こうした組成物の希釈に特に有用であり、具体的には炭素数1〜10のアルコール、好ましくは炭素数2〜8のアルコール、さらに好ましくは炭素数3〜8のアルコール、最も好ましくは炭素数3〜6のアルコールである。アルコールは一価でもよいし、エチレングリコールのように二価のものでもよいし、多価でもよい。
以下の実施例は本発明の実施を例証するためのものであり、特許請求の範囲に限定を加えるためのものではない。
本明細書中で引用した米国特許明細書はすべて文献の援用によって本明細書の内容の一部をなす。
曇り試験
以下の実施例に記載の曇り試験(fogging test)は次のようにして行った。ビーカーに上端から1インチ以内の位置まで水を満たして50℃に維持した。透明基材の処理パネルを処理面を下にしてピーカーの上に置き、パネルの処理面(加熱した水に最も近い面)で凝縮(曇り)が生じるまでの時間を測定した。この時間測定は通常1秒未満から数秒までの間であった。一般に、この試験で測定した曇り時間の精度は±1秒であった。10±1秒もしくはそれ以上の曇り時間を有するコーティング(もしくはハードコート)を防曇性と定義した。
以下の実施例に記載の曇り試験(fogging test)は次のようにして行った。ビーカーに上端から1インチ以内の位置まで水を満たして50℃に維持した。透明基材の処理パネルを処理面を下にしてピーカーの上に置き、パネルの処理面(加熱した水に最も近い面)で凝縮(曇り)が生じるまでの時間を測定した。この時間測定は通常1秒未満から数秒までの間であった。一般に、この試験で測定した曇り時間の精度は±1秒であった。10±1秒もしくはそれ以上の曇り時間を有するコーティング(もしくはハードコート)を防曇性と定義した。
テーバーヘイズ(Taber haze;ASTM D−1044)
このASTM試験プロトコルでは補助重り及び摩耗輪については規定されていない。この試験はCS−10F輪を用いて輪当たり500gの重りで実施した。
このASTM試験プロトコルでは補助重り及び摩耗輪については規定されていない。この試験はCS−10F輪を用いて輪当たり500gの重りで実施した。
例1
コーティング組成物を下記の成分から調製した。
1)100gの水性コロイドシリカ、平均粒度20±4nm、シリカ含有量34重量%(成分(A)、Nalcoag 1034A(登録商標));
2)100gのCH2=CHC(O)O-(CH2CH2O)x-OC(O)CH=CH2、ただし、xは平均して約13であり、ペンシルバニア州エクストンのSartomer社からSR610(商品名)として市販(成分(B));
3)12gの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジョージア州スミルナのRadcure社からDarocur 1173(商品名)として市販。
コーティング組成物を下記の成分から調製した。
1)100gの水性コロイドシリカ、平均粒度20±4nm、シリカ含有量34重量%(成分(A)、Nalcoag 1034A(登録商標));
2)100gのCH2=CHC(O)O-(CH2CH2O)x-OC(O)CH=CH2、ただし、xは平均して約13であり、ペンシルバニア州エクストンのSartomer社からSR610(商品名)として市販(成分(B));
3)12gの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジョージア州スミルナのRadcure社からDarocur 1173(商品名)として市販。
得られた混合物を160gのイソプロピルアルコールで希釈し、振盪して十分に混合した。この混合物は25℃で9センチポアズの粘度を有していた。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをこの混合物で流し塗りして約30分間自然乾燥した。流し塗りしたフィルムを、300W/in2のFusion−Hランプから2インチの距離でFusion Systemプロセッサーに30fpmの処理速度で2回通過させることにより紫外線照射して硬化を開始させた。
コーティングは9μmの厚さで曇り時間は20秒であった。100サイクル後のコーティングのテーバーヘイズ(ASTM D−1044)の変化は26%であり、これに対して未被覆PETフィルムではテーバーヘイズの変化は49%であった。
例2
例1の混合物をイソプロピルアルコールでアルコール2.8重量部に対して混合物1重量部となるように希釈した。このコーティング組成物を例1と同様にしてPETフィルムに塗布し、20秒間のフラッシュ時間の後、50fpmの処理速度で1回通過させて硬化した。得られたコーティングは5μmの厚さであり、10秒を上回る曇り時間(合格)を有しており、テーバーヘイズの変化は32%であった。
例1の混合物をイソプロピルアルコールでアルコール2.8重量部に対して混合物1重量部となるように希釈した。このコーティング組成物を例1と同様にしてPETフィルムに塗布し、20秒間のフラッシュ時間の後、50fpmの処理速度で1回通過させて硬化した。得られたコーティングは5μmの厚さであり、10秒を上回る曇り時間(合格)を有しており、テーバーヘイズの変化は32%であった。
例3
磁気攪拌棒を備えた三角フラスコ内に、121.7gのイソプロピルアルコール、86.9gの水性コロイドシリカNalcoag 1034A(登録商標)(シリカ含有量34重量%)及び0.07gの4−OH−TEMPOを加えた。この混合物に13.0gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを加えた。この混合物を約80℃の還流温度に2時間加熱し、次いで室温に冷却した。36.2gのヘキサンジオールジアクリレートと325gのイソプロピルアルコールを加えた。この混合物をロータリーエバポレーターにより10〜20torrでそれ以上のオーバーヘッドが回収されなくなるまで真空ストリッピングした。75gの材料が回収されたが、これは、シリカ(29.5g)、ヘキサンジオールジアクリレート(36.2g)及び9.4gのメタクリルオキシプロピルシルセスキオキサン(アクリレート官能性T樹脂)という組成を有していた。
磁気攪拌棒を備えた三角フラスコ内に、121.7gのイソプロピルアルコール、86.9gの水性コロイドシリカNalcoag 1034A(登録商標)(シリカ含有量34重量%)及び0.07gの4−OH−TEMPOを加えた。この混合物に13.0gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを加えた。この混合物を約80℃の還流温度に2時間加熱し、次いで室温に冷却した。36.2gのヘキサンジオールジアクリレートと325gのイソプロピルアルコールを加えた。この混合物をロータリーエバポレーターにより10〜20torrでそれ以上のオーバーヘッドが回収されなくなるまで真空ストリッピングした。75gの材料が回収されたが、これは、シリカ(29.5g)、ヘキサンジオールジアクリレート(36.2g)及び9.4gのメタクリルオキシプロピルシルセスキオキサン(アクリレート官能性T樹脂)という組成を有していた。
このシリカとヘキサンジオールジアクリレートとアクリレート官能性T樹脂とを含んだ混合物33gに、ペンシルバニア州エクストンのSartomer社からSR9035(商品名)として市販されている次式:
ここでのジアクリレート中のオキシアルキレン橋は10反復単位の長さのものではなく、x=5であったが、分子中には15個の反復単位が存在しており、10以上という最低限の条件を満たしている。このように、この例は、反復エーテル基の必要な数が存在する限り、一つの鎖として途切れることなく連なったポリエーテル基を形成している必要はないことを示している。したがって、オキシアルキレン部分が2以上存在する場合、各オキシアルキレン部分の化学量論的符号が10未満であっても、そうした化学量論的符号の合計が10以上であればよい。
例4
コーティング組成物を下記の成分から調製した。
1)100gの水性コロイドシリカ、平均粒度20±4nm、シリカ含有量34重量%(成分(A)、Nalcoag 1034A(登録商標));
2)100gのCH2=CHC(O)O-(CH2CH2O)x-OC(O)CH=CH2、ただし、xは平均して約13であり、ペンシルバニア州エクストンのSartomer社からSR610(商品名)として市販(成分(B));
3)12gの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジョージア州スミルナのRadcure社からDarocur 1173(商品名)として市販。
コーティング組成物を下記の成分から調製した。
1)100gの水性コロイドシリカ、平均粒度20±4nm、シリカ含有量34重量%(成分(A)、Nalcoag 1034A(登録商標));
2)100gのCH2=CHC(O)O-(CH2CH2O)x-OC(O)CH=CH2、ただし、xは平均して約13であり、ペンシルバニア州エクストンのSartomer社からSR610(商品名)として市販(成分(B));
3)12gの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジョージア州スミルナのRadcure社からDarocur 1173(商品名)として市販。
得られた混合物を50gのイソプロピルアルコールで希釈し、ポリカーボネートパネル上に塗布した。空気中で5分間乾燥した後、被覆パネルを例1の記載と同様に紫外線照射してコーティングを硬化させた。硬化被膜の厚さは20μmで、曇り時間は25秒であり、テーバーヘイズの変化は20%であった。これに対して未被覆ポリカーボネートのテーバーヘイズの変化は40%であった。
例5
コーティング組成物を下記の成分から調製した。
1)20gの水性コロイドシリカ、平均粒度20±4nm、シリカ含有量34重量%(成分(A)、Nalcoag 1034A(登録商標));
2)20gのCH2=CHC(O)O-(CH2)6-OC(O)CH=CH2、すなわちヘキサンジオールジアクリレート(HDDA);
3)2.4gの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジョージア州スミルナのRadcure社からDarocur 1173(商品名)として市販。
コーティング組成物を下記の成分から調製した。
1)20gの水性コロイドシリカ、平均粒度20±4nm、シリカ含有量34重量%(成分(A)、Nalcoag 1034A(登録商標));
2)20gのCH2=CHC(O)O-(CH2)6-OC(O)CH=CH2、すなわちヘキサンジオールジアクリレート(HDDA);
3)2.4gの2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ジョージア州スミルナのRadcure社からDarocur 1173(商品名)として市販。
得られた混合物を200gのイソプロピルアルコールで希釈し、ポリカーボネート(PC)パネル及びポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した。紫外線硬化した後の被覆PC及び被覆PETは共に曇り試験に付すと即座に曇りを生じた。この結果を例1及び例4と対比すると、CH2=CHC(O)O-(CH2CH2O)x-OC(O)CH=CH2(xは平均約13)のように少なくとも1つのポリオキシアルキレン二価基を有する二又は多官能性アルキレン化合物の存在によって、コーティング組成物に防曇性が賦与されることが分かる。
例6
反応生成物すなわち水解物(アクリレート官能性T樹脂)とヘキサンジオールジアクリレートとシリカの混合物を生成させるため、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを下記の通り水性コロイドシリカと反応させることで、幾つかの少量バッチを調製した。
反応生成物すなわち水解物(アクリレート官能性T樹脂)とヘキサンジオールジアクリレートとシリカの混合物を生成させるため、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを下記の通り水性コロイドシリカと反応させることで、幾つかの少量バッチを調製した。
磁気攪拌棒を備えた三角フラスコ内に、121.7gのイソプロピルアルコール、86.9gの水性コロイドシリカNalcoag 1034A(登録商標)(シリカ含有量34重量%)及び0.07gの4−OH−TEMPOを加えた。この混合物に13.0gのメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを加えた。この混合物を約80℃の還流温度に2時間加熱し、次いで室温に冷却した。36.2gのヘキサンジオールジアクリレートと325gのイソプロピルアルコールを加えた。この混合物をロータリーエバポレーターにより10〜20torrでそれ以上のオーバーヘッドが回収されなくなるまで真空ストリッピングした。75gの材料が回収されたが、これはシリカ(29.5g)、ヘキサンジオールジアクリレート(36.2g)及び9.4gのメタクリルオキシプロピルシルセスキオキサンという組成を有していた。この組成物をその構成成分であるシリカ、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びアクリレート官能性T樹脂(この場合メタクリルオキシプロピルシルセスキオキサン。メタクリルオキシプロピルシルセスキオキサンはメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解及び重縮合生成物である)に分けて、表1に示す、
Claims (7)
- 前記微粉シリカが水性コロイドシリカである、請求項1記載の組成物。
- 前記オレフィン官能化トリアルコキシシランが次式:
R4Si(OR3)3
(式中、R4は炭素数2〜40の一価アルキレン基であり、R3は炭素数1〜40の一価アルキル炭化水素基及び炭素数6〜40の一価芳香族炭化水素基からなる群から選択される)
を有する、請求項2記載の組成物。 - 請求項1記載の組成物を硬化してなるハードコート。
- 透明基材に防曇性を賦与するための方法であって、
(a)(i)オレフィン官能化トリアルコキシシランと(ii)微粉シリカを(iii)ヒドロキシル系溶媒の存在下で反応させて、反応生成物を生じさせる段階;
(b)上記反応生成物を、次式の多官能性オレフィン:
及びヘキサンジオールジアクリレートと混合して、紫外線硬化性ハードコート組成物を調製する段階;
(c)透明基材に上記紫外線硬化性ハードコート組成物を塗布する段階;
(d)上記紫外線硬化性ハードコート組成物を硬化させる段階
を含んでなる方法。
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