JP2007060429A - 拡声通話装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】周囲騒音の大きさに応じた適切な音量で拡声通話を行うと同時にハウリングの発生を抑制する。
【解決手段】音声区間が検出されていないときにだけ近端側周囲騒音レベルの推定値Pn’を更新するから、周囲騒音レベルに応じて音量補正手段4における補正量が音量補正量調整手段6によって適切な値に調整され、周囲騒音の大きさに応じた適切な音量で拡声通話が行える。また、音声区間が検出されているときにだけ、音量補正量調整手段6が補正量を調整するので、スピーカ2からマイクロホン1への回り込みに起因したハウリングの発生を抑制できる。しかも、第1のエコーキャンセラEC1の適応フィルタ7が係数を更新している間は補正量の調整を行わないので、適応フィルタ7の収束が劣化するのを防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロホン並びにスピーカを具備して拡声通話を行うインターホン等の拡声通話装置に関するものである。
従来の通話装置、例えば、ハンドセットを備えたインターホン親機においては、ハンドセットの代わりにマイクロホンとスピーカを備えた拡声通話装置たるドアホン子器との通話に際し、ドアホン子器から通話線を介して伝送される受話信号に含まれる周囲騒音のレベル(遠端側周囲騒音レベル)を推定し、その推定値に基づいて受話信号並びに通話線を介してドアホン子器に伝送される送話信号のレベルを調整することにより、来訪者の音声が適切な音量で聞こえるようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2002-185625号公報
しかしながら、ドアホン子器と同様に、ハンドセットの代わりにマイクロホンとスピーカを用いて拡声通話を行う拡声通話装置として構成されたインターホン親機においては、スピーカの音量を大きくすることでマイクロホンへの回り込み成分も増大するため、周囲騒音が大きい状況下ではハウリングが発生しやすくなるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、周囲騒音の大きさに応じた適切な音量で拡声通話が行えると同時にハウリングの発生を抑制することができる拡声通話装置を提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、マイクロホン並びにスピーカと、マイクロホンとスピーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去する第1のエコーキャンセラと、マイクロホンから出力される送話信号に含まれる近端側の周囲騒音レベルを推定する近端側周囲騒音レベル推定手段と、スピーカへ入力する受話信号レベルを増減することでスピーカが鳴動する音声の音量を補正する音量補正手段と、音量補正手段で補正される前の前記受話信号が音声成分を含んでいる音声区間を検出する遠端側音声区間検出手段と、遠端側音声区間検出手段が音声区間を検出しているときに近端側周囲騒音レベル推定手段で推定した周囲騒音レベルに応じて音量補正手段における補正量を調整する音量補正量調整手段とを備え、第1のエコーキャンセラは、エコー経路の特性を適応的に同定する適応フィルタと、近端側の信号から適応フィルタの出力を減算する減算器と、ダブルトークを検出するダブルトーク検出部とを有し、ダブルトーク検出部によりダブルトークが検出されない状態でのみ適応フィルタの係数を更新するとともに、その他の状態では適応フィルタの係数を固定してなり、近端側周囲騒音レベル推定手段は、前記送話信号の瞬時パワーの短時間平均値を算出する短時間平均値算出部、並びに前記瞬時パワーの長時間平均値を算出する長時間平均値算出部を具備し、当該短時間平均値と長時間平均値を比較することで前記送話信号が音声成分を含んでいる音声区間を検出する近端側音声区間検出部と、前記送話信号に含まれる近端側周囲騒音レベルの推定値を算出する周囲騒音レベル算出部とを有し、近端側音声区間検出部が音声区間を検出していないときに近端側周囲騒音レベルの推定値を更新するとともに近端側音声区間検出部が音声区間を検出しているときは近端側周囲騒音レベルの推定値を更新せず、音量補正量調整手段は、第1のエコーキャンセラのダブルトーク検出部がダブルトークを検出している間は補正量の調整を行わないことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、遠端側における信号の回り込みによって生じる回線エコーを消去する第2のエコーキャンセラを備えたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項2の発明において、マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、音量補正量調整手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2の発明において、マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値と回線側帰還利得の推定値の総和が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1の発明において、マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、音量補正量調整手段は、総損失量算出部で算出する損失量の総和が所定のしきい値以下であれば補正量の調整を行わないことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1の発明において、マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量の調整を行わないことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1の発明において、マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値と回線側帰還利得の推定値の総和が所定のしきい値以上であるときは補正量の調整を行わないことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1の発明において、第1のエコーキャンセラの適応フィルタは、ディジタルのFIRフィルタにより構成され、擬似エコー成分の減算で消去されなかった消去誤差を最小とするように動作するアルゴリズムによってフィルタ係数を逐次修正するとともに、フィルタ係数の修正の大きさを調整するために対角行列で表されるステップゲイン行列を用いることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項2の発明において、第2のエコーキャンセラは、遠端側に形成される帰還経路のインパルス応答を適応的に同定して帰還経路への入力信号から帰還経路の擬似エコー成分を推定する適応フィルタと、適応フィルタで推定された擬似エコー成分を帰還経路からの出力信号より減算する減算器とを具備し、第1及び第2のエコーキャンセラがそれぞれ具備する2つの適応フィルタは、ディジタルのFIRフィルタにより構成され、擬似エコー成分の減算で消去されなかった消去誤差を最小とするように動作するアルゴリズムによってフィルタ係数を逐次修正してなり、当該2つの適応フィルタにおけるアルゴリズムが互いに異なることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項1の発明において、スピーカは、平板形の振動体を振動させる構造を有した平面波スピーカからなることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項1の発明において、マイクロホンは、指向性を有するマイクロホンであることを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項1の発明において、前面側にマイクロホン並びにスピーカが配置されたハウジングを備え、ハウジング前面においてマイクロホンに対して鉛直上方にスピーカが配設されたことを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項13の発明において、通話の開始を指示するための通話釦を含む複数種類の操作釦が、ハウジング前面におけるスピーカとマイクロホンとの間に配設されたことを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項13の発明において、マイクロホンは、水平方向に並設される複数の指向性マイクロホンであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、近端側周囲騒音レベル推定手段では、近端側音声区間検出部が音声区間を検出していないときに近端側周囲騒音レベルの推定値を更新するとともに近端側音声区間検出部が音声区間を検出しているときは近端側周囲騒音レベルの推定値を更新しないので、周囲騒音レベルに応じて音量補正手段における補正量が音量補正量調整手段によって適切な値に調整され、周囲騒音の大きさに応じた適切な音量で拡声通話が行え、また、遠端側音声区間検出手段が音声区間を検出しているときにだけ、音量補正量調整手段が近端側周囲騒音レベル推定手段で推定した周囲騒音レベルに応じて音量補正手段における補正量を調整するので、非音声区間では音量補正を行わないことによりスピーカからマイクロホンへの回り込みに起因したハウリングの発生を抑制することができる。さらに、第1のエコーキャンセラがマイクロホンとスピーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去するので、スピーカからマイクロホンへの回り込みに起因したハウリングの発生をさらに抑制することができ、しかも、適応フィルタが係数を更新している間は補正量の調整を行わないので、適応フィルタの収束が劣化するのを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、第2のエコーキャンセラによって遠端側の音響結合や回線結合による回線エコーを消去するので、音響エコー経路並びに回線エコー経路を介した閉ループが形成され難くなり、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
請求項3の発明によれば、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させるので、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
請求項4の発明によれば、音量補正量調整手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させるので、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
請求項5の発明によれば、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値と回線側帰還利得の推定値の総和が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させるので、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
請求項6の発明によれば、音量補正量調整手段は、総損失量算出部で算出する損失量の総和が所定のしきい値以下であれば補正量の調整を行わないので、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
請求項7の発明によれば、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量の調整を行わないので、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
請求項8の発明によれば、音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値と回線側帰還利得の推定値の総和が所定のしきい値以上であるときは補正量の調整を行わないので、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
請求項9の発明によれば、従来のLMS法や学習同定法に比較して、高反響空間におけるフィルタ係数の収束時間を短縮することができる。
請求項10の発明によれば、2つのエコーキャンセラの適応フィルタで共通のアルゴリズムを用いる場合に比較して適応フィルタの演算量が削減できる。
請求項11の発明によれば、スピーカの鳴動する音声がマイクロホンで集音され難くなり、スピーカとマイクロホンの音響結合によるハウリングの発生を抑制することができて通話品質が向上する。
請求項12の発明によれば、スピーカの鳴動する音声がマイクロホンで集音され難くなり、スピーカとマイクロホンの音響結合によるハウリングの発生を抑制することができて通話品質が向上する。
請求項13の発明によれば、話者の耳とスピーカとの位置関係、並びに話者の口とマイクロホンとの位置関係が各々最適化され、スピーカとマイクロホンの音響結合によるハウリングの発生が抑制できるとともに話者の耳に最適な音量で通話音声を伝えることができる。
請求項14の発明によれば、ハウジング前面にデッドスペースが生じない。
請求項15の発明によれば、話者の耳に届く周囲騒音と同等の騒音を集音して音量を最適な値に補正することができる。
以下、集合住宅の共用玄関(ロビー)に設置され、集合住宅の各住戸に設置されている住戸機(インターホン親機や住宅情報盤など)との間で双方向の拡声通話(ハンズフリー通話)を行うロビーインターホンに本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。但し、本発明が適用可能な拡声通話装置はロビーインターホンに限定されるものではなく、例えば、各住戸に設置される住戸機に本発明の技術思想を適用することも可能である。
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1のブロック図を示す。本実施形態は、マイクロホン1並びにスピーカ2と、マイクロホン1とスピーカ2の音響結合によって生じる音響エコーを消去する第1のエコーキャンセラEC1と、マイクロホン1から出力される送話信号に含まれる近端側の周囲騒音レベルを推定する近端側周囲騒音レベル推定手段3と、スピーカ2へ入力する受話信号レベルを増減することでスピーカ2が鳴動する音声の音量を補正する音量補正手段4と、音量補正手段4で補正される前の受話信号が音声成分を含んでいる音声区間を検出する遠端側音声区間検出手段5と、遠端側音声区間検出手段5が音声区間を検出しているときに近端側周囲騒音レベル推定手段3で推定した周囲騒音レベルに応じて音量補正手段4における補正量を調整する音量補正量調整手段6とを備える。なお、本実施形態においては近端側周囲騒音レベル推定手段3、音量補正手段4、遠端側音声区間検出手段5、音量補正量調整手段6の各手段と、第1のエコーキャンセラEC1とをDSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)やCPUなどのハードウェアを専用のソフトウェアで制御することによって実現している。したがって、相手の通話装置から伝送されてくる音声信号(受話信号)やマイクロホン1から出力される音声信号(送話信号)は図示しないA/D変換器によってディジタル値に量子化され、スピーカ2に入力する音声信号(受話信号)並びに相手の通話装置に伝送される音声信号(送話信号)は図示しないD/A変換器によってアナログ値に変換される。
第1のエコーキャンセラEC1は適応フィルタ7と減算器8からなる従来周知の構成を有し、スピーカ2−マイクロホン1間の音響結合により形成される帰還経路(音響エコー経路)HACのインパルス応答を適応フィルタ7により適応的に同定し、参照信号(スピーカ2への入力信号)y(n)から推定した擬似エコー成分(音響エコー)g(n)を減算器8によりマイクロホン1の出力信号s(n)から減算することで音響エコーを抑制するものである(e(n)=s(n)−g(n))。さらに本実施形態においては、近端側と遠端側とで話者がほぼ同時に話す状態、すなわちダブルトークを検出するダブルトーク検出部9を第1のエコーキャンセラEC1に備えている。このダブルトーク検出部9は、適応フィルタ7の収束を劣化させるレベルの信号が近端側の信号(送話信号)s(n)に含まれている場合にダブルトークを検出してダブルトーク検出フラグ(DTF)を立てる(DTF=1)ものである。適応フィルタ7は、ダブルトーク検出部9によりダブルトークが検出されない状態(DTF=0)でのみ、所定のアルゴリズム(例えば、LMS法等)に基づいて係数を更新するとともに、その他の状態では係数を更新せずにそれ以前の値に固定する。このようにダブルトーク検出部9がダブルトークを検出していないときにだけ適応フィルタ7が係数更新を行うことにより、適応フィルタ7の収束が劣化することを防ぐことができる。
近端側周囲騒音レベル推定手段3は、図2に示すように入力信号(送話信号)の瞬時パワーの短時間平均値Psを算出する短時間平均値算出部30と、瞬時パワーの長時間平均値Pnを算出する長時間平均値算出部31と、短時間平均値Psと長時間平均値Pnを比較することで送話信号が音声成分を含んでいる音声区間を検出する近端側音声区間検出部32と、送話信号に含まれる近端側周囲騒音レベルの推定値Pn’を算出する周囲騒音レベル算出部33とを有する。
短時間平均値算出部30は、入力信号の瞬時値(絶対値)Pv(n)に正の定数ρ1(<1)を乗算した値と、遅延させた短時間平均値Ps(n−1)に正の定数(1−ρ1)を乗算した値とを加算する処理、すなわち、下記の式(1)の演算処理を行うことで短時間平均値Ps(n)を算出している。
Ps(n)=(1-ρ1)×Ps(n−1)+ρ1×Pv(n)…(1)
また長時間平均値算出部31は、入力信号の瞬時値Pv(n)に正の定数ρ2(0<ρ2<ρ1<1)を乗算した値と、遅延させた長時間平均値Pn(n−1)に正の定数(1−ρ2)を乗算した値とを加算する処理、すなわち、下記の式(2)の演算処理を行うことで長時間平均値Pn(n)を算出している。
Pn(n)=(1-ρ2)×Pn(n−1)+ρ2×Pv(n)…(2)
近端側音声区間検出部32は、短時間平均値Ps(n)と長時間平均値Pn(n)との比(=Ps(n)/Pn(n))を所定の閾値δと比較し、δ<Ps(n)/Pn(n)ならば音声区間、Ps(n)/Pn(n)≦δならば非音声区間と判定し、音声区間と判定した場合に近端側音声区間検出フラグSDF1を1とし、非音声区間と判定した場合に近端側音声区間検出フラグSDF1を0とする。
周囲騒音レベル算出部33は、近端側音声区間検出フラグSDF1が0のとき、つまり、送話信号の非音声区間が検出されているときに入力信号の瞬時値Pv(n)に正の定数ρ3(ρ3<1、但し、ρ3はρ2と異なる値でも同じ値でも構わない)を乗算した値と、遅延させた周囲騒音レベルPn’(n−1)に正の定数(1−ρ3)を乗算した値とを加算する処理、すなわち、下記の式(3)の演算処理を行うことで周囲騒音レベルPn’(n)を算出している。但し、近端側音声区間検出フラグSDF1が1のとき、つまり、送話信号の音声区間が検出されているときには下記の式(3)の処理は行わずに周囲騒音レベルPn’(n)を更新しない(下記式(4)参照)。
Pn’(n)=(1-ρ3)×Pn’(n−1)+ρ3×Pv(n)…(3)
Pn’(n)=Pn’(n−1)…(4)
遠端側音声区間検出手段5は、近端側周囲騒音レベル推定手段3と同様に、受話信号の短時間平均値並びに長時間平均値を求めるとともに両平均値の比が所定の閾値よりも大きければ音声区間と判定して遠端側音声区間検出フラグSDF2を1とし、非音声区間と判定した場合に遠端側音声区間検出フラグSDF2を0とする。
音量補正手段4は、音量補正量調整手段6から指示された音量補正量(増幅度)で受話信号を増幅してスピーカ2に出力する。音量補正量調整手段6は、近端側周囲騒音レベル推定手段3から入力する周囲騒音レベル(推定値)Pn’(n)を第1〜第4の基準値XL1〜XL4(XL4<XL1<XL3<XL2)と比較することで音量補正量を決定する。例えば、音量補正量調整手段6では、周囲騒音レベルPn’(n)が第1の基準値XL1よりも小さいときは音量補正量をゼロ(増幅度=0dB)に設定し、周囲騒音レベルPn’(n)が上昇して第1の基準値XL1を超えたら音量補正量を4dB(増幅度=4dB)に設定し、さらに周囲騒音レベルPn’(n)が上昇して第2の基準値XL2を超えたら音量補正量を8dB(増幅度=8dB)に設定し、反対に周囲騒音レベルPn’(n)が下降して第3の基準値XL3以下となれば音量補正量を4dBに設定し、さらに周囲騒音レベルPn’(n)が第4の基準値XL4以下まで下降すれば音量補正量を0dBに設定する。また音量補正量調整手段6は、遠端側音声区間検出手段5から入力する遠端側音声区間検出フラグSDF2が1(音声区間)のときにのみ、その時点で設定している音量補正量(0dB又は4dB又は8dB)を音量補正手段4に指示して音量補正を行わせる。
而して、近端側周囲騒音レベル推定手段3では、近端側音声区間検出部32が音声区間を検出していないときに近端側周囲騒音レベルの推定値Pn’(n)を更新するとともに近端側音声区間検出部32が音声区間を検出しているときは近端側周囲騒音レベルの推定値Pn’(n)を更新しないので、周囲騒音レベルに応じて音量補正手段4における補正量が音量補正量調整手段6によって適切な値に調整され、周囲騒音の大きさに応じた適切な音量で拡声通話が行え、また、遠端側音声区間検出手段5が音声区間を検出しているときにだけ、音量補正量調整手段6が近端側周囲騒音レベル推定手段3で推定した周囲騒音レベルに応じて音量補正手段4における補正量を調整するので、非音声区間では音量補正を行わないことによりスピーカ2からマイクロホン1への回り込みに起因したハウリングの発生を抑制することができる。但し、第1のエコーキャンセラEC1の適応フィルタ7が係数を更新しているときに音量補正手段4によって音量が補正されると適応フィルタ7の収束が劣化してしまう虞がある。そこで本実施形態では、適応フィルタ7が係数更新を行っていないとき、すなわち、ダブルトーク検出部9がダブルトークを検出していないとき(ダブルトーク検出フラグDTF=0のとき)にのみ音量補正手段4が音量を補正し、上述のように適応フィルタ7の収束が劣化するのを防いでいる。
ところで、ディジタルのFIRフィルタにより構成される適応フィルタ7では、疑似エコー成分g(n)の減算で消去されなかった消去誤差e(n)を最小とするように動作するアルゴリズムによってフィルタ係数を逐次修正しており、例えば、消去誤差e(n)の自乗平均値を最小化するアルゴリズム(例えば、LMS(Least-Mean-Square)法)が用いられる。このLMS法では、フィルタ係数の修正の大きさを調整する修正幅(ステップゲイン)がスカラ量として与えられており、高反響空間においては音声信号のような有色信号に対する収束時間が相当長くなってしまう。
そこで、ディジタルのFIRフィルタで構成された適応フィルタ7が消去誤差e(n)を最小とするようにフィルタ係数を逐次修正するためのアルゴリズムとして、従来周知の射影法を用いることが望ましい。射影法は、アルゴリズム内部において入力信号の自己相関を取り除くことにより、音声信号のような有色信号に対する収束速度を改善したものである。2次の射影法により適応フィルタ7のフィルタ係数(タップ係数ともいう)h(n)が下記の式(5)に従って逐次修正される。
h(n+1)=h(n)+μ[δ(n)x(n)+ε(n)x(n-1)] (5)
但し、
h(n)=(h1(n),h2(n),…,hL(n))T
T:ベクトルの転置
n:サンプリング時間
L:タップ長(タップ数)
μ:ステップゲイン(スカラ量)
x(n)=(x(n),x(n-1),…,x(n-L+1))T:入力信号(受話信号)ベクトル
δ(n),ε(n)は下記の連立方程式(6),(7)から求められる定数である。
δ(n)x(n)Tx(n)+ε(n)x(n-1)Tx(n)=e(n) (6)
δ(n)x(n-1)Tx(n)+ε(n)x(n-1)Tx(n-1)=(1-μ)e(n-1) (7)
但し、e(n)は真のエコー成分と擬似エコー成分との差(消去誤差)である。
そして本実施形態では、スカラ量として与えられているステップゲインμをステップゲイン行列Mという対角行列に拡張する、いわゆるES法を上記射影法に組み合わせることにより、適応フィルタ7のフィルタ係数h(n)を下記の式(8)に従って逐次修正する。
h(n+1)=h(n)+M[δ(n)x(n)+ε(n)x(n-1)] (8)
但し、
M=diag[μ1,μ2,…,μL
μi=μ0λi-1(i=1,2,…,L)
λ:インパルス応答変動量の減衰率(0<λ≦1)
ここで、FIRフィルタにインパルスを入力したときの出力(インパルス応答)がフィルタ係数そのものとなるから、フィルタ係数の修正の大きさは、設置空間(例えば、集合住宅の共用玄関)におけるインパルス応答の変動量と一致することになる。一般に、反響の程度に関わらず屋内におけるインパルス応答は指数関数的に減衰し、インパルス応答の変動量もインパルス応答と同じ減衰率で減衰することが知られている。従って、ES法においては、変動が大きいインパルス応答初期のフィルタ係数は大きなステップゲインで修正し、変動が小さくなったインパルス応答の後期のフィルタ係数は小さなステップゲインで修正するように重み付けする。具体的には、ステップゲイン行列Mの対角要素μi(i=1,2,…,L)を引数iの増加に伴って最大値μ0からインパルス応答の減衰特性と同じ傾きで減衰させることにより、結果的に収束時間を短縮することができる。
而して、適応フィルタ7では、サンプリング周期毎に取り込んだ入力信号(受話信号)を受話信号ベクトルx(n)とし、x(n)Tx(n),x(n-1)Tx(n),x(n-1)Tx(n),x(n-1)Tx(n-1)を演算するとともに、メモリに記憶した消去誤差e(n)並びにステップゲイン行列Mの対角要素μiを読み出し、式(6)、(7)の連立方程式を解くことで定数δ(n),ε(n)を求め、さらに求めた定数δ(n),ε(n)とメモリから読み出したステップゲイン行列Mを用いて式(8)の右辺第2項を演算し、これをメモリから読み出したフィルタ係数h(n)に加算して次のフィルタ係数h(n+1)を演算することによりフィルタ係数h(n+1)を逐次修正し、フィルタ係数h(n+1)を真のインパルス応答に近付けていく処理を行っている。
上述のように本実施形態によれば、第1のエコーキャンセラEC1の適応フィルタ7において射影法とES法を組み合わせたES射影法のアルゴリズムによりフィルタ係数を適応的に同定させているので、従来のLMS法や学習同定法に比較して、高反響空間におけるフィルタ係数の収束時間を短縮することができる。
(実施形態2)
図3に本発明の実施形態2のブロック図を示す。本実施形態は、遠端側における信号の回り込みによって生じる回線エコーを消去する第2のエコーキャンセラEC2を備えた点に特徴があり、その他の構成並びに動作については実施形態1と共通である。したがって、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
第2のエコーキャンセラEC2は、第1のエコーキャンセラEC1と同様に適応フィルタ10と減算器11からなる従来周知の構成を有し、2線−4線変換回路Hと伝送路(本実施形態のロビーインターホンと住戸機との間で送話信号並びに受話信号を伝送するための線路)との間のインピーダンスの不整合による反射および相手の通話端末(例えば、インターホンシステムの住戸機など)におけるスピーカ−マイクロホン間の音響結合とにより形成される帰還経路(回線エコー経路)HLINのインパルス応答を適応フィルタ10により適応的に同定し、参照信号(送話信号)から推定した擬似エコー成分(回線エコー)を減算器11により受話信号から減算することで回線エコーを抑制するものである。但し、第2のエコーキャンセラEC2の適応フィルタ10で行うアルゴリズムは、必ずしも第1のエコーキャンセラEC1と共通である必要はなく、特にLMS法に比べて演算量の多いES射影法を共通に用いることはDSPやCPUの演算量が増大してしまうので、第1のエコーキャンセラEC1では適応フィルタ7のアルゴリズムにES射影法を用い、第2のエコーキャンセラEC2では適応フィルタ10のアルゴリズムに他のもの、例えば、LMS法や学習同定法などを用いてトータルの演算量を抑制することが望ましい。
而して、第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2を備えたことにより、音響エコー経路HAC並びに回線エコー経路HLINを介した閉ループが形成され難くなり、ハウリングの発生を防止して通話品質が向上する。
(実施形態3)
図4に本発明の実施形態3のブロック図を示す。本実施形態は、マイクロホン1から出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカ2に入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチVSを備えた点に特徴があり、その他の構成並びに動作については実施形態1及び2と共通である。したがって、実施形態1又は2と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
音声スイッチVSは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入部13と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入部14と、送話側及び受話側の各損失挿入部13,14から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御部15とを備える。また挿入損失量制御部15は、受話側損失挿入部14の出力点から音響エコー経路HACを介して送話側損失挿入部13の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得αを推定するとともに、送話側損失挿入部13の出力点から回線エコー経路HLINを介して受話側損失挿入部14の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得βを推定し、音響側及び回線側の各帰還利得α、βの推定値α’、β’に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部16と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部16の算出値に応じて送話側損失挿入部13及び受話側挿入損失部14の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部17とを具備する。なお、この音声スイッチVSは、第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2と同様にDSPやCPUなどのハードウェアを専用のソフトウェアで制御することによって実現している。
総損失量算出部16では、整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて送話側損失挿入部13の入力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて受話側損失挿入部14の出力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、音響エコー経路HACにて想定される最大遅延時間において受話側損失挿入部14の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で送話側損失挿入部13の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を音響側帰還利得αの推定値α’とするとともに、整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて受話側損失挿入部14の入力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて送話側損失挿入部13の出力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、回線エコー経路HLINにて想定される最大遅延時間において送話側損失挿入部13の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で受話側損失挿入部14の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を回線側帰還利得βの推定値β’とする。そして、総損失量算出部16は音響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの各推定値α’,β’から所望の利得余裕MGを得るために必要な総損失量Ltを算出し、その値Ltを挿入損失量分配処理部17に出力する。
挿入損失量分配処理部17では、送話側損失挿入部13の入出力信号及び受話側損失挿入部14の入出力信号を監視し、これらの信号のパワーレベルの大小関係並びに音声信号の有無などの情報から通話状態(受話状態、送話状態等)を判定するとともに、判定された通話状態に応じた割合で総損失量Ltを送話側損失挿入部13と受話側損失挿入部14に分配するように各損失挿入部13,14の挿入損失量を調整する。
ところで本実施形態における総損失量算出部16は、上述のように各帰還利得α,βの推定値α’,β’に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、相手側の通話端末との通話開始から第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2が充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2が充分に収束した後の期間には更新モードで動作する。すなわち、総損失量算出部16では音響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの推定値α’,β’がともに通話開始から所定時間(数百ミリ秒)以上継続して所定の閾値ε(例えば、通話開始時における各推定値α’,β’に対して10dB〜15dB小さい値)を下回った時点で第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2が充分に収束したものとみなし、上記時点以前には総損失量を初期値に固定する固定モードで動作し、上記時点以降には各推定値α’,β’に基づいて総損失量を適応更新する更新モードに動作モードを切り換える。なお、固定モードにおける総損失量の初期値は更新モードにおいて随時更新される総損失量よりも充分に大きな値に設定される。
而して、通話開始直後の第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2が充分に収束していない状態においては、固定モードで動作する総損失量算出部16によって充分に大きな値に設定される初期値の総損失量が閉ループに挿入されるため、不快なエコー(音響エコー並びに回線エコー)やハウリングの発生を抑制して安定した半二重通話を実現することができる。また、通話開始から時間が経過して第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2が充分に収束した状態においては、総損失量算出部16の動作モードが固定モードから更新モードに切り換わって閉ループに挿入する総損失量が初期値よりも充分に低い値に減少するため、双方向の同時通話が実現できるものである。
ここで、更新モードにおける総損失量算出部16の具体的な動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
総損失量算出部16は、固定モードから更新モードに移行した時点(t=t1)から所定のサンプリング周期で音響側帰還利得α並びに回線側帰還利得βの推定処理を実行してその推定値α'(n),β'(n)を算出し(ステップ1)、これら2つの推定値α'(n),β'(n)の積と利得余裕MGとから、閉ループの利得余裕をMG[dB]に保つために必要とされる総損失量所望値Lr(n)を下式により算出する(ステップ2)。
Lr(n)=20log|α'(n)・β'(n)|+MG[dB]
なお、α'(n),β'(n),Lr(n)はそれぞれ更新モード移行時点からn回目のサンプリングによって算出された帰還利得の推定値並びに総損失量所望値を示す。さらに、総損失量算出部16は上式から算出したn回目の総損失量所望値Lr(n)と、前回(n−1回目)の総損失量Lt(n-1)、すなわち前回の処理で決定されて実際に挿入された総損失量に対して今回算出した総損失量所望値Lr(n)が大きい場合、前回の総損失量Lt(n-1)に微少な増加量Δi[dB]を加算した値を今回の総損失量Lt(n)=Lt(n-1)+Δiとし(ステップ3、ステップ4)、前回の総損失量Lt(n-1)に対して今回算出した総損失量所望値Lr(n)が小さい場合、前回の総損失量Lt(n-1)から微少な減少量Δd[dB]を減算した値を今回の総損失量Lt(n)=Lt(n-1)−Δdとする(ステップ5、ステップ6)。
このように総損失量算出部16による総損失量の増減をΔi又はΔdの微少な値に抑えることにより、相手側の通話端末との通話開始直後のように第1及び第2のエコーキャンセラEC1,EC2が収束に向かって活発に係数を更新しているために音響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの変化が激しい状態においても、聴感上の違和感をなくすことができる。しかも、本実施形態では、第1のエコーキャンセラEC1が収束するまでは音声スイッチVSを固定モードで動作させることで不快なエコーやハウリングの発生を抑制した半二重通話を実現し、第1のエコーキャンセラEC1が収束したら音声スイッチVSを更新モードで動作させることで双方向の同時通話を実現しており、第1のエコーキャンセラEC1の収束時間を短縮することで音声スイッチVSが固定モードで動作する期間、すなわち、半二重通話となる期間を短縮して早期に双方向の同時通話に移行させることができる。その結果、高反響空間においても快適な拡声通話が行えるものである。
ところで、音響側帰還利得αや回線側帰還利得βが相対的に大きい状況下で音量を増大させるとハウリングが発生し易くなることは自明である。したがって、音響側帰還利得αの推定値α’又は回線側帰還利得βの推定値β’の少なくとも何れか一方が所定のしきい値以上である場合、音量補正量調整手段6が音量補正量を減少させることでハウリングの発生を防止することが望ましい。例えば、音量補正量調整手段6は、音響側帰還利得αの推定値α’又は回線側帰還利得βの推定値β’の何れか一方がしきい値Gx1以上であれば音量補正量を2dBだけ減少させ、推定値α’、β’の何れか一方がしきい値Gx1よりも大きい別のしきい値Gx2(>Gx1)以上ならば音量補正量を0dBとして音量補正を行わない。あるいは、音量補正量調整手段6は、音響側及び回線側の各帰還利得α、βの推定値α’、β’の総和が所定のしきい値Gy1(>Gx1)以上であれば音量補正量を4dBだけ減少させ、上記総和がしきい値Gy1よりも大きい別のしきい値Gy2(>Gy1)以上ならば音量補正量を0dBとして音量補正を行わない。
また、音声スイッチVSにおいて送話信号及び受話信号の各信号経路に挿入する損失量の総和が相対的に小さい状況下では、音量補正を行わなくてもスピーカ2から鳴動される音声が十分な音量で聞こえていると考えられ、むしろ音量を必要以上に増大させることでハウリングが発生し易くなってしまう。そこで、総損失量算出部16で算出する損失量の総和が所定のしきい値以下である場合、音量補正量調整手段6が音量補正量を0dBとして音量補正を行わないようにすれば、音量を必要以上に増大させることによるハウリングの発生を防ぐことができる。
(実施形態4)
図6は本実施形態のロビーインターホンAの外観構造を示している。矩形箱状のハウジング70の内部にマイクロホン1やスピーカ2、並びに実施形態1〜3で説明した各手段が収納され、マンションなどの集合住宅の共用玄関(ロビー)の壁面等にハウジング70が取り付けられる。
ここで、ハウジング70の前面中央には、通話の開始を指示するための通話釦や通話相手の住戸機(住戸番号)を選択するためのテンキー釦などの複数の操作釦71が配設されており、これら複数の操作釦71を挟んで鉛直上方にスピーカ2が配置されるとともに鉛直下方にマイクロホン1が配置されている。マイクロホン1並びにスピーカ2をこのように配置すれば、ロビーインターホンAで通話する話者の耳とスピーカ2との位置関係、並びに話者の口とマイクロホン1との位置関係が各々最適化され、スピーカ2とマイクロホン1の音響結合によるハウリングの発生が抑制できるとともに話者の耳に最適な音量で通話音声を伝えることができる。しかも、複数の操作釦71をスピーカ2とマイクロホン1との間のハウジング70前面中央に配設しているため、ハウジング70前面にデッドスペースが生じない。
ところで、一般的なスピーカはコーン形の振動板を振動させて音を鳴動する構造であって鳴動された音(音波)がスピーカ2の前方に向かって広がる性質を有しており、しかも、マイクロホンとして、通常、無指向性のマイクロホンが使用されるので、スピーカ2で鳴動された音がマイクロホン1で集音され易く、マイクロホン1とスピーカ2の音響結合の度合いが高くなってハウリングが生じてしまう虞がある。
そこで、スピーカ2として、平板形の振動体を振動させる構造を有した平面波スピーカを使用すれば、スピーカ2の鳴動する音声がマイクロホン1で集音され難くなり、スピーカ2とマイクロホン1の音響結合によるハウリングの発生を抑制することができて通話品質が向上できる。さらに、マイクロホン1として指向性を有するマイクロホンを使用すれば、スピーカ2の鳴動する音声がさらにマイクロホン1で集音され難くなり、スピーカ2とマイクロホン1の音響結合によるハウリングの発生をさらに抑制することができる。なお、マイクロホン1に指向性を持たせた場合、話者の耳に届く周囲騒音と同等の騒音を集音することができずに近端側周囲騒音レベルの推定精度が低下し、最適な音量に設定することが困難になる虞があるので、図7に示すように複数(図示例では3つ)の指向性を持ったマイクロホン1a,1b,1cを水平方向に並設し、これら3つのマイクロホン1a,1b,1cの出力(送話信号)を加算器80で加算する構成とすれば、話者の耳に届く周囲騒音と同等の騒音を集音して音量を最適な値に補正することができる。
本発明の実施形態1を示すブロック図である。 同上における近端側周囲騒音レベル推定手段を示すブロック図である。 本発明の実施形態2を示すブロック図である。 本発明の実施形態3を示すブロック図である。 同上における音声スイッチが具備する総損失量算出部の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施形態4を示す正面図である。 同上における複数のマイクロホンの配置構成を示す概略図である。
符号の説明
1 マイクロホン
2 スピーカ
3 近端側周囲騒音レベル推定手段
4 音量補正手段
5 遠端側音声区間検出手段
6 音量補正量調整手段
EC1 第1のエコーキャンセラ
7 適応フィルタ
8 減算器
9 ダブルトーク検出部

Claims (15)

  1. マイクロホン並びにスピーカと、マイクロホンとスピーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去する第1のエコーキャンセラと、マイクロホンから出力される送話信号に含まれる近端側の周囲騒音レベルを推定する近端側周囲騒音レベル推定手段と、スピーカへ入力する受話信号レベルを増減することでスピーカが鳴動する音声の音量を補正する音量補正手段と、音量補正手段で補正される前の前記受話信号が音声成分を含んでいる音声区間を検出する遠端側音声区間検出手段と、遠端側音声区間検出手段が音声区間を検出しているときに近端側周囲騒音レベル推定手段で推定した周囲騒音レベルに応じて音量補正手段における補正量を調整する音量補正量調整手段とを備え、
    第1のエコーキャンセラは、エコー経路の特性を適応的に同定する適応フィルタと、近端側の信号から適応フィルタの出力を減算する減算器と、ダブルトークを検出するダブルトーク検出部とを有し、ダブルトーク検出部によりダブルトークが検出されない状態でのみ適応フィルタの係数を更新するとともに、その他の状態では適応フィルタの係数を固定してなり、
    近端側周囲騒音レベル推定手段は、前記送話信号の瞬時パワーの短時間平均値を算出する短時間平均値算出部、並びに前記瞬時パワーの長時間平均値を算出する長時間平均値算出部を具備し、当該短時間平均値と長時間平均値を比較することで前記送話信号が音声成分を含んでいる音声区間を検出する近端側音声区間検出部と、前記送話信号に含まれる近端側周囲騒音レベルの推定値を算出する周囲騒音レベル算出部とを有し、近端側音声区間検出部が音声区間を検出していないときに近端側周囲騒音レベルの推定値を更新するとともに近端側音声区間検出部が音声区間を検出しているときは近端側周囲騒音レベルの推定値を更新せず、
    音量補正量調整手段は、第1のエコーキャンセラのダブルトーク検出部がダブルトークを検出している間は補正量の調整を行わないことを特徴とする拡声通話装置。
  2. 遠端側における信号の回り込みによって生じる回線エコーを消去する第2のエコーキャンセラを備えたことを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  3. マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、
    音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、
    挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、
    音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させることを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  4. マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、
    音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、
    挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、
    音量補正量調整手段は、回線側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させることを特徴とする請求項2記載の拡声通話装置。
  5. マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、
    音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、
    挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、
    音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値と回線側帰還利得の推定値の総和が所定のしきい値以上であるときは補正量を減少させることを特徴とする請求項2記載の拡声通話装置。
  6. マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、
    音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、
    挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、
    音量補正量調整手段は、総損失量算出部で算出する損失量の総和が所定のしきい値以下であれば補正量の調整を行わないことを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  7. マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、
    音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、
    挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、
    音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値が所定のしきい値以上であるときは補正量の調整を行わないことを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  8. マイクロホンから出力される送話信号を遠端側に伝送する送話状態と遠端側から伝送される受話信号をスピーカに入力する受話状態とを択一的に切り換える音声スイッチを備え、
    音声スイッチは、送話信号の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段と、受話信号の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを備え、
    挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを具備してなり、
    音量補正量調整手段は、音響側帰還利得の推定値と回線側帰還利得の推定値の総和が所定のしきい値以上であるときは補正量の調整を行わないことを特徴とする請求項2記載の拡声通話装置。
  9. 第1のエコーキャンセラの適応フィルタは、ディジタルのFIRフィルタにより構成され、擬似エコー成分の減算で消去されなかった消去誤差を最小とするように動作するアルゴリズムによってフィルタ係数を逐次修正するとともに、フィルタ係数の修正の大きさを調整するために対角行列で表されるステップゲイン行列を用いることを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  10. 第2のエコーキャンセラは、遠端側に形成される帰還経路のインパルス応答を適応的に同定して帰還経路への入力信号から帰還経路の擬似エコー成分を推定する適応フィルタと、適応フィルタで推定された擬似エコー成分を帰還経路からの出力信号より減算する減算器とを具備し、
    第1及び第2のエコーキャンセラがそれぞれ具備する2つの適応フィルタは、ディジタルのFIRフィルタにより構成され、擬似エコー成分の減算で消去されなかった消去誤差を最小とするように動作するアルゴリズムによってフィルタ係数を逐次修正してなり、当該2つの適応フィルタにおけるアルゴリズムが互いに異なることを特徴とする請求項2記載の拡声通話装置。
  11. スピーカは、平板形の振動体を振動させる構造を有した平面波スピーカからなることを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  12. マイクロホンは、指向性を有するマイクロホンであることを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  13. 前面側にマイクロホン並びにスピーカが配置されたハウジングを備え、ハウジング前面においてマイクロホンに対して鉛直上方にスピーカが配設されたことを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  14. 通話の開始を指示するための通話釦を含む複数種類の操作釦が、ハウジング前面におけるスピーカとマイクロホンとの間に配設されたことを特徴とする請求項13記載の拡声通話装置。
  15. マイクロホンは、水平方向に並設される複数の指向性マイクロホンであることを特徴とする請求項13記載の拡声通話装置。
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