JP2004242207A - インターホンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧を可能とする。
【解決手段】親機A及び副親機B1…のメモリ部3,32にはドアホン子器Cとの通話(ドアホン通話)に適したタップ長に設定されているエコーキャンセル処理用プログラムと、親機Aと副親機B1…あるいは副親機B1…同士との通話(内線通話)に適したタップ長に設定されているエコーキャンセル処理用プログラムとが記憶される。親機A並びに副親機B1…のDSP1,20は、相手の通話機器に応じた最適なタップ長に設定されているエコーキャンセル処理用プログラムをプログラム選択部4,33により選択して実行する。よって、呼出元の通話機器に対応したエコーキャンセル処理用プログラムを選択して実行することにより、通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧が行える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に住宅で使用されるインターホンシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、戸建住宅や集合住宅において宅内に設置される親機並びに副親機、宅外の玄関先などに設置されるドアホン子器等の通話機器間で拡声通話(ハンズフリー通話)を可能としたインターホンシステムが提供されている。このような拡声通話を行う通話機器においては、通話者が発した音声の一部が相手側の通話機器のスピーカからマイクロホンヘの音響結合や音声信号の伝送路との間のインピーダンスの不整合によって生じる反射などが原因で再び受話信号と重畳して帰還することがあり、この帰還成分のレベルが大きい場合には、不快なエコーとして通話者に聴こえてしまう。また、上述のようなエコーの影響によりハウリングが発生する虞がある。そこで従来は、上述のようなエコーを抑圧するエコーキャンセラを通話機器に備えていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は親機A’とドアホン子器Cとを備え、双方向の拡声同時通話を可能としたインターホンシステムの従来例を示すブロック図である。親機A’は、マイクロホン101、スピーカ102、2線−4線変換回路103、マイクロホンアンプG1、回線(2線の伝送路)への送話信号を増幅する回線出力アンプG2、回線からの受話信号を増幅する回線入力アンプG3、スピーカアンプG4、送話音量調整用増幅器G5、受話音量調整用増幅器G6、並びに音響エコーキャンセラ130Aと回線エコーキャンセラ130Bで構成される。また、ドアホン子器Cはマイクロホン101′、スピーカ102′、2線−4線変換回路103′、マイクロホンアンプG1′並びにスピーカアンプG4′で構成される。
【0004】
音響エコーキャンセラ130Aは適応フィルタ131Aと減算器132Aからなる従来周知の構成を有し、スピーカ102−マイクロホン101間の音響結合により形成される帰還経路(音響エコー経路)HACのインパルス応答を適応フィルタ131Aにより適応的に同定し、参照信号(スピーカアンプG4への入力信号)から推定したエコー成分(音響エコー)を減算器132AによりマイクロホンアンプG1の出力信号(図5における点Aの信号)から減算することでエコー成分を相殺して抑圧するものである。また、回線エコーキャンセラ130Bも適応フィルタ131Bと減算器132Bからなる従来周知の構成を有し、2線−4線変換回路103と伝送路との間のインピーダンスの不整合による反射およびドアホン子器Cにおけるスピーカ102’−マイクロホン101’間の音響結合とにより形成される帰還経路(回線エコー経路)HLINのインパルス応答を適応フィルタ131Bにより適応的に同定し、参照信号(回線出力アンプG2への入力信号、すなわち送話信号)から推定したエコー成分(回線エコー)を減算器132Bにより受話信号(図5における点Cの信号)から減算することでエコー成分を相殺して抑圧するものである。
【0005】
而して、音響及び回線の各エコーキャンセラ130A,130Bにより帰還経路HAC,HLINのエコー成分を抑圧して不快なエコーを抑制することができる。また、上記従来例によれば、マイクロホンアンプG1の出力信号に含まれるエコー以外の成分、すなわち、親機A’に対して通話者が発声した音声信号及び親機A’の周囲の騒音については全く損失を与えずにドアホン子器C側へ伝送することができ、同様に受話信号に含まれるエコー以外の成分、すなわち、ドアホン子器Cに対して通話者が発声した音声信号及びドアホン子器Cの周囲の騒音については全く損失を与えずに親機A’側へ伝送することができる。したがって、双方向の同時通話を実現することができる。なお、図5に示す従来構成において、さらに低損失の音声スイッチを2つのエコーキャンセラ130A,130Bの間の送受話路に設けた構成も従来より提案されているが、動作原理は基本的には同様であるから詳しい説明は省略する。
【0006】
ところで、携帯電話等の拡声通話機器では音声信号をアナログからデジタルに変換し、デジタルの音声信号に対してデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)を用いてエコーキャンセル処理を行っており、親機や副親機が具備する音響エコーキャンセラや回線エコーキャンセラを上述のようにDSPで実現したインターホンシステムも提供されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、適応フィルタ131A,131Bと減算器132A,132Bの機能を実現するエコーキャンセル処理用プログラムをDSPで実行しており、適応フィルタ131A,131Bは可変の係数(フィルタ係数)を有するFIRフィルタと係数を随時決定していくアルゴリズムで構成される。ここでFIRフィルタの入力x(n)と出力y(n)の関係は周知の通り次式のように表される。
【0007】
【数1】
Figure 2004242207
【0008】
なお、h(k)は係数、Nはタップ長である。そして、エコーキャンセル処理用プログラムはアルゴリズムによって上式の係数h(k)を所定の周期で繰り返し更新しており、一般には減算器132A,132Bの出力信号の自乗平均誤差を最小化するアルゴリズム、例えばLMSアルゴリズムが用いられることが多い。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−335977号公報(第6−9頁、第1図)
【特許文献2】
特開平7−183958号公報(第4−5頁、第1図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のインターホンシステムでは宅外に設置される通話機器(ドアホン子器)にはエコーキャンセラが設けられていなかったので、宅内に設置される通話機器である親機や副親機がドアホン子器との間でドアホン通話を行う場合と、親機と副親機(あるいは副親機同士)で内線通話を行う場合とで必要なタップ長が異なっていた。また、通話機器の設置環境や機器の筐体(マイクロホンとスピーカの距離)などの影響で上述のエコー経路が異なっており、特に浴室のような狭い空間では、リビングルームのような広い空間に比較して反射や残響の影響によりエコー成分が大きくなる傾向にある。そのため、狭い空間に設置される通話機器と広い空間に設置される通話機器とでは、適応フィルタにおいて最適な係数を求めるのに必要なタップ長が必ずしも一致しない。
【0011】
上述のように通話相手の通話機器の組み合わせによって適応フィルタの最適なタップ長が異なっているが、従来は大半の組み合わせに対応できるようなタップ長に固定されていたため、通話する通話機器の組み合わせによってはエコーキャンセラによるエコーの抑圧が充分に行われなくなる虞があった。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧が行えるインターホンシステムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、宅外に設置されるドアホン子器と、宅内に設置されてドアホン子器との間でドアホン通話を行う親機と、宅内に設置されて親機との間で内線通話を行うとともに親機を介してドアホン子器との間でドアホン通話を行う1乃至複数の通話機とを備え、親機は、マイクロホン並びにスピーカと、ドアホン子器又は通話機から受け取る受話信号とドアホン子器又は通話機に送る送話信号を信号処理して音響エコー又は回線エコーの少なくとも何れか一方をキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段と、ドアホン子器からの呼出を検出するドアホン呼出検出手段と、通話機からの呼出を検出する内線呼出検出手段と、ドアホン子器又は通話機からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦並びに通話機を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する操作手段と、操作手段の内線呼出釦が操作されたときに通話機に対して内線呼出を行い、ドアホン子器からの呼出を通話機に中継するとともに通話釦が操作されたときに通話処理手段に対して信号処理を開始させる制御手段とを具備し、通話機は、マイクロホン並びにスピーカと、ドアホン子器又は親機又は他の通話機から受け取る受話信号とドアホン子器又は親機又は他の通話機に送る送話信号を信号処理して音響エコー又は回線エコーの少なくとも何れか一方をキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段と、親機又は他の通話機からの内線呼出又は親機を介したドアホン子器からの呼出を検出する呼出検出手段と、ドアホン子器又は親機又は他の通話機からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦並びに親機又は他の通話機を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する操作手段と、操作手段の内線呼出釦が操作されたときに親機並びに他の通話機に対して内線呼出を行うとともに通話釦が操作されたときに通話処理手段に対して信号処理を開始させる制御手段とを具備し、親機並びに通話機が具備する通話処理手段は、エコーキャンセル用のプログラムを実装したデジタル・シグナル・プロセッサを備えてなり、呼出元の通話機器に応じてエコーキャンセル処理におけるタップ長を変更することを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じてエコーキャンセル処理におけるアルゴリズムを変更することを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、通話処理手段は、エコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを予めブートし、呼出元の通話機器に応じて何れかのプログラムを選択して実行することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、親機並びに通話機はエコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを記憶する記憶手段を具備し、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムを記憶手段からブートして実行することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明において、親機並びに通話機の制御手段はエコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを記憶する記憶手段を具備し、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムを制御手段からダウンロードして実行することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1又は2の発明において、通話処理手段は、プログラム関数によりタップ長を変更することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1又は2の発明において、通話処理手段は、デジタル・シグナル・プロセッサの内蔵メモリに予め配置されている配列の使用態様を変えることでタップ長を変更することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、下記の各実施形態における親機並びにドアホン子器の基本的な構成は従来例と共通であるから、共通の構成については図示並びに説明を省略し、本発明の要旨となる構成及び動作についてのみ図示並びに説明を行う。
【0021】
(実施形態1)
本実施形態のインターホンシステムは、図1に示すように宅外(玄関先など)に設置されるドアホン子器Cと、宅内に設置されてドアホン子器Cとの間でドアホン通話を行う親機Aと、宅内に設置されて親機Aとの間で内線通話を行うとともに親機Aを介してドアホン子器Cとの間でドアホン通話を行う通話機たる複数の副親機B1,B2,B3とを備える。
【0022】
親機Aは、マイクロホン並びにスピーカ(図示せず)と、ドアホン子器C又は副親機B1…から受け取る受話信号とドアホン子器C又は副親機B1…に送る送話信号を信号処理して音響エコー及び回線エコーをキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段たるDSP1と、ドアホン子器Cからの呼出(ドアホン呼出)を検出するドアホン呼出検出手段、並びに副親機B1…からの呼出(内線呼出)を検出する内線呼出検出手段を兼ねる呼出検出部11と、ドアホン子器C又は副親機B1…からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦を有する通話釦部20と、副親機B1…を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する内線釦部21と、副親機B1…に対して内線呼出を行い、ドアホン子器Cからのドアホン呼出を副親機B1…に中継するとともにDSP1に対して各種の指令(コマンド)を出す制御手段たるCPU10とを具備する。CPU10は呼出検出部11、通話釦検出部12、CPUコマンド送出部13並びにDSPコマンド送出部14を有しているが、これらの各部の機能は予め与えられるプログラムを実行することで実現されるものである。
【0023】
呼出検出部11は、ドアホン子器Cに設けられている呼出釦(図示せず)が操作されたことを示すドアホン呼出信号、副親機B1…からの内線呼出信号(後述する)、並びに親機Aの内線釦部21から内線呼出釦の操作時に出力される内線呼出信号を検出し、検出したドアホン呼出信号並びに内線呼出信号をCPUコマンド送出部13に出力するものである。また通話釦検出部12は、副親機B1…からの通話釦操作信号(後述する)並びに親機Aの通話釦部20から通話釦の操作時に出力される通話釦操作信号を検出し、検出した通話釦操作信号をCPUコマンド送出部13に出力するものである。
【0024】
CPUコマンド送出部13は、呼出検出部11からドアホン呼出信号又は内線呼出信号を受け取ったときに副親機B1…並びにDSPコマンド送出部14に対してドアホン呼出又は内線呼出のあったことを知らせるCPUコマンドを送出するとともに、通話釦検出部12から通話釦操作信号を受け取ったときに副親機B1…並びにDSPコマンド送出部14に対して通話釦の操作があったことを知らせるCPUコマンドを送出するものである。なお、呼出検出部11でドアホン呼出信号又は副親機B1…からの内線呼出信号を検出した場合、CPU10では図示しないスピーカを駆動して呼出音を鳴動させる。
【0025】
DSPコマンド送出部14は、CPUコマンド送出部13から受け取ったCPUコマンドに応じたDSPコマンドをDSP1に対して出力するものであって、ドアホン呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った後に親機Aの通話釦が操作されたことを知らせるCPUコマンドを受け取った場合にはドアホン子器Cに対応したエコーキャンセル処理用プログラムの実行を指示するDSPコマンドを送出し、副親機B1…からの内線呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った後に親機Aの通話釦が操作されたことを知らせるCPUコマンドを受け取った場合には副親機B1…に対応したエコーキャンセル処理用プログラムの実行を指示するDSPコマンドを送出する。
【0026】
またDSP1は、CPU10のDSPコマンド送出部14から送出されるDSPコマンドを受信するDSPコマンド受信部2と、複数のエコーキャンセル処理用プログラムを記憶したメモリ部3と、メモリ部3に記憶している複数のエコーキャンセル処理用プログラムの中からDSPコマンド受信部2の指示に従って一つのプログラムを選択するプログラム選択部4とを有しているが、これらの各部の機能は予め与えられるプログラムを実行することで実現されるものである。なお、DSP1ではプログラム選択部4で選択されたエコーキャンセル処理用プログラムを実行してエコーキャンセラの機能を実現する。
【0027】
メモリ部3はDSP1の内蔵メモリからなり、ドアホン子器Cとの通話(ドアホン通話)に適したタップ長に設定されている第1のエコーキャンセル処理用プログラムと、副親機B1…との通話(内線通話)に適したタップ長に設定されている第2のエコーキャンセル処理用プログラムとを記憶している。
【0028】
一方、副親機B1…は何れも基本的な構成が親機Aと共通であって、マイクロホン並びにスピーカ(図示せず)と、ドアホン子器C又は親機A又は他の副親機B1…から受け取る受話信号とドアホン子器C又は親機A又は副親機B1…に送る送話信号を信号処理して音響エコー及び回線エコーをキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段たるDSP30と、ドアホン子器C又は親機A又は他の副親機B1…からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦を有する通話釦部50と、親機A又は他の副親機B1…を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する内線釦部51と、親機A又は他の副親機B1…に対して内線呼出を行うとともにDSP30に対して各種の指令(コマンド)を出す制御手段たるCPU40とを具備する。CPU40は、CPUコマンド受信部41並びにDSPコマンド送出部42を有しているが、これらの各部の機能は予め与えられるプログラムを実行することで実現されるものである。
【0029】
CPUコマンド受信部41は、親機AのCPUコマンド送出部13から挿入されるCPUコマンドを受信して解釈し、ドアホン呼出又は内線呼出の発生と通話釦の操作の発生をDSPコマンド送出部42に知らせるものである。DSPコマンド送出部42は、CPUコマンド受信部41から受け取った情報に応じたDSPコマンドをDSP30に対して出力するものであって、ドアホン呼出発生の情報を受け取った後に自らの通話釦の操作発生の情報を受け取った場合にはドアホン子器Cに対応したエコーキャンセル処理用プログラムの実行を指示するDSPコマンドを送出し、親機A又は他の副親機B1…からの内線呼出の発生の情報を受け取った後に自らの通話釦の操作発生の情報を受け取った場合には親機A又は他の副親機B1…に対応したエコーキャンセル処理用プログラムの実行を指示するDSPコマンドを送出する。
【0030】
またDSP30は、CPU40のDSPコマンド送出部42から送出されるDSPコマンドを受信するDSPコマンド送出部31と、複数のエコーキャンセル処理用プログラムを記憶したメモリ部32と、メモリ部32に記憶している複数のエコーキャンセル処理用プログラムの中からDSPコマンド送出部31の指示に従って一つのプログラムを選択するプログラム選択部33とを有しているが、これらの各部の機能は予め与えられるプログラムを実行することで実現されるものである。なお、DSP30ではプログラム選択部33で選択されたエコーキャンセル処理用プログラムを実行してエコーキャンセラの機能を実現する。
【0031】
メモリ部32はDSP30の内蔵メモリからなり、ドアホン子器Cとの通話(ドアホン通話)に適したタップ長に設定されている第3のエコーキャンセル処理用プログラムと、親機A又は他の副親機B1…との通話(内線通話)に適したタップ長に設定されている第4のエコーキャンセル処理用プログラムとを記憶している。
【0032】
従来技術において説明したように、ドアホン子器Cにはスピーカからマイクロホンへの回り込み(音響エコー)をキャンセルする機能がなく、親機A又は副親機B1…でドアホン子器Cにおける上記音響エコーをキャンセルしなければならないが、親機A並びに副親機B1…は何れもエコーキャンセラを備えているため、親機Aと副親機B1…又は副親機B1…同士の内線通話においては互いに自己の音響エコーのみをキャンセルするだけで充分であることが多い。したがって、ドアホン子器Cに対応した第1及び第3のエコーキャンセル処理用プログラムではエコーキャンセラ(回線エコーキャンセラ)のタップ長を相対的に大きな値に設定し、内線通話に対応した第2及び第4のエコーキャンセル処理用プログラムではエコーキャンセラ(回線エコーキャンセラ)のタップ長を相対的に小さな値に設定することが望ましい。
【0033】
而して本実施形態では、親機A並びに副親機B1…のDSP1,20が、ドアホン通話又は内線通話を開始する際に相手の通話機器に応じた最適なタップ長に設定されているエコーキャンセル処理用プログラムを選択して実行するため、上述のように親機Aとドアホン子器Cとの間のドアホン通話時と、親機Aと副親機B1…との間の内線通話時とでエコー成分を充分に抑圧するために最適なタップ長が異なっている場合でも、呼出元の通話機器に対応したエコーキャンセル処理用プログラムを選択して実行することにより、通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧が行えるものである。
【0034】
なお、本実施形態ではドアホン通話の場合と内線通話の場合とでタップ長を変更するようにしているが、同じ内線通話であっても浴室のように残響や反射の大きい場所に設置された副親機B1…に対しては、相対的に残響や反射の小さい場所に設置された親機A及び他の副親機B1…の場合よりも最適なタップ長が大きくなると考えられる。よって、ドアホン通話用と内線通話用の2種類だけでなく、上述のように残響や反射の大きい場所に設置された副親機B1…に最適なタップ長に設定された別のエコーキャンセル処理用プログラムをメモリ部3,32に記憶しておき、合計3つのプログラムの中から相手の通話機器に対応したプログラムを選択して実行することが望ましい。
【0035】
ところで、適応フィルタのフィルタ係数を適応的に同定するためのアルゴリズムにはいくつかの種類があり、そのうちで相対的に複雑なアルゴリズム(例えば、従来周知の射影アルゴリズムなど)と相対的に単純なアルゴリズム(例えば、従来周知のBLMSアルゴリズムなど)とでは、同一のタップ長で比較した場合に複雑なアルゴリズムの方がエコーのキャンセル効果は高くなるが処理に要する時間(演算量)が増えるため、安価なDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)では低機能であるからタップ長を長くすることが困難であり、反対に単純なアルゴリズムの方がエコーのキャンセル効果は低くなるが処理に要する時間(演算量)が減少するため、安価なDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)を使ってタップ長を長くすることが容易である。したがって、ドアホン通話時にはタップ長を大きくするとともに単純なアルゴリズムに変更し、内線通話時にはタップ長を小さくするとともに複雑なアルゴリズムに変更するようにすれば、ドアホン通話時と内線通話時とでタップ長が異なっても、エコーキャンセル処理に要する時間をほぼ均一にするとともにエコーキャンセルの抑圧量を増やすことが可能となる。
【0036】
(実施形態2)
本実施形態は、図2に示すようにタップ長が異なる複数のエコーキャンセル処理用プログラムを記憶する記憶部22,52を親機A並びに副親機B1…に具備し、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムを記憶部22,52からDSP1,30のメモリ部3,32にブートして実行する点に特徴があり、その他の点については実施形態1と共通であるから説明は省略する。
【0037】
記憶部22,52は書換可能な不揮発性メモリ(例えば、フラッシュROM)からなり、互いにタップ長が異なる第1及び第2若しくは第3及び第4のエコーキャンセル処理用プログラムがそれぞれ領域22Aと52A、22Bと52Bに格納されている。
【0038】
また親機AのCPU10並びに副親機B1…のCPU40は、DSP1,30に対してリセット信号を出力するリセット信号送出部15,43と、DSP1,30が記憶部22,52からエコーキャンセル処理用プログラムをブートする領域22A又は22B,52A又は52Bを選択して指定するブート領域選択部16,44とを有している。
【0039】
親機Aのリセット信号送出部15は、親機Aの通話釦が操作されたことを知らせるCPUコマンドをCPUコマンド送出部13から受け取った場合にリセット信号を送出してDSP1をリセットするものであり、副親機B1…のリセット信号送出部43は、自らの通話釦の操作発生の情報を受け取った場合にDSP30にリセット信号を送出してDSP30をリセットするものである。
【0040】
また、親機Aのブート領域選択部16は、CPUコマンド送出部13からドアホン呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った場合、DSP1がリセット時にブートする記憶部22の領域を、ドアホン子器Cに最適なタップ長に設定されている第1のエコーキャンセル処理用プログラムが格納された領域22Aに設定し、CPUコマンド送出部13から内線呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った場合、DSP1がリセット時にブートする記憶部22の領域を、副親機B1…に最適なタップ長に設定されている第2のエコーキャンセル処理用プログラムが格納された領域22Bに設定するものである。一方、副親機B1…のブート領域選択部44は、CPUコマンド受信部部41からドアホン呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った場合、DSP30がリセット時にブートする記憶部52の領域を、ドアホン子器Cに最適なタップ長に設定されている第3のエコーキャンセル処理用プログラムが格納された領域52Aに設定し、CPUコマンド受信部41から内線呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った場合、DSP30がリセット時にブートする記憶部52の領域を、親機A又は他の副親機B1…に最適なタップ長に設定されている第4のエコーキャンセル処理用プログラムが格納された領域52Bに設定するものである。
【0041】
而して、親機A並びに副親機B1…のDSP1,30は、CPU10,40のリセット信号送出部15,43からリセット信号を受けてリセットがかかると、CPU10,40のブート領域選択部16,44で選択された記憶部22,52の領域22A…からメモリ部3,32に相手の通話機器に応じた最適なエコーキャンセル処理用プログラムをブートして実行するため、実施形態1と同様に通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧が行える。しかも、実施形態1では複数のエコーキャンセル処理用プログラムを予めDSP1,30のメモリ部3,32に記憶しておくために内蔵メモリの必要容量が大きくなるのに対し、本実施形態では記憶部22,52に記憶したエコーキャンセル処理用プログラムのうちから必要なものだけをメモリ部3,32にブートして実行するため、内蔵メモリの必要容量が小さくなる。その結果、実施形態1に比較してメモリ容量の少ない安価なDSPが使用できてコストの低減が図れるという利点がある。
【0042】
なお、本実施形態においても実施形態1と同様にタップ長に併せてアルゴリズムを変更するようにしても構わない。
【0043】
(実施形態3)
本実施形態は、図3に示すようにタップ長が異なる複数のエコーキャンセル処理用プログラムが格納されたプログラム格納部18,46を親機A並びに副親機B1…のCPU10,40に具備し、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムをCPU10,40からDSP1,30のメモリ部3,32にブート(ダウンロード)して実行する点に特徴があり、その他の点については実施形態1若しくは実施形態2と共通であるから説明は省略する。
【0044】
プログラム格納部18,46は書換可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPROMなど)からなり、互いにタップ長が異なる第1及び第2若しくは第3及び第4のエコーキャンセル処理用プログラムが格納されている。
【0045】
また親機AのCPU10並びに副親機B1…のCPU40は、DSP1,30に対してリセット信号を出力するリセット信号送出部15,43と、プログラム格納部18,46に格納されている複数のエコーキャンセル処理用プログラムのうちから相手の通話機器に応じたプログラムを選択するプログラム選択部17,45と、プログラム選択部17,45で選択されたエコーキャンセル処理用プログラムをDSP1,30にブート(ダウンロード)するプログラムブート部19,47とを有している。
【0046】
親機Aのプログラム選択部17は、CPUコマンド送出部13からドアホン呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った後に自らの通話釦の操作発生の情報を受け取った場合はドアホン子器Cに最適なタップ長に設定されている第1のエコーキャンセル処理用プログラムをプログラム格納部18から読み出し、CPUコマンド送出部13から内線呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った後に自らの通話釦の操作発生の情報を受け取った場合は副親機B1…に最適なタップ長に設定されている第2のエコーキャンセル処理用プログラムをプログラム格納部46から読み出すものである。一方、副親機B1…のプログラム選択部45は、CPUコマンド受信部部41からドアホン呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った後に自らの通話釦の操作発生の情報を受け取った場合にドアホン子器Cに最適なタップ長に設定されている第3のエコーキャンセル処理用プログラムをプログラム格納部46から読み出し、CPUコマンド受信部41から内線呼出を知らせるCPUコマンドを受け取った後に自らの通話釦の操作発生の情報を受け取った場合は親機A又は他の副親機B1…に最適なタップ長に設定されている第4のエコーキャンセル処理用プログラムをプログラム格納部46から読み出すものである。
【0047】
また親機Aのプログラムブート部19は、リセット信号送出部15から送出されるリセット信号でDSP1がリセットした場合にプログラム選択部17で選択して読み出したエコーキャンセル処理用プログラムをDSP1のメモリ部3にブート(ダウンロード)するものであり、副親機B1…のプログラムブート部47は、リセット信号送出部43から送出されるリセット信号でDSP30がリセットした場合にプログラム選択部45で選択して読み出したエコーキャンセル処理用プログラムをDSP30のメモリ部32にブート(ダウンロード)するものである。なお、プログラムブート部19,47におけるブート処理は、ホストポートインタフェースを用いたパラレルブートでも良いし、バッファドシリアルポートを用いたシリアルブートでも良い。
【0048】
而して、親機A並びに副親機B1…では、CPU10,40のリセット信号送出部15,43からリセット信号を送出してDSP1,30をリセットすると、CPU10,40のプログラムブート部19,47からメモリ部3,32に相手の通話機器に応じた最適なエコーキャンセル処理用プログラムをブートして実行するため、実施形態1並びに実施形態2と同様に通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧が行える。しかも、実施形態1に比較してメモリ容量の少ない安価なDSPが使用できるとともに、実施形態2のような記憶部22,52が不要であるから、さらにコストの低減が図れる。なお、本実施形態においても実施形態1及び実施形態2と同様にタップ長に併せてアルゴリズムを変更するようにしても構わない。
【0049】
ところで、実施形態1乃至3では互いにタップ長の異なるエコーキャンセル処理用プログラムを予め用意しておき、通話開始時に相手の通話機器に応じた最適なエコーキャンセル処理用プログラムを選択して実行しているが、エコーキャンセル処理用プログラムにタップ長を設定するためのプログラム関数を用意しておき、このプログラム関数を利用してタップ長のみを変更するようにしても構わない。このようにプログラム関数を使ってタップ長のみを変更するようにすれば、タップ長のみが異なる複数のエコーキャンセル処理用プログラムを用意する必要が無く、メモリの消費量が減ってコストダウンが図れるとともにプログラム全体を変更する場合に比べて処理時間を短くすることができるという利点がある。
【0050】
(実施形態4)
本実施形態は、DSP1,30の内蔵メモリ(メモリ部3,32)に予め配置されている配列の使用態様を変えることでタップ長を変更する点に特徴がある。
【0051】
図4に示すように親機A及び副親機B1…のDSP1,30には、DSPコマンド受信部2,31とメモリ部3,32の他に、メモリ部3,32に予め配置されている音響エコーキャンセラ用のタップの配列と回線エコーキャンセラ用のタップの配列の使用比率(使用態様)を変えることでタップ長を変更する配列使用比率変更部5,34を具備しており、これ以外の構成は実施形態1と共通である。
【0052】
すなわち、DSP1,30のメモリ部3,32には音響側及び回線側の各エコーキャンセル処理用プログラムが使用するタップの配列が所定数だけ確保されており、配列使用比率変更部5,34はDSPコマンド受信部2,31から音響側と回線側の各エコーキャンセル処理用プログラムにおけるタップの配列の使用比率を変更するものである。
【0053】
例えば、タップの配列が100だけ確保されているとすると、親機A又は副親機B1…とドアホン子器Cとのドアホン通話の場合には回線エコーキャンセラ用のタップの配列を50、音響エコーキャンセラ用のタップの配列を50に設定し、親機Aと副親機B1…又は副親機B1…同士の内線通話の場合には回線エコーキャンセラのタップの配列を30、音響エコーキャンセラ用のタップの配列を70に設定することにより、相手の通話機器に応じた最適なタップ長(配列の数)に変更することができる。
【0054】
而して、本実施形態においても実施形態1と同様に通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧が行え、しかも、実施形態1に比較してメモリ容量の少ない安価なDSPが使用でき、実施形態2のような記憶部22,52が不要であるからさらにコストの低減が図れるとともに、プログラム全体を変更する場合に比べて処理時間を短くすることができる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1の発明は、宅外に設置されるドアホン子器と、宅内に設置されてドアホン子器との間でドアホン通話を行う親機と、宅内に設置されて親機との間で内線通話を行うとともに親機を介してドアホン子器との間でドアホン通話を行う1乃至複数の通話機とを備え、親機は、マイクロホン並びにスピーカと、ドアホン子器又は通話機から受け取る受話信号とドアホン子器又は通話機に送る送話信号を信号処理して音響エコー又は回線エコーの少なくとも何れか一方をキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段と、ドアホン子器からの呼出を検出するドアホン呼出検出手段と、通話機からの呼出を検出する内線呼出検出手段と、ドアホン子器又は通話機からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦並びに通話機を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する操作手段と、操作手段の内線呼出釦が操作されたときに通話機に対して内線呼出を行い、ドアホン子器からの呼出を通話機に中継するとともに通話釦が操作されたときに通話処理手段に対して信号処理を開始させる制御手段とを具備し、通話機は、マイクロホン並びにスピーカと、ドアホン子器又は親機又は他の通話機から受け取る受話信号とドアホン子器又は親機又は他の通話機に送る送話信号を信号処理して音響エコー又は回線エコーの少なくとも何れか一方をキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段と、親機又は他の通話機からの内線呼出又は親機を介したドアホン子器からの呼出を検出する呼出検出手段と、ドアホン子器又は親機又は他の通話機からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦並びに親機又は他の通話機を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する操作手段と、操作手段の内線呼出釦が操作されたときに親機並びに他の通話機に対して内線呼出を行うとともに通話釦が操作されたときに通話処理手段に対して信号処理を開始させる制御手段とを具備し、親機並びに通話機が具備する通話処理手段は、エコーキャンセル用のプログラムを実装したデジタル・シグナル・プロセッサを備えてなり、呼出元の通話機器に応じてエコーキャンセル処理におけるタップ長を変更することを特徴とし、通話機器の構成やその設置場所における残響時間及び反響特性の違い等があり、例えば親機とドアホン子器との間のドアホン通話時と、親機と通話機との間の内線通話時とでエコー成分を充分に抑圧するために最適なタップ長が異なっている場合でも、呼出元の通話機器に応じてタップ長を変更することにより、通話機器の組み合わせにかかわらずエコーキャンセラにより充分なエコーの抑圧が行える。
【0056】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じてエコーキャンセル処理におけるアルゴリズムを変更することを特徴とし、複雑なアルゴリズムと単純なアルゴリズムとでは処理に要する時間が異なっており、呼出元の通話機器に応じてタップ長を変更する際にアルゴリズムを変更することによって、タップ長が異なってもエコーキャンセル処理に要する時間をほぼ均一にするとともにエコーキャンセルの抑圧量を増やすことが可能となる。
【0057】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、通話処理手段は、エコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを予めブートし、呼出元の通話機器に応じて何れかのプログラムを選択して実行することを特徴とし、選択したプログラムを起動するまでの時間が短くなる。
【0058】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、親機並びに通話機はエコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを記憶する記憶手段を具備し、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムを記憶手段からブートして実行することを特徴とし、メモリ容量の少ない安価なデジタル・シグナル・プロセッサが使用できてコストの低減が図れる。
【0059】
請求項5の発明は、請求項1又は2の発明において、親機並びに通話機の制御手段はエコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを記憶する記憶手段を具備し、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムを制御手段からダウンロードして実行することを特徴とし、メモリ容量の少ない安価なデジタル・シグナル・プロセッサが使用できるとともにプログラムを記憶しておく記憶手段が不要でありコストの低減が図れる。
【0060】
請求項6の発明は、請求項1又は2の発明において、通話処理手段は、プログラム関数によりタップ長を変更することを特徴とし、メモリ容量の少ない安価なデジタル・シグナル・プロセッサが使用できるとともにプログラムを記憶しておく記憶手段が不要でありコストの低減が図れ、さらにプログラム全体を変更する場合に比べて処理時間を短くすることができる。
【0061】
請求項7の発明は、請求項1又は2の発明において、通話処理手段は、デジタル・シグナル・プロセッサの内蔵メモリに予め配置されている配列の使用態様を変えることでタップ長を変更することを特徴とし、メモリ容量の少ない安価なデジタル・シグナル・プロセッサが使用できるとともにプログラムを記憶しておく記憶手段が不要でありコストの低減が図れ、さらにプログラム全体を変更する場合に比べて処理時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示すブロック図である。
【図2】実施形態2を示すブロック図である。
【図3】実施形態3を示すブロック図である。
【図4】実施形態4を示すブロック図である。
【図5】従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
A 親機
B1〜B3 副親機
C ドアホン子器
1,30 DSP
2,31 DSPコマンド受信部
3,32 メモリ部
4,33 プログラム選択部
10,40 CPU

Claims (7)

  1. 宅外に設置されるドアホン子器と、宅内に設置されてドアホン子器との間でドアホン通話を行う親機と、宅内に設置されて親機との間で内線通話を行うとともに親機を介してドアホン子器との間でドアホン通話を行う1乃至複数の通話機とを備え、親機は、マイクロホン並びにスピーカと、ドアホン子器又は通話機から受け取る受話信号とドアホン子器又は通話機に送る送話信号を信号処理して音響エコー又は回線エコーの少なくとも何れか一方をキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段と、ドアホン子器からの呼出を検出するドアホン呼出検出手段と、通話機からの呼出を検出する内線呼出検出手段と、ドアホン子器又は通話機からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦並びに通話機を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する操作手段と、操作手段の内線呼出釦が操作されたときに通話機に対して内線呼出を行い、ドアホン子器からの呼出を通話機に中継するとともに通話釦が操作されたときに通話処理手段に対して信号処理を開始させる制御手段とを具備し、通話機は、マイクロホン並びにスピーカと、ドアホン子器又は親機又は他の通話機から受け取る受話信号とドアホン子器又は親機又は他の通話機に送る送話信号を信号処理して音響エコー又は回線エコーの少なくとも何れか一方をキャンセルすることにより双方向の同時通話を実現する通話処理手段と、親機又は他の通話機からの内線呼出又は親機を介したドアホン子器からの呼出を検出する呼出検出手段と、ドアホン子器又は親機又は他の通話機からの呼出に応答して通話を開始する際に操作される通話釦並びに親機又は他の通話機を呼び出す際に操作される内線呼出釦を有する操作手段と、操作手段の内線呼出釦が操作されたときに親機並びに他の通話機に対して内線呼出を行うとともに通話釦が操作されたときに通話処理手段に対して信号処理を開始させる制御手段とを具備し、親機並びに通話機が具備する通話処理手段は、エコーキャンセル用のプログラムを実装したデジタル・シグナル・プロセッサを備えてなり、呼出元の通話機器に応じてエコーキャンセル処理におけるタップ長を変更することを特徴とするインターホンシステム。
  2. 通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じてエコーキャンセル処理におけるアルゴリズムを変更することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
  3. 通話処理手段は、エコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを予めブートし、呼出元の通話機器に応じて何れかのプログラムを選択して実行することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
  4. 親機並びに通話機はエコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを記憶する記憶手段を具備し、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムを記憶手段からブートして実行することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
  5. 親機並びに通話機の制御手段はエコーキャンセル処理におけるタップ長が互いに異なる複数のプログラムを記憶する記憶手段を具備し、通話処理手段は、呼出元の通話機器に応じた何れかのプログラムを制御手段からダウンロードして実行することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
  6. 通話処理手段は、プログラム関数によりタップ長を変更することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
  7. 通話処理手段は、デジタル・シグナル・プロセッサの内蔵メモリに予め配置されている配列の使用態様を変えることでタップ長を変更することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
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