JP2007061594A - 有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び移動式分解処理システム - Google Patents

有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び移動式分解処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】変圧器貯蔵所などの現場で無害化処理を実施することが可能かつ、触媒を分離する手間が不要で、有機ハロゲン化合物を簡易に短期間で分解処理することができ、処理後の機器の解体処理も容易な有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解システムを提供する。
【解決手段】容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、前記有機ハロゲン化合物を反応槽に移送し、該反応槽において水素供与体及びアルカリ化合物と混合した後、該混合液を触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記反応槽に戻すことにより反応槽内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、反応槽内の混合液を処理液槽に移送することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法。および該方法に適した移動型の分解処理システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を分解する有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理システムに関し、詳細には、柱上変圧器、大型トランス又はOFケーブル油槽内に充填又は保存されたポリ塩化ビフェニール油等を分解して無害化する、バッチ式の有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理システムに関する。
各種有機ハロゲン化合物のなかでも、ポリ塩化ビフェニール(以下PCBと略称することがある。)は人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかし、その後適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されている。PCBは、高温(30〜750℃)分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生することから、技術的にPCBを安全に分解することが難しく、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種分解法が検討されている。
有機ハロゲン化合物の分解処理は、絶縁油として使用したPCB油など高濃度有機ハロゲン化合物の分解処理と、絶縁油交換時等に鉱油中に混入した低濃度有機ハロゲン化合物の分解処理に大別される。高濃度有機ハロゲン化合物の分解処理方法として、例えば特許文献1には、白金を担持した活性炭と芳香族塩素化合物(パラクロロフェノール等)を含む混合系に、水素ガスを吹き込みながらマイクロ波を照射することにより有害有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化する方法が提案されている。
また、特許文献2には、芳香族ハロゲン化合物を、第2アルコール中で分解触媒とアルカリ化合物の存在下に、30〜100℃に加熱して分解する方法が提案されている。詳細には、PCBを溶解した2−プロパノールに、所定量のアルカリと白金等を担持させた炭素化合物からなる触媒を添加して懸濁液としたのち、2−プロパノールの沸点(83℃)近傍まで加熱し、還流条件下で120分もしくは180分間分解反応を行うことにより、PCBを分解する方法が記載されている。
さらに本発明者らは、特許文献3において、特定の触媒存在下でポリ塩化ビフェニール類を常温で分解する方法を提案し、特許文献4において、反応系に添加する水素供与体として沸点100℃以下のアルコールを選択し、ポリ塩化ビフェニール類に対する水素供与体の割合と、水素供与体に対するアルカリ化合物の割合を一定範囲にし、これらの化合物を含む反応溶液を触媒を充填したカラムに流通させながら該カラムにマイクロ波を照射することにより、低温でポリ塩化ビフェニール類を脱塩素化する方法を提案した。
特開2001−19646号公報 特開平8−266888号公報 特願2004−304931 特願2004−304932
しかしながら、特許文献1記載の方法では、水素ガスを芳香族塩素系化合物を含む反応系に外部から供給する必要があり、実用的な手法としては好ましくない。
一方、特許文献2記載の方法は、PCBを溶解したアルコール溶液に触媒とアルカリを分散させ、これをアルコールの還流条件下で加熱し分解する方法である。かかるバッチ式処理は、大量に処理するためには設備が大掛かりになるとともに、粉末触媒をそのまま油中に投入するため、無害化処理済み後の溶液中から触媒を分離するのに大きな手間がかかる。
また、PCB処理設備の建設にはアセスメントが必要であることより、変圧器貯蔵所などの現場でPCBの無害化処理が可能で、しかも、PCBを安全かつ低コストで分解処理できる方法の開発が望まれている。さらに、PCBは、絶縁油抜出し後の機器にも残留している可能性があるため、機器を無害化処理した後、解体処理する必要がある。
特許文献3記載の方法は、常温でも高濃度PCBを分解処理することができる点で優れた方法であるが、迅速を要する処理に適しているとは言い難い。
また、特許文献4記載の方法は、変圧器貯蔵所などの現場でも短時間でPCBを分解処理できる点で優れた方法であるが、夜間などポンプが停止している際に、液体の流れが停止することによって結晶の種が成長し、ビフェニルやKClが触媒に付着してカラムの詰まり及び触媒劣化をもたらすおそれがある。
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、変圧器貯蔵所などの現場で無害化処理を実施することが可能かつ、触媒を分離する手間が不要で、しかも高濃度有機ハロゲン化合物を簡易に短期間で分解処理することができ、処理後の機器の解体処理も容易な有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機ハロゲン化合物を分解処理する処理場所に移動式の処理装置を設置した後、高濃度PCBを充填又は保存した変圧器等の機器(以下、「高濃度PCB機器」)に処理装置を接続し、所定量のPCB油を反応槽へ移送し、これに水素供与体とアルカリを添加し、その混合液をバッチ式にて分解処理することにより、有機ハロゲン化合物を短期間で簡易に分解処理できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1)容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、前記有機ハロゲン化合物を反応槽に移送し、該反応槽において水素供与体及びアルカリ化合物と混合した後、該混合液をマイクロ波装置内に設置した触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記反応槽に戻すことにより反応槽内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、反応槽内の混合液を排出し処理液槽に移送することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
2)容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、前記有機ハロゲン化合物を反応槽に移送し、該反応槽において水素供与体及びアルカリ化合物と混合した後、該混合液をマイクロ波装置に隣接して設置した触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記反応槽に戻すことにより反応槽内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、反応槽内の混合液を排出し処理液槽に移送することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
3)前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である前記1)又は2)に記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
4)前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である前記1)〜3)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
5)前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である前記1)〜4)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
6)前記容器が、柱上変圧器、大型トランス、安定器又はOFケーブル油槽である前記1)〜5)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
7)マイクロ波を断続的に照射する前記1)〜6)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
8)前記容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物が、高濃度有機ハロゲン化合物である前記1)〜7)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
9)前記1)〜8)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法に供した有機ハロゲン化合物移送後の容器内に、水素供与体及びアルカリ化合物を添加、混合した後、該混合液をマイクロ波装置内又はマイクロ波装置に隣接して設置した触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記容器に戻すことにより容器内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、容器内の混合液を排出し処理液槽に移送することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法、
10)容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物の分解に供する分解処理システムであって、反応槽と、マイクロ波を照射するマイクロ波装置と、該マイクロ波装置内又はマイクロ波装置に隣接して設置可能な触媒充填装置と、該触媒充填装置に前記反応槽内の溶液等を供給する供給手段と、前記反応槽内の溶液等を処理液槽に移送する移送手段と、前記反応槽内の溶液等を貯留する処理液槽とを少なくとも備えたことを特徴とする移動式の分解処理システム、及び、
11)前記容器が、柱上変圧器、大型トランス、安定器又はOFケーブル油槽である前記10)に記載の分解処理システム。
本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理方法によれば、有機ハロゲン化合物からなる油あるいは有機ハロゲン化合物を含む油等を充填又は保存した機器から所定量の油を反応槽へ移送し、これに水素供与体とアルカリ化合物を混合してなる混合液を触媒充填装置に流通させながら循環させ、必要に応じてマイクロ波を照射することにより、前記有機ハロゲン化合物を短期間に分解処理することができると共に、マイクロ波を照射しない夜間でも常温分解が進み、しかも、液が流れ続けることによりビフェニルやKClが固着し難くなり、液が触媒を揺動させることにより触媒充填カラムの詰まりを防止することができる。また、移動式の処理装置を接続するので、所望の処理場所に処理装置を設置するだけで脱ハロゲン化処理を実施することができる。また、大規模な処理設備の建設が不要となり、処理時の省スペース化も図られる。しかも、処理後の機器の解体処理も容易である。
また、分解処理に用いる水素供与体及び/又はアルカリ化合物を選択することにより、有機ハロゲン化合物の分解処理を高い効率で行うことができる。
また、分解処理に用いる触媒として、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物から選ばれた少なくとも一つの化合物を用いることにより、有機ハロゲン化合物の分解処理を高い効率で行うことができ、処理コストを低減することができる。
本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理システムは、組み立て及び移動が容易で、このシステムに高濃度PCB機器等を接続し、所定の操作を実施することにより、有機ハロゲン化合物を短期間に分解し、無害化処理することができる。
以下、本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理方法および分解処理システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の分解処理方法及び分解処理システムは、容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、有機ハロゲン化合物からなる油の処理場所に、移動式の処理装置を設置し、前記有機ハロゲン化合物を反応槽に移送し、該反応槽において水素供与体及びアルカリ化合物と混合した後、該混合液をマイクロ波装置内又はマイクロ波装置に隣接して設置した触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記反応槽に戻すことにより反応槽内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、反応槽内の混合液を排出し処理液槽に移送するものである。有機ハロゲン化合物の分解処理を促進するために、油に水素供与体及びアルカリ化合物を混合する。
前記の容器としては、例えば、柱上変圧器、大型トランス、安定器、OFケーブル油槽等が挙げられるが、本発明は特に大型トランス、OFケーブル油槽等の大型機器の油の処理に好適である。
本発明において、分解処理対象となる有機ハロゲン化合物は、主に絶縁油等として使用されたポリ塩化ビフェニール類(PCB)である。PCB類としては、例えば、鐘淵化学(株)のKC−200(主成分:2塩化ビフェニール)、KC−300(主成分:3塩化ビフェニール)、KC−400(主成分:4塩化ビフェニール)、KC−500(主成分:5塩化ビフェニール)、KC−600(主成分:6塩化ビフェニール)、KC−1000(KC500/TCB=60/40(質量比)の混合物)、KC−1300(KC−300+DCB+4塩化ベンゼンの混合物)や、三菱モンサイト(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等を挙げることができる。
図1は、本発明の分解処理システムの一実施形態を示す概略図であり、高濃度PCB機器10に充填されたPCB油の分解処理の一例を示すものである。図1に示したように、本発明の分解処理システム1では、PCB油と水素供与体とアルカリ化合物を混合してなる混合液(以下、「被処理液」という。)を調製する反応槽20、マイクロ波を照射するマイクロ波装置30、該マイクロ波装置内に設置可能な触媒充填装置35、該触媒充填装置に前記反応槽内の溶液等を供給する供給手段(循環ポンプ)21、処理液槽40、該処理液槽に前記反応槽内の溶液等を移送する移送手段(払出しポンプ)31を主たる構成要素として構成される。
高濃度PCB機器10内のPCB油は、移送手段(ポンプ)11を介して反応槽20に導入される。ポンプ11には、高濃度PCB機器10内のPCB油を反応槽20に導入するための配管12が備えられている。また、ポンプ21には、被処理液をポンプ21を介して触媒充填装置35に供給するための配管22が備えられ、ポンプ31には、被処理液をポンプ31を介して処理液槽40に移送するための配管32が備えられている。触媒充填装置35と反応槽20は、配管23で接続されている。これにより、被処理液を触媒充填装置に供給して有機ハロゲン化合物を触媒と接触させながら、被処理液を循環させる。
反応槽20は、水素供与体(IPA:イソプロピルアルコール)の供給ライン13、及びアルカリ化合物(KOH)の供給ライン14を備えていてもよい。あるいは、水素供与体とアルカリ化合物を予めプレミックスして水素供与体にアルカリ化合物を溶解させたものを保管する図示しない装置(プレタンク)を設置し、該装置から反応槽20へ水素供与体及びアルカリ化合物を供給する供給ライン(図示を省略する)を備えていてもよい。
図1に示す触媒充填装置35には、有機ハロゲン化合物を分解しうる後述する触媒が充填された触媒充填層が形成されている。被処理液は、図中の矢印で示すように、ポンプ21を介して、供給ライン22から触媒充填装置35の入口に導入される。導入された被処理液は、およそ空間速度(SV)0.05〜0.5cm/secで触媒充填層を流通し、触媒充填層流通後の被処理液は、触媒充填装置35の出口側から排出され、配管23を通じて、反応槽20に戻る。かくして、被処理液が触媒と接触することにより、被処理液中の有機ハロゲン化合物は分解する。
上記の触媒充填装置は、その形状、大きさ、マイクロ波装置内における設置場所は特に限定されるものではなく、マイクロ波照射が可能な位置に設置すればよい。触媒充填装置は、取り外し可能なカセット式にすることもできる。
また、本発明の分解処理システムは、例えば触媒充填装置35の被処理液入口近傍に、被処理液内に形成されたクラスターを破壊可能な超音波発生装置等のクラスター破壊装置を備えていてもよい(図示は省略する)。有機ハロゲン化合物を溶解している溶媒によっては有機ハロゲン化合物と溶媒分子とがクラスターを形成する可能性があり、有機ハロゲン化合物の分解を阻害する恐れがある。超音波発生装置等のクラスター破壊装置を備えることは、これらクラスターを破壊し、有機ハロゲン化合物をむき出しにして分解反応をおこし易くする効果があると考えられる。
触媒充填装置35はマイクロ波装置30内に設置されているため、必要に応じてマイクロ波を照射することができる。マイクロ波装置をオンにした場合、触媒層を流通する被処理液は、照射されたマイクロ波によって加熱された触媒と接触する。かくして、触媒層を流通する被処理液がマイクロ波で活性化された触媒と接触するため、被処理液中の有機ハロゲン化合物は、非加熱状態で接触させたときよりも格段に早い速度で分解する。一方、マイクロ波装置をオフにした場合、触媒層を流通する被処理液は常温で触媒と接触する。かくして、被処理液中の有機ハロゲン化合物は比較的遅い速度ではあるが、徐々に分解する。
マイクロ波照射は必要に応じて実施すれば良いので、例えば、昼間はマイクロ波を照射して50〜200℃で分解処理し、夜間は常温で分解処理する方法を採用することもできる。かかる方法によれば、夜間に有機ハロゲン化合物の常温分解が進み、しかも、ポンプ21は連続運転されるため、触媒充填装置内を被処理液が流れ続けることにより、ビフェニルや、有機ハロゲン化合物から脱離した塩素とアルカリとの中和生成塩であるKClが触媒等に固着しにくくなる。さらに、被処理液が触媒を揺動させる効果もあるため、それにより触媒層の詰まりを防止することができる。マイクロ波は、このように断続的に照射することが、分解の促進と円滑な装置の運転を確保できる点より好ましい。
反応槽20内に戻された被処理液は、反応槽内に残存していた被処理液と混合される。混合された被処理液中の有機ハロゲン化合物が所定の濃度に到達した場合は、上記の分解処理操作を終了する。分解処理終了後の処理液は、払出しポンプ31を介して、処理液槽40へ移送する。該処理液槽40に反応槽内の溶液等を貯留した後、処理後の溶液等を産業廃棄物として処分する。
移送後、反応槽20の内部は空になるので、再び、高濃度PCB機器からPCBを反応槽20内に導入し、上記のPCB分解処理操作を繰り返す。
図1では、触媒充填装置35をマイクロ波装置30内に設置して分解処理する形態について説明した。この触媒充填装置35は反応槽20内に設置することもでき(図4参照)、マイクロ波装置内に設置した場合に比べて、充填する触媒量が制限され難いという利点がある。
次に、上記分解処理システムの使用方法とともに、本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理方法の一実施形態について、図1を参照しつつ更に詳細に説明する。
まず、図1に示す高濃度PCB機器10から、ポンプ11により、配管12を通じて、反応槽20に所定量(高濃度PCBの場合:約30〜3000g程度、被処理液中の有機ハロゲン化合物濃度に換算して0.01〜10%程度)のPCBを導入する。反応槽20に、後述する水素供与体及びアルカリ化合物を所定量添加し、これらを混合して被処理液を調製する。必要に応じて反応槽内を攪拌、混合する。ただし、反応槽20へのPCB、水素供与体及びアルカリ化合物の導入順序は上記に限定されるものではなく、それぞれ一括添加、分割添加のいずれでもよく、また、添加順序も問わない。
なお、図1は、高濃度PCB機器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物の分解処理方法の一実施形態を説明した一例を示すものであり、本発明の処理方法及び処理システムは、広く有機ハロゲン化合物を含む絶縁油等の処理にも適用できることは言うまでもない。
本発明の分解処理方法においては、反応槽に導入される有機ハロゲン化合物と水素供与体とアルカリ化合物を混合する場合は、振とうによる外部からの攪拌、攪拌子による内部からの攪拌、超音波によるミクロ的な攪拌など、いずれの方法を用いてもよい。振とうによる外部からの攪拌としては、例えば、反応槽を、振動式攪拌機、振動台、振とう機等を用いて加振する方法(例えば、垂直および/または水平方向へ平行振動させる方法、回旋振動させる方法など)などが挙げられる。攪拌子による内部からの攪拌としては、例えば、攪拌羽根やマグネチックスターラー等の攪拌子を用いて被処理液を攪拌する方法などが挙げられる。攪拌する場合は、連続攪拌、間欠攪拌のいずれの方法を採用してもよい。
次に、被処理液を、触媒が充填された触媒充填装置35に連続的に流通させて有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する。反応温度は特に限定されないが、マイクロ波を照射しない場合は、常温で実施する。常温とは、加温しない温度を意味し、通常15〜25℃である。高濃度PCB機器等の保管場所や季節により前記温度範囲外となることもあるが、本発明では、かかる場合も常温の範囲に含める。副反応生成物を抑制しつつ脱ハロゲン化効率を高める観点より、被処理液を加温してもよい。流通時間は特に限定されないが、通常、2〜300時間行う。
一方、マイクロ波を照射する場合は、触媒充填装置における反応温度は、通常50〜200℃である。反応温度を50℃以上とすることにより、分解反応が進行しやすくなる。一方、200℃を超える場合は、脱塩素化反応は十分進むが、副生物が生成し易くなり、また経済性にも劣るものとなる。
以上の分解処理を行うことにより、数時間〜2週間程度で被処理液中の有機ハロゲン化合物を検出限界以下(0.5ppm以下)に減少させる。
本発明において、触媒充填装置に照射するマイクロ波の出力や周波数、照射方法は、特に限定されるものではなく、反応温度が所定の範囲に保持できるよう電気的に制御すればよい。出力が低すぎる場合は水素発生量が少なくなり、出力が高すぎる場合はマイクロ波の利用率が悪くなるため、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲とするのが望ましい。マイクロ波の周波数は1〜300GHzが望ましい。1GHz未満又は300GHzを超える周波数範囲では、触媒や水素供与体の加熱が不十分となる。マイクロ波の照射は連続照射、間欠照射のいずれの方法であってもよいが、電気的に制御しながら連続照射するのが好ましい。マイクロ波装置としては、マグネトロン等のマイクロ波発生器を用いた装置や、固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。
反応の雰囲気は不活性ガス中で行うことが、望ましくない副反応が起きないので、より好ましい。但し、汚染油の処理環境によっては不活性ガスの調達が困難な場合もあり得るため、自然雰囲気中で反応を行うこともできる。
本発明の分解処理に用いた触媒は、再生処理を施した後、他の有機ハロゲン化合物の処理に再使用してもよい。触媒の再生処理は公知の方法で行えばよく、例えば、アセトンや低級アルコール等の有機溶剤を用い、10〜80℃で触媒を洗浄することにより、再生することができる。洗浄時間に限定はなく、吸着した有機ハロゲン化合物の脱着状況に応じて適宜決定すればよい。
ここで、本発明において油に添加する「水素供与体」としては、例えば、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物、及び脂環式化合物等の有機系水素供与体等が挙げられる。これらの化合物の中でも、安全性の観点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物が好ましく、特に、安全性が高く、低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易で、PCB分解効率が高い点より、アルコール系化合物が好ましい。これらの水素供与体は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。
ここで、前記のアルコール系化合物としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよく、直鎖又は分岐鎖を有する一価アルコールや多価アルコールを用いることができる。アルコール系化合物の炭素数は1〜12の範囲が好ましく、より好ましくは2〜9の範囲、さらに好ましくは3〜6の範囲である。前記アルコール系化合物の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール等の脂肪族アルコール、シクロプロピルアルコール、シクロブチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等の脂環式アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、デカリンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、分解効率の点から2−プロパノール、シクロヘキサノールが特に好ましい。
また、アルカリ化合物としては、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができるが、脱ハロゲン化効率を高める観点より、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましく用いられる。中でも、コストやハンドリング性の観点より、苛性ソーダ、苛性カリが特に好ましい。アルカリ化合物は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。
本発明の分解処理方法では、上記の水素供与体及びアルカリ化合物を事前にプレ攪拌してアルカリ化合物を水素供与体に溶解させておいたものを用いてもよい。
水素供与体は、有機ハロゲン化合物に対し、通常、質量比で50〜100倍量添加する。水素供与体の量が少なすぎる場合は溶液の粘度が高くなり、また分解反応が進まなくなる。一方、水素供与体の量が多すぎると、反応は十分進むが実用上意味がなく、また反応槽の大容量化に繋がるため装置の移動が困難になるおそれがある。
また、アルカリ化合物は、ハロゲンに対する割合として、通常、モル比で1.0〜1.5倍モル添加する。前記モル比が小さすぎる場合は分解反応が進まなくなり、一方、モル比が大きすぎる場合はアルカリ化合物が溶解しきれなくなる。
本発明の触媒充填装置に充填する触媒としては、有機ハロゲン化合物、特にPCBの脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができ、その種類は特に限定されない。無機系触媒は触媒寿命が長く、かつ、アルカリ化合物存在下でも安定であるため、有機系触媒よりも好ましい。無機系触媒の好ましい具体例としては、脱ハロゲン化効率を高める観点より、複合金属酸化物、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物、金属担持複合金属酸化物及び金属酸化物等が好ましく用いられる。中でも、アルカリ性雰囲気で安定性が高い点より、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物が好ましく、特に金属担持炭素化合物はマイクロ波吸収性が高く、かつ分解促進効果が高い点より最も好ましい。これらの触媒は、単独で又は二種以上を任意に組合せて使用することができる。また、上記の方法で再生された再生触媒を使用してもよい。
ここで、前記の炭素結晶化合物としては、グラファイト、カーボンナノチューブ(金属を含むものと含まないものの双方が含まれる)、フラーレン等が挙げられる。
また前記の金属担持炭素化合物としては、金属を担持した炭素化合物であれば制限なく用いることができ、その金属担持量は、触媒全量に対して0.1〜20wt%、より好ましくは0.1〜10wt%であるのがよい。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられ、脱ハロゲン化効率を高める観点より、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、例えば、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。
前記の金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物は、金属を担持した酸化物、複合酸化物であれば制限なく用いることができ、その金属担持量及び金属の種類は、上記の金属担持炭素化合物と同様である。金属担持酸化物の具体例としては 例えば、Pd/TiO(パラジウム担持2酸化チタン)等が挙げられる。金属担持複合酸化物の具体例としては、例えば、Pd/SiO・Al(パラジウム担持シリカ−アルミナ)等が挙げられる。
上記の触媒は、粒状のものでもハニカム状のものでもよい。粒状の場合はカラムの上下をメッシュ等で固定する必要があり、その場合の粒子径は75μm〜10mmが好ましい。10mmを超える場合は比表面積が不足し、75μm未満の場合はメッシュが詰まり差圧が高くなる。より好ましくは150μm〜5mmが望ましい。触媒粒子は、できるだけ粒子径のそろったものがよい。
本発明の分解処理方法及びシステムによれば、有機ハロゲン化合物を短期間に分解することができる。従って、例えば、高濃度PCB機器等に含まれるPCB油の全量処理終了後、高濃度機器等に水素供与体を投入し、さらにアルカリ化合物を添加した後、該溶液を触媒充填装置に流通させ、循環することにより、PCBを分解処理することができる。処理済後は、処理終了を確認した後、処理液槽へ移送する。図3に、好ましい一例として、分解処理方法の概略フロー図を示した。この分解処理方法は、内蔵PCB抜油後の高濃度機器の無害化処理方法として、好適に採用することができる。
また、PCB油が充填等されていた高濃度PCB機器等は、上記の分解処理によって無害化できるので、特別な処理を施すことなく解体処理にかけることができる。
(作用)
本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理方法によれば、外部から水素ガスを加える場合より若干遅い速度で有機ハロゲン化合物が分解し脱ハロゲン化される。その機構は明らかではないが、アルカリ化合物が有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促し、そこに水素供与体からの水素ラジカルが入り込むものと考えられる。分解速度が遅くても、変圧器の貯蔵所等の現場であれば、新たな加熱源等を用意せずとも放置するだけでPCBを処理できる。分解処理を促進したい場合は、必要に応じて、マイクロ波照射を実施することもできる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
高濃度機器から取り出したKC−1000(KC−500/トリクロロベンゼンの6/4(質量比)の混合物、鐘淵化学(株)製)1.5ml、および、KOHフレーク2.46g(1.2倍当量対塩素)と和光純薬製イソプロピルアルコール(IPA)148.5mlとを3000rpmのホモミキサーで20分攪拌し混液としたものを、内容量200mlの五つ口フラスコ(以下、「反応槽」)に導入した。これらを導入した後に、窒素ガスで反応槽内部を置換した。
一方、粒状活性炭(商品名:ダイヤホープ008)にパラジウム(Pd)を5%担持させた触媒(平均粒径1mm程度)を用意し、70℃で8時間乾燥した。この触媒24gをマイクロ波発生装置内に設置した触媒充填装置に入れ、上下を100メッシュの網で挟み込み、触媒を充填した。反応槽内をマグネチックスターラーで攪拌しながら、反応槽内の混合液をポンプで抜き出し、光ファイバー温度計を備えた上記触媒充填装置に10ml/分の速度で連続的に流通させた後反応槽に戻し、常温にて表1に示す所定時間循環させた。その間、断続的に表1に示す時間中は、周波数2.45GHz、最大出力650Wのマイクロ波を電気的に制御しながら連続照射し、反応温度を60℃に維持した。反応中も窒素ガスを50ml/minで流した。
触媒充填装置内を流通させた混合液中のPCB濃度を定期的にサンプリングし、サンプリングした混合溶液中のPCB濃度は、DB1(J&Wサイエンティフィック製)をキャピラリーカラムとする(株)島津製作所製のガスクロマトグラフィー質量分析計QP5050AW(「GC−MS」)を用いて分析した。
混合液中のPCB濃度が目標の0.5ppm以下にならなかった場合は、混合液を再び触媒充填装置に流通、循環させた後、反応槽内に戻す操作を繰り返した。
経時によるPCB濃度の分析結果を表1に、PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフを図2に、それぞれ示す。表1及び図2から明らかなように、常温分解136時間+マイクロ波分解30時間=合計166時間(約7日間)でPCB濃度0.5ppm未満まで分解できた。
分解処理後、混合液を処理液槽に移送した。
Figure 2007061594
(比較例1)
実施例1で調製した混合液を、常温で触媒充填装置に流通させるのみでマイクロ波照射を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして常温分解処理を実施した。その結果、図2に示すように、168時間(7日間)分解処理後のPCB濃度は8.0ppm、336時間(14日間)分解処理後のPCB濃度は7.4ppmであった。
図2から明らかなように、マイクロ波を照射した場合に比べて分解速度が遅くなることが確認できた。
(実施例2)
図4に本実施例で使用した分解処理装置の概略図を示す。反応槽20の中に触媒充填装置35、反応槽20の外部にマイクロ波発振器50、をそれぞれ設置し、循環ポンプ21で液を循環する。
反応槽に、IPA19.8L、高濃度機器から取り出したKC−400(鐘淵化学(株)製)を濃度1.74質量%(対IPA)となる量で導入し、さらに、KOHフレーク約254g(1.2倍当量対塩素)を導入し、これらを導入した後に、安全性を考慮して窒素ガスで反応槽内部を置換した。
一方、粒状活性炭(商品名:ダイヤホープ008)にパラジウム(Pd)を5%担持させた触媒(平均粒径1mm程度)を用意し、60℃で24時間以上乾燥した。この触媒2.0kgを触媒充填層に入れ、触媒を充填した。反応槽内の混合液をポンプで、熱電対温度計を備えた上記触媒充填層に0.8〜1.0L/分の速度で連続的に流通させた後反応槽に戻し、常圧にて、循環させた。混合液中のPCB濃度が目標の0.5ppm以下にならなかった場合は、混合液を再び触媒充填層に流通、循環させた後、反応槽内に戻す操作を繰り返した。その間、昼間の8時間は、周波数2.45GHz、最大出力900Wのマイクロ波を電気的に制御しながら連続照射して反応温度を60℃に維持し、夜間はマイクロ波照射を止め、循環ポンプも停止した。反応中も窒素ガスを300ml/minで流した。
触媒充填装置内を流通させた混合液を1〜4時間おきにサンプリングし、実施例1と同様の方法で、サンプリングした混合溶液中のPCB濃度を分析した。PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフを図5に示した。図5から明らかなように、約15時間でPCB濃度0.5ppm未満まで分解できた。
(実施例3)
実施例2と同様、図4の分解処理装置を用いて試験した。
反応槽に、IPA49.5L、高濃度機器から取り出したKC−400(鐘淵化学(株)製)を濃度1.74質量%(対IPA)となる量で導入し、さらに、KOHフレーク約634g(1.2倍当量対塩素)を導入し、これらを導入した後に、安全性を考慮して窒素ガスで反応槽内部を置換した。
一方、粒状活性炭(商品名:ダイヤホープ008)にパラジウム(Pd)を5%担持させた触媒(平均粒径1mm程度)を用意し、60℃で24時間以上乾燥した。この触媒4.0kgを触媒充填層に入れ、触媒を充填した。反応槽内の混合液をポンプで、熱電対温度計を備えた上記触媒充填層に約1.2〜1.3L/分の速度で連続的に流通させた後反応槽に戻し、常圧にて、循環させた。混合液中のPCB濃度が目標の0.5ppm以下にならなかった場合は、混合液を再び触媒充填装置に流通、循環させた後、反応槽900Wのマイクロ波を電気的に制御しながら連続照射して反応温度を60℃に維持し、夜間はマイクロ波照射を止め、循環ポンプも停止した。反応中も窒素ガスを300ml/minで流した。
触媒充填装置内を流通させた混合液を1〜4時間おきにサンプリングし、実施例1と同様の方法で、サンプリングした混合溶液中のPCB濃度を分析した。PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフを図6に示した。図6から明らかなように、約12時間でPCB濃度0.5ppm未満まで分解できた。
(実施例4)
図7に本実施例で使用した分解処理装置の概略図を示す。大型のマイクロ波装置30内に触媒触媒充填装置35を3基並列に設置し、反応槽20内の液を循環ポンプ21で循環する。
反応槽に、IPA4L、高濃度機器から取り出したKC−1000(鐘淵化学(株)製)を濃度0.96質量%(対IPA)となる量で導入し、さらに、KOHフレーク67.9g(1.2倍当量対塩素)を導入した。
一方、粒状活性炭(商品名:ダイヤホープ008)にパラジウム(Pd)を5%担持させた触媒(平均粒径1mm程度)を用意し、60℃で24時間以上乾燥した。この触媒750gをマイクロ波発生装置内に設置した触媒充填層に入れ、触媒を充填した。反応槽内を攪拌機で攪拌しながら、反応槽内の混合液をポンプで抜き出し、光ファイバー温度計を備えた上記触媒充填層に80ml/分の速度で連続的に流通させた後反応槽に戻し、常圧にて、循環させた。混合液中のPCB濃度が目標の0.5ppm以下にならなかった場合は、混合液を再び触媒充填層に流通、循環させた後、反応槽内に戻す操作を繰り返した。その間、昼間の8時間は、周波数2.45GHz、最大出力650Wのマイクロ波を電気的に制御しながら連続照射して反応温度を60℃に維持し、夜間はマイクロ波照射を止め、循環ポンプも停止した。反応中も窒素ガスを300ml/minで流した。
触媒充填装置内を流通させた混合液を8時間おきにサンプリングし、実施例1と同様の方法で、サンプリングした混合溶液中のPCB濃度を分析した。PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフを図8に示した。図8から明らかなように、約20時間でPCB濃度0.5ppm未満まで分解できた。
本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理システムの一実施形態を示す概略図である。 PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフである(実施例1、比較例1)。 本発明の請求項9に係る有機ハロゲン化合物の分解処理方法の概略フロー図である。 実施例2、実施例3で用いた分解処理装置を示す概略図である。 PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフである(実施例2)。 PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフである(実施例3)。 実施例4で用いた分解処理装置を示す概略図である。 PCBの脱ハロゲン化効果と経日数との関係を示すグラフである(実施例4)。
符号の説明
1 分解処理システム
10 高濃度PCB機器
11 移送手段(ポンプ)
20 反応槽
21 移送手段(循環ポンプ)
30 マイクロ波装置
31 移送手段(払出しポンプ)
35 触媒充填装置
40 処理液槽
50 マイクロ波発振器

Claims (11)

  1. 容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、前記有機ハロゲン化合物を反応槽に移送し、該反応槽において水素供与体及びアルカリ化合物と混合した後、該混合液をマイクロ波装置内に設置した触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記反応槽に戻すことにより反応槽内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、反応槽内の混合液を排出し処理液槽に移送することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  2. 容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、前記有機ハロゲン化合物を反応槽に移送し、該反応槽において水素供与体及びアルカリ化合物と混合した後、該混合液をマイクロ波装置に隣接して設置した触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記反応槽に戻すことにより反応槽内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、反応槽内の混合液を排出し処理液槽に移送することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  3. 前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  4. 前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  5. 前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  6. 前記容器が、柱上変圧器、大型トランス、安定器又はOFケーブル油槽である請求項1〜5のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  7. マイクロ波を断続的に照射する請求項1〜6のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  8. 前記容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物が、高濃度有機ハロゲン化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法に供した有機ハロゲン化合物移送後の容器内に、水素供与体及びアルカリ化合物を添加、混合した後、該混合液をマイクロ波装置内又はマイクロ波装置に隣接して設置した触媒充填装置に流通させながら必要に応じてマイクロ波を照射して有機ハロゲン化合物を分解し、流通後の混合液を前記容器に戻すことにより容器内の有機ハロゲン化合物を所定の濃度以下にした後、容器内の混合液を排出し処理液槽に移送することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  10. 容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物の分解に供する分解処理システムであって、反応槽と、マイクロ波を照射するマイクロ波装置と、該マイクロ波装置内又はマイクロ波装置に隣接して設置可能な触媒充填装置と、該触媒充填装置に前記反応槽内の溶液等を供給する供給手段と、前記反応槽内の溶液等を処理液槽に移送する移送手段と、前記反応槽内の溶液等を貯留する処理液槽とを少なくとも備えたことを特徴とする移動式の分解処理システム。
  11. 前記容器が、柱上変圧器、大型トランス、安定器又はOFケーブル油槽である請求項10に記載の分解処理システム。
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