JP2007058943A - ラミネート方法及び光メモリの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シートを塗布膜上の所定位置に正確にラミネートすることが可能なラミネート方法、及びこれを用いた光メモリの製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス基板21に形成された接着層12aと、フイルム15aとを対面させて、これらの間隔dを50〜500μmの範囲内にする。その後、CCDカメラ50によって、ガラス基板21及びフイルム15aを撮影する。シフト機構38は、撮影画像に基づいて、ガラス基板21に施されたアライメントマークと、フイルム15aに施されたアライメントマークとの位置が一致するように、保持枠37を移動させる。その後、ローラ40をZ方向に移動させて、スクリーン36を介してフイルム15aを一定の圧力で押圧しながら、ローラ40をX方向に移動させることにより、フイルム15aを接着層12a上にラミネートする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、基板に形成された塗布膜にシートをラミネートするラミネート方法、及びこれを用いた光メモリの製造方法に関する。
近年、樹脂製のコア層と、このコア層の上下に積層された樹脂製のクラッド層とからなり、コア層とクラッド層との一方の界面に再生像を得るための情報を含む情報用凹凸部を形成したスラブ型の光導波路を1個又は複数個積層させた光メモリ(情報記録媒体)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような光メモリは、例えば、図8に示すように、コア層101とクラッド層102とが交互に積層されており、光メモリに記録された情報を読み出す際には、光メモリ100の側部に形成された光導入面103に対して、シリンドリカルレンズ104によって縦幅約5μmに絞った光(例えばレーザ光)を入射させ、所望のコア層101に光を導入する。コア層101に導入された光は、コア層101とクラッド層102との界面に形成された情報用凹凸部で回折しながら伝播する。この時、情報用凹凸部で回折された回折光(再生光)は、導波面に対して直交方向(上下方向)に伝播し、光メモリ100内の積層体の上部を透過し、最終的に、同位相の回折光は干渉し合い、イメージセンサ105の表面に再生像を形成する。
この再生像は、イメージセンサ105によって受光される。そして、この再生像を画像補正し、デジタル信号化することで、凹凸パターンによって光メモリに記録された元の情報が復元される。
また、コア層とクラッド層との一方の界面に情報用凹凸部を形成するために、コア層またはクラッド層を形成する際に、紫外線硬化樹脂によって塗布膜を形成した後、情報用凹凸部に対応する凹凸パターンが形成されたフレキシブルなシートであるスタンパを塗布膜上にラミネートし、紫外線を照射して硬化させた後、このスタンパを剥離することによって情報用凹凸部を形成する。このような情報用凹凸部は、コア層またはクラッド層の正確な位置に形成されていない場合、光メモリの情報を再生する際にエラーが発生する原因となるので、スタンパを塗布膜上の正確な位置にラミネートする必要がある。このため、スタンパを塗布膜上にラミネートする前に、塗布膜が形成されている基板とスタンパとの位置合わせを行っている。
このような位置合わせを行う場合、位置合わせ用のマークを基板及びスタンパの各々に施しておき、塗布膜とスタンパとを対面させた状態で、ラミネート装置に設けられた撮影装置によって基板及びスタンパを撮影する。その後、この撮影画像に基づいて、互いのマークの位置ずれ量を検出し、マークの位置が一致するように、基板またはスタンパの一方を移動させて位置合わせを行っている。この位置合わせ後に、スタンパに一定の圧力を加えながら、ローラを移動させることによって、スタンパを塗布膜上の所定位置に正確にラミネートすることができる。
特開2002−120286号公報
しかしながら、撮影装置の取付精度やレンズの収差等の影響によって、位置合わせ時のマーク同士の相対位置と、ラミネート後のマーク同士の相対位置とに誤差が生じるため、スタンパを塗布膜上の正確な位置にラミネートすることが難しいという問題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、シートを塗布膜上の所定位置に正確にラミネートするラミネート方法、及びこのラミネート方法を用いた光メモリの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のラミネート方法は、第1のマークが施された基板上に液体を塗布して塗布膜を形成して、第2のマークが施されたシートを前記塗布膜に対面させた状態で、前記基板及び前記シートを撮影し、この撮影画像に基づいて、前記第1及び前記第2のマークの位置が一致するように、前記基板または前記シートの一方を他方に対して相対的に移動させた後、前記塗布膜上に前記シートをラミネートするラミネート方法であり、前記シートと前記塗布膜との間隔dを50≦d≦500μmの範囲内にして、前記第1及び前記第2のマークとを位置合わせすることを特徴とするものである。
また、互いの吸着面が対面するように2つの吸着盤が上下に配置され、下側吸着盤はメッシュ状のスクリーンを備え、このスクリーン上に前記シートが真空吸着され、上側吸着盤に前記基板が真空吸着された状態で、前記第1及び前記第2のマークの位置合わせを行った後、ローラによって前記スクリーンを上方に押し上げ、前記シートに一定の圧力を加えながら、前記シートの一方の端部から他方の端部に前記ローラを移動させて、前記塗布膜上に前記シートをラミネートすることが好ましい。
さらに、前記撮影画像に基づいて、前記第1及び前記第2のマークの位置が一致するように、前記下側吸着盤を移動させることが好ましい。
本発明の光メモリの製造方法は、樹脂製のコア層と、前記コア層の上下に積層された樹脂製のクラッド層とからなり、前記コア層と前記クラッド層との一方の界面に情報再生用の凹凸部が形成されたスラブ型の光導波路を複数個積層させた光メモリの製造方法であり、紫外線硬化樹脂を用いて前記コア層及び前記クラッド層を交互に積層するとともに、前記コア層または前記クラッド層を形成する時に、前記紫外線硬化樹脂によって塗布膜を形成した後、前述のラミネート方法を用いて、前記凹凸部に対応する凹凸パターンが表面に形成されたスタンパを前記塗布膜上にラミネートし、紫外線を照射して硬化させた後に前記スタンパを剥離して、前記凹凸部を形成することを特徴とするものである。
また、前述のラミネート方法を用いて、基板上に形成された塗布膜上に、樹脂製シートであるフイルムをラミネートした後、このフイルム上に前記コア層及び前記クラッド層を交互に積層することが好ましい。
本発明のラミネート方法によれば、塗布膜とシートとの間隔dを50≦d≦500μmの範囲内にして、基板及びシートを撮影し、この撮影画像に基づいて、第1のマークと第2のマークとの位置合わせを行う。このため、撮影装置の取付精度やレンズの収差の影響を受けることなく、第1及び第1のマークの位置を一致させることができる。このため、シートを塗布膜の所定位置に正確にラミネートすることができる。
ローラによって、シートに一定の圧力を加えながら、シートを塗布膜上にラミネートするので、塗布膜とシートとの間に空気が入ることを防止できる。
また、本発明の光メモリの製造方法によれば、スタンパを塗布膜の所定位置に正確にラミネートすることができる。このため、情報用再生用の凹凸部をコア層またはクラッド層の所定位置に正確に形成することができるので、光メモリの情報を再生する際にエラーが発生することを防止できる。
図1に示す積層導波路型の光メモリ(以下、光メモリと称する)10は、2つのユニット11が接着層12を介して上下に貼り合わされた構成となっている。ユニット11は、コア層13とクラッド層14とが、フイルム15aとフイルム15bとの間に交互に積層されて構成されている。
コア層13及びクラッド層14は、紫外線硬化樹脂で形成されており、この紫外線硬化樹脂としては、アクリル系、エポキシ系などの樹脂が適当である。コア層13の厚さは、1.0〜1.6μm程度が適当であり、例えば、1.4μmにされている。また、クラッド層14の厚さは、7〜9μm程度が適当であり、例えば、8μmにされている。なお、コア層13の屈折率は1.52、クラッド層14の屈折率は1.51にされている。
また、コア層13とクラッド層14との一方の界面には、情報再生用の凹凸部である情報用凹凸部16が形成されている。この情報用凹凸部16の高さ方向の差は、0.1μm程度であり、導波方向への凹凸の配列周期は、コア層13に入射されるレーザ光の波長(660nm)をコア層の屈折率(1.52)で割った値によって決定され、約440nmである。この情報用凹凸部16は、光メモリ10に記録すべき情報を2次元符号化し、その符号化された情報を元に計算機によって合成されたパターン(計算機ホログラムと称される)が転写されたものである。
また、コア層13は、前述したように、上下に積層されたクラッド層14よりも屈折率が高くされており、1つのコア層13と、その上下に積層された2つのクラッド層14とにより、1つの情報再生用の光導波路17が構成される。ただし、ユニット11の最下層のコア層13aには、情報用凹凸部16が形成されていないので、情報再生用の光導波路としては機能しない。一方、各ユニット11の最上層に形成されたコア層13bの上にはクラッド層14が形成されていないが、その上に形成されたフイルム15bがクラッド層14と略同一の屈折率(1.51)で形成されているため、最上層のコア層13bは情報再生用の光導波路として機能する。
また、ユニット11は、光導波路17が一定数積層された積層体の上下をフイルム15a,15bで支持して構成されているが、これは、紫外線硬化樹脂であるコア層13及びクラッド層14のみでは、積層体にカール(反り)が発生するため、フイルム15a,15bによって支持してカールを防止するためである。
また、フイルム15a,15bは樹脂製のフレキシブルなシートであり、JSR社製のアートン(登録商標)等の非晶質ポリオレフィン、ポリカーボネート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などによって形成されている。また、前述したように、フイルム15a,15bの屈折率は、クラッド層14と略同一であり、その厚さは、100〜200μm程度にされている。
また、各ユニット11を接着する接着層12としては、コア層13やクラッド層14に用いられている紫外線硬化樹脂が用いられる。接着層12の屈折率が、フイルム15a,15bの屈折率と大きく異なると、接着層12とフイルム15a,15bとの界面で再生光の再生角や、回折効率が変化するため、光量やS/N比が低下してしまう。このため、接着層12とフイルム15a,15bとの屈折率は略等しくされている。なお、接着層12としては、紫外線硬化樹脂材などの光硬化型のものには限られず、熱硬化型、熱可塑性型などを用いることが可能であり、材質としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、オレフィン系などが挙げられる。
各ユニット11の端部に形成された光導入面18からコア層13に光が導入されると、導入光は、クラッド層14との界面で反射されながらコア層13を伝播するとともに、一部が情報用凹凸部16によって回折される。また、光メモリ10を構成するコア層13、クラッド層14、フイルム15a,15b、及び接着層12は、情報用凹凸部16で回折された回折光(再生光)の波長に対して透明である。
このため、各光導波路17から上下に放出される再生光は、光メモリ10内の各層を透過し、光メモリ10の上面及び下面から外部へ放出される。なお、光導波路17から上下に放出された再生光は、別の光導波路17を横切ることになるが、コア層13とクラッド層14との屈折率の差が極めて小さく、さらに、情報用凹凸部16の厚みが極めて小さいため、光路長差が極めて小さいので、この再生光が別の光導波路17に形成された情報用凹凸部16で再度回折されることは殆どなく(10-4未満)、外部に結像される再生像に対する影響は無視できる。
以下に、上記構成の光メモリ10の製造方法について説明する。光メモリ10は、前処理工程と、積層工程と、後処理工程との3つの工程で製造される。
前処理工程では、基板としてガラス基板21を用意する。このガラス基板21は、厚さが約0.5mm〜3mm程度、好ましくは約1mm程度のものを用い、その上面及び下面は凹凸がなく平坦である。なお、基板としては、ガラス基板に限らず、例えば、シリコンウェハーや、金属板や、厚みのあるポリカーボネート等の基板を用いても良い。
ガラス基板21の表面には、スピンコータによって、硬化後の屈折率が1.51の紫外線硬化樹脂が塗布され、図2(A)に示すように、塗布膜である接着層12aが形成される。この接着層12aの厚さは、約3μmにされる。スピンコータとは、円盤上に設置した基板上に塗布液を滴下し、円盤を回転させることにより均一な厚さの塗布膜を形成する塗布装置である。
その後、図3及び図4に示すラミネート装置30によって、フイルム15aを接着層12a上にラミネートする。以下に、このラミネート装置30の構成について説明する。ラミネート装置30は、図3及び図4に示すように、下側吸着盤31を保持する本体32と、上側吸着盤33とを備えて構成されている。
本体32は、略直方体形状の筐体であり、下側吸着盤31が上部に設けられている。この下側吸着盤31は、気密性及び可撓性を有する保持部材35によって、本体32に取り付けられており、本体32に対して下側吸着盤31がX,Y,Z方向に移動自在にされている。
また、下側吸着盤31は、微小孔が多数形成され、可撓性を有するメッシュ状のフレキシブルなシートであるスクリーン36と、このスクリーン36を保持する保持枠37とで構成されている。この保持枠37は、シフト機構38によって、X,Y,Z方向に移動される。このシフト機構38は、例えば、複数のモータ、ギア、及びガイドレール等で構成すれば良い。
また、本体32内には、ローラ40と、このローラ40を回転自在に保持する保持部材41と、保持部材41をZ方向に移動させるエアーシリンダ42と、このエアーシリンダ42を移動させる移動機構43とが設けられている。また、本体32の側面には、吸引パイプ44が設けられている。移動機構43は、例えば、モータ、ギア、及びガイドレール等を備えて構成されており、エアーシリンダ42をX方向に移動させる。また、吸引パイプ44は、本体32内の空気を吸引するために設けられており、ポンプ(図示せず)によって本体32内の空気が吸引されると、本体32内が減圧されてスクリーン36上に載置されたものが真空吸着される。
また、本体32の側端部には、上側吸着盤33を回動自在に保持するヒンジ部45が設けられており、モータ46によって、吸着面33aがスクリーン36から退避する退避位置(図3(A)に示す位置)と、吸着面33aがスクリーン36に対面する対面位置(図3(B)に示す位置)との間で上側吸着盤33が回動される。また、上側吸着盤33は、透明な部材で形成された略直方体形状の筐体である。また、前述の吸着面33aには、微小孔が多数形成されている。
さらに、上側吸着盤33の裏面(吸着面33aとは反対の面)33bの中央部には、撮影装置であるCCDカメラ50が設けられている。さらに、この裏面33bには、上側吸着盤33内の空気を吸引するための吸引パイプ51が形成されている。このため、ポンプ(図示せず)によって、上側吸着盤33内の空気が吸引されると、吸着面33a上に載置されたものが真空吸着される。
また、CCDカメラ50は、後述するように、上側吸着盤33に吸着されたガラス基板21と、下側吸着盤31に吸着されたフイルム15aとを位置合わせする時に、ガラス基板21及びフイルム15aを撮影する。移動機構43は、CCDカメラ50によって撮影された画像に基づいて、保持枠37をX,Y方向に移動させて、ガラス基板21とフイルム15aとの位置合わせを行う。
次に、上記構成のラミネート装置30を用いて、フイルム15aを接着層12a上にラミネートするラミネート方法について以下に説明する。ガラス基板21は、接着層12aが形成された後、図4に示すように、上側吸着盤33の吸着面33a上にセットされる。また、ガラス基板21の表面には、アライメントマーク(第1のマーク)22a,22bが形成されており、これらのアライメントマーク22a,22bは、ガラス基板21の対角位置に配置されている。このガラス基板21を吸着面33aにセットする時には、アライメントマーク22a,22bを基準にして所定位置にセットする。その後、ポンプ(図示せず)によって、上側吸着盤33内の空気を吸引して、ガラス基板21を真空吸着によって吸着面33aの所定位置に保持させる。
また、下側吸着盤31には、図4に示すように、フイルム15aがセットされる。このフイルム15aの表面にも、アライメントマーク23a,23bが形成されており、これらのアライメントマーク23a,23bが対角位置に配置されている。フイルム15aを下側吸着盤31にセットする時には、アライメントマーク23a,23bを基準にして、スクリーン36上の所定位置にセットする。その後、ポンプ(図示せず)によって、本体32内の空気を吸引して、フイルム15aを真空吸着によってスクリーン36の所定位置に保持させる。
その後、退避位置(図3(A)に示す位置)から対面位置(図3(B)に示す位置)に移動させて、接着層12とシート15aとを対面させる。その後、シフト機構38によって、下側吸着盤31を上方に移動させて、図5(A)に示すように、接着層12aとシート15aとを近接させる。この時、接着層12aとフイルム15aとの間隔dを50〜500μmの範囲内にする。
接着層12aとフイルム15aとの間隔dが50〜500μmの範囲内にされた後、CCDカメラ50によって、ガラス基板21及びフイルム15aを撮影する。その後、撮影された画像に基づいて、マーク22aとマーク23aとの中心、及びマーク22bとマーク23bとの中心が一致するように、シフト機構38によって下側吸着盤31が移動される。これにより、ガラス基板21とフイルム15aとの位置合わせが行われる。
その後、図5(B)に示すように、エアーシリンダ42によって、ローラ40を上方に移動させ、スクリーン36を介して、ローラ40によってフイルム15aを押圧しながら、フイルム15aの一方の端部から他方の端部に移動させて、フイルム15aを接着層12a上にラミネートする。この時、接着層12aとフイルム15aとの間に気泡が入らないように、ローラ40によって、一定の圧力でフイルム15aを加圧しながら接着層12a上にフイルム15aをラミネートする。
これにより、図2(B)に示すように、位置ずれを生じさせずに、フイルム15aが接着層12a上の所定位置に正確にラミネートされる。その後、紫外線照射装置によって、図2(C)に示すように、フイルム15aに向けて紫外線を照射する。この時、接着層12aは、ガラス基板21とフイルム15aとで挟まれており、酸素の影響がないため、紫外線を照射する時に、窒素パージ等によって酸素を遮断する必要はない。
また、フイルム15aは、紫外線に対して透過性を有しており、フイルム15aを透過した紫外線が接着層12aに照射されて硬化する。これにより、フイルム15aが、接着層12aによってガラス基板21上に接着されて、前処理工程が終了する。
次に、積層工程について説明する。この積層工程では、最初に、フイルム15a上に、硬化後の屈折率が1.52の紫外線硬化樹脂であるコア材(液体コア樹脂)を塗布して塗布膜(コア層)13aを形成する。この塗布膜13aには、図6(A)に示すように、紫外線が照射されて塗布膜13aが硬化してコア層13aが形成される。この時、窒素パージ等によって酸素を遮断した状態で、紫外線を塗布膜13aに照射する。
さらに、このコア層13a上には、硬化後の屈折率が1.51の紫外線硬化樹脂であるクラッド材(液体クラッド樹脂)が塗布されて塗布膜(クラッド層)14が形成される。その後、塗布膜14a上にスタンパ53をラミネートする。このスタンパ53には、フイルム15aと同様に、2個のアライメントマーク(第2のマーク)が施されており、これらのマークが対角位置に配置されている。
ラミネートを行う場合、フイルム15aの場合と同様のラミネート装置30を用いて、塗布膜14とスタンパ53との間隔dを50〜500μmの範囲内にして、フイルム15aの場合と同様に、ガラス基板21に施されたアライメントマーク22a,22bと、スタンパ53に施された2個のアライメントマークとを位置合わせした後、ローラ40によって、一定の圧力でスタンパ53を加圧しながら、塗布膜14上にスタンパ53をラミネートする。これにより、図6(B)に示すように、位置ずれを生じさせずに、スタンパ53を塗布膜14上の所定位置に正確にラミネートすることができる。
このスタンパ53は、紫外線に対して透過性を有し、かつ可撓性を有するフイルム状の樹脂シートで形成されており、表面には、クラッド層14の表面に形成する情報用凹凸部16に対応する凹凸パターン53aが形成されている。このスタンパ53は、例えば、特開2002−120286号公報に記載されているように、情報用凹凸部16に対応する凹凸パターンが表面に刻まれたスタンパ層と、樹脂フイルムと、これらを接着する接着層とで構成すれば良い。また、凹凸パターン53aの高さは、0.1μm程度にされている。
このスタンパ53を塗布膜14上にラミネートする際は、凹凸パターン53aが形成された表面がクラッド層14の上面に対面するようにラミネートする。その後、塗布膜14上にスタンパ53がラミネートされたまま、図6(C)に示すように、スタンパ53の裏面側から紫外線を照射する。この時、スタンパ53を透過した紫外線が塗布膜14に照射されて硬化する。なお、塗布膜14は、コア層13aとスタンパ53とで挟まれており、酸素の影響を受けないので、紫外線を照射する時に、窒素パージ等によって酸素を遮断する必要はない。
塗布膜14が硬化された後、スタンパ53が塗布膜14から剥離されて、図6(D)に示すように、クラッド層14が形成される。このクラッド層14の表面には、スタンパ53の表面に形成された凹凸パターン53aが転写されて情報用凹凸部16が形成される。この凹凸部の高さは、0.1μm程度で形成される。
このように、フイルム15a上に、コア層13とクラッド層14とが積層される。その後、前述と同様に、コア層13とクラッド層14とが繰り返し積層されて、図7(A)に示すように、光導波路17が積層されて積層工程が終了する。
次に、後処理工程について説明する。後処理工程では、最初に、クラッド層14上に、コア材を塗布して塗布膜13bを形成する。この塗布膜上には、前述のフイルム15aと同様のフイルム15bがラミネートされる。このフイルム15bには、フイルム15aと同様に、2個のアライメントマーク(第2のマーク)が施されており、同様に、塗布膜13bとフイルム15bとの間隔dを50〜500μmにして位置合わせを行った後、フイルム15bを塗布膜13b上にラミネートする。
このフイルム15bには、図7(B)に示すように紫外線が照射され、塗布膜13bが硬化してコア層13bが形成される。フイルム15bは、コア層13bによって接着される。このフイルム15b上には、硬化後の屈折率が1.51である紫外線硬化樹脂が塗布されて接着層12bが形成され、さらに、紫外線が照射されて接着層12bが硬化される。これにより、ユニット11が作製される。
その後、図7(C)に示すように、ユニット11がガラス基板21から剥離され、さらに、ユニット11の側端部(4面)が切断される。なお、この切断は、ダイシング加工によって行う。これは、レーザ光(入射光)が、所望のコア層13に確実に入射されるように、光導入面18の平面粗さを小さくするためである。その後、2つのユニット11を積重して、加圧及び加熱を施すことにより、接着層12を介して互いのユニット11が接着され、図1に示す光メモリ10が完成する。
なお、各ユニット11が3層の光導波路17で構成される場合を例に説明したが、光導波路17の積層数は3層に限るものではなく、例えば、1層や2層でも良いし、4層以上でも良く、20層積層した場合、ユニット11の厚さは、0.4mm程度となる。また、光メモリ10が2個のユニット11で構成される場合を例に説明したが、ユニット11の数は2個に限らず、例えば、1個でも良いし、3個以上のユニット11を積重して接着しても良い。
前述したように、フイルム15a,15bやスタンパ53を塗布膜上にラミネートする前に、フイルム15a,15bまたはスタンパ53と、塗布膜との間隔dを50〜500μmの範囲内にして位置合わせを行う。このため、CCDカメラ50の取付精度やレンズの収差等の影響によって、ラミネートの前後でアライメントマーク同士の相対位置に誤差が生じることを防止できるので、塗布膜上の所定位置に、フイルム15a,15bまたはスタンパ53を正確にラミネートすることができる。
なお、上記実施形態において、下側吸着盤31を移動させて、基板に施された第1のマークと、シートに施された第2のマークとの位置を合わせる場合を例に説明したが、これに限るものではなく、例えば、上側吸着盤を移動させて、第1のマークと第2のマークとを位置を合わせしても良い。
また、上記実施形態において、塗布膜にラミネートするシートとして、フイルム15a,15b及びスタンパ53を用いて、光メモリを製造する場合を例に説明したが、これに限るものではなく、塗布膜上にフレキシブルなシートをラミネートする場合であれば、本発明を適用することができる。
さらに、上記実施形態において、第1及び第2のマークを2個ずつ対角位置に施す場合を例に説明したが、これらの個数や場所は、これらに限るものではなく、例えば、第1及び第2のマークを4個ずつ施して、これらのマークを角角に配置しても良い。
また、上記実施形態において、ガラス基板21上に接着されたフイルム15a上に、コア層13及びクラッド層14を交互に積層する場合を例に説明したが、フイルム15aを設けずに、ガラス基板21上にコア層13及びクラッド層14を直接積層しても良い。さらに、上記実施形態において、クラッド層14の上面に情報用凹凸部16を形成する場合を例に説明したが、これに限るものではなく、コア層13の上面に情報用凹凸部16を形成しても良い。
本発明のラミネート方法を用いて、塗布膜とフイルムとの間隔を変えて、実験1〜実験5を行った。なお、実験1及び実験5は、実験2〜実験4の比較実験として行ったものである。
[実験1]
ガラス基板(300mm×300mm×t1.6mm)上に、液体粘度が300mPa・sの塗布液を塗布して、膜厚が8μmの塗布膜を形成した。その後、PET製のフイルム(300mm×300mm×t0.1mm)と塗布膜との間隔を40μmにした状態で、ガラス基板とフイルムとの位置合わせを行った。この時、フイルムが塗布膜上に貼り付いてしまって、位置合わせを行うことができなかった。
[実験2]
実験1と同様のガラス基板、塗布液、及びフイルムを用いて、フイルムと塗布膜との間隔を50μmにした状態で位置合わせを行った後、フイルムを塗布膜上にラミネートした。ラミネート後に、ガラス基板のアライメントマークとフイルムのアライメントマークとの位置ずれ量は、10μm以下であった。
[実験3]
実験1及び実験2と同様のガラス基板、塗布液、及びフイルムを用いて、フイルムと塗布膜との間隔を200μmにした状態で位置合わせを行った後、フイルムを塗布膜上にラミネートした。ラミネート後に、ガラス基板のアライメントマークとフイルムのアライメントマークとの位置ずれ量は、10μm以下であった。
[実験4]
実験1〜実験3と同様のガラス基板、塗布液、及びフイルムを用いて、フイルムと塗布膜との間隔を500μmにした状態で位置合わせを行った後、フイルムを塗布膜上にラミネートした。ラミネート後に、ガラス基板のアライメントマークとフイルムのアライメントマークとの位置ずれ量は、10μm以下であった。
[実験5]
実験1〜実験4と同様のガラス基板、塗布液、及びフイルムを用いて、フイルムと塗布膜との間隔を600μmにした状態で位置合わせを行った後、フイルムを塗布膜上にラミネートした。ラミネート後に、ガラス基板のアライメントマークとフイルムのアライメントマークとの位置ずれ量は、100μm以上であった。
実験1〜実験5の実験結果を纏めたものを下記の表1に示す。表1に示すように、フイルムと塗布膜との間隔dを40μmにした場合、位置合わせをする前にフイルムが塗布膜上に貼り付くため、位置合わせができない。また、間隔dを600μmにして位置合わせを行った後、塗布膜上にフイルムをラミネートした場合、ガラス基板のアライメントマークと、フイルムのアライメントマークとの位置ずれ量が、100μm以上となり、正確な位置合わせをすることができない。しかし、間隔dを50μm以上500μm以下にして位置合わせを行った後、フイルムを塗布膜上にラミネートした場合、アライメントマークの位置ずれ量が、10μm以下となり、位置合わせを正確に行ってラミネートすることが分かる。
Figure 2007058943
光メモリの構成を示す断面図である。 光メモリの製造方法(前処理工程)を示す断面図である。 ラミネート装置の構成を示す側面概略図である。 ラミネート装置の構成を示す平面概略図である。 ラミネート装置の作用を示す説明図である。 光メモリの製造方法(積層工程)を示す断面図である。 光メモリの製造方法(後処理工程)を示す断面図である。 従来の光メモリとその動作原理を説明する斜視図である。
符号の説明
10 光メモリ
12a,12b 接着層
13 コア層
14 クラッド層
15a,15b フイルム
16 情報用凹凸部
17 光導波路
21 ガラス基板
22a,22b,23a,23b アライメントマーク
30 ラミネート装置
31 下側吸着盤
33 上側吸着盤
36 スクリーン
50 CCDカメラ
53 スタンパ

Claims (5)

  1. 第1のマークが施された基板上に液体を塗布して塗布膜を形成して、第2のマークが施されたシートを前記塗布膜に対面させた状態で、前記基板及び前記シートを撮影し、この撮影画像に基づいて、前記第1及び前記第2のマークの位置が一致するように、前記基板または前記シートの一方を他方に対して相対的に移動させた後、前記塗布膜上に前記シートをラミネートするラミネート方法において、
    前記シートと前記塗布膜との間隔dを50≦d≦500μmの範囲内にして、前記第1及び前記第2のマークとを位置合わせすることを特徴とするラミネート方法。
  2. 互いの吸着面が対面するように2つの吸着盤が上下に配置されており、下側吸着盤はメッシュ状のスクリーンを備え、このスクリーン上に前記シートが真空吸着され、上側吸着盤に前記基板が真空吸着された状態で、前記第1及び前記第2のマークの位置合わせを行った後、ローラによって前記スクリーンを上方に押し上げ、前記シートに一定の圧力を加えながら、前記シートの一方の端部から他方の端部に前記ローラを移動させて、前記塗布膜上に前記シートをラミネートすることを特徴とする請求項1記載のラミネート方法。
  3. 前記撮影画像に基づいて、前記第1及び前記第2のマークの位置が一致するように、前記下側吸着盤を移動させることを特徴とする請求項2記載のラミネート方法。
  4. 樹脂製のコア層と、前記コア層の上下に積層された樹脂製のクラッド層とからなり、前記コア層と前記クラッド層との一方の界面に情報再生用の凹凸部が形成されたスラブ型の光導波路を複数個積層させた光メモリの製造方法において、
    紫外線硬化樹脂を用いて前記コア層及び前記クラッド層を交互に積層するとともに、前記コア層または前記クラッド層を形成する時に、前記紫外線硬化樹脂によって塗布膜を形成した後、請求項1ないし請求項3のいずれか記載のラミネート方法を用いて、前記凹凸部に対応する凹凸パターンが表面に形成されたスタンパを前記塗布膜上にラミネートし、紫外線を照射して硬化させた後に前記スタンパを剥離して、前記凹凸部を形成することを特徴とする光メモリの製造方法。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか記載のラミネート方法を用いて、基板上に形成された塗布膜上に、樹脂製シートであるフイルムをラミネートした後、このフイルム上に前記コア層及び前記クラッド層を交互に積層することを特徴とする請求項4記載の光メモリの製造方法。
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