JP3903933B2 - 通話装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターホン子器との間で通話するインターホン親機のような通話装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、宅外の玄関先に設置されたインターホン子器と、通話線によりインターホン子器に接続されるとともに宅内に設置されたインターホン親機(通話装置)とで構成されるインターホンシステムが住宅や事務所などで用いられている。さらに、留守中にインターホン子器から呼出があった場合に予め登録されている宅外の通話端末(例えば、携帯電話機など)に対してインターホン子器との通話音声を転送する機能を持ったインターホンシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−374359号公報(第4−6頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、転送機能付きの上記従来例においては、インターホン親機と宅外通話端末との間の伝送損失による音量の変動、並びにインターホン子器で通話する来訪者の発声音量の変動が通話者に不快感を与えて通話品質を低下させていた。また、通話者が発した音声の一部がスピーカからマイクロホンヘの音響結合や伝送路との間のインピーダンスの不整合によって生じる反射などが原因で再び受話信号と重畳して帰還することがあり、この帰還成分のレベルが大きい場合には、不快なエコーとして通話者に聴こえて不快感を与えて通話品質を低下させていた。さらに、上記帰還により通話系に閉ループが形成され、閉ループの一巡利得が1倍を超える周波数成分が存在する場合には、その周波数においてハウリングを生じ、安定した通話を継続することが不可能となる虞があった。
【0005】
このような課題に対し、伝送損失や発声音量の変動を調整する自動利得制御機能付きの増幅器を用いて音量の調整を行うものがあったが、伝送損失や音量の変動が大きい場合に上記増幅器の利得が非常に大きくなってエコー成分を増幅してしまうことになる。また、エコーやハウリングを抑制する方法として音声スイッチが一般に用いられているが、上述のような自動利得制御機能付きの増幅器を使用している場合に音声スイッチへの入力信号が常に一定のレベルとなり、音声スイッチにおける受話と送話の切換が困難となる。また、インターホン子器と宅外通話端末で同時に発声された場合、何れか一方の音声が音声スイッチによって減衰してしまい、相手側で受聴できない虞がある。したがって、インターホン子器あるいは宅外通話端末の周囲騒音レベルが高く且つ話者の音声レベルが低い場合には相手の音声が受聴できなくなることも考えられる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、インターホン子器と転送先の宅外通話端末との間で行う通話の通話品質を向上させた通話装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第1の通話音量調整用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第1の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第1の音声検出手段で音声が検出されているときには第2の損失挿入手段における挿入損失量を第1の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくし、第1の音声検出手段は、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値を第1の通話音量調整用増幅手段における利得に応じて調整することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第1の通話音量調整用増幅手段への入力から分岐させた通話信号を増幅する第1の入力用増幅手段と、第1の入力用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第1の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第1の音声検出手段で音声が検出されているときには第2の損失挿入手段における挿入損失量を第1の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくするとともに、第2の2線− 4線変換手段と宅外の通話端末との間の伝送損失を検出する伝送損失検出手段を備え、第1の入力用増幅手段は、伝送損失検出手段で検出する伝送損失に応じて利得を調整することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、上記目的を達成するために、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けるとともに、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第2の通話音量調整用増幅手段を第1の2線−4線変換手段から第1の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第2の通話音量調整用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第2の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第2の音声検出手段で音声が検出されているときには第1の損失挿入手段における挿入損失量を第2の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくし、第2の音声検出手段は、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値を第2の通話音量調整用増幅手段における利得に応じて調整することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、上記目的を達成するために、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けるとともに、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第2の通話音量調整用増幅手段を第1の2線−4線変換手段から第1の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第2の通話音量調整用増幅手段への入力から分岐させた通話信号を増幅する第2の入力用増幅手段と、第2の入力用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第2の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量 制御手段は、第2の音声検出手段で音声が検出されているときには第1の損失挿入手段における挿入損失量を第2の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくするとともに、第1の2線−4線変換手段から出力される通話信号のレベルを検出する音量検出手段を備え、第2の入力用増幅手段は、音量検出手段で検出する通話信号のレベルに応じて利得を調整することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、挿入損失量制御手段は、第2の損失挿入手段の出力点からインターホン子器側の帰還経路を介して第1の損失挿入手段の入力点へ帰還する第1の帰還経路における第1の帰還利得を推定する第1の帰還利得推定手段と、第1の損失挿入手段の出力点から宅外の通話端末側の帰還経路を介して第2の損失挿入手段の入力点へ帰還する第2の帰還経路における第2の帰還利得を推定する第2の帰還利得推定手段と、第1及び第2の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、通話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて第1及び第2の挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを備え、総損失量算出部は、第1及び第2の帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、インターホン子器と宅外の通話端末との通話開始から第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の実施形態と基本的な構成が共通である参考例について説明する。
【0013】
(参考例)
本参考例の通話装置をインターホン親機Aとするインターホンシステムのシステム構成図を図2に示す。
【0014】
宅外の玄関先等に設置されたインターホン子器Bと、宅内に設置されたインターホン親機Aとが2線の通話線Lsで接続されるとともに、宅内に設置された一般の電話機Dがインターホン親機Aに接続され、さらに宅内に配線された電話線Ltを通じてインターホン親機Aが公衆電話回線網Nに接続されている。なお、電話機Dでは、インターホン親機Aから公衆電話回線網Nを介して、携帯電話機等の宅外通話端末Cに発呼及び着呼が可能である。
【0015】
インターホン親機Aは、マイクロホン1及びスピーカ2と、公衆電話回線網Nを通して宅外通話端末Cにインターホン子器Bとの通話音声を転送する転送手段たる電話インタフェース部3と、インターホン子器Bと宅外通話端末Cとの間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理部4と、通話線Lsと通話処理部4の間に設けられる第1の2線−4線変換部5と、電話インタフェース部3と通話処理部4の間に設けられる第2の2線−4線変換部6と、通話処理部4をマイクロホン1及びスピーカ2と第2の2線−4線変換部6に択一的に切り換えて接続する切換接続部7と、インターホン親機Aの全体的な制御を行う制御部8とを備えている。
【0016】
制御部8はCPUを主構成要素とし、インターホン子器Bで呼出釦(図示せず)が操作されたときに通話線Lsを通じて送信される呼出信号を検出し、スピーカ2から呼出音を鳴動させ、家人が応答釦(図示せず)を操作すれば通話処理部4を起動してインターホン子器Bとの通話を開始させる機能、切換接続部7を制御して通話処理部4をマイクロホン1及びスピーカ2と第2の2線−4線変換部6に択一的に切換接続する機能、後述するように転送モードに設定されているときにインターホン子器Bからの呼出信号を検出するとメモリに格納されている転送先の電話番号に対して電話インタフェース部3により発呼する機能などを有している。なお、切換接続部7により通話処理部4をマイクロホン1及びスピーカ2に接続する通常モードと、通話処理部4を第2の2線−4線変換部6に接続する転送モードとの切り換えは、図示しない転送設定釦が操作されたときに制御部8で行われる。
【0017】
次に、図1を参照して通話処理部4の構成を説明する。
【0018】
通話処理部4は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチ20と、インターホン子器Bにおける音響結合又は第1の2線−4線変換部5における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラ9と、スピーカ2−マイクロホン1間の音響結合若しくは宅外通話端末Cにおける音響結合又は第2の2線−4線変換部6における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラ10とを具備する。但し、11〜14はそれぞれ信号経路上に挿入された増幅器である。
【0019】
図示は省略しているが、第1及び第2のエコーキャンセラ9,10は適応フィルタと減算器からなる従来周知の構成を有し、上記音響結合により形成される帰還経路のインパルス応答を適応フィルタにより適応的に同定し、参照信号(音声スイッチ20から出力される通話信号)から推定したエコー成分を減算器により各々の入力信号(通話信号)から減算することでエコー成分を相殺して消去するものである。
【0020】
また音声スイッチ20は、インターホン子器Bから宅外通話端末Cへの信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入部21と、宅外通話端末Cからインターホン子器Bへの信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入部22と、第1及び第2の損失挿入部21,22から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御部23と、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有し、第2の2線−4線変換部6から第2の損失挿入部22までの信号経路上に設けられた第1の通話音量調整用増幅部24と、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有し、第1の2線−4線変換部5から第1の損失挿入部21までの信号経路上に設けられた第2の通話音量調整用増幅部25とを具備する。
【0021】
挿入損失量制御部23は、第2の損失挿入部22の出力点からインターホン子器B側の帰還経路を介して第1の損失挿入部21の入力点へ帰還する第1の帰還経路H1における第1の帰還利得を推定するとともに、第1の損失挿入部21の出力点から宅外通話端末C側の帰還経路を介して第2の損失挿入部22の入力点へ帰還する第2の帰還経路H2における第2の帰還利得を推定し、第1及び第2の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部23Aと、通話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部23Aの算出値に応じて第1及び第2の挿入損失部21,22の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部23Bとを備えている。
【0022】
総損失量算出部23Aでは、整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて第1の損失挿入部21の入力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて第2の損失挿入部22の出力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、第1の帰還経路H1にて想定される最大遅延時間において第2の損失挿入部22の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で第1の損失挿入部21の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を第1の帰還利得の推定値とするとともに、整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて第2の損失挿入部22の入力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、同じく整流平滑器や低域通過フィルタ等を用いて第2の損失挿入部22の入力信号の短時間における時間平均パワーを推定し、第2の帰還経路にて想定される最大遅延時間において第1の損失挿入部21の出力信号の時間平均パワーの推定値の最小値を求め、この最小値で第2の損失挿入部22の入力信号の時間平均パワーの推定値を除算した値を第2の帰還利得の推定値とする。そして、総損失量算出部23Aは第1の帰還利得及び第2の帰還利得の各推定値から所望の利得余裕を得るために必要な総損失量を算出し、その値を挿入損失量分配処理部23Bに出力する。
【0023】
挿入損失量分配処理部23Bでは、第1の損失挿入部21の入出力信号及び第2の損失挿入部22の入出力信号を監視し、これらの信号のパワーレベルの大小関係などから通話状態(例えば、宅外通話端末Cからみた受話状態、送話状態等)を判定するとともに、判定された通話状態に応じた割合で総損失量を分配して第1の損失挿入部21と第2の損失挿入部22から各信号経路に挿入させる。
【0024】
第1及び第2の通話音量調整用増幅部24,25は、入力信号のレベルに応じて利得(増幅度)を自動的に変化させる機能(自動利得制御機能)を有しており、入力信号のレベルが高くなるにつれて利得を小さくすることにより、入力信号のレベルが変動しても出力信号のレベルをほぼ一定に保つことができる。
【0025】
次に本参考例におけるインターホン親機Aの基本的な動作を説明する。まず、家人が在宅している場合などでは通常モードに設定され、制御部8が切換接続部7を制御して通話処理部4をマイクロホン1及びスピーカ2に接続している。この状態で来訪者がインターホン子器Bの呼出釦を操作すると、制御部8はインターホン子器Bから通話線Lsを通じて送信される呼出信号を検出し、スピーカ2から呼出音を鳴動させる。そして、この呼出音に応じて家人がインターホン親機Aの応答釦を操作すれば、制御部8が通話処理部4を起動してインターホン子器Bとの通話を開始させる。
【0026】
一方、インターホン親機Aの転送設定釦(図示せず)が操作されると、制御部8は切換接続部7を制御して通話処理部4を第2の2線−4線変換部6に接続して転送モードに設定される。そして、転送モードに設定されているときにインターホン子器Bからの呼出信号を検出すると、制御部8は予めメモリに格納されている転送先の電話番号(例えば、外出した家人が携帯している携帯電話機や家人の外出先に設置されている電話機の電話番号)に対して電話インタフェース部3により発呼する。そして、転送先の宅外通話端末(上記携帯電話機や電話機など)Cが応答してインターホン親機Aと宅外通話端末Cとの間で公衆電話回線網Nを介して回線が閉結された後、制御部8が通話処理部4を起動してインターホン子器Bと宅外通話端末Cとの間でインターホン親機Aを介して通話(以下、「転送通話」と呼ぶ)が可能になる。
【0027】
ここで、上記転送通話時における通話音量はインターホン親機Aと宅外通話端末Cとの間の伝送経路における伝送損失によって影響を受け、伝送損失が大きくなるにつれて宅外通話端末Cから伝送される通話信号(インターホン子器Bから見た受話信号)のレベルが低下して音量が小さくなってしまう場合がある。しかしながら、本参考例ではインターホン親機Aの音声スイッチ20に自動利得制御機能を有する第1の通話音量調整用増幅部24が設けてあるため、伝送損失が大きくて通話信号のレベルが低い場合には利得が大きくなり、反対に伝送損失が小さくて通話信号のレベルが高い場合には利得が小さくなることから、第1の通話音量調整用増幅部24で増幅された後の通話信号のレベルがほぼ一定に保たれることになる。その結果、インターホン子器Bでは伝送損失の影響をほとんど受けずに宅外通話端末Cからの通話音声を常にほぼ一定の音量で聞くことができる。
【0028】
また、インターホン子器Bで通話する来訪者には大きな声で話す人もいれば、小さな声で話す人もおり、通話者(来訪者)の声の大きさ(発声音量)によって影響を受け、発声音量が小さくなるにつれてインターホン子器Bから宅外通話端末Cに伝送される通話信号(宅外通話端末Cからみた受話信号)のレベルが低下して音量が小さくなってしまう場合がある。しかしながら、本参考例ではインターホン親機Aの音声スイッチ20に自動利得制御機能を有する第2の通話音量調整用増幅部25が設けてあるため、インターホン子器Bの発声音量が小さくて通話信号のレベルが低い場合には利得が大きくなり、反対に発声音量が大きくて通話信号のレベルが高い場合には利得が小さくなることから、第2の通話音量調整用増幅部25で増幅された後の通話信号のレベルがほぼ一定に保たれることになる。その結果、宅外通話端末Cではインターホン子器Bにおける発声音量の影響をほとんど受けずに通話音声を常にほぼ一定の音量で聞くことができる。
【0029】
一方、上述のように自動利得制御を有する第1及び第2の通話音量調整用増幅部24,25では信号経路上のエコー成分も増幅してしまうことになるが、本参考例では音声スイッチ20と第1及び第2の2線−4線変換部5,6との間に第1及び第2のエコーキャンセラ9,10を設けているため、第1及び第2のエコーキャンセラ9,10によって第1及び第2の帰還経路のエコー成分を各々相殺して閉ループを断ち切るために不快なエコーやハウリングが抑制でき、第1及び第2の通話音量調整用増幅部24,25で不要なエコー成分が増幅されることがなく、インターホン子器Bと宅外通話端末Cとの間で行う通話の通話品質を向上させることができる。
【0030】
(実施形態1)
図3は本実施形態における通話処理部4を示すブロック図である。但し、基本的な構成は参考例と共通であるので、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態では、第1の通話音量調整用増幅部24から出力される通話信号が音声か否かを検出する第1の音声検出部26と、第2の通話音量調整用増幅部25から出力される通話信号が音声か否かを検出する第2の音声検出部27とを音声スイッチ20に具備している。
【0032】
第1の音声検出部26は、第2の損失挿入部22へ入力する通話信号(以下、「入力信号」と呼ぶ)の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部(図示せず)と、入力信号に含まれる背景雑音(定常雑音)成分のパワーを推定する背景雑音パワー推定部(図示せず)と、瞬時パワー推定部で推定される瞬時パワー推定値並びに背景雑音パワー推定部で推定される背景雑音パワー推定値に基づいて入力信号が音声信号であるか非音声信号であるかを判定し、判定結果が更新されるまで前回の判定結果を保持する音声/非音声判定部(図示せず)とを具備する。
【0033】
瞬時パワー推定部は、立ち上がりが急峻であり、且つ立ち下がりが緩やかな特性をもつ積分回路又はデジタルフィルタによって構成される。また、背景雑音パワー推定部は、立ち上がりが緩やかであり、且つ立ち下がりが急峻な特性をもつ積分回路又はデジタルフィルタによって構成される。なお、背景雑音パワー推定部は入力信号を参照して逐次背景雑音パワー推定値を更新し、更新するまでは前の推定値を保持している。
【0034】
一方音声/非音声判定部は、例えば、瞬時パワー推定部から出力される瞬時パワー推定値を所定のしきい値δ1と比較し、瞬時パワー推定値と背景雑音パワー推定部から出力される背景雑音パワー推定値との比を所定のしきい値δ2と比較するとともに、瞬時パワー推定値がしきい値δ1よりも大きく、且つ前記比がしきい値δ2よりも大きい場合に音声信号と判定し、その他の場合に非音声信号と判定する。ここで、しきい値δ1は音声信号の最小レベルを規定するしきい値であり、しきい値δ2は音声信号レベルと背景雑音レベルとの最小比を規定するしきい値である。
【0035】
第2の音声検出部27も第1の音声検出部26と同様の構成を有するものであって、第1の損失挿入部21へ入力する通話信号(以下、「入力信号」と呼ぶ)の瞬時パワーを推定する瞬時パワー推定部(図示せず)と、入力信号に含まれる背景雑音(定常雑音)成分のパワーを推定する背景雑音パワー推定部(図示せず)と、瞬時パワー推定部で推定される瞬時パワー推定値並びに背景雑音パワー推定部で推定される背景雑音パワー推定値に基づいて入力信号が音声信号であるか非音声信号であるかを判定し、判定結果が更新されるまで前回の判定結果を保持する音声/非音声判定部(図示せず)とを具備する。なお、瞬時パワー推定部、背景雑音パワー推定部並びに音声/非音声判定部は第1の音声検出部26と共通であるから説明は省略する。
【0036】
而して、挿入損失量制御部23では、第1の音声検出部26で音声が検出されているときには挿入損失量分配処理部23Bが第2の損失挿入部22における挿入損失量を第1の損失挿入部21における挿入損失量よりも小さくしてインターホン子器Bの受話状態(宅外通話端末Cの送話状態)とし、第2の音声検出部27で音声が検出されているときには挿入損失量分配処理部23Bが第1の損失挿入部21における挿入損失量を第2の損失挿入22における挿入損失量よりも小さくしてインターホン子器Bの送話状態(宅外通話端末Cの受話状態)としている。
【0037】
したがって、第1の音声検出部26で宅外通話端末Cからインターホン子器Bへの通話信号が音声と検出した場合には挿入損失量制御部23が第2の損失挿入部22における挿入損失量を第1の損失挿入部21における挿入損失量よりも小さくして宅外通話端末Cで発声された音声をインターホン子器Bで受聴する受話状態となるから、通話信号に周囲騒音が混在していても挿入損失量制御部23が通話状態を誤ってインターホン子器Bからみた送話状態とする可能性が低くなり、通話品質を向上させることができる。同様に、第2の音声検出部27でインターホン子器Bから宅外通話端末Cへの通話信号が音声と検出した場合には挿入損失量制御部23が第1の損失挿入部21における挿入損失量を第2の損失挿入部22における挿入損失量よりも小さくしてインターホン子器Bで発声された音声を宅外通話端末Cで受聴する送話状態となるから、通話信号に周囲騒音が混在していても挿入損失量制御部23が通話状態を誤ってインターホン子器Bからみた受話状態とする可能性が低くなり、通話品質を向上させることができる。
【0038】
ここで第1の音声検出部26では、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値δ1,δ2を第1の通話音量調整用増幅部24の利得に応じて調整している。つまり、第1の通話音量調整用増幅部24の利得が大きい場合には元々小さいレベルのノイズまでもが増幅されている可能性があるため、しきい値δ1,δ2を高めに設定することで増幅されたノイズの影響を低減して音声信号の検出精度を向上させることができる。同様に第2の音声検出部27では、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値δ1,δ2を第2の通話音量調整用増幅部25の利得に応じて調整している。つまり、第2の通話音量調整用増幅部25の利得が小さい場合には元々大きいレベルの音声信号までもがレベルダウンしている可能性があるため、しきい値δ1,δ2を低めに設定しても騒音の影響を低減して音声信号の検出精度を向上させることができる。
【0039】
(実施形態2)
図4は本実施形態における通話処理部4を示すブロック図である。但し、基本的な構成は実施形態1と共通であるので、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
実施形態1では第1及び第2の音声検出部26,27がそれぞれ第1及び第2の通話音量調整用増幅部24,25で増幅された通話信号を参照して音声信号の検出を行っているのに対し、本実施形態では、第1及び第2の通話音量調整用増幅部24,25への入力から分岐させた通話信号を各々増幅する第1及び第2の入力用増幅部28,29を音声スイッチ20に具備し、第1及び第2の音声検出部26,27ではそれぞれ第1及び第2の入力用増幅部28,29で増幅された通話信号を参照して音声信号の検出を行っている点に特徴がある。
【0041】
而して、第1及び第2の音声検出部26,27が各々第1及び第2の通話音量調整用増幅部24,25で増幅されていない通話信号から音声信号を検出するため、実施形態1のように第1及び第2の通話音量調整用増幅部24,25によってほぼ一定に保たれている通話信号から音声信号を検出する場合に比較して、宅外通話端末Cやインターホン子器Bにおける音量変動に応じて通話状態を正確に切り換えることができる。
【0042】
また本実施形態においては、第2の2線−4線変換部6と宅外通話端末Cとの間の伝送損失を検出する伝送損失検出部30と、第1の2線−4線変換部5から出力される通話信号のレベルを検出する音量検出部31とを備え、第1の入力用増幅部28が、伝送損失検出部30で検出する伝送損失に応じて利得を調整するとともに、第2の入力用増幅部29が、音量検出部31で検出する通話信号のレベルに応じて利得を調整するようにしている。したがって、伝送損失のレベルに応じて第1の音声検出部26への入力信号が適度なレベルとなるように第1の入力用増幅部28の利得を調整することにより、第1の音声検出部26における音声の検出精度が向上できる。同じく、インターホン子器Bにおける発声音量に応じて第2の音声検出部27への入力信号が適度なレベルとなるように第2の入力用増幅部29の利得を調整することにより、例えばインターホン子器Bにおける発声音量が大きくても小さくても第2の音声検出部27へは適度なレベルの信号が入力されるため、第2の音声検出部27における音声の検出精度が向上できる。
【0043】
(実施形態3)
図5は本実施形態における通話処理部4を示すブロック図である。但し、基本的な構成は実施形態2と共通であるので、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、第2の損失挿入部22の出力点からインターホン子器B側の帰還経路を介して第1の損失挿入部21の入力点へ帰還する第1の帰還経路H1における第1の帰還利得を推定する第1の帰還利得推定部32と、第1の損失挿入部21の出力点から宅外通話端末C側の帰還経路を介して第2の損失挿入部22の入力点へ帰還する第2の帰還経路H2における第2の帰還利得を推定する第2の帰還利得推定部33と、第1及び第2の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部23A’と、通話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部23A’の算出値に応じて第1及び第2の挿入損失部21,22の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部23Bとを備えている。但し、参考例並びに実施形態1〜2と同様に第1及び第2の帰還利得推定部32,33の機能を総損失量算出部23Aに持たせることも勿論可能である。
【0045】
本実施形態は、総損失量算出部23A’が第1及び第2の帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、インターホン子器Bと宅外通話端末Cとの通話開始から第1及び第2のエコーキャンセラ9,10が充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに第1及び第2のエコーキャンセラ9,10が充分に収束した後の期間には更新モードで動作する点に特徴がある。
【0046】
すなわち、総損失量算出部23A’では第1及び第2の帰還利得の推定値がともに通話開始から所定時間(数百ミリ秒)以上継続して所定の閾値(例えば、通話開始時における各推定値に対して10dB〜15dB小さい値)を下回った時点で第1及び第2のエコーキャンセラ9,10が充分に収束したものとみなし、上記時点以前には総損失量を初期値に固定する固定モードで動作し、上記時点以降には各推定値に基づいて総損失量を適応更新する更新モードに動作モードを切り換える。なお、固定モードにおける総損失量の初期値は更新モードにおいて随時更新される総損失量よりも充分に大きな値に設定される。
【0047】
而して、通話開始直後の第1及び第2のエコーキャンセラ9,10が充分に収束していない状態においては、固定モードで動作する総損失量算出部23A’によって充分に大きな値に設定される初期値の総損失量が閉ループに挿入されるため、不快なエコーやハウリングの発生を抑制して安定した半二重通話を実現することができる。また、通話開始から時間が経過して第1及び第2のエコーキャンセラ9,10が充分に収束した状態においては、総損失量算出部23A’の動作モードが固定モードから更新モードに切り換わって閉ループに挿入する総損失量が初期値よりも充分に低い値に減少するため、双方向の同時通話が実現できるものである。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明は、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第1の通話音量調整用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第1の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第1の音声検出手段で音声が検出されているときには第2の損失挿入手段における挿入損失量を第1の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくし、第1の音声検出手段は、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値を第1の通話音量調整用増幅手段における利得に応じて調整することを特徴とし、第1及び第2のエコーキャンセラによって帰還経路のエコー成分を相殺して閉ループを断ち切るために不快なエコーやハウリングが抑制でき、しかも、伝送損失が変動しても第1の通話音量調整用増幅手段により宅外の通話端末からインターホン子器への通話の音量をほぼ一定に保つことができるとともに、第1及び第2のエコーキャンセラでエコー成分が相殺されているから第1の通話音量調整用増幅手段で不要なエコー成分が増幅されることがなく、インターホン子器と転送先の宅外通話端末との間で行う通話の通話品質を向上させることができる。また、第1の音声検出手段で宅外の通話端末からインターホン子器への通話信号が音声と検出した場合には挿入損失量制御手段が第2の損失挿入手段における挿入損失量を第1の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくして宅外の通話端末で発声された音声をインターホン子器で受聴する受話状態となるから、通話信号に周囲騒音が混在していても挿入損失量制御手段が通話状態を誤って送話状態とする可能性が低くなり、通話品質を向上させることができ、さらに、第1の音声検出手段における音 声の検出精度が向上する。
【0049】
請求項2の発明は、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第1の通話音量調整用増幅手段への入力から分岐させた通話信号を増幅する第1の入力用増幅手段と、第1の入力用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第1の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第1の音声検出手段で音声が検出されているときには第2の損失挿入手段における挿入損失量を第1の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくするとともに、第2の2線−4線変換手段と宅外の通話端末との間の伝送損失を検出する伝送損失検出手段を備え、第1の入力用増幅手段は、伝送損失検出手段で検出する伝送損失に応じて利得を調整することを特徴とし、第1及び第2のエコーキャンセラによって帰還経路のエコー成分を相殺して閉ループを断ち切るために不快なエコーやハウリングが抑制でき、しかも、伝送損失が変動しても第1の通話音量調整用増幅手段により宅外の通話端末からインターホン子器への通話の音量をほぼ一定に保つことができるとともに、第1及び第2のエコーキャンセラでエコー成分が相殺されているから第1の通話音量調整用増幅手段で不要なエコー成分が増幅されることがなく、インターホン子器と転送先の宅外通話端末との間で行う通話の通話品質を向上させることができる。また、第1の音声検出手段が第1の通話音量調整用増幅手段で増幅されていない通話信号から音声を検出するため、音声スイッチでは宅外の通話端末における音量変動に応じて通話状態を正確に切り換えることができ、さらに、第1の音声検出手段における音声の検出精度が向上する。
【0050】
請求項3の発明は、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベ ルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けるとともに、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第2の通話音量調整用増幅手段を第1の2線−4線変換手段から第1の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第2の通話音量調整用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第2の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第2の音声検出手段で音声が検出されているときには第1の損失挿入手段における挿入損失量を第2の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくし、第2の音声検出手段は、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値を第2の通話音量調整用増幅手段における利得に応じて調整することを特徴とし、第1及び第2のエコーキャンセラによって帰還経路のエコー成分を相殺して閉ループを断ち切るために不快なエコーやハウリングが抑制でき、しかも、伝送損失が変動しても第1の通話音量調整用増幅手段により宅外の通話端末からインターホン子器への通話の音量をほぼ一定に保つことができるとともに、第1及び第2のエコーキャンセラでエコー成分が相殺されているから第1の通話音量調整用増幅手段で不要なエコー成分が増幅されることがなく、インターホン子器と転送先の宅外通話端末との間で行う通話の通話品質を向上させることができる。また、インターホン子器における発声音量が変動しても第2の通話音量調整用増幅手段によりインターホン子器から宅外の通話端末への通話の音量をほぼ一定に保つことができるとともに、第1及び第2のエコーキャンセラでエコー成分が相殺されているから第2の通話音量調整用増幅手段で不要なエコー成分が増幅されることがなく、インターホン子器と転送先の宅外通話端末との間で行う通話の通話品質を向上させることができる。さらに、第2の音声検出手段でインターホン子器から宅外の通話端末への通話信号が音声と検出した場合には挿入損失量制御手段が第1の損失挿入手段における挿入損失量を第2の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくしてインターホン子器で発声された音声を宅外の通話端末で受聴する送話状態となるから、通話信号に周囲騒音が混在していても挿入損失量制御手段が通話状態を誤って受話状態とする可能性が低くなり、通話品質を向上させることができ、しかも、第2の音声検出手段における音声の検出精度が向上する。
【0051】
請求項4の発明は、宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けるとともに、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第2の通話音量調整用増幅手段を第1の2線−4線変換手段から第1の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第2の通話音量調整用増幅手段への入力から分岐させた通話信号を増幅する第2の入力用増幅手段と、第2の入力用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第2の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第2の音声検出手段で音声が検出されているときには第1の損失挿入手段における挿入損失量を第2の損 失挿入手段における挿入損失量よりも小さくするとともに、第1の2線−4線変換手段から出力される通話信号のレベルを検出する音量検出手段を備え、第2の入力用増幅手段は、音量検出手段で検出する通話信号のレベルに応じて利得を調整することを特徴とし、第1及び第2のエコーキャンセラによって帰還経路のエコー成分を相殺して閉ループを断ち切るために不快なエコーやハウリングが抑制でき、しかも、伝送損失が変動しても第1の通話音量調整用増幅手段により宅外の通話端末からインターホン子器への通話の音量をほぼ一定に保つことができるとともに、第1及び第2のエコーキャンセラでエコー成分が相殺されているから第1の通話音量調整用増幅手段で不要なエコー成分が増幅されることがなく、インターホン子器と転送先の宅外通話端末との間で行う通話の通話品質を向上させることができる。また、インターホン子器における発声音量が変動しても第2の通話音量調整用増幅手段によりインターホン子器から宅外の通話端末への通話の音量をほぼ一定に保つことができるとともに、第1及び第2のエコーキャンセラでエコー成分が相殺されているから第2の通話音量調整用増幅手段で不要なエコー成分が増幅されることがなく、インターホン子器と転送先の宅外通話端末との間で行う通話の通話品質を向上させることができる。さらに、第2の音声検出手段が第2の通話音量調整用増幅手段で増幅されていない通話信号から音声を検出するため、音声スイッチではインターホン子器における音量変動に応じて通話状態を正確に切り換えることができ、しかも、第2の音声検出手段における音声の検出精度が向上する。
【0052】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、挿入損失量制御手段は、第2の損失挿入手段の出力点からインターホン子器側の帰還経路を介して第1の損失挿入手段の入力点へ帰還する第1の帰還経路における第1の帰還利得を推定する第1の帰還利得推定手段と、第1の損失挿入手段の出力点から宅外の通話端末側の帰還経路を介して第2の損失挿入手段の入力点へ帰還する第2の帰還経路における第2の帰還利得を推定する第2の帰還利得推定手段と、第1及び第2の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、通話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて第1及び第2の挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを備え、総損失量算出部は、第1及び第2の帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、インターホン子器と宅外の通話端末との通話開始から第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作することを特徴とし、通話開始直後の第1及び第2のエコーキャンセラが収束していない状態においては、固定モードで動作する総損失量算出部によって総損失量が充分に大きい初期値に固定されるために不快なエコーやハウリングの発生を抑制してインターホン子器と宅外の通話端末との間で安定した半二重通話が実現でき、第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束した状態においては、更新モードで動作する総損失量算出部によって総損失量が随時更新されるためにインターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向の同時通話が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例における通話処理部のブロック図である。
【図2】 同上のシステム構成図である。
【図3】 実施形態1における通話処理部のブロック図である。
【図4】 実施形態2における通話処理部のブロック図である。
【図5】 実施形態3における通話処理部のブロック図である。
【符号の説明】
4 通話処理部
5 第1の2線−4線変換部
6 第2の2線−4線変換部
9 第1のエコーキャンセラ
10 第2のエコーキャンセラ
20 音声スイッチ
21 第1の損失挿入部
22 第2の損失挿入部
23 挿入損失量制御部
24 第1の通話音量調整用増幅部
25 第2の通話音量調整用増幅部
Claims (5)
- 宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第1の通話音量調整用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第1の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第1の音声検出手段で音声が検出されているときには第2の損失挿入手段における挿入損失量を第1の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくし、第1の音声検出手段は、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値を第1の通話音量調整用増幅手段における利得に応じて調整することを特徴とする通話装置。
- 宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第1の通話音量調整用増幅手段への入力から分岐させた通話信号を増幅する第1の入力用増幅手段と、第1の入力用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第1の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第1の音声検出手段で音声が検出されているときには第2の損失挿入手段における挿入損失量を第1の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくするとともに、第2の2線−4線変換手段と宅外の通話端末との間の伝送損失を検出する伝送損失検出手段を備え、第1の入力用増幅手段は、伝送損失検出手段で検出する伝送損失に応じて利得を調整することを特徴とする通話装置。
- 宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置で あって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けるとともに、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第2の通話音量調整用増幅手段を第1の2線−4線変換手段から第1の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第2の通話音量調整用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第2の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第2の音声検出手段で音声が検出されているときには第1の損失挿入手段における挿入損失量を第2の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくし、第2の音声検出手段は、通話信号が音声か否かを判断するためのしきい値を第2の通話音量調整用増幅手段における利得に応じて調整することを特徴とする通話装置。
- 宅内に設置されるとともに、宅外に設置されたインターホン子器に2線の通話線で接続され、該通話線を介してインターホン子器との間で通話する通話装置であって、公衆電話回線網を通して宅外の通話端末にインターホン子器との通話音声を転送する転送手段と、インターホン子器と宅外の通話端末との間で双方向に通話するための通話処理を行う通話処理手段と、通話線と通話処理手段の間に設けられる第1の2線−4線変換手段と、転送手段と通話処理手段の間に設けられる第2の2線−4線変換手段とを備え、通話処理手段は、通話状態を送話状態と受話状態に切り換える音声スイッチと、インターホン子器における音響結合又は第1の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第1のエコーキャンセラと、宅外の通話端末における音響結合又は第2の2線−4線変換手段における信号の回り込みによって生じたエコーを消去する第2のエコーキャンセラとを具備し、音声スイッチは、インターホン子器から宅外の通話端末への信号経路に損失を挿入する第1の損失挿入手段と、宅外の通話端末からインターホン子器への信号経路に損失を挿入する第2の損失挿入手段と、第1及び第2の損失挿入手段から挿入する損失量を制御する挿入損失量制御手段とを有し、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第1の通話音量調整用増幅手段を第2の2線−4線変換手段から第2の損失挿入手段までの信号経路上に設けるとともに、入力信号のレベルに応じて利得を調節する自動利得制御機能を有した第2の通話音量調整用増幅手段を第1の2線−4線変換手段から第1の損失挿入手段までの信号経路上に設けてなり、第2の通話音量調整用増幅手段への入力から分岐させた通話信号を増幅する第2の入力用増幅手段と、第2の入力用増幅手段から出力される通話信号が音声か否かを検出する第2の音声検出手段を音声スイッチに具備し、挿入損失量制御手段は、第2の音声検出手段で音声が検出されているときには第1の損失挿入手段における挿入損失量を第2の損失挿入手段における挿入損失量よりも小さくするとともに、第1の2線−4線変換手段から出力される通話信号のレベルを検出する音量検出手段を備え、第2の入力用増幅手段は、音量検出手段で検出する通話信号のレベルに応じて利得を調整することを特徴とする通話装置。
- 挿入損失量制御手段は、第2の損失挿入手段の出力点からインターホン子器側の帰還経路を介して第1の損失挿入手段の入力点へ帰還する第1の帰還経路にお ける第1の帰還利得を推定する第1の帰還利得推定手段と、第1の損失挿入手段の出力点から宅外の通話端末側の帰還経路を介して第2の損失挿入手段の入力点へ帰還する第2の帰還経路における第2の帰還利得を推定する第2の帰還利得推定手段と、第1及び第2の各帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出する総損失量算出部と、通話信号を監視して通話状態を推定し、この推定結果と総損失量算出部の算出値に応じて第1及び第2の挿入損失手段の各挿入損失量の配分を決定する挿入損失量分配処理部とを備え、総損失量算出部は、第1及び第2の帰還利得の推定値に基づいて閉ループに挿入すべき損失量の総和を算出して適応更新する更新モード、並びに総損失量を所定の初期値に固定する固定モードの2つの動作モードを有し、インターホン子器と宅外の通話端末との通話開始から第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束するまでの期間には固定モードで動作するとともに第1及び第2のエコーキャンセラが充分に収束した後の期間には更新モードで動作することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の通話装置。
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