JP2002359580A - 拡声通話装置 - Google Patents

拡声通話装置

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JP2002359580A JP2001175521A JP2001175521A JP2002359580A JP 2002359580 A JP2002359580 A JP 2002359580A JP 2001175521 A JP2001175521 A JP 2001175521A JP 2001175521 A JP2001175521 A JP 2001175521A JP 2002359580 A JP2002359580 A JP 2002359580A
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博昭 竹山
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  • Telephone Function (AREA)
  • Interconnected Communication Systems, Intercoms, And Interphones (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】実用上支障のない充分な通話音量を得ながら、
通話開始時並びに通話中ともに不快なエコーやハウリン
グを生じることなく、双方向の同時通話を実現する。 【解決手段】通話開始直後の第1及び第2のエコーキャ
ンセラ30A,30Bが収束していない状態において
は、固定モードで動作する総損失量算出部14によって
総損失量が充分に大きい初期値に固定されるために不快
なエコーやハウリングの発生を抑制して安定した半二重
通話が実現できる。また、充分に収束した状態において
は、更新モードで動作する総損失量算出部14によって
総損失量が随時更新されるために双方向の同時通話が実
現できる。初期値を適切な値に設定することにより、増
幅利得に対して制約が与えられず、マイクロホン1とス
ピーカ2との位置関係や距離等に応じて実用上支障のな
い充分な通話音量が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅や事務所等で
用いられる拡声通話装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、通話時にハンドセットを持つ
必要がなく、通話端末から離れた通話者に対して相手側
の通話端末から伝送されてくる音声信号をスピーカによ
って拡声出力し、かつ、上記通話者の発する音声をマイ
クロホンにより集音して相手側通話端末へ伝送すること
で拡声通話(ハンズフリー通話)を実現する拡声通話装
置が提供されている。このような拡声通話装置において
は、通話者が発した音声の一部が相手側通話端末のスピ
ーカからマイクロホンヘの音響結合や通話端末と伝送路
との間のインピーダンスの不整合によって生じる反射な
どが原因で再び受話信号と重畳して帰還することがあ
り、この帰還成分のレベルが大きい場合には、不快なエ
コー(音響エコーあるいは回線エコー)として通話者に
聴こえてしまう。また、上記音響結合や反射、および自
端末における音響結合により通話系に閉ループが形成さ
れ、閉ループの一巡利得が1倍を超える周波数成分が存
在する場合には、その周波数においてハウリングを生
じ、安定した通話を継続することが不可能となる。した
がって、通話端末としての拡声通話装置を設計する上
で、上述した不快なエコーやハウリングを如何に抑圧す
るかが重要な課題となる。
【0003】このような課題に対して、従来、通話状態
(送話状態、受話状態など)を常時推定し、推定結果に
基づき適切な配分で送話路および受話路に対して損失を
挿入する音声スイッチを用いて閉ループの一巡利得を低
減し不快なエコーやハウリングを抑圧する方式が広く用
いられてきた。しかしながら、このような方式では、遠
端側および近端側の通話者が同時に発声した場合、どち
らか一方の音声信号が音声スイッチの挿入損失により大
幅に減衰してしまい、相手側の通話者には聴こえないレ
ベルになってしまう。すなわち、原理的に双方向の同時
通話(全二重通話)が実現できない。これは、通話端末
の設置場所付近における騒音レベルが高く、相手側通話
者の発した音声のレベルが騒音レベルよりも低い場合に
は、受話音声が途切れて聴こえてしまうことも意味す
る。音声スイッチを用いた従来方式が持つこのような短
所がしばしば問題となり、最近では双方向の同時通話が
実現できる方式を採用した拡声通話装置も提供され始め
ている。
【0004】図24は拡声通話装置としてのインターホ
ン親機(以下、「親機」と略す)M’と、相手側通話端
末としてのドアホン子機Sとからなり、双方向の同時通
話を実現可能とした所謂ハンズフリーインターホンの従
来例を示すブロック図である。親機M’は、マイクロホ
ン1、スピーカ2、2線−4線変換回路3、マイクロホ
ンアンプG1、回線(2線の伝送路)への送話信号を増
幅する回線出力アンプG2、回線からの受話信号を増幅
する回線入力アンプG3、スピーカアンプG4、送話音
量調整用増幅器G5、受話音量調整用増幅器G6、並び
に第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30Bで構
成される。また、ドアホン子器Sはマイクロホン1′、
スピーカ2′、2線−4線変換回路3′、マイクロホン
アンプG1′並びにスピーカアンプG4′で構成され
る。
【0005】第1のエコーキャンセラ30Aは適応フィ
ルタ31Aと減算器32Aからなる従来周知の構成を有
し、スピーカ2−マイクロホン1間の音響結合により形
成される帰還経路(音響エコー経路)HACのインパルス
応答を適応フィルタ31Aにより適応的に同定し、参照
信号(スピーカアンプG4への入力信号)から推定した
エコー成分(音響エコー)を減算器32Aによりマイク
ロホンアンプG1の出力信号(図24における点Aの信
号)から減算することでエコー成分を相殺して消去する
ものである。また、第2のエコーキャンセラ30Bも適
応フィルタ31Bと減算器32Bからなる従来周知の構
成を有し、2線一4線変換回路3と伝送路との間のイン
ピーダンスの不整合による反射およびドアホン子機Sに
おけるスピーカ2’−マイクロホン1’間の音響結合と
により形成される帰還経路(回線エコー経路)HLIN
インパルス応答を適応フィルタ31Bにより適応的に同
定し、参照信号(回線出力アンプG2への入力信号、す
なわち送話信号)から推定したエコー成分(回線エコ
ー)を減算器32Bにより受話信号(図24における点
Cの信号)から減算することでエコー成分を相殺して消
去するものである。
【0006】而して、第1及び第2のエコーキャンセラ
30A,30Bにより帰還経路HACおよびHLINのエコ
ー成分を相殺して閉ループを断ち切るため、不快なエコ
ーおよびハウリングを抑制することができる。また、上
記従来例によれば、マイクロホンアンプG1の出力信号
に含まれるエコー以外の成分、すなわち、親機M’に対
して通話者が発声した音声信号および親機M’の周囲の
騒音については全く損失を与えずにドアホン子機S側へ
伝送することができ、同様に受話信号に含まれるエコー
以外の成分、すなわち、ドアホン子機Sに対して通話者
が発声した音声信号およびドアホン子機Sの周囲の騒音
については全く損失を与えずに親機M’側へ伝送するこ
とができる。したがって、双方向の同時通話を実現する
ことができる。なお、図24に示す従来構成において、
さらに低損失の音声スイッチを2つのエコーキャンセラ
30A,30Bの間の送受話路に設けた構成も従来より
提案されているが、動作原理は基本的には同様であるか
ら詳しい説明は省略する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、第1及び第
2のエコーキャンセラ30A,30Bの適応フィルタ3
1A,31Bが帰還経路HAC,HLINのインパルス応答
を同定するのに通常数秒の学習時間を要する。言い換え
れば、通話開始直後から数秒間は、第1及び第2のエコ
ーキャンセラ30A,30Bによって帰還経路HAC,H
LINを断ち切ることができず、通話系に閉ループが形成
された状態にある。このような状態においては、通話者
が発声した音声がエコーとして通話者自身に聴こえてし
まい、不快感を与える。また、増幅器の利得が大きけれ
ばハウリングを生じてしまう。
【0008】したがって、通話開始直後のエコーキャン
セラ30A,30Bが収束していない状態(インパルス
応答を同定するための学習状態)においてもハウリング
を生じないためには、閉ループの一巡利得が1倍を超え
ないように各増幅器の利得を設計する必要がある。これ
は、明らかに通話音量に対して制約を与えることとな
り、スピーカ2とマイクロホン1との距離が近くて音響
結合利得が大きいハウジングを有する親機M’において
は、実用上支障のない充分な通話音量が得られなくなっ
てしまうことがある。また、図24に示した従来構成に
おいて低損失の音声スイッチを2つのエコーキャンセラ
30A,30Bの間の送受話路に設けた場合も同様に、
通話音量に関して制約を生じることとなる。
【0009】以上のことは第1及び第2のエコーキャン
セラ30A,30Bの適応フィルタ31A,31Bの係
数が通話開始時に全て0にリセットされていることを前
提としている。一方、予め適応フィルタ31A,31B
に係数の初期値を与えておく方式も考えられるが、適応
フィルタ31A,31Bにより同定すべき帰還経路
AC,HLINの特性がハウジングの設置環境によって異
なるものであるため、予め設定した初期値では帰還経路
AC,HLINの相殺効果が全く得られないこともあり得
る。したがって、そのような方式においても通話音量に
対して制約が生じてしまうことは避けられない。
【0010】本発明は上記問題に鑑みて為されたもので
あり、その目的とするところは、実用上支障のない充分
な通話音量を得ながら、通話開始時並びに通話中ともに
不快なエコーやハウリングを生じることなく、通話開始
後、エコーキャンセラのフィルタ係数が所定の範囲値内
に収束するのに要する時間を経過した後には、双方向の
同時通話が実現可能な拡声通話装置を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
目的を達成するために、集音した音声を送話信号として
出力するマイクロホンと、マイクロホンからの送話信号
を増幅する送話側増幅手段と、相手側の通話端末からの
受話信号に応じて鳴動するスピーカと、スピーカへ出力
される受話信号を増幅する受話側増幅手段と、相手側の
通話端末との間で送話信号並びに受話信号の送信処理、
受信処理を行う伝送処理手段と、ハウリングやエコーを
抑制して拡声通話を可能とする通話処理手段とを備えた
拡声通話装置において、通話処理手段は、マイクロホン
とスピーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去
する第1のエコーキャンセラと、相手側の通話端末にお
ける音響結合又は伝送処理手段における信号の回り込み
によって生じる回線エコーを消去する第2のエコーキャ
ンセラと、第1及び第2のエコーキャンセラに挟まれた
送話信号並びに受話信号の信号経路上に設けられる通話
音量調整用増幅手段と、第1及び第2のエコーキャンセ
ラの間に設けられ、音響エコー経路並びに回線エコー経
路により形成される閉ループの一巡利得を低減してハウ
リングを抑制する音声スイッチとを有し、音声スイッチ
は、送話側の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入
手段と、受話側の信号経路に損失を挿入する受話側損失
挿入手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿
入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを具備
し、挿入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力
点から音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入
力点へ帰還する経路の音響側帰還利得を推定するととも
に、送話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を
介して受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回
線側帰還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得
の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和
を算出する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を
監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算
出部の算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿
入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量
分配処理部とからなり、総損失量算出部は、各帰還利得
の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和
を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を
所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モード
を有し、相手側通話端末との通話開始から第1及び第2
のエコーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固
定モードで動作するとともに第1及び第2のエコーキャ
ンセラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作
することを特徴とし、通話開始直後の第1及び第2のエ
コーキャンセラが収束していない状態においては、固定
モードで動作する総損失量算出部によって総損失量が充
分に大きい初期値に固定されるために不快なエコーやハ
ウリングの発生を抑制して安定した半二重通話が実現で
き、第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束した
状態においては、更新モードで動作する総損失量算出部
によって総損失量が随時更新されるために双方向の同時
通話が実現できる。また、総損失量の初期値を適切な値
に設定することにより、通話音量調整用増幅手段を含む
増幅利得に対して制約が与えられないため、マイクロホ
ンとスピーカとの位置関係や距離等の諸条件に応じて実
用上支障のない充分な通話音量が得られるように増幅利
得を設計することができる。
【0012】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、不揮発性の記憶装置からなり総損失量の初期値を記
憶する初期値記憶手段と、相手側通話端末との通話開始
前に初期値記憶手段に記憶した総損失量の初期値を総損
失量算出部へ設定する初期値設定手段とを備えたことを
特徴とし、相手側通話端末との通話系に応じて初期値記
憶手段に記憶する初期値を変更するだけで請求項1の発
明と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0013】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明
において、第1及び第2のエコーキャンセラは、エコー
経路の特性を適応的に同定する適応フィルタと、近端側
の信号から適応フィルタの出力を減算する減算器と、遠
端側の信号の瞬時パワーを推定する遠端信号パワー推定
部と、ダブルトークを検出するダブルトーク検出部とを
有し、遠端信号パワー推定部の推定値が遠端側の信号に
音声成分が含まれると見なせる所定の閾値を超え、且つ
ダブルトーク検出部によりダブルトークが検出されない
状態でのみ適応フィルタの係数を更新するとともに、そ
の他の状態では適応フィルタの係数を固定し、通話開始
後に適応フィルタの係数更新を行った累積時間をカウン
トする係数更新累積時間カウンタを設けてなり、総損失
量算出部は、係数更新累積時間カウンタのカウント値が
所定の閾値を超えても音響側帰還利得及び回線側帰還利
得の各推定値の少なくとも何れか一方が所定の閾値以下
とならない場合には更新モードに移行せずに固定モード
の動作を継続することを特徴とし、適応フィルタのイン
パルス応答長よりも残響時間が長くなるような環境に設
置される場合等において、総損失量算出部が固定モード
の動作を継続することで不快なエコーやハウリングを抑
制することができ、安定した半二重通話が維持できる。
【0014】請求項4の発明は、請求項1又は2又は3
の発明において、通話処理手段は、送話信号が単一周波
数のトーン信号か否かを検出する送話信号シングルトー
ン検出器と、受話信号が単一周波数のトーン信号か否か
を検出する受話信号シングルトーン検出器と、これら2
つのシングルトーン検出器の検出結果に基づいてハウリ
ングの有無を検出するハウリング検出部とを備え、ハウ
リング検出部にてハウリングを検出すると第1及び第2
のエコーキャンセラが具備する適応フィルタの係数を初
期化するとともに音声スイッチの総損失量算出部の動作
モードを固定モードとすることを特徴とし、通話中にハ
ウリングが生じても総損失量算出部の動作モードを固定
モードとすることで直ちにハウリングを抑制し、安定し
た通話を再開することができる。
【0015】請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか
の発明において、更新モードで動作する総損失量算出部
は、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値と利得余裕
値とから総損失量所望値を求め、総損失量所望値が更新
前の総損失量よりも大きければ総損失量を所定の増加量
だけ増加した値に更新し、総損失量所望値が更新前の総
損失量よりも小さければ総損失量を所定の減少量だけ減
少させた値に更新するとともに、総損失量所望値が更新
前の総損失量と等しければ総損失量を更新しないことを
特徴とし、総損失量の所定時間当たりでの増減量を抑え
ることにより、相手側通話端末との通話開始直後のよう
に第1及び第2のエコーキャンセラが収束に向かって活
発に係数を更新しているために音響側帰還利得及び回線
側帰還利得の変化が激しい状態においても、聴感上の違
和感をなくすことができる。
【0016】請求項6の発明は、請求項5の発明におい
て、第1及び第2のエコーキャンセラはダブルトークを
検出するダブルトーク検出部を備え、挿入損失量制御手
段は、挿入損失量分配処理部が送話状態と推定している
とき、あるいは第1のエコーキャンセラのダブルトーク
検出部がダブルトークを検出しているときには音響側帰
還利得の推定値を更新せずにそれ以前の推定値を保持す
るとともに、挿入損失量分配処理部が受話状態と推定し
ているとき、あるいは第2のエコーキャンセラのダブル
トーク検出部がダブルトークを検出しているときには回
線側帰還利得の推定値を更新せずにそれ以前の推定値を
保持することを特徴とし、マイクロホンで集音されるエ
コー以外の成分、すなわちダブルトークの成分の重畳に
より音響側帰還利得及び回線側帰還利得の推定値の誤差
が増大するのを防ぐことができる。その結果、通話開始
から双方向の同時通話が可能となるまでに要する時間を
第1及び第2のエコーキャンセラが収束するのに要する
時間程度にすることができる。
【0017】請求項7の発明は、請求項1〜6の何れか
の発明において、通話音量調整用増幅手段は、入力信号
のレベルに応じて利得を可変するとともに入力信号に対
する利得の特性が少なくとも1つの変曲点を有する利得
制御機能付増幅器からなることを特徴とし、微少あるい
は過大なレベルの騒音に相当する入力信号に対して利得
を低減するとともに音声のレベルに相当する入力信号に
対して利得を増加させることで音響側帰還利得及び回線
側帰還利得を低減しつつ適切な通話音量が得られる。
【0018】請求項8の発明は、請求項7の発明におい
て、通話音量調整用増幅手段は、出力信号が所定のレベ
ルを超えないような利得の特性を有することを特徴と
し、マイクロホンに過大なレベルの音が集音された場合
でも、音割れや第1及び第2のエコーキャンセラの発
散、あるいは音声スイッチにおける通話状態の誤推定な
どを生じることなく、通話を継続することができる。
【0019】請求項9の発明は、請求項7又は8の発明
において、不揮発性の記憶装置からなり通話音量調整用
増幅手段の特性を決定する1乃至複数のパラメータを記
憶するパラメータ記憶手段と、相手側通話端末との通話
開始前にパラメータ記憶手段に記憶したパラメータを通
話音量調整用増幅手段に設定するパラメータ設定手段と
を備えたことを特徴とし、通話系の条件に応じてパラメ
ータを変更するだけで常に所望の通話音量が得られる。
【0020】請求項10の発明は、請求項7又は8又は
9の発明において、通話開始時には通話音量調整用増幅
手段の利得を略零とし、その後、所定時間内で通話音量
調整用増幅手段の利得を徐々に増加させる通話開始時利
得調整手段を備えたことを特徴とし、固定モードにおけ
る総損失量の初期値を低減することができるため、通話
開始後の総損失量算出部が固定モードで動作する期間に
おいて、損失量の切り換えに伴う通話の切断感を低減す
ることができる。
【0021】請求項11の発明は、請求項7〜10の何
れかの発明において、通話を終了する際に所定時間内で
通話音量調整用増幅手段の利得を徐々に減少させるとと
もに通話終了前に通話音量調整用増幅手段の利得を略零
とする通話終了時利得調整手段を備えたことを特徴と
し、通話路を開放したときに発生するノイズ(所謂、ボ
ツ音)を抑えることができる。
【0022】請求項12の発明は、請求項7又は8又は
9の発明において、マイクロホン、送話側増幅手段、ス
ピーカ、受話側増幅手段、伝送処理手段並びに通話処理
手段を収納するハウジングと、通話中に通話音量調整用
増幅手段の利得の増加及び減少を指示する利得指示手段
と、利得指示手段の指示に応じて通話音量調整用増幅手
段の利得の特性を変更する利得特性変更手段とを備え、
利得指示手段は、ハウジングに対して外部から操作可能
に設けられた操作部を有し、操作部の操作に応じて利得
の増加又は減少を指示することを特徴とし、周囲の騒音
レベルが低い場合、例えば夜間の住宅街などにおいて使
用する際に、操作部を操作して通話音量調整用増幅手段
の利得を減少させ、通話音量を所望のレベルまで下げる
ことができる。
【0023】請求項13の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、受話信号に含まれる遠端側の背
景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベル推定部
と、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベルを推定
する近端側背景雑音レベル推定部と、遠端側背景雑音レ
ベル並びに近端側背景雑音レベルの各推定値に応じて通
話音量調整用増幅手段の利得を調整する通話音量調整用
利得制御部とを備えたことを特徴とし、受聴者側の周囲
騒音のレベルに応じて通話音量調整用利得制御部にて通
話音量が調整されるため、周囲が騒がしい状況でも通話
相手の声が聞き取り難くなることがなく、且つ周囲が静
かな状況では音量が大きすぎて不快感を招くことがな
い。
【0024】請求項14の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、受話信号に含まれる遠端側の背
景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベル推定部
と、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベルを推定
する近端側背景雑音レベル推定部と、挿入損失量分配処
理部で監視している受話信号を増幅する受話偏重モード
設定用増幅器と、挿入損失量分配処理部で監視している
送話信号を増幅する送話偏重モード設定用増幅器と、遠
端側背景雑音レベル並びに近端側背景雑音レベルの各推
定値に応じて受話偏重モード設定用増幅器並びに送話偏
重モード設定用増幅器の各利得を調整する偏重モード制
御部とを備え、偏重モード制御部は、遠端側背景雑音レ
ベルの推定値が近端側背景雑音レベルの推定値よりも充
分に大きい値であれば送話偏重モード設定用増幅器の利
得を受話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増大させ
て通話処理手段を送話偏重モードに設定し、近端側背景
雑音レベルの推定値が遠端側背景雑音レベルの推定値よ
りも充分に大きい値であれば受話偏重モード設定用増幅
器の利得を送話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増
大させて通話処理手段を受話偏重モードに設定し、遠端
側背景雑音レベルの推定値と近端側背景雑音レベルの推
定値の差が充分に大きい値でなければ受話偏重モード設
定用増幅器並びに送話偏重モード設定用増幅器の各利得
を略ゼロとして通話処理手段を中立モードに設定するこ
とを特徴とし、遠端側の通話端末における周囲騒音のレ
ベルと近端側の拡声通話装置における周囲騒音のレベル
との差が大きい場合でも周囲騒音のレベルが高い方に通
話方向が片倒れすることがなく、良好な切換特性が得ら
れる。
【0025】請求項15の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、挿入損失量分配処理部で監視し
ている受話信号を増幅する受話偏重モード設定用増幅器
と、挿入損失量分配処理部で監視している送話信号を増
幅する送話偏重モード設定用増幅器と、受話偏重モード
設定用増幅器並びに送話偏重モード設定用増幅器の各利
得を調整することにより送話偏重モード設定用増幅器の
利得を受話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増大さ
せた送話偏重モード、受話偏重モード設定用増幅器の利
得を送話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増大させ
た受話偏重モード、あるいは受話偏重モード設定用増幅
器並びに送話偏重モード設定用増幅器の各利得を略ゼロ
とした中立モードの何れかに通話処理手段を設定する偏
重モード制御部とを備え、使用者によって操作可能な操
作部を有し、操作部の操作に応じて通話処理手段の設定
モードを偏重モード制御部に指示する指示手段を設けた
ことを特徴とし、通話方向が送話又は受話の何れかに片
倒れしていると使用者が判断した場合に操作部を操作し
て片倒れを解消することができる。
【0026】請求項16の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、受話信号に含まれる遠端側の背
景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベル推定部
と、遠端側背景雑音レベルの推定値が所定値以上の値で
あれば総損失量算出部の動作モードを更新モードとし、
遠端側背景雑音レベルの推定値が所定値よりも大きくな
い値であれば総損失量算出部の動作モードを固定モード
とする動作モード切換制御部とを備えたことを特徴と
し、遠端側の通話端末における周囲騒音のレベルが低い
場合には総損失量算出部を固定モードで動作させること
で近端側の通話音声以外の音が全て遠端側の通話端末に
漏れることがなくなり、プライバシーの保護が図れる。
【0027】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1は本実施形態
の拡声通話装置を示すブロック図である。なお、本実施
形態は従来例で説明したハンズフリーインターホンの親
機Mとして拡声通話装置を構成したものであり、従来例
の親機M’と共通の構成要素には同一の符号を付して説
明を省略する。また、図1では相手側通話端末であるド
アホン子機Sの図示を省略している。さらに本実施形態
では図示並びに説明を省略するが、親機Mは、通話ボタ
ンの押操作によって発生しドアホン子機Sとの通話開始
のトリガ信号となる通話開始信号等を受信し、親機Mが
具備する通話制御用のスイッチやリレー等の接続、開放
の制御等を行う通話制御手段を備えている。
【0028】本実施形態では、第1及び第2のエコーキ
ャンセラ30A,30Bに挟まれた送話信号及び受話信
号の信号経路上に設けられる送話音量調整用増幅器G5
及び受話音量調整用増幅器G6の間に音声スイッチ10
が設けてある。この音声スイッチ10は、送話側の信号
経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段たる送話側減
衰器11と、受話側の信号経路に損失を挿入する受話側
損失挿入手段たる受話側減衰器12と、送話側及び受話
側の各減衰器11,12から挿入する損失量を制御する
挿入損失量制御部13とを具備する。挿入損失量制御部
13は、受話側減衰器12の出力点Routから音響エコ
ー経路HACを介して送話側減衰器11の入力点Tinへ帰
還する経路(以下、「音響側帰還経路」という)の音響
側帰還利得αを推定するとともに、送話側減衰器11の
出力点Toutから回線エコー経路HLINを介して受話側減
衰器12の入力点Rinへ帰還する経路(以下、「回線側
帰還経路」という)の回線側帰還利得βを推定し、音響
側及び回線側の各帰還利得α,βの推定値α’,β’に
基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和(送話側減
衰器11の挿入損失量と受話側減衰器12の挿入損失量
の和)を算出する総損失量算出部14と、送話信号及び
受話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と
総損失量算出部14の算出値に応じて送話側減衰器11
及び受話側減衰器12の各挿入損失量の配分を決定する
挿入損失量分配処理部15とからなる。なお、第1及び
第2のエコーキャンセラ30A,30Bと音声スイッチ
10を含む通話処理手段は、DSP(Digital Signal P
rocessor)やCPUを用いて従来周知の技術により実現
可能である。
【0029】総損失量算出部14では、整流平滑器や低
域通過フィルタ等を用いて送話側減衰器11の入力信号
の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整流
平滑器や低域通過フィルタ等を用いて受話側減衰器12
の出力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、
音響側帰還経路HACにて想定される最大遅延時間におい
て受話側減衰器12の出力信号の時間平均パワーの推定
値の最小値を求め、この最小値で送話側減衰器11の入
力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を音響側
帰還利得αの推定値α’とするとともに、整流平滑器や
低域通過フィルタ等を用いて受話側減衰器12の入力信
号の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整
流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて送話側減衰器1
1の出力信号の短時間における時間平均パワーを推定
し、回線側帰還経路HLINにて想定される最大遅延時間
において送話側減衰器11の出力信号の時間平均パワー
の推定値の最小値を求め、この最小値で受話側減衰器1
2の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を
回線側帰還利得βの推定値β’とする。そして、総損失
量算出部14は音響側帰還利得α及び回線側帰還利得β
の各推定値α’,β’から所望の利得余裕MGを得るた
めに必要な総損失量Ltを算出し、その値Ltを挿入損
失量分配処理部15に出力する。
【0030】挿入損失量分配処理部15では、送話側減
衰器11の入出力信号及び受話側減衰器12の入出力信
号を監視し、これらの信号のパワーレベルの大小関係並
びに音声信号の有無などの情報から通話状態(受話状
態、送話状態等)を判定するとともに、判定された通話
状態に応じた割合で総損失量Ltを送話側減衰器11と
受話側減衰器12に分配するように各減衰器11,12
の挿入損失量を調整する。
【0031】ところで本実施形態における総損失量算出
部14は、上述のように各帰還利得α,βの推定値
α’,β’に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総
和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量
を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モー
ドを有し、相手側通話端末(ドアホン子機S)との通話
開始から第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30
Bが充分に収束するまでの期間には固定モードで動作す
るとともに第1及び第2のエコーキャンセラ30A,3
0Bが充分に収束した後の期間には更新モードで動作す
る。すなわち、総損失量算出部14では音響側帰還利得
α及び回線側帰還利得βの推定値α’,β’がともに通
話開始から所定時間(数百ミリ秒)以上継続して所定の
閾値ε(例えば、通話開始時における各推定値α’,
β’に対して10dB〜15dB小さい値)を下回った
時点で第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30B
が充分に収束したものとみなし、上記時点以前には総損
失量を初期値に固定する固定モードで動作し、上記時点
以降には各推定値α’,β’に基づいて総損失量を適応
更新する更新モードに動作モードを切り換える。なお、
固定モードにおける総損失量の初期値は更新モードにお
いて随時更新される総損失量よりも充分に大きな値に設
定される。
【0032】而して、通話開始直後の第1及び第2のエ
コーキャンセラ30A,30Bが充分に収束していない
状態においては、固定モードで動作する総損失量算出部
14によって充分に大きな値に設定される初期値の総損
失量が閉ループに挿入されるため、不快なエコー(音響
エコー並びに回線エコー)やハウリングの発生を抑制し
て安定した半二重通話を実現することができる。また、
通話開始から時間が経過して第1及び第2のエコーキャ
ンセラ30A,30Bが充分に収束した状態において
は、総損失量算出部14の動作モードが固定モードから
更新モードに切り換わって閉ループに挿入する総損失量
が初期値よりも充分に低い値に減少するため、双方向の
同時通話が実現できるものである。しかも、総損失量の
初期値を適切な値に設定することにより、通話開始直後
の第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30Bが収
束していない状態のハウリング防止のために閉ループの
一巡利得が1倍を超えないように各増幅器の利得を設計
するという制約がなくなり、親機Mのハウジング(図示
せず)の形状や構造等に関わらずに所望の通話音量が得
られるように増幅器の利得を設計することができる。
【0033】次に、更新モードにおける総損失量算出部
14の具体的な動作を図2のフローチャートを参照して
説明する。
【0034】総損失量算出部14は、固定モードから更
新モードに移行した時点(t=t1)から所定のサンプ
リング周期で音響側帰還利得α並びに回線側帰還利得β
の推定処理を実行してその推定値α'(n),β'(n)を算出
し(ステップ1)、これら2つの推定値α'(n),β'(n)
の積と利得余裕MGとから、閉ループの利得余裕をMG
[dB]に保つために必要とされる総損失量所望値Lr
(n)を下式により算出する(ステップ2)。
【0035】Lr(n)=20log|α'(n)・β'(n)|+MG
[dB] なお、α'(n),β'(n),Lr(n)はそれぞれ更新モード
移行時点からn回目のサンプリングによって算出された
帰還利得の推定値並びに総損失量所望値を示す。さら
に、総損失量算出部14は上式から算出したn回目の総
損失量所望値Lr(n)と、前回(n−1回目)の総損失
量Lt(n-1)、すなわち前回の処理で決定されて実際に
挿入された総損失量に対して今回算出した総損失量所望
値Lr(n)が大きい場合、前回の総損失量Lt(n-1)に微
少な増加量Δi[dB]を加算した値を今回の総損失量L
t(n)=Lt(n-1)+Δiとし(ステップ3、ステップ
4)、前回の総損失量Lt(n-1)に対して今回算出した
総損失量所望値Lr(n)が小さい場合、前回の総損失量
Lt(n-1)から微少な減少量Δd[dB]を減算した値を
今回の総損失量Lt(n)=Lt(n-1)−Δdとする(ステ
ップ5、ステップ6)。
【0036】このように総損失量算出部14による総損
失量の増減をΔi又はΔdの微少な値に抑えることによ
り、相手側通話端末(ドアホン子機S)との通話開始直
後のように第1及び第2のエコーキャンセラ30A,3
0Bが収束に向かって活発に係数を更新しているために
音響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの変化が激しい
状態においても、聴感上の違和感をなくすことができ
る。
【0037】(実施形態2)図3は本実施形態の拡声通
話装置たる親機Mを示すブロック図である。なお、実施
形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を
省略する。
【0038】親機Mは、通話ボタンの押操作によって発
生しドアホン子機Sとの通話開始のトリガ信号となる通
話開始信号等を受信し、親機Mが具備する通話制御用の
スイッチやリレー等の接続、開放の制御を行う通話路制
御モジュール21、初期値設定手段たる総損失量初期値
設定モジュール22を実装したCPUからなる通話制御
部20と、総損失量算出部14の総損失量の初期値を記
憶する初期値記憶手段たる不揮発性メモリ23とを備え
ている。
【0039】ここで、本実施形態の親機Mは、図4に示
すようなハンズフリーインターホンシステムを構成する
通話端末であって、有線又は無線の伝送系Wを介して複
数台のドアホン子機Sやテレビモニタ機能付の親機M
M、あるいは親機Mと類似の構成を有する副親機SM等
の他の通話端末と通話が可能となっている。このように
親機Mからみた相手側通話端末が複数台存在し、且つこ
れらの種類が異なるような場合、何れの通話端末との間
で通話路が形成されるかによって総損失量の初期値が異
なることとなる。何故なら、相手側通話端末の種類によ
って2線一4線変換回路3における反射率や相手側通話
端末における音響結合利得が異なることによって、回線
側帰還利得βの初期値(第2のエコーキャンセラ30B
が初期化されているときの値)が変化するためである。
また、通話中の相手側通話端末以外にどのような通話端
末が伝送系Wに接続されているかによっても2線一4線
変換回路3から伝送路W側をみたときのインピーダンス
が変わるため、回線側帰還利得βの初期値が異なる値と
なる。さらに、相手側通話端末の台数や種類に応じて音
量調整のために送話音量調整用増幅器G5及び受話音量
調整用増幅器G6の利得を変更するようなシステムにお
いては、音響側帰還利得αの初期値(第1のエコーキャ
ンセラ30Aが初期化されているときの値)も相手側通
話端末の種類により異なる値となる。
【0040】そこで、本実施形態では上述の種々の状況
に応じた総損失量の適切な初期値を不揮発性メモリ23
に予め記憶させておき、通話制御部20の通話路制御モ
ジュール21にて親機Mと相手側通話端末との通話路が
確定された後、総損失量初期値設定モジュール22が確
定された通話路に適した初期値を不揮発性メモリ23か
ら読み出すとともに、通話開始前に総損失量算出部14
に対して読み出した初期値を転送して設定する。そし
て、総損失量算出部14では設定された初期値を用いて
固定モードの動作を行うのである。而して、このように
音響側帰還利得α並びに回線側帰還利得βの値が異なる
通話系毎に最適化された総損失量の初期値を不揮発性メ
モリ23に記憶させておけば、回路構成を変更すること
無しに種々の通話系に容易に対応することができ、本実
施形態で例示したように親機Mとともにハンズフリーイ
ンターホンシステムを構成する相手側通話端末が3台以
上ある場合に特に有効である。
【0041】(実施形態3)図5は本実施形態の要部を
示すブロック図である。本実施形態は第1及び第2のエ
コーキャンセラ30A,30Bに特徴があり、それ以外
の構成は実施形態1と同一であり、且つ第1のエコーキ
ャンセラ30Aと第2のエコーキャンセラ30Bとは同
一の構成を有している。したがって、実施形態1と同一
の構成要素には同一の符号を付して説明を省略するとと
もに、第1のエコーキャンセラ30Aについてのみ説明
する。
【0042】本実施形態における第1のエコーキャンセ
ラ30Aは、適応フィルタ31A及び減算器32Aに加
えて、遠端信号パワー推定部33A、ダブルトーク検出
処理部34A並びに係数更新累積時間カウンタ35Aを
備えている。遠端信号パワー推定部33Aは、遠端側の
信号(第1のエコーキャンセラ30Aにおいては受話信
号、第2のエコーキャンセラ30Bにおいては送話信
号、以下同じ)Xnの瞬時パワーを推定するものであ
り、ダブルトーク検出処理部34Aは、適応フィルタ3
1Aの収束を劣化させるレベルの信号がマイクロホンア
ンプG1の出力信号Ynに含まれているか否かにより、
親機Mと相手側通話端末とで話者がほぼ同時に話す状
態、すなわちダブルトークを検出するものである。適応
フィルタ31Aでは、遠端信号パワー推定部33Aの推
定値が遠端信号Xnに音声成分が含まれると見なせる所
定の閾値を超え、且つダブルトーク検出処理部34Aに
よりダブルトークが検出されない状態でのみ、所定のア
ルゴリズム(例えば、学習同定法等)に基づいて係数を
更新するとともに、その他の状態では係数を更新せずに
それ以前の値に固定する。また、係数更新累積時間カウ
ンタ35Aは通話開始後に上記条件に従って適応フィル
タ31Aが係数更新を行った累積時間をカウントし、そ
のカウント値を総損失量算出部14に転送する。
【0043】総損失量算出部14においては、係数更新
累積時間カウンタ35Aのカウント値が所定の閾値Tma
x(親機Mの通常の設置環境において第1及び第2のエ
コーキャンセラ30A,30Bが収束するのに要する時
間よりも十分に大きい値であり、20〜30秒程度)を
超えても音響側帰還利得αの推定値α’が所定の閾値ε
(第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30Bの初
期化時における値よりも10〜15dB程度小さい値)
よりも小さくならない場合には、以後、音響側帰還利得
αの推定処理を行わず、総損失量を初期値とする固定モ
ードで動作する。同様に、第2のエコーキャンセラ30
Bにも係数更新累積時間カウンタ35Aを設けているの
で、結局、総損失量算出部14においては、何れか一方
の係数更新累積時間カウンタ35Aが閾値Tmaxを超え
たときに、閾値Tmaxを超えた方の係数更新累積時間カ
ウンタ35Aを有するエコーキャンセラ30A,30B
に対応する側の帰還利得(αもしくはβ)の推定値
(α’又はβ’)が閾値εを下回らない場合、以後、音
響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの推定処理を中止
して、総損失量を初期値とする固定モードで動作する。
【0044】而して本実施形態では、上述のように係数
更新累積時間カウンタ35Aのカウント値が所定の閾値
Tmaxを超えても音響側帰還利得α及び回線側帰還利得
βの各推定値α’,β’の少なくとも何れか一方が所定
の閾値ε以下とならない場合、すなわち、第1のエコー
キャンセラ30Aにおける係数更新累積時間カウンタ3
5Aのカウント値が閾値Tmaxを超えても音響側帰還利
得αの推定値α’が閾値ε以下とならない場合、または
第2のエコーキャンセラ30Bにおける係数更新累積時
間カウンタ35Bのカウント値が閾値Tmaxを超えても
回線側帰還利得βの推定値β’が閾値ε以下とならない
場合には、総損失量算出部14が更新モードに移行せず
に固定モードの動作を継続するため、適応フィルタ31
Aのインパルス応答長よりも残響時間が長くなるような
環境に親機Mが設置される場合等において、総損失量算
出部14が固定モードの動作を継続することで不快なエ
コーやハウリングを抑制することができ、安定した半二
重通話が維持できる。逆に、総損失量算出部14がこの
ような処理を行わない場合、残響時間の長い環境に設置
したときには音響側帰還利得α及び回線側帰還利得βの
変化が激しく変動し、総損失量算出部14におけるこれ
ら帰還利得α,βの推定処理が追従できずに不快なエコ
ーやハウリングを生じてしまう虞がある。
【0045】(実施形態4)図6は本実施形態の拡声通
話装置たる親機Mを示すブロック図である。なお、実施
形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して図示並
びに説明を省略する。また、詳細な構成の図示は省略し
ているが、第1及び第2のエコーキャンセラ30A,3
0Bの構成は実施形態3と同一である。
【0046】本実施形態は、送話信号が単一周波数のト
ーン信号か否かを検出する送話信号シングルトーン検出
器40と、受話信号が単一周波数のトーン信号か否かを
検出する受話信号シングルトーン検出器41と、これら
2つのシングルトーン検出器40,41の検出結果に基
づいてハウリングの有無を検出するハウリング検出部4
2とを親機Mに備え、ハウリング検出部42にてハウリ
ングを検出すると第1及び第2のエコーキャンセラ30
A,30Bが具備する適応フィルタ31A,31Bの係
数を初期化するとともに音声スイッチ10の総損失量算
出部14の動作モードを固定モードとする点に特徴があ
る。
【0047】2つのシングルトーン検出器40,41
は、例えば送話信号あるいは受話信号の高速フーリエ変
換を利用したり、複数の帯域分割フィルタを用いて送話
信号あるいは受話信号のパワーを比較することでトーン
信号か否かを検出するものであるが、何れの検出方式に
ついても従来周知の技術を用いて実現可能であるから詳
しい説明は省略する。
【0048】ハウリング検出部42では、シングルトー
ン検出器40,41がともに単一周波数のトーン信号を
検出する状態が所定時間(例えば、200〜300ms
程度)だけ継続した場合にハウリングが生じているもの
として第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30B
にハウリング検出信号を出力し、これ以外の場合にはハ
ウリング検出信号を出力しない。
【0049】次に、図7のフローチャートを参照して本
実施形態の動作説明を行う。通話が開始されると、音声
スイッチ10と第1及び第2のエコーキャンセラ30
A,30Bにおいて初期化処理が行われ(ステップ
1)、音声スイッチ10では、初期化処理によって総損
失量算出部14の動作モードが固定モードとなる(ステ
ップ2)。総損失量算出部14ではハウリング検出部4
2の出力状態を監視しており(ステップ3)、固定モー
ドで動作中にハウリング検出部42からハウリング検出
信号が出力されると上記初期化処理に戻り、音声スイッ
チ10と第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30
Bにおいて初期化処理が行われ(ステップ1)、総損失
量算出部14も全ての変数を初期化した後に再度固定モ
ードで動作する(ステップ2)。
【0050】一方、ハウリング検出部42からハウリン
グ検出信号が出力されない場合、総損失量算出部14に
おいては、実施形態3で説明したように何れか一方の係
数更新累積時間カウンタ35A,35Bが閾値Tmaxを
超えたときに、閾値Tmaxを超えた方の係数更新累積時
間カウンタ35A,35Bを有するエコーキャンセラ3
0A,30Bに対応する側の帰還利得(αもしくはβ)
の推定値(α’又はβ’)が閾値εを下回らなければ、
閾値εを下回らない方のエコーキャンセラ30A又は3
0Bにおいて推定値が収束不能と判断し(ステップ
4)、更新モードに移行せずに固定モードの動作を継続
する(ステップ2)。これに対して帰還利得α,βの推
定値α’,β’が閾値εを下回れば、総損失量算出部1
4では一応帰還利得α,βの推定値α’,β’が収束可
能と判断し、さらに所定時間継続して帰還利得α,βの
推定値α’,β’が閾値εを下回るか否かを監視する
(ステップ5)。総損失量算出部14は、帰還利得α,
βの推定値α’,β’が所定時間継続して閾値εを下回
らなければ更新モードに移行せずに固定モードの動作を
継続し(ステップ2)、帰還利得α,βの推定値α’,
β’が所定時間継続して閾値εを下回れば更新モードに
移行する(ステップ6)。
【0051】そして、更新モードで動作中にハウリング
検出部42からハウリング検出信号が出力されると上記
初期化処理に戻り、音声スイッチ10と第1及び第2の
エコーキャンセラ30A,30Bにおいて初期化処理が
行われ(ステップ1)、総損失量算出部14も全ての変
数を初期化した後に再度固定モードで動作する(ステッ
プ2)。
【0052】このように本実施形態では、固定モード又
は更新モードの何れの動作モードにおいても、通話中に
ハウリングが検出された際には速やかに2つのエコーキ
ャンセラ30A,30Bの適応フィルタ31A,31B
の係数を初期化するとともに、総損失量を初期値に戻し
て第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30Bが収
束するまでは総損失量算出部14が固定モードで動作す
るため、通話系に形成される閉ループの一巡利得を抑制
してハウリングに対する充分なマージンを得ることがで
きる。その結果、通話中に万が一ハウリングが生じたと
しても、直ちに(数百ms以内)ハウリングを抑制し、
安定した通話を再開することができる。
【0053】(実施形態5)図8は本実施形態の要部を
示すブロック図である。但し、第1及び第2のエコーキ
ャンセラ30A,30Bは同じ構成を有するので第1の
エコーキャンセラ30Aのみを図示し、音声スイッチ1
0についても本実施形態の要旨に係る部分のみを図示し
て、実施形態1及び実施形態3と共通する構成要素には
同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0054】本実施形態は、実施形態3と同様に第1及
び第2のエコーキャンセラ30A,30Bにダブルトー
ク検出処理部34A,34Bを設け、挿入損失量制御部
13において、挿入損失量分配処理部15が送話状態と
推定しているとき、あるいは第1のエコーキャンセラ3
0Aのダブルトーク検出処理部34Aがダブルトークを
検出しているときには音響側帰還利得αの推定値α’を
更新せずにそれ以前の推定値を保持するとともに、挿入
損失量分配処理部15が受話状態と推定しているとき、
あるいは第2のエコーキャンセラ30Bのダブルトーク
検出処理部34Bがダブルトークを検出しているときに
は回線側帰還利得βの推定値β’を更新せずにそれ以前
の推定値を保持する処理を行う点に特徴がある。
【0055】図8では総損失量算出部14における音響
側帰還利得αの推定値α’を算出する処理系についての
み図示しており、実施形態1で説明したように帰還利得
α,βの各推定値α’,β’から所望の利得余裕MGを
得るために必要な総損失量Ltを算出する処理系につい
ては図示を省略している。なお、回線側帰還利得βの推
定値β’を算出する処理系については音響側帰還利得α
の推定値α’を算出する処理系と同一であるから図示並
びに説明を省略する。
【0056】総損失量算出部14は、受話信号に対して
第1のエコーキャンセラ30Aの適応フィルタ係数から
音響結合系の群遅延を推定して遅延処理を施すエコーパ
ス遅延補償処理部16と、エコーパス遅延補償処理部1
6から出力される信号(遅延補償信号)のパワーProを
求める受話信号パワー演算部17と、送話信号に含まれ
るエコー成分のパワーPtiを求める音響エコーパワー演
算部18と、遅延補償信号パワーProとエコー成分パワ
ーPtiの比から音響側帰還利得αの推定値α’を算出す
る推定値算出部19とを具備する。この推定値算出部1
9は、帰還利得αの推定値α’を算出する際に、遅延補
償信号パワーProとエコー成分パワーPtiの他に、第1
のエコーキャンセラ30Aのダブルトーク検出処理部3
4Aからダブルトーク検出フラグ(DTF)と、挿入損
失量分配処理部15で推定された通話状態を示す通話状
態情報とを参照する。
【0057】すなわち、推定値算出部19では、ダブル
トーク検出処理部34Aでダブルトークが検出されずに
ダブルトーク検出フラグDTFが立っていない状態(D
TF=0)であり、且つ挿入損失量分配処理部15で推
定された通話状態が送話状態以外のときにα’=Pti/
Proとして推定値α’を算出する。一方、ダブルトーク
検出処理部34Aでダブルトークが検出されてダブルト
ーク検出フラグDTFが立っている状態(DTF=
1)、または挿入損失量分配処理部15で推定された通
話状態が送話状態のときには、推定値算出部19は推定
値α’を新たに算出せずに前回の値を保持する。
【0058】而して上述のような処理を行うことによ
り、近端側(図8においてはマイクロホン1側)からの
発声が行われて送信信号に無視できないレベルの音声成
分が含まれていると判断されるような状況下では、総損
失量算出部14において帰還利得αの推定値α’の演算
を行わず、送話信号がほぼ音響エコー成分に等しいと判
断される状況下でのみ推定値α’の演算を行うことがで
きる。したがって、マイクロホン1で集音されるエコー
以外の成分、すなわちダブルトークの成分の重畳により
帰還利得α,βの推定値α’,β’の誤差が増大するの
を防ぐことができる。その結果、通話開始から双方向の
同時通話が可能となるまでに要する時間を第1及び第2
のエコーキャンセラ30A,30Bが収束するのに要す
る時間程度にすることができる。
【0059】(実施形態6)図9は本実施形態の拡声通
話装置たる親機Mを示すブロック図である。なお、実施
形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して図示並
びに説明を省略する。
【0060】本実施形態は、音量調整のための送話音量
調整用増幅器G5及び受話音量調整用増幅器G6を、入
力信号(送話信号又は受話信号)のレベルに応じて利得
を可変するとともに入力信号に対する利得の特性が少な
くとも1つの変曲点を有する利得制御機能(AGC)付
増幅器からなることを特徴とする。なお、利得制御機能
付増幅器については従来周知であるから詳しい説明を省
略する。
【0061】本実施形態では、入力信号に対する利得の
特性が少なくとも2つの変曲点を有する利得制御機能付
増幅器を送話音量調整用増幅器G5及び受話音量調整用
増幅器G6に用いており、図10に送話音量調整用増幅
器G5及び受話音量調整用増幅器G6の入出力特性を示
している。すなわち、入力信号レベルが音声とみなし得
る入力信号の最小値Xp1[dBV]以下の範囲では利
得がG1[dB]、入力信号レベルが前記最小値Xp1
から、想定される通話音声レベルの最大値Xp2[dB
V]までの範囲では利得がG2[dB]、入力信号レベ
ルが前記最大値Xp2[dBV]以上の範囲では利得が
G3[dB]となっており、入力信号の最小値Xp1以
下の範囲の利得G1と最大値Xp2以上の範囲の利得G
3を比較的小さな値に設定するとともに、入力信号の最
小値Xp1以上且つ最大値Xp2以下の範囲の利得G2
を利得G1,G3よりも充分に大きな値に設定してい
る。
【0062】本実施形態は上述のように構成してもので
あるから、マイクロホン1で集音される音響信号が通話
音声とみなせる場合には所望の通話音量を得るために必
要な利得G2とし、通話音声とみなし得ないような微少
レベルの周囲騒音や過大レベルの環境騒音(風切り音、
工事騒音、自動車騒音など)に対しては小さな利得G1
又はG3とするため、帰還利得α,βを低減しつつ適切
な通話音量が得られるという利点がある。
【0063】ところで、送話音量調整用増幅器G5及び
受話音量調整用増幅器G6に用いる利得制御機能付増幅
器としては、出力信号が所定のレベルを超えないような
入出力特性を持つことが望ましい。例えば、図11に示
すように入力信号レベルがXm以上の範囲では出力信号
レベルが上限値Lsatに制限されるようにすればよい。
このように出力信号レベルが上限値Lsatを超えないよ
うにすれば、アナログ信号系におけるアンプ出力信号の
歪みやディジタル信号系におけるオーバーフローを防止
することができる。すなわち、マイクロホン1が過大な
レベルの音響信号を集音した場合においても、音割れ、
エコーキャンセラ並びに音声スイッチ10の不具合動作
のない通話を継続することができる。
【0064】(実施形態7)図12は本実施形態の拡声
通話装置たる親機Mを示すブロック図である。なお、実
施形態1,2並びに6と同一の構成要素には同一の符号
を付して説明を省略する。
【0065】親機Mは、実施形態2で説明したように通
話ボタンの押操作によって発生しドアホン子機Sとの通
話開始のトリガ信号となる通話開始信号等を受信し、親
機Mが具備する通話制御用のスイッチやリレー等の接
続、開放の制御を行う通話路制御モジュール21、パラ
メータ設定手段たるパラメータ設定モジュール24を実
装したCPUからなる通話制御部20と、実施形態6で
説明した利得制御機能付増幅器からなる送話音量調整用
増幅器G5及び受話音量調整用増幅器G6のパラメータ
(利得G1〜G3、変曲点の入力信号レベルXp1,X
p2、出力信号レベルの上限値Lsat等)を記憶するパ
ラメータ記憶手段たる不揮発性メモリ23とを備えてい
る。
【0066】而して、実施形態2で説明したように、親
機Mがハンズフリーインターホンシステムを構成する通
話端末であって、有線又は無線の伝送系Wを介して複数
台のドアホン子機Sやテレビモニタ機能付の親機MM、
あるいは親機Mと類似の構成を有する副親機SM等の他
の通話端末と通話が可能となっていて、親機Mからみた
相手側通話端末が複数台存在し、且つこれらの種類が異
なるような場合、何れの通話端末との間で通話路が形成
されるかによって送話音量調整用増幅器G5及び受話音
量調整用増幅器G6のパラメータの最適値が異なること
となる。何故なら、相手側通話端末の種類によって2線
一4線変換回路3における伝送損失や相手側通話端末に
おける音響結合利得が異なるためである。また、通話中
の相手側通話端末以外にどのような通話端末が伝送系W
に接続されているかによっても2線一4線変換回路3に
おける電動損失が異なるため、送話音量調整用増幅器G
5及び受話音量調整用増幅器G6のパラメータの最適値
が異なる。
【0067】そこで、本実施形態では上述の種々の状況
に応じた送話音量調整用増幅器G5及び受話音量調整用
増幅器G6のパラメータの最適値を不揮発性メモリ23
に予め記憶させておき、通話制御部20の通話路制御モ
ジュール21にて親機Mと相手側通話端末との通話路が
確定された後、パラメータ設定モジュール24が確定さ
れた通話路に適した送話音量調整用増幅器G5及び受話
音量調整用増幅器G6のパラメータの最適値を不揮発性
メモリ23から読み出すとともに、送話音量調整用増幅
器G5及び受話音量調整用増幅器G6に対して読み出し
たパラメータ値を転送する。そして、送話音量調整用増
幅器G5及び受話音量調整用増幅器G6では各パラメー
タに転送された最適値を設定して動作するのである。而
して、このように音響側帰還利得α並びに回線側帰還利
得βの値等が異なる通話系毎に送話音量調整用増幅器G
5及び受話音量調整用増幅器G6のパラメータの最適値
を不揮発性メモリ23に記憶させておけば、回路構成を
変更すること無しに種々の通話系に容易に対応すること
ができ、本実施形態で例示したように親機Mとともにハ
ンズフリーインターホンシステムを構成する相手側通話
端末が3台以上ある場合に特に有効である。
【0068】(実施形態8)本実施形態は、図13に示
すように送話音量調整用増幅器G5の出力側に通話開始
時利得調整器40を設けるとともに、通話制御部20の
CPUに通話開始トリガ発生モジュール25を実装して
いる点に特徴があり、これ以外の構成及び動作について
は実施形態7と共通であるから、共通する構成要素には
同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0069】通話開始時利得調整器40は、通話制御部
20の通話開始トリガ発生モジュール25から通話開始
を表すトリガ信号(通話開始トリガ信号)を受信した
際、利得Gをゼロ(すなわち、ミュート状態)として動
作を開始し、その後、図14に示すように時間tの経過
とともに直線的に利得Gを増加させ、所定の立ち上がり
時間Triseが経過したら利得Gを1に固定する動作を行
う。すなわち、通話開始時利得調整器40では、通話開
始時点から立ち上がり時間Triseまでの間の利得Gを1
未満とすることで実質的に通話路への挿入損失量を増大
させており、通話開始時の通話音量を小さくし、その
後、徐々に音量を上昇させて立ち上がり時間Trise経過
後には所望の通話音量となるような通話を実現してい
る。
【0070】而して、本実施形態は上述のように構成し
ているので、立ち上がり時間Triseを適当な値に設定す
ることで音声スイッチ10における総損失量の初期値を
低減できるため、通話開始後の総損失量算出部14が固
定モードで動作する期間において、損失量の切り換えに
伴う通話の切断感を低減することができる。例えば、図
14に示すように経過時間とともに利得Gが0から連続
して1まで単調増加するため、利得Gが不連続的にいき
なり値を変えることがないので、瞬時に接続が行われた
ときに感じるような不連続的違和感がなく、さらに通話
開始直後のハウリングを抑制できる。
【0071】(実施形態9)本実施形態は、図15に示
すように送話音量調整用増幅器G5の出力側に通話終了
時利得調整器41を設けるとともに、通話制御部20の
CPUに通話終了トリガ発生モジュール26を実装して
いる点に特徴があり、これ以外の構成及び動作について
は実施形態7と共通であるから、共通する構成要素には
同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0072】通話終了時利得調整器41は、通話制御部
20の通話終了トリガ発生モジュール26から通話終了
を表すトリガ信号(通話終了トリガ信号)を受信した
際、利得Gを1(すなわち、スルー状態)として動作
し、その後、図16に示すように時間tの経過とともに
直線的に利得Gを減少させ、所定時間(ミュート時間)
Tmuteが経過したら利得Gを0とする動作を行う。すな
わち、通話ボタン操作等による通話終了要求に応じた通
話終了トリガ信号が通話終了時利得調整器41に入力さ
れてからミュート時間Tmuteが経過した後、通話路制御
モジュール21により各部のスイッチやリレー等をオフ
して通話路を開放することができる。
【0073】而して、本実施形態は上述のように構成し
ているので、通話終了時にスピーカアンプG4に駆動電
源を与えて動作状態としたままで通話路を開放したとき
に生じるノイズ(所謂、ボツ音とかポップノイズと称さ
れる、略インパルス性のノイズ)を抑えることができ
る。
【0074】(実施形態10)本実施形態は、図17に
示すように通話制御部20のCPUに利得特性変更手段
たる利得変更モジュール27を実装するとともに、利得
指示手段たる通話音量調整スイッチを親機Mのハウジン
グ50に設けた点に特徴がある。
【0075】図18に示すように、親機Mのハウジング
50は合成樹脂により矩形箱型に形成され、実施形態6
で説明した音声スイッチ10、第1及び第2のエコーキ
ャンセラ30A,30B、通話制御部20等を内部に収
納するとともに、マイクロホン1並びにスピーカ2を前
面からその一部が露出するようにして収納している。ま
た、ドアホン子機Sからの呼出に応答して通話を開始す
るための通話ボタン51とともに、通話音量調整スイッ
チの操作部たるアップボタン52a並びにダウンボタン
52bがハウジング50の前面に配設されている。アッ
プボタン52a又はダウンボタン52bが押操作される
と通話制御部20の利得変更モジュール27に対して各
々の操作信号が入力され、利得変更モジュール27では
アップボタン52aの操作信号が入力される毎に送話音
量調整用増幅器G5の利得G[dB]を微少量Δ[d
B]だけ増大させ、ダウンボタン52bの操作信号が入
力される毎に送話音量調整用増幅器G5の利得Gを微少
量Δだけ減少させるものである。すなわち、本実施形態
では、送話音量調整用増幅器G5に用いる利得制御機能
付増幅器として、図19に示すように変曲点が1つであ
って出力信号レベルが上限値Lsatに制限されるような
入出力特性を有するものを用いており、アップボタン5
2aを押操作する毎に利得Gが微少量Δだけ増大して通
話音量が大きくなり、反対にダウンボタン52bを押操
作する毎に利得Gが微少量Δだけ減少して通話音量が小
さくなる。
【0076】而して、本実施形態は上述のように構成し
たものであるから、設定可能な通話音量の上限にはハウ
リングマージン等による制約が有るものの、通話音量の
下限については拡声通話システムの仕様に応じて所望の
値に設計することができる。すなわち、周囲の騒音レベ
ルが低い場合、例えば夜間の住宅街などにおいて使用す
る際に、ダウンボタン52bを操作して送話音量調整用
増幅器G5の利得Gを減少させ、通話音量を所望のレベ
ルまで下げることができるというように、時間帯や周囲
の状況に応じて通話音量を適切な値に簡単に調整するこ
とができるものである。
【0077】(実施形態11)図20は本実施形態の要
部を示すブロック図である。但し、実施形態1と共通す
る構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省
略する。
【0078】本実施形態は、受話信号に含まれる遠端側
(相手側の通話端末)の背景雑音レベルを推定する遠端
側背景雑音レベル推定部43と、送話信号に含まれる近
端側(マイクロホン1側)の背景雑音レベルを推定する
近端側背景雑音レベル推定部44と、遠端側背景雑音レ
ベル並びに近端側背景雑音レベルの各推定値に応じて送
話音量調整用増幅器G5及び受話音量調整用増幅器G6
の利得を調整する通話音量調整用利得制御部45とを、
第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30B並びに
音声スイッチ10を含む通話処理手段に備えた点に特徴
がある。すなわち、遠端側背景雑音レベル推定部43、
近端側背景雑音レベル推定部44並びに通話音量調整用
利得制御部45は第1及び第2のエコーキャンセラ30
A,30Bや音声スイッチ10とともにDSP等を用い
て実現される。
【0079】遠端側背景雑音レベル推定部43並びに近
端側背景雑音レベル推定部44は何れも、立ち上がりが
緩やかであり且つ立ち下がりが急峻な特性をもつ積分回
路又はデジタルフィルタ等によって実現され、遠端側背
景雑音レベル推定部43では受話音量調整用増幅器G6
から出力される受話信号中に定常的に存在する暗騒音
(背景雑音)レベルを推定し、近端側背景雑音レベル推
定部44では送話音量調整用増幅器G5から出力される
送話信号中に定常的に存在する背景雑音レベルを推定す
る。
【0080】通話音量調整用利得制御部45は、遠端側
背景雑音レベル推定部43による相手端末側の背景雑音
レベルの推定値PFnに応じて送話音量調整用増幅器G
5の利得を可変するとともに、近端側背景雑音レベル推
定部44によるマイクロホン1及びスピーカ2側の背景
雑音レベルの推定値PNnに応じて受話音量調整用増幅
器G6の利得を可変する。すなわち、推定値PFnが大
きいほど通話相手側における周囲騒音が大きいと考えら
れるから、この場合には通話音量調整用利得制御部45
が送話音量調整用増幅器G5の利得を増大させることで
送話信号の音量を大きくし、受聴者(相手端末を使用す
る通話者)に送話者(拡声通話装置を使用する通話者)
の声が聞き取り難くなるのを防止でき、反対に推定値P
Fnが小さいほど通話相手側における周囲騒音が小さい
と考えられるから、この場合には通話音量調整用利得制
御部45が送話音量調整用増幅器G5の利得を減少させ
ることで送話信号の音量を小さくし、周囲が静かな状況
で音量が大きすぎて受聴者に不快感を与えることを防止
できる。同様に、推定値PNnが大きいほど拡声通話装
置側における周囲騒音が大きいと考えられるから、この
場合には通話音量調整用利得制御部45が受話音量調整
用増幅器G6の利得を増大させることで受話信号の音量
を大きくし、受聴者(拡声通話装置を使用する通話者)
に送話者(相手端末を使用する通話者)の声が聞き取り
難くなるのを防止でき、反対に推定値PNnが小さいほ
ど拡声通話装置側における周囲騒音が小さいと考えられ
るから、この場合には通話音量調整用利得制御部45が
受話音量調整用増幅器G6の利得を減少させることで受
話信号の音量を小さくし、周囲が静かな状況で音量が大
きすぎて受聴者に不快感を与えることを防止できる。
【0081】(実施形態12)図21は本実施形態の要
部を示すブロック図である。但し、実施形態1並びに実
施形態11と共通する構成要素には同一の符号を付して
図示並びに説明を省略する。
【0082】本実施形態は、遠端側背景雑音レベル推定
部43と、近端側背景雑音レベル推定部44と、挿入損
失量分配処理部15(図示略)で監視している受話信号
を増幅する受話偏重モード設定用増幅器GRと、挿入損
失量分配処理部15で監視している送話信号を増幅する
送話偏重モード設定用増幅器GTと、遠端側背景雑音レ
ベル並びに近端側背景雑音レベルの各推定値に応じて受
話偏重モード設定用増幅器GR並びに送話偏重モード設
定用増幅器GTの各利得を調整する偏重モード制御部4
6とを、第1及び第2のエコーキャンセラ30A,30
B並びに音声スイッチ10を含む通話処理手段に備えた
点に特徴がある。
【0083】偏重モード制御部46は、遠端側背景雑音
レベルの推定値PFnが近端側背景雑音レベルの推定値
PNnよりも充分に大きい値であれば(PFn≫PN
n)、送話偏重モード設定用増幅器GTの利得をG[d
B]、受話偏重モード設定用増幅器GRの利得を0[d
B]とすることで音声スイッチ10を送話偏重モードに
設定し、近端側背景雑音レベルの推定値PNnが遠端側
背景雑音レベルの推定値PFnよりも充分に大きい値で
あれば(PNn≫PFn)、受話偏重モード設定用増幅
器GRの利得をG[dB]、送話偏重モード設定用増幅
器GTの利得を0[dB]とすることで音声スイッチ1
0を受話偏重モードに設定し、遠端側背景雑音レベルの
推定値PFnと近端側背景雑音レベルの推定値PNnの
差が充分に大きい値でなければ、受話偏重モード設定用
増幅器GR並びに送話偏重モード設定用増幅器GTの各
利得を0[dB]として音声スイッチ10を中立モード
に設定する。
【0084】すなわち、遠端側の周囲騒音レベルと近端
側の周囲騒音レベルとの差が大きい場合、送話信号及び
受話信号を監視して通話状態を推定する挿入損失量分配
処理部15では、例えば遠端側の周囲騒音レベルが大き
い状況においては常に受話状態と判定し、近端側の周囲
騒音レベルが大きい状況においては常に送話状態と判定
してしまい、実際の通話状態に関係なく、受話状態又は
送話状態の何れか一方に通話状態を固定してしまう現象
(所謂音声スイッチ10の片倒れ)が生じることがあ
る。
【0085】そこで本実施形態では、上述のように偏重
モード制御部46が遠端側背景雑音レベルの推定値PF
nと近端側背景雑音レベルの推定値PNnを比較し、遠
端側背景雑音レベルの推定値PFnの方が充分に大きい
場合は挿入損失量分配処理部15で監視する送話信号を
送話偏重モード設定用増幅器GTで利得G[dB]だけ
増幅することにより、挿入損失量分配処理部15が送話
状態と判定し易い状態(送話偏重モード)に設定し、反
対に近端側背景雑音レベルの推定値PNnの方が充分に
大きい場合は挿入損失量分配処理部15で監視する受話
信号を受話偏重モード設定用増幅器GRで利得G[d
B]だけ増幅することにより、挿入損失量分配処理部1
5が受話状態と判定し易い状態(受話偏重モード)に設
定することにより、音声スイッチ10の片倒れを抑制し
て音声スイッチ10の良好な切換特性を得ることができ
る。
【0086】(実施形態13)図22は本実施形態の要
部を示すブロック図である。但し、実施形態1並びに実
施形態12と共通する構成要素には同一の符号を付して
図示並びに説明を省略する。
【0087】本実施形態は、受話偏重モード設定用増幅
器GRと、送話偏重モード設定用増幅器GTと、受話偏
重モード設定用増幅器GR並びに送話偏重モード設定用
増幅器GTの各利得を調整することにより音声スイッチ
10を送話偏重モード、受話偏重モードあるいは中立モ
ードの何れかに設定する偏重モード制御部46とを、第
1及び第2のエコーキャンセラ30A,30B並びに音
声スイッチ10を含む通話処理手段に備えるとともに、
使用者によって操作可能な操作部47を有し、操作部4
7の操作に応じて音声スイッチ10の設定モードを偏重
モード制御部46に指示する指示手段を設けた点に特徴
がある。
【0088】図23(b)に示すように本実施形態は例
えばテレビモニタ付の親機MMとして構成され、ハウジ
ング60の前面下部にロータリスイッチ(図示せず)を
操作する操作部47が回動自在に配設されている。この
ロータリスイッチは3つの切換位置を有し、各切換位置
が送話偏重モード、受話偏重モード並びに中立モードに
対応させてある。そして、指示手段たる通話制御部20
がロータリスイッチの切換位置を監視し、各切換位置に
対応したモードを偏重モード制御部46に指示する。偏
重モード制御部46は通話制御部20から与えられる指
示に従って受話偏重モード設定用増幅器GR並びに送話
偏重モード設定用増幅器GTの各利得を制御し、音声ス
イッチ10を上記指示に応じた何れかのモードに設定す
る。
【0089】而して、通話方向が送話又は受話の何れか
に片倒れしていると使用者が判断した場合に操作部47
を操作して受話偏重モード又は送話偏重モードに設定す
ることで片倒れを解消することができる。
【0090】(実施形態14)図23は本実施形態の要
部を示すブロック図である。但し、実施形態1並びに実
施形態11と共通する構成要素には同一の符号を付して
図示並びに説明を省略する。
【0091】本実施形態は、遠端側背景雑音レベル推定
部43と、遠端側背景雑音レベルの推定値PFnが所定
値Pth以上の値であれば(PFn≧Pth)、総損失
量算出部14の動作モードを更新モードとし、遠端側背
景雑音レベルの推定値PFnが所定値Pthよりも大き
くない値であれば(PFn<Pth)、総損失量算出部
14の動作モードを固定モードとする動作モード切換制
御部48とを、第1及び第2のエコーキャンセラ30
A,30B並びに音声スイッチ10を含む通話処理手段
に備えた点に特徴がある。
【0092】すなわち、遠端側の周囲騒音レベルがある
程度低い状況ではマイクロホン1で集音される通話音声
以外の音、例えば本実施形態の拡声通話装置がハンズフ
リーインターホンの親機として構成されている場合にお
いては親機が設置されている室内の音が全て遠端側の通
話端末(ドアホン子器)に漏れる虞があるが、上述のよ
うに遠端側背景雑音レベルの推定値PFnが所定値Pt
hよりも大きくない値であれば動作モード切換制御部4
8が総損失量算出部14の動作モードを固定モードと
し、固定モードで動作する総損失量算出部14によって
充分に大きな値に設定される初期値の総損失量が閉ルー
プに挿入されるため、遠端側の通話端末における周囲騒
音のレベルが低い場合でも近端側の通話音声以外の音が
全て遠端側の通話端末に漏れることがなくなり、プライ
バシーの保護が図れる。
【0093】
【発明の効果】請求項1の発明は上述のように構成した
ものであり、通話開始直後の第1及び第2のエコーキャ
ンセラが収束していない状態においては、固定モードで
動作する総損失量算出部によって総損失量が充分に大き
い初期値に固定されるために不快なエコーやハウリング
の発生を抑制して安定した半二重通話が実現でき、第1
及び第2のエコーキャンセラが充分に収束した状態にお
いては、更新モードで動作する総損失量算出部によって
総損失量が随時更新されるために双方向の同時通話が実
現できるという効果がある。また、総損失量の初期値を
適切な値に設定することにより、通話音量調整用増幅手
段を含む増幅利得に対して制約が与えられないため、マ
イクロホンとスピーカとの位置関係や距離等の諸条件に
応じて実用上支障のない充分な通話音量が得られるよう
に増幅利得を設計することができるという効果がある。
【0094】請求項2の発明は、請求項1の発明の効果
に加えて、相手側通話端末との通話系に応じて初期値記
憶手段に記憶する初期値を変更するだけで請求項1の発
明と同様の効果を奏することが可能となる。
【0095】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明
の効果に加えて、適応フィルタのインパルス応答長より
も残響時間が長くなるような環境に設置される場合等に
おいて、総損失量算出部が固定モードの動作を継続する
ことで不快なエコーやハウリングを抑制することがで
き、安定した半二重通話が維持できるという効果があ
る。
【0096】請求項4の発明は、請求項1又は2又は3
の発明の効果に加えて、通話中にハウリングが生じても
総損失量算出部の動作モードを固定モードとすることで
直ちにハウリングを抑制し、安定した通話を再開するこ
とができるという効果がある。
【0097】請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか
の発明の効果に加えて、総損失量の所定時間当たりでの
増減量を抑えることにより、相手側通話端末との通話開
始直後のように第1及び第2のエコーキャンセラが収束
に向かって活発に係数を更新しているために音響側帰還
利得及び回線側帰還利得の変化が激しい状態において
も、聴感上の違和感をなくすことができるという効果が
ある。
【0098】請求項6の発明は、請求項5の発明の効果
に加えて、マイクロホンで集音されるエコー以外の成
分、すなわちダブルトークの成分の重畳により音響側帰
還利得及び回線側帰還利得の推定値の誤差が増大するの
を防ぐことができ、その結果、通話開始から双方向の同
時通話が可能となるまでに要する時間を第1及び第2の
エコーキャンセラが収束するのに要する時間程度にする
ことができるという効果がある。
【0099】請求項7の発明は、請求項1〜6の何れか
の発明の効果に加えて、例えば、微少あるいは過大なレ
ベルの騒音に相当する入力信号に対して利得を低減する
とともに音声のレベルに相当する入力信号に対して利得
を増加させることで音響側帰還利得及び回線側帰還利得
を低減しつつ適切な通話音量が得られるという効果があ
る。
【0100】請求項8の発明は、請求項7の発明の効果
に加えて、マイクロホンに過大なレベルの音が集音され
た場合でも、音割れや第1及び第2のエコーキャンセラ
の発散、あるいは音声スイッチにおける通話状態の誤推
定などを生じることなく、通話を継続することができる
という効果がある。
【0101】請求項9の発明は、請求項7又は8の発明
の効果に加えて、通話系の条件に応じてパラメータを変
更するだけで常に所望の通話音量が得られるという効果
がある。
【0102】請求項10の発明は、請求項7又は8又は
9の発明の効果に加えて、固定モードにおける総損失量
の初期値を低減することができるため、通話開始後の総
損失量算出部が固定モードで動作する期間において、損
失量の切り換えに伴う通話の切断感を低減することがで
きるという効果がある。
【0103】請求項11の発明は、請求項7〜10の何
れかの発明の効果に加えて、通話路を開放したときに発
生するノイズ(所謂、ボツ音)を抑えることができると
いう効果がある。
【0104】請求項12の発明は、請求項7又は8又は
9の発明の効果に加えて、周囲の騒音レベルが低い場
合、例えば夜間の住宅街などにおいて使用する際に、操
作部を操作して通話音量調整用増幅手段の利得を減少さ
せ、通話音量を所望のレベルまで下げることができると
いうように、時間帯や周囲の状況に応じて通話音量を適
切な値に簡単に調整することができるという効果があ
る。
【0105】請求項13の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、受話信号に含まれる遠端側の背
景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベル推定部
と、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベルを推定
する近端側背景雑音レベル推定部と、遠端側背景雑音レ
ベル並びに近端側背景雑音レベルの各推定値に応じて通
話音量調整用増幅手段の利得を調整する通話音量調整用
利得制御部とを備えたので、受聴者側の周囲騒音のレベ
ルに応じて通話音量調整用利得制御部にて通話音量が調
整されるため、周囲が騒がしい状況でも通話相手の声が
聞き取り難くなることがなく、且つ周囲が静かな状況で
は音量が大きすぎて不快感を招くことがないという効果
がある。
【0106】請求項14の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、受話信号に含まれる遠端側の背
景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベル推定部
と、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベルを推定
する近端側背景雑音レベル推定部と、挿入損失量分配処
理部で監視している受話信号を増幅する受話偏重モード
設定用増幅器と、挿入損失量分配処理部で監視している
送話信号を増幅する送話偏重モード設定用増幅器と、遠
端側背景雑音レベル並びに近端側背景雑音レベルの各推
定値に応じて受話偏重モード設定用増幅器並びに送話偏
重モード設定用増幅器の各利得を調整する偏重モード制
御部とを備え、偏重モード制御部は、遠端側背景雑音レ
ベルの推定値が近端側背景雑音レベルの推定値よりも充
分に大きい値であれば送話偏重モード設定用増幅器の利
得を受話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増大させ
て通話処理手段を送話偏重モードに設定し、近端側背景
雑音レベルの推定値が遠端側背景雑音レベルの推定値よ
りも充分に大きい値であれば受話偏重モード設定用増幅
器の利得を送話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増
大させて通話処理手段を受話偏重モードに設定し、遠端
側背景雑音レベルの推定値と近端側背景雑音レベルの推
定値の差が充分に大きい値でなければ受話偏重モード設
定用増幅器並びに送話偏重モード設定用増幅器の各利得
を略ゼロとして通話処理手段を中立モードに設定するの
で、遠端側の通話端末における周囲騒音のレベルと近端
側の拡声通話装置における周囲騒音のレベルとの差が大
きい場合でも周囲騒音のレベルが高い方に通話方向が片
倒れすることがなく、良好な切換特性が得られるという
効果がある。
【0107】請求項15の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、挿入損失量分配処理部で監視し
ている受話信号を増幅する受話偏重モード設定用増幅器
と、挿入損失量分配処理部で監視している送話信号を増
幅する送話偏重モード設定用増幅器と、受話偏重モード
設定用増幅器並びに送話偏重モード設定用増幅器の各利
得を調整することにより送話偏重モード設定用増幅器の
利得を受話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増大さ
せた送話偏重モード、受話偏重モード設定用増幅器の利
得を送話偏重モード設定用増幅器の利得よりも増大させ
た受話偏重モード、あるいは受話偏重モード設定用増幅
器並びに送話偏重モード設定用増幅器の各利得を略ゼロ
とした中立モードの何れかに通話処理手段を設定する偏
重モード制御部とを備え、使用者によって操作可能な操
作部を有し、操作部の操作に応じて通話処理手段の設定
モードを偏重モード制御部に指示する指示手段を設けた
ので、通話方向が送話又は受話の何れかに片倒れしてい
ると使用者が判断した場合に操作部を操作して片倒れを
解消することができるという効果がある。
【0108】請求項16の発明は、請求項1の発明にお
いて、通話処理手段は、受話信号に含まれる遠端側の背
景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベル推定部
と、遠端側背景雑音レベルの推定値が所定値以上の値で
あれば総損失量算出部の動作モードを更新モードとし、
遠端側背景雑音レベルの推定値が所定値よりも大きくな
い値であれば総損失量算出部の動作モードを固定モード
とする動作モード切換制御部とを備えたので、遠端側の
通話端末における周囲騒音のレベルが低い場合には総損
失量算出部を固定モードで動作させることで近端側の通
話音声以外の音が全て遠端側の通話端末に漏れることが
なくなり、プライバシーの保護が図れるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示すブロック図である。
【図2】同上の動作説明用のフローチャートである。
【図3】実施形態2を示すブロック図である。
【図4】同上を用いたハンズフリーインターホンシステ
ムのシステム構成図である。
【図5】実施形態3を示す一部省略したブロック図であ
る。
【図6】実施形態4を示すブロック図である。
【図7】同上の動作説明用のフローチャートである。
【図8】実施形態5を示す一部省略したブロック図であ
る。
【図9】実施形態6を示すブロック図である。
【図10】同上における通話音量調整用増幅器の入出力
特性を示す図である。
【図11】同上における通話音量調整用増幅器の他の入
出力特性を示す図である。
【図12】実施形態7を示すブロック図である。
【図13】実施形態8の要部を示すブロック図である。
【図14】同上の動作説明図である。
【図15】実施形態9の要部を示すブロック図である。
【図16】同上の動作説明図である。
【図17】実施形態10の要部を示すブロック図であ
る。
【図18】同上の正面図である。
【図19】同上の動作説明図である。
【図20】実施形態11の要部を示すブロック図であ
る。
【図21】実施形態12の要部を示すブロック図であ
る。
【図22】(a)は実施形態13の要部を示すブロック
図、(b)は親機の外観図である。
【図23】実施形態14の要部を示すブロック図であ
る。
【図24】従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 マイクロホン 2 スピーカ 10 音声スイッチ 13 挿入損失量制御部 14 総損失量算出部 15 損失量分配処理部 30A 第1のエコーキャンセラ 30B 第2のエコーキャンセラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 裕子 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 寺澤 章 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 5K027 AA09 BB03 DD07 DD10 HH01 5K038 AA07 CC02 CC06 DD02 FF10 FF13 5K046 HH11 HH13 HH16 HH18 HH31 HH45 HH71 HH77 HH79

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集音した音声を送話信号として出力す
    るマイクロホンと、マイクロホンからの送話信号を増幅
    する送話側増幅手段と、相手側の通話端末からの受話信
    号に応じて鳴動するスピーカと、スピーカへ出力される
    受話信号を増幅する受話側増幅手段と、相手側の通話端
    末との間で送話信号並びに受話信号の送信処理、受信処
    理を行う伝送処理手段と、ハウリングやエコーを抑制し
    て拡声通話を可能とする通話処理手段とを備えた拡声通
    話装置において、通話処理手段は、マイクロホンとスピ
    ーカの音響結合によって生じる音響エコーを消去する第
    1のエコーキャンセラと、相手側の通話端末における音
    響結合又は伝送処理手段における信号の回り込みによっ
    て生じる回線エコーを消去する第2のエコーキャンセラ
    と、第1及び第2のエコーキャンセラに挟まれた送話信
    号並びに受話信号の信号経路上に設けられる通話音量調
    整用増幅手段と、第1及び第2のエコーキャンセラの間
    に設けられ、音響エコー経路並びに回線エコー経路によ
    り形成される閉ループの一巡利得を低減してハウリング
    を抑制する音声スイッチとを有し、音声スイッチは、送
    話側の信号経路に損失を挿入する送話側損失挿入手段
    と、受話側の信号経路に損失を挿入する受話側損失挿入
    手段と、送話側及び受話側の各損失挿入手段から挿入す
    る損失量を制御する挿入損失量制御手段とを具備し、挿
    入損失量制御手段は、受話側損失挿入手段の出力点から
    音響エコー経路を介して送話側損失挿入手段の入力点へ
    帰還する経路の音響側帰還利得を推定するとともに、送
    話側損失挿入手段の出力点から回線エコー経路を介して
    受話側損失挿入手段の入力点へ帰還する経路の回線側帰
    還利得を推定し、音響側及び回線側の各帰還利得の推定
    値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出
    する総損失量算出部と、送話信号及び受話信号を監視し
    て通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の
    算出値に応じて送話側損失挿入手段及び受話側挿入損失
    手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処
    理部とからなり、総損失量算出部は、各帰還利得の推定
    値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出
    して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の
    初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有
    し、相手側通話端末との通話開始から第1及び第2のエ
    コーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固定モ
    ードで動作するとともに第1及び第2のエコーキャンセ
    ラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作する
    ことを特徴とする拡声通話装置。
  2. 【請求項2】 不揮発性の記憶装置からなり総損失量の
    初期値を記憶する初期値記憶手段と、相手側通話端末と
    の通話開始前に初期値記憶手段に記憶した総損失量の初
    期値を総損失量算出部へ設定する初期値設定手段とを備
    えたことを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  3. 【請求項3】 第1及び第2のエコーキャンセラは、エ
    コー経路の特性を適応的に同定する適応フィルタと、近
    端側の信号から適応フィルタの出力を減算する減算器
    と、遠端側の信号の瞬時パワーを推定する遠端信号パワ
    ー推定部と、ダブルトークを検出するダブルトーク検出
    部とを有し、遠端信号パワー推定部の推定値が遠端側の
    信号に音声成分が含まれると見なせる所定の閾値を超
    え、且つダブルトーク検出部によりダブルトークが検出
    されない状態でのみ適応フィルタの係数を更新するとと
    もに、その他の状態では適応フィルタの係数を固定し、
    通話開始後に適応フィルタの係数更新を行った累積時間
    をカウントする係数更新累積時間カウンタを設けてな
    り、総損失量算出部は、係数更新累積時間カウンタのカ
    ウント値が所定の閾値を超えても音響側帰還利得及び回
    線側帰還利得の各推定値の少なくとも何れか一方が所定
    の閾値以下とならない場合には更新モードに移行せずに
    固定モードの動作を継続することを特徴とする請求項1
    又は2記載の拡声通話装置。
  4. 【請求項4】 通話処理手段は、送話信号が単一周波数
    のトーン信号か否かを検出する送話信号シングルトーン
    検出器と、受話信号が単一周波数のトーン信号か否かを
    検出する受話信号シングルトーン検出器と、これら2つ
    のシングルトーン検出器の検出結果に基づいてハウリン
    グの有無を検出するハウリング検出部とを備え、ハウリ
    ング検出部にてハウリングを検出すると第1及び第2の
    エコーキャンセラが具備する適応フィルタの係数を初期
    化するとともに音声スイッチの総損失量算出部の動作モ
    ードを固定モードとすることを特徴とする請求項1又は
    2又は3記載の拡声通話装置。
  5. 【請求項5】 更新モードで動作する総損失量算出部
    は、音響側及び回線側の各帰還利得の推定値と利得余裕
    値とから総損失量所望値を求め、総損失量所望値が更新
    前の総損失量よりも大きければ総損失量を所定の増加量
    だけ増加した値に更新し、総損失量所望値が更新前の総
    損失量よりも小さければ総損失量を所定の減少量だけ減
    少させた値に更新するとともに、総損失量所望値が更新
    前の総損失量と等しければ総損失量を更新しないことを
    特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の拡声通話装
    置。
  6. 【請求項6】 第1及び第2のエコーキャンセラはダブ
    ルトークを検出するダブルトーク検出部を備え、挿入損
    失量制御手段は、挿入損失量分配処理部が送話状態と推
    定しているとき、あるいは第1のエコーキャンセラのダ
    ブルトーク検出部がダブルトークを検出しているときに
    は音響側帰還利得の推定値を更新せずにそれ以前の推定
    値を保持するとともに、挿入損失量分配処理部が受話状
    態と推定しているとき、あるいは第2のエコーキャンセ
    ラのダブルトーク検出部がダブルトークを検出している
    ときには回線側帰還利得の推定値を更新せずにそれ以前
    の推定値を保持することを特徴とする請求項5記載の拡
    声通話装置。
  7. 【請求項7】 通話音量調整用増幅手段は、入力信号の
    レベルに応じて利得を可変するとともに入力信号に対す
    る利得の特性が少なくとも1つの変曲点を有する利得制
    御機能付増幅器からなることを特徴とする請求項1〜6
    の何れかに記載の拡声通話装置。
  8. 【請求項8】 通話音量調整用増幅手段は、出力信号が
    所定のレベルを超えないような利得の特性を有すること
    を特徴とする請求項7記載の拡声通話装置。
  9. 【請求項9】 不揮発性の記憶装置からなり通話音量調
    整用増幅手段の特性を決定する1乃至複数のパラメータ
    を記憶するパラメータ記憶手段と、相手側通話端末との
    通話開始前にパラメータ記憶手段に記憶したパラメータ
    を通話音量調整用増幅手段に設定するパラメータ設定手
    段とを備えたことを特徴とする請求項7又は8記載の拡
    声通話装置。
  10. 【請求項10】 通話開始時には通話音量調整用増幅手
    段の利得を略零とし、その後、所定時間内で通話音量調
    整用増幅手段の利得を徐々に増加させる通話開始時利得
    調整手段を備えたことを特徴とする請求項7又は8又は
    9記載の拡声通話装置。
  11. 【請求項11】 通話を終了する際に所定時間内で通話
    音量調整用増幅手段の利得を徐々に減少させるとともに
    通話終了前に通話音量調整用増幅手段の利得を略零とす
    る通話終了時利得調整手段を備えたことを特徴とする請
    求項7〜10の何れかに記載の拡声通話装置。
  12. 【請求項12】 マイクロホン、送話側増幅手段、スピ
    ーカ、受話側増幅手段、伝送処理手段並びに通話処理手
    段を収納するハウジングと、通話中に通話音量調整用増
    幅手段の利得の増加及び減少を指示する利得指示手段
    と、利得指示手段の指示に応じて通話音量調整用増幅手
    段の利得の特性を変更する利得特性変更手段とを備え、
    利得指示手段は、ハウジングに対して外部から操作可能
    に設けられた操作部を有し、操作部の操作に応じて利得
    の増加又は減少を指示することを特徴とする請求項7又
    は8又は9記載の拡声通話装置。
  13. 【請求項13】 通話処理手段は、受話信号に含まれる
    遠端側の背景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベ
    ル推定部と、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベ
    ルを推定する近端側背景雑音レベル推定部と、遠端側背
    景雑音レベル並びに近端側背景雑音レベルの各推定値に
    応じて通話音量調整用増幅手段の利得を調整する通話音
    量調整用利得制御部とを備えたことを特徴とする請求項
    1記載の拡声通話装置。
  14. 【請求項14】 通話処理手段は、受話信号に含まれる
    遠端側の背景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベ
    ル推定部と、送話信号に含まれる近端側の背景雑音レベ
    ルを推定する近端側背景雑音レベル推定部と、挿入損失
    量分配処理部で監視している受話信号を増幅する受話偏
    重モード設定用増幅器と、挿入損失量分配処理部で監視
    している送話信号を増幅する送話偏重モード設定用増幅
    器と、遠端側背景雑音レベル並びに近端側背景雑音レベ
    ルの各推定値に応じて受話偏重モード設定用増幅器並び
    に送話偏重モード設定用増幅器の各利得を調整する偏重
    モード制御部とを備え、偏重モード制御部は、遠端側背
    景雑音レベルの推定値が近端側背景雑音レベルの推定値
    よりも充分に大きい値であれば送話偏重モード設定用増
    幅器の利得を受話偏重モード設定用増幅器の利得よりも
    増大させて通話処理手段を送話偏重モードに設定し、近
    端側背景雑音レベルの推定値が遠端側背景雑音レベルの
    推定値よりも充分に大きい値であれば受話偏重モード設
    定用増幅器の利得を送話偏重モード設定用増幅器の利得
    よりも増大させて通話処理手段を受話偏重モードに設定
    し、遠端側背景雑音レベルの推定値と近端側背景雑音レ
    ベルの推定値の差が充分に大きい値でなければ受話偏重
    モード設定用増幅器並びに送話偏重モード設定用増幅器
    の各利得を略ゼロとして通話処理手段を中立モードに設
    定することを特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
  15. 【請求項15】 通話処理手段は、挿入損失量分配処理
    部で監視している受話信号を増幅する受話偏重モード設
    定用増幅器と、挿入損失量分配処理部で監視している送
    話信号を増幅する送話偏重モード設定用増幅器と、受話
    偏重モード設定用増幅器並びに送話偏重モード設定用増
    幅器の各利得を調整することにより送話偏重モード設定
    用増幅器の利得を受話偏重モード設定用増幅器の利得よ
    りも増大させた送話偏重モード、受話偏重モード設定用
    増幅器の利得を送話偏重モード設定用増幅器の利得より
    も増大させた受話偏重モード、あるいは受話偏重モード
    設定用増幅器並びに送話偏重モード設定用増幅器の各利
    得を略ゼロとした中立モードの何れかに通話処理手段を
    設定する偏重モード制御部とを備え、使用者によって操
    作可能な操作部を有し、操作部の操作に応じて通話処理
    手段の設定モードを偏重モード制御部に指示する指示手
    段を設けたことを特徴とする請求項1記載の拡声通話装
    置。
  16. 【請求項16】 通話処理手段は、受話信号に含まれる
    遠端側の背景雑音レベルを推定する遠端側背景雑音レベ
    ル推定部と、遠端側背景雑音レベルの推定値が所定値以
    上の値であれば総損失量算出部の動作モードを更新モー
    ドとし、遠端側背景雑音レベルの推定値が所定値よりも
    大きくない値であれば総損失量算出部の動作モードを固
    定モードとする動作モード切換制御部とを備えたことを
    特徴とする請求項1記載の拡声通話装置。
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